1:2016/10/17(月) 21:15:05.544 ID:DIxsM+FR0.net
カプセルコーポレーション――

悟空「ブルマ、配達終わったぞ!」スタッ

ブルマ「孫君が週に何度か働きに来てくれるようになって助かるわ~」

悟空「あまり難しい仕事はできねえけど、力仕事や配達ならオラ得意だからな」

悟空「それに仕事が終わったら、ベジータと修行できるしな!」

ベジータ「ふん……今日こそ貴様を地面にはいつくばらせてやるぞ、カカロット!」
6:2016/10/17(月) 21:18:16.247 ID:DIxsM+FR0.net
重力室――

ドカッ! ガガガッ! バキッ! ドゴッ! バキィッ!

悟空「やるなぁ、ベジータ!」

ベジータ「貴様こそな」

悟空「ところでおめえ……」

ベジータ「なんだ?」

悟空「ずいぶん気が大きくなった……というか、気が研ぎ澄まされてねえか?」

ベジータ「ほう、分かるのか」

悟空「ああ、こないだまでとは別人みてえだ」
8:2016/10/17(月) 21:21:25.032 ID:DIxsM+FR0.net
ベジータ「それはおそらく……あれのおかげだろうな」

悟空「あれってなんだ?」

ベジータ「……まあ貴様に教えないのはフェアじゃないしな。教えてやろう」

ベジータ「オレの気が研ぎ澄まされたのはおそらく――」

ベジータ「ビジネスホテルのおかげだ」

悟空「ビジネスホテル?」
9:2016/10/17(月) 21:24:32.125 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「なんだ? ビジネスホテルって」

ベジータ「ビジネスマン用のホテルのことだ」

ベジータ「オレはこの間、ビジネスホテルに一泊してな」

ベジータ「そこで一人の男として、一皮むけることができた」

ベジータ「オレの気が研ぎ澄まされたというのは、おそらくそれが原因だろう」

悟空「へえ~、そんなホテルがあるのか」
13:2016/10/17(月) 21:29:28.463 ID:DIxsM+FR0.net
ベジータ「カカロット、今日家族にはカプセルコーポレーションに泊まるといってあるだろう?」

悟空「ああ」

ベジータ「だったらビジネスホテルに泊まるといい」

悟空「え!? だけどオラ、ビジネスマンじゃねえぞ」

ベジータ「なあに、ビジネスホテルはビジネスマンでなくとも泊まることはできる」

ベジータ「5~6千ゼニーもあれば、一泊できるだろう」

悟空「でもよ、オラあまり余計な金使ったらチチに殺されちまうよ」

ベジータ「心配いらん」

ベジータ「出張ということにして領収書を切れば、カプセルコーポレーションから金が出る」

悟空「そうなのか!」
15:2016/10/17(月) 21:33:06.475 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「……」

ベジータ「どうする?」

悟空「決めた! オラ、ビジネスホテルっちゅうところに泊まってみる!」

ベジータ「さすがだ、カカロット」

ベジータ「じゃあ宿はオレが予約しておいてやるから、夜になったらそこへ向かうがいい」

悟空「サンキュー、ベジータ!」
18:2016/10/17(月) 21:35:46.763 ID:DIxsM+FR0.net
夜になり、西の都郊外にあるビジネスホテルにやってきた悟空。

悟空「へえ、ここがビジネスホテルってところか」

悟空「ブルマの家よりずっと小せえけど、こんなとこに泊まってホントになにか変わるのかな?」

悟空「ま、とにかく入ってみっか!」
20:2016/10/17(月) 21:39:22.800 ID:DIxsM+FR0.net
フロント「いらっしゃいませ」

悟空「オラ、今日予約してた孫悟空っちゅうもんだけど」

フロント「承っております」

フロント「本日から明朝までのご一泊、ということでよろしいですか?」

悟空「ああ、間違いねえ」

フロント「ではこちらに、お名前とご住所をお願いします」
23:2016/10/17(月) 21:44:23.735 ID:DIxsM+FR0.net
フロント「当ホテル前払い制となっておりますので、5千ゼニーいただきます」

悟空「これでいいか?」

フロント「ちょうどいただきます」

フロント「領収書の宛名は……いかがいたしますか?」

悟空「え、と……カプセルコーポレーションで」

フロント「かしこまりました」

悟空「……!」ドクンッ


悟空(な、なんだ今の感覚……!?)

悟空(今、会社名をいった瞬間、オラの中でなにかが弾けた!)

悟空(『オラはビジネスマンなんだ』って感じがした……!)

悟空(まるで……はじめてかめはめ波を撃った時みたいな感覚だった……!)
26:2016/10/17(月) 21:47:04.931 ID:DIxsM+FR0.net
フロント「ではこちらがカギとなります」チャラッ

フロント「当ホテル、オートロック式になっておりますので、外出する際は必ずお持ち下さい」

悟空「サンキュー! ところで“おーとろっく式”ってなんだ?」

フロント「ドアを閉じると自動的にカギがかかる仕組みのことです」

悟空「ひゃ~!」
28:2016/10/17(月) 21:50:07.953 ID:DIxsM+FR0.net
フロント「ではごゆっくりどうぞ」

悟空「サンキュー!」

悟空「部屋番号は……えぇっと、509号室だな」





悟空「509号室はここだな。よし入ってみっか!」ガチャッ
30:2016/10/17(月) 21:54:26.580 ID:DIxsM+FR0.net
509号室――

悟空「うわっ、狭苦しい部屋だな~!」

悟空「風呂場とトイレが一緒になってて、小さいベッドが一つあるだけだ」

悟空「でも……なんだろう、この感覚……」

悟空「オラ……オラ……」



悟空「オラ、ワクワクしてきたぞ!!!」
34:2016/10/17(月) 21:57:11.964 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「なんていうか、オラのサイヤ人……いや男の本能を刺激されるっちゅうか」

悟空「部屋はお世辞にも広いとはいえねえし、最低限の設備しかねえのに」

悟空「オラ、ワクワクが止まらねえぞ!」

悟空「これが……これがビジネスホテルっちゅうもんなんか!」
36:2016/10/17(月) 22:00:31.126 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「お、こんなところに大きい鏡がある……」

悟空「多分ビジネスマンが、自分の着こなしをチェックするための鏡なんだろうけど……」

悟空「オラ、服を脱ぐぞ!」バババッ

悟空「…………」スッポンポーン

悟空「なんでオラ、全裸になって自分の裸を鏡に映してるんだ!?」

悟空「ちょっとポージングしたりしてんだ!?」ムキッ

悟空「分かんねえ……分かんねえけど……オラこうしなくちゃ気が済まなかったんだ!」
38:2016/10/17(月) 22:00:54.564 ID:1RTNuqXta.net
気持ちは分かる
40:2016/10/17(月) 22:04:09.166 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「服を着て、と……」ササッ

悟空「部屋の中を色々見てみっか……」

悟空「ベッドの他には……お、テレビもあるんか! 液晶テレビってやつだ!」

悟空「あと引き出しの中には……これは聖書じゃねえか!」

悟空「どれどれ……」ペラペラ…

悟空「神様はいつも我々を見守っているのです……か」

悟空「今の時間だと、デンデは寝ちまってるんじゃねえかな」
42:2016/10/17(月) 22:08:22.465 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「あと水を沸かせるポットがあるな」

悟空「一人用のポットでかぁ~? ……へへ、ブロリーの物まね。似てねぇ~!」

悟空「なんかオラ、さっきから独りごとが止まらねえぞ。ワクワクしすぎてるせいかもしれねえ」

悟空「せっかくポットがあるんなら、水を沸かしてお茶でも飲むか……」


シュシュシュ…


悟空「お、沸いてきた、沸いてきた!」
45:2016/10/17(月) 22:11:44.922 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「うめぇ!」

悟空「ホテル備えつけのインスタントのお茶だってのに、やたらうめえぞ!」

悟空「このビジネスホテルっちゅう空間は、食い物の味を高めてくれる効果があるのかもしれねえな」

悟空「よーし、だったら近くのコンビニに買い出しに行くぞ!」

悟空「オートロック式だから、カギを忘れねえようにしねえとな!」チャラッ
48:2016/10/17(月) 22:15:52.345 ID:DIxsM+FR0.net
コンビニ――

悟空「事前に仙豆をかじっといてよかったぞ。でないと、コンビニのもん全部食っても足りねえもんな」

悟空「まず弁当……これだけじゃ足りねえか、カップうどんも買っておくか」

悟空「あとサラダも買っておこう」

悟空「どうせなら甘いものも欲しいな、菓子やゼリーも買おう」

悟空「冷たいお茶やビールも買おう。だったらおつまみも……」

悟空「漫画雑誌もちょっと読みたくなっちまったな」

悟空「それと……」
50:2016/10/17(月) 22:18:38.351 ID:DIxsM+FR0.net
店員「お会計、3,298ゼニーになります」

悟空「どっひゃーっ!」

悟空(あれもこれもと、ついつい買いすぎちまったぞ)

悟空(オラ、いつも買い物でこんなに張り切ることなんてねえのに、どうしてだろう?)

悟空(これもビジネスホテルの力っちゅうもんなんか!?)
56:2016/10/17(月) 22:22:01.106 ID:DIxsM+FR0.net
509号室――

悟空「さあって、メシ食いながらテレビでも見るか!」


テレビ『電話に誰も出んわ!』

テレビ『布団がふっとんだ!』


悟空「アッハッハッハッハ!」

悟空「普段のオラなら絶対笑わないようなギャグでも、ついつい笑っちまう!」

悟空「ビジネスホテルってすげえんだな……!」
58:2016/10/17(月) 22:25:04.360 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「さっきコンビニで買ったメシを食うとすっか」

ガツガツ ムシャムシャ…

悟空「うめぇ~!」

悟空「冷静に判断するとチチのメシより数段味は落ちるはずなのに、すげえうめえ!」

悟空「やっぱりビジネスホテルってのは食い物の味を高める場所なんだな!」

バクバク… モグモグ…
61:2016/10/17(月) 22:28:05.331 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「メシも食い終わっちまったし……ちょっとトレーニングすっか!」

悟空「トレーニングならさっきベジータとたっぷりやったのに」

悟空「なんでか知らねえけど、腕立て伏せをやりたくてたまんねえんだよな」

悟空「オラ以外のビジネスマンも、ビジネスホテルじゃトレーニングしたくなったりすんのかな」

悟空「よぉーし、腕立て伏せ一万回はじめ!」
62:2016/10/17(月) 22:31:40.805 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「……9998……9999……10000!」グッグッグッ…

悟空「ふう、終わった」ドサッ

悟空(大したトレーニングじゃねえけど、かなりの充実感があるな)

悟空(もしかしたら、ビジネスホテルは他の場所よりちょっと重力が大きいのかもしれねえ)

悟空「よーし、少し汗かいたし、風呂にでも入るとすっか!」
64:2016/10/17(月) 22:36:29.504 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「……」キュッキュッ

ジャァァァ…

悟空「つめてっ!」キュッキュッ

ジャァァァ…

悟空「あつっ!」

悟空「なんだこのシャワー、水温調節がすげえ難しいぞ! 冷たいのと熱いのを行ったり来たりだ!」

悟空「へへ、こりゃいい修行になんぞ……!」

ジャァァァ…
65:2016/10/17(月) 22:39:30.462 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「ふぅ、さっぱりしたぞ!」

悟空「棚にあるこのでけえタオルで拭けばいいのかな?」ゴシゴシ

悟空(ん? このタオル、あんまり拭き心地よくねえな」ゴシゴシ

悟空「あーっ! これはまさか、便器の前に敷く用のマットじゃねえのか!?」

悟空「へへ……オラ間違えちまった!」
69:2016/10/17(月) 22:43:14.577 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「プハーッ!」

悟空「ビールがうめえ!」

悟空「オラ、飲むより食う方が好きだから、酒なんてあまり飲まねえのに……」

悟空「ビジネスホテルで飲むビールはやたらうまく感じるぞ!」

悟空「350ml缶をあっという間に三本も空けちまったぞ!」
71:2016/10/17(月) 22:46:54.236 ID:DIxsM+FR0.net
テレビ『アッハ~ン、ウッフ~ン』

テレビ『なんだと!? この能力は……まさか!?』



悟空「深夜番組もおもしれえなぁ~。オラこんな時間まで起きてることなんてめったにねえしな」

悟空「アニメもバラエティもあるし、亀仙人のじっちゃんが喜びそうな番組もチラホラやってるぞ」

悟空「……おっと、もうこんな時間か」

悟空「そろそろ寝るとすっか!」
72:2016/10/17(月) 22:46:55.836 ID:GkI1Oek70.net
おっさんじゃないか…
74:2016/10/17(月) 22:50:51.812 ID:DIxsM+FR0.net
悟空(このベッドの布団……全然フカフカじゃねえけど……)ゴワゴワ…

悟空(これでこそビジネスホテルって感じがする! オラたまんねえや!)

悟空「ぐぅ……ぐぅ……」



………

……

79:2016/10/17(月) 22:55:18.726 ID:DIxsM+FR0.net
翌朝――

悟空「あ~、よく寝たぞ!」

悟空「そういや、朝食はフロント横の部屋でバイキングだったな」

悟空「さっそく食べに行くぞ!」
82:2016/10/17(月) 22:58:34.043 ID:DIxsM+FR0.net
ワイワイ… ワイワイ…



悟空(だけど他にも客がいるから、あまり取りすぎちゃいけねえよな……)

悟空(あとでブルマんちでたらふく食わせてもらえばいいんだしな)

悟空(昨日までのオラだったら、かまわず全部食ってたかもしれねえ)

悟空「ええっと、パンと……唐揚げと……レタスと……味噌汁……」

悟空(なんでだろ。なんでオラ、好きなもんばかり取らずに、栄養バランスを考えてんだろ)

悟空(オラ、少しはビジネスマンってもんに近づけたってことなのかな)
85:2016/10/17(月) 23:01:41.092 ID:DIxsM+FR0.net
509号室――

悟空「メシも食ったし、そろそろチェックアウトすっぞ!」

悟空「だけど部屋ってどうしたらいいんだろうな?」


ベジータ『ホテルの部屋は下手にあまり片付けない方がいい』

ベジータ『多少散らかってる方が、清掃する女どもがかえって掃除しやすいというからな』


悟空「――っていってたし、ゴミをまとめるぐらいにしとくか」
87:2016/10/17(月) 23:03:39.401 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「オッス!」

掃除のおばちゃん「おはようございます」

悟空「オラの部屋、ちょっと散らかってるけど、ごめんな!」

掃除のおばちゃん「大丈夫ですよ」

悟空「サンキュー!」
89:2016/10/17(月) 23:06:05.184 ID:DIxsM+FR0.net
フロント「チェックアウトでよろしいですね」

悟空「うん、頼む」

フロント「こちら領収書になります」

悟空「サンキュー!」

フロント「ありがとうございました。またご利用下さいませ」



悟空「……」キリッ

悟空(分かる……たった一泊でオラの気がものすごく研ぎ澄まされた!)

悟空(これだ……ベジータもこれを体験したんだ!)
92:2016/10/17(月) 23:10:18.477 ID:DIxsM+FR0.net
カプセルコーポレーション――

悟空「オッス、ベジータ!」

ベジータ「ふん……どうやら貴様もビジネスホテルをみっちり堪能したようだな」

悟空「ああ!」

ベジータ「どれ、ちょっと気を高めてみろ」

悟空「はっ!」ボウッ

ベジータ「……やはりな。研ぎ澄まされてやがる」

ベジータ「ビジネスホテルという特殊な空間で一夜を過ごすことで、気が磨かれたというわけだ」
94:2016/10/17(月) 23:13:12.279 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「なあ、だったらもう一泊してみねえか?」

悟空「そうしたら、オラたちもっともっと強くなれるかもしれねえぞ!」

ベジータ「悪くないな」

悟空「実はオラ、ここへ来る途中で面白そうなホテルを見つけたんだ」

ベジータ「ほう、どんなホテルなんだ?」
99:2016/10/17(月) 23:17:23.937 ID:DIxsM+FR0.net
悟空「ホテルの建物が、神様の宮殿みたいなんだ!」

悟空「しかも一泊だけじゃなく、休憩なんかもできるみてえでさ」

ベジータ「なかなか面白そうなホテルだな」

ベジータ「よーし、今夜はそこで一泊してさらに強くなるぞ、カカロット!」ボウッ

悟空「負けねえぞ、ベジータ!」ボウッ

バシュシュッ!


ブルマ「ちょ、ちょっと待って二人とも!」

ブルマ「それラoホテルよーっ!」





おわり
106:2016/10/17(月) 23:22:23.820 ID:Ruxgb9IZ0.net
なんだろうなあの妙なソワソワ感は
109:2016/10/17(月) 23:25:47.128 ID:/PocGv0G0.net
よかった
111:2016/10/17(月) 23:26:39.273 ID:qM9yA6BlK.net
このスレ見てると変な笑いがこみ上げてくる
悟空「オラ、ビジネスホテルに泊まることになったぞ!」
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1476706505