1:2018/01/22(月) 01:49:13.930
空手家「なんだと!?」

剣道家「やるか?」

空手家「今日という今日は我慢ならねえ、決着つけてやる! 勝負だ!」

剣道家「いいだろう」

空手家(こいつは剣道初段だが、俺は空手二段! ……絶対勝てる!)

剣道家「ところで――」

空手家「?」

剣道家「剣道三倍段って知ってるか?」



4:2018/01/22(月) 01:51:04.829 ID:ubGogJWOr.net
知らぬ!
6:2018/01/22(月) 01:51:51.530 ID:+m1LGhQC0.net
剣道家は他武術の3倍の段位を持ってないと素手じゃ太刀打ち出来ないって意味だぞ
7:2018/01/22(月) 01:52:31.370
空手家「なんだそりゃ?」

剣道家「剣道は武器があるから、空手や柔道のような素手で戦う武道が剣道と互角に戦うには」

剣道家「剣道の三倍の段位が必要という意味だ」

空手家「な、なんだと……!?」

剣道家「私は剣道初段、君は空手二段……段位は二倍しかない」

空手家「う!」

剣道家「つまり君では私には勝てないというわけだ」

空手家「そんな……!」

空手家(このままじゃまずい……どうしよう!?)
9:2018/01/22(月) 01:53:23.640 ID:Hxcuixn9d.net
初段を何倍しても初段じゃね
13:2018/01/22(月) 01:55:14.643
剣道家「さぁ、始めようか。私が絶対に勝つ戦いをね」サッ

空手家「ちょっと待った!」

剣道家「?」

空手家「試合前に電話をさせてくれ!」

剣道家「まぁ、いいだろう」

空手家「あのー……もしもし」

剣道家(なんだ? 誰に電話をかけてるんだ?)
15:2018/01/22(月) 01:58:17.729
空手家「空手連盟ですか? あの、今すぐ俺の段位を上げて欲しいんですけど」

空手家「あっ、本当ですか!? ありがとうございます!」

空手家「じゃあ今から俺は四段ということで! はい……はい、ありがとうございます!」

剣道家「え!?」

空手家「待たせたな……」

空手家「たった今、俺は空手四段になった」

剣道家「なんだとォォォォォ!?」
17:2018/01/22(月) 01:59:05.500 ID:ubGogJWOr.net
天才じゃったか!
19:2018/01/22(月) 02:01:06.960
剣道家「ちょ、ちょっと待て! そんなのアリかよ!」

空手家「アリもなにも、空手界のお偉いさんが認めてくれたんだからアリだよ」

空手家「これで俺の段位はお前の三倍以上になったわけだ……始めようぜ」サッ

剣道家(ま、まずい……かくなる上は!)

剣道家「ちょっと待った。私も試合前に電話させてくれ」

空手家「ふん、いいだろう。遺言を残しておくんだな」
23:2018/01/22(月) 02:03:21.424
剣道家「あのー、剣道連盟の方ですか?」

剣道家「大変申し訳ないんですけど、私の段位を二段にして頂けないでしょうか?」

剣道家「あ、大丈夫? はい、ありがとうございます!」

空手家(こいつ、まさか!?)

剣道家「待たせたな……私は剣道二段になった」

空手家「なんだってェェェェェ!?」
27:2018/01/22(月) 02:05:54.614
空手家「ふざけんな! 俺のマネしやがって! そんなの認めねえぞ!」

剣道家「君に認めてもらわなくても、誰がなんといおうと、今の私は剣道二段だ」

剣道家「つまり、空手四段の君では勝ち目はない……!」

空手家「く、くそっ……」

空手家「こうなったら……もう一回電話だ!」
28:2018/01/22(月) 02:08:36.053
空手家「空手連盟ですか? たびたびすみません」

空手家「はい、俺の段位を七段にして欲しいんですが……できます?」

剣道家「え」

空手家「あ、できる? じゃあお願いします! ありがとうございます!」

剣道家「ちょっ……」

空手家「ふふふ、これで俺は空手七段になった。剣道二段なんざ怖くねえ!」

剣道家「ぐ、ぐぐっ……!」
29:2018/01/22(月) 02:09:06.659 ID:ubGogJWOr.net
ガバガバ段位
31:2018/01/22(月) 02:11:03.468
剣道家「だったら私も!」

剣道家「剣道連盟ですか? 私を今すぐ剣道三段にして下さい!」

剣道家「そこをなんとか……はい、はい……ありがとうございます! このお礼は後日!」

空手家「ま、まさか……!?」

剣道家「そのまさかだ。剣道三段にしてもらった!」

空手家「やられたッ!」
32:2018/01/22(月) 02:14:20.458
空手家「だったらもう一回電話だ!」

空手家「空手連盟さん! 俺を空手十段にして下さい!」

剣道家(十段といったら、最高位のはず……できるわけが……)

空手家「できる? ……ありがとうございます!」

剣道家「ウソォ!?」

空手家「さぁ、どうだ! これで剣道三段にも勝てる!」

剣道家「往生際の悪い奴め……だったらこっちも……!」
34:2018/01/22(月) 02:16:26.359
剣道家「どうだ! 剣道四段にしてもらったぞ!」

空手家「だったら……!」

空手家「お願いします! 空手十三段にして下さい!」

剣道家「十三段なんて段位はない! できるわけ――」

空手家「できる!? やったぁ! じゃあお願いします!」

剣道家「ちょっとォォォォォ!」

空手家「これで勝てる!」

剣道家「くそっ……かくなる上は……!」
33:2018/01/22(月) 02:15:41.477 ID:MbewLFcor.net
どこまでいくんや
36:2018/01/22(月) 02:20:13.300
剣道家「剣道五段!」

空手家「空手十六段!」

剣道家「剣道六段!」

空手家「空手十九段!」

剣道家「剣道七段!」

空手家「空手二十二段!」

剣道家「剣道八段!」

空手家「空手二十五段!」





空手師範「何やってんだ、あのバカどもは……段だけ上げても意味ないだろうに」

剣道師範「放っておきましょう。そのうち飽きますよ」
38:2018/01/22(月) 02:23:10.877
……

……

空手家「ハァ、ハァ、ハァ……」

剣道家「ハァ、ハァ、ハァ……」

空手家「あのさ……もうやめようか」

剣道家「そうだな……」
39:2018/01/22(月) 02:26:39.972
空手家「段位を上げまくってるうちに、だんだんと争うことの空しさに気づいたよ」

剣道家「私もだ……」

空手家「なにせ武道とは、敵を倒すためでなく己に打ち勝つためのものだからな!」

剣道家「その通り、もうこんな下らない争いはやめよう!」





空手師範「ほう……あの二人、だいぶ成長したようだな」

剣道師範「地位が人を成長させることもあるといいますし、段位が上がったことで」

剣道師範「あの二人も相応に成長したのではないでしょうか」

空手師範「なるほど……あながち無意味でもなかったのか」
40:2018/01/22(月) 02:28:04.664 ID:UtJTAKFrr.net
一皮むけたな
42:2018/01/22(月) 02:30:07.851
それからしばらくして――


キイイイイン……

ゴゴゴゴゴ……

ズウン……



「なんだ?」 「宇宙から巨大な飛行物体が降りてきた!」 「まさか、宇宙人か!?」
43:2018/01/22(月) 02:33:19.424
ウイーン……

宇宙人「ほっほっほ、地球の皆さん、こんにちは」

宇宙人「これが地球ですか……なかなかの星ですねえ」

宇宙人「さっそくですが、この地球は私の植民地とさせていただきます」

宇宙人「悪く思わないで下さいね」



ザワザワ……

「ふざけるなっ!」 「誰がお前なんかに従うか!」 「宇宙人を追い払うんだ!」

オーッ!!!
44:2018/01/22(月) 02:36:44.604
しかし――

「強い、強すぎる……!」 「核ミサイルも効かないなんて……!」 「地球は終わりだ……」



宇宙人「ほっほっほ……この程度ですか」

宇宙人「宇宙拳法を極めた私に、あなたがたのチャチな兵器など通用しませんよ」

宇宙人「ちなみに私の宇宙拳法の段位は……530000段です」

宇宙人「この段位になると、拳だけで星を破壊することも可能なのですよ」

宇宙人「おーっほっほっほっほ!」

宇宙人「さぁ、地球人たちよ! 私にひれ伏すのです!」
45:2018/01/22(月) 02:40:18.635
空手家「ちょっと待った」ザッ

剣道家「真打ちとして、我々が相手をしよう」ザッ

宇宙人「なんですか、あなたがたは?」

空手家「俺は空手の使い手だ!」

剣道家「私は剣道の使い手だ」

宇宙人「あなたがたも武道を習っているのですか、面白い」

宇宙人「では、あなたがたの段位を、このスカウターで計ってみましょうか」ピピピ…
46:2018/01/22(月) 02:43:35.693
宇宙人「まず、そちらの竹刀を持った方の段位は……」ピピピ…

剣道家「……」

宇宙人「初段? ほっほっほ、この程度の実力で私に挑もうというのですか?」

剣道家「あいにく、それはまだ本気になってない時の段位だ」

宇宙人「なんですって?」

剣道家「いくぞ」ザッ

剣道家「はああああああああ……!」
47:2018/01/22(月) 02:46:42.892
剣道家「はあああああああああ……!」ゴゴゴゴゴ…

宇宙人「剣道初段……十段……100段……な、どんどん上がっていく!?」

宇宙人「500……1000……3000……5000……10000……50000……!」

剣道家「はああああああああああああああああ……!」シュインシュインシュイン

宇宙人「10万……50万……100万……200万……!」

剣道家「はあああああ……!!!」シュゥゥゥゥゥ…

宇宙人「バ、バカな……剣道300万段ですってぇ!?」
48:2018/01/22(月) 02:47:48.201 ID:TsTFllqVr.net
バカすぎるww
49:2018/01/22(月) 02:49:36.658
空手家「次は俺だ」ザッ

宇宙人(まさか、こいつも段位を上げられるなんてことは……)

空手家「はあああああああああ……!」ゴゴゴゴゴ…

宇宙人「こいつもどんどん上がっていく……信じられん!」

空手家「ああああああああああああ……!」シュインシュインシュイン

宇宙人「500万……600万……700万……」

宇宙人「空手900万段!? 剣道家のちょうど三倍だ!」

空手家「ふぅ……」シュゥゥゥゥゥ…
50:2018/01/22(月) 02:53:06.349
剣道家「いっとくがこんなのは序の口だ」

宇宙人「!?」

空手家「俺たちが瞬間的に高められる段位はまだまだこんなもんじゃない」

宇宙人「な、なんですって!?」

宇宙人(こいつら……段位を自由自在にコントロールできるというのか……!)

剣道家「さぁ、どうする?」

空手家「宇宙拳法530000段のお前じゃ、勝ち目は限りなく薄そうだが……」

宇宙人「うぐぐぐ……!」
51:2018/01/22(月) 02:55:19.934
宇宙人「ふざけやがって! こんなものはスカウターの故障だ!」グシャッ

宇宙人「宇宙拳法530000段の実力、思い知らせてくれる!」ボウッ!!!

宇宙人「きええええええええっ!!!」バシュッ



剣道家「やれやれ、仕方ない」

空手家「相手になってやるよ」
52:2018/01/22(月) 02:58:06.800 ID:HUtclG+w0.net
段位ってなんだっけ……
53:2018/01/22(月) 02:58:11.419
剣道家「次元斬り!」

ザンッ!

宇宙人「うわっ!? 空間に亀裂が……!」

剣道家「剣道300万段ともなると、竹刀で次元を切り裂くことも可能なんだ」

宇宙人「次元を……!?」

剣道家「もし今のを当てていたら、お前の命は異次元の彼方に消え去っていた」

宇宙人「ぐ、ぐ、ぐ……!」
54:2018/01/22(月) 03:01:40.476 ID:cBjywLSUa.net
竹刀とは一体
55:2018/01/22(月) 03:02:09.337
空手家「はぁっ!!!」

ボッ!

宇宙人「ひっ!」

宇宙人(今の正拳突き、寸止めだというのになんという迫力……)

空手家「空手900万段以上の俺が本気で突いたら、小規模のビッグバンを起こすことも可能だろう」

宇宙人「あ、あ、あ……」

宇宙人(文字通り、次元が違いすぎる……!)
57:2018/01/22(月) 03:05:08.302
空手家「俺たちは武道家だ。無益な殺生は好まない」

剣道家「このまま自分の星に帰り、今までの罪を悔いるなら見逃してやろう……」

宇宙人「……!」

宇宙人「申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁっ!!!」

ビューンッ!!!



空手家「終わったな……」

剣道家「ああ、これで悔い改めてくれることだろう」
59:2018/01/22(月) 03:08:39.917
空手家「段位を上げたら、それに引きずられて俺たちの実力もここまで伸びてるとはな」

剣道家「もし我々の段位が初段と二段のままだったら、地球はあの宇宙人に支配されていただろう」

空手家「あの時、二人で段位を上げられるだけ上げておいてよかったな!」

剣道家「まったくだ」

剣道家「では帰りに、ビールを一杯飲んで帰るか」

空手家「いいねえ! お前が一杯なら、俺は三杯飲まないとな!」







~ END ~
62:2018/01/22(月) 03:11:46.551 ID:TsTFllqVr.net

武の道は険しい
63:2018/01/22(月) 03:23:53.354 ID:pyZLtuZX0.net

武術とは即ち模倣から始まるのだ