1:2014/12/14(日) 19:44:32.99 ID:zmF9U1dAVOTE.net
タラオ「パパー、何でお家にいるですか?」

マスオ「…」

タラオ「会社行かなくていいですか?」

マスオ「…」
2:2014/12/14(日) 19:48:24.23 ID:zmF9U1dAVOTE.net
サザエ「タラちゃん!あっちでカツオお兄ちゃんと遊んでらっしゃい」

タラオ「ええー、カツオお兄ちゃん野球に行くって…」

サザエ「いいから!あっちに行ってなさい!!」

タラオ「…はいです」
4:2014/12/14(日) 19:51:59.66 ID:zmF9U1dAVOTE.net
サザエ「…あなた」

マスオ「…すまないねサザエ。僕が不甲斐ないばっかりに…」

サザエ「あなた…」

サザエ「大丈夫よ。お金なら当面は心配ないし」

サザエ「あなたはずっと真面目に働いてきたんだもの」

サザエ「少し休んで、また仕事を探せばいいわ」
5:2014/12/14(日) 19:56:25.95 ID:zmF9U1dAVOTE.net
マスオ「サザエ…ありがとう。僕は君と結婚して、本当によかったよ…」

サザエ「もうっ、マスオさんったら」

サザエ「泣くことないじゃない!さっ!今日の夕飯はあなたが好きなものを作るわ!」

サザエ「だし巻き卵でいいわよね?」

マスオ「…サザエ…」
7:2014/12/14(日) 19:59:18.21 ID:G/xmCi+1VOTE.net
みてられない・・・
8:2014/12/14(日) 20:01:58.71 ID:zmF9U1dA0.net
―夜―


サザエ「ご飯できたわよー!」

カツオ「わーいって…だし巻き卵かぁ…」

サザエ「何言ってんのよ。あんた好きでしょう?」

カツオ「だってこれだけじゃオカズにならないよ~」

サザエ「何言ってるの!早く食べちゃいなさい!!」

カツオ「ちぇっ!」


マスオ(…ごめんよ、カツオくん…)
9:2014/12/14(日) 20:06:43.02 ID:zmF9U1dA0.net
サザエ「あなた、美味しい?」

マスオ「びゃあ゜ぁ゜゜ぁうまひぃ゜ぃぃ゜!!サザエの料理は本当に美味しいなぁ」

サザエ「もうっ!あなたったら~!!うふふふふ」

ワカメ「もう、姉さんとマスオお兄さんって本当に仲良しねぇ」
10:2014/12/14(日) 20:10:35.50 ID:zmF9U1dA0.net
波平「あー、おっほん!!」

マスオ「ビクゥ」

波平「マスオ君、食事が終わったら、わしの部屋に来てくれんか?」

マスオ「はっはいぃ!!」
11:2014/12/14(日) 20:17:40.54 ID:zmF9U1dA0.net
―夕飯後―

カツオ「ねえ、姉さん」

サザエ「なーに?今後片付けで忙しいのよ」

カツオ「マスオ兄さん…何かあったの?」

サザエ「…なんで?」

カツオ「だって…いつもは居間で晩酌するのに」

サザエ「たまには静かに飲みたい時もあるでしょう」

カツオ「でも…変だよ…まさかリス…ふぐぅ!!」
12:2014/12/14(日) 20:22:38.36 ID:zmF9U1dA0.net
サザエ「…いい?カツオ?」

カツオ「ふぅ!!ぐぅう!!??」

サザエ「このことは、誰にも言っちゃいけないわよ?」

サザエ「我が家の稼ぎ手がリストラだなんて…」

サザエ「恥以外の何物でもないんだからね?」

サザエ「絶対にご近所に言いふらしたりしないでよ!?」

カツオ「…はっはい…」
13:2014/12/14(日) 20:27:34.20 ID:zmF9U1dA0.net
―波平の部屋―


波平「今度のことは災難だったな、マスオ君」

マスオ「…はい。まさか、派閥に入ってないというだけで…」

マスオ「リストラの筆頭になるなんて思っても…」

波平「思ってもみなかったか?マスオ君?」

マスオ「…はい」
14:2014/12/14(日) 20:31:27.82 ID:zmF9U1dA0.net
波平「…」

マスオ「…」

波平「フゥー」

マスオ(びくぅ!!)

波平「本当に君は甘いな、マスオ君」

マスオ「お義父さん…」

波平「自分の力だけで世間を渡っていけると」

波平「本気でそう思っていたのかね?」

マスオ「…すみません」
15:2014/12/14(日) 20:35:46.79 ID:zmF9U1dA0.net
波平「まあ…」

波平「今更こんなこと言っても仕方ない」

波平「しかしこの件で…わしの立場も危うくなった」

波平「もうこれ以上の地位は望めんだろう」

マスオ「お義父さん…本当に…」

波平「君が謝ってもなにも変わらんよ。マスオ君」

マスオ「…はい…」
17:2014/12/14(日) 20:41:40.36 ID:zmF9U1dA0.net
波平「それよりも…」

波平「再就職の目処は付いてるのかね?」

マスオ「いえ…昨日の今日なもので」

波平「なるべく早く決めるように。婿がいつまでも無職では、近所のいい笑いの種だ」

マスオ「…はい。すぐに探します。ご迷惑をおかけして本当に申し訳ないです…」

波平「まったくだ」

マスオ「…」
18:2014/12/14(日) 20:45:13.21 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(…ふぅ。やっぱりお義父さんは手厳しいなぁ…)

マスオ(再就職か…)

マスオ(明日、ハローワークにでも行ってみようかな)

タラオ「パパー?」

マスオ「タラちゃん!!もう寝たんじゃなかったのかい?」
20:2014/12/14(日) 20:49:31.56 ID:zmF9U1dA0.net
タラオ「パパー、明日もお家いるですかぁ?」

マスオ「えっ!!いっいや…その…」

タラオ「お家いないですか…」

マスオ「いやっ!!いつもよりゆっくりだよ!!」

タラオ「ほんとですか!!じゃあ、パパと遊びたいですぅ!!」

マスオ「…タラちゃん…」
21:2014/12/14(日) 20:55:22.39 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(そういえば最近、タラちゃんと遊んでいなかったな)

マスオ(朝からハローワークへ行くつもりだったけど…)

マスオ(また忙しくなる前に息子と交流を持つのも…いいな…)

タラオ「パパー、やっぱり忙しいですか?」

マスオ「いや、大丈夫だよ!」

マスオ「明日は朝からパパといっぱい遊ぼう!!」

タラオ「やったで~す!!」


カツオ(…マスオ兄さん…)
22:2014/12/14(日) 21:03:19.74 ID:zmF9U1dA0.net
サザエ「ふぅ、やっと夕飯の片付けが終わったわ」

フネ「サザエ、今日はもうお休みなさい」

サザエ「えー。でも母さん、朝食の下ごしらえがまだ…」

フネ「私がやっておくから。サザエも疲れてるでしょう?」

サザエ「母さん…ありがとう…」

フネ「辛い時だけど、一番大変なのはマスオさんだからね」

フネ「あなただけは何があっても味方でいてあげなさい。ね?」

サザエ「母さん…言われなくてもわかっているわよ~!!」

サザエ「マスオさんは私の大事な旦那様だもの!!」
23:2014/12/14(日) 21:09:07.10 ID:zmF9U1dA0.net
サザエ(…とは言っても…)

サザエ(リストラされたばかりなのにグッスリ眠っちゃって…)

サザエ(危機感ってものがないのかしら)

サザエ(昔からボーッとした人だとは思っていたけど…)

サザエ(かといって、プレッシャー掛け過ぎても自滅しそうだし…)

サザエ(やんわりと発破をかけていくしかないわね)

サザエ(…まったく…面倒くさい人…!)
24:2014/12/14(日) 21:14:32.03 ID:zmF9U1dA0.net
―次の日―


マスオ「ふぅ~ごちそうさま」

タラオ「パパー!何して遊ぶですか?」

ワカメ「タラちゃんったらぁ!マスオ兄さんは会社があるんだから遊べないわよー?」

マスオ「…」

波平「うおっほん!!」

カツオ「ほらっ!ワカメ!!早く学校行くぞ!!」

ワカメ「ええ~っ!待ってよお兄ちゃん~!!」

マスオ(カツオくん…ありがとう…)
26:2014/12/14(日) 21:20:00.71 ID:zmF9U1dA0.net
タラオ「パパー!何するですぅ??」

マスオ「そうだなー。じゃあ天気もいいし公園にでも…」

波平「うおっほん!!!」

マスオ「あっ!いやっ!ええと…」

サザエ「あら、あなた、今日は早くから用事があるんじゃなかったかしら」

マスオ「えっ!その…でも…」

タラオ「パパー…忙しいですか…」

マスオ「ええと…ええと…」

サザエ「…あなた…?」

マスオ「ごめん…タラちゃん…」
27:2014/12/14(日) 21:22:35.60 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(ごめんよ…タラちゃん…)

マスオ(ハローワークってこんなとこにあったのか…)

マスオ(こんな近所なのに知らなかった…)

マスオ(自分には縁のないとこだと思ってたからなぁ…)
28:2014/12/14(日) 21:28:14.57 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(思ったより綺麗な建物なんだな…うわっ)

マスオ(凄い人…まだ午前中なのに…)

マスオ(これどうなってるんだろう…どこへ行けば…)

マスオ(…今日はやめとこう…)

マスオ(まだ頭の整理も心の整理もついてないし…)

マスオ(肩身は狭いけど…急いで探すこともないだろうし…)


マスオ(また出直そう)

???「あれ?あなた確かカツオくんの?」
29:2014/12/14(日) 21:34:10.54 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(まっまずい!!知り合い!!??)

マスオ「ええと…あなたは…」

???「ああ、すみません。私、こういうものです」

マスオ「花沢…ああっ!確かカツオくんの!!」

花沢父「はい。娘がいつもお世話になってます~」

マスオ「いえいえこちらこそ」

花沢父「今日はこの物件の見回りに来たんですよ。マスオさんは今日はどうしたんです…はっ!!」
30:2014/12/14(日) 21:40:49.59 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「えっ…あっ!!違うんですよ!!今日は仕事ができたんです!!」

花沢父「仕事を…探しに…?」

マスオ「ちっ違いますよ!家の会社で労働市場の調査をしてるんですよ!!」

花沢父「あっ、あ~なるほど!そうですよねぇ」

花沢父「早大出の商社マンがリストラなんて…ありえないですよねぇ」

マスオ「ははははは。いやー、ははははは」

マスオ(詳しいな、この人)
31:2014/12/14(日) 21:43:12.19 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(…今日は仕事を探さないとしても…)

マスオ(やることがない…)

マスオ(近所にいると誰かに会いそうだし…)

マスオ(…家に戻るか…)
32:2014/12/14(日) 21:48:34.74 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「ただいまー…」

サザエ「…あら、早かったのね」

タラオ「おかえりです!!」

サザエ「それで…どうだったの…?」

マスオ「…ああ、目星は…ついたよ…」

サザエ「本当に!?よかったわ~!!」

タラオ「どうしたんです?いいことあったですかぁ?」

サザエ「うふふ、お昼ご飯にしましょうか?あ・な・た!」

マスオ「あ…ああ、そうだね…」
34:2014/12/14(日) 21:53:09.42 ID:zmF9U1dA0.net
―昼食後―

マスオ(思わずあんなこといっちゃったけど…どうしよう…)

サザエ「あなた?」

マスオ「あっああ!サザエ!…ええと、タラちゃんは!?」

サザエ「お昼寝してるわよ。で、新しいお仕事はどんなものかしら?」

マスオ「あっ…ええと…建設!建設業だよ!!」

サザエ「…は?」

マスオ「…え?」
35:2014/12/14(日) 21:57:55.74 ID:zmF9U1dA0.net
サザエ「…まさかとは思うけど…現場で土掘ったりするわけじゃないわよね?」

マスオ「…いや…その…」

サザエ「まさかそんなわけないわよね?」

マスオ「サザエ…その言い方だとまるで…土方が悪いような…」

サザエ「悪くないわよ。でも、私は商社マンと結婚したのよ」

マスオ「…」

サザエ「…考え直してちょうだい」
38:2014/12/14(日) 22:03:53.64 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(…はあ…)

マスオ(まさか…サザエがあんなこと言うなんて…)

マスオ(本当は…肉体労働もいいかなって…思ってたんだけどな…)

マスオ(汗水垂らして働くってのも…生きてるって感じがしそうで…)

マスオ(…でも…)

マスオ(自分ひとりのことじゃないからな…)

マスオ(ツテで商社関係の仕事がないか探してみよう)

マスオ(とりあえず明日、アナゴくんに電話を掛けてみようかな…)
39:2014/12/14(日) 22:11:51.06 ID:zmF9U1dA0.net
―次の日―


アナゴ「やあ!フグ田くぅん!!」

マスオ「アナゴくん!!…何だか…ものすごく久しぶりな気がするよ…」

アナゴ「ははぁ!何いってるんだい!」

マスオ「ははは!とりあえず飲もうか!!いつものところで…アナゴくん?」

アナゴ「…あぁー、いや」

アナゴ「会社の近くは…その…な?」

マスオ「…そうだね」
40:2014/12/14(日) 22:19:34.67 ID:zmF9U1dA0.net
アナゴ「すまないね、フグ田くぅん…」

アナゴ「君と一緒にいるところを…あの部長の一派に見られたら…」

マスオ「わかってるよ。アナゴくん」

アナゴ「…すまないね…。少し離れたところに、旨い魚を出す店があるんだ。そこへ行こう!」

マスオ「…アナゴくん…ありがとう…」

アナゴ「な~に!いいってことよぅ!!ぶるぁあああああ!!!」
42:2014/12/14(日) 22:28:18.70 ID:zmF9U1dA0.net
アナゴ「…そうかぁ…カミさん…やっぱり怒ってるのかぁ…」

マスオ「…表に出さないけどね…」

マスオ「それで…もしよかったら…」

アナゴ「ああ、わかってるよぅ!フグ田くぅん」

マスオ「アナゴくん!!すまない!!本当にありがとう!!」

アナゴ「な~に。期待に沿えるかわからないが、全力を尽くすよ」

マスオ「アナゴくん…」

アナゴ「さっ、今日は飲もうじゃないかぁ!!ぶるぁぁああああああ!!!」
43:2014/12/14(日) 22:31:50.68 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「あ~飲み過ぎちゃったかな~っと」

マスオ「ただいま~っと…あれ?鍵が…?」

マスオ「お~い!!サザエ~サザエ~!!」

マスオ「サザ…あっ!」

サザエ「あら、お帰りなさい。随分気持ちが良さそうね」
44:2014/12/14(日) 22:34:34.32 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「ああ…今日はアナゴくんに…仕事の…」

サザエ「働かないで飲むお酒は美味しい?」

マスオ「すみません…」

マスオ(一応…自分で稼いだ金なんだけど…)
45:2014/12/14(日) 22:37:42.55 ID:zmF9U1dA0.net
―次の日―

マスオ(…もう朝か…)

マスオ(サザエ…まだ怒ってるかな…)

マスオ(今日はちゃんと仕事を探してみよう…アナゴくんに頼ってばかりもいられないしな…)
46:2014/12/14(日) 22:39:14.24 ID:6JdPF77H0.net
アナゴさんいい人
50:2014/12/14(日) 22:41:17.44 ID:gK4EHd8i0.net
実家で母親と家事やってるクソ女にこんな態度取られたらDVもんだろ
49:2014/12/14(日) 22:40:58.44 ID:zmF9U1dA0.net
タラオ「パパ?」

マスオ「やあタラちゃん。おはよう」

タラオ「おはようですぅ。お仕事行くですかぁ?」

マスオ「ああ…いや、タラちゃん。パパのお話、聞いてくれるかな?」

タラオ「はい?」
51:2014/12/14(日) 22:44:46.66 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「パパね、お仕事…出来なくなっちゃったんだ…」

タラオ「…どうしてですか?パパ、お仕事嫌いになったですか?」

マスオ「…いや、お仕事は…好きだったよ…」

タラオ「じゃあ、なんでですか?好きなのにできないですか?」

マスオ「…」
52:2014/12/14(日) 22:47:47.47 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「…そうだね」

マスオ「好きでも…出来なくなっちゃうときがあるんだ」

マスオ「好きなことでも…それが出来るとは、限らないんだ」

タラオ「…よくわからないです…」
55:2014/12/14(日) 22:53:42.82 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「…そうだね。タラちゃんには…まだ難しいね…」

マスオ「でもね、タラちゃん」

マスオ「好きな仕事は無くなっちゃったけど、パパはこれからね」

マスオ「また、好きになれる仕事を探しに行くんだ。…時間はかかるかもしれないけどね」

マスオ「なんて…はは…タラちゃんに話すことじゃなかったかな…」

タラオ「そんなことないです!!」
57:2014/12/14(日) 22:58:12.79 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「タラちゃん…」

タラオ「パパ、がんばるです!お仕事行ってるパパ、かっこよかったです!!」

タラオ「だから…またお仕事みつけてがんばるです!!」

タラオ「ぼく…パパのこと応援します!」

マスオ「タラちゃん…ありがとう…」

カツオ「…マスオ兄さん…」
58:2014/12/14(日) 23:01:29.01 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「!??」

マスオ「カッカツオくん!?…もしかして今の話…」

カツオ「うん…聞いていたよ…」

マスオ「カツオくん…」

カツオ「…マスオ兄さん…酷いじゃないか…」
61:2014/12/14(日) 23:05:08.56 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「…そうだね…僕は本当に不甲斐ない…」

カツオ「違うよ!!」

カツオ「どうして…どうして何も言ってくれなかったんだよ…」

カツオ「そりゃあ…簡単に言えることじゃないし…世間の目も気になるかもしれない…」

カツオ「…でも…こんなときに…つらい時に支え合うのが…家族じゃないか!!」
64:2014/12/14(日) 23:08:23.27 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「…カツオくん…」

カツオ「そりゃあ…僕に相談したって…なんにも解決しないかもしれないけど…でも…」

カツオ「でもっ!!」

マスオ「カツオくん!!」

カツオ「!!」

マスオ「…ありがとう…」

カツオ「マスオ兄さん…」
65:2014/12/14(日) 23:09:38.42 ID:fnU3eNsJ0.net
カツオ…お前はいいやつだなあ…
66:2014/12/14(日) 23:13:33.90 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「君が…こんなに考えていてくれたなんて…」

マスオ「ついこの間まで…あんなに小さかったのにな…」

マスオ「本当に…男の子って…急に大きくなるんだな…」

カツオ「兄さん…なにいってるんだよ…もう…」

マスオ「ははは…ありがとう。君が応援してくれたら、本当に心強いよ」

カツオ「マスオ兄さん…頑張ってね!兄さんなら…会社がほっておかないよ!」

マスオ「うん…頑張るよ」

タラオ「僕も応援しまーす」
68:2014/12/14(日) 23:18:09.17 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「タラちゃん…そうだね。タラちゃんもいれば…百人力だ!」

マスオ「じゃあ、行ってくるよ」

カツオ「うん…朝ご飯は…いいの?」

マスオ「ああ、朝から並んで気合いをいれないとね!」

カツオ「そっか…いってらっしゃい!マスオ兄さん!」

マスオ「ああ、いってきます!」

タラオ「いってらっしゃいでーす」
69:2014/12/14(日) 23:21:51.12 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(…ふう…とりあえず…目ぼしい求人は見てみたけど…)

マスオ(やっぱり給料は…今までの半分もいかないか…)

マスオ(アナゴくんが探してくれる仕事も…すぐに見つかるとは限らないしなぁ…)

マスオ(…一度家に戻って…アナゴくんから電話がないか聞いてみるか…)
70:2014/12/14(日) 23:25:08.57 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(近所の人に会ったら気まずいからな…)

マスオ(人の少ない道を通って帰ろう…おや?)

マスオ(あれは…ワカメちゃん?)

マスオ(そうか…もう学校は終わっている時間なんだな…)

マスオ「おーい!ワカメちゃーん!」

ワカメ「…」
71:2014/12/14(日) 23:27:15.03 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ(あれ…聞こえなかったかな?)

マスオ「おーい!ワカメちゃ…」

ワカメ「…話かけないで」

マスオ「…えっ…?」
72:2014/12/14(日) 23:29:25.93 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「ワカメちゃん…どうしたんだい?」

ワカメ「…姉さん、怒ってるわよ。じゃあ」

マスオ「ワッワカメちゃん!?」

マスオ「サザエが怒ってるって…そんな…」
73:2014/12/14(日) 23:32:12.02 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「…た…ただいま…」

サザエ「…あなた。ちょっとこっちへ来て」

マスオ「ええと…何かあったのかい…?」

サザエ「いいから!!」

マスオ「いっ痛いよサザエぇ!!耳は!!耳を引っぱるのはぁ!!!」
74:2014/12/14(日) 23:32:43.50 ID:qsAkm1+la.net
クズいな
75:2014/12/14(日) 23:36:19.74 ID:zmF9U1dA0.net
サザエ「どうしてよ…なんで…なんで…黙っておかなかったのよ…!!」

マスオ「それは…家族だし…」

サザエ「あの子はまだ子供なのよ!!話していいことと悪いことの区別もつかないの」

サザエ「あなた…そんなこともわからないの!?」

サザエ「…あなたがリストラされたってことは…もう近所中に…知れ渡ってる…」
76:2014/12/14(日) 23:39:18.25 ID:zmF9U1dA0.net
サザエ「あなた、タラちゃんに話したのね」

マスオ「…サザエ…それは…」

サザエ「…あの子…近所中に言いふらしてるのよ…」

サザエ「パパは…お仕事出来ないって…」

サザエ「新しいお仕事探してるって…!!」
77:2014/12/14(日) 23:40:50.25 ID:c3l1bwNqd.net
あちゃー
78:2014/12/14(日) 23:43:26.53 ID:zmF9U1dA0.net
サザエ「明日から…近所中の…いい話のタネよ…」

マスオ「でも…この近所の人は優しいから…こんなことで…」

サザエ「ええ、そうよ…優しいわよ…」

サザエ「優しいから…表立っては言わないわよ…」

サザエ「代わりに…皆裏では…なんていってるか…」

マスオ「サザエ…それは…」

サザエ「考えすぎだって思ってるんでしょう!?」
80:2014/12/14(日) 23:47:29.29 ID:zmF9U1dA0.net
サザエ「あなたは…わからないわよ…」

サザエ「近所付き合いだって…したことないものね」

サザエ「ニコニコ笑顔で話していれば…済むものでもないのよ…」

サザエ「笑顔の裏に…どんな感情が隠されているか…」

マスオ「サザエ…サザエ…」


カツオ「姉さんの馬鹿っ!!」
82:2014/12/14(日) 23:51:25.44 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「カッカツオくん!?」

サザエ「カツオ…あんた!!」

カツオ「姉さんは…姉さんは結局…自分のことばかりじゃないか!!」

カツオ「仕事を失って傷ついてるのは…マスオ兄さんだろう!!」

カツオ「なのに…優しくしたのは最初だけで…」

カツオ「結局姉さんは…マスオ兄さんのことを…家族だなんて思っていないんじゃないか!」
83:2014/12/14(日) 23:55:56.28 ID:zmF9U1dA0.net
カツオ「…ねえ…姉さんは…」

カツオ「マスオ兄さんが好きで結婚したんだろう?」

カツオ「だったら…こんなときこそ…支えあってよ…」

カツオ「僕…もし…将来結婚したら…」

カツオ「二人みたいに仲のいい夫婦になるんだって…」

カツオ「二人のこと…羨ましいなって…憧れるなって…」

カツオ「そう思ってたのに…」

マスオ「カツオくん…君ってひとは!!」

サザエ「…愛…?」
84:2014/12/14(日) 23:56:33.67 ID:c3l1bwNqd.net
カツオいいやつ
85:2014/12/14(日) 23:58:59.58 ID:zmF9U1dA0.net
マスオ「サザエ…?」

サザエ「…そうね…もしかしたら…」

サザエ「私は…あなたのこと…愛していなかったのかもしれない」

マスオ「…サザエ…?何を言ってるんだい?」

カツオ「姉さん…?」
87:2014/12/15(月) 00:04:42.32 ID:7DFOqZI30.net
サザエ「私が…あなたと結婚したのは…」

サザエ「あなたとなら…幸せな結婚が出来ると思って…」

サザエ「親にも…親戚にも…近所の人たちにも…」

サザエ「祝福されて…なんの問題も…後ろめたいこともなく結婚できるから…」

サザエ「マスオさん…私は…私は…」

マスオ「サザエ…もういい…もういいよ…サザエ…」

カツオ「姉さん…やめてよ…姉さん!!」
89:2014/12/15(月) 00:09:27.66 ID:7DFOqZI30.net
サザエ「マスオさん…私は…あなたを…愛してない…愛したことが…な…」

フネ「サザエっ!!」

サザエ・マスオ・カツオ「!!!」

サザエ「かあ…さん…」

フネ「サザエ。ちょっとこっちへいらっしゃい」

サザエ「母さん…私…」

フネ「カツオとマスオさんは部屋に入ってなさい」

カツオ「母さん!僕はっ!!」

フネ「静かにしなさい」
90:2014/12/15(月) 00:12:17.31 ID:7DFOqZI30.net
カツオ「…」

フネ「あなたの話は後でちゃんと聞くから。ね?」

フネ「マスオさん」

マスオ「はっはいぃぃぃ!!」

フネ「カツオのこと、お願いしますよ」

マスオ「…わかりました」

マスオ「さっ、カツオくん」

カツオ「…はい」
91:2014/12/15(月) 00:15:14.21 ID:7DFOqZI30.net
カツオ「…マスオ兄さん」

マスオ「なんだい?カツオくん」

カツオ「…ごめんなさい…」

マスオ「…どうして君が謝るんだい?」

カツオ「だって…僕…」

マスオ「カツオくん。…ありがとう」

カツオ「…えっ!?」
92:2014/12/15(月) 00:18:24.12 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「思えば…僕とサザエは、今まで喧嘩一つしたことがなかった」

マスオ「お互いに感情をぶつけ合うということが…なかったんだ」

カツオ「…いいことじゃないの?」

マスオ「そうだね…悪いことではないのかもしれない」

マスオ「でも、決して良いことでもない」

カツオ「…よくわからないよ…マスオ兄さん…」
94:2014/12/15(月) 00:22:28.48 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「カツオくん。君はよくサザエと、喧嘩したり追いかけっこをしてるよね」

カツオ「…うん」

マスオ「僕は…そんな君たちを羨ましく思うことがあった」

マスオ「気持ちをぶつけて…喧嘩して…仲直りをして…」

マスオ「何て言えばいいのかわからないけれど…」

マスオ「君たちは家族なんだなって、そう思ったんだ」

カツオ「マスオ兄さん…」
96:2014/12/15(月) 00:27:54.06 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「僕は昔から…人に遠慮することが多くてね…」

マスオ「人に正直な気持ちを伝えることが苦手だった」

マスオ「相手に合わせることが多いから、目に見える敵をつくることはなかったけど」

マスオ「はっきりと主張しない僕を疎ましく思った人もいたかもしれない」

マスオ「多分これが…今回のリストラの原因にもなったのかもしれないね」

カツオ「マスオ兄さん…」
97:2014/12/15(月) 00:33:13.45 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「誰にでもいい顔するのが…必ずしも良い結果をもたらすとは限らないみたいだ」

カツオ「マスオ兄さん…でも僕は…」

カツオ「マスオ兄さんのそういうところ…好きだよ」

カツオ「優しくて…色んな人を受け入れられるような…」

マスオ「カツオくん…」

カツオ「だから…そんなにさ、自分を悪く言わないでよ…」

マスオ「カツオくん…君は本当に…優しい子だね」

カツオ「そんなの…ま、僕はマスオ兄さんの弟だからねっ!!」
99:2014/12/15(月) 00:39:44.55 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「ははは!カツオくんは本当に調子がいいなぁ!!」

カツオ「ははは!マスオ兄さんも、たまには僕を見習って、姉さんと取っ組み合いでもしたほうがいいんじゃない?」

マスオ「う~ん、サザエは強そうだなぁ」

カツオ「強いよ~姉さんは!町内相撲大会の伝説の横綱だからね!!」

マスオ「びゃあ゛ぁ゛゛ぁすごいぃ゛ぃぃ゛!!」


ワカメ「…あのう…マスオ兄さん…」
100:2014/12/15(月) 00:42:16.85 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「おや?ワカメちゃん。おかえりなさい」

カツオ「ワカメー!どこ行ってたんだ?」

ワカメ「…マスオ兄さん…そのう…」

マスオ「どうしたんだい?ワカメちゃん?」
102:2014/12/15(月) 00:48:27.81 ID:7DFOqZI30.net
ワカメ「さっきは…ごめんなさい…」

マスオ「ワカメちゃん…」

ワカメ「その…お姉ちゃんが怒っていたから…私も…つい…」

カツオ「ワカメ!!マスオ兄さんになにを言ったんだよ!!」

マスオ「カツオくん!!」

カツオ「マスオ兄さん…でも…」

マスオ「いいんだよ。ワカメちゃん。びっくりさせて…すまないね…」

ワカメ「マスオ兄さん…私…私…」
104:2014/12/15(月) 00:55:04.12 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「大丈夫だよ。ワカメちゃん」

マスオ「さっ、居間へ行こうか!」

マスオ「お義父さんもそろそろ帰ってくるところだし、今日は僕らで夕飯を作ろう!!」

カツオ「ええ~っ!!僕、料理なんてできないよ~」

マスオ「練習すればすぐ出来るようになるさ!」

ワカメ「そうよお兄ちゃん~!最近は男の人でも料理が出来ないと結婚できないのよ~」

カツオ「なんだよ~ちぇっ!!まあ、いいや。たまにはこういうのもいいかもね」

マスオ「よ~し!そうと決まれば台所へレッツゴーだ!」
106:2014/12/15(月) 00:59:40.09 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「さて、そうは言っても…」

マスオ「今から作るとなると…時間がかかるものは作れないしなぁ」

カツオ「マスオ兄さん!見てよこれ!!」

マスオ「おっ!お肉じゃないか!!」

ワカメ「割り下もあるわ~!」

マスオ「今日はすき焼きの予定だったのかな?よ~し!!」

マスオ「これなら材料を切るだけだね!手分けして切ろう!!」

カツオ・ワカメ「おーっ!!」
107:2014/12/15(月) 01:02:46.58 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「ふぅ…何とか形になったかな」

ワカメ「わーい!美味しそう!!」

カツオ「この一番大きく切ってある肉は僕のだからね!!」

ワカメ「お兄ちゃんずる~い!!」

マスオ「ははははは!カツオくんは本当に食いしん坊だなぁ」


フネ「あらあらまあまあ」
109:2014/12/15(月) 01:05:59.39 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「あっ!お義母さん!」

マスオ「すみません…台所を勝手に借りてしまって…」

フネ「あら、いいのよ。助かったわ」

マスオ「ありがとうございます…あの、サザエは…?」

サザエ「マスオさん…」

マスオ「サザエっ!そのっ!僕は!」


波平「今帰ったぞー」
111:2014/12/15(月) 01:09:13.76 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「あっ、お義父さん…」

フネ「まあまあ。お話は後にして、夕飯を頂きましょう。皆が作ってくれたすき焼き、とても美味しそうだわ」

波平「…なんだ…マスオ君が作ったのか…」

マスオ「…はい」

波平「男が料理とはな…」

マスオ「…」

フネ「あなた?」

波平「ああ…うむ…」
112:2014/12/15(月) 01:15:07.77 ID:7DFOqZI30.net
カツオ「よーし!食べるぞ~!!いっただっきま~す!!」

ワカメ「あらぁ?そういえばタラちゃんは?」

マスオ「そういえば…姿がみえないな…」

サザエ「そんな…まさか…事故にでも…!」

フネ「落ち着きなさいサザエ」

サザエ「でも…っ」


タラオ「ただいまでーす」
113:2014/12/15(月) 01:19:12.64 ID:7DFOqZI30.net
フネ「ほら、帰ってきたじゃないか」

サザエ「タラちゃん!どこ行ってたの」

サザエ「…あら」

ノリスケ「いや~お久しぶりです!」

サザエ「ノリスケさん…」

ノリスケ「伊佐坂先生のところへ原稿を取りにいったら」

ノリスケ「偶然タラちゃんも先生のお家に遊びにきてましてね」

タラオ「偶然ですぅ」

ノリスケ「帰るついでに送りにきたんですよ」
117:2014/12/15(月) 01:23:45.44 ID:7DFOqZI3012345.net
サザエ「あら…それはどうも…」

ノリスケ「いや~いいんですよ!それにしても今夜は…すき焼きですか」

サザエ「ええ…まあ…」

ノリスケ「いいな~この季節のすき焼きって美味しんですよねぇ」

タラオ「ノリスケおじさんも一緒に食べるですぅ」

サザエ「!!タラちゃん!」

ノリスケ「いや~それは悪いですよ」

タラオ「みんなで食べるとおいしいです~」

ノリスケ「そうかい?いや~タラちゃんに誘われると断りきれないなぁ」
118:2014/12/15(月) 01:27:38.41 ID:7DFOqZI30.net
ノリスケ「いや~おじゃまします」

マスオ「ノッノリスケ君!」

ノリスケ「お久しぶりです。マスオさん…おや?エプロンですか」

ノリスケ「仕事も出来て料理もこなすとは…いや~さすがですね」

マスオ「ああ…はは…そんなことないよ」

波平「う~おっほん!!」

ノリスケ「あっ!おじさん!お久しぶりです」
120:2014/12/15(月) 01:32:23.82 ID:7DFOqZI30.net
ノリスケ「いや~それにしても美味しいですねこのお肉」

ノリスケ「最近ウチの会社も景気が悪くなっちゃって」

ノリスケ「こんないい肉買えないですよ」

カツオ「ノリスケおじさん!このネギすごく美味しいよ」

ノリスケ「ごめん。ネギは苦手なんだ」
122:2014/12/15(月) 01:38:30.75 ID:7DFOqZI30.net
ノリスケ「いや~ビールが美味しいなぁ!!…あれ?」

ノリスケ「マスオさんは飲まないんですか?」

マスオ「ああ、僕はいいんだ」

ノリスケ「どうしたんです?遠慮深いな~。…あっ!もしかして…」

ノリスケ「失業しちゃって肩身が狭くて酒も喉を通らないとか!?ははは!な~んちゃって!!」

ノリスケ「な~んちゃって!!…あれ?」

タラオ「パパ、お仕事できないですぅ」

カツオ「…タラちゃん…」

波平「ノリスケ。お前は出入り禁止だ」
123:2014/12/15(月) 01:40:38.72 ID:vE25idft0.net
ノリスケわざとだろ
125:2014/12/15(月) 01:43:54.26 ID:7DFOqZI30.net
ノリスケ「すいません…こんな時に上がり込んじゃって…」

マスオ「気にすることはないさ。はは…いつものことじゃないか」

ノリスケ「いやーそれにしても、あんまり気を落とさないほうがいいですよ」

ノリスケ「人生山あり谷あり!落ちるとこまで落ちれば怖いものなんてなくなりますよ!ははは!!」

マスオ「ははは!そうだね」

マスオ(ノリスケ君が言うと腹が立つな…)

ノリスケ「じゃあ求職活動頑張ってください!それじゃ!!」

マスオ「ああ、おやすみ」
127:2014/12/15(月) 01:47:54.73 ID:7DFOqZI30.net
マスオ(さて、ノリスケは帰ったし)

マスオ「サザエ…いるかい?」

サザエ「マスオさん…」

マスオ「タラちゃんは?」

サザエ「今晩は父さんと母さんのところで寝かせてもらうわ」

マスオ「そうかい…なあ、サザエ」
128:2014/12/15(月) 01:52:00.41 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「不甲斐ない夫で…本当にすまない」

サザエ「…あなた…」

マスオ「今回のリストラも、社内で上手く渡り切れなかった…」

マスオ「僕の意気地のなさが…優柔不断さが…原因になったんだ」

マスオ「この性格のせいで…君たちに…君たち家族に本当に迷惑をかけてしまったね」
129:2014/12/15(月) 01:54:27.59 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「もし…君が望むなら…僕は…」

サザエ「だめっ!!」

マスオ「サザエ…?」

サザエ「マスオさん…あなたは…どうしたいの?」

サザエ「私がどう望かじゃなくて…あなたの…気持は?」
131:2014/12/15(月) 01:58:14.15 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「サザエ…」

サザエ「私は…あなたの気持が…本当の気持ちが聞きたいの…」

マスオ「僕の…僕の気持は…」

マスオ「僕は…君ともう一度…やり直したい」

サザエ「マスオさん…」
133:2014/12/15(月) 02:01:14.52 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「頼りなく思うかもしれないけど…僕は君と夫婦でいたい」

マスオ「今度は…ちゃんと君たちと家族になりたいんだ」

サザエ「…」

マスオ「サザエ…どうしたんだい?」

サザエ「あなたって…どうしていつもそうなのよ…」
134:2014/12/15(月) 02:04:52.59 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「サザエ?」

サザエ「いつも…自分からあやまって…」

サザエ「人の良いことばかり言って…」

サザエ「私は…あなたに謝られるたびに…苦しかった」

サザエ「謝られたら…そこで終わりじゃない…」

サザエ「反論もできない。喧嘩もできない。…本当に言いたいことも言えない…」
135:2014/12/15(月) 02:08:58.95 ID:7DFOqZI30.net
サザエ「あなたの前で一人で感情を爆発させていると…自分が馬鹿みたいだった…」

サザエ「私は…いつも仲良しじゃなくてもいいから…」

サザエ「喧嘩して、仲直りして、なんでも言い合える…そんな仲になりたかった」

マスオ「ごめん…サザエ…ごめん」

サザエ「違うの…最後まで聞いてちょうだい…」

サザエ「さっき、母さんと話したの」
136:2014/12/15(月) 02:11:12.26 ID:7DFOqZI30.net
―数時間前―

フネ「少し落ち着いたかい?サザエ?」

サザエ「うん、ありがと。母さん」

サザエ「…ねえ、母さん」

フネ「なんだい?」

サザエ「母さんは…父さんのこと、愛してる?」
137:2014/12/15(月) 02:16:00.74 ID:7DFOqZI30.net
フネ「そうだねぇ…昔みたいに愛してるかっていわれたら、嘘になるね」

サザエ「…そう」

フネ「でもね、サザエ」

フネ「純粋な愛情だけを求めていては、夫婦は成り立たないんだよ」

サザエ「…」

フネ「母さんもね、お父さんのことが嫌になった時期があったのよ」

フネ「お前がまだ小さい頃だったけどね」

フネ「お父さん、会社でトラブルを起こしてね、やめるやめないの大騒ぎになったの」

サザエ「父さんが?」
138:2014/12/15(月) 02:21:06.29 ID:7DFOqZI30.net
フネ「今も頑固だけど、あの頃はその頑固さに若さゆえの意地が上乗せされてねぇ」

フネ「母さん、やめるかもって話を聞いた途端、実家に帰っちゃったの」

サザエ「母さんが…?」

フネ「ええ。この人は私を守ってくれないって思った途端、何もかも嫌になってねぇ」

サザエ「それで…どうしたの?」

フネ「実家のお母さんに説教されて、とんぼ返り」

サザエ「おばあちゃん…なんて?」
139:2014/12/15(月) 02:25:44.32 ID:7DFOqZI30.net
フネ「ちゃんと夫婦になりなさいって」

サザエ「夫婦に…なる…?」

フネ「そう。変な感じでしょう?結婚したんだから、とっくに夫婦なのにって」

フネ「でもね、それは違ったのよ」

フネ「お互いが努力して、色々なことをすり合わせていかないと、夫婦になれないのよ」

フネ「その為には自分から何かを捨てなきゃいけないかもしれない」

フネ「でも、捨てた後にはまた何かが手に入るのよ」
140:2014/12/15(月) 02:29:37.61 ID:7DFOqZI30.net
フネ「わかるかい?」

サザエ「難しいわ…」

フネ「そうだね。すぐには理解できないかもしれないねえ…」

フネ「それで…サザエはどうするんだい?」

サザエ「…ちゃんと…マスオさんと話して…謝りたい…」

サザエ「私…今まで自分のことばかりで…」

サザエ「今回も…マスオさんが一番辛いはずなのに…」

サザエ「あの人の優しさに…強さを甘えて…勝手なことばかり言って…」
141:2014/12/15(月) 02:32:49.68 ID:7DFOqZI30.net
サザエ「母さん…私、あの人と…夫婦になりたい…ちゃんと…家族になりたい…」

フネ「そう…そうだね。あなたたちならきっと…大丈夫だよ…」

フネ「おや…いい匂いがしてきたね」

フネ「さっ、サザエ、夕飯の支度、手伝いましょう」

サザエ「はい、母さん」
142:2014/12/15(月) 02:33:02.21 ID:AxtLulTK0.net
イイハナシダナー
144:2014/12/15(月) 02:37:43.01 ID:7DFOqZI30.net
サザエ「マスオさん…本当にごめんなさい…」

マスオ「サザエ…」

サザエ「私、あなたに甘えさせてもらっていることにも気がつかなかった」

サザエ「本当に…子供だったんだと思うわ」

サザエ「一時の感情に流されて…人のことを考えられない…」

サザエ「こんなんじゃ…奥さんになんてなれない…誰かを支えることなんて…できない…」

サザエ「マスオさん…私も、あなたと家族になりたい」

サザエ「ちゃんと…あなたが何でも言えるような…そんな相手に…なりたい…」
146:2014/12/15(月) 02:43:05.06 ID:7DFOqZI30.net
マスオ「…サザエ…もう、顔をあげておくれよ」

サザエ「マスオさん…」

マスオ「ありがとう、サザエ…本当に…うれしいよ…」

サザエ「お礼を言うのは…私のほうよ…マスオさん」

マスオ「まだ…仕事も決まらないし…話し合うこともたくさんあるけど」

サザエ「少しずつ歩み寄って、すり合わせて…」

マスオ「僕たち…家族に…なろう…」

サザエ「マスオさんっ!!」

マスオ「サザエ…愛してるよっ!!」


~ お し ま い ~
147:2014/12/15(月) 02:43:33.20 ID:/kPr5HwFa.net
働けよ
150:2014/12/15(月) 03:06:29.25 ID:J9mKgi8xa.net
イイハナシダナー
152:2014/12/15(月) 03:14:07.48 ID:wxxLp4ij0.net
感動したし面白かった、乙!
159:2014/12/15(月) 04:23:28.14 ID:H17xVMoa0.net
ノリスケとかいうゴミ
160:2014/12/15(月) 04:32:28.02 ID:DARCHgB+0.net
フネさんの話にグッときた
158:2014/12/15(月) 03:55:25.95 ID:q4B9vBIW0.net
このSSのカツオ、かっこよすぎだろww
マスオ「僕が会社クビに…」
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1418553872