1: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 20:58:02.41 ID:ka8w9rwk0

女騎士「くっ… この…醜いオークめ!この鎖を解け!」

オークの長「クックック… そうはいかぬわ。気高き我がオーク一族に盾突いた貴様の罪を抗わねばな…!」

女騎士「!? 罪を…!? 貴様、何をする気だ!」

オークの長「… … …」







オークの長「いや、別に何するってわけでもないんだけどさ」


女騎士「なんだと…!?」

オークの長「だってほら、君の方から襲ってきたわけだし」

オークの長「第一、その鎖解いたら真っ先に君、私に襲い掛かるでしょ?」

女騎士「当たり前だ」

オークの長「いやー、そりゃ、解けないでしょ…鎖…」


http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446983882

2: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:00:13.32 ID:ka8w9rwk0

オークの長「というかさ… 私達、君に恨まれるような事、しましたっけ?」

女騎士「身に覚えがない」

オークの長「いや、それこっちのセリフであって君のじゃないからね!?身に覚えがないっていうのは!」

オークの長「それで… なんで君は私達オークを襲おうとしたのさ」

オークの長「一人で。 しかもノープラン堂々と正面玄関から上がり込んで。 … そのうえ…」

オークの長「滅茶苦茶弱かったんだけど… 君…」

女騎士「なんだと…!」

オークの長「だって、そもそも戦ってないからなんとも分からないんだけどさ」

オークの長「手下が『なんか玄関から堂々と上がり込んできた人間がいたから羽交い絞めにしたら案外簡単に鎖で巻けちゃったんで事情聴取お願いします』って…」

女騎士「くっ… 後ろから襲うなど、卑怯な真似さえされなければ…!」

オークの長「いや、そりゃ剣持って堂々と上がり込んでくればまず身動きとれなくするのが当たり前だと思うんだけどね」

3: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:01:22.94 ID:ka8w9rwk0

オークの長「まぁ、私もオーク一族まとめてるわけだからたまーに街の方の戦士やら騎士団に命狙われる事あるんだけどさぁ」

オークの長「まずいなかったよね。アジトに一人で乗り込んでくるタイプ。 …大抵みんな、仲間連れてきてさ。作戦なんかももう緻密に考えて私ももう何度危なかった事か」

女騎士「大変なんだな」

オークの長「まず君もその一人である事を自覚しようか。他人事にしないでくれるかな」

オークの長「それで… 正面からきたからよっぽど腕に自信がある騎士なのかと思ったら… あっさり捕まっちゃうし…」

女騎士「… … …」

オークの長「君、いくつ?」

女騎士「…15」

オークの長「若いねー。っていうか… 幼いね。 …見たところ騎士っぽいけど、騎士団かなんかの所属?」

女騎士「…。…これから…」

オークの長「所属するの?どこ狙い?王国直属?私営?」

女騎士「… … …」

女騎士「作ろうと思ってる…」

オークの長「あー… 作ろうと思ってるのに先に私達のところに攻め込んじゃったんだー…」

4: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:03:22.14 ID:ka8w9rwk0

オークの長「それで… 仲間とかは…」

女騎士「… 私、一人」

オークの長「… うわぁ…」

女騎士「なんだその人を憐れむような『うわぁ…』は」

オークの長「いや、そりゃあねぇ…。だって仲間がいなくて、一人で来て、そのうえ弱いわけでしょ…?」

オークの長「… 一番の疑問なんだけどさ…なんだってそんな状態でウチに攻め込もうと思ったわけなの…」

オークの長「私が言うのもなんなんだけどさ、もうちょっと色々考えてから来ようよ。ね?」


女騎士「… … …」

女騎士「… ひぐぅ…っ…! う、う… ふぇぇぇええええん…!!」

オークの長「あ、ちょ、ごめ…。 い、言い過ぎた言い過ぎた…」

女騎士「だっでぇ… わだじ、わだじぃぃ…!!」

オークの長「お、落ち着いて…。落ち着いてから話そうね、ね!」

女騎士「うぇええええええええええん!!!!」

5: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:05:20.09 ID:ka8w9rwk0





オークの長「… 落ち着いた?」

女騎士「… … … みっともないところを見せた」

オークの長(みっともなくないところを見てないんだけど… というのは黙っておこうかなぁ)


女騎士「… 一昨日の晩… 街が魔物達の襲撃を受けた」

オークの長「あー、なんか大変だったみたいだね。夜の奇襲だったみたいで、街の騎士団も対応しきれなかったらしいから」

女騎士「… … …」

女騎士「王国騎士団や、街の戦士達が急いで対応して、どうにか魔物達を討伐したのだが…」

女騎士「間に合わなかった人も多数… それで… 私の父親と母親が、犠牲に…!!」

オークの長「え…」

女騎士「両親は…私をかばって…!犠牲に…っ…」

オークの長「えぇぇ…そんなひどい…」

女騎士「私は… その時に誓ったのだ…」

女騎士「この世の魔物を… 私の手で、殲滅してやると…!」

6: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:06:52.02 ID:ka8w9rwk0

オークの長「…ひどい話だねぇ」

女騎士「とぼけるな! 貴様ら魔族が、私の両親を…!」

オークの長「いやいや。一昨日街襲ったのは多分、魔王直属の魔物達なんだよ」

女騎士「!? そうなのか…!?」

オークの長「私らオークはさ。なんというか、この辺りで活動してるだけの地域密着型の魔物でして」

女騎士「地域密着…!?」

オークの長「魔王軍に比べちゃー私らなんて… それこそ、街なんか攻め込んだら騎士団にあっという間に倒されちゃうよー」

女騎士「そうだったのか…!」

オークの長「… … …」

オークの長「いや、調べたり聞きこんだりすれば分かる事だと思うんだけどなー。… まさか、オークのアジトがあるってだけで攻め込んできちゃったの?」

女騎士「… … …」

オークの長「図星なんだねー…」

7: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:08:14.88 ID:ka8w9rwk0

オークの長「結構立派な鎧と剣だけど、どうしたのそれ?」

女騎士「お爺様が騎士だったんだ。それで、物置にあったのを掃除して着てきた」

オークの長「あー… つまり、君自身は剣術を習っていたり騎士として活動していたわけではない、と」

女騎士「… … …」

オークの長「… えーと、話をまとめるとだね」

オークの長「君は騎士でもなんでもない、普通の街娘で。 一昨日の魔物の襲撃でご両親が犠牲になられて…」

オークの長「復讐に燃えた君は物置にあったお爺様の剣と鎧を着こんで、単身私らオーク族のアジトになんの考えもなく乗り込んできた、と」

女騎士「… … …」

オークの長「それで、私らオークは一昨日の襲撃とは何の関係もないことが分かって… 今に至る、というわけなんだね」

女騎士「… … …」

女騎士「ごめんなさい」

オークの長「あ、いや、こっちこそごめんね。なんか縛っちゃって。今解くから」

女騎士「…かたじけない」

8: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:09:14.03 ID:ka8w9rwk0

オークの長「はい、お茶でも飲んで落ち着いて」

女騎士「すまない」

オークの長「それで… なんかさっき、騎士団作りたいとか言ってなかった?」

女騎士「… 作りたい、と思ってる。…ゆくゆくは」

オークの長「まぁ、魔物殲滅するのが君の目標らしいからねぇ。 … … …」

オークの長「アテ、あるの?」


女騎士「… 魔王を倒さんとする勇ましき戦士達なら、きっと同じ大義の元に私のところへ集ってくれるはずだ!」


オークの長「… … …」

女騎士「… … …」

オークの長「なんかなー… こうなった以上、他人事に出来ないなー、なんか…」

9: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:10:40.25 ID:ka8w9rwk0

オークの長「なんか頼れる人とかいないの?騎士団の知り合いとか、親戚とか…」

女騎士「私は… 父上と母上に報いるためにも、一人で強くなると決めたんだ!」

オークの長「いないのね、頼れる人」

女騎士「… … … そうとも、言う」

オークの長「… 騎士団作って、魔王率いる魔物軍団を滅ぼすっていうのはもう、決意だけは固いわけだね」

女騎士「無論だ」

オークの長「実力と目標が噛み合ってないんだよなー… なんか…」

女騎士「何か言ったか?」

オークの長「あ、ごめ、なんでもないなんでもない」

オークの長「うーん… … …」

10: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:11:53.78 ID:ka8w9rwk0

オークの長「まぁ、魔王さんところの魔物もなんかアレなんだよねぇ。その辺り荒らしまわったり、人やら私らやら関係なく襲うし…困ってるんだよね、オーク族としても」

女騎士「そうなのか…!?」

オークの長「うん。この間もウチの若い連中が襲われてさ。命からがら逃げだしてきて、今治療中」

オークの長「金品やら武器も巻き上げられちゃったし… でも、あっちは魔王直属なわけだから私らとしてもなかなか歯向かえないわけよ」

オークの長「最近そういうのが多くてさ。魔王さんが力持ち過ぎちゃってて、地方の魔物の私らにまで乱暴するようになってきちゃって…」

女騎士「苦労してるんだな」

オークの長「それで… 君は騎士団を作ろうとしているわけでしょ?…それで、アテもない、と」

オークの長「… … … 何かの縁なのかねぇ」

女騎士「?」

オークの長「あー、いや… ちょっと待っててくれる?」

オークの長「ちょっと、相談したい奴がいるのよ」

11: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:12:54.43 ID:ka8w9rwk0





オーク「お呼びですか長」

オークの長「あーごめんごめん。突然だけどさ、君、今日からこの子の世話してやってくれない?」

オーク「世話…?」
女騎士「世話…?」

オークの長「かくかくしかじかで… この子、魔王さん倒すための騎士団作りたいんだってさ」

オーク「… … … はぁ」

オーク「それで、なんで俺が」

オークの長「君、この間までウチの経理とかやってたでしょ?経営とかできそうかなー…って」

オーク「いや… だからって人間の騎士団経営をしろというのは…」

オークの長「いやいや、あくまで団長はこの子だから。君は補佐だよ、補佐」

女騎士「補佐…。 オークが…!?」

女騎士「私が… オークの手を借りなければいけないというのか…!?」

オークの長「君が良ければなんだけどさ。 …だって、君一人で騎士団作るの、ちょっと難しそうだし」

女騎士「… … …」

オークの長「そこはぐうの音も出ないわけだしね」

12: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:14:03.67 ID:ka8w9rwk0

オーク「この子を手伝うとして…俺たちオークになんのメリットがあるんですか?」

オークの長「しっかり経営できるようになったらさ、まぁ、私らに報酬って形でくれればいいよ。出世払いで」

女騎士「オーク族に人間の私が報酬を…!?」

オークの長「じゃあ一人でできる?大丈夫?」

女騎士「… … …」

オークの長「… だよねぇ」

オークの長「まぁ特に期待もしてないし、気楽にやってくれればいいよ。報酬だって、あわよくば、でいいから」

オーク「いや、長…ちょっとは俺の立場も…」

オークの長「君のとこ、この間子どもできたんだっけ?」

オーク「え… あ、はい…」

オークの長「ちょっと基本給上げるからさー、頼むよー。単身赴任」

オーク「… … …」

13: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:14:47.81 ID:ka8w9rwk0

オーク「長は… 何故そこまでこの娘に肩入れを…」

オークの長「まぁ、こういうのもなんか運命なのかなーってさ。この子は騎士団作って魔王を倒したくて、私らオークは魔王に困ってるけど盾突く事は出来ないわけだし」

オークの長「この子の身の上も可哀想なわけだし… せっかくこうして来てくれたわけだから何か力になってあげられないかなぁ、ってさ」

オーク「いやこうして来てくれたって、殺しにきたんですよねコイツ!?俺らの事!」

オークの長「でも、今は違うもんねー?」

女騎士「そうだもんねー?」

オーク「何仲良くなってんですか!?女騎士さんも急にキャラ変えないで下さい!」

オークの長「まぁ、人助けだと思ってさ。長自ら協力するわけにもいかないし… ここは君に、頼むよ」

女騎士「… … …」

オーク「うっ。そんな正義に満ち溢れた瞳で俺を見ないでください」

女騎士「今日から一緒に魔物を滅ぼす仲間になってくれ!」

オーク「いや、とりあえず俺も魔物ですからね!?魔王の、ってつけてください」

14: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:15:37.00 ID:ka8w9rwk0

オーク「… … …」

オーク「… どれくらいの期間ですか」

女騎士「! 協力してくれるのか!」

オーク「仕方ないでしょ… 期間、どれくらいですか。俺だって嫁と子どもの顔見たいですし」

オークの長「まぁ、騎士団が安定して経営できるくらいだから…1、2年じゃないの?」

オーク「… … …」


オーク「給料、上げてくださいよホント。あとたまに帰省もしますからね」

オークの長「! やってくれるか!」

オーク「嫁に相談してみます…」

女騎士「くっ…私がオークの助けを借りるなど…!」グッ

オーク「ガッツポーズしながら言わないでください」

15: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:17:45.58 ID:ka8w9rwk0





オークの長「… はい。じゃあ、この住所に何日かしたら手紙送るから」

女騎士「いい返事を待っているぞ」

オーク「なんで偉そうなんですか」

オークの長「君も、奥さんとちゃんと話し合ってきてね。穏便に」

オーク「はぁ… でも給料上がるんなら文句も出ないかなぁ…アイツ…」

オークの長&女騎士「いい返事を待っているぞ」

オーク「息ぴったりになっちゃいましたねすっかり」

オーク「… じゃあ、とりあえず数日後って事で…」

オークの長「暗くなってきちゃったけど大丈夫?ランタン、貸そうか?」

女騎士「あ、ありがとうございます。借りていきます」

16: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/08(日) 21:20:34.20 ID:ka8w9rwk0


――― 数日後


女騎士「… … …」

女騎士「あ、来た」

オーク「おはようございます」

女騎士「おはようございます」

オーク「えーと、本日から騎士団経営の補佐をさせていただきます。よろしくお願いします」

女騎士「ああ、よろしく頼む!」

女騎士「ともに、魔王を打ち滅ぼそう!正義の名のもとに!」

オーク「… … …」

オーク「もう俺がオーク族っていうのは考えないようにしたんですね」

女騎士「同じ目的を持てば魔物であろうと仲間だ!」

オーク「… … … そうですか」

オーク「えーと…」


オーク「それじゃ、がんばっていきましょう」

女騎士「… よろしく!オークさん!」

29: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:19:24.12 ID:1NjPGYub0

役人「うーん…」

女騎士「… … …」

役人「まずねぇ、前例がないんですよぉ」

役人「2人で騎士団結成っていうケースはちょっと…私も初めてでしてぇ」

女騎士「くっ… やはり駄目なのか」

役人「いや、駄目っていう事じゃないんですけどね… まず順序が違うといいますか、なんといいますか…」

女騎士「貴様は… 人間とオークが騎士団を作ってはいけないというのか!」

女騎士「人間か魔族かなど関係ない!私と彼は… 魔王を打ち滅ぼそうと立ち上がった同志なのだ!魔族だからといって…!」

役人「いや… その…」

女騎士「ではなんだというのだ!」



役人「登録金、必要なんですよね。騎士団として登録するのに」

女騎士「… … …」

女騎士「ああ… そういう…」

30: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:20:10.46 ID:1NjPGYub0

役人「えーと、オーク族の方とお2人でやられるワケですよね。まぁ、種族に関して規制があるわけではないですし、そこは大丈夫だと思います」

女騎士「いいのか…」

役人「ただねぇ。登録金が必要なんですよ、騎士団として登録するのに」

役人「国としてもね、やっぱり無料化しちゃうと暴徒集団になっちゃったり山賊になっちゃったりするリスクもあるわけなんですよ」

役人「そこで、登録金をいただいて… そのお金を使って国の方で騎士団をしっかりと管理してそういった事を防いでいるわけなんですよぉ」

役人「… あの…失礼ですけど、今日はそのお金、お持ちですか?」

役人「一応、初回登録料で10万Gお支払いいただくんですけれど…」

女騎士「一銭もない!」

役人「あー… 自信たっぷりにおっしゃられるんですねー…」

32: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:21:10.25 ID:1NjPGYub0

役人「それと、拠点申請も必要でして」

女騎士「拠点申請…?」

役人「ええ。騎士団の活動拠点となる物件の証明書が必要で… ほら、その辺りで野宿しながら騎士団経営されると山賊とかと勘違いされちゃう住民の方もいらっしゃいまして」

女騎士「なるほど…」

役人「ですから、その騎士団の活動の拠点となるような物件をまずはお借りいただくなり購入いただくなりしていただいて…」

役人「その上で、登録金10万Gを頂ければ国として騎士団を認める、という形になります」

女騎士「… … …」

女騎士「世知辛い…」

役人「… … … そうお思いになるでしょうけど、規則ですので」

役人「ちなみに無許可で騎士団運営なされると違法となり処罰の対象になるのでご注意ください」

女騎士「ますます世知辛い…」

役人「規則ですので…」

33: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:21:56.62 ID:1NjPGYub0


オーク「… … …」

オーク「お、戻ってきた。 どうでした?申請」

女騎士「… 騎士団やりたきゃ家と金持ってこいって言われた…」

オーク「いや、家は持ってこれませんけどね。やっぱり駄目でしたか」

女騎士「知っていたのか」

オーク「まぁ、ダメ元で役所に聞いてみるのもいいかなと思いまして。詳しく分かったでしょ?騎士団の申請」

女騎士「… … …」

女騎士「世知辛い」

オーク「いい勉強になって良かったです」

オーク「まぁ、この街で騎士団として活動する以上、ルールには従わなきゃですからね。郷に入ればなんとやらです」

女騎士「うううう…」

オーク「まぁ、そこのカフェでなんか飲みながらプランでも考えましょう」

34: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:22:38.73 ID:1NjPGYub0

オーク「あ、俺コーヒーで。女騎士さんは?」

女騎士「オレンジジュース」

オーク「じゃ、それでお願いします」



オーク「うーん…」

オーク「まず、何をするにも資金作りからですよねぇ」

女騎士「せちがら…」

オーク「それはもう分かりましたから」

オーク「まぁ、騎士団なんてのは大抵金持ちのボンボンがやってますからね。もしくは作ろうと思った人達が資金出し合って結成、とか」

オーク「1から作るってのはなかなか厳しいのかなぁ、やっぱ」

女騎士「… … …」

女騎士「うううううううう…」

オーク「あー、泣かないでください。すいませんすいません。一緒に頑張りましょうね」

女騎士「うん…」

35: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:23:42.30 ID:1NjPGYub0

女騎士「… どうすればお金がもらえるんだろう」

オーク「まぁ、一般的に騎士団というのは街の治安守ったり魔族と戦ったりするのが仕事ですから。街の人からの謝礼なんかが主らしいですね」

オーク「あとは、国が指定している魔物の討伐なんかも有力な資金源ですけど」

女騎士「指定している魔物…? つまり、魔物を倒せばお金がもらえるというわけか!」

オーク「簡単に言いますけどね。要するに、街の腕っぷし自慢や騎士様じゃ歯が立たないレベルの魔物に懸賞金つけてるわけですよ。手配モンスターっていうんですか」

オーク「… … …」

オーク「勝てます?俺らに簡単に捕まっちゃいましたけど、女騎士さん」

女騎士「… … …」

女騎士「勝てるか勝てないかじゃない!やるか、やらないかだ!!」

オーク「自信はないけどやれるだけやるか的な事ですね」

女騎士「… … …」

女騎士「もうちょっとオークさんに剣術を磨いてもらったら!!」

オーク「しかも俺が鍛える前提なんですね」

36: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:24:36.92 ID:1NjPGYub0

オーク「まぁ… 騎士団としてまだ登録していない以上、騎士団として仕事するわけにもいきませんし」

オーク「だからといって手配モンスターを討伐する腕もない」

オーク「そして、手持ちの金は今日の晩飯も危うい状況…と」

女騎士「絶望的だ…」

オーク「うーん…」


オーク「策がないってわけでもないんですけどね…」

女騎士「! 本当か!」

オーク「… 多少、辛いかもしれませんよ。…女騎士さんの身体、使うことになりますし」

女騎士「…!?か、身体を…?」

オーク「ええ。とはいえ、これくらいしか方法はありませんし… やります?」

女騎士「… … …」


女騎士「私は…父上と母上のため…。魔王を倒すためなら、なんだってする覚悟がある!」

女騎士「言ってくれ、オークさん!」

オーク「… … … わかりました」

37: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:25:46.13 ID:1NjPGYub0





女騎士「はぁ… っ。 はぁ…!」

オーク「… … …」

女騎士「ぐ、ぅっ… ! こ、これで… 終わり…?」

オーク「まぁ… こんなもんでしょう」








女騎士「おばあちゃん!庭の草刈り、終わったぞ!」

おばあちゃん「まぁまぁ、ごくろうさま… あらあら、こんなに綺麗にしてくれて!ありがとうねぇ」

オーク「いえ、これが仕事ですから」

女騎士「騎士として当然の事をしたまでだ!」

オーク「いや、騎士としてどうかはさておいて… こんなもんでいいですかね」

おばあちゃん「まー、隅々までありがとうねぇ。貴方たちに頼んでよかったわぁ」

おばあちゃん「さ、あがってあがって。今、冷たいお茶持ってくるから。暑いのに本当に…ごくろうさま」

女騎士「いただきます!」

38: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:26:43.69 ID:1NjPGYub0

女騎士「ぷはー! 一仕事のあとの麦茶は格別だな!」

おばあちゃん「ふふふ。はい、それじゃあこれ、今日のお金。確認してちょうだい」

オーク「…えーと、失礼して… はい、確かに1800Gですね。ありがとうございます」

おばあちゃん「本当に丁寧にやってもらって… またオークさん達にお願いしようかしら」

オーク「はい、また掲示板の方に貼り出してもらえれば…。 あ、お茶、ごちそうさまでした」

女騎士「困ったらいつでも声をかけてきてくれ。私達騎士団は市民の味方だ!」

オーク「それは騎士団として活動してから言いましょうね。それじゃ、またご贔屓に」

おばあちゃん「はい、どうもありがとうございました」



女騎士「なるほど… こういう方法があるのだな」

オーク「住民が多い街ですからね。なんでも掲示板があって、結構雑用の仕事の依頼が書いてあるんですよ」

オーク「騎士団としてではなく、個人として街の人達の困りごとを解決していけば、お金は手に入ります」

女騎士「オークさん天才!」

オーク「ははは… でもですね」

39: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:28:30.70 ID:1NjPGYub0

オーク「騎士団の登録に10万G。今回炎天下で二時間びっちり草刈りして報酬が1800G。しかもあの掲示板だとかなり報酬がいい仕事選んだつもりです」

オーク「残り9万8200G。 … しかも、この1800Gも今日の晩飯代で多少使いますし…」

オーク「… … … 何か月かかりますかね。登録金稼ぐのに」

女騎士「… … …」

女騎士「絶望的だ…」

オーク「ですよねえ…」

オーク「まぁ、俺が提案できる金策としてはこれくらいしか… 女騎士さん、何かアテとかないんですか?」

女騎士「アテ…?」

オーク「とりあえず騎士団を先に作りたいっていうのなら… まぁ、借金っていう手もありっちゃありだと思うんですけど…」

女騎士「正義の騎士団のスタートが借金からになるのか…」

オーク「…まぁ、そうお思いになるでしょうけど、仕方ないことだとは思いますし」

オーク「このままじゃホント、バイトだけして俺の契約期間終わっちゃいますし…」

女騎士「… … …」

オーク「しかも… 借金できるところなんて、ないですもんね。女騎士さん。まだ15ですし」

女騎士「うううううううう…」

40: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:32:42.72 ID:1NjPGYub0

女騎士「… 私は…」

オーク「… … …」

女騎士「私は、一刻も早く、騎士団を結成しなければいけないのだ」

女騎士「父と母の復讐のため…」

女騎士「そして何より、魔王の手に苦しんでいる人々を助けるため…」

女騎士「私一人の力ではどうしようもできない。オークさんと一緒に、仲間を作って… 私が、私以上の力を手に入れて… 魔王を打ち滅ぼすためにも」

女騎士「そして… 世界を平和にするために」

オーク「女騎士さん…」

女騎士「私は… なりふりかまっているわけにはいかないんだ!すぐにでも騎士団を作らなければ…」

オーク「… … … でも、どうやって」





女騎士「父上と母上に相談する!」

オーク「… … …」

オーク「は?」

41: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:33:28.52 ID:1NjPGYub0





女騎士「ただいま!」

女騎士父「ああ、おかえり。どうだった?騎士団の申請は」

女騎士母「まぁ!貴方が女騎士ちゃんの騎士団づくりのお手伝いをしていただける、オークさん?」

オーク「… … …」

女騎士母「まぁまぁ、このたびはどうも… あ、上がってくださいな。美味しい紅茶がありますのよ。ささ、どうぞどうぞ」

オーク「… … …」



女騎士父「いやあオークさん、本当にありがとうございます。娘の我儘に付き合っていただけるなんて」

女騎士母「でも、オーク族のエリートの方なんでしょう?両親としても安心できるわぁ」

女騎士父「そうだな母さん。はっはっは」

オーク「… … …」

女騎士「あの… それで、父上、母上… 実は騎士団の登録にお金が必要で…」

女騎士父「なに!?10万G!?」

女騎士母「まあまあ、それは… 家みたいな平凡なお家がすぐ出せる金額では… ねえ?父さん」

女騎士父「うむう… そうだなぁ母さん…」

オーク「… … …」

42: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:37:29.92 ID:1NjPGYub0

女騎士父「少し時間をいただけないかな。可愛い娘が、世間様のために騎士団を作りたいと言っているんだ。精一杯協力してやるのが親のすべき事だろう」

女騎士「ありがとう、父上!」

女騎士母「オークさんも、本当にお世話になります…。 家からは何もできませんけれど… あ、そうだわ!」

女騎士母「これこれ!この間お隣の奥さんに美味しいリンゴをいただいたの!たくさんいただいちゃったから是非ご家族で食べてみてくださいね」

オーク「… … … ありがとう、ございます」

女騎士父「いやあ、実に美味しいリンゴで… うっ、痛たたた…っ」

女騎士「!?父上!?」

女騎士母「この間の傷が痛みますの!?」

女騎士父「ああ… 魔王のモンスターにやられたせいで、脇腹の打撲を… いやあ、情けないかぎりです。はっは… いたたた」

女騎士「父上… 無理なさらないでください」

オーク「… … … 打撲」

43: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:38:13.85 ID:1NjPGYub0

女騎士母「それじゃあどうも… オークさん、娘の事、よろしくお願いしますね」

女騎士父「いやあ、オークさんのような頼もしい方が世話役なら安心だ。 今後とも、是非」

オーク「… … … よろしく、お願いします」

女騎士「それじゃあ、またちょっと出かけてくるから」

女騎士父&母「気をつけてねー」




オーク「女騎士さん」

女騎士「ん?なんだ?」

オーク「言っていいですか」

女騎士「なにを?」

オーク「… … …」




オーク「両親生きてるじゃねぇかよオイ!!!!」

44: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/09(月) 20:39:18.82 ID:1NjPGYub0

女騎士「? そりゃ生きてるだろ」

オーク「いや、首傾げないでくださいよ!?女騎士さん言ってましたよね!両親が犠牲になったって」

女騎士「言ったよ?」

オーク「言ったよ?じゃないですよ!! どう考えても両親を亡くしたニュアンスじゃないですか!!」

女騎士「いや、だから」

女騎士「魔物が攻め込んできた時… 家の両親は果敢にも魔物に立ち向かったのだ。…その際、父上の脇腹が犠牲に…」

オーク「えらいちっちゃい犠牲ですね!」

女騎士「そのうえ、母上は料理している途中で… 慌てたものだから、作りかけの熱いスープを手にこぼして火傷を…!」

オーク「それもう魔物直接関係してないじゃないですか!」

女騎士「… その時、私は誓ったのだ…」

女騎士「父上と母上をこんな目に合わせた魔物を許さない、と…!!」

オーク「… … …」



オーク「実家帰ろうかな… 俺…」



――― つづく

45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/09(月) 21:54:05.30 ID:P4ExbVW60
オークさん割にあわねぇwwww

46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/10(火) 01:07:41.15 ID:2hdkn8Meo
世知辛いSS

51: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:46:23.94 ID:XSNoqLrQ0

女騎士「ぐ、ッ…! はぁッ…!」

オーク「踏み込みが足りませんね。女騎士さんの腕力じゃ、鍔迫り合いには向いてません」

女騎士「ならば…ッ!!」

オーク「…!」

女騎士「でやぁああああッ!!」

オーク「む、ッ…!」

ガキィィイイインッ!!

オーク「やりますね。素早く俺の後ろに回り込むとは…!」

女騎士「くっ…!受け止められた…だとっ!?」

オーク「ですが…俺程度に見切られて受けられては、まだまだスピードが…」

オーク「足りませんよ!」

オークの木刀が、女騎士の木刀を弾き飛ばす。

52: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:47:11.59 ID:XSNoqLrQ0

女騎士「… まだまだ、稽古が足りない…」

オーク「…そろそろ終わりにしましょう。もうかれこれ何時間も剣の修行してますし…そろそろ」

女騎士「いいや、まだだ!」

オーク「!」

女騎士「私は…騎士として!いいや、これから束ねるべき騎士団の長として!もっともっと強くならねばならんのだ!」

女騎士「どんな者にも… どんな魔物にも、負けないように!父上の(脇腹の)敵が打てるように!もっと、強く…!」

オーク「女騎士さん…」

女騎士「まだまだ私はやれる!もっと稽古をつけてくれ!オークさん!」

オーク「… … …」

オーク「駄目です」

女騎士「何故だ!」






オーク「働くのが嫌だからって現実逃避しないでください」

女騎士「… … …」

女騎士「ぐむむ」

53: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:48:19.95 ID:XSNoqLrQ0

オーク「かれこれ三日くらい掲示板の雑用仕事してないでしょ。たまには働いて金稼ぎましょう」

女騎士「ぐむむむう」

オーク「剣の稽古も大事ですけどね。そもそも俺、経営補佐として女騎士さんと一緒にいるんですし」

オーク「今やるべき事は第一に資金集めて騎士団を申請する事でしょ。修行なんて後々でお仲間さんと一緒にやればいいんですし」

オーク「… … …」

オーク「嫌になったんでしょ、雑用仕事」


女騎士「… … …」

女騎士「来る日も来る日も見知らぬ家の草刈り… 窓ふき… トイレ掃除… モップがけ…」

女騎士「最近じゃ掃除を効率よく且つ綺麗にできるように自前でお掃除便利セットとジャージも揃えてしまった…」

女騎士「おかげ様で信頼はうなぎのぼり…。綺麗に仕上げてくれると評判でお得意先のご家庭まで出てくる始末…」

オーク「素晴らしいことじゃないですか」


女騎士「違うだろうがーーー!」

女騎士「私は騎士団を作りたいんだーーー!!街のご家庭の清潔を守りたいんじゃなーーーいッ!!!」

54: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:49:40.09 ID:XSNoqLrQ0

オーク「まあ… その気持ちは、わかりますけど…」

女騎士「お金稼がなきゃいけないのは分かっている!分かっていても…心の中は騎士でいたいのだ!」

女騎士「たまには木刀持って稽古でもしないと何もかも忘れてしまいそうなんだ!モップと埃はたきが私の武器ではない!」

オーク「でもほら…もうちょっとの辛抱ですし」

オーク「2週間、掃除仕事しまくったおかげで結構目標に近づいたんですよ?ほら、見てくださいよこの家計簿」

女騎士「… … …」

オーク「おまけに、女騎士さんのお父様とお母様もやり繰りしてお金用意してくれたじゃないですか。有難い事ですよ」


オーク「おかげであと2万とんで860Gで騎士団申請金である10万Gに到達するんですよ。あと1か月も掃除の仕事すれば貯まりますって!」

女騎士「ぐむむむむむむむ…」

オーク「我慢してやりましょうって。俺も掃除、好きですし。一緒にやればすぐ終わりますよ」

女騎士「… … …」

女騎士「怖いんだ…」

オーク「え」

女騎士「騎士として腕をあげる事より掃除の腕をあげる事に喜びを感じていく自分が…」

オーク「… … … それは、確かに、問題かもしれませんね」

55: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:50:38.06 ID:XSNoqLrQ0

女騎士「仕事ならするから、もう掃除関係の仕事だけは勘弁してくれ…」

オーク「… そうですねぇ…。とはいっても、掲示板にあるのは大抵家の管理が難しい高齢者の方の掃除やらおつかいの仕事ばかりですし…」

女騎士「いや、例えば…」

女騎士「街に侵攻する魔物軍団の討伐とか!森に巣食う巨大モンスター退治とか!」

オーク「そういうの、大抵別の大きめの騎士団が担当してるんですよね」

女騎士「うううううう…」

女騎士「… いっそオークの里を壊滅させた感じにすれば報奨金とか出るのかな…」

オーク「ぼそっと俺の故郷を滅ぼす案を呟かないでもらえますか」

女騎士「… … …」


女騎士「あ!そうだ!オークさん、この前言ってたじゃないか!懸賞金かけられてるモンスターがいるとか!」

オーク「… … … あー、いるっちゃ、いますけど」

女騎士「手配モンスター!これからはそれの討伐メインでいこう!な!な!」

56: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:52:51.43 ID:XSNoqLrQ0

オーク「… 前も言いましたけどね」

オーク「懸賞金かけられてるモンスターっていうのは、国がお金出してるわけで… 要約すれば、王国でも手が出ないレベルの魔物なんですよ」

女騎士「… … …」

オーク「そう易々と倒せるんならとっくに街の騎士団や荒くれ者がやってるわけですし」

オーク「今自警団やギルドに手配書が貼り出されてるモンスターなんて、幾つもの戦士を血の海に沈めてきた極悪非道のモンスターなんですよ」

女騎士「… … …」

オーク「それで、かたや女騎士さんは俺みたいなオーク一匹に手も足も出ない状態でしょ」

オーク「… 勝てると思いますか?」

女騎士「… … … だから、こうして剣の稽古を…」

オーク「それ続けたとして、手配モンスターを倒すのにどれくらいかかりますかね」

女騎士「… … …」


女騎士「うええええええん!助けてオクえもーん!!!」

オーク「変なあだ名つけないでください。そして、諦めて街の掃除屋さんとして活動していきましょう」

57: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:54:01.41 ID:XSNoqLrQ0

女騎士「やだいやだーい!そんな暮らし安心な女騎士なんてやだーい!!」

オーク「しっかりキャッチコピーまで考えてるじゃないですか」

女騎士「やだやだやだー!! 私は魔王を倒すために剣の腕をあげつつお金を稼いでいくんだー!!」


オーク「… … … はあ」

オーク「じゃあ… ダメ元で見に行きましょうか。手配書」

女騎士「!」

オーク「ダメ元ですからね。俺達で倒せそうなモンスターがいれば、挑戦してみますけど…」

オーク「命あってのものなんですから。手頃な手配モンスターがいなければ諦めて、暮らし安心なお掃除騎士として2万とんで860G稼ぐまで我慢してください」

オーク「いいですね」

女騎士「…ああ!約束しようではないか!」

オーク「急に凛々しくなりやがって」

58: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:55:07.22 ID:XSNoqLrQ0

――― 手配モンスターギルド

ギルド職員「えー…と。それじゃ、諸々の手続きは完了です。とりあえず、当面は女性お一人と…オークさんお一人の二人組の活動、という事で」

オーク「はい、よろしくお願いします」

女騎士「よろしく頼むぞ!」

オーク「早速なんですけど… なにか手軽に狩れる手配モンスターとか、いませんかね」

ギルド職員「… 手軽に、ですか」

女騎士「腕には自信がある。どんなモンスターでもどんとこい」

オーク「どの口が言うんですか。 …あの、もし紹介できるのがあれば、で結構ですから」

ギルド職員「うーん… ウチも信頼が第一ですからね。下手に紹介して失敗されると、ギルドの看板にも傷がつきますし…」

女騎士「そこをなんとか」

ギルド職員「… … … うーん。登録したばかりの方に、ねぇ…」ペラペラ

ギルド職員「… あ」

女騎士「! あったか!?」

ギルド職員「ありました、一件」


ギルド職員「命の危険もなくて、狩れるかもしれないモンスターが、一匹」

59: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:56:30.17 ID:XSNoqLrQ0

女騎士「… 『ジャイアントラット』」

オーク「全長は1.5m前後と大型の鼠型モンスターながら、動きは俊敏。畑の作物を荒らし、貪り食う害獣で街の農民達が懸賞金を出し合ってモンスターの討伐依頼を出すが…」

オーク「非常に憶病な性格に加えて鋭い聴覚を備え…人が近づくと警戒して逃げてしまう」

オーク「街の騎士団やハンター達が捕獲・討伐に幾度となく繰り出すも…あまりの俊敏さゆえ今まで誰も狩れていない手配モンスター…」

女騎士「懸賞金は…5000G!」

オーク「確かに、命の危険はない手配モンスターでしたね」

女騎士「だろ!やっぱりいたじゃないか!手頃な手配モンスター!」

オーク「うーん…」

女騎士「どうだ!?悔しいか!悔しいだろう!はっはっは!」

オーク「なにと張り合ってるんですかアンタは。 …しかし、そんなモンスターなら大勢の騎士団でかかればすぐ捕まえられそうな気もするけどなぁ」

女騎士「気合いが足りないのだよ、気合いが。なっはっは」

オーク「…すぐ調子に乗るんだから、まったく…」

60: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:57:59.57 ID:XSNoqLrQ0


オーク「それで… このあたりによく出没するらしいんですが」

女騎士「…麦畑か。穂の高い麦がびっちり… 確かにこれなら身を隠すにはうってつけだな」

オーク「厄介ですね。これじゃ逃げられたらすぐ見失っちまう」

女騎士「なあに、すぐ捕まえられるさ!」

オーク「… … …」

オーク「それ、なんですか」

女騎士「ん?虫取り網」

オーク「… … …」

オーク「俺の話、聞いてました?体長1.5mの魔物って言いましたよね」

女騎士「… … … えーと、私が160cmだから… なるほど、私と同じくらいの背丈なのだな」

女騎士「… … …」

女騎士「しまった!これでは幅が足りん!」

オーク「ついでに言うと竹の柄の部分とか縄の部分とかも簡単にぶち壊されますからね」

女騎士「く、そッ…!私とした事が…っ!! 不覚…ッ!!」

オーク「本気で悔しがらないでください。ギャグで持ってきたくらいに言っておけば恥ずかしくないですから」

61: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:58:52.44 ID:XSNoqLrQ0

女騎士「オークさんは何か持ってきたのか?」

オーク「まあ…とりあえず愛用の斧と… ネズミ取りですかね。超大型の。一応チーズも持ってきました」

女騎士「そんなベタな物で魔物が捕まえられると思っているのかッ!」

オーク「虫取り網しか持ってきてないアンタに言われたくないですよッ!」

オーク「… … … はぁ… …ん?」


ガサガサ…

オーク「女騎士さん… あそこ、あそこ。麦が揺れてますよ」

女騎士「… … …!」

オーク「… 慎重に近づきましょう」

女騎士「… … …」

女騎士「くそう、騎士たるものがこんな中腰で魔物に挑むとは…」

オーク「持ってる虫取り網も哀愁を誘いますね…」

62: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 21:59:30.83 ID:XSNoqLrQ0

オーク「確かこのあたりで… あ…!」

女騎士「…!!」


大鼠「キ、キキキキ、キ…!」

女騎士「あれが、ビッグラット…!」

オーク「手配書の絵と全く同じ…体長もあれくらいで間違いないです。…もう少し近づいて…」

ガサッ

大鼠「キ!?」

オーク「!?気付かれた」

大鼠「… … …」 ダダダダダーッ 

ピタッ

女騎士「!速い…! くそ!逃げられ… … あれ、止まったぞ」

オーク「どうしたんでしょう…」

63: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 22:01:07.91 ID:XSNoqLrQ0

大鼠「… … …」

大鼠「キー♪キー、キキー♪」

女騎士「… なんか歌いながら踊り始めたぞ…」

オーク「… … …」

オーク「舐めプレイしてますね、完全に」

女騎士「舐めプレイだと…!」

大鼠「キッキキキキキキー♪」

オーク「我々が2人だけだと知って、完全に安心して油断してるんでしょう」

女騎士「… … …」


女騎士「待てこの糞鼠ーーーーー!!!」ダダダダダーッ

大鼠「キキキーッ!」ピューッ

オーク「あ、女騎… … あーっ、追いかけてっちゃったよ…」

64: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 22:02:02.94 ID:XSNoqLrQ0

女騎士「うおおおおおーーーーッ!!!」ダダダダダーッ

大鼠「キーーーッ!!!」ピューッ

オーク「… … …」

オーク「そうか、今までアイツが捕まっていなかった理由が分かった」

オーク「アイツはいつも、こんな風な身を隠せそうな畑にいつも隠れていたんだ。それで…」

オーク「大勢で来れば来るほど穂は揺れて、どこにいるのか分からなくなって、かく乱しやすくなる…。だから今の今まで捕まらずに逃げ延びてきた…」

女騎士「だりゃあああああーーーーッ!!!」ダダダダダーッ

大鼠「キーーーッ!!!」ピューッ

オーク「しかし…2人で討伐に来た例なんて、アイツには経験のない事だったんだ… だから、あんな風に舐めくさって逃げている…」

オーク「… 逆に、それが功を奏すかもしれない…!」


女騎士「ふぬううううーーーーッ!!!」ダダダダダーッ

大鼠「キーーーッ!!!」ピューッ

オーク「女騎士さーんッ!! チャンスかもしれませーーんッ!!」

女騎士「なにがだああああああああーーーッ!!!」

65: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 22:03:05.46 ID:XSNoqLrQ0

女騎士「ぜぇ…ぜぇ…ッ」

大鼠「キキキキーッ♪」

オーク「あれだけ走ったのにあっちはピンピンしてますね…。距離はしっかりとってるけど、こっちから離れようともしない…。舐められてますね」

女騎士「はぁ… はぁ…」

女騎士「ど、どうすれば… どうすれば…はぁ、いいんだ…」

オーク「… … …」


オーク「女騎士さん。とにかくアイツを追いかけまくってください」

女騎士「はあ!?この上まだ追いかけるのか!?」

オーク「はい。作戦が出来ました。とにかく、女騎士さんは頑張ってください」

女騎士「オークさんがやってくれよ!!交代交代!」

オーク「俺走るの苦手で… それに、こうしてれば女騎士さんも念願のスピードの訓練にもなるでしょ?」

女騎士「ぐむむむむ…」

大鼠「キキキーッ」

オーク「ファイトー」

66: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 22:04:15.46 ID:XSNoqLrQ0

女騎士「まてえええええーッ!!!」ダダダダダーッ

大鼠「キーッ!!」ピューッ

オーク「… … …」


――― 数十分後

女騎士「ぐ、は、ぁ… ま、で、ぇ…ぜぇ、ぜぇ…」

大鼠「キー? キ、キキーッ♪」

女騎士「も、もうげんがい… … はぁ、はぁ…」

大鼠「キーッ」ピューッ


ガキイイイイイインッ

大鼠「キッ!?」

オークの持ってきた大型のネズミ取りが、がっちりとビッグラットの足を捕えた。

女騎士「!?」

オーク「ふっふっふ… 策に落ちたな、ジャイアントラット!」

67: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 22:05:36.59 ID:XSNoqLrQ0

大鼠「キー!キーッ!」ジタバタ

オーク「貴様の敗因は二つ… 一つは、相手のスピードを見計らって完全に油断をしていた事!それゆえ…貴様の逃げるパターンはある程度定まっていた!」

大鼠「キ!?」

オーク「麦穂以外何もないこの畑では、どうしても無意識に逃げ回るルートや範囲が決まってきてしまう!予測しやすかったぞ!貴様の逃げるルートはな!」

オーク「そして二つ目!追いかける相手が女騎士さん一人だと勘違いをしていた事だ!!」

オーク「俺は貴様の逃げ回るルートを予測し… 静かに、的確に、そこにネズミ取りを配置したというわけだ!そして案の定お前はそこを通り… 引っかかった!」

大鼠「キ…」


大鼠「キーーーーーーッ!!」

オーク「ふはははは!!! やりましたよ女騎士さん!俺達のチームワークの勝利です!!女騎士さん!」

オーク「女騎… … あれ?」


女騎士「… … … み、水… 水、を…」

68: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 22:06:57.16 ID:XSNoqLrQ0





ギルド職員「… … … すごい」

ギルド職員「まさかジャイアントラットを生け捕りとは…」

オーク「はっはっは、それほどでも」

ギルド職員「… しかも」


ギルド職員「ビッグラットを片手で持って… お連れの方をおぶって街まで戻ってくるなんて…」

女騎士「… … …」

オーク「ははは。オークなんで。力だけが取り柄ですんで」

ギルド職員「… … …」

ギルド職員「あのー、それじゃ、報告も兼ねて写真一枚、お撮りしますね」

オーク「はっはっは。このままの格好でいいですか」

ギルド職員「… ギルドに貼り出しておきますよ、写真。いい記念になります」

69: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/10(火) 22:08:15.05 ID:XSNoqLrQ0

オーク「いやー、やりましたね!5000G!しっかりもらえましたよ!」

オーク「おまけに俺らの写真、ギルドの中に貼り出しておいてくれるって!これで俺らの信頼も上がって依頼もくるはずですよ!!」

女騎士「… … …」


女騎士「私が、オークさんにおんぶしてもらって、気絶している写真を、か」


オーク「あ… … …」

オーク「ま、まぁ…そのあたりは… 名誉の負傷というか、なんというか… あはは…」

女騎士「… … …」

オーク「あははは… あ!チーズ、溶けましたよ!今日はお祝いにチーズフォンデュにしましたから!食べましょ食べましょ!」


女騎士「… … … 筋肉痛で取りに行けない…」


オーク「あ… … …」

オーク「お、俺が取り分けますね!何がいいですか、具材!もー、今日は贅沢しちゃいましょう!」

女騎士「… … …」


女騎士「ポークウィンナー…」

オーク「… … …」

オーク「…はい」




――― つづく

74: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:02:34.40 ID:9ufGh1PZ0

おばちゃん「…あら? まあまあ、オークさん。こんにちは」

オーク「ああ、おばちゃん。こんにちは。今日もいい天気ですね」

おばちゃん「ええ、本当に。…でも、こうお天気が続くと雨が心配でねぇ。そろそろ降ってくれないと」

オーク「そっか。畑の作物も実らなくなっちゃいますよねぇ」

おばちゃん「そうなのよー。 …あ、でもこの前!オークさんがお裾分けしてくれた茄子のひき肉炒め!美味しかったわー!」

オーク「ああ、あれは。 おばちゃんの作った茄子が美味しいからですよ」

おばちゃん「あらやだー。もー、オークさんったらお上手なんだからー」

オーク「いやいや、本当に」

おばちゃん「…あ!そう! ほら、今日はこんなにさつまいもが獲れたのよ」

オーク「おお。これはまた、美味しそうですね」

おばちゃん「ほらほら、持ってって持ってって」

オーク「え!?いやー、悪いですよー」

おばちゃん「いいのよー。オークさんにはいつも美味しいのお裾分けしてもらってるんだから。…だから、これも料理したら、ね?」

オーク「はっはっは、まいったなー」

75: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:03:37.17 ID:9ufGh1PZ0

オーク「さつまいも大量… これでしばらく食費が浮くな…。感謝感謝」テクテク

オーク「あ、漬物屋のおばあちゃん」

おばあちゃん「あらー、オークさん。お買い物かい?」

オーク「こんにちは。いや、そこの畑のおばちゃんに頂いちゃって。ほらこんなに」

おばあちゃん「まあー、すごいねぇ。おいしそうなおいもだこと」

おばあちゃん「… あ、そうそう。それじゃ、これも持っていきなせ」

オーク「…え!?おばあちゃんとこで売ってる漬物じゃないですか」

おばあちゃん「この間、家の草刈りしてもらったから、そのお礼で」

オーク「だって…それはしっかりお金頂きましたし」

おばあちゃん「あんなに綺麗にしてくれたんだもの。あの代金じゃ申し訳ないってずっと思っててねぇ。…はい、持ってって」

オーク「こんなに…!悪いですよ、いくらか払いますって」

おばあちゃん「いいのいいの!またお掃除お願いするんだから… あ、女騎士さんにも、よろしく言っておいてねぇ」

オーク「本当にありがとうございます。なんか、すいません」

76: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:04:32.96 ID:9ufGh1PZ0

女騎士「… … …」

オーク「ふー、ただいま戻りましたー」

女騎士「… えらい遅かったな」

オーク「ええ、なんだか歩いてたら色々貰っちゃって。ほら、さつまいもに…漬物も!あとそこの家のお父さんに薪も分けてもらいましたから」

女騎士「… … …」

オーク「これでしばらくたき火も困りませんし… あ、これ、買い物で買ってきたテントの補強の部品です。ぱっぱと直しちゃいましょう」

オーク「しかしこんなに頂けるなんて、本当に助かりますねー。食費も浮くし…10万Gも間近です。感謝ですねー、ホント」

女騎士「… … … そうだな」

オーク「さてと… じゃあ俺、夕飯作りはじめますね。今日はさつまいもご飯にして… あ、凄い。オクラの漬物!いやー、美味しそうだなー、これ」

オーク「女騎士さん、なんか食べたいものあります?余ってる食材で作れるものがあれば…」

女騎士「… … … 一つ、いいかな」

オーク「はい?なんでしょう?」





女騎士「馴染みすぎ」

オーク「… … …」

77: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:05:36.75 ID:9ufGh1PZ0

オーク「街の人達と仲良くなってなにが問題なんですか。…食費だって浮きますし、仕事だってきやすくなりますし」

女騎士「それ自体にはなんの問題もないのだが…」

オーク「じゃあ別にいいじゃないですか」

女騎士「… こう、なんだろうなぁ…。 …仮にもオークさんは魔物であり、オーク族であり… 本来、人間とは、こう、あまり…」

オーク「敵対してる、と?」

女騎士「… なんでこうも街の人達と打ち解けられるのかなぁ、と」

オーク「まぁ深いところまで気にしないでも。俺達の目的はあくまで騎士団を作って魔王を倒す事なんですから」

女騎士「… なんか、そこすら最近疑問に思ってきてしまった…」

女騎士「本当にいいんだろうか。魔物であるオークさんと騎士団を作るというのは…」

オーク「じゃあ、俺抜きでやります?女騎士さん、一人でやれますか?」



女騎士「絶対無理」

オーク「お互い頑張りましょう」

女騎士「よろしくお願いします」

78: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:06:50.43 ID:9ufGh1PZ0

女騎士「ぷはー。食った食った。ごちそうさま」

オーク「お粗末様でした。洗い物しとくからそこ置いといてください」

女騎士「よろしく頼む。 … うー、つかれたー」

オーク「今日も掃除の仕事、頑張りましたからね。明日は何も入れてませんし、ゆっくり休んでてください」

女騎士「… そうする。オークさんもお疲れさまだな」

オーク「ありがとうございます。 … … …」

オーク「あ、そうだった」

女騎士「?」


オーク「俺、明日、実家帰りますんで」


女騎士「!?」

オーク「女騎士さん、明日どうします?このままテントにいるんならなんか作り置きしておきま…」



女騎士「きさまーーーーッ!」

オーク「え」

女騎士「ついさっき共に魔王を倒す騎士団を作ろうと誓いあったのに実家に帰るとはどういう事だーーーーッ!!」

オーク「え、え」

女騎士「許さん… 許さんぞーーーーッ!!!」

79: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:08:07.17 ID:9ufGh1PZ0





女騎士「… … … なんだ」

女騎士「明日だけ、か」


オーク「当たり前でしょ。何勝手に勘違いしてるんですか」

女騎士「すいませんでした」

オーク「里の方で、会議があるんですよ。俺も一応仕事として女騎士さんについてるんで、長に定期的に報告しなきゃなんです」

女騎士「… 会議。オークの」

オーク「いけませんか、オークが会議しちゃ」

女騎士「… … …」ブンブン

オーク「… … … コホン」

オーク「まぁあと、嫁と子どもがいるんで、俺。たまには帰省して顔も見せておきたいもんで」

女騎士「!? 嫁と… 子ども…」

オーク「… … … いけませんか。オークに嫁と子どもがいちゃ」

女騎士「… … …」ブンブンブン

80: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:08:51.52 ID:9ufGh1PZ0

オーク「じゃ、俺、明日は来ませんから。女騎士さんもゆっくり休んでください」

女騎士「… … …」

オーク「それじゃ、失礼しま… … …」

ガシッ

オーク「… … … なんですか」

女騎士「みたい」

オーク「… え」

女騎士「オーク会議」

女騎士「あと、オークさんの奥さんと、お子さん」

オーク「… … …」

オーク「いや、折角の休みなんですからゆっくり女騎士さんも休養したほうが」

女騎士「みたい」

オーク「… … …」

オーク「… 嫌って言ってもついてくるつもりですよね、多分」

女騎士「ああ」

オーク「… … …」

オーク「… … … はあ」

オーク「明日、迎えにきますよ…」

女騎士「わーい、やったー」

81: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:09:38.85 ID:9ufGh1PZ0

――― 翌日

オークの長「えーと、みんなの弁当とお茶置いておいて… あ、資料もちゃんと置き忘れないようにねー」

オーク兵A「はいはーい」

オーク兵B「長ー。これ、弁当の領収書です。建て替えといたんであとでくださいね」

オークの長「ああ、悪いねオークB君。えーと、会計のオークC君はー…」

ガチャ

オーク「ただいま戻りましたー」

オークの長「ああ、おかえりぃ。お疲れ様」

オーク達「おつかれさまでーす!」

オークの長「どう?最近、騎士団の方は、じゅんちょ… …」

オーク「… … …どうしても、見学したいと」


女騎士「久しぶりだな!オークの長!」

82: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:10:35.13 ID:9ufGh1PZ0

オークの長「き、貴様は… 女騎士…ッ!!」

女騎士「貴様への復讐を果たすため…地獄から這い上がってきたぞ…!」

女騎士「もうあの時のように、無様な姿は晒さぬ…! 覚悟しろ!」

オークの長「クックック… 腕を磨いたようだな、女騎士よ…」

オークの長「だが… 間抜けな奴よ。再び我が砦にのこのこと出向いてくるとは…!!」

女騎士「貴様らオークが束になってかかってきても、もう私の敵ではない!」

女騎士「昔の私とは違うのだッ!! うおおおおおーーーーッ!!!」

オークの長「来い!! 女騎士よぉおおおおーーーーッ!!!」



オーク「何やってるんですか2人で」

オークの長「… いや、久しぶりに女騎士さん、見たから。なんかこういうやりとりあった方がいいかも、って。 ねー?」

女騎士「ねー?」

オーク「息ぴったりですねアンタら」

83: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:11:52.13 ID:9ufGh1PZ0


オークの長「会議を見たい、と」

オーク「大丈夫ですかね?駄目なら帰らせますけど」

女騎士「人を押し売りのように扱うな」

オークの長「いやいや、全然大丈夫だよー。むしろ2人で騎士団経営するんだし、定例会議にも女騎士さんが出てくれたほうが有難いよ」

オーク「そんなもんですか」

オークの長「一応こっちのほうでもね。『騎士団経営部』っていう形で部署として決めてあるから。代表の女騎士さんにも是非、ね」

女騎士「… 騎士団経営部」

オーク「そりゃ、こっちとしても俺の仕事が明確になってありがたいですけど。 …? どうしました?女騎士さん」

女騎士「… … … それ。 私としては、オークの経営する部署に配属になってる、って事になるんだよな…」

オーク「… … … まあ、そう、なりますかね…」

女騎士「… … …」

オークの長「… … …」



オークの長「ま、まぁ、細かい事は気にしない!ほら、座って座って!お弁当もあるから!」

女騎士「うむ!気にしない!」

オーク「いいんですね、アンタ達はそれで」

84: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:13:03.69 ID:9ufGh1PZ0





オークの長「… … … それでは… ただいまより定例の会議を始めたいと思う…!!」

オーク兵A「ゲッゲッゲ…」

オーク兵B「グルルルル… 腕が鳴るぜェ…!」

オーク兵C「早く始めましょうよ、長ァ…!!」




オークの長「えー、ではまず土木事業担当のオークA君からー」

オーク兵A「はーい。えー、こちらの事業は今月も先月と変わらず順調でーす。街の方で橋の大型工事が引き続き行われてましてオーク作業員7名が建設に励んでおりまーす」

オークの長「うんうん、この間私も見てきたけど、もうすぐ完成って感じだね」

オーク兵A「立派なもんでしょー。親方からも好評いただいておりまして、近々給料アップも見込めるそうですよー」

オークの長「そうだねー。こちらとしてもスキルアップ研修とかしないとだねぇ」


女騎士「… … …」

オーク「… … …」

85: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:13:55.37 ID:9ufGh1PZ0

オークの長「はい、それじゃあ警備事業担当のオークB君ー」

オーク兵B「はい。えー、こちらは新しく、街の美術館の夜間警備に2名派遣しておりますが、3日前に1名突然辞めたいと…」

オークの長「え、どうしたの急に」

オーク兵B「普段日中の仕事してた奴でして… やはり突然夜型の生活になるのが馴染めない、と」

オークの長「うーん… まぁ確かに、いきなりあてた仕事だったからねぇ。 これから彼についてはどういう対応してくの?」

オーク兵B「とりあえずはシフトを少し減らして様子を見ていこうと思います」

オークの長「うんうん、そうだね。まぁ、彼にもあまり無理させない方向でいこうね。身体が資本なわけだから」



女騎士「… … …」

オーク「どうですか、会議。俺らの普段の仕事の様子がわかるでしょ」

女騎士「… … … なんていうか」

女騎士「地味」

オーク「… まぁ、そこは否めませんけど」

86: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:15:19.62 ID:9ufGh1PZ0

オークの長「はいはーい、それじゃあ… 新規事業の騎士団経営部。 経過を発表してください」

オーク「…あ、はい」

女騎士「頑張れよ」

オーク「う、そういわれると少し緊張する」


オーク「えー… と。新規事業を担当している、オークです。現在は騎士団経営のための資金集めを2人でしているところでして…」

オーク「具体的に言えば街のなんでも掲示板からの依頼を受けているのが主な資金活動です。こちらが好評で、主にハウスクリーニングや草刈りなどを行い、リピーターも増えてきています」

オークの長「おー、すごいじゃない」

オーク「はい。 住民の信頼も順調に獲得していっていますし、これは騎士団として活動する上でも非常に役立つ事かと思います」

オーク「このままいけば近いうちには騎士団として王国に申請が出せると思います。詳しい事は提出した資料をご覧ください」

オーク「えー、俺からは以上です」

パチパチパチ

オークの長「あ、女騎士さんからも一言お願いね」

女騎士「… … …」

女騎士「う、ホントに緊張する」

オーク「頑張ってください」

87: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:16:14.86 ID:9ufGh1PZ0

女騎士「えー… なんだ。あれだ。 今回このようなアレを計らってくれた事は非常に私としてもアレで…」

オーク「物忘れしてるお婆ちゃんみたいになってますよ。しっかりしっかり」

女騎士「うー… えー、と… そのー… 長はじめ、オーク族の皆様には本当に感謝している」

女騎士「私は… 一刻も早く騎士団を立ち上げ、魔王討伐へと乗り出すつもりだ」

女騎士「だから…」

女騎士「… … …」

オーク「… … …」



女騎士「貴様ら魔族の明日はないと思え…ッ!!!いつか貴様らを滅亡させてくれるッ…!!!」

オークの長「くっくっく… できるのかな?たかが小娘風情が…!!」

オーク達「ゲッゲッゲッゲ…!!」

女騎士「待っていろ…!! いつかこの砦を、血の海にしてくれる…!!!」

オークの長「その時を楽しみにしておるぞ、女騎士よ…!!」



オークの長「はい、それじゃあ余興も終わったところで会議はこのあたりでー」

女騎士「お疲れ様でした」

オーク達「お疲れ様でしたー!」


オーク「… … … ほんっと息ぴったりですね」

88: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:17:10.65 ID:9ufGh1PZ0





オーク「… ホントに俺の実家にまでくるつもりですか」

女騎士「当たり前だ。なんのために来たと思っている」

オーク「威張らないでください」

女騎士「安心しろ。少しオークさんの嫁さんとお子さんの顔見たら帰るつもりだから」

オーク「ほんっとに興味本位なんですね。…まぁ、いいですけど…」

女騎士「すぐ近くなんだろ?いいじゃないいいじゃない」

オーク「… そこですよ。そこの洞穴」

女騎士「…洞穴にドアが… いかにもオーク的だ」

89: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:18:08.94 ID:9ufGh1PZ0

ピンポーン


ガチャ

オーク嫁「はい、どちらさ… まぁ、あなた。お帰りなさい」

オーク「ただいま」

オーク嫁「… あら?そちらの方は… ひょっとして」

オーク「…それじゃえーと、女騎士さん。これ、うちの嫁です」

女騎士「… … … え、えーと、はじめまして。いつもオークさんにはおせわになってます」

オーク「キャラ変わってますよ。なに緊張してるんですか」

女騎士「… 本物の人妻…じゃなく、オーク妻を見たのは初めてだから…つい…」

オーク「人の嫁を変な視点から見ないでもらえますか」

オーク嫁「まあ、貴方が!いつも主人がお世話になっております、オークの妻です」

女騎士「いつもお世話しています。色々とされたりもしてます」

オーク「誤解を招く発言も止めてくださいね」

90: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:19:12.72 ID:9ufGh1PZ0

オーク嫁「さ、どうぞ上がってください。狭い家ですが」

女騎士「え、いいのか」

オーク「ここまで来てすぐ帰れってのもなんですしね。上がってってください」

女騎士「… … … それじゃ、お言葉に甘えて…」



オーク嫁「さ、お座りになってて。今お茶淹れますから」

女騎士「お… お気遣いなく」

オーク「なあ、息子はどうした?」

オーク嫁「…ああ、そこ。ベビーベッド。今寝てるところで… … あら」


オーク子「… … … ぷ? ぷぎー?」


オーク嫁「あら、起きちゃったみたいね」

オーク「おー、よしよし。パパがかえってきたぞー」

女騎士「か… … …」


女騎士「かわいいいいいいいいっ!!なにこれなにこれ!すごくちっちゃい!子豚みたいーっ!かわいすぎるーーーっ!!」

オーク子「ぷー!?ぷ、ぷー」

オーク嫁「うふふ。良かったら抱っこしてあげてください。きっと喜びますから」

女騎士「い… いいのか。抱っこしても…」

91: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:21:28.88 ID:9ufGh1PZ0

女騎士「よしよし… うわぁ…ほっぺ、すごいぷにぷにしてるぅ… かわいすぎるぅ…」

オーク子「ぷぎー? ぷ、ぷー。 ぷー」

女騎士「あああ… つぶらな子豚の瞳がぁぁぁぁ…」


オーク嫁「うふふふ、どんな人かと思ったけど、優しい女の子じゃない。あの子だってあんなに素直に抱っこされてるし」

オーク「…根はいい人だからな、多分」

オーク嫁「なんだか、やきもち焼いちゃうかもなー。あんな可愛い子と2人だけでお仕事なんて」

オーク「ばっ… 冗談よせよ。オーク族と人間だぞ。だいいち、子ども生まれたばっかで浮気なんかするわけないだろ」

オーク嫁「あら、子どもの事だけ?」

オーク「… … … うるせー」

オーク嫁「あはは、冗談。からかっただけよ。… はい、お茶。お茶菓子もそこにあるから、テーブルまで運んで」

オーク「… … … へいへい」

92: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:22:47.01 ID:9ufGh1PZ0





オーク子「ぷー… ぷー…」

女騎士「… ミルク飲んだらまた寝ちゃった。あああ、もう、寝顔もかわいぃぃ…」

オーク嫁「この時期の子どもですからね。いくら寝ても寝足りないみたいで…。 …ありがとうございました。あやしてくださって。いつもなら寝起きは泣いてるんですけれど…子どもの扱いが上手ですのね」

女騎士「ははは… 良かった…」

オーク「… なんか、大分キャラ崩れましたね、女騎士さん。今日一日、色んな方面で」

女騎士「やかましい」

オーク嫁「… お茶、冷めちゃいましたね。淹れ直します」

女騎士「お、お気遣いなく」

オーク嫁「ゆっくりしていってください。こんなおもてなししかできませんから」

93: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:23:50.64 ID:9ufGh1PZ0





女騎士「… くー… くー…」

オーク「…ソファで寝ちゃったよこの人」

オーク嫁「最近、騎士団作るのに頑張ってたんでしょ?きっと疲れていたのよ。 …はい、毛布。かけてあげて」

オーク「へいへい」

女騎士「… … … んー… ぐー…」



オーク嫁「… それで、どうなの?今の仕事」

オーク「…ん?」

オーク嫁「楽しい?満足してる?… あなた、前の仕事、自分に合ってないって言ってたから…ずっと心配してたのよ。これでも」

オーク「… … …」

オーク「俺の事はどうでもいいんだよ。そっちはどうだ。 …その… 俺が、いなくなって」

オーク嫁「ふふ、あなたがいなくっても家の事くらい一人でできますよ」

オーク「ちぇ、いてもいなくても同じってか」

オーク嫁「… そんな事ないわよ」

オーク嫁「寂しいわよ。いつも。 …いつも一緒にいた人が、いないんだもの」

オーク「… … …」


オーク「迷惑かけてごめんな」

オーク嫁「どういたしまして」

94: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:25:29.05 ID:9ufGh1PZ0

オーク嫁「なんだかんだ、今の仕事… 楽しいんでしょ? あんなに自分の子どもの事可愛がってたあなただもの。気に入らなきゃすぐに辞めてるでしょ?」

オーク「… … …」

オーク嫁「1から騎士団を作るなんて… すごい事じゃない。応援してるわ」

オーク「… … …」


オーク「ずっと、自問自答してたんだ。俺は仮にもオーク族で…魔物なのに。人間と一緒に魔王を倒そう、なんて」

オーク嫁「… そうね」

オーク「でもさ… 長も、オーク族のみんなも、魔王の暴政には困っているだろ。 …でも…俺達は魔族だからって、皆、言い聞かせていた」

オーク「誰かが風穴を開けなきゃいけないって思ったんだ。魔物だから…オークだから、じゃなくて…。 俺が。俺達が。やりたい事。したい事はなんだ、って」

オーク嫁「… … …」

オーク「実際…俺達オークに対する街の人達の評判も、魔王の魔物達のせいで今後悪くなっていくかもしれない。そうなる前に…俺達が俺達である、確固たるものを作らなきゃいけないんだ」

オーク「… そのための騎士団を… 人間と。あの人と、作り上げたいと思っている」

オーク嫁「… … …」

オーク「…俺がいなくなって、辛い思いさせて… ごめん。でも俺… やってみたいんだ。どこまで俺とあの人で、出来るのか」

オーク嫁「… … …」


オーク嫁「はい、お酒。… たまには飲んで。ね?」

オーク「… … … お前…」

オーク嫁「… 応援してるわ。私達の子どもも… 私達オークも。 …そして、私も。みんな、あなたを応援してる」

オーク嫁「…がんばってね」

オーク「… … …っ」

オーク「…あり、がとう…っ…」

オーク嫁「あはは、泣かないでよ。大のオークが、みっともない」

95: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:26:25.70 ID:9ufGh1PZ0





オーク「… 女騎士さん、女騎士さん」

女騎士「… … … ん… ふぁ… なんだ…?」

オーク「そろそろ暗くなってきたし…街に戻りましょう。俺、送っていきますから」

女騎士「… … … 私… 寝ちゃって、たのか…。 …すまん…」

オーク嫁「今日はお泊りになられます?部屋も空いてますよ。この人のですけれど」

オーク「おい」

女騎士「いや… そこまで世話にはなれん…。 …自力で、帰る…」

オーク「いや、危ないですから。せめて街道に出るまではランタン持って送ってきますよ。ね?」

女騎士「… … … すまない…」

オーク嫁「ふふ、でも…もう少し目を覚ましてからにしましょうか」

女騎士「… … … 顔、洗わせてくれ」

96: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/11(水) 20:28:10.54 ID:9ufGh1PZ0






女騎士「…今日は、有難うございました」

オーク嫁「いいえ、こちらこそ。 … あの人の事、よろしくお願いしますね」

オーク嫁「頭でっかちで頼りないところもありますけれど… 一応は、私の自慢の旦那ですから。お役に立てれば幸いですわ」

女騎士「… … …」

女騎士「私は… 絶対、街を平和にするための騎士団を、作る」

女騎士「… なるべく早く、オークさんをこの家に戻せるように」

オーク嫁「いいえ。そこは気にしないでください」

オーク嫁「あの人も… とっても生き生きとしてます。ゆっくりでいいですから、2人で楽しみながら… しっかりした騎士団を、作ってくださいね」

女騎士「… … … ああ!」

女騎士「約束する! … お子さんにも、よろしく伝えてくれ」

女騎士「あと… たまに、抱っこしにきて、いいかな」

オーク嫁「うふふ、いつでもどうぞ」


オーク「女騎士さーん?行きますよー?何してるんですかー」

女騎士「今行く! … … … それじゃ、失礼する!」ペコリ

オーク嫁「… お気をつけて!」


オーク嫁「… … … 頑張ってね。 あなた」




オーク「何話してたんですか、嫁と」

女騎士「気にするな。女同士の、アレだ!」

オーク「なんですかそりゃ」



――― つづく

98: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/12(木) 00:48:28.09 ID:4oKWpiAAO

これはオークさん頑張らないとな

100: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:22:01.96 ID:xU6ifDR10

おばちゃん「… はい、じゃあこれ。 今回の畑の草刈りのお給金ね」

オーク「ありがとうございます」

女騎士「… ! ありがとうございました!」

おばちゃん「またお願いしますねぇ。主人が腰痛めちゃって。本当に今日は助かったわ」

オーク「はい、是非ともまたご贔屓に」

女騎士「… … …」



女騎士「貯まったああああーーーーッ!!!」

オーク「貯まりましたね、ついに。10万G」

女騎士「クックック… あの役人めぇぇ… まさか私がコツコツ10万G貯められたとは夢にも思うまい…!!びっくりさせてやるぅぅ…!!」

オーク「いや、役人さんに罪はないですからそう恨まないであげてくださいね」

女騎士「とにかく… 貯まったんだああああーーーーッ!!!」

101: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:22:38.54 ID:xU6ifDR10

女騎士「さあ、早速このお金を持って役所へ行こう!」

女騎士「そして… ついに… ついにッ!!」

女騎士「騎士団を結成するんだああああーーーーっ!!!」

オーク「… … …」


オーク「その事なんですけどね」

女騎士「え」

オーク「少し問題が」

女騎士「… もん、だい…?」

オーク「俺もすっかり忘れていた事で… 本当に申し訳なかったんですが…」

女騎士「な、なんだ… 折角10万G貯まったのに… まだ、なにかあるのか…?」


オーク「拠点です」

女騎士「… … … あ」

オーク「ないと申請できないんですよね。騎士団」

女騎士「… 拠点」

102: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:23:14.46 ID:xU6ifDR10

オーク「まあいわば拠点といえば騎士団の団員の寄り合い処といいますか。腕に覚えのある勇者達が一堂に会し、騎士団として活動する場所になりますので」

オーク「寝泊りする団員も今後出てくることも考慮して、それこそしっかりした場所を確保しないといけないわけですね」

女騎士「… うむ」

オーク「それで、この王国としてはそのあたりにテントやら野宿やらで騎士団を設営する事を認めておらず、違反すると罰則が科せられると」

女騎士「… … …」

オーク「場所なんですけど… さすがに女騎士さんの自宅や俺の家に騎士団員集めるわけにもいきませんしね」

女騎士「…そうだな」

オーク「ってなわけで、新しい場所を見つけないといけないとなワケです」

女騎士「… … … 一体、どうすれば」

オーク「行きましょうか」

女騎士「どこへ」


オーク「不動産屋へ」

103: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:24:16.54 ID:xU6ifDR10





不動産屋「はい、どうぞ。コーヒーです」

オーク「どうも」

女騎士「… 私は飲めないから、牛乳混ぜてくれ」

不動産屋「ああ、これは失礼しました。すぐお持ちします」

不動産屋「えーと、それでお二人は…事務所をお探しという事で」

女騎士「騎士団の拠点だ!」

オーク「…まぁ、形式としては事務所の賃貸という形となりますかね」

女騎士「… … …」

女騎士「なんか格好がつかなくて嫌だなぁ…」

オーク「我慢してください」

不動産屋「はいはい。えー… それで、具体的には、どのような条件をお探しでしょうか?」

女騎士「そうだな…」


女騎士「まず、会議に使う大きなスペースが必要だな!次に、武器やら食料を蓄えておく倉庫も必要だ」

不動産屋「はいはい、なるほど」

女騎士「寝泊りする団員もいるかもしれないから、小部屋も幾つか欲しい。そうだな、2階部分がそうなっているといいかもしれないなぁ」

不動産屋「ほうほう、2階を」

女騎士「あ、せっかくだからアクセスをよくするために馬車の停車場所に近いのもいいなぁ。あと庭は広い訓練場にできるように…うふふふ」

オーク「だんだん一軒家を夢見る新婚みたいな顔になってますよ」

104: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:25:06.17 ID:xU6ifDR10

不動産屋「それでしたら、こちらなどいかがでしょう。先ほどおっしゃっていた条件もカバーできるかと」

女騎士「どれどれ」

オーク「おー。確かに。 二階立て、一階は大広間があって…うわ、台所も広いなー。部屋数も結構ありますよ」

女騎士「ふむ…!庭も広いし… 十分ではないか!」

不動産屋「そうでしょうそうでしょう」

オーク「築2年。建物も新しい。いいですねぇ」

女騎士「よし、ここに決めた!!」

オーク「え」

女騎士「不動産屋さん!ここに決めるぞ!」

オーク「ちょ、女騎士さん、待って」

女騎士「なんだ!?こういうのは一期一会だ!すぐ決めるのがいいんだぞ!」

オーク「… … …」

オーク「不動産屋さん。ここの賃貸… 月、いくらですか」


不動産屋「はい。月20万Gになります」


女騎士「… … … … …」

オーク「あ、固まった」

105: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:25:52.51 ID:xU6ifDR10

女騎士「… … …」

女騎士「お金、かかるのか」

オーク「当たり前でしょう。賃貸ですからね」

女騎士「しかも月、って」

オーク「賃貸ですからね」

女騎士「… … … 手持ち10万Gぴったりで、どうしろと」

オーク「まぁ、ランク下げるしかありませんよね。物件の」

女騎士「… … …」


オーク「不動産屋さん。俺達、とりあえず10万Gあるんですけど… それで敷金礼金カバーできて、すぐ借りられる物件ありますか」

不動産屋「ああ、はいはい。少々お待ちくださいね」

女騎士「… しききん、れいきん?」

106: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:26:54.78 ID:xU6ifDR10

オーク「ここで説明せねばなるまい」

女騎士「え。なんだ急に」

オーク「敷金・礼金とは!」

オーク「『敷金』 これは、物件を借りる時に前払いする、いわば『保証金』です」

オーク「思わぬところで家に傷が出来てしまったり、汚れてしまったり… これから騎士団として活動するうえでどんな人が住むのかもわからない場所ですから、物件にどんな事が起きるかわかりませんよね?」

女騎士「気性の荒い奴が入ったり… トレーニングで思わず壁を壊してしまったり、するかもしれないな」

オーク「そんな時のためにこの『敷金』を前払いしておくわけです」

オーク「例えば、我々の騎士団がさらに大きくなって、より大きな物件に引っ越す際」

女騎士「おお」

オーク「そうやってできた傷や傷んだ部分を、この『敷金』から賄うわけです」

女騎士「なるほど…」

オーク「契約時に払うお金ですが、例えば物件を綺麗に使って全く修理しなかった場合などは物件を変える際に戻ってくるお金ですので、必要経費として払うべきお金ですね」

女騎士「戻ってくるのか!すごい!」

107: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:27:48.79 ID:xU6ifDR10

オーク「次に『礼金』 こちらはまぁ、『手数料』と考えてもらっていいかと」

女騎士「ほう」

オーク「名前のとおり、お礼のお金。大家さん、不動産屋さんにお礼の意味を込めて払うお金ですね。まぁこちらは本当にお礼の意味ですのでかからないところも多いみたいですけれど」

女騎士「ふむ…」

オーク「それでこちらは当然お礼の意味ですから、戻ってはきません」

オーク「まぁ、さっきも言いましたけど礼金0の物件も多いですし、もし不要だと思うのならそういう場所を中心に探してみるのもおすすめですね」

女騎士「なるほど」

オーク「ただし、その際には契約条件に要注意です」

オーク「仮に『敷金礼金0』を謳っていても、その分家賃が高めに設定されていたり入会費などの名目でお金をとられたりする場合もありますからね」

オーク「それに、敷金は必要経費ですので。払わないと物件を去る時に請求される金額が怖いところですからね」

オーク「くれぐれも、契約内容はきちんと確認して、慎重にいきましょう」


オーク「以上。オークの『敷金・礼金』講座でした」

女騎士「… オークさん、博学なんだけど方向性がなんか庶民的なんだな」

108: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:28:35.36 ID:xU6ifDR10

不動産屋「お待たせしました。 …そうですねぇ、込み込みで10万G、すぐに借りられる事務所となると少し難しいのですが…」

女騎士「そこをなんとか」

不動産屋「でも、あるにはありますよ」

オーク「お」

女騎士「!」

不動産屋「築年数とか交通の便はかなり悪くなっちゃいますけど… 広さはあります。騎士団を経営されるのにはいいかと。こちらなんですが」

オーク「! すごい。広間と二部屋だけど、風呂場もあるし… なにより、だだっ広いですね、ここ」

女騎士「広間に布団敷き詰めれば50人は寝られるぞ… いいじゃないか!ここにしよう!」

オーク「この条件で込み込みで10万Gなんですか?」

不動産屋「はい。一か月分の家賃もカバーできますよ」

女騎士「ここにしよう!ここしか選択肢がないじゃないか!なぁ、オークさん!」


オーク(… なんか話がうますぎるんだよなぁ)

109: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:29:20.25 ID:xU6ifDR10





――― 数日後

大家「… はい、それじゃ確かに、お金は頂きましたよ。 じゃあこれ、鍵ね」

女騎士「ありがとうございます」

大家「しかし、あんなところに借り手がいるとはねぇ。何に使うの?」

オーク「… 騎士団を、少々」

大家「あー… 騎士団。それならぴったりかもしれないね。広さならあるから」

大家「周りに何もなくて不便なところだけど。まぁ、困った事があったら相談して。 がんばってね」

オーク「ありがとうございます!」


女騎士「… … …」

オーク「… … …」

女騎士「広いな」

オーク「ええ、広いですね」


オーク「なにせ、公民館の廃墟ですからね」

女騎士「… … …」

110: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:30:00.00 ID:xU6ifDR10

女騎士「… うわ、蜘蛛の巣張りまくり…」

オーク「こりゃ掃除のやりがいありますねぇ。一日で終わるかなぁ…ははは」

女騎士「… … …」

オーク「お、でもすごいですよ。想像してるより広間も広いし…ステージまである。演説もできますね」

女騎士「… そう、だな」

オーク「風呂場も見てきましたけど、きちんと整備すれば設備も全然使えますよ。キッチンだって。 掃除、得意じゃないですか俺ら」

女騎士「… … …」

オーク「まぁ… 周りに何もないのが不便なところですね。街の中心部からもだいぶ離れちゃいますし…」

女騎士「… … …」

女騎士「限界集落だからな…」

オーク「… … …」

オーク「人が集まるに集まれなくなって…人口がどんどん都市の方に流れていって、自然消滅してるんでしたっけ…この地区。周り、畑と廃墟だらけですもんね」

オーク「まぁ、ほら、でも… のどかでいいところじゃないですか。蛍とか見れるらしいですよ、蛍。夜空も綺麗でしょうし」

女騎士「… … …」

111: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:31:02.77 ID:xU6ifDR10





オーク「… … … ふう」

オーク「掃除、どうにか終わりましたね。すっかり暗くなっちゃいましたけど」

女騎士「… … …」

オーク「俺、テントの方から荷物一式運んできますから。女騎士さん、そこらで休んでてください」

女騎士「… … …」

オーク「… 女騎士さん?」



女騎士「色々、考えたんだ」

女騎士「… 10万G。全部、ここのお金に使っちゃったな」

オーク「… … …」

女騎士「… 数か月かかって、色んな人の助けを借りて… ようやく、ここまでたどり着いたのに」

女騎士「…結局、私はまだ… スタートすら切れていないんだな」

オーク「… そんなこと、ないですよ」

オーク「想像してみてください。この大広間に何人…何十人の、血気盛んな団員達が、魔王討伐に向けて意気込む姿を」

オーク「スタートはもう切れてますよ。あとは、この場所で騎士団をどんどん作っていって… 前進していく道筋が、しっかりできたじゃないですか」

女騎士「… … …」

女騎士「… そう、だな。 … ありがとう、オークさん」

112: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:32:22.13 ID:xU6ifDR10

女騎士「… でも… また、最初から10万G…。 バイトで貯めなきゃいけないんだな」

オーク「… … …」

女騎士「…父上と母上からお金を頂いて…一生懸命仕事して、それで貯まったのを… もう一度…」

オーク「… … … 女騎士さん …」

女騎士「… … …」



女騎士「オークさん…」

女騎士「手伝って、くれるか? … もう一度」

オーク「… … …」

オーク「当たり前じゃないですか。俺は経営補佐として、騎士団がきちんとしたものになるまで辞める気はありませんよ」

オーク「頑張りましょう。 …もうちょっとですよ。女騎士さん」

女騎士「… … …」


女騎士「そうだな! がんばろう!オークさん!」

女騎士「なあに!また同じ事をしていけばいいだけだ! いつもの掲示板で!いつもの掃除の依頼を受けて!いつも通り報酬をもらって…」

女騎士「いつかは10万Gにまた届く!きっと… すぐに! 諦めないで頑張るぞ!!」

女騎士「このオンボロ公民館を… 立派な騎士団本部にできるまで!」

オーク「… … …」

113: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:33:45.85 ID:xU6ifDR10





オーク「戻りましたー。女騎士さん、荷物持ってき…」

女騎士「… … …」

オーク「… 寝てる。寝袋、持ってきたのになあ」

女騎士「… … …」

オーク「… … …」


オーク「… 泣いてたのか、女騎士さん」

オーク「…目の周り、真っ赤だ」

女騎士「… くー… くー…」

オーク「… … …」

オーク「よし」




オーク「毛布かけて… …書置きでもしておくかな」

オーク「…えーと」

オーク「『今日は用事があって出てきます。もし起きてしまっていたら、明日の朝には戻ってきますので、ご心配なさらず』…と」


オーク「… それじゃ、行ってきます」

114: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:34:37.41 ID:xU6ifDR10





オークの長「… … …」

オークの長「資金援助が欲しい、と。そういうわけだね」

オーク「いえ。借金という形にさせてください」

オークの長「…10万G。まぁ、会議で審査して運営資金として提供する事もできると思うんだけど…」

オークの長「君名義で借金…。 それじゃ、個人的な負債になっちゃうんじゃあ」

オーク「でも、その形なら会議を通さないで済みますよね」

オークの長「まあ、そりゃあ…」

オーク「すぐにでも頂きたいんです」

オークの長「… … …」


オーク「俺も… 最初は騎士団の立ち上げなんて、興味本位でやってみるかくらいの気持ちでした」

オーク「でも…家内に励まされまして。やるんならしっかりやってこい、ってケツたたかれてきました」

オーク「なにより… あの人の情熱を、消したくないんです」

オークの長「… 情熱」

115: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:35:31.62 ID:xU6ifDR10





オーク「あれだけ真っ直ぐに。雑用でも。格好がつかなくても。熱心に、真面目に… ただただ、騎士団を作る事だけを」

オーク「そして… 魔王を倒す事だけを、真剣に考えていて。 なかなかいませんよ。女騎士さんみたいな…」

オークの長「… バカ正直、かな」

オーク「ははは、そうですね」

オーク「…賭けてみたくなったんです。あの人が、どこまでやってくれるのか。その先を見るのが…楽しみで仕方なくて」

オーク「だから10万Gの借金もなんとも思わなくて… まぁ、カジノのチップみたいなもんですかね」

オークの長「はっはっは。うまいこと言うねぇ」

オーク「ははは。 … … …」


オーク「あの人の夢や希望が、時間で消えていってしまうのが…今は怖いんです。だから…」

オーク「一刻も早く、国への騎士団申請をしたいんです。そのために、どうしても」

オーク「10万G。…なるべく早くに、お貸しいただけないでしょうか」

オーク「お願いします。長」

オークの長「… … …」

オークの長「… 少し、そこで待っていなさい」

オーク「… … … え?」

116: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:36:24.50 ID:xU6ifDR10

ドサッ

オークの長「10万G。用意したよ」

オーク「え… も、もう…?」

オークの長「早い方がいいんでしょ?今でも後でも変わりないって」

オークの長「融資部には私の方から説明しておくから。ね」

オークの長「それ持って行って… 女騎士さんと、騎士団申請…。しっかり、やってきてあげなさい」

オーク「…!」


オーク「ありがとうございます… ありがとうございますッ!!長ッ!!」

オークの長「はっはっは、いいよいいよー。頭上げて、ね」

オークの長「なんだか、君がそこまで熱を上げるなんて… 私も、楽しみになっちゃったんだ」

オークの長「女騎士さんと君の騎士団が… どこまで大きくなれるのか」

オークの長「投資投資。…返済はいつでもいいからさ。そのかわり、余裕できたらちょっと色つけてよー?」

オーク「… … …」


オーク「はいっ!!必ず!!」

117: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:37:16.88 ID:xU6ifDR10





――― 翌朝

女騎士「… ん… 私…」

女騎士「…しまった。寝てしまっていたのか」

女騎士「オークさんは… ああ、荷物とりにいってくれたんだっけ…」

オーク「グー… グー…」

女騎士「一人でこんなに… 後でお礼言わないと…」

女騎士「… ん?」

女騎士「なんだ、このバッグ。こんな荷物、なかったはず…」


女騎士「… … …」

女騎士「お金だ」

女騎士「… … …」

女騎士「ひい、ふう、みい」

女騎士「… !!!!!!!」




女騎士「オークさああああああああああああんっ!!」

オーク「おわぁ!?びっくりした!! な、なんですなんです!?」

女騎士「なにこれ!?なにこのお金!? 今!起きたら!荷物の中にっ!!」

女騎士「ああああああああああ!!!」

オーク「お、落ち着いて、落ち着いて… 今説明しますから…」

118: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:38:32.64 ID:xU6ifDR10





女騎士「… … … 借金」

オーク「まあ、聞こえは悪いですけど」

オーク「でも、返せるお金ですよ。騎士団として人を集めて…大規模に仕事をして、お金を集めていけば… きっと今までより効率よくいけるはずです」

オーク「騎士団を強固なものにしていくために。お金は必要不可欠です」

オーク「稼ぐって言っちゃ人聞き悪いですけど… 正義と愛は忘れずに信用第一にいけば、きっとみんなからの信頼も得られるはず」

女騎士「…!!」

オーク「目標みたいなもんですよ。まずは… 10万G。返せるまでの騎士団に成長させるのが目標です」


オーク「頑張りましょう!女騎士さん!」

女騎士「… … …」



女騎士「びえええええええええーーーーーっ!!」

オーク「わ、わ… な、泣かないで…泣かないで…」

女騎士「オーグざんあじがどぉおおおおおお…!! わだじ…わだじぃ!!」

女騎士「がんばるがらぁああああーーっ!!ぜっだいづよいぎじだんづくるがだあああああああっ!!!」

オーク「ははは… もう何言ってるのかよくわかりませんけど… 頑張りましょうね」

119: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:39:22.62 ID:xU6ifDR10





役人「… … …」

役人「はい、それでは確かに… 10万Gの申請金、お預かりしました」

役人「こちらの物件の証明書も、確かにお預かりします」

役人「拠点の確認が出来ましたら、王国として騎士団の存在を認める証明書を発行致しますので、数日後にこちらからご連絡致しますね」


役人「騎士団の設立、おめでとうございます」


女騎士「どうだーっ!! やってやったぞーっ!見たかーっ!」

オーク「ちょっ、女騎士さん。失礼ですから」

女騎士「ふっふっふ… 遂に私は… 騎士団を立ち上げたんだぁあああーっ!!」

女騎士「魔王を打ち滅ぼすため… 世界の平和を守るための、私とオークさんの騎士団が…」


女騎士「ついにできたんだあああああーーーーーっ!!!」


役人「は、はははは… 本当に、おめでとうございます。 あの、机から降りてくださいね。危ないですから」

オーク「… … … すいません、本当に…」

120: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:40:08.04 ID:xU6ifDR10



――― そして、数日後。


オーク「証明書、届きましたよ。女騎士さん」

女騎士「おお!ついに届いたか!」

オーク「広間の一番目立つところに額縁に入れて飾っておきますね」


オーク「… さて!」

オーク「我々の騎士団がついに王国に正式に認められた事になりましたね」

女騎士「うむ!」

オーク「騎士団員の募集… 騎士団としての仕事の確保… なにより、住民の信頼を得る事。やることは山積みです」

オーク「ここの家賃の事もありますし、とにかく急いで取り掛からないと!何から始めましょうか」

女騎士「… … …」

121: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:40:47.38 ID:xU6ifDR10

女騎士「とにかく、騎士団員の確保を最優先にしよう」

オーク「ほう。その目的は」


女騎士「美味い飯が作れるコックを探すぞ!」

オーク「… … …」

オーク「は」

女騎士「あとメイドが数人!掃除洗濯、家事全般をしてくれる品のいいメイドが必要だ!」

オーク「… … …」

女騎士「あ、どうせなら大工も欲しいなぁ。このオンボロ事務所もどうせなら建て直しちゃおう!大家さん、きっと許可くれるぞ!」

オーク「… … …」

女騎士「よし、人員募集をするぞ!オークさん!どうすれば人が集まる!?」

女騎士「家事をしないで豪邸で美味い飯が毎日食える騎士団にするぞーっ!!」

オーク「… … …」


オーク「投資先間違えたかな、 俺…」

122: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:41:26.54 ID:xU6ifDR10



かくして、魔王の支配する世界の小さな王国に、小さな騎士団が一つ誕生した。

人間とオーク、2人だけの騎士団。


この騎士団が、後に世界一の人員を誇る、真の勇者達の騎士団となり。

一人の勇猛果敢な女騎士と、一人の魔族への反逆者となったオークを筆頭に。

魔王へ挑み、そして打ち滅ぼした伝説の騎士団となるとは、この時、誰も思いはしなかったであろう。


…とはいえ。

そうなれるかどうかは、今後の2人の活躍次第。





――― おわり

123: ◆l3y7Z.NoQU 2015/11/12(木) 18:47:00.17 ID:xU6ifDR10
これにて終了です。ありがとうございました。
色々とご指摘をいただき、ありがとうございます。次に投稿する機会がありましたら、気をつけたいと思います…。
つたないSSをお読みいただき、本当にありがとうございました!
それでは!

124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/12(木) 18:50:57.42 ID:6sqzjvMeO
面白かった。
続きを是非!

126: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/12(木) 19:33:48.70 ID:4oKWpiAAO
乙、面白かったぞ
これからどんな人が入団するのかとか、魔王とどう戦うのかとか、色々気になるな
オークさんの心労が増えそうだけどww

129: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/12(木) 20:43:13.74 ID:l2+Fx/ud0

面白かった
続きが是非読みたい

引用元: 女騎士「一緒に騎士団を作ろう!」 オーク「…はあ」