2:ケイティ 2018/03/27(火)01:02:09 3js
ハンター試験から約一か月

ベジータの所へ情報が舞い込む

"ヒソカ、天空闘技場へ現る"

「やっと見つけたぞ...」

ベジータはクラピカから届いた電報を聞き、にやりと微笑んだ
1:2018/03/27(火)00:57:53 3js


前スレはこちら

『悟空とべジータのハンター試験?』です

立ったら書いていきます
6:2018/03/27(火)01:07:44 3js
天空闘技場 1階受付

べジータ「ヒソカはどこだ!?」

怒鳴るべジータを無視して受付員は記入用紙を差し出す

受付員「天空闘技場へようこそ。こちらに必要事項をお書きください」



べジータ「オレ様はヒソカの野郎と戦いに来ただけだ!」

受付員「ヒソカ選手は登録選手でございます。バトルをするには受付して頂く必要がございます」

ペンを差し出す受付員
9:2018/03/27(火)01:13:01 3js
べジータ「ちっ、まぁいい」

そう言ってペンを取るべジータ

べジータ(む、名前を書くのか…遊んでばかりいるとブルマに言われるのも癪だな…)

カキカキ



受付員「これは…そのまま"王子"と呼べばよろしいでしょうか?」

べジータ「さっさとしろ」

受付員「では登録受け付けました。では早速バトルとなりますのでこちらへどうぞ」
12:2018/03/27(火)01:16:55 3js
べジータ「気が利くじゃないか。早速ヒソカをやれるとはな」

ニヤリと笑むべジータ

受付員「いえ、ヒソカ選手は200階クラスの方なので戦えませんよ?」

べジータ「なにぃ!?どういうことだ!」

受付員「この天空闘技場では強さにより階層分けをされております。同じ階層どうしでないと戦うことはできません。1階は入場者の強さレベルを測る階で、それ以降から段々とクラスアップしていきます」
13:2018/03/27(火)01:18:29 3js
そして、と続ける

受付員「200階以上は猛者の集まる階となっており、その上にはフロアマスターと呼ばれる最強の選手も!特に今のフロアマスターは荒」

べジータ「ご託はいい!さっさと始めやがれ!」

良いところなのに、と受付員は口をとがらせる

受付員「では中へどうぞ」
18:2018/03/27(火)01:31:07 3js
べジータは闘技場の中へと入っていく

べジータ「天下一武道会の真似事みたいなものか」



ホールを上から見下ろしながら呟く

フロア内はコンサート会場のようになっており、観客席が舞台をぐるっと囲んでいる

中央の舞台は16に分かれ、それぞれで戦いが繰り広げられていた
21:2018/03/27(火)01:34:47 3js
係員「君、番号は?」

会場の係りらしき人が声を掛けてくる

べジータ「この紙に書かれてるやつか?」

受付で記入後に渡された紙を見せる

係員「B-256か、では西ゲート付近で呼ばれるのを待ちたまえ」

そう言われたとき、後ろから声がかかる

ゴン「べジータさん?」
22:2018/03/27(火)01:36:05 3js
そこにはゴンとキルアが立っていた

キルア「べジータ…さんも参加するつもり?」

ゴン「オレたちもなんだ!また一緒に戦えるね!」

べジータ「オレ様はヒソカのやつをぶっとばしに来ただけだ」

ぶっきらぼうに答えるべジータ

キルアはヒソヒソとゴンに話をする

キルア「ああ見えて結構喜んでるぜ。オレも天の邪鬼だからわかるんだ」ニシシ

ゴン「オレもなんとなくわかるよ」ニシシ

二人で笑い合う
31:2018/03/27(火)20:08:10 3js
べジータ「…お前たちはなんでここへ来た?」

キルア「修行だよ」

ゴン「キルアがさ、8歳の時にここに来たことがあるんだよ。それで修行にはもってこいだって聞いてさ。キルア凄いでしょ!」

ゴンが自分事のように嬉しそうに話す

キルア「ゴン、恥ずかしいからやめろよ」

ゴン「いいじゃん。オレなんて8歳の頃はただ森を駆け回ってただけだったし。べジータさんは?」

べジータ「オレか?ただひたすら星を植民地にしていただけだったな…。嫌な想い出だぜ」

ゴン&キルア(星?植民地?)
32:2018/03/27(火)20:12:25 3js
ゴンたちの疑問を他所に黙り込むべジータ

キルア「ま、いいけどさ。とにかく目標は上の階でしょ?」

ゴン「べジータさんも一緒に行こうよ」

べジータ「ふ、まぁいいだろう」

ゴンたちの無邪気さにトランクスを思いだし、少し和らいだ顔で答えていた

そんな中、アナウンスが流れる

"B-256 王子選手 Bの舞台へお願いします"

べジータ「やっとか…先に上の階に行っている。ついてこい」

フッ と得意気に笑って舞台へ向かって降りていった
33:2018/03/27(火)20:15:51 3js
べジータ「よ、よろしくお願いします」

ひ弱そうな男がべジータの相手だった

べジータ「ちっ、なぜオレ様がこんなやつと」

立会人が二人の間に入る

立会人「それでは、はじめっ!」

トンッ

合図と共に相手の後ろに回り首の後ろを軽く叩く

それだけで相手は意識を手放した
34:2018/03/27(火)20:18:10 3js
立会人「…!お、王子選手の勝ち!」

立会人がべジータの勝ちを宣言する

立会人(いまの動きは素晴らしい。だが相手が弱すぎただけかもしれない…。ここは様子見で…)

立会人「では、王子選手は20階へ!」

べジータ「ほぅ、1階ずつではなくいきなりクラスアップか」ニヤリ

細く笑みながら舞台を降りる
35:2018/03/27(火)20:21:43 3js
そして10階の休憩所にて

べジータ「遅かったな」

あとからやってきたゴンとキルアににやけながら声をかけるべジータ

キルア「ゴンの試合が始まるの遅くてね」

べジータ「まぁいい。だがこれから一緒に行くのは難しそうだな」ニヤリ

ゴン「なんで?」
36:2018/03/27(火)20:27:40 3js
その問いに確認するようにべジータは言う

べジータ「ここは1階ずつ上がっていくシステムだろう」ニヤリ

キルア「そうだけど強さによっては飛び級、いきなりクラスアップできるってことだろ」

キルアが口を出す

べジータ「そういうことだ」ニヤリ

笑うべジータにゴンも笑顔で答える

ゴン「大丈夫だよ!オレもキルアも同じ50階だから!」

(ご、50階だと…!?)

49:2018/03/28(水)18:13:27 A4a
50階まで上がる為にエレベーターに乗り込む3人

べジータ「わ、忘れ物をした!」シュッ

ドアが閉まる瞬間に降りるべジータ

ゴンとキルアだけを乗せてエレベーターは上がっていった

べジータはすぐに階段で1階へ下りてさっきのホールの舞台Bへ向かう

ヒュン



シュタ

舞台に降り立つべジータ
50:2018/03/28(水)18:26:29 A4a
係員「き、君はさっきの…王子選手だったか?何の用だね」

係員が睨むような眼差しでべジータを見る

べジータ「余程ぶっ飛ばされたいらしいな」

係員「どういう意味だい?いまは他の選手の試合中だ」

ほぅ、とべジータは舞台にいる2人の選手を見る

51:2018/03/28(水)18:37:04 A4a
大柄のレスラータイプの男と、相撲取りのような大柄の男

ちょうどいまから対戦しようとしていたところのようだ

ドゴドゴッ

べジータはその2人を場外の壁まで吹き飛ばす

べジータ「これでもオレ様は20階クラスか?」ニヤリ

係員「…ッ!」

驚愕する係員

べジータ「"50階"、そうだな?」

詰め寄るべジータ

係員「わ、わかった。訂正しておこう」

べジータ「はじめからそうしやがれ!」

それだけ言うとべジータはホールから飛び出して行った

53:2018/03/28(水)21:36:46 A4a
その頃ゴンとキルアは

チンッ

50階に着いていた

ゴン「べジータさん、何を忘れたのかな?」

キルア「さぁ、サスペンダーじゃない?」

そんな会話をしていると、目の前に胴着を来た男の子が目に入り、互いに視線が合う

54:2018/03/28(水)21:39:17 A4a
ズシ「押忍。自分はズシと言います。お二人は?」

ゴン「オレはゴン。よろしくね」

キルア「キルア、よろしくな」

歳が近く見えるせいか、すぐに仲良くなる3人

ズシ「さっきの試合拝見しました。流石っす!」

ゴン「見てたってことはズシも1階から50階にいきなり?」

キルア「へぇー、やるじゃん」

同じく一気にクラスアップしたことがわかり、更に会話は弾む
55:2018/03/28(水)21:49:01 A4a
ズシ「いやいや、自分なんかまだまだっす!お2人の流派はなんすか?自分は心源流拳法っす!」

ゴン「うーん、あえて言うなら…」

キルア「亀仙流かな?」

アハハハハ と2人で苦笑いするゴンたち

ズシ「亀仙流…どこかで聞いた気が…」



考え込むズシたちに声がかかる
56:2018/03/28(水)21:51:26 A4a
ウイング「亀仙流はあの無天老師と呼ばれる武道の達人の流派ですね」

ズシ「あ!師範代!」

ズシに師範代と呼ばれた男性は、眼鏡をかけたなんとも頼りない感じの男性だった

ウイング「ズシ、よくやりました。ちゃんと教えを守っていたね」

ズシに労いの言葉をかけながらゴンたちにも声をかけてくる

ウイング「で、そちらのお2人が無天老師様のお弟子さん、かな?」

ゴン「うーん、教えてもらったのは修行の仕方だけだから弟子って言えるのかな?」

困るゴンにキルアは首を振る

キルア「流石に弟子とまでは呼べないんじゃね?」
58:2018/03/28(水)22:03:39 A4a
そんな2人の悩み顔に、師範代と呼ばれた男性は

ウイング「それでもあの武術の達人に教えを乞いただけでも素晴らしいことです。そういえば自己紹介をしていませんでしたね。私はウイングと申します」

ゴン「ゴンです」

キルア「キルア」

ウイング「まさかズシ以外に子供が来ているとはね」

と、そんなことを話していると
60:2018/03/28(水)22:09:55 A4a
チンッ

エレベーターが開き、べジータが降りてくる

べジータ「ふん、待たせたな」



キルア「じゃぁ連れも来たし、またな」

「ウイングさん、ズシもまたね!」

ゴンとキルアは挨拶をしてべジータと合流する

「んじゃ早速ファイトマネー貰いに行こうぜ」

キルアの案内で50階の受付へと向かう3人
62:2018/03/28(水)22:17:04 A4a
受付員「はい!こちらが先程のファイトマネーです」

ジャラジャラ

受付員が小銭を3人に渡す

ゴン「152ジェニー…」



少なさにゴンが驚く

「1階のファイトの金額はな。ここ50階で勝てば5万はもらえるぜ」

ククク

べジータが急に笑いだす

(お金を稼げるとはな。これでブルマにもニートだと呼ばれずに済む)ニヤリ

63:2018/03/28(水)22:22:43 A4a
5万という金額で喜んでいるのだと勘違いしたキルアは更に話を続ける

キルア「100階なら100万。150階なら1000万。190階で2億くらいだったかな」

べジータ「金額はどうでもいい!1ゼニーでも稼げたらな…」ニヤッ

ゴン&キルア(び、貧乏だったのかな…?)

憐れむゴンとキルアを無視して終始べジータはにやつき、152ジェニーを握りしめていた

71:2018/03/29(木)19:57:37 k5f
~時間は遡ること1ヶ月前~

ハンター試験をクリアしたべジータは修行に励んでいた

「はぁあああああああああ!」

重力室でスーパーサイヤ人になって修行をするべジータ



だがすぐに元に戻る

べジータ(違う…。これではただ気が上がって力が強くなっただけだ)

ヒソカとの戦いを思い出す

べジータ(あの時はリミッターを着けていた。気は互角ぐらいになっていただろう…)
72:2018/03/29(木)20:05:23 k5f
ハンター試験では、ブルマの作った気を抑えるリミッターを着けて挑んだべジータ

そこでべジータはヒソカと戦った


ハァ ハァ



息を整えながらべジータは考える

リミッターを着けてスーパーサイヤ人になったべジータの戦闘力は約1000

同じくヒソカも1000程

べジータ(それで負けた…)

べジータ「つまり、オレ様の戦いのスキルが低いということか…」

べジータは痛感していた

今までは"強敵が現れれば戦闘力を上げて圧倒して倒す"を繰り返していたことを

べジータ(力任せに戦っていたに過ぎん…。戦闘スキル、戦い方を見直す必要がある!)
73:2018/03/29(木)20:11:43 k5f
そしてべジータは重力室を出てブルマの部屋に向かう

~ブルマの研究室~

べジータ「おい、ブルマ」

ブルマ「あら、べジータ珍しいわね。修行は終わり?」

べジータ「この前のリミッターとやらを貸せ」

ブルマ「…変な物でも食べた?」

べジータ「うるさい!」

ブルマ「はいはい、いいわよ。でもその代わりトランクスを映画に連れてってあげてね。何か見たい映画があるって言ってたから」

そう言いながら引き出しからリミッターを取り出す
74:2018/03/29(木)20:13:27 k5f
べジータ「ちっ、映画などあんなもの何が楽しいのかわからん」

ブルマ「まぁいいじゃない?じゃぁよろしくね。はい」

べジータは早速受け取ったリミッターを着ける

カチッ



これで平常時はサタンと同じく20程度
そして気を入れると300程まで上がる
スーパーサイヤ人で1000程だ

ニヤリとべジータは笑う

べジータ(まずは誰か試しに戦う相手は…地球人ぐらいがいいか)
75:2018/03/29(木)20:14:49 k5f
べジータ「おい、ブルマ」

ブルマ「何よ?まだ何かあるわけ?」

べジータ「クリリンやヤムチャたち地球人はどこにいる」

ブルマ「あんたから2人の名前が出るなんて珍しいわね」

べジータ「さっさと言え!」

ブルマ「クリリンは都で警察してるわよ。裸にサスペンダーでも着けて歩き回ってたら職質してくれるんじゃないからしら」

べジータ「か、からかうんじゃない!」
76:2018/03/29(木)20:16:48 k5f
ブルマ「ヤムチャは最近見ないわよ。野球でもしてるんじゃないかしら。でも試合だったら毎日あるから暇はないんじゃない?」

べジータ「ふん、修行の時間も取らんとはだらしないやつらだ」

ブルマ「1ゼニーも稼いだことないあんたが何言ってんのよ。旦那がニートなんて嫌になるわ」

グググッ

べジータは歯噛みしながら部屋を出ていく
77:2018/03/29(木)20:21:24 k5f
ふらりとリビングまで来たべジータは電話機を見てあることを思い出す

そしてハンター試験の時のズボンからメモ用紙を取り出す

べジータ(何か調べたいことがあれば連絡を、と言っていたな)

そう思い出し、クラピカに電話をかけていた

トゥルルルルルル

クラピカ「はい、クラピカだが」



べジータ「オレだ。べジータだ」

クラピカ「ハンター試験が終わってすぐ、とはな」

べジータ「…ヒソカの居場所を知らないか?」

クラピカ「まさか君もヒソカを探すとはね」
78:2018/03/29(木)20:22:17 k5f
クラピカは驚いた感じで続ける

クラピカ「約半年後の9月1日、ヨークシンシティ。そこに現れるのだけは知っている。だがこれは私との約束の為だ。たぶん君はもっと早く、と思っているだろう」

べジータ「そんなに待ってられん」

クラピカ「わかった。私としても足取りは追っておきたいからな。情報が入れば電話か電報ででも報せよう」

べジータ「ふん…、頼んだ」

そして電話を切ったべジータはまた重力室へと戻って行った
81:2018/03/30(金)19:08:29 9ew
50階でズシと出会ったべジータたち

更に上の階を目指して次のバトルを申し込んでいた

キルア「さ、これで申し込みも終わったし控え室に行こうぜ」

キルアがゴンとべジータを先導して控え室へ向かう

ズシ「あれ?キルアさんたちっすか?」

控え室に入ると、ズシから声をかけられる

82:2018/03/30(金)19:41:25 9ew
ゴン「ズシも?オレたち3人も今日2回目のバトルするんだ」

キルア「ゴンもべジータも、全員ノーダメージだったからな。連続バトルOKって。ズシもだろ?」

ズシ「そうっす!早く出番が来ないか待ち遠しいっす!」

そんな会話をしていると対戦呼び出し放送がかかる

"王子様、ズシ様、57階A闘技場へお越し下さい"

ズシ「べ、べジータさんとっすか!?」



ズシ(つ、強そうに見えるっすけど…)

べジータ「ふん、運が悪かったと思うんだな。ゴンとキルア、上の階で待ってるぞ」ニヤリ

そしてべジータとズシは闘技場へと向かって行った
83:2018/03/30(金)19:46:52 9ew
~57階A闘技場~

アナウンサー「さぁ!皆様お待たせ致しました!」

アナウンサーのマイクと共に歓声が上がる

アナウンサー「拳法家の少年と謎の王子様、異色のバトルです!」

しかし、と続ける

アナウンサー「甘く見ては行けませんよ!二人とも1階で素晴らしい戦いをして一気にこの50階へ上がってきた強者です!」

そして会場の大型モニターにVTRが流れる

84:2018/03/30(金)19:48:24 9ew
アナウンサー「少年、ズシ選手は200kgもある巨漢を拳法で無傷ダウン!対する王子様は他の選手のバトルに乱入!同じく巨漢の、しかも二人を同時にボディーブローで吹き飛ばしました!」

そこまで捲し立てたあと、ギャンブルスイッチのアナウンスが流れる

『ズシ:1.905/王子:2.005』

アナウンサー「おおっとー!僅差ですがズシ選手の方が優勢と見られている模様です!」

べジータ(舐めやがって…)

べジータはイラつきを隠さず観客席を睨む
86:2018/03/30(金)19:50:01 9ew
アナウンサーは、それでは!と一瞬溜めたあと

3分3ラウンド、ポイント&KO制

50階クラスのバトルがスタートする

身構えるズシ

ポケットに手を突っ込んだまま観客席を睨むべジータ

ズシ(こ、この雰囲気…ただ者じゃないっす…。練を使うしかないっす)ザッ

ズシが構えを変える

べジータ(ほう、気のコントロールが出来るらしいな。オレ様も少しだけ気を出すか…おっと、出しすぎか。微妙に合わせるのも難しいもんだ)



薄く笑うべジータ
87:2018/03/30(金)19:53:35 9ew
その頃、観客席ではウイング汗を流していた



ウイング(なんとも言えないこの不安感はなんだ…?さっき顔合わせをしたべジータとかいう選手、オーラの増減量が半端ない…なんだというんだ…)

ウイングが不安を感じはじめていたとき、舞台の上で審判員が二人に声をかける
88:2018/03/30(金)20:06:03 9ew
「今回は私が審判員だ。はじめるよ。準備はいいか?それでは…はじめっ!」

掛け声がかかった瞬間

ズドン



ズシが倒れ込む



審判員「き、君!大丈夫か!?」

審判員が駆け寄る



べジータ「もう意識などはありはしない」

べジータは冷たく言い放つと舞台から降りる

そして審判員は腕を×にしてコールする

審判員「ズシ選手、KO!王子選手の勝ち!」
106:2018/03/31(土)18:03:46 QEg
~60階控え室~

べジータ「遅かったな」

しばらくしてからやってきたゴンとキルアにべジータが声をかける

キルア「なぁ、さっきズシが気を使ってたよな?」

べジータ「それがどうした?」

キルアの問いに何が問題だと聞き返すべジータ

ゴン「ねぇ、そんなに気のコントロールって誰でもできるものなの?」

ゴンも尋ねてくる
107:2018/03/31(土)18:19:30 QEg
べジータはそういえば自分も昔はできなかったな、と思い出しながら考える

キルア「さっき、ゴンと60階に上がるときにさ、階段でさ、ズシとウイングさんが話してるの聞いたんだよ」

キルアが話を切り出して続ける

キルア「そこでさ、ウイングさんが言ってたんだ。"レンを使って負けたなら仕方がない"ってさ」

べジータ「レン…だと?」

べジータは何か思い出しそうな気がしている

ゴン「オレも聞いたよ"更にレンを磨いていく必要がある"って」

はっ、とべジータが顔を上げる

べジータ「…!ネン、ではないのか!?」

108:2018/03/31(土)18:24:34 QEg
キルア「ネン?」

べジータ「あぁ、四次試験でヒソカの野郎が気を上げたときにそんなことを言ってやがった」

キルア「でもさっきはレンって確かに聞いたぜ?」

べジータとキルアたちの聞いた言葉の差異

悩む二人にゴンが提案する

ゴン「ズシに聞いてみればいいじゃん」


早速向かおうとするゴンとキルア

べジータは喉が渇いたと言いながら自販機で150ゼニーのジュースを買い、二人についていった

109:2018/03/31(土)18:25:44 QEg
~ズシの部屋~

ズシ「あ!どうしたんすかお二人とも!」

ズシが出迎えてくれる

ゴン「もう大丈夫なの?」

ゴンが心配そうに駆け寄る

ズシ「大丈夫っす!一発で意識が飛んだだけでダメージはおんななかったっすから!」
110:2018/03/31(土)18:28:34 QEg
そしてドア付近でそれを見ていたべジータは、ズシに何かを投げる

パシッ

ズシ「こ、これはジュースっすか…?」

べジータ「ふん、急に渇きが収まったんでな。捨てるくらいならやろうと思っただけだ」

ズシ「あ、ありがとうございますっす!」

嬉しそうに受けとるズシ

キルア「んで、そろそろいいか?」

キルアが間に入る

キルア「オレたちはさ、ズシに"レン"を聞きに来たんだ」
122:2018/04/02(月)00:40:12 SwV
「レンとはヨンタイギョウの1つっす」

そしてズシは続ける

「ヨンタイギョウとはシンを高め、シンを鍛える。全ての格闘技に通じる基本っす。テンを知り、ゼツを覚え、レンを経て、ハツに至る。要するにこれ全てネンの修行っす」



「ネンだと!?やはりレンはネンに繋がっていたか!」

べジータがズシに迫る

「いまの説明だけではわからん!さっさと教えろ!」
123:2018/04/02(月)00:41:20 SwV
そこへ部屋の入口から声がかかる

ウイング「ズシ、あなたはいつから人にモノを教えられるほど偉くなったんですか?」

ゴンが反応して振り返る

ゴン「ウイングさん!」

ウイング「あなたたちも。生兵法は大ケガの元、と言われるくらいですからね」

キルア「でも、オレはいまから知りたいんだよ」

キルアがウイングに食って掛かる

ウイング「べジータさんはご存知のはずですが?」

ウイングはキルアから視線をずらしてべジータを見る
124:2018/04/02(月)00:54:52 SwV
べジータ「オレたちが使っているのは"気"だ。ネンなどというわけのわからんものではない」

ウイング(念を知らない?知らずにオーラを出している…?)

ウイングは暫し黙り込む

ウイング("キ"…!確かキルア君たちは亀仙流だと!ならば"気"!)



ウイング「キというのは気のことですね?体の中を巡るエネルギーを爆発させて力を増幅する…」

べジータ「気は知っているということか」

べジータは苦々しげにウイングを見やる
125:2018/04/02(月)00:58:18 SwV
ウイング「そういうものがある、ということだけですが。基本は同じものだということです」

キルア「同じものだとしても、オレはネンのことが知りたいね」

キルアが話に流されずにウイングに詰め寄る

ウイング(気を操れるならば、素質は充分以上あるということはわかるが…念を簡単に教えるわけにはいかない…)

ウイングは悩みながら口を開く

ウイング「…、いいでしょう。こちらへ」



ウイングはキルアたちの視線を受けて、自分の部屋へと案内する
128:2018/04/02(月)18:29:38 SwV
~ウイングの部屋~

ウイング「ネンとは、"燃"。心を燃やすこと。つまり意思の強さです」

そしてウイングは四大行について説明をする

・"点"で心を1つにまとめ
・"舌"で思いを言葉にする
・"錬"で意思を高め
・"発"で行動に移す



ウイング「つまり、思いの強さが力となり、圧迫感が増すということです」

それでウイングは締めくくる
129:2018/04/02(月)18:34:42 SwV
べジータ「確かにオレたちサイヤ人は怒りの思いを力にしてきた」

べジータは納得した風に頷く

ウイング(サイヤジン?)

ウイングたちは何か聞き慣れない単語を聞いた感じを受けながら、また話を続ける

ウイング「実際にやって見せましょう」



ウイングは優しげに微笑みながら続ける
130:2018/04/02(月)18:37:48 SwV
ウイング「みなさん、あなた達を頃したいと思います」

そう告げると

ウイング「点…舌…錬…"君達を頃す"…発!」

ズオッ!



ゴン&キルア「…っ!」

ゴンとキルアは一歩だけ後ずさる
131:2018/04/02(月)18:41:10 SwV
キルア「近距離で気を飛ばされると効くな…」

そう呟くキルアにウイングは驚く

ウイング「いまのを耐える…?君たちは一体…?」

べジータ「何が言いたい。貴様がやったのはただ殺気を込めて気を放っただけだ」

べジータがウイングの前に立つ



ゴン「べ、べジータさんやめようよ!」

慌ててゴンがべジータを止める
132:2018/04/02(月)18:42:30 SwV
べジータ「ちっ、知っている風なことを言ってただ気を上げるだけか。時間の無駄だったぜ」

べジータはそう言いながら部屋を出る

ゴンとキルアもそれについて一緒に部屋を出て行った
133:2018/04/02(月)18:45:47 SwV
残されたウイングは無言のまま

ズシ「師匠…なんで本当のこと言わなかったっすか?」



ズシが瞑想をやめて聞いてくる

ウイング「あの3人は既に本物のほうの纏までできている…。べジータさんに至っては錬も習得している…。そんな3人に無闇に念を教えることはできない」

ズシ「危ないから、っすか…?」

ウイング「そういうことです。念を凶器として使わないか、それがはっきりとするまでは教えることはできません」

ズシ(3人とも悪いことに使う人には見えなかったっすけど…)

ズシは一人納得できないまま、鍛練を始めた
135:2018/04/02(月)19:57:34 SwV
~60階受付~

受付員「ファイトマネーは全員6万ジェニーとなります。いまお受け取りになりますか?」

受付で先ほどの賞金を受け取る3人

基本勝利の5万+KO勝利の加算1万で合計6万となっていた

ゴン「6万くらいなら受け取っとこうかな」

ゴンを皮切りに、3人が受け取る
136:2018/04/02(月)19:58:15 SwV
キルア「今日はもう遅いからバトルできねーぜ。宿も探さないといけねーし、夕食も取らなきゃいけねーし、いろいろめんどいよな」

これからやることを並べて面倒がるキルア

ゴン「宿代は足りる?」

心配するゴンにキルアは大丈夫だと手をヒラヒラさせる

キルア「高くても1万ジェニーもしねぇよ。52階に5000で泊まれるとこあったからそこにしようぜ」

べジータ「オレは別に野宿でもいいんだがな」

そう言いながらべジータはキルアたちについて行き、宿を確保した
137:2018/04/02(月)20:01:00 SwV
キルア「んじゃ次は飯にでもしよーぜ」

経験者のキルアが2人を案内する

べジータ「食べ放題、というところがいい」

べジータは静かに提案する

キルア「それならちょっと高いけど美味しいとこあるぜ?」

キルアが指をさした先は『焼肉&寿司』の食べ放題店だった

キルア「あそこ、一回で1万も取られるけど味は食べ放題にしては納得できる美味しさなんだぜ」

そう話ながら店へと入っていく3人

べジータは店内の料理を見回して呟く

べジータ「ほぅ、良さそうだ。毎食使えるな」



この日を境に、店では朝昼夕と食事時のタイミングで品切が発生することとなる
153:2018/04/04(水)20:09:27 tEX
審判員「王子選手90階突破!」

審判員の宣言と共に会場は大きな歓声に包まれる

その宣言を聞いてアナウンサーは大興奮でエールを送る

"王子選手!またも負けなし一発KO!ボディーブローで場外へ吹き飛ばす強烈パワーが炸裂!"

パッと会場の大画面にべジータとキルア、ゴンが映る

"これで新進気鋭の3人が100階入り!押し出しのゴン選手、手刀のキルア選手、ボディーブローの王子選手!このまま200階へと進めるのか!?今後に期待です!"
154:2018/04/04(水)20:11:02 tEX
~100階 受付前~

ゴン「あ、べジータさん!」

ゴンがキルアと共に100階受付で待っていた

べジータ「また金の受け取りか?」

面倒くさそうに確認するべジータ

ゴン「ううん、お金はハンターカードに振込できるから大丈夫!キルアが教えてくれたんだ」

キルア「口座作るのめんどいしさ、なんか良い方法ないかと探したらハンターカードがキャッシュカード代わりに使えるらしくてさ」

キルアが補足説明する

ゴン「べジータさんもハンターカード持ってきてる?」
156:2018/04/04(水)20:17:13 tEX
尋ねるゴンにべジータは横を向いて答える

べジータ「カードは…あるやつにやった。貧乏らしくてな」

ゴン&キルア(意外と優しい?)

ゴンとキルアはべジータへの見方が変わってきているのを感じる

キルア「…ふぅん、まぁいいけど。でも現金もち運ぶの面倒じゃね?それに口座作るかハンターカードに入れないと、受取拒否になって2日でもらえなくなるぜ」

キルアが受付の横のルールボードを指差しながら説明を続ける
157:2018/04/04(水)20:18:13 tEX
べジータ「ならお前達のどちらかのハンターカードに入れていてくれたらいい。オレ様について一緒に最上階まで来るんだろう?」

どうでも良さげな感じで答えるべジータ

ゴン「じゃぁべジータさんの分はオレのカードに入れとくよ。食事なんかもいつも一緒だから問題ないしね」

ゴンがそう言いながら受付員にべジータの分のファイトマネーも入れてもらう

キルア「じゃぁ自分の部屋に行こうぜ。100階からは個室がもらえるからな」

キルアがそう言ってゴンとべジータを連れていった
158:2018/04/04(水)20:21:01 tEX
~50階 ズシとウイング~

「すごいっすねあの3人!」

テレビを見ながら喜ぶズシ

「気を使えるあの3人なら余裕でしょう。ただ、ゴン君とキルア君は200階では苦労するかもしれませんね」

「なんでっすか?」

真面目な顔を崩さないウイングにズシが問いかける
159:2018/04/04(水)20:25:31 tEX
ウイング「200階は念の使い手のクラス。まだ気の量も微妙なゴン君やキルア君では、なんとか戦えたとしても上手く立ち回れないでしょう」

ズシ「べジータさんはいいんすか?」

ウイング「彼は…私にもわかりかねます。きっと200階で彼の本当の力がわかるでしょう。さて、そんなことよりズシ。あなたは地道に練を続けましょう」


ウイングの予想通り、このあと3人は連勝を重ねて200階へと到達する
160:2018/04/04(水)20:27:05 tEX
~200階 通路~

キルア「これで200階の大台に乗ったってことだな」

エレベーターを降りながら言うキルアにゴンが尋ねる

ゴン「200階って何か違うの?」

キルア「200階はまずファイトマネーが出ない。戦いが好きな人だけが集まる酔狂なとこさ」

そんな二人の会話にべジータが割って入る

べジータ「そんなのは別に構わん。金で戦うなど素人のやることだ」

キルア「ま、そう言うと思ってたけど」
161:2018/04/04(水)20:29:03 tEX
キルアは頭の後ろで手を組ながら続ける

キルア「でもって、200階より上にはフロアマスターがいるだけ」

ゴン「フロアマスターって?」

キルア「230~250階のフロアを丸々与えられてる強者らしいぜ。200階クラスで10勝するとフロアマスターと戦えて、勝つと交代になるってさ」

そんなゴンたちの会話にまたべジータが横やりを入れる

べジータ「10勝など面倒なことせず10人全員でかかってこれば早く終わる」ふんっ

キルア「そう言うけどさ、190階クラスのやつらとは全然違うらしいぜ。特に250階のフロアマスターがヤバイらしいって噂だぜ。橙色の胴着を━━━」
163:2018/04/04(水)20:43:37 tEX
そんな話をしていると、廊下の先に受付が見えてくる

その瞬間

ズズズズズズズズズズッ

奥の曲がり角から凶悪な圧力が渦巻きながら迫ってくる



キルア「くっ!…誰だっ!?」

キルアが声を張り上げる

ゴンも気を上げて耐える

べジータはニヤつきながら見やる

スッ

柱の影から人が出てくる
169:2018/04/05(木)20:05:01 71x
?「スーハー スーハー」

橙色の胴着を着た小さな子供だ

ゴンとキルアは怪訝な顔になる

なぜならその子供は顔に布切れを被っていたからだ



そしてその子供はゴンたちに気づかず奥の通路を通りすぎていった

ゴン「な、なんだったんだろう…?」

キルア「どうでもいいさ。この圧を出しているのは違うやつだってわかったからな」

べジータ(どこかで見たような…いや、確かにやつは小さいがあんなに小さくはなかったはず…)
170:2018/04/05(木)20:07:20 71x
どこかへ行った子供はもういいとして、キルアはまだ隠れているやつに向かって声を上げる

キルア「殺気を放ってるやつ!出てこいよ!」

スゥッ

いつ出てきたかわからないほど自然に柱の影から姿を現す



ゴン「…ヒソカ!」

ゴンの声に答えるようにヒソカは笑む

ヒソカ「やぁ。待っていたよ◆」

べジータ「こっちのセリフだ貴様!」

べジータは既に戦闘体勢を整えている

ヒソカ「…ちゃんとあれは着けているのかな?◆」

細く笑みながらべジータに問いかける
171:2018/04/05(木)20:15:42 71x
べジータ「貴様を始末したあと同じ格好をさせてやろうか?」



べジータもニヤリと笑いながら返事を返す

ヒソカ「出来たらイイね◆…でも、その二人は大丈夫かい?」

べジータから視線を外し、二人の顔を覗き込むヒソカ

ゴン&キルア「大丈夫!」

ゴンとキルアがべジータに声をかける

べジータ「これぐらいの気なら当たり前だ」

2人を確認もせずに答えるべジータ
172:2018/04/05(木)20:16:40 71x
ヒソカ「キ…その感じじゃ念については学んでいないようだね◆」

残念がりながらヒソカは続ける

ヒソカ「あれから変わっていないんじゃ戦う意味がない◆」

ズズズズズズズズズズッ

ヒソカが更に圧を上げ、戦闘時に見せたような殺気をゴン達に向ける

ゴン「…!べ、べジータ、さん…」

流石に荷の重い圧を受けて後ずさる二人
173:2018/04/05(木)20:19:49 71x
そこへゴン達の後ろから声がかかる

ウイング「一旦引きましょう」

ウイングが立っていた

べジータ「オレ様は引かんぞ」

即座に反応するべジータに対して

ウイング「貴方は良くてもお二人には辛いと思いますよ?薄着で雪山にいるようなものですから」

と、ウイングは二人を見ながら問いかける

キルア「…でも、今日中に…登録しないと、資格がなく、なる!」

キルアが苦しそうにしながらウイングへと説明する
174:2018/04/05(木)20:28:42 71x
ウイング「あなた達なら大丈夫です。べジータさんも、改めて念について教えましょう」

べジータ「…ちっ、まぁいい。逃げるなよヒソカ」

渋々納得したあと、振り返ってヒソカを睨む

ヒソカ「待っているさ◆ボクもキミとの戦いは楽しみだからね◆」

そしてウイングに連れられてべジータたちは一度下の階へと降りていった
179:2018/04/06(金)19:35:05 81D
~ウイングの部屋~

ウイング「これが"念"です」

花瓶の側面に花の茎を突き刺し、説明を始めるウイング



ウイング「念とは、体から溢れだすオーラという生命エネルギーを自在に操る能力のことです」

べジータ「気と同じじゃないのか?」

いぶかしむようにべジータが問う

ウイング「えぇ、仰る通り本質的には同じものです」

ウイングはべジータに頷きながら続ける
181:2018/04/06(金)19:51:45 81D
ウイング「そもそも、皆さんが習得している気のコントロールとは"選ばれし者"だけが扱うもの、とされています」



キルア「選ばれた者?」

キルアが不思議そうに尋ねる

ウイング「えぇ。もう800年以上前の話と言われています」

ウイングは少し長くなりますが、と前置きをして話始める
182:2018/04/06(金)20:12:00 81D


ウイング「武術の神と言われるカリンという方が編み出したわざだと言われています。それを受け継いだのが"武泰斗"と呼ばれる武術家でした。そして、その流れを更に受け継いだのが亀仙人こと武天老師様と、鶴仙人と呼ばれる方です」



ゴン「あのおじいさん凄い人だったんだね…」

ゴンがポツリと呟く

ウイング「800年も前からでありながら、"気"がこれだけの方にしか受け継がれていないのには理由があります」

ウイングの言葉に引き込まれるキルアとゴン
183:2018/04/06(金)20:22:19 81D
ウイング「それは、気と念の違いにあります。どちらも、体の細胞から溢れるエネルギーを源としますが、念とはエネルギーで体を包みます。気とはその細胞一つ一つをエネルギーで包み込むと言われています」



べジータ「そんな話が何の役に立つ」

少しイライラしてきたべジータが話を急かす

ウイング「これは大きな違いですよ。細胞を包み込むということはそれだけで生命体としての格が上がるということです」

キルア「格?」

どういうことかとキルアが口を挟む
184:2018/04/06(金)20:23:29 81D
ウイング「そうですね、イメージで伝えると。気とは全身を細胞から鋼に変えるもの。念とは、細胞はそのままで全身を鋼で覆うもの。といった感じでしょうか」

ゴン「それなら気のほうがいいんじゃ…」

ゴンがウイングにそろっと尋ねる

ウイング「もちろん。気の方が優れています」

当然です、と頷くウイング

キルア「だから!じゃぁ何でだよ!」

キルアも段々と語気が強まっていく
185:2018/04/06(金)20:26:59 81D
ウイング「それは先程の、"選ばれし者"という話に行き着きます」

いいですか?と一度止めたあとまた続ける



ウイング「誰しもがエネルギーを気として扱えればいいのですが、過去からの達人がずっと研究し続けても、細胞を一つ一つ包み込むような芸当は一般人にはできませんでした」

その語りに3人は静かに続きを待つ

ウイング「そこで、なんとかそれに似せようと研鑽し続けて編み出されたのが念です。エネルギーを生み出せても、細胞にまとえず発散してして意味がなくなってしまう。それならば、細胞ではなく体の周りに着るようにまとわせられないか、と」
186:2018/04/06(金)20:32:19 81D
ゴン「でもさ、それならやっぱり気を使うオレ達のほうが凄い、ってことになるんじゃないの?」

キルア「だったらなんでヒソカやオレの兄の念が苦しく感じるんだよ」

そこまで聞いたあとにゴンがウイングに尋ね、それにキルアが被せるように言う

そこへしばらく静かに聞いていたべジータが口を開く

べジータ「なるほど。"才能"というわけだ」

191:2018/04/06(金)22:52:44 81D
ウイング「えぇ、やはり貴方にはわかるようですね」

べジータへ向けてウイングは頷く

ウイング「ゴン君、キルア君。貴方たちは気を使えてるようで使えていない。生み出すエネルギーのほんの一部だけしか細胞を包み込むのに使えず、ほとんどは霧散してしまっています」

キルア「と、いうことはオレ達には才能がないって?」

キルアが少し目付きを細めてウイングを見る

ウイング「…はい。恐らくは」

一瞬静かになる部屋
192:2018/04/06(金)23:07:03 81D
ゴン「なーんだ。やっぱり亀仙人様がちゃんとした弟子にしてくれなかった理由あったんだ」

その沈黙を破ってゴンの明るい声が響く

キルア「いやいや!悔しくないのかよゴン!」

噛みつくキルアに、まぁまぁ、と宥めながらゴンは言う

ゴン「だってさ、あれだけ修行しても悟空さんやヒソカの力に近づけなかった理由がわかったんだよ?」

キルア「それじゃ負けを認めてるのと一緒じゃんか」

拗ねたようにキルアは口を尖らせる

べジータ「ふん、だからこその"念"だろう」

193:2018/04/06(金)23:08:22 81D
ウイング「そういうことです。ゴン君もキルア君も、いまから念を習得してもらいます。それで今まで霧散していたエネルギーを使えるようになるので、ぐっと力は増すでしょう」

べジータの一言を引き継いでウイングがキルアの肩に手を置く

キルア「…わかってるけどさ」

何とも言えない顔でキルアは横を向く

べジータ「おい、それだけでなく念とやらの特性についても聞けるんだろうな」

さっそくゴンたちの念の習得にかかろうとするウイングにべジータは今一度確認する
195:2018/04/06(金)23:11:58 81D
ウイング「もちろんです。2人が念を使えるようになったあと、そのお話も致します」

それを聞いたべジータは壁に寄りかかって黙り込む

そしてウイングの言葉で念の習得が始まる

ウイング「では、ゴン君キルア君。はじめますよ」

204:2018/04/08(日)21:04:58 Xaj
ウイングのオーラに当てられてゴンとキルアの体からエネルギーが迸る

「そのままです!そのまま体外に出た分を体の表面に留めて下さい!」

スウウウ

ゴンとキルアは座禅姿になり、エネルギーの発散を抑えて体に纏わせた

ウイング(こんな一瞬で…座禅は気を高めるときの格好か…)

ウイング「どうですか?オーラが体を覆っているのがわかるはずです」

ウイングは目を開けるように言う
205:2018/04/08(日)21:06:12 Xaj
ゴン「ほんとだ!すごいや!気を出してる時とは比べ物にならないくらいの力を感じる!」

キルア「あぁ、これが兄貴やヒソカの力ってことか」

それぞれが感想を述べながらウイングの指示を待つ

ウイング「まずはそれを維持できるようになりましょう」

キルア「いや、気のコントロールのときと感覚は同じだからもう大丈夫。だよな、ゴン」

ゴン「うん、もう覚えたよ」

余裕で笑って見せる2人
206:2018/04/08(日)21:06:58 Xaj
ウイング(恐ろしい才能…)

ウイング「…まだ、時間に余裕がありますね。今日はもう少しだけ念について話をしましょう」

時間はまだ21時

ウイング「べジータさんもこちらへ。ここからは念の特徴について話をしていきます」

べジータは目を開けて壁から背中を離す

ウイング「では…、念と気の使われ方から」

ウイングはまた話を始める
207:2018/04/08(日)21:07:45 Xaj
ウイング「念は気を模したもの。体を覆い、攻撃力、耐久力、素早さ、などを向上させます。ただし、どうしても気と同じところまでは力を引き出せない」

3人は静かに話を聞く

ウイング「同じエネルギー量なら、気の使い手には、念の使い手は勝てない」

べジータはその言葉に眉をひそめる

まだ続きが、と目配せをしてウイングは続ける

ウイング「だから、念の使い手は力の使い方を試行錯誤しました」

そう言って、今度はホワイトボードに六角形のような図を描く
208:2018/04/08(日)21:14:36 Xaj
ウイング「これは六性図と呼ばれるオーラの特徴を表すものです」



そこには、強・変・具・特・操・放、の6つの言葉がそれぞれの頂点に書かれていた

ウイング「体の表面に纏ったエネルギー、いわゆるオーラには特徴が現れます。それを上手く使うことで不思議な能力を発動させることが可能になります」

例としていくつか説明を、と続ける

ウイング「強化系、放出系は気の使い方とさほど変わりません。強化系は気を込めるのと同じ使い方、そして放出系は亀仙人様が使うと言われる"かめはめ波"というエネルギーを出すものと同じ使い方」

そこまで言ったあと、ウイングは窓の外を指差す
209:2018/04/08(日)21:20:24 Xaj
ウイング「夜空から月が消えたのは、亀仙人様のかめはめ波だと言われています」

それを聞いてゴンとキルアは背筋に冷たいものが流れる

ウイング「具現化系は、何かを作り出す力です。例えば、刀を作ったり、はたまた分身を作ったりなど。気でできないことはないですが、珍しい使い方であると言われています」

それを聞いてべジータはなるほど、と一人笑う

べジータ(カカロットから聞いたあの三つ目のやつの四身の拳や四妖拳やらのことか)





ウイング「変化系はオーラを別のものに変えます。燃える炎のように熱くしたり、酸のように溶かすようなものに変えたり、など。具現化系と使い方が近く感じるのは系統どうしが隣で近いから、ですね」

系統図を指すウイング
210:2018/04/08(日)21:21:44 Xaj
ウイング「そして操作系。これはオーラを使っていろいろなものを操作します。道端の石を持ち上げたり、人形を動かしたり、など」

その説明を聞いて眉を寄せるべジータ

べジータ(ヒソカのやつの力か!?確かに石は飛んできた。オレの体も引き寄せられた…)

ウイング「なにか、気になることでも…?」

ウイングがべジータを見て尋ねる

べジータ「石を飛ばしたり体を引き寄せたりするのは操作系というやつか?」

ウイング「もう既に念能力者との戦闘をを経験済み、ということですか。…あながちそうとは言い切れません」

少し逡巡したのち、ウイングは口を開く
211:2018/04/08(日)21:22:57 Xaj
ウイング「もちろん操作系の可能性は高いです、が。具現化系でも可能です。目に見えない細い糸を具現化し、石や体に纏わせて動かす。変化系も、磁石のような反発・引き合うオーラを作り動かす」

べジータ「ちっ、面倒な力の使い方をしやがる」

ウイング「そうでもしないと真っ当な力の気には勝てなかった、ということでしょう」

ウイングはそう言うと、少し休憩しましょうか、と声をかける

キルア「"特"っていうのは?」

キルアが系統図の一番下を指して尋ねる

ウイング「特質系。これはその系統を持ったものにしか使えないものです。今はまだいいでしょう」

ゴン「自分の系統ってどうやったらわかるの?」

矢継ぎ早にキルアとゴンから質問が飛ぶ

ウイング「系統の見極め方、そこまでやって今日は終わりましょうか。200階の登録にもちょうどいい時間となるでしょう」

そう言ってウイングはズシを呼びに部屋から出て行った
221:2018/04/10(火)20:23:25 7Fg
ズシ「準備できたっす!」

ズシがグラスに水を並々に入れて、上に葉を置いた

ゴン「これは?」

ゴンが覗き込みながら尋ねる

ウイング「これは"水見式"と呼ばれるオーラ判別方法です」



キルア「こんなんで何がわかんだよ」

キルアも不思議そうに尋ねる
222:2018/04/10(火)20:29:22 7Fg
ウイング「このグラスの横に手を置き、練を行う…」

ザザザーーーーー

急にグラスから水が溢れ出す

ゴン&キルア「おおおおおお!!!!」

ゴン、キルアが驚きの声をあげながらグラスに注目する



ウイング「水の量が増えるのは"強化系"の証ですね。皆さんも試してみて下さい」

そう促され、ゴンから始める
223:2018/04/10(火)20:30:49 7Fg
ゴン「練、でいいんだっけ?」ハッ

ザー

ズシ「強化系…結構流れてるっすね」

次の番のズシがすぐ横で見ていた

ズシ「じゃぁやるっす」ハッ

ゆら

今度は葉が揺れる

ウイング「葉が動くのは操作系の証です」
224:2018/04/10(火)20:35:40 7Fg
ウイングの説明もそこそこに、キルアがやり始める

キルア「んじゃいくぜ」ハァッ

だが何も起こらない

キルア「…才能ない感じ…?」

ちょっと困った顔をしながらウイングを見るキルア

ウイング「水を舐めて見てください」

ウイングに促され指を浸けて舐めてみるキルア

225:2018/04/10(火)20:38:29 7Fg
キルア「結構甘い…?これ砂糖水?」

ウイング「いいえ、普通の水です。味が変わるのは変化系ですね」

3人の系統がわかったあと、ウイングはべジータを振り返る

ウイング「やってみませんか?自身の系統がわかれば相手の念への対抗策も見つかるかもしれませんよ」
227:2018/04/10(火)20:47:02 7Fg
促されたべジータはグラスの前に立つ

べジータ「体の外に気を出せばいいのか?」

グラスから視線を上げてウイングを見る

ウイング「はい。気も念も同じエネルギーですから。気を外に出して頂ければ練と同じになるはずです」

べジータ「ふん」

ザッバァアアアアアーーーー!!!!

228:2018/04/10(火)20:47:57 7Fg
グラスから水が大型蛇口をひねったかのように溢れ出す

ゴン「べ、べジータさん気を止めて!」

噴水のように出る水で部屋中水浸しとなる

全員「…」

誰もが無言になる

べジータ「強化系、というやつか?」

固まったままのウイングへ声をかける
229:2018/04/10(火)20:48:48 5mY
単純で一途な強化系
230:2018/04/10(火)20:52:50 7Fg
ウイング「…一体あなたは…?」

答えになっていない問いを返すウイング

そこへキルアが驚きの声を上げる

キルア「この水!真っ青だ!」



水浸しの床を指しながら続ける

キルア「強化系は色も変化すんのかよ!?」

ウイング「…まさか…そんな…。系統は1つのはず…」
232:2018/04/10(火)20:54:09 7Fg
べジータ「ごちゃごちゃと。強化系なのかオレは?」

再度尋ねられたことでウイングは少し落ち着きを取り戻す

ウイング「まだ…はっきりとは言えませんが。強化系であると同時に放出系でもある、のかもしれません」

べジータ「強化系は気の劣化番で放出系は気功波の類いと同じだったか?ならどちらもオレの使っているものと同じということか」

一人で頷きながらべジータは考える

べジータ(念で新しい技が使えるようになるということはなさそうか。だが相手の技の種類が数多く存在するということだけはわかった、といったところか)
233:2018/04/10(火)21:01:06 7Fg
「おい!ゴン!やべぇぞ!」

突然キルアが時計を指して叫ぶ

「あ!もう時間が!」

23:47

もう登録まで時間がわずかとなっていた

「ちっ、急ぐぞ!」

べジータたち3人はウイングへの挨拶もそこそこに200階へと走って行った

(私は…何か恐ろしい化物と会っているのではないのだろうか…)



残されたウイングは額に汗を浮かべながら言い知れぬ不安に刈られていた
244:2018/04/11(水)20:17:16 2K7
~200階 通路~

チンッ

エレベーターが着くと同時に飛び出すべジータたち

ヒソカ「やぁ◆間に合っ」

ヒュン

無視して受付へ走る3人

受付員「200階のご登録ですね?…はい、3人分受け付けました」

受付員はすぐに処理を済ませる
245:2018/04/11(水)20:19:08 2K7
ゴン「ふー、間に合ったね」

キルア「気づいたらあの時間だもんな」

ゴンとキルアが安堵のため息をつく

そこへヒソカがやってくる

ヒソカ「やぁ◆間に合っ」

べジータ「また貴様か。いまから飯の時間なんでな。相手などしてられん」

そう言うとべジータは60階のバイキングへ向けて降りていく
246:2018/04/11(水)20:24:14 2K7
ヒソカは振り返ってゴンたちに声をかける

ヒソカ「やぁ◆間に合ったようだね◆」

ゴン「あ、ヒソカ」

ゴンはやっと気づいたらしくヒソカを見る

ヒソカ「念は習得できたようだね◆見違えるほど強くなっている◆」

キルア「褒められても嬉しくねぇよ」

キルアがツンとしながら横を向く
247:2018/04/11(水)20:29:14 2K7
ヒソカ「だが、まだまだ」ピピピッ

スカウター『175』

キルアの戦闘力をスカウターで測るヒソカ



ヒソカ「念は奥が深い。纏を覚えたくらいで慢心しないでくれよ◆」

そう言い残して通路の奥へと消えていくヒソカ

そしてゴンとキルアは既に姿のないべジータを追いかけて60階へと向かっていった
248:2018/04/11(水)20:30:40 2K7
そしてヒソカやゴンたちを影から見ていた一人の男が姿を現す

星の光に照らされてうっすらと男の姿が見える

長い髪に、頬に傷のある男

その男は一人呟く

長髪の男「ヒソカと子供2人…?それにしてもなかなかやりそうな子たちだ」
252:2018/04/11(水)22:41:58 2K7
~200階 バトルステージ~

アナウンサー"本日の最終試合!ゴン選手VSギド選手!"

大歓声と共にスポットライトが点く

アナウンサー"なんとゴン選手!昨日200階に来たばかりでもうバトル、というヤル気満々な選手です!"

ゴンのスポットライトが強く光る

アナウンサー"この200階まではトントン拍子で上がってきたとのこと!ベテランのギド選手にその力は通じるのか!?"

アナウンサーの盛り上げと共に会場も熱気に包まれる
253:2018/04/11(水)22:44:45 2K7
ゴンは相手選手のギドを見る

義足片足の、なぜ立っていられるかわからない人物



舞台に立つもう一人の人物、審判員が二人を見る

審判員「お互い見合って。…では、始めっ!」

その声と共にゴンへ何かが飛んでくる

ドゴオッ

ゴンは場外に飛ばされ転がる
254:2018/04/11(水)22:47:20 2K7
審判員「クリーンヒット&ダウン!ギド選手2ポイント!」

すかさずゴンは舞台に戻る

ゴン(すごい衝撃だった…!でも…"練"!)ズオッ

ゴンはオーラを練って体に纏う

ドゴオッ

また何かがゴンにぶつかる

だが、今度はよろけただけ

ゴン(コマ!?痛いけど…いける!)

オーラで体を包み、少ないと言えども気で細胞を包んでいる
255:2018/04/11(水)22:48:44 2K7
ゴン「いままでのオレ自身とは、全然違う!」ダッ

ゴンは駆け出してギド本体を狙う

ギド「やっぱりそう来ると思ったよ」

ギドは不敵な笑みを浮かべた途端、急速自転してゴンを吹き飛ばす



審判員「クリティカル!&ダウン!ギド選手合計5ポイント!」

いてて、と起き上がるゴン
256:2018/04/11(水)22:49:45 2K7
ゴン「結構行けると思ったんだけど」

そう呟きながら飛んでくるコマをかわす

ギド「まだ初心者か」

ギドがニヤリと笑う

ギド「オレの竜巻独楽は回転により相手の攻撃をいなしてダメージを与える。オーラの強さもあるが物理的に回転体には直線ダメージは通りにくい」
257:2018/04/11(水)22:50:25 2K7
ゴンは立ち止まってギドを見る

ゴン「教えてくれてありがとう!」

そしてすぐさまコマを避けながら走る

ギド(お礼を言うとは変なやつだ)

だが、それからもゴンは反撃に移れず、飛んでくる舞闘独楽により地道にポイントを削られて負ける

審判員「ギド選手10ポイント!ポイント制によりギド選手の勝ち!」

審判員の宣言と共に試合は終わった
258:2018/04/11(水)22:51:46 2K7
~100階のゴンの部屋~

ゴン「負けちゃったね」

キルア「あたり前じゃん。まだ念について知ったばかりだぜ?怪我しなかっただけ儲けものだぜ」

キルアがゴンを諌めていた

ゴン「キルアはどうする?戦わないの?」

キルア「オレはしっかりこの力を身に付けてからかな」

そう言って拳を握りしめる
259:2018/04/11(水)22:52:37 2K7
ゴン「そういえばべジータさんは?」

キョロキョロと辺りを見回すゴン

キルア「あぁ、確か1日中試合を見てたぜ。んで今日の試合全部終わったからいつものバイキングのとこじゃね?」

ゴン「静かに試合見てただけなんて不思議だね…」

ゴンはそう呟きながら腰を上げる

そして2人は60階のバイキング店へと向かった
262:2018/04/12(木)17:11:58 IAc
今のところの謎まとめ
①フロアマスターは誰なのか
②パンツかぶった子供は誰なのか
③長髪の頬にキズ男は誰なのか
④悟空はどこで何をしてるのか
⑤ベジータが2系統示している理由は

すごい気になる
273:2018/04/12(木)21:30:57 7T9
>>262さん
謎まとめありがとうございます!
全部回収しますよー!
ちゃんと全て設定済みですので!
266:2018/04/12(木)21:12:29 7T9
~60階 バイキング店~

べジータ「遅かったな」

店の前で腕組をして待っていたべジータ

ゴン「あれ?今日はお休み?」

べジータの後ろ、お店に明かりがついていないのを見てゴンは尋ねる

べジータ「閉店とかいうやつだ。理由は知らん。クソッたれ」

毒づくべジータ

キルア(理由がわかるんだけど…)

キルアは心の中だけで考えて2人を促す
267:2018/04/12(木)21:14:49 7T9
キルア「ここよりはちょっと劣るけど、もう1つのバイキング店あるからそっち行こうぜ」

そして62階のバイキング店へ向かう


新しい店に入った3人は、今日の試合について話し始める

キルア「今日のゴンの試合だけどさ、あれも完全に念だよな」

ゴン「うん、ただのコマなのに凄く痛かった」

横腹を擦りながらゴンは答える

べジータ「たぶん…操作系というやつだろう。実物のコマを使ってそれを操っていたようだな」

試合を見ていたべジータはそう話す
268:2018/04/12(木)21:16:06 7T9
キルア「オレもそう思うな。ただ、勝手に動いてるように見えたけどな」

キルアも自分なりの意見を話す

べジータ「勝手に動いていたとしても、自分の思い通りに動かせる可能性も視野に入れておかねばならんがな」

おおー、と感心するゴンとキルア

べジータ「それぐらい常識だ」ふいっ

少し照れたように横を向くべジータ

ゴン「あとはあの自転する防御技はどうしよう…」

ゴンは自身がくらったギドの自転技、竜巻独楽を思い出していた
269:2018/04/12(木)21:17:18 7T9
キルア「あれなぁ…練を鍛えてオーラ増やしても物理的にそもそも不利っていうのがなぁ」

キルアは行儀悪くフォークを口に咥えて天井を見る

べジータ「なんだ?そんなこともわからんのか?」

ふいにべジータが口を開く

ゴン「え!?何か方法あるの!?」

べジータ「回転は中心軸から離れるほど角速度ωの2乗に比例して物理的エネルギーが高まる。ならば中心軸を叩けばいいだけだ」

つまり真上から頭の中心にな、と説明するべジータ
270:2018/04/12(木)21:18:07 7T9
キルア(の、脳筋バカじゃなかったのか!?)

驚愕するキルアと、すごいや!と感心するゴン

キルア「なんでそんな物理的なこと知ってるんだよ」

気になって口に出してしまったキルア

べジータ「ふん、言い方に気を付けろと毎回言ってたはずだ」

べジータはそれしか答えず、空になったお皿を持って料理を取りに行った

そしてべジータがゴンたちと食事をしていた頃
271:2018/04/12(木)21:22:54 7T9
~パオズ山 悟空の家~

悟天「ねぇねぇ、お父さんは?」

悟天が、料理中のチチのエプロンを引っ張る

チチ「またいねぇのけ?3週間くらい前からずーっとこんな感じだべ。困ったもんだ」

ため息を吐きながら悟天の頭を撫でる

悟天「ボクも勉強ばっかりじゃなくてお外に遊びいきたい」

拗ねる悟天
272:2018/04/12(木)21:24:07 7T9
チチ「良い見本になったためしがねぇべ…」

ガックリと肩を落としながらもチチは悟天に説明する

チチ「おっとうは悟天やオラたちが暮らせるように仕事に行ってくれてるんだべ」

チチ(本当に仕事してきてくれてたらいいんだけんど…)

そう思いながらも、悟天には良い父親だと教えるチチ

だが、悟天から爆弾が投下される

悟天「でも、お父さんの橙色の胴着がないよ」
277:2018/04/13(金)19:32:33 Kl3
~ウイングの部屋~

ウイング「さて、一昨日の続きの説明です」

べジータ、ゴン、キルアの3人はウイングの部屋へと来ていた

ウイングから念の使い方、べジータにとっては使われ方、を教えてもらうために

ウイング「まずは気配を消す"絶"から」スッ

一瞬でそこに居ないかのようにウイングの気配が消える
278:2018/04/13(金)19:33:24 Kl3
ウイング「どうですか?これが絶。オーラを絶って気配を消すことで、そこに人がいないかのように気配を消せます」

だが3人とも驚かない

ゴン「大丈夫、それはできるよ」

と、ゴンも同じく気配を消す

キルア「そゆこと」

キルアも頷く

ウイング「…絶、は習得済みでしたか…」

ウイングは出鼻を挫かれる
279:2018/04/13(金)19:34:02 Kl3
ウイング「では少し難易度を上げますよ」

そう言うと、ウイングは花瓶から花を一輪抜き取る

ウイング「先日お見せした花瓶を貫く花を作ります」

ズッ、花を念で覆うウイング

ウイング「見えますか?花の周りにオーラがあるのが」

ゴンとキルアの前に花を近づける

べジータは部屋の隅から遠巻きに見ている
280:2018/04/13(金)19:34:58 Kl3
キルア「なんか…花から圧力を感じるような…」

キルアが目を細めて花を見る

ウイング「周、纏と練の応用技ですがそこはまた後日説明しましょう。まずは花にオーラをまとわせているのが見えると思います」

ゴン「うん、なんとなくだけど見える」

ゴンも目を細めながら頷く

ウイング「いいですね、ではいきますよ…"隠"」フッ

急に花から圧力が消える
281:2018/04/13(金)19:35:42 Kl3
ウイング「どうです?見えますか?」

再度ゴンとキルアに問いかける

べジータも気になるのか、集中して見始める

キルア「オーラを消した?」

キルアが確認するようにウイングを見る

ウイング「いいえ、オーラはそのままです」

証拠に、とウイングは花を壁に投げる

カッ

小気味良い音と共に壁に花が突き刺さる
282:2018/04/13(金)19:37:01 Kl3
ゴン「ほ、ほんとだ!」

ゴンが驚きの声を上げる

ウイング「これが隠。オーラを限りなく見えにくくすることで、念を使っていないように見せる」

ゴンは感心しているだけだが、キルアは汗を流す

キルア「これを使われたら…気付かない間に殺されるね」

危惧したことをそのまま口に出すキルア

ウイング「えぇ、危険性がわかって頂けただけたようですね」
283:2018/04/13(金)19:38:09 Kl3
ウイングたちのやり取りを見ながらべジータは確信していた

べジータ(四次試験でのヒソカとの戦い。あのとき石が飛んでくるのは超能力だと思っていたが…念を使いオーラを隠で隠していたから仕組みが見えなかっただけか)

ウイング「では、この隠を見破る技…"凝"を説明します」

そのウイングの言葉につられ、べジータはゴンたちと同じところまで近づく

ウイング「興味が湧いてきたようですね」

ウイングはにっこりとべジータに微笑む

べジータ「ふん、少しはな」

そんなやり取りもそこそこに、ウイングは説明を続ける
284:2018/04/13(金)19:38:55 Kl3
ウイング「凝とは、隠を見破る技。オーラを目に集中して見えないものを見る」

ものは試しです、とまた花にオーラをまとわせて隠で隠す

ウイング「目にオーラを集中して下さい。見えないオーラが見えてくるはずです」

花に集中する3人

べジータ(なるほど、気を目に集中させれば見えるな)

即座に見破るべジータ

更に思考を加速させる
285:2018/04/13(金)19:39:37 Kl3
べジータ(確かによく考えられてやがる。未来のトランクスの剣も気で覆っていたな…あれを隠せば…驚異を感じずに切り裂かれるわけか)

そんな思考をしている中

ゴン「み、見えた!」

キルア「オレも!」

ゴンとキルアがやっと見えてきたようだ

ウイング「飲み込みが早くて助かります。念能力者との戦いでは凝は必須です。常に凝の状態でいられるようにする必要があります」

今日はここまでです。と説明を終えるウイング

ゴンとキルアはお礼を言い

べジータも世話になる、と一言残して部屋を出た
286:2018/04/13(金)19:40:23 Kl3
~200階ロビー~

一人先に部屋に戻ったべジータと別れて、ゴンとキルアはロビーで選手インタビュー映像を見ていた

キルア「こいつがヒソカの対戦相手か」

キルアが興味深そうに見る

"勝算がないなら戦いませんよ"

カストロと呼ばれる選手が大画面に映し出されていた
287:2018/04/13(金)19:42:57 Kl3
ゴン「すごい自身だよね。優しそうな男の人に見えるのに」

ゴンの言う通り、銀髪の線の細い優男だ

"2年前とは違うというところを見せますよ、我が師に誓って"

キルア「でも…なんか凄い気配を感じるぜ…」

そう言って髪を書き上げたカストロの左頬には、厳しい修行の痕と思われる十字傷がうっすらと見えていた

290:2018/04/13(金)20:27:01 Kl3
~いまから時を遡ること3週間前 ブルマ宅~

悟空「おっすブルマ!」シュン

ブルマ「きゃ!…なによ孫くんじゃない」

ガシャン、と珈琲カップを落とすブルマ

相変わらずいきなり現れる悟空に辟易しながらブルマは尋ねる

ブルマ「今日はどうしたのよ。べジータならトランクス連れて遊園地に行ってるわよ」

カチャカチャと片付けながら行き先を教えるブルマ

悟空「いや、今日はべジータはいいんだ。オラちゃんと仕事しようと思ってブルマに相談に来たんだ」

ブルマは振り返って目を丸くする
291:2018/04/13(金)20:37:07 Kl3
ブルマ「何か変なものでも食べたわけ?」

悟空「いや、オラいろんな人に迷惑かけちまってるからちゃんと働こうと思って」

それが変だって言うのよ、という言葉を飲み込んでブルマは思案する

悟空「チチにも悟飯にもそうだし、べジータにまで世話になっちまったからな」

悟空はポリポリと頭を掻く

ブルマ「あんたにできる仕事ねぇ…。天下一武道会がいまやってたら勧めるんだけど」

なかなか悟空にできそうな仕事が思い浮かばず悩むブルマ
292:2018/04/13(金)20:42:39 Kl3
ブルマ「そうだわ!ちょうどネテロさんが人集めてたのよ」

思い出したとばかりに手を打って電話をかけるブルマ

悟空「ネテロって、あのハンター試験のじいちゃんか?」

ブルマ「ちょっと黙ってて!…あ、もしもし?ブルマだけど。確か腕に自信があって単独で力を発揮できる人?探してたわよね?」

電話口でうんうん、と頷くブルマ

ブルマ「ピッタリなやついるのよ。ちょっと強すぎるくらいだから手加減させるけど。どうー?」

そわそわしながら静かに待つ悟空

ブルマ「おっけー。じゃぁすぐ行かせるわ」

電話を切って振り返るブルマ
293:2018/04/13(金)20:43:43 Kl3
ブルマ「ネテロさんに仕事頼んでもらうように言ったわよ。いまからネテロさんところに行けば大丈夫よ」

悟空「さんきゅー!ネテロのじぃちゃんは…、と」シュン

あっという間に消えていなくなる悟空

ブルマ「何があったか知らないけど…いい傾向じゃない」

フフ、と笑って時計を見るブルマ

ブルマ「お昼、か。ちゃんとべジータ支払いできてるかしら?」

トランクスではなくべジータにクレジットカードを持たせたブルマの心配は尽きることがなかった
295:2018/04/13(金)20:46:54 Kl3
~同じく3週間前 ハンター協会会長室~

シュン

悟空「おっす!」

ガタン!

盛大に転けるネテロ

ネテロ「い、いきなりなんじゃ!?」

悟空「オラだよじいちゃん」

悟空はにっこりとネテロに笑いかける
297:2018/04/13(金)20:53:36 Kl3
ネテロ「お、おぬしはこの前の…」

悟空「あんときは世話んなったな!ハンター試験合格できなかったのは残念だったけどすんげー楽しかったぞ」

ネテロ「ブルマさんからの紹介というのはお主かの?」

ネテロは落ち着いて確認を取る

悟空「そうだ、オラ仕事探してて」

ネテロ「まぁお主なら確かに充分じゃろ」

悟空「んで、何すればいいんか?」
298:2018/04/13(金)21:03:05 Kl3
ヤル気満々の悟空

ネテロ「ちょっと待つのじゃ。誘いたい者もおるからの」

電話をかけ始めるネテロ

ネテロ「ワシじゃ、ネテロじゃ。うむ、元気にしとるかの?すまんが200階クラスの担当者に回してもらえんかの」

そのまま無言で待つネテロ

ネテロ「おお、久しぶりじゃの。あの件を進める時が来た、と言えばわかるかの?最上階のあの者をスカウトしたいんじゃが…、なんと!自分に勝てたら行ってやる、とそう言ったか…うーむ」

電話をしながら考え込むネテロに悟空はやきもきし始める
299:2018/04/13(金)21:11:23 Kl3
ネテロ「一度引きずり下ろすかの、フォッフォッフォッ」

そう笑いながら悟空を見るネテロ

ネテロ「ちょうど良いやつがおるんでな。そちらに行かせるとするかの」

それで電話を切ったネテロは悟空に振り返る

ネテロ「悟空とやらよ、仕事の前に連れて来て欲しいものがおるのじゃが」

悟空「誰だ?強ぇのか?」

ネテロ「腕は十二分に確かじゃろうて。だが時間がないのでな」

そう言って地図を広げるネテロ
300:2018/04/13(金)21:16:14 Kl3
ネテロ「あと2日で大仕事が始まる。それまでに連れて戻ってきて欲しいのじゃ。無理ならお主だけで行ってもらうことになるがの」

悟空「オラ別に一人でもいいけど、強ぇやつなら戦ってみてぇな」

そしてネテロは地図を指す

ネテロ「ここじゃ」

『天空闘技場』

302:2018/04/13(金)21:37:12 Kl3
~現実時間 200階 宿泊ゾーン~

キルア(カストロの部屋はこの辺りか…)

足音を立てず、気配を消しながらカストロの部屋に近づくキルア

キルア(いる!)

ドアの隙間からカストロを確認したキルア

そこへカストロから声がかかる

カストロ「入って来ていいよ、キルア君」

キルアの方を振り向くこともなく、カップに口を付けながら呼ぶカストロ
303:2018/04/13(金)21:45:01 Kl3
キルア「…なんで、わかった…?」

キルアはポツリと口に出す

カストロ「君ほどの使い手が急に気配を絶ったら気にするのは当たり前じゃないのかな?」

微笑みで返すカストロに渋々ドアをくぐるキルア

カストロ「そんなところに立ってないで…」

フッ

カストロ「こちらに」



キルアの眼前から消えたカストロがキルアの後ろに立ってた
304:2018/04/13(金)21:50:37 Kl3
カストロ「どうしたんだい?いま紅茶を入れるよ」

そう言ってキルアの背中をテーブルへと押す

見回してもカストロは一人しかいない

キルア「双子…とかじゃないよな?」

キルアは振り返って尋ねる

カストロ「あぁ、ダブルのことどこかで聞いたのかな?」

笑顔のままズズッとカストロがブレる

305:2018/04/13(金)22:04:12 Kl3
キルア「なっ!?」

驚愕するキルア

カストロ「これは私の分身を作っただけさ」

簡単そうに言いながら続ける

カストロ「でも君の後ろに立ったのはダブルの能力じゃない、ただのスピードだよ」

キルアは何も言えずに佇む

カストロ「…私の師はこんなレベルではなかったがね」
306:2018/04/13(金)22:05:12 Kl3
押し黙ってしまったキルアにカストロは反応を見るためか話を続けた

カストロ「君もいつか私の師に出会うことだろう。さて、紅茶は何がいいかい?」

キルアは首を横に振る

キルア「いや、いいや。本当に凄いのがわかったから今日は帰るよ」

カストロ「そうかい?じゃぁバトルオリンピアで待っているよ」

そこまで聞いたあと、キルアは部屋をあとにした
307:2018/04/13(金)22:12:18 Kl3
~100階 ゴンの部屋~

ゴン「おかえり。どこ行ってたの?」

キルア「…カストロのとこ」

ゴン「えぇ!?カストロっていまからヒソカと戦うあの選手!?」

驚くゴン

キルア「うん、相当ヤバかった」

ゴン「そんなに…?」

あぁ、と続けるキルア
308:2018/04/13(金)22:17:51 Kl3
キルア「いつの間にか後ろを取られてたし、自分の分身を涼しい顔で作り出したんだぜ」

分身…とゴンが呟く

キルア「でもそれだけじゃないはずなんだ。ダブルって呼んでた分身の技をあんなに軽々しく見せるなんて…」

ゴン「それ以上の技がある、ってことかな…?」

そうだと思う、と頷くキルア

ゴン「と、とりあえずオレたちが戦うわけじゃないんだしさ!いまからの試合でそれが見れるんだからいいじゃん!」

立ち上がって明るく声をかけるゴン

キルア「…そうだな。とりあえず試合を見ればわかるか」

キルアも立ち上がる

ゴン「じゃぁべジータさん呼んでヒソカ戦見に行こう!」

ゴンの言葉と共に二人は部屋をあとにした
309:2018/04/13(金)22:33:28 Kl3
~200階 バトルステージ~

アナウンサー"ご覧下さいこの大歓声!!!歓声の波でウェーーーブが出来そうなほど!!!"

かつてないほどの熱気に会場は包まれている

アナウンサー"カストロ選手は2年前、ここでヒソカ選手に惜しくも破れています!今日はそのリベンジとなるか!?"



キャーーーーーー

カストロにスポットライトが当たった瞬間、黄色い女性の声援が飛ぶ

アナウンサー"対するは悪魔とも呼ばれるヒソカ選手ーー!戦ったら負けなし!フロアマスターに最も近いと言われる選手です!"

ウォラアアアアアアア

ヒソカにスポットライトが当たった瞬間、罵声と怒号が飛ぶ
310:2018/04/13(金)22:39:17 Kl3
ゴン「凄い熱気だね」

ゴンが苦笑いする

キルア「そりゃな。ヒソカからポイント取ったのってあのカストロだけらしいしな」

調べてきたキルアがゴンに教える

べジータはうるさい観客にイライラしながらも、抜け目ない眼差しでヒソカを見ていた

べジータ(この戦いでヒソカの本領がわかるはずだ。あのカストロとかいうやつ相手に手加減しながら勝てるとは思えん)
311:2018/04/13(金)22:49:09 Kl3
舞台の上ではカストロとヒソカが言葉を交わしていた

カストロ「この2年…特に師を仰いでからのこの1年、力を磨くことに注力してきた」

カストロの強い意志がオーラとなって体から溢れ出す

ピピピ

スカウター『101…365…1064』

ヒソカ「相当、頑張ったみたいだね◆」

ヒソカにしては珍しく、少し驚いた顔をする

カストロ「余裕ぶっていられるのもあと僅かだぞヒソカ」

ヒソカ「それはボクが決める◆」
313:2018/04/13(金)22:58:44 Kl3
シャーーーー、とトランプを弾きながら笑むヒソカ

ヒソカ「それと、師とは誰だい?」

カストロ「君では絶対に勝てない人、としか今は教えられない」

ヒソカ「殺さずに倒せば教えてくれるのかな◆」

ヒソカの笑みが深くなる

カストロ「それができれば、だがな。師からは君と戦うにはまだ早いかもしれないと言われたが、それでも私は負けるつもりなどない」

そしてその会話を区切るように会場にアナウンサーの声が響き渡る

"さぁ!!いよいよ始まります!!!ヒソカ選手VSカストロ選手のバトル開始です!"

審判員「始めぇええええ!!!」
315:2018/04/13(金)23:05:18 Kl3
ドゴォオオオオン

会場の壁に何かが衝突する

舞台にいるのはカストロ選手のみ

審判員「………!く、クリティカル!&ダウン!カストロ選手3ポイント!」

一瞬何が起こったかわからず固まった審判員

ガラガラ

瓦礫から起き上がるヒソカ

口からは血を流している

審判員「やれるか!?」

ヒソカ「…もちろん◆」

嬉しそうにヒソカは審判員に答え、スタスタと歩いて舞台へ戻る
316:2018/04/13(金)23:11:25 Kl3
カストロ「まだまだこんな物ではないぞ」

カストロは忠告するようにヒソカに言う

ヒソカ「やるね…確かに速さは本物◆」

カストロ「ゆっくりでも避けられはしないさ」

ゆらっ

カストロは先程とは違い、ゆらりとヒソカへ近寄る

ヒソカの眼前まで近づいた瞬間に拳を振り抜く

ブンッ

ヒソカは紙一重で避けたと思ったところに

ドガァ

ヒソカは倒れ込む

審判員「クリーンヒット!&ダウン!カストロ選手合計5ポイント!」
317:2018/04/13(金)23:19:33 Kl3
ヒソカ(避けたはずなのに当たった…)

ヒソカは流れる鼻血を親指で拭いながら考える

ヒソカ「いま、キミがブレたように見えたけど◆」

カストロ「謎解きをしている間に終わるぞヒソカ」

ヒソカ「まだまだ余裕◆」

煽り返すヒソカ

カストロ「ならばその腕でももらってやろう」

カストロは両手を前に出し、上下に構える

アナウンサー"おおっとー!出たーーー!カストロ選手!虎咬拳の構え!!大木をも切り裂くと言われる強力な技!ヒソカ選手なすすべなく殺られるのかー!?"
318:2018/04/13(金)23:34:02 Kl3
カストロ選手が虎咬拳の構えを取り、気を高めていたとき

会場の中段にあるVIPルームに一人の子供が入る



?1「おま!なんて格好してんだ!」

?2「えへへ、いいだろー。すんげぇ可愛い子がいたからつい」

女性の下着を被った子供とは思えないセリフを吐く

?3「まさか盗んで来たんですか!?」

?2「ちげぇよ、ちゃんと脱いだあとのをシャワー室からこっそり。でも見かけによらず、くまさん(´・(ェ)・`)パンツだんったんだぜ」

にへへへへ、と笑うその様は異様だった
319:2018/04/13(金)23:42:27 Kl3
そして舞台の上ではカストロの気が手に集まっていた

キルア「すげぇオーラだ」

ゴン「うん、充満してるのがわかる!」

キルアとゴンは固唾を飲んで見守る



ヒソカ「準備はできた?◆」

ヒソカは待っていたとばかりに、左腕を差し出す

カストロ「遠慮なくもらうぞヒソカ」

ダッ

左腕に向かって駆け出したカストロ

ザンッ

鈍い音と共にヒソカの腕が飛ぶ

だが、飛んだのは右腕だった
320:2018/04/13(金)23:50:33 Kl3
カストロはヒソカの右腕を文字通り切り裂いていた

審判員「クリティカル!カストロ選手合格7ポイント!」

ヒソカは笑みを絶やさない

ヒソカ「なるほど…能力はキミのダブルか◆」

カストロ「やっとわかったか」

スウウ、と分身するカストロ

"おおっとーーー!ヒソカ選手の腕が千切られたと思ったら今度はカストロ選手が二人にー!?これはどういうことだーーー!!"

アナウンサーの解説もヒートアップする
321:2018/04/13(金)23:57:44 Kl3
キルア「あれが言ってたダブル、分身さ」

キルアが指を指してゴンに言う

ゴン「本当に…二人いる…」

ゴンも真剣な眼差しでカストロを見る

べジータ「あんなもの対した技ではない。せいぜい目眩まし程度だな」

腕を組ながらしかめっ面のべジータ

ゴン「なんで?すごいと思うんだけど…」

不思議がるゴンにべジータは説明を始める

べジータ「自分のオーラで分身を作り出すんだ。作り出したオーラが半分になるなら、元々の自分から見たら力が半分の者が二人出てくるだけだ」

なるほどね、とキルアは頷く
322:2018/04/14(土)00:02:55 KD8
べジータ「格下相手ならいいが、同格の相手にあれを使うなどあり得んな。たぶん本人もわかっているだろうがな」

ゴン「え、わかってる?」

まだよくわからない感じのゴン

べジータ「最初の攻撃、あれはダブルを使っていない。ダブルを見せたのは単身攻撃とフェイントのダブル攻撃があるのだ、とわからせる為だろう」

ゴン「はぁー、凄いや」

感心しきるゴン

べジータ「これからが本番だ。どちらも本気を出すぞ」

クイッ、と顎で舞台に注目しろとべジータは促した
323:2018/04/14(土)00:12:09 KD8
ヒソカ「じゃぁ、ボクも本気でいこうかな◆」

落ちた腕を拾い上げるヒソカ

カストロ「少し遅かったんじゃないのか?」

余裕の笑みを見せながらダブルを戻すカストロ

ヒソカ「流石、自分の能力をわかってる、ということか◆」

今度はヒソカがカストロを驚かせる番

スウ…ピタ

ヒソカが千切れた腕を自身の肘に合わせた瞬間

傷がなくなり腕が元通りになる
324:2018/04/14(土)00:12:51 KD8
クイックイッ

更に動かしてまでみせる

カストロ「ど、どうなっている!?」

カストロは慌てる

確かに切断したはずだ、と

指先に手応えが残っている

ククク、と笑うヒソカ

ヒソカ「キミの攻撃は効かないから好きにさせていたんだよ◆」
326:2018/04/14(土)00:28:02 KD8
カストロ「く、くそぉおおお!!!」

カストロはヒソカに飛びかかるが、ヒソカはトランプを目眩ましの様にばらまいて避ける

だがカストロは追い縋り技を繰り出す

カストロ「虎咬風風拳!!!」

ハイ ハイ ハイ グオー!!

雄叫びと共に繰り出された技は、寸でのところで全てトランプに威力を削がれてヒソカに届かなかった

そして最後の攻撃をしゃがんでかわしたヒソカは、足元に鋭い回転下痢を食らわせ、倒れるカストロの顎を左拳で打ち据える
328:2018/04/14(土)00:32:12 KD8
カストロ「あ…」



カストロは混濁する意識の中、倒れ込む

ヒソカ「キミの敗因は未完成な技で挑んできたこと。完成された技なら最初から使うはずだからね◆足元が留守になっているのを直したら…また再戦しよう◆」

そう言ったあと、カストロに近づき蹴り上げるヒソカ

ドゴォオオオオン

カストロはべジータの席の隣まで飛んでいた

ヒソカ「次は…キミの番◆」

そう言い残してヒソカは会場をあとにする

"か、カストロ選手KO!ヒソカ選手の逆転勝ちです!"

ワァーーーーーー

大歓声と共にカストロとヒソカの戦いは終わった
333:2018/04/14(土)17:30:12 Rwd
足元がお留守なプロ野球選手の師匠が居そう
334:2018/04/14(土)19:42:37 KD8
~200階 ヒソカの部屋~

ヒソカ「やぁ◆」

嬉しそうに笑むヒソカ

マチ「なんなのあんた?最初から本気で戦えばいいのに」

冷たく突き放すマチ

ヒソカ「ちょっと成長の仕方が面白くてね◆」

ククク、と笑うヒソカにマチは少し睨み顔で尋ねる
335:2018/04/14(土)19:46:18 KD8


「あんた、あたしの下着盗ってないわよね?」

「下着…?さぁ、知らないな」

ヒソカの嘘は見破れないが、マチの勘は違うと言っていた

「…じゃぁいいわ。さ、腕だして」



マチに自分の千切れた左腕を渡す

それを受け取り、ピッ、と針を取り出すマチ

針先に念を込め始める
336:2018/04/14(土)19:49:44 KD8
キラキラと針の後ろに見えないほどの糸が現れる

念糸縫合!



あっと言う間に腕が元通りになる

「キミのこれが見たいが為に怪我をするのかも◆」

「それよりも団長からの伝言よ」

そう言ってマチはヨークシンシティでの集合場所と日時を伝える
338:2018/04/14(土)19:53:33 KD8
ヒソカ「りょーかい◆…どうだい、これから食事でも◆」

そう誘うも、振り返ったときにはもうマチはいなかった

ヒソカ「…ザンネン◆」



そしてヒソカはシャワーを浴びながら次の獲物を考える

ヒソカ(べジータは…次で終わり◆そうだね…そろそろ…)



蜘蛛を狩るか、と1人呟き、背中の刺青を剥がして握りつぶした
341:2018/04/14(土)19:59:13 KD8
~200階 宿泊施設前 通路~

廊下に出たマチはイライラを抑えながら歩く

ふと顔を上げたとき

遠くに変な子供がいるのが視界に映る

曲がり角を曲がろうとしているようだ

目を細めると…



マチ(私の下着ッ!!!!)
342:2018/04/14(土)20:01:11 KD8
絶も忘れて物凄い勢いで駆けるマチ

その気配に気付いてか、子供がマチの方を向く

マチ(しめた!顔が見え)

だが振り返った子供は…顔をマチの下着で隠していた

マチ(なんて被りかたッ!!!)



子供からはマチが見えたようで、即座に曲がり角へ消える
343:2018/04/14(土)20:02:16 KD8
しかしマチの念を足に込めた速度は異様な速さを誇る

一瞬でその曲がり角の通路に着く

だが

曲がり角の先には大人がまばらに歩いているだけだった

マチは目を疑う

確実にこの曲がり角を曲がったはずだ

そして曲がり角の先は長い直線の廊下

隠れる場所もない
344:2018/04/14(土)20:05:59 KD8
マチ(あの子供が曲がってからあたしがこの曲がり角に着くまで0.8秒…、この長い廊下を次の曲がり角に行くまではあたしでも1.7秒はかかる…)

つまり自分の2倍以上の身体能力か念能力者でなければ無理

そうそうそんなに高い身体能力を持つものはいないはず

念能力だとしても、凝をしているが隠れている痕跡もない

歩く大人の影に物理的に隠れていないかどうかも確認したが見つからない

つまり、マチは見失った

マチ(見つけたあの瞬間に糸を付けていれば…)



マチは歯噛みしながら天空闘技場を後にした
357:2018/04/16(月)19:48:56 eW2
~200階 医務室~

ゴン「あ、意識戻ったみたいだよ!」

目を開けたカストロを見てゴンが反応する

キルア「カストロ、オレがわかる?」

キルアがカストロへ話しかける

カストロ「私は…負けたのだったな…」

確実に負けた記憶の残っているカストロは項垂れる

カストロ「君たちが私をここまで運んでくれたのか?」

ゴン「ううん、べジータさんが運んでくれたよ」
358:2018/04/16(月)19:50:54 eW2
誰だ?という疑問が湧くが、まだ体が動かせず周りを見ることはできない

それを察してか、キルアが言う

キルア「いまはいないぜ。さっき放送でオレたち3人の対戦が決まったって流れてたから、それ確認しに行ってる」

カストロ「そうか…」

カストロはそれだけを言うと無言になる

ゴン「でもさ、ほんと凄かったよ!最初の攻撃は見えなかったし、分身も出てくるし、最後の技だって手の動き全然見えなかったよ!」

ゴンが試合を思い出しながら感想を述べる

カストロ「それでも届かなかったがな…」

キルア「最後の技、あれ使わずにやれば試合はどうなってたかわかんないんじゃね?」

落ち込むカストロにキルアも励ましのアドバイスを送る
359:2018/04/16(月)19:52:22 eW2
カストロ「カッとなったのもあるが、師の技で決めたかったのもある。弱点を残した未完成のまま放った私が悪いのだがな」

ゴン「未完成?」

ゴンが気になった言葉を聞く

カストロ「手の動きばかりに注力してしまい、足元が疎かになる。師は既にその弱点も消しているが私はまだ…」

ゴン「そういやさ、カストロさんの言ってる"師"って誰なの?」

キルア「それ、オレも気になってたんだよ」

ゴンとキルアが二人で尋ねる

カストロ「師はこの世で最強のお方だ。念ではなく気を操り、放出した気弾を自由に操作し、全てを切り裂き、空を飛び、眩しく輝く」
360:2018/04/16(月)19:54:21 eW2
ゴン「…凄いや」

キルア「ダブルもその人から…?」

カストロ「そう、元々は師の仲間の技で4人に分身する技だそうだが、師が身に付けられたのは2人までだそうで、私もその人数にしか分身できなかった」

そう話すカストロに、まだかな?という顔で二人が見てくる

カストロ「…?あぁ、別に隠すことじゃないから教えるよ」

その人の名は、

カストロ「こ━━」

バンッ!!

大きな音と共に勢いよくドアが開けられる

べジータ「喜べ!オレ様もお前たちも試合が決まったぞ!」

試合の決定通知を持ってやって来たべジータに話は中断され、同じタイミングで入ってきた医師に面談時間終了を告げられた
366:2018/04/16(月)21:18:47 eW2
~ウイングの部屋~

ウイング「なるほど。次の試合が1週間後ですか」

試合の決定通知を見ながらウイングは頷く

ゴン「しかもオレ、キルア、べジータさんの3連続!」

キルア「それにべジータさんの対戦はあのヒソカ。ゴンはまたコマ使いのギド。オレはリーベルトっていうよくわかんないやつ」

ウイングはべジータを見る

ウイング「昨日のヒソカの試合は見ていましたか?」

ベジータ「もちろんだ」
367:2018/04/16(月)21:19:51 eW2
ウイング「ここに試合の録画があります。まずは全員で見てみましょう…凝を忘れずに」

そしてテレビ画面に録画映像を流す

ウイング「さて、べジータさんに質問です。ヒソカ能力は何に見えますか?」

ベジータ「隠で隠しているが粘着性のゴム、だな。ハンター試験のときはわからなかったが昨日で確実にわかった。そして、おそらくだが変化系というやつだろう」

おぉ、と感心するゴンと、だよな、と頷くキルア

ウイング「流石です。では、どう戦いますか?」

質問のレベルを一段階上げる
368:2018/04/16(月)21:20:50 eW2
考え込むベジータ

ゴン「そんなに悩む必要ある?」

ゴンが誰ともなく尋ねる

ゴン「そのゴムに気を付けながら攻撃すれば良いだけでしょ?」

そう尋ねるゴンだが、ウイングは首を横に振る

ウイング「ベジータさんが悩んでいるのにも理由があるんですよ。まず、ヒソカの能力をゴムと呼びましょうか」

そして説明を続ける
369:2018/04/16(月)21:22:08 eW2
①もし自由にゴムを飛ばせたら?
⇒避けるのは難しい。

②体のどこからでもゴムを出せたら?
⇒殴った瞬間にゴムをつけられる

③ゴムが相当伸びるなら?
⇒引っ張っても外せない

ウイング「他にも切り離したときにでも使えるか、などの注意点はありますが、これだけでも相当厄介です」

言い終えたウイングに続いてキルアも話す
370:2018/04/16(月)21:23:40 eW2
キルア「能力がバレても問題がないほどに応用力があるってことか…」

ゴン「そんなとこまで考えきれないや…」

ゴンは目を回したように頭を抱える

そして、静かに考え込んでいたべジータが口を開く

ベジータ「ゴムであって、バネではない」

ウイングたちは黙って続きを聞く
371:2018/04/16(月)21:24:57 eW2
ベジータ「収縮させてはいるが、反発させてはないな。飛んで行くトランプも、カストロとトランプを結んで収縮させている」

ならば、と

ベジータ「付けられたゴムの位置を把握して、そちらに引っ張られることを念頭に置いて戦えばいい。あとは気弾で弾幕を張れば飛んでくるゴムには対処できる」

ウイング「流石ですベジータさん」

ウイングは手放しで誉める

少し得意気なべジータに、再度ゴンが尋ねる

ゴン「前に戦った時もゴムにやられたの?」
372:2018/04/16(月)21:27:24 eW2
ベジータ「だろうな、急に顎がやつの膝に引き寄せられて…!」ハッ



腕組みを解いて何かがわかったような顔をするべジータ

ベジータ「顎…とはいえ、力が拮抗していた状態で一撃だったというのは…」

ウイング「拮抗していて一撃…」

ウイングはべジータの呟きを逃さず聞いていた

そしてべジータにこう告げる

ウイング「べジータさん、もしかするとヒソカも危ない橋を渡っていたのかもしれませんよ?」
378:2018/04/16(月)22:10:40 eW2
ベジータ達がウイングの部屋でヒソカの能力について話し合っている時間から、遡ること3週間


~3週間前 ある上空~

悟空「どこ行けばいいんだ?」

悟空は迷っていた

悟空「オラ地図の見かたなんてわかんねぇぞ…。確か天空の塔だとか言ってたような…」

うーん、と空中で悩む悟空

悟空「…カリン塔?行ってみっか!」ヒュン
379:2018/04/16(月)22:22:46 eW2
~3週間前 カリン塔~

ヒュン

悟空「おっす!カリン様!」

ズルッ!!わわわわわわわわ!

カリン「悟空!急に出るんじゃない!」

悟空「たはは、わりぃわりぃ」

急に現れた悟空に驚き、下界を覗いていたカリンは落ちそうになっていた

カリン「…ふぅ。なんじゃ一体」

悟空「いやぁちょっと道に迷っちまってよぉ」

そう言って地図をカリンに見せる
380:2018/04/16(月)22:38:40 eW2
カリン「うん?これのどこに行きたいのじゃ?」

悟空「あり?どこだっけな?」

カリン「い、行きたいところもわからんようじゃワシにもわからんぞい…」

困るカリンと悟空に声がかかる



ヤジロベー「なんだ?悟空だぎゃ」

悟空「おーー!ヤジロベー!懐かしいなぁ!」

ヤジロベー「おみゃーさんが修行ばっかりで顔ださねぇから久しぶりに感じるだけでねぇか」

悟空「そー言うなよー、そうだ!ヤジロベー知らねぇか?なんとかの塔っちゅう高い塔!」

なんとかの塔ぉ?と、眉を寄せるヤジロベー
381:2018/04/16(月)22:53:05 eW2
悟空「あー、なんか天下一武道会みたいな戦いができるとこだとか言ってたな」

ヤジロベー「それ、天空闘技場のことだぎゃ」

それそれ!!と、嬉しそうにヤジロベーの背中を叩く悟空

カリン「ワシはそんな俗物知らんぞ」

ヤジロベー「オレがわかるからいいだぎゃ。カリン様は今回役立たずだぎゃな」

スコーン

杖でヤジロベーを叩くカリン
382:2018/04/16(月)22:55:59 eW2
ヤジロベー「何するだぎゃ!」

カリン「お主はちーーーーっともワシを敬っておらんな」

ヤジロベー「ちょっとしたことで我慢できずに叩くやつをどう敬えばいいだがや」

バチバチと目線で火花を飛ばす二人

悟空「ちょっとカリン様にヤジロベー、それより先にオラにその塔の場所教えてくれよ」

ヤジロベー「ふん、地図だとこの場所だぎゃ」

ヤジロベーは地図に丸を付ける
383:2018/04/16(月)22:57:38 eW2
悟空「でもオラ地図の見かたわかんねぇぞ。どっちの方向にあるんだ?」

ヤジロベー「そこまでわかるか」

ヤジロベーが匙を投げる

カリン「ほら見ろ、ワシの出番じゃないか」

そしてカリンはヤジロベーの丸を付けた場所を確認して、悟空に北北西の方向を指す

カリン「この方角じゃ。ずーっと真っ直ぐ行ったところじゃな」

ヤジロベー「天空闘技場は確か1000m近くあるから行ったらすぐわかるんでねぇか」

ヤジロベーがそれとなくフォローする

悟空「サンキュー!ヤジロベーにカリン様!絶対また来るから!」

そして悟空は高度を落として1000m付近の高さに合わせて飛んでいった

384:2018/04/16(月)23:11:42 eW2
~3週間前 天空闘技場~

悟空「多分ここだな」

シュタ

降り立つ悟空

悟空「んで、ここで1番強いやつに勝って連れていけばいいのか…あっ!」

そう言えば…、と腕を見る悟空

悟空「ハンター試験のあとにリミッター外してもらうの忘れてた…。まぁいっか」

そして悟空は受付で尋ねる
385:2018/04/16(月)23:12:33 eW2
悟空「1番強ぇ奴と戦わせてくれ」

受付員「えっと、当闘技場での目的は…?」

悟空「フロアなんとかっていうのと戦って連れてかなきゃなんねぇんだ。仕事してお金稼がねぇといけなくて」

受付員は首をかしげながら確認する

受付員「フロアマスターのことでしょうか?お金に関してはこちらで戦って勝ち進んで頂ければ充分なお金が手に入ると思いますよ」

悟空「そうそう、フロアマスターっちゅぅやつだ!戦えばお金みらえるのはほんとけ!?」
386:2018/04/16(月)23:18:32 eW2
受付員「えっと、まずご登録はお済みでしょうか?」

悟空「登録?オラここで1番強ぇやつに勝って連れてくだけでいいんだ」

受付員「ここで戦う為には登録が必要でして…。1番強い方のいる250階まで勝ち上がって頂か━━」

悟空「250階か、サンキューな!」

それだけ言って飛んで上階を目指す悟空

387:2018/04/16(月)23:19:48 eW2
悟空「ん?ここか?」

スタッ

外から見える最上階の空中舞台に降り立つ

悟空「誰もいねぇな…。ちょっくら見回るか」

舞台の階段を降りて室内の廊下を歩く

悟空「変な文字で読めねぇけど250だけはわかるな」

じゃぁここでいいのか、と探し始める悟空

そして視線を感じる

悟空「誰だ!」バッ
388:2018/04/16(月)23:21:44 eW2
振り向いたが誰もいない

悟空「あり?視線感じたんだけどなぁ」

辺りを探すが、曲がり角の先にも、置いてある観葉植物の影にもなにも見あたらなかった

悟空「明日までに探さねぇと時間切れで戻らなきゃいけねぇから急がねぇとな」

そう呟きながら下の階へ悟空は降りていく

?(ビックリした!なんでここに!?とにかく…明日までいるなら明後日までみんなで隠れないと!)
389:2018/04/16(月)23:23:03 eW2
~3週間前 天空闘技場200階受付~

悟空「いぃぃ!?ついさっき居なくなっちまったぁ!?」

悟空は大声をあげていた

受付員「はい、ほんのつい先ほど。お部屋から受付に電話がありまして…。数日留守にするから部屋のクリーニングを頼む、と」

悟空「困ったなぁ…、明日までにはなんとか会えねぇのか?」

受付員「私ども受付ではどうしようも…」

困り顔の受付員にはどうしようもなく、悟空は引き下がる

悟空「どうすっかなぁ。諦めて戻るか…せっかくだからちょっと戦って行くか?お金になるって言ってたし」

悟空(それにしてもフロアマスターって良い生活してるんだな)

悟空は思案しながらとりあえず1階へと向かった
393:2018/04/17(火)19:32:15 D0j
(現在時間)
カストロVSヒソカ戦から1週間後

~200階 バトルステージ~

アナウンサー"さぁ!今日のバトルステージは3連続バトルです!しかもその最後にはあのヒソカ選手が待ち構えていますッ!"

ワァアアアアアアアアアアアアア

一週間ぶりの大バトルに冷めやらぬ観客

アナウンサー"第一バトルはリベンジ戦!ギド選手VSゴン選手!果たしてゴン選手はギド選手へのリベンジとなるか!?"

先週のカストロとヒソカの試合に続き、リベンジ戦とあって観客は待ちきれない、といった様子
394:2018/04/17(火)19:33:06 D0j
ギド「オレとの前回の戦いから2週間も経ってないのに何が変わったというんだ?」

ギドがニヤリと笑いかける

ゴン「ちゃんと違うってところ見せるよ」

ゴンは嬉しそうに笑って拳を見つめる

ゴン(まだ不完全だけど"発"に当たる必殺技も身につけた!早く試してみたい!)

そして審判員の合図で始まる

審判員「ポイント&KO制、試合開始!」
395:2018/04/17(火)19:33:58 D0j
<ゴンVSギド>

ビュン!!!

ギドからコマが飛んでくる

ゴン「もう効かない!練!」

ゴンは一気にオーラを出してコマを真正面から受け止める

ギド「…!ちっ、確かにパワーアップだけはしたようだな」

だが、とギドは自転を始める
396:2018/04/17(火)19:34:36 D0j
ギド「竜巻独楽に死角はない!弾き続けてポイントダウンさせてやる!」

ギュイイイイイン

高速自転をしながらゴンを追い続けるギド

アナウンサー"ああっとーー!ギド選手!勝ちパターンに持って行ったかー!?"

ゴンは焦らず避けながらオーラを練る

そしてギドを避けて飛び上がる
397:2018/04/17(火)19:35:36 D0j
ギド「フフフ、空中ではもう避けられんぞ!」

ギドは即座にUターンしてゴンの真下に位置取る

そして

ドオン!

砕かれた舞台のセメントの砂ぼこりでギドとゴンの姿が見えなくなる

空調により少しずつ砂ぼこりか晴れ、二人が見える

「な、なぜだっ!」
398:2018/04/17(火)19:37:17 D0j
そう声をあげたのはギド

義足の足が舞台にめり込み、上半身だけが筍のように出ている

ゴン「べジータさんに教えてもらったからだよ。回転の中心を叩け、って」

そう、ゴンは真上からギドの頭を叩き、舞台にめり込ませたのだった

ギド「く、くそっ!これでは回転できない!」

焦るギドに近づき、ゴンは拳にオーラを集める
399:2018/04/17(火)19:37:39 D0j
ゴン「いくよ!"硬"!」

ドオオオオオン!!

ギドは吹き飛んだ

ゴンの足元には義足が落ちている

ゴン「悪い人じゃない限り、こんなので人を殴ったりしないよ」

ギド「ギド選手戦闘不能!よってゴン選手の勝ち!」

ワァアアアアアアアアアアアアア
400:2018/04/17(火)19:38:09 D0j
リベンジ戦を制したことで割れるような大歓声が起こる

アナウンサー"なんとなんと!あっという間に試合終了!前回とは比べ物にならないほどパワーアップしたゴン選手!頭脳とパワーの両方を使ってリベンジを成し遂げました!"

試合のあとは、施設管理者たちが舞台の損傷修理に入る

ゴンの叩いたところを中心に直径2mほどの穴ができていた
401:2018/04/17(火)19:39:55 D0j
~200階 バトルステージ裏 控室~

アナウンサー"さぁ、舞台の修理も間もなく完了致します!おまちかねの第二試合が始まります!"

舞台の修理を待って、キルアは控え室で待機していた

カチャ

ドアが開く

キルア「カストロ!もう大丈夫なのか!?」

慌ててキルアが近づく
402:2018/04/17(火)19:40:58 D0j
カストロ「おかげでだいぶ良くなったよ。…次に戦うべジータとか言う選手は?いや、登録名だと王子だったか?」

キルア「なんかイメージトレーニングだとか言ってまだ自室で瞑想してたよ」

カストロ「そうか…タイミングを逃したか…」

悔しそうにするカストロ

キルア「どうかした?」

カストロ「…ヒソカの能力だ。ゴムかガムのような念だけじゃない…何かもう一つある」
404:2018/04/17(火)19:42:11 D0j
キルア「もう一つ?何だよそれ」

カストロ「そこまではわからない。だが…切断した腕が元通りになった」

眉間に皺を寄せるカストロ

キルア「それは見てたから知ってるよ。ゴムの能力でくっ付けて動かしてただけじゃん」

カストロ「そこじゃない。文字通り"元通り"だったんだ」

何を言って…、と言いかけたキルアにカストロが続ける
406:2018/04/17(火)19:45:56 D0j
カストロ「傷がなかった。虎咬拳で引きちぎった腕だ。ゴムの念でくっ付けても傷跡が消えるわけない」

キルア「…うーん、そうかもしんないけど、でも昨日歩いてるヒソカ見たけど念使わずに腕使ってたぜ。オーラを込めれば自然治癒力も高まるし、スッゲー細かいゴムの念で綺麗にくっつけたら元通りに動かせるんじゃね?」

カストロ「私は違う気がする…。だが確証のないことを言っても混乱させるだけかもしれんな」

まぁ会えたら注意するように言っとくよ、とキルアは請け負い、逆にカストロに尋ねる
407:2018/04/17(火)19:46:59 D0j
キルア「そういやさ、なんでオレやゴンのこと知ってたの?部屋に行った時に名前まで知ってたし」

カストロ「あぁ、それなら」

カストロはゴンとキルアが最初に200階に来たとき、ヒソカと話をしていたのを見ていたのだ、と話す

ヒソカと対戦するカストロにとっては、何か有益な情報が入るかと思っての行動だった

キルア「納得」

と、頷くキルア

そしてそこに第二試合の準備完了案内が流れる

アナウンサー"さーーーー!準備完了!第二試合始まります!選手は舞台へ!!"
414:2018/04/18(水)20:18:00 fQ6
<キルアVSリールベルト>

キルア「おっちゃん、車椅子だけど大丈夫なの?」

頭の後ろで手を組んで、余裕そうに対戦相手を見るキルア

リールベルト「クソガキが。いまに見てろ!」

試合開始の合図をまだかと待つ

アナウンサー"第一試合に続き200階最年少の片割れ、キルア選手!対するはベテランのリーベルト選手!二人とも速さを得意とする選手!目が離せません!"

審判員「準備はいいか?ポイント&KO制!試合開始!」
415:2018/04/18(水)20:19:18 fQ6
どう攻めようか、とリールベルトが考えた瞬間

シュッ

キルアが目の前から消える

ゾクッ、と背筋に不安を感じたリーベルトはオーラバーストで急速発進して逃げる



キルア「その車椅子、結構速いね」ニヤ

後ろの首筋へ手刀一発で終わらせようと考えていたキルアは、やっぱり無理か、と笑う
416:2018/04/18(水)20:22:44 fQ6
リールベルト「ガキの割にはやるようだな!」シュル

リールベルトは鞭を取り出す

リールベルト「ソングオブディフェンス!高速で動く鞭は常人には見切れない!」

ヒュンヒュンヒュンヒュン

キルア「見切れないなら弾けばいいだけさ」

キルアは左右の人差し指を数cm程離した状態で向かい合わせる
417:2018/04/18(水)20:24:03 fQ6
バチ、バチバチバチ



静電のスパークが鳴る

リールベルト「な、なにっ!?」

キルア「何って?ただの"電気"」

リールベルト「オーラを電気に変えた…だと!?」

驚愕の事実にリールベルトは動きが止まる

キルア「来ないなら行くぜ?」
418:2018/04/18(水)20:25:42 fQ6
リールベルト「ならこっちも電気だ!」

リールベルトは鞭に高圧の電気を流す技、サンダースネークを使ってキルアに迫る

そして鞭がキルアに触れる瞬間

キルア「雷掌(イズツシ)!」

バシュン!

鞭が炭になり崩れて消える
420:2018/04/18(水)20:28:52 fQ6
リールベルト「なっ!なにっ!?」

キルア「当たり前じゃん。高い電圧かけて大電流が流れてるところに、更に電流流したんだから高熱で炭化するよ」

リールベルト「…なぜそれだけの電圧を持ったオーラを作れる!」

キルア「小さい頃から流されてたから、かな」



ゾッ

リールベルトはキルアの家での扱われ方をイメージして背筋が凍る
421:2018/04/18(水)20:29:42 fQ6
リールベルト「…オレの…敗けだ…」

そして静かに呟き、試合が終わる

審判員「リールベルト選手のリタイアにより、勝者!キルア選手!」

シーン

アナウンサー"な、なんと!高電圧の鞭を更に高電圧で退けたキルア選手!ものの数分という呆気ない幕切れですが、絶対的な強さを見せて勝ちました!"

リールベルト「サダソにはお前たちとは戦うな、と伝えておくか…」

一人呟き、リールベルトは会場を後にした
423:2018/04/18(水)20:34:19 fQ6
~200階 バトルステージ観客席~

ゴン「お疲れキルア」

キルア「別に全然疲れてない。あーぁ、つまんなかった」

そんな言い方しなくても、と苦笑いのゴン

キルア「ま、次は凄い戦いになるから見物だな」

確信を持って言うキルアにゴンも頷く

ウイング「あぁ、ここに居ましたか」

そこへウイングがやってくる
424:2018/04/18(水)20:35:13 fQ6
ウイング「すみません、ズシの試合と重なってしまいまして。お二人がここにいるということは、次はベジータさんですか?」

キルア「そゆこと」

ゴン「ズシはどうだったの?」

その問いに、微妙な笑い顔をするウイング

ウイング「勝ちましたよ…ギリギリで。今は疲れてベッドの中です」

と、ズシがここに居ない理由も合わせて説明する

そして、会場に歓声が上がる

どうやら第三試合、ベジータとヒソカの試合開始のようだ
425:2018/04/18(水)20:38:55 fQ6
~200階 バトルステージ~

アナウンサー"さぁ!皆さまお待ちかねのヒソカ戦!今日の相手は200階バトルが初の王子選手!いったいどんな試合になるのか!?"

舞台には既にベジータとヒソカが立っている

アナウンサー"190階までの情報では、全て一撃で倒して勝ち上がってきた王子選手!強者の予感がプンプンです!"

そして!と続けざまに

アナウンサー"対するは言わずと知れた悪魔!ヒソカ選手!1週間前のカストロ選手との戦いで千切れた腕もいつの間にか元通り!奇術師の異名は伊達ではありません!"
426:2018/04/18(水)20:41:28 fQ6
ワァアアアアアアアアアアアアア

これまでにない熱気、そして会場には地響きまで感じる

ベジータは我関せず、ただヒソカを視線で射抜いて待つ

そんなベジータにヒソカはゾクゾクと興奮を高めていく

427:2018/04/18(水)20:42:32 fQ6
観客席にいるゴン達も熱気と緊張に当てられてそわそわとする

ゴン「ベジータさん負けないよね?」

ゴンが確認するようにキルアを見る

キルア「…わかんねぇ。というかカストロからの伝言伝えてねぇや」

伝言?と首をかしげる

キルア「ゴムのオーラ以外に何か能力があるかも、って。何かはわかんない、とも言ってたけど」

歯切れ悪そうに答えるキルア

ウイング「いえ、伝えなくて良かったですよ。曖昧な情報で困惑させるよりマシです。…そろそろのようですね」

ウイングは頷きながらそう答えた
428:2018/04/18(水)20:43:28 fQ6
いつの間にか静まり返った会場


始まりの瞬間を待つ観客の緊張が伝染して、アナウンサーすらも何も話さない

審判員「…ポイント&KO制、始めっ!」

審判員の合図が上がるも、微動だにしない二人

そのまま緊張の静寂が流れる

ヒソカ「ククク◆」

静けさを破ったのはヒソカの笑い声
429:2018/04/18(水)20:44:29 fQ6
ヒソカ「イイネ◆前より断然緊張感があるよ◆」

ベジータ「嘘をつくなよ」

笑むヒソカの言葉をベジータが切る

ベジータ「前の戦いでは捨て身でギリギリだったようだな」

今度はベジータが笑う

ヒソカ「やっと気付いたのかい?◆」ニヤ

今度こそ本当に嬉しそうに笑うヒソカ
430:2018/04/18(水)20:52:28 fQ6
そしてあの戦いを思い出す

あのとき、ヒソカは体全てを無防備にしてまで、膝にオーラを一極集中させてベジータを倒した

攻撃が少しでもずれていたら生身の体にベジータの本気の拳が突き刺さって死んでいただろう

ヒソカ「キミが光った時の強さはホンモノだったよ。あのまま戦っていたら当然負けていたのはボクだろうね◆」

でも、と続ける

ヒソカ「捨て身だろうと、それを狙ってギリギリの命を楽しんで戦うから面白いんじゃないか◆そしてその一瞬の判断がボクとキミとの差」
431:2018/04/18(水)20:57:17 fQ6


スゥ

ヒソカが構えを取る

ベジータ「なるほど…。だがあのときとは違うということをわからせてやる!」

ゴウッ!

ベジータが金色に光る

ヒソカ「…そう来なくちゃ◆」

ズォオオオオ

ヒソカもオーラを纏う
432:2018/04/18(水)20:58:16 fQ6
ヒュン

一瞬で二人が舞台から消える

シャシャッ ガッ

見えた頃には、ヒソカが口から流れる血を拭っていたところだった

ベジータ「どうした?ゴムのオーラも付ける余裕がないか?」

腕組みをしたまま笑うベジータ

審判員「(見えない!だがヒソカがダメージ!)…王子選手クリーンヒット!ポイント1先取!」

審判員ももうついていけず、後追いで判断してポイントを宣言する有り様
433:2018/04/18(水)21:03:40 fQ6
ヒソカ「念…は使わないのかい?」

ヒソカは持ち直しながら尋ねる

ベジータ「気の方が強いんでな。凝のようなものだけは使ってやってるがな」

ヒソカ(同じくらいの戦闘力のはずだがこのダメージ…。そしてこの単純なまでの力押し…)

ヒソカ「強化系、だから念を使おうがその気というものを使おうが同じ、ということかな」

ヒソカはベジータのオーラを強化系と断じる
434:2018/04/18(水)21:05:16 fQ6
ベジータ「どこで調べた!」

反応するベジータ

ヒソカ「調べたんじゃない。ボクなりの性格判断さ◆」

『強化系は単純一途』

そう言いながらベジータを指差す

ベジータ「ほう、これ以上に怒らせたいらしいな」

ヒソカ「当たったみたいだね◆」クク

笑うヒソカにベジータも笑い返す
435:2018/04/18(水)21:08:20 fQ6
ベジータ「気を念のように使えば強化系だが…もともとのオレの気の性質は放出系らしいぞ」

そう言った瞬間、握っていた拳を開く

ドッ!

ヒソカの周囲から土埃が舞い上がる

ヒソカ(念弾!?)

慌てて一歩距離を取るヒソカ

ベジータ「今のは軽い挨拶程度だ。最後はギャリック砲で消し去ってやろうか?」
436:2018/04/18(水)21:14:20 fQ6
ヒソカ(放出系…?オーラは一つしか性質を示さないはず…)

思案するヒソカ

ベジータ「オレ様は念の性質は強化系、そして気の性質は放出系。つまり2つの系統どちらも最大威力で使えるということだ!」



そのベジータの一言のあと、また二人がぶつかる

ベジータの拳が当たる瞬間に、その拳にバンジーガムを纏わせ、微妙に軌道をズラして避け続ける

少しでも距離を置けば、ベジータの放出技が飛んで来るのでヒソカはベジータから離れられず、追い縋って近距離でかわし続ける
437:2018/04/18(水)21:15:14 fQ6
ベジータ「そらそら!どうした!自慢のゴムもそんなものか!」

更に拳速を上げるベジータ

チッ チッ と、攻撃がかすりはじめ

ドグッ

鈍い音と共にヒソカの腹部に拳が突き刺さる

ガハッ と大きく吐血しながら、それでもベジータの頭を掴む

ベジータ「どうした?また頭を引き寄せて顎狙いのワンパターンか?」
438:2018/04/18(水)21:16:29 fQ6
そう言いながらベジータは攻撃を緩めない

バシイッ と頭を掴むヒソカの腕を弾き、両手を振り上げて握り、逆にヒソカの頭に振り下ろす

ドォオオオオオオン

舞台に叩き落とされたヒソカで会場が揺れる

ベジータ「まだまだぁぁあああ!!!」バババ

なんとか起き上がろうとするヒソカに追い討ちの気弾を放つ

ドドドドドドドッ

辺りに砂煙がもうもうと立ち込め、舞台は見えなくなる

ベジータ(ふん、微かに気を感じる。死んでないとは頑丈なやつだ)

気を探りながら降り立つベジータ

そして砂ぼこりが次第に晴れる

そこに見えたものは
445:2018/04/19(木)20:17:51 6a2
ヒソカが倒れていた

悠然と近づくベジータ

ベジータの気弾によってヒソカの上半身の服は燃え去り、髪も一部焦げていた

審判員「く、クリティカル×3!&ダウン!王子選手ポイント合計8!」

腹部への一発、頭部への一発、気弾での連撃の3回をカウントしてポイントが一気に跳ね上がる
446:2018/04/19(木)20:18:40 6a2
ベジータ「ふん、これで充分だろう」

急にベジータが脱ぎ始める

カウントをとろうとした審判員がそれに驚くが、構うことなく上を脱ぎきった

食い入るようにベジータを見る観客

なぜなら、通常服の上から着けるものが裸に着いていたからである

ベジータ「貴様にやっとこれが返せる」
447:2018/04/19(木)20:26:31 6a2
おもむろにサスペンダーを取り外すと、ガサゴソとヒソカに着け始めるベジータ

パチン

最後のワニ口クリップを着け終えた瞬間

はーっはっはっはっ!!!



雄叫びを上げて喜ぶベジータ
450:2018/04/19(木)20:35:56 6a2


倒れたままのヒソカ

はっ、と現実に戻った審判員がカウントを取り始める

審判員「か、カウント!1、2、3、4、5、6、7、8━」

ベジータ「ふん、無━━━」

スゥゥ

ベジータが無駄だと言いかけたそのとき

ヒソカがゆっくりと起き上がる

ベジータ「なっ!なにっ!」

ベジータの驚く声にも反応はない

審判員「や、やれるか…?」

顔を覗き込んだ審判員にも反応はない
453:2018/04/19(木)21:12:19 6a2
観客席ではウイングが震えていた

ゴン「だ、大丈夫?ウイングさん」

心配するゴンを余所にウイングはぶつぶつと呟く

ウイング「金色に光るなど見たこともない…圧が通常時から数十倍も跳ね上がるなどあり得ない…内在するオーラの底も見えない…これだけ恐ろしいのにそれでもこの圧しか感じられない…なぜなんだ…」

スーパーサイヤ人になったことでの気の跳ね上がりにおののくと共に、ベジータが内在する気をうっすらと感じ取り、本来の力がこんなものではないのではないかと不安から膝を抱え始める

ウイングを横目に、キルアは決着の瞬間を待った
454:2018/04/19(木)21:13:56 6a2
審判員「反応がないため━━━━」

審判員がベジータの勝ちを宣言しようとした瞬間、ヒソカが審判員の口を左手で塞ぐ

ヒソカ「…まだ、終わってナイ…」

意識の戻ったヒソカ

ヒソカ「だいぶ…意識が飛んでいたようだね」

辺りを見回したあと、自身の体を見る

ヒソカ「…なるほど◆」

着けられたサスペンダーをつまんで軽く引っ張る

パシン
455:2018/04/19(木)21:15:00 6a2
ヒソカ「イイネ◆これは返されて当然◆」

そしてベジータを見る

ベジータ「ちっ、つまらん反応しやがって。しぶとい野郎だ。次で終わらせてやる」

腕組みを解いて構えに入るベジータ

ヒソカ「ククク◆悔しがったほうが良かったかな?◆」

こんな風に、と言いながら右足で舞台を踏みつける

ドゴッ

深さ20cm程の小さな穴ができる
456:2018/04/19(木)21:23:20 6a2
ベジータ「ふん、たかだかそんな穴しか開けられんとはな」

ニヤリと笑うベジータ

ヒソカ「そう言うなよ◆キミが裸だから照れて力が出ないのかも◆」ククク

ベジータを指差して笑うヒソカ

ベジータ「くそっ!」

だがベジータの反応は違った

すぐに自身の全身を見回したあと、迎撃の構えを取る
457:2018/04/19(木)21:24:17 6a2
ヒソカ「…流石◆いまのを見切られるとは」

ヒソカが冗談を交えて油断させながらベジータを指した瞬間に、バンジーガムを飛ばしてベジータに付けたのだ

ベジータ「また顎に付けやがって…。その右手を砕けば終わりだ!」

ベジータはヒソカに突っ込む

ドゴォオオオオ

ベジータの放つ拳を両腕でガードしたヒソカだが、威力に耐えられずに両腕とも折られて倒れ込む
461:2018/04/19(木)22:14:34 6a2
ベジータ「ふんっ、これで終わりだな」



顎に付いていたオーラも消え、ヒソカを見下ろすベジータ

だが、ヒソカは両腕を折られながらもまだニヤリとしながら立ち上がる

ベジータ「気味の悪い野郎だ…」

ヒソカ「ククク◆ここまでやられたのは初めてだよ◆」

ベジータ「何が嬉しい!くそっ」

余裕があるように見せるヒソカに段々とイラつきを覚えるベジータ
462:2018/04/19(木)22:15:43 6a2
ヒソカ「断言しよう。キミはまた顎を射抜かれて終わる」

だらりと腕を下げた満身創痍のまま宣言する

ベジータ「戯れ言ぬかしやがって!貴様こそ終わりだぁああ!」

ガクッ

踏み込んでボディーブローを放とうとしたベジータがよろける

ベジータ(なっ!穴!?足元にそんなものなかったはず━━━)

研ぎ澄まされた神経により、走馬灯のように景色がゆっくり見える
463:2018/04/19(木)22:16:29 6a2
顔を上げてヒソカを見ると左から蹴りが飛んで来るのがわかる

ベジータ(まずい!顎に当たる!)

近づいてくる蹴り

顎だけは引いて頭へのダメージは覚悟するベジータ

そして蹴りが当たる瞬間

グイッ

後頭部を引っ張られて顎を突き出すベジータ

ベジータ(なっ…!)

それが最後の意識となった
464:2018/04/19(木)22:17:15 6a2
審判員「……7、8、9、……10!」

気がついた時にはカウントは終わっていた

審判員「勝者!ヒソカ選手!」

ワァアアアアアアアアアアアアア

大歓声で終わる試合

ベジータ「…く、くそっ」

膝を付くが、それ以上立ち上がれないベジータ
465:2018/04/19(木)22:18:06 6a2
見下ろすヒソカは告げる

ヒソカ「宣言通り◆」

ベジータ「何を…しやがった」

ヒソカを見上げるベジータ

そしてヒソカはクイッと顎で少し離れたところを示す

落ちているのはハンカチ

スタスタと近づき、足で軽く踏む

ヒソカ「誰かさんのせいで手が使えないんでね◆」
466:2018/04/19(木)22:18:47 6a2
その瞬間、ハンカチが舞台の石板に同化すうように溶け込む

ヒソカ「ドッキリテクスチャー◆質感を変えるだけの簡単なもの…だからこそ凝でも見破れない◆」

ベジータ「そんなものが、何だと…言うんだ」

息を切らしながら問うベジータ

ヒソカ「ボクが開けた穴、そこにこれを付ければ…」

ズリッ、と足でハンカチをずらして、ベジータが踏み外した穴に被せる
467:2018/04/19(木)22:19:52 6a2
ベジータ「…!穴が…消えた!…なるほど…」

ヒソカ「やっとわかったかな?◆」

薄く笑うヒソカ

ベジータ「だが、まだわからん、ことが、一つある」

ヒソカ「何かな」

ベジータ「オレの、後頭部を、引っ張った、のは…」

ヒソカ「ククク、もちろんボクのバンジーガムさ◆」
468:2018/04/19(木)22:21:27 6a2
グッ、と苦しそうにしながら立ち上がるベジータ

「そんなこと、わかって、いる」

「…いつ、付けたのか?という質問なら”最初”と答えよう◆」

なんだと?と眉を寄せるベジータ

「キミに空中でボディーブローをもらったあと。あのときボクはキミの後頭部を掴んだ」

はっ!と思い出すベジータ

ベジータ(あのとき後頭部に付けられて…反対側は後ろの壁か床に飛ばしていたのか…。だから見えずに引っ張られた…)

ヒソカ「あんな状態じゃないと付けられないからね◆」
469:2018/04/19(木)22:22:15 6a2
そしてヒソカは言う

・攻撃が決まった瞬間は油断しやすい

・凝をしていても体の死角は物理的に見えない

・相手の攻撃を潰した瞬間が最も動きを読みやすい

全てベジータの行動に当てはまっていた
470:2018/04/19(木)22:22:45 6a2
ボディーブローを決めたあと、ヒソカに後頭部を捕まれても何とも思わなかった

なぜなら自分の攻撃が素晴らしく決まったからだ

凝で確認をしたときも、顎のオーラしか見つけられなかった

なぜなら自分の後頭部は見ることができないからだ

最後にヒソカの両腕を潰して、顎のオーラもなくなり、安心してがら空きのボディーにラストを決めにかかった

なぜなら目の前に開けたボディーがあったから
471:2018/04/19(木)22:30:12 6a2
全て読まれていたのだと

それを理解したベジータ

ベジータ「オレの…負けだ」

ヒソカ「ククク◆」

ヒソカは笑う

ヒソカ「もし、またヤりたいなら…次はヨークシンで◆」

ベジータ「9月1日か…」

ヒソカ「…知っているなんて光栄だね◆じゃぁこれは借りとして受け取っておこう◆」

ベジータに着けられたサスペンダーをパシンと弾くヒソカ

そして最後にこう言う

ヒソカ「それより、"負けだ"、なんてカッコつけてるけど…もう審判がキミの負け宣言してたじゃないか◆」ククク

くそぉおおおおおおおおおおおお!!



バカにされたベジータの雄叫びでその日は終了した
472:2018/04/19(木)22:30:52 6a2
~250階 フロアマスター居室~

?3「またヒソカが勝ったみたいですね」

?1「誰が来ても大丈夫だ」

?2「まぁそうだよな」

余裕の笑みを見せる男がそこにはいた
481:2018/04/20(金)20:41:03 Ey2
ベジータVSヒソカ戦から1週間

ゴン、キルア、ベジータ、そしてカストロも順調に勝ち続けていた

連日のバトルの繰り返しで、ついにベジータは今日で10勝(1敗)を達成していた

482:2018/04/20(金)20:42:06 Ey2
~200階 バトルステージ~

アナウンサー"王子選手!怒濤の連戦連勝!ついに10勝を勝ち取りました!!膝を折ったのは一度だけ!破竹の勢いでここまで駆け上がって参りました!"

そして大画面には230~250の数字が映し出される

アナウンサー"さぁ、どの階のフロアマスターと戦うのか!?観客席から250との掛け声が上がっております!"

250! 250! 250!

アナウンサー"歴代最強と名高い250階フロアマスター!圧倒的な力を見せつけ、わずか11日でその座に登りつめました!"
483:2018/04/20(金)20:45:27 Ey2
250! 250! 250!

アナウンサー"フロアマスターの初挑戦にいきなり歴代最強に挑むのか!?"

ピッ、と大画面を指差すベジータ



アナウンサー"おおっとー!?画面を指しました!!舞台のアナウンサーに尋ねてもらいましょう!"

そして舞台に立つアナウンサーがベジータにマイクを向ける
484:2018/04/20(金)20:46:24 Ey2
ベジータ「もちろん、250階の野郎だ!」

アナウンサー"来ました!最強フロアマスターに挑戦状を叩きつけましたーーーーー!!!"

ワァアアアアアアアアアアアアア

アナウンサー"これは見逃せません!!遂に引きずり降ろされるのか!?しかもバトルは明日!4月21日です!"

ワァアアアアアアアアアアアアア

ワァアアアアアアアアアアアアア

その大歓声を受けながら、ベジータはくるりと踵を返し、会場を後にした
499:2018/04/21(土)21:00:14 8sH
~200階 休息フロア~

ゴン「ベジータさん凄いや!」

駆け寄ってくるゴン

キルア「なんか拍子抜け。こんなもんだっけ200階って」

あっという間にフロアマスター戦にまで手を伸ばしたベジータと、天空闘技場のレベルに呆れるキルア

ベジータ「お前たちももう5勝ずつしてるだろう」

キルア「まぁね」

軽く頷くキルア
500:2018/04/21(土)21:01:10 8sH
ほゴン「そうそう、オレたちウイングさんから免許皆伝ってことで、裏ハンター試験に合格したよ!」

キルア「あー、それそれ。びっくりしたよな。まさかそんなルールになってるなんてな」

なんだそれは?、と問いかけようとしたベジータにキルアが続ける

キルア「あ、ちなみにベジータさんは最初から裏ハンター試験も合格だったって。気が自在に操れる人に合格うんぬん言うのも不遜だとか言ってたけど」

ゴン「明日がフロアマスター戦だよね?」

改めてゴンが確認してくる
501:2018/04/21(土)21:01:58 8sH
ベジータ「ふん、早くて助かるぜ」

キルア「敵情視察はいいのか?」

ゴン「誰であろうと構わん。ぶっとばせばいいんだからな」

そう言ってニヤリと微笑むベジータ

ゴン「フロアマスターに勝ったらどうするの?」

残るのか、帰るのか、どちらにするのか聞くゴン
502:2018/04/21(土)21:03:01 8sH
ベジータ「…帰ることにする。9月1日、ヨークシンでヒソカに再戦を申し込む予定だ。ここでフロアマスターとやらに勝ったらもう用はないのでな」

ゴン「そっかぁ…。寂しくなるね、キルア」

キルア「オレたちはフロアマスターに勝ったとしても、ここで修行続けるよ。カストロもいるし」

ベジータとは違い、このままここで修行を続けるというキルアたち

ゴン「もちろん9月1日はオレたちもクラピカとレオリオに会いにヨークシン行くよ!カストロさんも来てくれるかもって!みんなでまた会えたらいいね!」

ベジータ「ふんっ」

言葉とは裏腹に、口の角を上げたベジータ

そして3人は自然と解散し、次の日を迎える
503:2018/04/21(土)21:05:58 8sH
~250階 フロアマスター居室~

?1「やっと挑戦者が出て来たか」

そう言いながら

カチャリ、とクローゼットを開く

?1「準備はしとかないとな」

明日のバトルで着る胴着を取り出す

?1「あとは…」
504:2018/04/21(土)21:07:28 8sH
?2「これも持って行きますよね?」

?1「あぁ、一応そうするか」

小さい袋を受けとる

?3「グァーーーゴ、グァーーーゴ」

?1「相変わらずイビキのうるさいやつだな…」

星の光に照らされてシルエットが一瞬映る



そして夜は更けていく
506:2018/04/21(土)21:08:54 8sH
~200階 バトルステージ~

熱狂覚めやらぬ会場

先週のヒソカ戦以上の盛り上がりを見せる会場

既に立見客までも出て、観客席は満員以上となっていた

アナウンサー"さぁ!始まります!!!バトル前からこんなに盛り上がっているのは初めてかもしれません!!!"

ワァアアアアアアアアアアアアア

ワァアアアアアアアアアアアアア

ワァアアアアアアアアアアアアア
507:2018/04/21(土)21:10:14 8sH
観客席ではゴンとキルア以外に、カストロもやって来ていた

ゴン「ベジータさん勝てるかな?」

キルア「ヒソカぐらいのやつじゃなきゃ楽勝でしょ」

心配するゴンとは対照に、キルアは楽観視した言葉を述べる

カストロ「いや、確実にヒソカ以上だ…」

なんで…?と聞こうとしたゴンの隣に誰かが座る
508:2018/04/21(土)21:11:38 8sH
ドサッ

ゴン「え?…ひ!ヒソカ!!」

腰を浮かせるゴン

ヒソカ「ククク◆何もしないから安心してよ◆」

カチャリ

ポケットから何かを取り出して顔に装着するヒソカ

キルア「天空闘技場出て行ったんじゃねーのかよ」

いぶかしむキルア
509:2018/04/21(土)21:12:39 8sH
ヒソカ「ちょっと250階のフロアマスターが気になってね◆ベジータ、彼ならきっと挑戦すると思ったからそれだけでも見ておこうと思ってね◆」

カストロは無言でヒソカを見る

ヒソカ「ボクに何か?◆」ククク

薄く笑うヒソカ

ヒソカ「そうそう、フロアマスターがボク以上って言うのはなんでか━━━」

言いかけたヒソカの言葉を遮るように会場が湧いた
510:2018/04/21(土)21:13:27 8sH
アナウンサー"王子選手が舞台に姿を見せました!!!250階のフロアマスターに継いで、歴代2位の早さで挑戦権を獲得しました!紛うこと無き最強クラスの選手です!!!"

ふっ、と笑みを浮かべながら腕組みをして待つベジータ

アナウンサー"強者、王者、最強、その名を欲しいままにしているフロアマスター!登場はまだか!?まだか!?"

ワァアアアアアアアアアアアアア

ワァアアアアアアアアアアアアア
512:2018/04/21(土)21:14:37 8sH
舞台へ繋がる通路にフロアマスターは立っていた

?1「"王子"とはふざけた名前してるな」

?2「そうですよ!簡単にやっつけちゃって下さい!」

?3「期待してるぜ!その間にオレは…ニヒヒ」ボフン

?2「あ!またイタズラしようとしてる!ダメだよ!」

?3「わ、わかったよ!試合の間はちゃんと応援するよ」

?2「舞台袖まで行って近くで応援しますからね!」
513:2018/04/21(土)21:16:40 8sH
そして…

アナウンサー"ついに!ついに登場です!"

喜色を帯びた声でアナウンサーが告げる

通路からフロアマスターが悠然と、その威厳を持って歩いてくる

その後ろには小さな影が2つくっついてくる

通路を出た瞬間に強烈なスポットライトに当てられる

?1(眩しくて舞台が見えない…どんなやつだ…)

アナウンサー"出たーーー!!最強のフロアマスター!その名も…"
516:2018/04/21(土)21:18:38 8sH
『『『荒野の狼!!!』』』



アナウンサーの声に揃えて、会場の観客もその名を叫んだ

ワァアアアアアアアアアアアアア

その熱気に答えるように、右腕を上げながら舞台へ向かって歩く、荒野の狼

舞台袖へついたところで、後ろをついてきていた二人に声をかける
518:2018/04/21(土)21:20:14 8sH
ヤムチャ「すぐ終わる。そこで待ってろ」

シュッ くるり スタッ

飛び上がりざまに空中回転して舞台へ着地する

ワァアアアアアアアアアアアアア

キャァアアアアアアアアアアアア

その姿に黄色い声援も上がる

ヤムチャ「さぁ、終わらせるか」

そして、やっと眩しいスポットライトにも慣れて対戦相手を視界に納めた
519:2018/04/21(土)21:22:11 8sH
ベジータ「む、なんだ貴様!ヤムチャじゃないか!」

ヤムチャ「べ、ベジータ!なんでここに!?」

ヤムチャと呼ばれた男、荒野の狼

ベジータ「貴様が最強のフロアマスターだと?」

この野郎…、と拳を握りしめるベジータ

ヤムチャ(ひ、ヒィィ!)

後ずさるヤムチャ
521:2018/04/21(土)21:26:44 8sH
ウーロン「ヤムチャ頑張れよー!!!」



プーアル「ヤムチャ様頑張れー!って…あれは?」

ウーロン「べ、べ、べ…ベジータじゃんか!」



ヤムチャにくっついて舞台袖まで来たプーアルとウーロンもベジータに気付く
522:2018/04/21(土)21:32:06 8sH
そして観客も

ざわざわ

観客『荒野の狼ヤムチャ様の後ろにいるやつって…』

ざわざわ

観客『あの下品な豚の顔…見間違えないわ!』

ざわざわ

観客『私、おでこに6つの点をつけた小さな子供が豚に変身したの見たわ!』

ざわざわざわざわっ

観客『『『『私の下着盗んだ奴!!』』』』
523:2018/04/21(土)21:33:50 8sH
会場中の女性がウーロンを指す

ウーロン「ま、まずい!なんでバレたんだ!?」

ヒュンヒュン パリンパリン

ウーロンに瓶が投げつけられる

避ける度にポケットから下着が落ちる



観客『『『変態のブタよーーーーー!!!』』』

まずいっ!下着を拾い集める間もなく

ウーロン「じゃ、じゃーなヤムチャ!プーアルも!」

ダダダダダダダダダダダ

どこかへ走り去って行った
525:2018/04/21(土)21:34:56 gLj
あの子供ウーロンやったんか
526:2018/04/21(土)21:35:37 8sH
ひそひそ

観客『きっと荒野の狼ヤムチャ様もグルよ』

ひそひそ

観客『250階で隠れて何してたのかしら』

その矛先はヤムチャへ向けられる

ヤムチャ(せ、せっかくカッコいい地位を築いて来たのに…)
531:2018/04/21(土)21:40:33 8sH
アナウンサー"ひ、一波乱ありましたが試合を始めます!"

アナウンサーが会場の雰囲気を察して試合を促す

審判員「KO制!バトル、始めっ!」

審判員も即座に試合開始を宣言

ベジータ「ちっ、くだらん」



既にベジータは興味を失ったようにそっぽを向いていた
532:2018/04/21(土)21:41:35 8sH
ヤムチャ「あ、あの~。このバトルは無しということで…。できたらオレの勝ちで終わりたいなぁ~なんて、あはは」

窺うように尋ねるヤムチャ

ピクッ

片眉を上げるベジータ

ベジータ「相変わらず逃げ腰の野郎が」

ヤムチャ「いや~、たはは」

ヤムチャは機嫌を損ねないようにだけ注意して後頭部をポリポリと掻く
533:2018/04/21(土)21:42:33 8sH
ベジータ「ふん、ちょうどいい。オレ様はリミッターで1000までしか戦闘力を出せん」

その言葉に首をかしげるヤムチャ

ベジータ「ブルマのやつに戦闘力を抑え込むものを付けられていてな」

と、腕を見せる

ベジータ「戦闘力ではなく戦い方を鍛えている。どうだ?貴様も戦闘力を1000までで抑えて戦い方で勝敗を決めるというのは」

ヤムチャにとっては嬉しい提案だった

ヤムチャ(戦闘力が同じなら!なんとかなるかも!)
536:2018/04/21(土)21:44:51 8sH
ヤムチャ「そ、それでいいかな。あ、あはは」



それを聞いたベジータは気合いを入れる

ハァアアアア シュインシュインシュイン

そして早速スーパーサイヤ人となった

ヤムチャ(た、確かに気が小さい!これなら!)

そしてヤムチャも気合いを入れ始める

ベジータ「ちゃんと上手く合わせろよ」
537:2018/04/21(土)21:45:49 8sH
観客席ではカストロが愕然としていた

カストロ「師のあんな姿は始めてだ…」

ゴン「え、フロアマスターが師だったの?」

カストロの言葉に驚くゴン

カストロ「あぁ、だから"いつか会うだろう"と言っていたわけだが…」

カストロはベジータにヘコヘコするヤムチャの姿を直視できないでいた
538:2018/04/21(土)21:46:41 8sH
そしてヒソカは…

ピピピ

ヒソカ(ベジータは1016…ハンター試験の時と同じ◆)

そして気合いを入れるヤムチャを見る

ピピピ

ヒソカ(ヤムチャは…12005…!?そんなバカな!?)

ガタンッ、と立ち上がるヒソカ
540:2018/04/21(土)21:50:28 8sH
舞台の上ではベジータとヤムチャが向き合っていた

ヤムチャ「さぁ来い!同じ戦闘力なら敗けはしない!」

ザッ、と構えを取るヤムチャ

だがベジータは額に血管を浮かび上がらせている

ベジータ「どうやら本気でぶっ飛ばされたいらしいな」

ヤムチャ(ギクッ!)

ヤムチャ「い、いやぁ~、気のコントロールはムズカシイなぁ」



シュゥゥ

気を落とすヤムチャ
541:2018/04/21(土)21:52:23 8sH
ピピピ

ヒソカ(…?1231…?さっきのは故障?それでも戦闘力が高い…イイネ◆)



ベジータ「ちっ、まぁいいだろう。さぁかかってこい」

ヤムチャ「絶対にそれ以上気は上がらないんだよな…」ビクビク

シャッ

そして二人は同時に動き、舞台から姿が消えた
542:2018/04/21(土)21:53:20 8sH
ベジータ「そらそらそらー!」

ベジータが連続拳撃を放つ

ヤムチャは紙一重で拳をかわしながら反撃に移る

ヤムチャ「残像拳!」

ヒュヒュン ヒュンヒュン

ベジータの周りに数十の残像が現れる
544:2018/04/21(土)21:54:38 8sH
ベジータ「見えているぞ!」

シャッ

本物のヤムチャに近づきボディーブローを放とうとした瞬間

ヤムチャ「太陽拳!」

カァァァァッ!!!

極大な光が辺りを埋め尽くす
545:2018/04/21(土)21:55:33 8sH
アナウンサー"ま、眩しい!!強烈な光で目が見えません!"

観客も含め、全員が目を覆う

ヤムチャ「いまだ!気円…、じゃない、新狼牙風風拳改!」

ハイ ハイ ハイ ハイ

超速スピードでベジータを穿つ拳撃

そして、足元のお留守を改善した証拠の蹴撃

ヒョォ ヒョォ ハイ ハイ ヒョォ

全ての蹴りがベジータを捉える
546:2018/04/21(土)21:56:14 8sH
ヤムチャ「最後だっ!」

アオーーーン

狼の雄叫びともとれる甲高い声と共にフィニッシュブローを決める

ズダーーーーン!!

衝撃で叩きつけられるベジータ
547:2018/04/21(土)21:56:44 8sH
ヤムチャは油断しない

なぜなら自分が弱いと知っているから

ヤムチャは背後を見せない

なぜなら取り付かれるから

ヤムチャはトドメを躊躇わない

なぜなら自爆されるから
548:2018/04/21(土)21:59:01 8sH
ヤムチャ「自動…繰気弾!」

ブゥーン ボッ



気を込めた腕から気弾を出し、宙に浮かべる

ベジータ「ぐっ、くそっ…」

ベジータは速攻により相当なダメージを負っていた

ベジータ「もう甘くは見んぞ!」

気弾を大量に撃ち出すベジータ

ベジータ(避けた先を狙って一撃で決めてやる!)
549:2018/04/21(土)21:59:52 8sH
目を凝らすベジータ

そしてヤムチャに着弾

ズドドドドドドオオン

ベジータ(どこだ!?)

キョロ キョロ

シュン

ベジータ(後ろか!)

ベジータ「ズアァアアアアア!」

気合いの拳を放つベジータ
552:2018/04/21(土)22:02:06 8sH
スカッ

ベジータ「なっ!気弾だと!?」

ベジータの背後から近づいてきていたのは繰気弾だった

だが繰気弾は近くまで来たあとはゆっくりと近づくのみ

ベジータ(まずいっ!罠か!)

振り返るベジータだったが間に合わない

ズドォオン!!!

死角になっていた背中にヤムチャの強烈な飛び蹴りをくらう
553:2018/04/21(土)22:02:53 8sH
場外まで吹き飛ばされたベジータは、なんとかヤムチャを見る

ベジータ(バカな…完全に大量の気弾が当たったはず…。それに自動追尾で拳まで避ける気弾だと…?)

これが現実なのか疑わしく思うベジータ

ベジータ「貴様!戦闘力をこっそり上げてやがるな!」

声を張り上げるベジータ

だがヤムチャは首を横に振る
554:2018/04/21(土)22:03:39 8sH
ヤムチャ「あんなもの全身の気を着弾する全面にだけ集めて防いだだけだ」

そして続ける

ヤムチャ「あとは意識を刈り取られないように覚悟して受けるだけだ」

ベジータはそれを聞いてヒソカ戦を思い出す

ベジータ(ヒソカも攻撃をくらう覚悟をして反撃に移った…まだオレには戦闘スキルが足らないというのか!?)
555:2018/04/21(土)22:04:17 8sH
ベジータも一撃で意識を絶たれることのないように、顎や鳩尾などの主要部位に気を集中させたりしている

何も成長していないわけではない

格段にバトルスキルは向上しているのだ

だが、ヤムチャの一言はそんな一朝一夕の鍛練などものともしない言葉だった

ヤムチャ「オレたち弱い者の気持ちはわからないだろう。いつだってお前たちはパワーで解決してきた。オレたちは自分の持てる限りある力、その中で必死に戦い方を工夫したんだ!」
556:2018/04/21(土)22:05:20 8sH
最初のサイヤ人襲来、敵だったベジータ

そして人造人間にセルゲーム

敵の圧倒的強さ………

それらを思い出しながら

そしてヤムチャは言う

ヤムチャ「地球人を舐めるなよ!!!」

557:2018/04/21(土)22:07:03 8sH


ヤムチャ「はぁあああ…繰気弾!」

ボウッ

2個目の繰気弾を出すヤムチャ

最初の1つは今もベジータを自動追尾する

ベジータは避けながら気弾を発射して相殺を狙う

ヒュン ヒュン

繰気弾は意思を持ったようにそれをスルリと避けながらベジータへ迫る
558:2018/04/21(土)22:07:51 8sH
ベジータ「くそっ!厄介な技を!」

自動で追ってくる繰気弾を幾度となく避ける

随分避けているがまだ当たっていないだけマシだ

もうベジータもだいぶボロボロになっている

シュンッ!!

そのベジータの頬を掠めるように、猛スピードで何かが通りすぎる
559:2018/04/21(土)22:08:40 8sH
ヤムチャ(何だ今のは!?)

ヤムチャを見ると手をクロスさせて動かしているところだった

クイッ

そしてヤムチャが手首を捻ったと同時

ドオオオン!

ベジータ背中に衝撃が当たる

ベジータ「グハッ!」

血を吐いて前のめりに倒れそうになるベジータ
560:2018/04/21(土)22:09:17 8sH
だが

ドオオオン!!

今度は腹部に衝撃が入る

ドオオオン!!

ドオオオン!!

ドオオオン!!

四方八方から滅多打ちにされるベジータ
561:2018/04/21(土)22:10:21 8sH
目の前には避け続けていた繰気弾がふよふよと浮いている

ベジータ(……ぐっ、……この…繰気弾は…自動で追尾する、だけで…、当たらない、おとり…だったのか…)

ヤムチャ「セイッ!セイッ!セイッ!」

ヤムチャはもう1つの普通の繰気弾を操ってベジータを何度も打ち続ける

その間に、自動で浮いていた繰気弾はゆっくりとベジータに近づく

それを見てヤムチャはベジータに言う
562:2018/04/21(土)22:11:08 8sH
ヤムチャ「その自動繰気弾は一定距離を保ったまま自動で攻撃を避けながら追尾するもの。そして制約によりラストアタックに至るまではゆっくりとしか近づかない。その代わり…絶大な爆発威力を誇る!」

そして、ベジータに触れた瞬間

ドオオオオオオオオオオン!!!!

強烈な爆発が起こり、ベジータが宙に吹き飛ばされる

ヤムチャ(よし!)

決まった!と、拳を握るヤムチャ
567:2018/04/21(土)22:16:17 8sH
ヤムチャ(いや!ここで油断するから負けてきたんだ!)

満身する心を抑えつけ、繰気弾を動かす

ヤムチャ「セイッ!セイッ!セイッ!」

宙にピン留めされたように、自由落下も許さず滅多打ちを続けるヤムチャ

……………………………

……………………

…………

ヤムチャ(むふっ)

なんだか楽しくなってきたヤムチャ
571:2018/04/21(土)22:19:10 8sH
声援も

プーアル『『「凄いですヤムチャ様!」』』

観客『『でも下着返して!』』

と、プーアル含めて会場の女性からも黄色い声援が上がっている

ヤムチャ「どーしたのかなぁ?終わりかな?仙豆でも食べるかい?」むふふ

腰に付けた仙豆袋を見せつけるヤムチャ
572:2018/04/21(土)22:20:12 8sH
だが、その間も滅多打ちを止めずにベジータを見てニマニマ笑う

ピキ

ヤムチャ「そろそろフィニッシュかな~?」ニマニマ

ピキキ

ヤムチャ「声も聞こえないよーーー?」ニマニマ

パリインッ


繰気弾の衝撃でベジータから何かが崩れて落ちる
575:2018/04/21(土)22:22:01 8sH
ズアォオオオオオオオ!!!!!!!

その瞬間ヤムチャは吹き飛ばされる

会場もギシギシと音を立てて軋む

ベジータ「ほぅ、リミッターを壊すとはやるじゃないか」

青筋が立つほどベジータの額は血管だらけ



バチッ バチバチッ

既にスーパーサイヤ人2になっているベジータ
579:2018/04/21(土)22:26:16 8sH
ヤムチャ「え?いまの…リミッター…?」

ズリ、と下がるヤムチャ

プーアル「や、ヤムチャ様っ…!」



ベジータ「どうした?フィニッシュするんじゃないのか?ん?」



ヤムチャが下がればベジータが近づく
580:2018/04/21(土)22:27:15 8sH
ヤムチャ「いや、あの…戦闘力…同じで、戦うんですよ…ね?」

だがヤムチャの言葉は届かない

ベジータ「…頃す!!!」

ヤムチャ「ぴぎゃああああああ!!!」

ヤムチャは天空闘技場から逃げ出し、

ベジータもそれを追って飛んで行った
581:2018/04/21(土)22:28:22 8sH
「や、ヤムチャ様ぁ…」ふよん



そしてプーアルも、見えなくなったヤムチャを追いかけて会場を後にした
583:2018/04/21(土)22:29:57 8sH
シーン

会場は一瞬で静まり返った

観客席では

ゴン「ヒソカ、目の横怪我してるけど大丈夫?」

ゴンがヒソカを覗き込む

ヒソカ「スカウターの壊れた破片が当たっただけ◆」

にっこり笑う表情とは裏腹に、ヒソカの内心は疑問で渦巻いていた
584:2018/04/21(土)22:31:11 8sH
ヒソカ(あの時、ベジータのオーラが爆発するようなレベルで増えたように見えたけど…、でもスカウターが壊れたからわからない。石でも飛んで来たのか…壊れやすい機械だ…)

謎はヨークシンで解く、と決めたヒソカは立ち上がる

ヒソカ「ボクはもう行くよ◆また会えるといいね◆」

それだけ言うと人混みの中へ紛れていった

ゴン、キルア、カストロも会場を後にする

そして場内放送では

アナウンサー"二人ともバトル放棄の為、フロアマスターは権限剥奪!王子選手は失格!なんとも言えない結果ですがバトル終了です!"
585:2018/04/21(土)22:31:21 gLj
スカウター壊れてるやんかwwwww
586:2018/04/21(土)22:32:10 2KQ
壊れやすいからね…
588:2018/04/21(土)22:37:52 8sH
~200階 非常階段口~

ヒソカ「あれ?キミは…◆」

ウーロン「げっ!ヒソカ!」

ヒソカ「ブタ君はなんでこんなところにいるのかな?◆」ククク

後ずさりながら非常階段を横目で見るウーロン

ヒソカ「マチが言ってたんだよね◆…下着を盗まれた、って◆」

ウーロン(まずい!)

ウーロン「だ、誰のことか知らないけど…パンツがいるならやるよぉ!」

ポイッ

クマの絵柄のものをヒソカに投げる

591:2018/04/21(土)22:39:50 8sH
そしてその瞬間

ボフン

ウーロン「キーキキキ!コウモリだ!捕まえられてたまるか!」

バサバサバサ

ヒソカ「…バンジーガム」

ピタッ

グイッ

パシッ

ヒソカ「で、どうやって逃げる?◆」

コウモリになったウーロンを握りながら笑うヒソカ

そう言いながらウーロンが投げた下着を拾う

ヒソカ「マチにちょうどいいお土産ができたよ◆」

そしてヒソカはウーロンを掴んだまま天空闘技場から姿を消した
597:2018/04/21(土)22:42:31 8sH
~カプセルコーポレーション 玄関~

悟空「おーい!ブルマぁ!」

ブルマ「あら、珍しい。玄関から声掛けるなんて」

玄関を開けて悟空を迎え入れるブルマ

悟空「おっす!ほら、これベジータにお礼だ!」

そう言って鳥を差し出す

数は20匹ほど
598:2018/04/21(土)22:43:25 8sH
ブルマ「な、何よこれ…」

悟空「クモワシっちゅうんだ。すんげぇ美味しい卵産むんだけど、オラとベジータで全部食べちまったからな」

ブルマ「なに?繁殖させるわけ?」

飼うのは嫌よ私は、と顔をしかめる

悟空「いや、卵も美味しいんだけど、捕まえて食べてみたら肉もすんげぇ美味しくてよ。とりあえず全匹見つけて持ってきたんだ」

にんまりする悟空にブルマは尋ねる
603:2018/04/21(土)22:48:03 8sH
ブルマ「で、お礼とか言ってたけどうちのベジータが何かしたわけ?」

悟空「あぁ、オラ、ハンター試験落ちただろ。稼げると思ってたのが稼げなかったからさ、ベジータが気にして自分のハンターライセンス?っちゅうのをくれたんだよ」

ブルマ「へぇ~、あいつがねぇ」



ブルマ(良いとこあるじゃない)フフフ

嬉しくなって微笑むブルマ
604:2018/04/21(土)22:49:12 8sH
悟空「んで、ベジータどこだ?」

キョロキョロ

悟空「重力室か?」

ブルマ「ベジータなら最近見ないわよ?3週間くらい家に戻ってないもの」

今度は呆れ顔になるブルマ

ブルマ「だいたい1ゼニーも稼がずに修行ばっかり」はぁ

ため息を吐きながら、ブルマは悟空を家に入れる
605:2018/04/21(土)22:49:56 8sH
~カプセルコーポレーション リビング~

ブルマ「孫くん、お茶でいいー?」

悟空「あぁ。悪ぃな」

コトン

悟空の前にお茶を出すブルマ

ブルマ「で、孫くんの方の仕事はどうだったの?」

仕事斡旋した手前、気になる
606:2018/04/21(土)22:50:54 8sH
悟空「仕事は楽しかったぞ!」

ズッ転けるブルマ

ブルマ「楽しかった、ってあんた…」

悟空「暗黒大陸っちゅうところ、まぁその海岸にある小さな島なんだけど、そこで悪さするやつらをこ懲らしめる仕事だった」

ブルマ「アンコク大陸?聞きなれないところね」

悟空「パオズ山の中に大きな湖があるだろ?」
608:2018/04/21(土)22:57:21 8sH
ブルマ「知ってるわよ。湖っていうより海みたいなもんだけどね。その中にあるのがザバン市だったりヨークシン市だったりするんだから」



悟空「んでパオズ山側の岸のことを暗黒大陸って呼んでるみたいなんだ。それにすんげぇ怖がってるみてぇだったな」

ブルマ「まぁあそこの湖の中に住んでる人たちは外を怖がって出てこないから仕方ないじゃないそれにパオズ山は危険すぎるわよ、孫くんに初めて会ったときも襲われまくったのがいい思い出だわ」

ふぅ、とため息を吐くブルマ
613:2018/04/21(土)22:59:33 8sH
悟空「まぁいいや。んでさっき説明した島に行ったら、蟻みたいな格好した人くらいの大きさのやつが居てさ」

ブルマ「げっ、気持ち悪い…」

悟空「いろんな生物食べちまうらしくて、とにかく数が多くて大変だったけど全部倒してきたんだ」

ブルマ「へぇ~…、で?それの何が楽しいのよ…」

既に興味の失せたブルマ

悟空「意外と強くて面白かったぞ?いろんな攻撃してくるし、一匹一匹、形が違うんだ」

ブルマ「へぇ~…ふ~ん…。あんたが苦戦するなら相当な生物ね」
614:2018/04/21(土)23:00:20 8sH
悟空「いや、ほら。オラまだリミッター付いたまんまだったから。それにもう一人連れていく予定だったフロアなんとかってやつも居なかったから、オラ一人で仕事してたんだ」

ブルマ「あぁ、外すの忘れてたわね。手、出し━━━」

そんな話をしていると

ドゴォオオオオオン!!

庭に強烈な振動が走る

ブルマ「な、なに!?」

悟空「外だっ!」

急いで庭へと出るブルマと悟空
615:2018/04/21(土)23:00:37 vSW
蟻編終わったやないかw
616:2018/04/21(土)23:01:12 7z7
蟻編終わってしまった
622:2018/04/21(土)23:03:36 8sH
~カプセルコーポレーション 庭~

ヤムチャ「わ!悪かった!ベジータ!悪かったから!」

ベジータ「ちょこまか逃げながら何度も太陽拳使いやがって…」

そしてヤムチャを殴ろうと掴んだ瞬間

ブルマ「何やってんのよ!!!」

ビクゥッ

ベジータが硬直する

ブルマ「ヤムチャ大丈夫!?」
626:2018/04/21(土)23:05:47 8sH
悟空「ベジータ、おめぇやり過ぎだぞぉ」

ベジータ「ち、違っ、これには…訳が…」

言い淀むベジータ

ブルマ「訳なんてあるわけないでしょ!!弱い者いじめするなんて最低よ!!こんなにも弱いのに!!!」

ベジータ(オレが弱い者いじめをしたというのか…)

ヤムチャ("こんなにも弱い"、か………)

図らずもブルマの一言で傷付いて黙り込む二人

悟空「ま、まぁまぁブルマ。とりあえず中入ろうぜ」

ブルマを押しながら部屋に戻る悟空
627:2018/04/21(土)23:06:33 8sH
~カプセルコーポレーション リビング~

ブルマ「━━━━大体の事情わかったわよ」

それでも、とベジータを睨み付けるブルマ

悟空「ベジータ、そんなことよりお礼持ってきたぞ」

ひょい、と鳥を渡す悟空

ベジータ「…こいつは!」
630:2018/04/21(土)23:09:24 8sH
悟空「二次試験の時のクモワシっちゅう鳥だ。卵はもうねぇけど、肉がすんげぇうめぇんだ」

ベジータ「ほぅ、貴様にしては気が利くじゃないか」

嬉しそうにするベジータ

悟空「大事に食べてくれよな。オラそいつ探すのに時間使っちまってチチから怒られちまった。ついでに次にどこか出掛けるときは悟天も連れてっやれって言われちまうしよ」

ベジータ「少し待っていろ、カカロット。お前も一緒に食べていけ。お互い家族には苦労するな」

ブルマ「なによ!そうだ、ちょうどいいじゃない。ベジータも次に出掛けるときはトランクス連れていきなさいよ。修行以外で、ね」
635:2018/04/21(土)23:12:52 8sH
ベジータ「なぜオレがそんなことを!」

反論するベジータをブルマが畳み込む

ブルマ「あんた1ゼニーでも稼いだことある!?孫くんはちゃんと仕事こなしたわよ!」

その瞬間ベジータは笑う

ベジータ「オレが稼いでないだと?」くっくっく


そしておもむろにズボンから何かを取り出すベジータ

ベジータ「見ろ!その2倍だ!」

チャリーン と、テーブルで2ゼニーが跳ねた

637:2018/04/21(土)23:14:31 2KQ
2倍…
639:2018/04/21(土)23:16:32 8sH
~暗黒大陸 近辺のとある島~

大きな流木の集まりが海に漂っていた

蔦が絡み合ってまるで巨大なイカダのような形になっている

チャプ

流木の窪みに溜まった水を掬う

??(ここで死ぬわけにはいかない)

チャプ

また水を掬って飲む

??(われわれは…何かの生物によって全滅した…)
640:2018/04/21(土)23:17:39 8sH
ヒュン

今度は海面に腕を垂らして掬い上げる

ピチピチ

流木の上に引っ張り上げられた魚が跳ねる

バリ ボリ

それを貪る

??(私は…女王!)



そしてそれが陸地に流れ着くのは1年程後となる


<END>
643:2018/04/21(土)23:18:58 NKt
646:2018/04/21(土)23:20:38 8sH
【雑談】
以上で終わりです!
皆さん、ほんとーーーーーーーーーに、ありがとうございました!!

こんなにたくさんの方に読んでいただけて、心の底から感謝感激です!!

応援してくださった皆様、ほんとーーーーーーーーーにありがとうございました!!
648:2018/04/21(土)23:22:44 8sH
【雑談】
続きは…

ゴールデンウィーク!
5月5日(土)から開始します!
また新スレ立てるのと、立てたらここにも報告します!

気まぐれでちょっと早目にスタート切るかもなんで、たまに見に来てくれると嬉しいです!

前スレはこちら 

『悟空とべジータのハンター試験?』

べジータの天空闘技場攻略
引用元:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1522079873