1: 2017/08/27(日) 01:16:02.03
ジャパリカフェ

アルパカ「……」

アルパカ「お客さんこないねー。全然こないねー……」

アルパカ「ペェッ!」

アルパカ(折角、おっきな絵もあるのになぁ。おかしいなぁ、おかしいなぁ)

アルパカ「掃除しようかなぁ。あ、草むしりもしようかなぁ」

アルパカ「お客さんがこなくてもやることをいっぱいあるよぉ。忙しいなぁ」

アルパカ「……」

カラーン

アルパカ「ふわああぁ! いらっしゃぁい!」

トキ「来たわ」

アルパカ「まってたよぉ。いつものでいいのぉ?」

トキ「ええ、お願い」

アルパカ「ショウジョウトキはどうしたのぉ?」

トキ「今日はこれないって。別のちほーに用事があるみたい」



2: 2017/08/27(日) 01:22:02.36 ID:KZOVanX7o
アルパカ「そっかぁ。残念だなぁ」

トキ「今日も貸し切りみたいね」

アルパカ「そうだねぇ。今日はトキだけのジャパリカフェだねぇ」

トキ「かばんが考えてくれた絵も効果はあまりないのね」

アルパカ「仕方ないよぉ。でも、ずっとあればいつかは気が付いてくれるんじゃないかなぁと思ってるんだけど」

トキ「そうね。もう少し様子を見てもいいかもしれないわ」

アルパカ「はい、どうぞぉ。紅茶、いれたよぉ。今日もゆっくりしていってねー」

トキ「ありがとう。あとでまた一曲歌うわね」

アルパカ「お願いねぇ」

トキ「……」ズズッ

アルパカ「どうかなぁ? おいしい?」

トキ「今日も美味しいわ」

アルパカ「はぁぁ……。おかわりは?」

トキ「お願い」

アルパカ「ちょっと待っててねぇ。すぐ淹れるねー」

3: 2017/08/27(日) 01:28:34.99 ID:KZOVanX7o
トキ「わたしはぁ~とぉきぃ~なぁかまをさがしぃて~る~どこにいるのぉ~わたぁしのなかぁまぁ~」

アルパカ「あはは。今日も絶好調だにぇ」

トキ「ありがとう。この調子で私のファンが増えてくれたらいいのだけど」

アルパカ「ファン?」

トキ「あなたとかばんが私のファンよ」

アルパカ「あれぇ。そうだったんだぁ。知らなかったよぉ。ファンになってると、何かあるのぉ?」

トキ「うふふ。私、ファンを大切にするの。すぐにアンコールにだって応えるわ」

アルパカ「おぉ。それじゃあ、アンコール、アンコールぅ」

トキ「アンコールね。わかったわ」

トキ「わたしぃ~はぁ~とぉき~きょぉもぉジャパリカフェでぇ~こうちゃをのぉむのぉ~」

アルパカ「新曲だぁ」

トキ「紅茶の歌を作ってみたの。まだ未完成だけど」

アルパカ「わざわざありがとにぇ。トキの歌ももっと色んな子に知ってほしいなぁ」

トキ「割とどこでも歌っているけど、反響がないのよね」

アルパカ「不思議なこともあるにぇ。あ、おかわりどうするぅ?」

4: 2017/08/27(日) 01:39:42.31 ID:KZOVanX7o
トキ「いただくわ」

アルパカ「ちょっとまっててにぇ」

トキ「……」

アルパカ「ふんふふーん。わたしぃはあるぱぁーかぁ~こうちゃをいれるぅのぉー。なんちゃってぇ」

トキ「ねえ、アルパカ」

アルパカ「なぁにぃ?」

トキ「私、このカフェをもっと流行らせたい」

アルパカ「ウェー? どうしたのぉ急に」

トキ「私、毎日ここでお茶を飲んでるけど、やっぱりここが流行らないのはおかしいと思うの」

アルパカ「ありがとぉ。そう思ってくれるだけでうれしぃよぉ」

トキ「ショウジョウトキは常連だけど、かばん、サーバル、アライグマ、フェネック以外のフレンズはまだ来てくれない」

アルパカ「みんなはみんなで忙しいからぁ仕方ないんじゃない?」

トキ「その言い方だと私がいつも暇みたいじゃない」

アルパカ「あれぇ。ちがうのぉ?」

トキ「違わないわ」

5: 2017/08/27(日) 02:05:27.85 ID:KZOVanX7o
アルパカ「はい、どうぞぉ」

トキ「ありがとう」ズズッ

アルパカ「トキの気持ちはすっごい嬉しいけどぉ、おっきな絵もあるしぃ、焦らなくてもいいんじゃないかなぁ」

トキ「けど、何かしらの努力はしてみるべきじゃないかしら」

アルパカ「努力ぅ?」

トキ「お茶は確かに美味しいし、このお店の雰囲気も落ち着くから私は好き。かばんやサーバルも気に入ってくれていた」

トキ「でも、多くの子がこの今のカフェを気に入ってくれるかは分からないわ」

アルパカ「そうかなぁ。ここ、とってもいいと思うんだけどなぁ」

トキ「もっと目を引くようなものがあればいいのだけど」

アルパカ「トキの歌よりも目を引くものってあるぅ?」

トキ「私の歌が響き渡っても、ここがあなたのカフェだって気づいてもらえなきゃ意味がないでしょ」

アルパカ「んー。そうかにぇ」

トキ「そうだわ。名前、変えてみない?」

アルパカ「名前を?」

トキ「そう。ここのカフェの名前を変えるの。アルパカの名前が入っているほうがいいわね。アルパカフェ、なんてどうかしら」

6: 2017/08/27(日) 02:26:42.72 ID:KZOVanX7o
アルパカ「アルパカフェかぁ……」

トキ「ダメかしら。誰がいるのかすぐにわかるし、興味をもってくれる子もいそうだけど」

アルパカ「けど、ここは最初っからジャパリカフェだからなぁ……」

トキ「そうなの?」

アルパカ「そうだよぉ。まぁ、博士にきいたんだけどにぇ」

トキ「だったら、変えるのは反対かしら」

アルパカ「ううん、いいよぉ。かえちゃおっかぁ」

トキ「ほんと?」

アルパカ「うん。変えてお客さんが来てくれるならにぇ」

トキ「きっと増えるわ」

アルパカ「けど、どうやって変えたかどうかを伝えるのぉ?」

トキ「私たちで作った地上絵にアルパカの顔を描き足せばいいんじゃない?」

アルパカ「おぉー。それいいねー。面白そうだにぇ」

トキ「うふ。早速、やってみる?」

アルパカ「うん。やってみよー」

8: 2017/08/30(水) 13:13:59.78 ID:m4QXpnkOo
店前

トキ「私が空から指示を出すから、アルパカは言われた通りに草を抜いていって」

アルパカ「わかったよぉ」

トキ「それじゃあ始めるわね」バサッバサッ

アルパカ「よろしくにぇー!」

トキ「――聞こえるかしらー?」

アルパカ「おー、たかいたかいー」

トキ「きこえるー?」

アルパカ「おーい。えへへー」

トキ「んんっ。まずはぁ~そぉこから~うえにぃ~むかってぇぇくさをぉ~ぬぅいてぇぇ~!!」

アルパカ「わかったよぉー。んしょ……んしょ……」

トキ「そのちょぉぉしぃぃ~!!」

アルパカ「よいしょっ、よいしょーっとぉ」

トキ「そぉこからぁぁ少しずつぅぅ~ひだぁりぃにぃ~まがぁぁってぇぇぇえ~!!!」

アルパカ「こっちだにぇー。トキがいればなんとかなりそうだよぉ」

9: 2017/08/30(水) 13:21:41.36 ID:m4QXpnkOo
数時間後

アルパカ「はぁー。いやー。はたらいたなぁー」

トキ「……」

アルパカ「トキ?」

トキ「……ごめんなさい」

アルパカ「トキの所為じゃないよぉ。あたしが上手く草を抜けなかったからだよぉ」

トキ「何度も修正しようとして何度も失敗したわ。結果、大規模な草むしりをしただけになっちゃったじゃない」

アルパカ「ま、まぁ、草むしりしたいなぁーって思ってたところだから、丁度よかったってぇ。きにしないでにぇ」

トキ「……」

アルパカ「そ、そうだぁ。お礼に紅茶、いれるよぉ。さ、店に入って入ってぇ」

トキ「今から図書館に行ってくるわ」

アルパカ「ウェー? もう日が落ちちゃうし、明日でいいんじゃないの?」

トキ「私が贔屓しているお店なのに、誰の目にも留まらないのは納得できないもの」

アルパカ「まぁまぁ、明日にしよぉ。今日は紅茶飲んで、ゆっくりしってってよぉ」

トキ「……アルパカがそこまでいうなら、一杯貰おうかしら」

10: 2017/08/30(水) 13:27:11.86 ID:m4QXpnkOo
店内

トキ「はぁ~。かばんの力がないと絵を描くのは無謀だったわね」

アルパカ「そだねぇ。やり方、変えるしかないかもにぇ」

トキ「図書館にいけば、博士たちが何か知恵をくれるかもしれないわ。貴方、紅茶の淹れ方を習うときに聞かなかったの」

アルパカ「カフェがどうやったら流行るかは聞かなかったなぁ、そういえばぁ」

トキ「そうなの」

アルパカ「ここにカフェがあればみーんなが寄ってくれるっておもってたからぁ」

トキ「どうして?」

アルパカ「どうしてぇ?」

トキ「鳥系の子でも中々見つけられないのに、地上から上がってくる子なんてもっと見つけるのは難しいと思うわ」

アルパカ「でもぉ、あたしはみつけたよぉ?」

トキ「それもそうね」

アルパカ「そうだよぉ。おかわり、いるぅ?」

トキ「ええ、いただくわ」

アルパカ「ちょっとまってにぇ」

11: 2017/08/30(水) 14:33:13.83 ID:m4QXpnkOo
トキ「はっ。もう外が真っ暗じゃない」

アルパカ「ほんとだぁ。今日はやっぱり図書館にはいけないにぇ」

トキ「明日にするわ」

アルパカ「それがいいよぉ。夜は暗いからねぇ」

トキ「別に見えないことはないけど、暗いと危ないものね」

アルパカ「そうそう。明日にしよぉ、明日」

トキ「アルパカ、私は本気よ」

アルパカ「わかってるってぇ。感謝してるよぉ。本当ならあたしが考えなきゃいけないことなのにぇ」

トキ「ジャパリカフェ改めアルパカフェの繁盛を願って、乾杯でもする?」

アルパカ「おぉ。それじゃあ、最後の一杯をいれるよぉ」

トキ「お願い」

アルパカ「喉にいい紅茶、いれようにぇ」

トキ「それは1曲歌って欲しいってことかしら?」

アルパカ「うんっ」

トキ「ぬふ。それではリクエストにお応えして。アルパカフェのテーマソングを作ろうかしら」

13: 2017/08/30(水) 14:48:06.56 ID:m4QXpnkOo
翌日 店内

アルパカ「これでよしっと」

カラーン

アルパカ「いらっしゃぁい」

トキ「あら? なにしてるの?」

アルパカ「今日は臨時休業の日だってことをしようとおもってねぇ。店の前に、この看板を置いておくのぉ」

アルパカ「このバツマークを大きく描いた看板が入口にあったら、すぐにお休みだってわかるとおもうしぃ」

トキ「それはいいけど、どうして休むの? 私は紅茶を飲めないということかしら」

アルパカ「一杯ぐらいなら淹れるよぉ」

トキ「それじゃあ、お願いね」

アルパカ「はぁい。ちょぉっとまっててにぇ」

トキ「どこかに行くの?」

アルパカ「あれぇ。いかないのぉ、図書館」

トキ「一緒に行くの?」

アルパカ「だめなのぉ?」

14: 2017/08/30(水) 14:55:00.45 ID:m4QXpnkOo
トキ「いいけど、お客さんがくるかもしれないのに」

アルパカ「開店してからしばらく経つけど、殆どこねぇからへぇき、へぇき」

トキ「……」

アルパカ「はい、紅茶、はいったよぉ。どうぞぉ」

トキ「いつもありがとう」

アルパカ「ゆっくりのんでいってにぇ」

トキ「ゆっくりはしていられないわ」

アルパカ「でも、折角淹れたし、味わってほしいなぁ」

トキ「それもそうね」ズズッ

アルパカ「急がなくても博士たちはにげねえから」

トキ「1曲歌ってからでもいいかしら」

アルパカ「いいんじゃないのぉ」

トキ「それでは、1曲。アルパカフェの歌」

アルパカ「いいよぉー」

トキ「こぉこぉはぁ~あぁぁるぱかふぇぇぇ~とぉぉってもぉおいしぃぃいこ~ちゃがのめぇるぅぅ~!!!」

15: 2017/08/30(水) 15:01:23.85 ID:m4QXpnkOo
図書館

トキ「すっかり夕方ね」バサバサッ

アルパカ「やっぱり30曲はやりすぎたにぇ」

トキ「アンコールが激しかった所為ね」

アルパカ「あたし、アンコールしたおぼえねえんだけどぉ?」

トキ「歌い終わるたびに紅茶ができてきたけど?」

アルパカ「歌い終わったら喉乾くじゃない? だから、出したんだけどぉ」

トキ「あれってアンコールってことじゃなかったの」

アルパカ「ウェー? どいうことぉ?」

オオコノハズク「珍しい客が来たのです」

ワシミミズク「トキとアルパカですね」

トキ「久しぶり」

アルパカ「はかせぇー」

オオコノハズク「どうしたのですか、こんな夕暮れに」

トキ「貴方達に聞きたいことがあるの」

16: 2017/08/30(水) 15:08:09.98 ID:m4QXpnkOo
オオコノハズク「カフェを流行らせる方法ですか」

トキ「ええ。かばんの協力もあったけど、あれだけじゃあまり効果がないみたいで」

アルパカ「ショウジョウトキはきてくれるようになったよぉ」

トキ「一日に10人ぐらいはきてほしいわ」

アルパカ「そんなにぃ? そんなに来てくれたら幸せだなぁ。えへへ」

オオコノハズク「それは無理ですね」

トキ「え……」

ワシミミズク「立地条件が悪すぎるのです」

アルパカ「そうなのぉ?」

オオコノハズク「あの山頂に行くためにはろーぷうぇーなるものを使わなければならないのです」

ワシミミズク「いくらフレンズといえど、あれで山頂にいくのはとても疲れるのです。一度や二度はよくても、何度もは行きたくならないのです」

アルパカ「そうかなぁ、ヨユーだとおもうけどぉ」

トキ「何か方法はないの」

オオコノハズク「カフェをしたいというだけであれば他のカフェを教えてあげるのです」

アルパカ「ほかってぇ?」

17: 2017/08/30(水) 15:18:10.47 ID:m4QXpnkOo
ワシミミズク「カフェなる建物はこのジャパリパーク内に何か所もあるのです」

アルパカ「ウェー!? そうだったんだぁ」

オオコノハズク「丁度、さばんなちほーとじゃんぐるちほーの間に一軒あるのです」

ワシミミズク「そこであれば多くのフレンズが立ち寄るはずです」

オオコノハズク「ラッキービーストが手入れしているはずなので、即日開店も可能なのです」

アルパカ「はぇー……」

トキ「どうする?」

ワシミミズク「他のちほーにもあるのです。ゆっくり考えるといいのです」

アルパカ「……あたしは、あの場所がいいんだけどなぁ」

オオコノハズク「何故ですか」

アルパカ「他のちほーに行くとき、あの山の上で休憩できれば素敵だなぁって思ったのがきっかけだからにぇ。他の場所でもカフェはカフェかもしれねえけど、あたしはあの山でやりたいんだよぉ」

オオコノハズク「カフェの良さを知って欲しいのでは?」

アルパカ「そうだけどぉ……」

トキ「私も、あの場所を流行らせたいわ。私、暑いのも寒いのも苦手だし、あそこが丁度いいもの」

ワシミミズク「我儘ですね」

18: 2017/08/30(水) 15:33:12.07 ID:m4QXpnkOo
アルパカ「ごめんねぇ。どうしてもあそこがいいんだぁ」

オオコノハズク「で、あれば多少不便でもあの山の上でお茶を飲みたいと思わせることが重要になってくるのです」

ワシミミズク「遠くても行きたくなるカフェにできれば、毎日のようにお客さんはくるのです」

オオコノハズク「マル儲けなのです」

トキ「どういうことから始めればいいかしら」

オオコノハズク「ズバリ、料理も提供するのです」

アルパカ「料理って、あの火をつかうやつのことぉ?」

ワシミミズク「そうです。料理を提供するようになればお客さんは間違いなく増えるのです」

オオコノハズク「少なくとも我々は毎日通うのです。じゅるり」

ワシミミズク「我々は間違いなく常連になるのです。じゅるり」

アルパカ「おぉー。それじゃあ、早速戻ってつくってみよぉー」

トキ「アルパカ、料理を作れるの?」

アルパカ「トキができるんじゃないの?」

トキ「できないわよ?」

アルパカ「あたしもできないよぉ?」

19: 2017/08/30(水) 15:50:01.61 ID:m4QXpnkOo
トキ「だったら、ジャパリまんを出しましょう」

アルパカ「あぁー、いいねぇ」

ワシミミズク「それではお客さんは増えないのです」

オオコノハズク「努力を怠ってはいけなのです」

アルパカ「けど、料理なんてぇすぐに覚えられねえよぉ」

オオコノハズク「料理ができるフレンズを雇うのです」

ワシミミズク「料理ができる者をコックと呼ぶそうです」

アルパカ「コックかぁ。だれかいるかなぁ」

トキ「私はかばん以外に思いつかないけど」

アルパカ「けどぉ、かばんちゃんはぁ忙しいからぁ、料理つくってぇとはいえないよぉ」

トキ「週に一度なら大丈夫じゃない?」

オオコノハズク「それだとその日だけにしか食べにいかないのです」

ワシミミズク「それでは我々のおかわりが一週間に一回になるのです」

アルパカ「そぉいわれてもにぇ」

トキ「かばんに無理させることなんてできないわ。私たちの恩人なのに」

20: 2017/08/30(水) 16:04:22.07 ID:m4QXpnkOo
ワシミミズク「そう言われると、我々は何も言えないのです」

オオコノハズク「料理が手軽に楽しめると思ったのですが」

トキ「でも、無理矢理じゃなくかばんが自分の意志で来てくれる分には問題ないかもね」

アルパカ「かばんちゃんが来てくれるなら、サーバルも一緒にきてくれるねぇ」

トキ「更にアライグマとフェネックも一緒ね」

オオコノハズク「かばんが来るのなら我々も行くのですっ」

ワシミミズク「じゅるり、なのです」

アルパカ「おぉー、一気に六人もお客さんがふえるよぉ。うれしいなぁ、うれしいなぁ」

トキ「加えて私とショウジョウトキも一緒だから八人の常連ができるわね」

アルパカ「はちにぃんもぉ!? あはぁ、もうそんな忙しくなったら、こまるにぇ! こまるにぇ! あはは!」

トキ「とりあえず、かばんを常連にしなければいけないわね」

アルパカ「どうしたら常連になってくれるかなぁ」

トキ「私が歌えば歌声につられて来てくれるかもしれないわね。あの子、私のファンですもの」

アルパカ「いいねぇ、いいねぇ。なんだか行けそうな気がしてきたよぉ」

オオコノハズク「ヒトであるかばんを常連にする方法を開拓しなければならないのですね」

21: 2017/08/30(水) 16:15:46.04 ID:m4QXpnkOo
トキ「こぉこはぁ~アルパァ~カァフェ~!!! とてもおいしぃ~こぉぉちゃ~がのめるのよぉぉぉ~!!!!」

アルパカ「トキの歌だけじゃだめなのぉ?」

オオコノハズク「一つだけでは飽きてしまうのです」

ワシミミズク「様々な要素があればそれだけ心を引き留めておくことができるのです」

アルパカ「むずかしいなぁ」

オオコノハズク「助手。カフェの資料を片っ端から集めるのです」

ワシミミズク「了解なのです、博士」

アルパカ「あたしも何か手伝えることあるぅ?」

トキ「私も手伝いたいわ」

オオコノハズク「一緒にくるのです。カフェの資料はかなり残っているので」

アルパカ「わかったよぉ」

トキ「どこから見たらいいのかしら」

ワシミミズク「これと同じ色と柄の本を探すのです」

アルパカ「はぁーい」

トキ「どこかしら」バサッバサッ

22: 2017/08/30(水) 16:31:18.76 ID:m4QXpnkOo
数日後 みなと

かばん「ふわぁ……。良い天気っ」

アライグマ「かばんさーん!! かばんさーん!!」

かばん「はい?」

アイライグマ「さっき、空からこれが落ちてきたのだ!!」

かばん「なんですか?」

アライグマ「アライさんじゃ読めないので、かばんさんに読んでほしいのだ!!」

かばん「分かりました。ええと……。ジャパリカフェがリニューアル、アルパカフェに。あなたの来店をお待ちしています。ですって」

アライグマ「アルパカフェってなんなのだ?」

かばん「山の上にあったカフェのことじゃないでしょうか」

アライグマ「アルパカとトキがいたところか?」

かばん「そうだと思います」

アライグマ「行くのか、かばんさん」

かばん「文字を使って教えてくれたってことは、僕には来てほしいのかもしれませんね」

アライグマ「だったら、アライさんもいくのだ! あと、サーバルとフェネックも呼んでくるのだー!! かばんさん、待っててほしいのだー!!」ダダダッ

23: 2017/08/30(水) 16:50:56.14 ID:m4QXpnkOo
ラッキービースト『ジャパリカフェ ハ オナジバショ カナ』

かばん「みたいですね」

ラッキービースト『ココカラダト キョリガ アルネ』

かばん「あ、そういえばそうですね」

ラッキービースト『バスデ イクコトヲ オススメスルヨ』

かばん「バスってもう一台、あるんですか?」

ラッキービースト『チョット マッテネ ケンサクチュウ ケンサクチュウ』

かばん「もう一台あるならすごく助かりますけど」

ラッキービースト『……』

かばん「ラッキーさん?」

ラッキービースト『アワワワワ アワワワワ』

かばん「はぁ……」

「バスはなくてもいいのです」

「我々がいるので」

かばん「え――」

24: 2017/08/30(水) 16:57:38.00 ID:m4QXpnkOo
サーバル「アルパカのカフェが新しくなったのー!?」

アライグマ「そうらしいのだ。かばんさんも行く気満々なのだ」

サーバル「わーい!! それじゃあ私もいくー!!!」

アライグマ「アライさんもいくのだー!! フェネックはぁ?」

フェネック「アライさんもサーバルもいくなら、いこうかなぁ。ひとりじゃ寂しいしぃ」

サーバル「みんなでいこー!!」

アライグマ「おー!! なのだー!!」

フェネック「それじゃあ、かばんさんのところへ――」

「えぇぇぇ!?」

サーバル「かばんちゃん!?」

アライグマ「かばんさん、どうしたのだー!!!」

フェネック「上だねぇ」

サーバル「上!?」


オオコノハズク「さぁ、一緒に来てもらうのですよ、かばん」バサッバサッ

かばん「い、いきなりなんなんですかー!?」

25: 2017/08/30(水) 17:03:07.22 ID:m4QXpnkOo
ワシミミズク「先ほどの招待状、見たはずです」

かばん「み、みましたけどぉ。というか招待状だったんですか?」

オオコノハズク「行きたくないのですか」

かばん「いえ、むしろ行こうと思ってましたけどぉ」

ワシミミズク「それなら問題ないのです」

オオコノハズク「かばんは自分の意志でカフェに行くことを決めたのです」バサッバサッ

ワシミミズク「決して強制ではないのです」バサッバサッ

かばん「えぇぇ……?」


サーバル「がおー!!! はかせー!! かばんちゃんをどこにつれていくのー!!」

アライグマ「かばんさんがゆーかいされたのだー!! パークの危機なのだー!!!」

フェネック「カフェに連れて行ったんじゃないかなぁ」

サーバル「どうしてかばんちゃんだけ!?」

フェネック「さぁ? それはわからないけどぉ」

アライグマ「とにかく追いかけるのだ!!」

サーバル「うん!! かばんちゃん!! 待ってて!! すぐに追いつくからぁ!!」ダダダッ

26: 2017/08/30(水) 17:21:14.73 ID:m4QXpnkOo
こうざん 山頂

オオコノハズク「着きました」

ワシミミズク「ようこそ、アルパカフェへ」

かばん「ええと……。わぁ、看板がでてる」

オオコノハズク「数日かけて準備したのです。楽しいですよ」

ワシミミズク「入ってみるのです」

かばん「わ、分かりました。失礼しまーす」ガチャッ

「ふわああぁ!!」ガバッ

かばん「うわぁぁぁぁ!? たべないでくださぁぁい!!」

アルパカ「おかえりなさぁい、ご主人様ぁ」ギュゥゥ

かばん「……へ?」

トキ「あなた記念すべき一人目のご主人様よ。ラッキーね。ぬふ」

かばん「あ、えと……これは……」

ワシミミズク「我々、モエを追求したのです。めいどなので」

オオコノハズク「モエるですか、ご主人様。今日はめいどの博士なのです」

27: 2017/08/30(水) 17:25:41.17 ID:m4QXpnkOo
かばん「めいどって……?」

アルパカ「ご主人様ぁ、何飲むぅ?」

トキ「紅茶にする? それとも、わ、た、し?」

かばん「な、なにを言っているんですか」

オオコノハズク「かつて、ヒトはジャパリカフェでこういったことをしていたそうなのです」

ワシミミズク「かばんに合わせてこのカフェも変えてみたのです」

かばん「ど、どうしてわざわざそんなこと……」

オオコノハズク「一人でも多くの常連客を増やすためです。じゅるり」

ワシミミズク「他意はないのです。じゅるり」

かばん「何か隠してませんか」

アルパカ「紅茶はどうするぅ? のむぅ?」

かばん「あ、はい。いただきます」

アルパカ「すこぉしまっててねぇ」

トキ「紅茶が出てくるまでの間、私とモエモエする?」

かばん「どんなことをするんですか?」 

28: 2017/08/30(水) 17:33:56.85 ID:m4QXpnkOo
トキ「こうやるの。――もえっ、もえっ、もえっ」ピョンピョン

かばん「……」

オオコノハズク「もえっ、もえっ、もえっ」ピョンピョン

かばん「僕の囲んでどうするんですか……?」

ワシミミズク「もえっ、もえっ、もえっ」ピョンピョン

かばん「あの、怖いんですけど……もえって、なんですかぁ……」

トキ「もえっ、もえもえっ」

オオコノハズク「もえっ、もえもえっ!」

ワシミミズク「もえー!」

かばん「ひっ」ビクッ

トキ「もえたかしら?」

オオコノハズク「我々のモエダンスにかばんもイチコロなのです」

ワシミミズク「じゅるり」

かばん「僕、食べられるんですか……?」

アルパカ「紅茶、はいったよぉー。はい、どうぞぉ」

29: 2017/08/30(水) 17:41:43.83 ID:m4QXpnkOo
かばん「ありがとうございます、アルパカさん」

アルパカ「ゆっくりしていってにぇ、ご主人様ぁ」

かばん「は、はい」

トキ「もえ、もっと必要かしら」

オオコノハズク「まだもえが十分ではないのです」

ワシミミズク「では、もっともえを注入するのです」

オオコノハズク「この紅茶にもえをいれるのです」

かばん「な、なにをいれるんですか? もえってなんですか?」

トキ「ここは私に任せて。もえもえの歌、ちゃんと作ってきたから」

オオコノハズク「任せるのです、トキ」

ワシミミズク「中途半端なもえでは何も意味がないのです」

トキ「分かっているわ。それじゃあ、歌うわね」

トキ「もぉぉ~えぇぇ~あぁ~めいども~え~!!もえぇぇぇ~!! もえるめぇぇいどぉぉ~!!!」

トキ「もえっ!!!!」ビシッ

かばん「……!?」ビクッ

31: 2017/08/30(水) 17:50:27.24 ID:m4QXpnkOo
トキ「飲んでみて。沢山のもえが入ったはずだから」

かばん「は、はぁ……。いただきます」ズズッ

オオコノハズク「どうですか、ご主人様」

ワシミミズク「もえるですか、もえないですか」

かばん「ええと……。もえ、てるんじゃないですか? たぶん」

オオコノハズク「成功ですね、助手」

ワシミミズク「成功です、博士」

トキ「心の底からもえが湧いてくる感じかしら」

かばん「あるいはそうかもしれませんね。トキさんの歌は相変わらず力強いですし、元気になりますよ」

トキ「あら、それってアンコールってことね? では、2曲目、行くわね」

かばん「あ、はい」

トキ「あぁ~!! もえ~!!! めいど、もぉえぇぇ~!!! もえるぅぅ~めいどがもえるぅぅ~!!」

ワシミミズク「もえっ、もえっ、もえっ」ピョンピョン

オオコノハズク「もえー! もえー! もえー!」ピョンピョン

かばん「ぼ、ぼくを取り囲むのはやめてくださーい……」

32: 2017/08/30(水) 18:03:17.88 ID:m4QXpnkOo
アルパカ「……」

かばん(アルパカさん……?)

トキ「ご主人様、もっともえるといいわ」

ワシミミズク「満足いくまでもえるといいのです」

オオコノハズク「もえるのです、ご主人様」

かばん「あの、もう十分だと思うんですけど」

トキ「そうなの?」

かばん「きっと……」

トキ「どうする?」

オオコノハズク「本人が十分だというのなら、ここまででいいのです」

ワシミミズク「かばん、ここに通いたいと思えたですか?」

かばん「え!? ええと、そ、そうですね……。個性的なカフェだなっておもいます」

トキ「ぬふ。嬉しいわ。それじゃあ、ここからスペシャルタイムね」

オオコノハズク「我々めいどの力をみせてやるのです」

ワシミミズク「さいごの力です」

33: 2017/08/30(水) 18:11:40.49 ID:m4QXpnkOo
かばん「一体、何を……?」

トキ「行くわよ。もえもえもえもえ……」

オオコノハズク「もえもえもえもえ……」

ワシミミズク「もえもえもえもえもえ……」

かばん「こ、こわいんですけどー!?」

トキ「怖いの?」

オオコノハズク「怖いはもえとは違うのです」

ワシミミズク「あまりのもえりょくにかばんが耐えきれなかったのでは?」

オオコノハズク「それは考えられるのです。我々はモエ、なので」

ワシミミズク「ええ、我々は歩くモエ、なので」

トキ「明日もまたこんな感じで持て成すわね」

かばん「あ、明日もですか……」

トキ「嫌なの……?」

かばん「お、お気持ちは嬉しいんですけど、毎日は流石に疲れると思いますよ」

トキ「そうかしら。私たちならできる気もするわ」

35: 2017/08/30(水) 18:19:17.00 ID:m4QXpnkOo
かばん「あの、アルパカさん」

アルパカ「はい? なになに? おかわりかなぁ?」

かばん「いえ、その、外に行きませんか?」

アルパカ「いいよぉ?」

かばん「すみません」

オオコノハズク「かばん、あとでとても大切な話があるのです」

ワシミミズク「とても、とても重要なことなのです。じゅるり」

かばん「あ、はい。なんとなく、わかりました」

アルパカ「外でなにするのぉ? あたし、もえってよくわかんないけど、いいのぉ?」

かばん「いいですよ。それよりカフェの雰囲気、すっごく変わりましたね」

アルパカ「うん。トキがね、ここを流行らせたいっていうの。あたしも、色んなフレンズに来てほしいしにぇ」

かばん「それで博士たちも協力を?」

アルパカ「博士たちはかばんちゃんの料理が目当てみたいだよぉ」

かばん「あはは。やっぱり。つまりここで僕が料理を作るわけですか」

アルパカ「かばんちゃんさえ良ければにぇ」

36: 2017/08/30(水) 18:26:41.41 ID:m4QXpnkOo
かばん「僕は構いませんよ。毎日だって来たいぐらいですし」

アルパカ「ほんとぉ!? うれしいなぁ! それじゃあ、あのね、カレーっていう料理をにぇ!」

かばん「本当にいいんですか?」

アルパカ「へぇ?」

かばん「……」

アルパカ「な、なにいってるのぉ? さっきもいったけどぉ、あたしだってこのカフェのこと色んな子に知ってほしいんだよぉ」

かばん「そこを疑っているわけじゃありません。アルパカさんは以前、とても嬉しそうに紅茶を淹れてくれました」

かばん「僕もアルパカさんの淹れる紅茶は美味しいと思います。色んなフレンズさんに知ってほしいとも思います」

かばん「ただ、このままの雰囲気でカフェをしていくのかなって……」

アルパカ「そうしなきゃ、お客さんがこないなら……」

かばん「いいんですか?」

アルパカ「……」

かばん「アルパカさん……」

アルパカ「今日は、もう閉店でいいかなぁ? 紅茶の材料がもうなくてにぇ。ごめんねぇ」

かばん「……はい」

37: 2017/08/30(水) 18:33:09.20 ID:m4QXpnkOo
ワシミミズク「閉店、なのですか」

アルパカ「うん。ありがとねぇ。でも、材料がなくてねぇ」

オオコノハズク「そうですか。材料がないなら仕方ないのです」

トキ「……」

オオコノハズク「かばん、みなとまで送っていくのです」

ワシミミズク「送迎するのです」

かばん「あ、いえ。今日はここを下りて、ジャガーさんかカワウソさんのところでお泊りしようかなって。サーバルちゃんたちも向かってきてくれているかもしれませんし」

オオコノハズク「わかりました。では、我々も近くで一夜を過ごすのです」

かばん「え?」

ワシミミズク「我々が提案したことなのです。最後まで見届けるのが義務なのですよ」

かばん「そうですか」

トキ「明日も来てくれるかしら」

かばん「はいっ。勿論です」

オオコノハズク「それでは、また明日ですね」

アルパカ「ありがとにぇー!」

38: 2017/08/30(水) 18:37:16.63 ID:m4QXpnkOo
店前

オオコノハズク「何があったのですか、かばん」

ワシミミズク「アルパカの様子がおかしかったのです」

かばん「……」

オオコノハズク「我々、何か余計なことをしてしまったのですか」

ワシミミズク「我々が何か粗相を犯したのですか」

オオコノハズク「確かにかばんの料理が食べたいがために企画したことではあるのです」

ワシミミズク「そこが気に入らなかったのですか」

オオコノハズク「明日、謝るほうがいいのですね」

ワシミミズク「賛成なのです、博士」

かばん「ラッキーさん」

ラッキービースト『ナニカナ?』

かばん「調べたいことがあるんですけど」

ラッキービースト『ナンデモ イッテネ』

かばん「あのですね……」

39: 2017/08/30(水) 18:43:16.78 ID:m4QXpnkOo
店内

トキ「これ、片付けておくわね」

アルパカ「うん……」

トキ「何かあった?」

アルパカ「……」

トキ「なんでも言ってほしいわ」

アルパカ「こうしなきゃ、いけないのかなぁ」

トキ「え?」

アルパカ「こうしてたほうが楽しいかもしれないけど、こうしてたらお客さん、喜ぶのかもしれないけど」

アルパカ「こうしなきゃ、いけないのかなぁって、段々思っちゃって……」

トキ「私も博士たちもこのお店を流行らせたいのよ。だから、時間をかけてここまで準備したんじゃない」

アルパカ「わかってる。わかってるよぉ。けど、なんか、ちがうっていうか……」

トキ「何が違うの」

アルパカ「こんなことしなくても、お客さんはきてくれるんじゃないかなぁ?」

トキ「……来なかったでしょ?」

40: 2017/08/30(水) 18:48:52.43 ID:m4QXpnkOo
アルパカ「うっ……」

トキ「何か気に入らないの?」

アルパカ「かばんちゃんをみてるとにぇ……その紅茶の味がわからないんじゃないかって……」

トキ「どうして?」

アルパカ「あんなにたくさんの店員に囲まれてたら落ち着けない子も出てくるんじゃない?」

トキ「それじゃあ、今まで通りにアルパカだけで紅茶を淹れるお店でいいの?」

アルパカ「……」

トキ「お客さんは私とショウジョウトキだけになるわよ?」

アルパカ「……」

トキ「私は、嫌」

アルパカ「トキ……?」

トキ「私は、ここに沢山のフレンズを呼びたい。連れてくるんじゃなくて、自然とみんなが足を運んでくれるカフェになってほしいの」

トキ「ここが大好きだから」

アルパカ「私もここが大好きだよぉ。でも、でも……こんなに変えなくても……きっといつか……みんなはきてくれるとおもうんだぁ……」

トキ「そう。なら、そうしたら?」

41: 2017/08/30(水) 18:55:18.11 ID:m4QXpnkOo
アルパカ「え……」

トキ「変えなきゃいけないこともあると思うけど、アルパカが変えたくないって思ったならそうしたらいいわ」

トキ「ここは、私のカフェじゃないから」

アルパカ「トキ、待って、あの……」

トキ「それじゃあ」

アルパカ「あ……」

バタンッ

アルパカ「ちがうよぉ……そうじゃないんだよぉ……」

アルパカ「ただ……ただ……」

アルパカ「ここが素敵な場所だって……変えなくなって伝わるって……信じてみたくなっただけで……」

アルパカ「トキにも博士たちにも感謝してるよぉ……」

アルパカ「わたしだって……おきゃくさんがきてくれるなら……なんだって……するつもりで……いたんだぁ……」

アルパカ「こうちゃ……いれるの……だいすきだし……」

アルパカ「おいしい……って、いって、もらいたいだけだし……」

アルパカ「それだけ……なのになぁ……どうして……うまくいかないのかなぁ……」

42: 2017/08/30(水) 19:00:45.93 ID:m4QXpnkOo
店前

トキ「……」

オオコノハズク「トキ、どうしたのですか」

トキ「なんでもないわ」

ワシミミズク「アルパカ、怒っていたのですか?」

トキ「いいえ。寧ろ、感謝していたわ。でも、やっぱり変えたくないんですって」

オオコノハズク「変えたくない?」

トキ「私が提案しちゃったから、言い出しにくかったのかもね」

ワシミミズク「そうですか」

トキ「……アルパカには悪いこと、しちゃったわね。もっと早く気が付いていればよかったのに」

オオコノハズク「それは我々も同罪なのです」

ワシミミズク「明日、謝罪するのですよ」

トキ「うん。そうしましょう。きっとアルパカは静かなカフェのほうがよかったのね」

ワシミミズク「こんな場所でカフェをしたいと言い出すのですから、当然のことだったかもしれないのです」

オオコノハズク「鳥のフレンズたちでさえ、殆ど気が付かない場所ですからね。よく見つけたものです」

43: 2017/08/30(水) 19:10:36.28 ID:m4QXpnkOo
トキ「そういえばそうね。アルパカは偶然、ここを見つけたって言ってたけど」

オオコノハズク「相談を受けたときも驚いたのです。まさかここをアルパカが見つけるなんて、と」

ワシミミズク「いくら山の上り下りが得意だといっても、ここを見つける確率は相当低いのです」

トキ「隣の山から見つけたって言ってたわね」

オオコノハズク「尚の事、よく発見できたのです」

ワシミミズク「何かを感じ取りでもしなければ、誰も気が付かないのですよ」

トキ「そうよね……。だからこそ、お客さんだってこないんだし」

オオコノハズク「紅茶を淹れたいだけなら他のジャパリカフェがあるのに、ここに拘る理由もよくわからないのです」

ワシミミズク「ここを通るフレンズがどれほどいるのか、わからないのです」

オオコノハズク「かなりの少数のはずなのです」

トキ「ここに何かあるのかしら」

ワシミミズク「見当もつかないのです」

ジャガー「よっと、ついたー」

オオコノハズク「おや、どうしたのですか」

ジャガー「かばんを連れてきたんだ。ろーぷうぇーで登るの大変だろうからね」

44: 2017/08/30(水) 19:19:36.21 ID:m4QXpnkOo
かばん「ありがとうございます、ジャガーさん」

ジャガー「気にしなくてもいいよ」

トキ「かばん、まだいたのね。ところで、その抱いているのは……」

かばん「このカフェ周辺を管理してるラッキーさんです」

オオコノハズク「何故、ラッキービーストを持ってきたのですか?」

かばん「知っているかもしれないって思って」

ワシミミズク「知っている……?」

ラッキービースト『ボクはどうしたらいいのかな?』

かばん「みなさん、一緒に来てください。見てもらいたいものがあるんです」

トキ「見せたいもの……」

ワシミミズク「気になるのです」

オオコノハズク「何を見つけてきたのですか」

ジャガー「一緒に行ってもいいの?」

かばん「はいっ」

ラッキービースト『なんでもいってね』

45: 2017/08/30(水) 19:24:12.18 ID:m4QXpnkOo
店内

アルパカ「……」

アルパカ「ペッ!!」

アルパカ「はぁ……」

カラーン

アルパカ「ごめんにぇ、今日はへいて……ん……」

かばん「どうも」

ジャガー「へえー、こんな風になってたのかぁ」

アルパカ「みんなぁ? どうかしたのぉ?」

トキ「見せたいものがあるってかばんが言っているのよ」

オオコノハズク「早く見たいのです」

ワシミミズク「見せてほしいのです」

かばん「ラッキービーストさん、当時の映像を見せてもらえますか? ジャパリカフェの宣伝を兼ねて」

ラッキービースト『わかったよ。再生するね』

アルパカ「ぅん? なにか映って……」

46: 2017/08/30(水) 19:33:59.47 ID:m4QXpnkOo
『ここジャパリカフェこうざん店は、他のカフェでは味わえないものがあります!』

『それはこの雄大な自然を見ながら、美味しい紅茶を飲むことができるのです!』

『見てください。開店してからまだ間もないですが、こんなにも多くの人とフレンズがここで休憩しています!』

アルパカ「……」

トキ「ヒトがたくさん……フレンズも……」

ジャガー「な、なんだこれ!? どうなってるんだ!? ぜんぜん、わからんっ!」

『店内も店外もお客さんで一杯です!』

オオコノハズク「昔はここにこれほどのお客が足を運んでいたのですね」

ワシミミズク「みんな楽しそうなのです」

かばん「疑問だったんです」

アルパカ「なにがぁ?」

かばん「こんな場所にカフェを建てた理由です。この辺りには山が多いですし、みんながこの山を通って別のちほーに行くとは限りません」

かばん「なのに、カフェはここだけにしかなかった。アルパカさんは、それを見つけ出した。本当に偶然だったんでしょうか」

アルパカ「偶然だよぉ? だって、山を越えるときにたまたま……」

かばん「隣の山からここを見つけたんですよね。休憩していたからとはいえ、目に入るでしょうか? いえ、入ったとしてもそれを偶然で片づけていいのかなって、思ったんです」

47: 2017/08/30(水) 19:42:06.09 ID:m4QXpnkOo
トキ「どういうこと?」

『ふわああぁ! いらっしゃぁい! よぉこそぉ! ジャパリカフェへ~!』

アルパカ「え……」

トキ「あ……これって……」

アルパカ『美味しい紅茶、淹れるよぉ。なにのむぅ? ここには色々あるよぉ。えへへぇ』

アルパカ「……」

オオコノハズク「アルパカ、なのですか」

ワシミミズク「昔のアルパカ、なのですね」

アルパカ『あぁー、今日もお客さんがいっぱいだぁ。大変だけど、たのしいよぉ。店長もやさしいしにぇ』

アルパカ「……」

アルパカ『みんながねぇ、あたしが淹れた紅茶、おいしいっていってくれるのぉ。それがほんとうにうれしいんだぁ』

アルパカ「しらない……こんなの……しらないよぉ……」

トキ「アルパカ……」

アルパカ「みたこと……ない……これはあたしじゃないよぉ……ないのに……なんでかなぁ……なんで……ちょっとかなしいのかなぁ……なんでかなぁ……」

ジャガー「ろーぷうぇーもすっごい動いてるなぁ」

48: 2017/08/30(水) 19:50:40.35 ID:m4QXpnkOo
アルパカ『追加の注文はいったよぉ! あぁ、ほんと、いそがしいよぉ!』

アルパカ「いいなぁ……たのしそうだなぁ……」

かばん「本当は、最初から知っていたんですよ」

アルパカ『おいしいぃ? ありがとにぇ!』

アルパカ「こんなに……おきゃくさんきてくれたら……きっと……きっと……すっごくたのしいだろうなぁ……」

かばん「アルパカさんは、最初からこのカフェがどれだけ素敵な場所なのか知っていたんです。だから、変えたくなかったのかもしれません」

かばん「お客さんが中々こなくても信じたかったのかもしれません」

アルパカ『ありがとぉー! またきてにぇー!! あははー』

アルパカ「しってたのかな……だから……わたし……いやだったのかな……かわっちゃいそうで……こわくなったのかなぁ……」

トキ「……」

オオコノハズク「謝るのです、アルパカ」

ワシミミズク「我々、こんなに素晴らしい場所を壊そうとしてしまったのです」

アルパカ「ちがう……あやまるのは……あたし……だよぉ……せっかく……いろ、いろ……かんがえて……くれたのにぃ……」

トキ「このままでよかったのね。間違っていたのは、私のほうだったわ。ごめんなさい、アルパカ」

アルパカ『ふわああぁ! いらっしゃぁい! よぉこそぉ! ゆっくりしていってにぇー!』

49: 2017/08/30(水) 19:55:44.10 ID:m4QXpnkOo
ラッキービースト『以上だよ。他に見たい映像はあるかな?』

かばん「いえ、ありません。ありがとうございました」

ラッキービースト『何かあったら言ってね』

アルパカ「うぅぅ……」

オオコノハズク「我々は外にいるのです」

ワシミミズク「賢いので」

ジャガー「かばん、外で待ってよう」

かばん「はいっ」

トキ「……今日は、帰るわ。また明日ね」

アルパカ「うぅ……ぅ……」

かばん「アルパカさん……」

ラッキービースト『カバン ヤクニタテタカナ』

かばん「うん。ここのラッキーさんを探してくれてありがとうございます」

ラッキービースト『キニシナイデ』

アルパカ「すきだったんだぁ……ずっとまえから……あたし……ここがすきだったんだぁ……しらないけど……おぼえてないけど……すきだったんだぁ……」

50: 2017/08/30(水) 20:00:18.98 ID:m4QXpnkOo
店前

トキ「わたしはぁ~とぉき~なかまをさがしてぇ~るぅ~」

アルパカ「紅茶、のむぅ?」

トキ「いいの?」

アルパカ「うん。泣いたらすっきりしたよぉ」

トキ「そう」

アルパカ「トキぃ?」

トキ「なぁに?」

アルパカ「やっぱりジャパリカフェのままでいきたいなって思ってるんだけど……」

トキ「私の許可なんていらないわ」

アルパカ「ごめんにぇ。ここまで準備してくれたのに」

トキ「明日、看板を外しましょう。このカフェには相応しくないもの」

アルパカ「お客さん、きてくれるかなぁ」

トキ「来てくれるわ」

アルパカ「うん。そうだにぇ。きっとくるよねぇ。あぁ、待ち遠しいなぁ。えへへ」

51: 2017/08/30(水) 20:15:39.52 ID:m4QXpnkOo
アルパカ「明日も朝からお店で紅茶飲むの?」

トキ「いけないかしら」

アルパカ「仲間をさがしてぇ~って歌ってたから」

トキ「この歌は歌詞が変わったのよ」

アルパカ「え? どういうことぉ」

トキ「わたしはぁ~とぉき~なかまをさがしてぇ~るぅ~! そぉして、みつけぇたぁのぉ~だいじぃなぁなかぁまぁ~」

アルパカ「そっかぁ。みつかったんだぁ」

トキ「ええ。もう探す必要はないわ」

アルパカ「よかったねぇ」

トキ「ホントに」

「うみゃみゃみゃみゃみゃみゃみゃー!!!!」

アルパカ「なになになに!? お客さんかなぁ!?」

サーバル「かばんちゃーん!!!! どこー!!!! かばんちゃーん!!! あぁー!! トキー!! アルパカー!! かばんちゃん知らなーい!?」

トキ「かばんなら山を下りたわ。ジャガーのところにいるんじゃないかしら」

サーバル「そーなの!? ありがとう!! 行ってみるね!!! うみゃみゃみゃー!!!」

52: 2017/08/30(水) 20:25:37.67 ID:m4QXpnkOo
翌日 店前

ワシミミズク「これで撤収は完了なのです」

オオコノハズク「色々とすまなかったのです」

アルパカ「こちらこそ、ごめんにぇ。かばんちゃんも、迷惑かけちゃったねぇ」

かばん「いえ。全然。僕だって昔のジャパリカフェが知れて嬉しかったです」

サーバル「もう、博士! 勝手にかばんちゃんを連れていかないでよね!」

オオコノハズク「反省しているのです」

ワシミミズク「猛省しているのです」

アライグマ「随分とちいさくなってるのだ」

フェネック「なんかあったみたいだけど、聞かない方がいいのかなぁ」

オオコノハズク「みなとまで戻るなら送っていきますが」

かばん「ええと……。サーバルちゃんと歩いて帰ります」

ラッキービースト『カナリ キョリガアルヨ?』

かばん「僕だけ飛んで帰るのも嫌なので。帰りぐらいはサーバルちゃんたちと一緒に行きます」

サーバル「うぅぅー……。かばんちゃーん!!」ギュゥゥ

53: 2017/08/30(水) 20:30:52.67 ID:m4QXpnkOo
かばん「うわぁ!? ちょっとサーバルちゃん! 急に抱きつかないでよぉ」

サーバル「一緒にかえろー!!」

かばん「うん」

アライグマ「かばんさん、流石なのだー!!」

フェネック「あえて苦しい方を選択するなんてねぇ。アライさんは絶対にしないのに」

アライグマ「何をいっているのだ! アライさんもかばんさんと同じ選択をするのだ!!」

かばん「心配かけちゃったね」

サーバル「いいんだよー。あ、そうだ、きいてきいて。ここまでくるまでにね、ライオンとかスナネコとかにあったんだけど――」

ワシミミズク「それでは我々も戻るのです」

オオコノハズク「それでは、また来るのです」

アルパカ「まってるよぉ」

トキ「またね」

オオコノハズク「カレーはおあずけなのです」バサッバサッ

ワシミミズク「おかわりは延長なのです」バサッバサッ

アルパカ「さぁーて、お店あけないとにぇー」

54: 2017/08/30(水) 20:35:34.92 ID:m4QXpnkOo
店内

トキ「静かね」

アルパカ「これでいいんだよぉ」

トキ「……ちょっと、残念だったけど」

アルパカ「私も、変わることを怖がってたらいけないよねぇ」

トキ「え?」

アルパカ「いつかね。あのめいどかふぇもやりたいよぉ」

トキ「ホントに?」

アルパカ「ほんとだよぉ。えへへ」

トキ「うふふ……」


「ここだ、ここだー。サーバルが言ってた素敵なカフェって。へぇー、いいところだなぁ」

「かばんちゃんもここにいるって言ってたけど、まだいるかな? 流石にもう帰ったのかな?」

「はやく入りましょう。僕、待ちきれないです」

カラーン


アルパカ「ふわああぁ! いらっしゃぁい! よぉこそぉ! ジャパリカフェへ~!」

55: 2017/08/30(水) 21:17:20.74 ID:m4QXpnkOo
おしまい。

56: 2017/08/30(水) 21:21:01.23 ID:xs/DB4Vm0
おつ
けもフレらしい優しい世界

57: 2017/08/30(水) 22:38:01.23 ID:6TfHv6h2o
自分の間違いを認められるカレーコンビがかしこかった

58: 2017/08/30(水) 22:46:21.25 ID:m3NuOwpp0
乙乙
みんないい子

引用元: アルパカ「ふわああぁ!いらっしゃぁい!よぉこそぉ!アルパカフェへ~!」