1:2018/04/26(木) 03:25:21.952
母「四兄弟に好きなことをやって、のびのび生きなさいと育てたら……」

母「見事に文系ニートと理系ニートと体育会系ニートと芸術系ニートが出来上がったわ」


長男「今日も小説を読みながら、作者の気持ちを考えるとするか!」

次男「ずっと欲しかった薬品が手に入りましたよ」クイッ

三男「うおっしゃあっ! 今日もスポーツ中継見るぜ!」

四男「ン~、平日昼間の美術館(ミュージアム)は空いていて実に最高だね」


母「ハァ~……」

妹「育て方間違えたね~」

ふらいんぐうぃっち(10) (週刊少年マガジンコミックス)

2:2018/04/26(木) 03:26:29.394 ID:BKV/MwEq0.net
体育会系なに引きこもってんだよ
4:2018/04/26(木) 03:28:10.768
母「あんたたち!」

長男「なんだい、母さん?」

次男「なんですか、母上?」

三男「なんだ、母ちゃん?」

四男「なんだね? マミー」

母「わざわざ呼び方まで四者四様にしてくれてご苦労様」
9:2018/04/26(木) 03:29:43.916
母「なんで働かないの!」

長男「有名な作家というのはニート同然の生活をしてた人も多いんだよ。たとえば……」

次男「綿密な計算の結果ですよ。我が家の経済力と、私どもの支出を計算した結果……」

三男「母ちゃん、難しい質問はやめろよ~! 俺頭使うの苦手なんだ! ガハハハハッ!」

四男「実に美しくない質問だ……まるで、パトロンの好みに合わせて作品を描かせるような……」

母「~~~~!」
11:2018/04/26(木) 03:31:04.912
母「一言でどうぞ」

長男「働くの嫌いだから」

次男「働くの嫌いだから」

三男「働くの嫌いだから」

四男「働くの嫌いだから」

母「こいつらぁ……!」
12:2018/04/26(木) 03:33:40.742
長男「一言で済んでよかった。これ以上の説明は文学的に蛇足になるから」スタスタ

次男「母上ももっと理論的に考える癖を身につけるべきですね」クイッ

三男「終わったァ! ゲームセット!」

四男「いやぁ、今日の我が言い訳も実に芸術的で先鋭的で美しかった……」

スタスタ…



母「ああっ、ちょっと待ちなさい! 話は終わってないわよ!」
14:2018/04/26(木) 03:35:27.659
母「ああもみんな方向性がバラバラだと、やりにくくてしょうがないわ……」

母「四方向に逃げた兎を捕まえるようなもんよ……」

妹「だけど、働かないって方向だけは一致してるのがタチ悪いよね~」

母「ホントよ……近所の人からは≪ニート四天王≫だなんて笑われてるし、もう疲れたわ……」

妹「肩揉んであげる」モミモミ…

母「ありがと、まともなのは末っ子のアンタだけよぉ~」

妹「あたしはちゃんと就職して、いい男つかまえて、お母さんに楽させてあげるからね」
19:2018/04/26(木) 03:38:13.634
母「ねえ、あなた!」

父「ん?」

母「息子たちに、あなたからもいってやってよ」

父「なにを?」

母「決まってるでしょ! 就職しろってことをよ!」

父「う~ん、だけど俺はそういうのはどうも……叱るってのが苦手で……母さん頼むよ」

母「~~~~!」
21:2018/04/26(木) 03:40:35.539
母「だいたいね、あなたがいけないのよ!」

母「一般サラリーマンのくせに、無駄にホワイト企業に勤めてるせいで給料やたら高いから」

母「あの四バカも甘えちゃって『自分が稼がなきゃ』って気持ちにならないのよ!」

母「この高月給亭主が! 少しは家計を困らせたらどうなの!」

父「す、すまん」

父「実は……また出世して、給料上がることになりそうで……」

母「いやぁぁぁぁぁ!!!」
20:2018/04/26(木) 03:38:49.102 ID:7uRsV+nud.net
そして妹もニートへ
23:2018/04/26(木) 03:42:29.589 ID:EPyneSKQ0.net
ホワイト企業で笑う
22:2018/04/26(木) 03:42:15.361
母「……とお父さんに八つ当たりしてもしょうがないわ。私が何とかしなきゃ!」

母(といっても、どうすれば……)

母(そもそも私、あの子たちが普段何してるのかをよく知らないのよね……知りたくもないし)

母(敵の力を知るのは兵法の基本……)

母(あの子たちがいつも何やってるのかチェックしましょう)

母(ミッションスタート!)コソッ
25:2018/04/26(木) 03:45:19.034
母「……」コソコソ…


長男「……」カリカリ…


母(あら、勉強してるのかしら? ニートのくせに?)


長男「『たかしは誰もいなくなった部屋で、一人りんごを数え続けていた』……」カリカリ…

長男「『しかし、あまりに膨大なりんごの数に、たかしの精神は次第に蝕まれていったのである』……」カリカリ…


母(なるほど、小説を書いてるのね! さすが文系ニート!)
26:2018/04/26(木) 03:47:13.656
母「……」コソコソ…


次男「ふむ……なるほど」コポコポ…

次男「この素材は、この薬品にはこう反応するのですか」

次男「好奇心をそそられるいいデータが取れましたよ」クイッ


母(次男は白衣を着て、なにやら怪しい実験をやってる……理系なだけあるわ)
27:2018/04/26(木) 03:47:43.902 ID:rnW+ukmY0.net
文系と芸術がちょっとキャラ被ってる
28:2018/04/26(木) 03:48:24.434
母「……」コソコソ…


三男「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」グッグッグッ…

三男「トレーニング終了!」

三男「ハッハーッ! 上腕二頭筋がいい具合に仕上がったぜ!」ムキッ


母(体育会系ニートの三男は筋トレ……ま、予想通りね)
29:2018/04/26(木) 03:49:34.724
母「……」コソコソ…


四男「むむむ……こうか、こうか!?」バババババッ

四男「おおっ、美しい! なんと美しいのだ! 我が前衛芸術!」


母(……!?)

母(なんだかわけ分からないものを作ってるわ……)

母(芸術系の四男が一番苦労するかも……)
31:2018/04/26(木) 03:53:01.411
母「とりあえず、それぞれ何かしらやってるってのは分かったけど……」

母「次の手が思い浮かばないわね……」

妹「ねえ、お母さん。今この本読んでたんだけど」

母「『バカな男の操縦法』ってあんた、なんつう本読んでるのよ」

妹「人がやる気を出すのって、やっぱり何かしらの成功体験を経た時なんだってよ」

妹「だからさ、あの四人にも成功体験を味わわせてやれば、何か変わるんじゃない?」

母「なるほどね……やってみようかしら!」
32:2018/04/26(木) 03:55:09.848
母「ねえ、あんたの書いた小説、勝手に読ませてもらったけど」

長男「えええ!? なに勝手なことしてんだよ、母さん!」

母「面白いわよ、この小説!」

長男「え……」

母「文章は読みやすいのに展開は読めないし、あんた、才能あるわよ!」

母「特に、たかしがりんごを数えるのを諦めて、みかんを数え始めたところなんか……」

長男「あ、ありがとう……!」
33:2018/04/26(木) 03:57:03.828
母「まぁ~、素敵な研究室ね」

次男「! ……勝手に入らないで下さい、母上!」

母「まぁいいじゃない。どんな研究してるの?」

次男「新しい素材を開発しようとしてまして……」

母「まぁ、すごい! あなたは頭がいいから、きっとうまくいくわ!」

次男「もちろん、やり遂げてみせますよ」クイッ
34:2018/04/26(木) 03:59:15.599
三男「今日も俺の筋肉は……」ムキッ

母「すごい筋肉じゃない!」

三男「母ちゃん!?」ギョッ

母「まるで、シュワちゃんみたいよ! シュワちゃん!」

三男「そ、そうかぁ? 俺がシュワちゃん……?」

母「もっと鍛えれば、きっとターミネーターにだって勝てるようになるわ!」

三男「マジで!? ならもっとプロテイン飲まねえとな……!」
35:2018/04/26(木) 04:00:29.402 ID:QvW5LzH2r.net
そうだねプロテインだね!
36:2018/04/26(木) 04:01:17.400
母「う~ん、素晴らしい芸術ね」

四男「おお……マミー! やはり、あなたは分かってくれるか!」

四男「我が前衛芸術を……!」

母「ええ、あなたの芸術はまさに21世紀の最先端! いえ、23世紀ぐらいいっちゃってるわ!」

母「現代アートならぬ未来アートよ! 私たち現代人にはとても理解できないわ!」

四男「なんたる幸せ……!」ドバァァァァァ
37:2018/04/26(木) 04:01:38.915 ID:JhGcLEl2a.net
三男だけ落ちこぼれて行く未来しか見えない
38:2018/04/26(木) 04:04:06.789
長男「よし……本格的に小説を書いてみよう!」


次男「私の行った実験成果を、他の研究者にレポートとして提出してみるとしましょう」


三男「もっと大勢に俺の筋肉を自慢したくなってきたァ!」


四男「いつも通ってる美術館の館長に、我がアートを披露するのもいいかもしれぬ」



母「うふふ、ブタもおだてりゃ木に登る作戦、大成功!」

妹「みんな、大失敗しそうだけどね~」

母「いいのよ、失敗しても。こうして積極的に行動してくれることが大事なのよ」

母「少なくとも、家でずっとニートしてるよりだいぶ進歩したわ」

妹「やったね、お母さん!」
39:2018/04/26(木) 04:06:10.425
ピンポーン…

母「……誰かしら?」

母「はーい!」


ザワザワ…


母(なんだか色んな人が来てるわね……なにかしら?)
40:2018/04/26(木) 04:10:28.613
編集者「素晴らしい小説を読ませてもらいました! ぜひ、長男さんを我が社の専属作家に!」


研究者「あの素材は大発明だ! 次男氏には研究所の重要ポストについていただきたいのです!」


トレーナー「三男君の筋肉はボディビルダーにうってつけ! 今すぐにも世界を狙える逸材だ!」


美術館館長「ぜひとも、四男の彼には個展を開いて頂きたい……。あれは必ず価値が出る……」





母「まぁっ……!」

母(動く粗大ゴミだとばかり思ってたあの子たちが、人様から認められるなんて……!)

母(ゴミがリサイクル出来るように、どんな人間にも利用価値というものはあるんだわ……)
41:2018/04/26(木) 04:11:44.359 ID:2nGmU5gKr.net
ほう…
42:2018/04/26(木) 04:12:17.538
母「よかったわね、あんたたち! 自分たちのやってきたことが認められて!」

母「しかも、仕事ももらえて……一石二鳥じゃない!」

長男「……」

次男「……」

三男「……」

四男「……」
43:2018/04/26(木) 04:15:14.434
長男「いや、実は俺たちみんな……話を断ったんだ」

母「へ、なんで!?」

長男「なんでって……ねえ……?」

次男「ええ、まぁ」

三男「だよなぁ?」

四男「ン~……そういうことです」

母「なによ、はっきりいいなさいよ!」

母「文系、理系、体育会系、芸術系のあんたたちにとって、どれもいい話だったじゃない!」

長男「だって俺たち……」
44:2018/04/26(木) 04:17:38.433
長男「働くの嫌いだから」

次男「働くの嫌いだから」

三男「働くの嫌いだから」

四男「働くの嫌いだから」

母「この……“とっととはたら系”どもがァァァァァ!!!」

妹「おっ、お母さん座布団一枚っ!」







END
46:2018/04/26(木) 04:22:19.147 ID:EPyneSKQ0.net
見てるけど想像と違った
47:2018/04/26(木) 04:23:18.775 ID:2nGmU5gKr.net

みんないいキャラしてた
52:2018/04/26(木) 04:29:05.279 ID:ZtDDmltd0.net
短くまとまってて楽しく読めたよ