1: 2012/11/08(木) 00:34:37.75
(某所のパソコン、ボックス1)
フライゴン「…今、何時だ?」
ガブリアス「えっとねえ、多分、朝の6時くらい」
フライゴン「帰れ」
ガブリアス「えー」
フライゴン「俺が昨日、試合だったのは知ってるよな」
ガブリアス「………」
フライゴン「試合の翌日くらい、ゆっくりしたいってのも分かるよな」
ガブリアス「………」
フライゴン「俺はいつも、お前に何て言っている?」
ガブリアス「…相手の立場になって考えろ」
フライゴン「それを守っていれば、用もないのに早朝にいきなり来て、遊べとか言い出したりはしねえはずだ。分かったら帰れ」
ガブリアス「………」
フライゴン「…今、何時だ?」
ガブリアス「えっとねえ、多分、朝の6時くらい」
フライゴン「帰れ」
ガブリアス「えー」
フライゴン「俺が昨日、試合だったのは知ってるよな」
ガブリアス「………」
フライゴン「試合の翌日くらい、ゆっくりしたいってのも分かるよな」
ガブリアス「………」
フライゴン「俺はいつも、お前に何て言っている?」
ガブリアス「…相手の立場になって考えろ」
フライゴン「それを守っていれば、用もないのに早朝にいきなり来て、遊べとか言い出したりはしねえはずだ。分かったら帰れ」
ガブリアス「………」
3: 2012/11/08(木) 00:36:53.56 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だいたい何だ、遊んでってのは。でかい図体して」
ガブリアス「…フライゴンさん冷たくなった…」
フライゴン「ああ?」
ガブリアス「前はそんな言い方しなかったのに」
フライゴン「それはお前がまだフカマルで、右も左も分からなかった頃の話だろうが」
ガブリアス「…まだあれから半年しか経ってないもん…」
フライゴン「半年だろうが何だろうが、お前はもう立派なガブリアスなんだよ」
ガブリアス「…ガブリアスになったのだって半月前だもん…」
フライゴン「お前、おかしいぞ。言ってる事や、口調までフカマルの頃に戻っちまったのか?」
ガブリアス「…フライゴンさん冷たくなった…」
フライゴン「ああ?」
ガブリアス「前はそんな言い方しなかったのに」
フライゴン「それはお前がまだフカマルで、右も左も分からなかった頃の話だろうが」
ガブリアス「…まだあれから半年しか経ってないもん…」
フライゴン「半年だろうが何だろうが、お前はもう立派なガブリアスなんだよ」
ガブリアス「…ガブリアスになったのだって半月前だもん…」
フライゴン「お前、おかしいぞ。言ってる事や、口調までフカマルの頃に戻っちまったのか?」
5: 2012/11/08(木) 00:39:28.41 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「確かにお前の成長は速かったよ。異例と言っていいくらいだ。だから体の成長に、中身が追いついてないってのはあるだろう」
ガブリアス「………」
フライゴン「だけどな、対戦相手のトレーナーやポケモンは、そんな事はこれっぽっちも考えてなんかくれねえぞ」
ガブリアス「………」
フライゴン「敵はお前を、強ポケのガブリアスとして全力で潰しにくる。厳しいかも知れねえが、受け入れてやっていくしかねえ」
ガブリアス「………」
フライゴン「だからお前がガブリアスになったとき、言ったはずだ。もう新人とは思わねえ。一人前のポケモンとして扱うってな」
ガブリアス「………」
フライゴン「お前も納得したはずだ。むしろ嬉しがってるように見えたがな。それなのにどうした。今になって急にガキみてえな事を」
ガブリアス「………」
フライゴン「だけどな、対戦相手のトレーナーやポケモンは、そんな事はこれっぽっちも考えてなんかくれねえぞ」
ガブリアス「………」
フライゴン「敵はお前を、強ポケのガブリアスとして全力で潰しにくる。厳しいかも知れねえが、受け入れてやっていくしかねえ」
ガブリアス「………」
フライゴン「だからお前がガブリアスになったとき、言ったはずだ。もう新人とは思わねえ。一人前のポケモンとして扱うってな」
ガブリアス「………」
フライゴン「お前も納得したはずだ。むしろ嬉しがってるように見えたがな。それなのにどうした。今になって急にガキみてえな事を」
7: 2012/11/08(木) 00:44:47.86 ID:nFKiAJNr0
ガブリアス「…フライゴンさんは僕が嫌いなんだ…」
フライゴン「何だって?」
ガブリアス「僕がガブリアスだから…」
フライゴン「?」
ガブリアス「ガブリアスがフライゴンの活躍の場を奪ったから…」
フライゴン「なるほどな」
ガブリアス「………」
フライゴン「様子がおかしいと思ったが、そういう事か。どこでそんな話を聞いてきた?」
ガブリアス「…昨日、よそのトレーナーのところのガブリアスが…」
フライゴン「そうか」
ガブリアス「ガブリアスのくせに、何でフライゴンなんかについて歩いてるんだ、って…」
フライゴン「どんな事を言ったのかは、聞かなくても想像がつくな」
フライゴン「何だって?」
ガブリアス「僕がガブリアスだから…」
フライゴン「?」
ガブリアス「ガブリアスがフライゴンの活躍の場を奪ったから…」
フライゴン「なるほどな」
ガブリアス「………」
フライゴン「様子がおかしいと思ったが、そういう事か。どこでそんな話を聞いてきた?」
ガブリアス「…昨日、よそのトレーナーのところのガブリアスが…」
フライゴン「そうか」
ガブリアス「ガブリアスのくせに、何でフライゴンなんかについて歩いてるんだ、って…」
フライゴン「どんな事を言ったのかは、聞かなくても想像がつくな」
8: 2012/11/08(木) 00:47:49.28 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「そいつは性格が悪そうだから、かなり悪意のこもった話をしたとは思う。それでも、おそらくそいつの言ってる事は、ほぼ正しい」
ガブリアス「えっ」
フライゴン「意外か?」
ガブリアス「だって…」
フライゴン「じゃあ聞くが、お前、俺と戦ったら負けると思うか?」
ガブリアス「そりゃそうだよ…だって…」
フライゴン「お前が新入りだった頃のイメージは捨てろ。昨日だって俺の試合を見てるだろ。俺を対戦相手として見てみろ」
ガブリアス「………」
フライゴン「その上で、今のお前の戦力と戦わせてみろ。どうだ、怖いか?」
ガブリアス「………」
フライゴン「今はまだレベル差があるから、どう転ぶか分からない部分はあるさ。だが、ごく近い将来、俺はどうあがいてもお前には勝てなくなる。間違いない」
ガブリアス「えっ」
フライゴン「意外か?」
ガブリアス「だって…」
フライゴン「じゃあ聞くが、お前、俺と戦ったら負けると思うか?」
ガブリアス「そりゃそうだよ…だって…」
フライゴン「お前が新入りだった頃のイメージは捨てろ。昨日だって俺の試合を見てるだろ。俺を対戦相手として見てみろ」
ガブリアス「………」
フライゴン「その上で、今のお前の戦力と戦わせてみろ。どうだ、怖いか?」
ガブリアス「………」
フライゴン「今はまだレベル差があるから、どう転ぶか分からない部分はあるさ。だが、ごく近い将来、俺はどうあがいてもお前には勝てなくなる。間違いない」
10: 2012/11/08(木) 00:52:48.52 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だいたいな、お前、試合でフライゴンをよく見るか?」
ガブリアス「…見ない。ほとんど」
フライゴン「だがガブリアスはイヤってほど見るだろう。それが答えだ」
ガブリアス「………」
フライゴン「フライゴンとガブリアスはタイプが同じで、能力はあらゆる面でガブリアスが上回っている。だとしたら、わざわざフライゴンを使う理由はねえ」
ガブリアス「でも…」
フライゴン「いまだに俺を試合に引っ張り出すうちのマスターなんかは、もう変わり者の領域なんだよ」
ガブリアス「………」
フライゴン「フライゴンにできる事で、ガブリアスにできない事はあまりない。対戦で重要な事は、ほとんどないと言っていい。トレーナーが勝つためにやってる以上、ガブリアスを使うのは当然の話だ」
ガブリアス「………」
ガブリアス「…見ない。ほとんど」
フライゴン「だがガブリアスはイヤってほど見るだろう。それが答えだ」
ガブリアス「………」
フライゴン「フライゴンとガブリアスはタイプが同じで、能力はあらゆる面でガブリアスが上回っている。だとしたら、わざわざフライゴンを使う理由はねえ」
ガブリアス「でも…」
フライゴン「いまだに俺を試合に引っ張り出すうちのマスターなんかは、もう変わり者の領域なんだよ」
ガブリアス「………」
フライゴン「フライゴンにできる事で、ガブリアスにできない事はあまりない。対戦で重要な事は、ほとんどないと言っていい。トレーナーが勝つためにやってる以上、ガブリアスを使うのは当然の話だ」
ガブリアス「………」
13: 2012/11/08(木) 00:59:33.90 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だがなガブリアス、これだけは言っておくぞ」
ガブリアス「?」
フライゴン「お前は、昨日お前が出会ったヤツみてえな、くだらないガブリアスにはなるな」
ガブリアス「くだらない?」
フライゴン「そいつは多分、俺より強いだろう。だがそれでも断言できる。くだらないヤツだ」
ガブリアス「どうして?」
フライゴン「そいつは生まれた時から、強者に近い場所にいるヤツだろう。それなのに他人を貶めて、ちっぽけな自尊心を満足させている。およそ考えつく限り、最もくだらない行為だ」
ガブリアス「………」
フライゴン「馬鹿な話だ。遊んでいても、そこらへんのポケモンなら軽く倒せる力を持っているんだ。ただ勝ち続ければ、それだけで強さは証明され、尊敬もされるだろう」
ガブリアス「………」
フライゴン「自分の人格に問題がある事を、吹聴して回るような真似をする意味がどこにある?自覚してやってるなら下劣だし、自覚していないなら馬鹿だって事だ」
ガブリアス「?」
フライゴン「お前は、昨日お前が出会ったヤツみてえな、くだらないガブリアスにはなるな」
ガブリアス「くだらない?」
フライゴン「そいつは多分、俺より強いだろう。だがそれでも断言できる。くだらないヤツだ」
ガブリアス「どうして?」
フライゴン「そいつは生まれた時から、強者に近い場所にいるヤツだろう。それなのに他人を貶めて、ちっぽけな自尊心を満足させている。およそ考えつく限り、最もくだらない行為だ」
ガブリアス「………」
フライゴン「馬鹿な話だ。遊んでいても、そこらへんのポケモンなら軽く倒せる力を持っているんだ。ただ勝ち続ければ、それだけで強さは証明され、尊敬もされるだろう」
ガブリアス「………」
フライゴン「自分の人格に問題がある事を、吹聴して回るような真似をする意味がどこにある?自覚してやってるなら下劣だし、自覚していないなら馬鹿だって事だ」
17: 2012/11/08(木) 01:03:35.66 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「お前に何か言うのも、これで最後になるかも知れねえが、まあ最後の小言だと思って聞いてくれ」
ガブリアス「!」
フライゴン「自分より弱いヤツを見下したくなるのは、ある意味、仕方がないのかも知れねえ。だが、それを口に出すのと、沈黙を守るのとでは、大きな差があるって事は覚えておくべきだ」
ガブリアス「…最後って何?」
フライゴン「?」
ガブリアス「どうしてそんな事言うの!?」
フライゴン「分かるだろ。これからのお前に必要なのは、もっと実戦に役に立つ助言だ。お前より弱い俺に、何か言えるような資格があると思うか?」
ガブリアス「どうでもいい!そんなのどうでもいいよ!」
フライゴン「………」
ガブリアス「…フライゴンさんはガブリアスが嫌いなの…?」
フライゴン「ガブリアスに恨みを持ってるフライゴンは、大勢いるだろうな」
ガブリアス「フライゴンさんはどうなの…?やっぱり僕の顔なんか、見るのもイヤなの…?」
ガブリアス「!」
フライゴン「自分より弱いヤツを見下したくなるのは、ある意味、仕方がないのかも知れねえ。だが、それを口に出すのと、沈黙を守るのとでは、大きな差があるって事は覚えておくべきだ」
ガブリアス「…最後って何?」
フライゴン「?」
ガブリアス「どうしてそんな事言うの!?」
フライゴン「分かるだろ。これからのお前に必要なのは、もっと実戦に役に立つ助言だ。お前より弱い俺に、何か言えるような資格があると思うか?」
ガブリアス「どうでもいい!そんなのどうでもいいよ!」
フライゴン「………」
ガブリアス「…フライゴンさんはガブリアスが嫌いなの…?」
フライゴン「ガブリアスに恨みを持ってるフライゴンは、大勢いるだろうな」
ガブリアス「フライゴンさんはどうなの…?やっぱり僕の顔なんか、見るのもイヤなの…?」
18: 2012/11/08(木) 01:07:06.11 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「お前が聞きたいのは、俺個人が、ガブリアスであるお前をどう思ってるかって事だな」
ガブリアス「………」
フライゴン「分かった。一人前のポケモンとして扱うって言ったからな。腹を割って話すよ」
ガブリアス「…うん」
フライゴン「お前に会う前の俺が、ガブリアスに対して、思うところがなかったと言えば嘘になるだろうな。比較されては、ずいぶんと不愉快な思いもしてきたよ」
ガブリアス「………」
フライゴン「一応言っておくが、うちのマスターやポケモンには、そんな目にあわされた事は一度もねえ。だが、お前が昨日会ったガブリアスみてえな輩は、結構多いもんだ」
ガブリアス「…うん」
フライゴン「でな、うちのマスターは、なかなかガブリアスを仲間にしなかった。トレーナーの間じゃ、使用率は一二を争う強ポケで、入れりゃ戦力アップは確実だってのにだ」
ガブリアス「………」
フライゴン「分かった。一人前のポケモンとして扱うって言ったからな。腹を割って話すよ」
ガブリアス「…うん」
フライゴン「お前に会う前の俺が、ガブリアスに対して、思うところがなかったと言えば嘘になるだろうな。比較されては、ずいぶんと不愉快な思いもしてきたよ」
ガブリアス「………」
フライゴン「一応言っておくが、うちのマスターやポケモンには、そんな目にあわされた事は一度もねえ。だが、お前が昨日会ったガブリアスみてえな輩は、結構多いもんだ」
ガブリアス「…うん」
フライゴン「でな、うちのマスターは、なかなかガブリアスを仲間にしなかった。トレーナーの間じゃ、使用率は一二を争う強ポケで、入れりゃ戦力アップは確実だってのにだ」
19: 2012/11/08(木) 01:11:20.22 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「もちろん、マスターには何かお考えがあったんだろう。だが万が一にも、俺に遠慮してガブリアスを入れないなら、申し訳ない話だとずっと思ってた」
ガブリアス「………」
フライゴン「だからな、お前が入って来た時は、ほっとしたってのが正直なところだったよ。俺との付き合いが長いとか、そんなのは気にしねえで、勝つ事を考えて欲しかったからな」
ガブリアス「そうだったんだ…」
フライゴン「さて、そうやってうちにフカマルが入ったわけだが、どういうわけかそいつが、やたらと俺の後をくっついて来たがってな」
ガブリアス「だって…」
フライゴン「別に責めてるわけじゃねえ。来たばっかりのお前に、空気読めってのも無理な話だ。ただ、何でよりによってフライゴンに、とはみんな思ってただろうな」
ガブリアス「………」
フライゴン「実際、マリルリやチャーレム、ムクホークあたりは、お前を預かろうかと申し出てくれたよ。みんな面倒見がよくて、信頼できるヤツらだ。それもいいかと思った」
ガブリアス「………」
フライゴン「だからな、お前が入って来た時は、ほっとしたってのが正直なところだったよ。俺との付き合いが長いとか、そんなのは気にしねえで、勝つ事を考えて欲しかったからな」
ガブリアス「そうだったんだ…」
フライゴン「さて、そうやってうちにフカマルが入ったわけだが、どういうわけかそいつが、やたらと俺の後をくっついて来たがってな」
ガブリアス「だって…」
フライゴン「別に責めてるわけじゃねえ。来たばっかりのお前に、空気読めってのも無理な話だ。ただ、何でよりによってフライゴンに、とはみんな思ってただろうな」
ガブリアス「………」
フライゴン「実際、マリルリやチャーレム、ムクホークあたりは、お前を預かろうかと申し出てくれたよ。みんな面倒見がよくて、信頼できるヤツらだ。それもいいかと思った」
23: 2012/11/08(木) 01:17:32.10 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だがな、そこで考えたんだ。言い方は悪いが、俺はお前を放り出そうとしてる。その理由は何かってな」
ガブリアス「理由?」
フライゴン「俺がお前と付き合ってみて、性格的にどうしても合わねえとか、そんな感じのわけがあるなら、他に適任がいるなら回せばいい。だが、違うだろう、と」
ガブリアス「………」
フライゴン「お前の性格に問題はねえし、相性だって悪くないと思った。じゃあ、俺がお前をよそにやろうって理由は、お前が将来、ガブリアスになるヤツだからっていう、ただそれだけだ」
ガブリアス「………」
フライゴン「誰だって、自分がなりたい存在に生まれてこられるわけじゃねえ。俺がフライゴンなのと同じように、お前がフカマルなのも、お前が何かを選択した結果、決まった事じゃねえ」
ガブリアス「…うん」
フライゴン「こっちを気に入ってくれる若いヤツを、種族を理由に拒絶しちまえば、それは結局、俺をフライゴンだからって理由で馬鹿にしてる連中と、根っ子のところで同じじゃねえかって思ったわけだ」
ガブリアス「理由?」
フライゴン「俺がお前と付き合ってみて、性格的にどうしても合わねえとか、そんな感じのわけがあるなら、他に適任がいるなら回せばいい。だが、違うだろう、と」
ガブリアス「………」
フライゴン「お前の性格に問題はねえし、相性だって悪くないと思った。じゃあ、俺がお前をよそにやろうって理由は、お前が将来、ガブリアスになるヤツだからっていう、ただそれだけだ」
ガブリアス「………」
フライゴン「誰だって、自分がなりたい存在に生まれてこられるわけじゃねえ。俺がフライゴンなのと同じように、お前がフカマルなのも、お前が何かを選択した結果、決まった事じゃねえ」
ガブリアス「…うん」
フライゴン「こっちを気に入ってくれる若いヤツを、種族を理由に拒絶しちまえば、それは結局、俺をフライゴンだからって理由で馬鹿にしてる連中と、根っ子のところで同じじゃねえかって思ったわけだ」
28: 2012/11/08(木) 01:22:47.36 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「だから俺は、お前を引き受ける事にした。俺がお前にとって、いい先輩だったかどうかは分からねえ。だが、俺が教えられる事は、教えてやれたんじゃねえかって思う。それでな」
ガブリアス「うん」
フライゴン「本当にやってよかったと思うよ。結局、ガブリアスだとかフライゴンだとか、そんなのは関係ねえんだなって分かった。同じ種族でもイヤなヤツはいるし、違う種族でも友達になれるヤツはいる」
ガブリアス「うん…うん…」
フライゴン「お前は俺にとって、かわいい後輩だよ」
ガブリアス「うっ…うぅ…」
フライゴン「馬鹿野郎。そのくらいで泣くな。それにな、かわいい後輩で満足してもらっちゃ困るんだよ」
ガブリアス「…?」
フライゴン「とっとと頼もしい後輩に進化してくれ」
ガブリアス「うん…僕…頑張るよ…」
ガブリアス「うん」
フライゴン「本当にやってよかったと思うよ。結局、ガブリアスだとかフライゴンだとか、そんなのは関係ねえんだなって分かった。同じ種族でもイヤなヤツはいるし、違う種族でも友達になれるヤツはいる」
ガブリアス「うん…うん…」
フライゴン「お前は俺にとって、かわいい後輩だよ」
ガブリアス「うっ…うぅ…」
フライゴン「馬鹿野郎。そのくらいで泣くな。それにな、かわいい後輩で満足してもらっちゃ困るんだよ」
ガブリアス「…?」
フライゴン「とっとと頼もしい後輩に進化してくれ」
ガブリアス「うん…僕…頑張るよ…」
33: 2012/11/08(木) 01:25:45.18 ID:nFKiAJNr0
ガブリアス「僕、あのガブリアスの話を聞いてから、ずっと思ってたんだ。フライゴンさんに謝らなくちゃって」
フライゴン「謝る?何をだ?」
ガブリアス「僕のせいで、フライゴンさんにずっとイヤな思いをさせてたんじゃないかって…」
フライゴン「………」
ガブリアス「僕がなんにも知らなかったから…いつも僕がフライゴンさんの後をくっついて回ってたから…だから仕方なく、僕の面倒を見ていてくれてたんじゃないかって…」
フライゴン「そうか」
ガブリアス「だから、謝ろうって決めたんだけど…いざフライゴンさんの前に出たら…怖くて…」
フライゴン「怖い?」
ガブリアス「…フライゴンさんに、本当はお前の事なんか大嫌いだったって言われるかも知れない…そう考えたら、すごく怖くなって…」
フライゴン「それで、遊んで、か」
ガブリアス「………」
フライゴン「謝る?何をだ?」
ガブリアス「僕のせいで、フライゴンさんにずっとイヤな思いをさせてたんじゃないかって…」
フライゴン「………」
ガブリアス「僕がなんにも知らなかったから…いつも僕がフライゴンさんの後をくっついて回ってたから…だから仕方なく、僕の面倒を見ていてくれてたんじゃないかって…」
フライゴン「そうか」
ガブリアス「だから、謝ろうって決めたんだけど…いざフライゴンさんの前に出たら…怖くて…」
フライゴン「怖い?」
ガブリアス「…フライゴンさんに、本当はお前の事なんか大嫌いだったって言われるかも知れない…そう考えたら、すごく怖くなって…」
フライゴン「それで、遊んで、か」
ガブリアス「………」
34: 2012/11/08(木) 01:28:20.37 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「俺の方こそ謝らなきゃな。相手の立場になって考えろ、とか偉そうな事言っておいて、お前の気持ちなんか考えねえで厳しい事だけ言っちまった」
ガブリアス「そんな事ないよ!僕の方が、謝ろうって決心したのに勇気がなくって…」
フライゴン「…なあ、せっかくこうやって腹を割って話せたんだ。俺の方からも一つ聞いていいか?」
ガブリアス「えっ。うん、いいよ」
フライゴン「お前、フカマルの頃に、何で俺の事があんなに気に入ってたんだ?どうも理由が分からねえんだが」
ガブリアス「…えっと…その…最初のきっかけは…フライゴンさんの尻尾が…」
フライゴン「…尻尾…?」
ガブリアス「…シマシマで、先っぽに何かついてて、面白かったから…」
フライゴン「………」
ガブリアス「………」
ガブリアス「そんな事ないよ!僕の方が、謝ろうって決心したのに勇気がなくって…」
フライゴン「…なあ、せっかくこうやって腹を割って話せたんだ。俺の方からも一つ聞いていいか?」
ガブリアス「えっ。うん、いいよ」
フライゴン「お前、フカマルの頃に、何で俺の事があんなに気に入ってたんだ?どうも理由が分からねえんだが」
ガブリアス「…えっと…その…最初のきっかけは…フライゴンさんの尻尾が…」
フライゴン「…尻尾…?」
ガブリアス「…シマシマで、先っぽに何かついてて、面白かったから…」
フライゴン「………」
ガブリアス「………」
38: 2012/11/08(木) 01:31:56.84 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「…マジかよ。そんな理由だったとはな…」
ガブリアス「き、きっかけはだよ、きっかけは!」
フライゴン「ヘコむわー。聞くんじゃなかったわー」
ガブリアス「もっもちろん今は違うよ!フライゴンさんの人柄とか!人格とか!」
フライゴン「今さら何を言っても、尻尾フェチ野郎の言い訳にしか」
ガブリアス「えっ!?フェチって何!?」
フライゴン「まあいいけどな。だがなガブリアス、これだけは言っておくぞ」
ガブリアス「?」
フライゴン「しっぽをふるを使ってくるポケモンは、しっぽをふられる前に倒せ」
ガブリアス「うわあああああん!フライゴンさんの意地悪!」
フライゴン「ははは、何も泣く事ねえだろ。冗談だよ冗談」
ガブリアス「き、きっかけはだよ、きっかけは!」
フライゴン「ヘコむわー。聞くんじゃなかったわー」
ガブリアス「もっもちろん今は違うよ!フライゴンさんの人柄とか!人格とか!」
フライゴン「今さら何を言っても、尻尾フェチ野郎の言い訳にしか」
ガブリアス「えっ!?フェチって何!?」
フライゴン「まあいいけどな。だがなガブリアス、これだけは言っておくぞ」
ガブリアス「?」
フライゴン「しっぽをふるを使ってくるポケモンは、しっぽをふられる前に倒せ」
ガブリアス「うわあああああん!フライゴンさんの意地悪!」
フライゴン「ははは、何も泣く事ねえだろ。冗談だよ冗談」
40: 2012/11/08(木) 01:37:50.47 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「きっかけなんてのは、案外そんなもんかも知れねえな。ある意味お前らしいよ」
ガブリアス「うぅ…」
フライゴン「まあ、お前にはこれからエースとして頑張ってもらわなきゃならねえんだから、尻尾好きもほどほどにしとけよ」
ガブリアス「………」
フライゴン「おっとすまねえ。ちょっとしつこかったな」
ガブリアス「ううん、そうじゃなくて…」
フライゴン「?」
ガブリアス「僕が頑張ると、その分、フライゴンさんの出番を取っちゃう事になるのかな…」
フライゴン「そんな事は気にするな」
ガブリアス「でも…」
フライゴン「確かに試合に出るのは嫌いじゃねえし、マスターの使い方が良くてそこそこ勝ってはいるが、俺にはもっとやりたい事があるからな」
ガブリアス「うぅ…」
フライゴン「まあ、お前にはこれからエースとして頑張ってもらわなきゃならねえんだから、尻尾好きもほどほどにしとけよ」
ガブリアス「………」
フライゴン「おっとすまねえ。ちょっとしつこかったな」
ガブリアス「ううん、そうじゃなくて…」
フライゴン「?」
ガブリアス「僕が頑張ると、その分、フライゴンさんの出番を取っちゃう事になるのかな…」
フライゴン「そんな事は気にするな」
ガブリアス「でも…」
フライゴン「確かに試合に出るのは嫌いじゃねえし、マスターの使い方が良くてそこそこ勝ってはいるが、俺にはもっとやりたい事があるからな」
41: 2012/11/08(木) 01:41:55.02 ID:nFKiAJNr0
ガブリアス「やりたい事?」
フライゴン「ああ。もう一度、空を飛ぶを覚えて色んなところに行ってみてえ」
ガブリアス「空を飛ぶって、秘伝技の?」
フライゴン「おう。昔は俺が飛んでたんだがな、トレーナー戦に出る機会が増えたんで、外れたんだ」
ガブリアス「そうだったんだ」
フライゴン「好きなんだ、飛ぶのが。お前はどうだ?」
ガブリアス「僕はあんまり…」
フライゴン「そりゃそうだな。お前は本当に、一応飛ぶ事もできるってだけだからな。何度か見たが、ありゃひどかった。人を乗せるなんて絶対に無理だな」
ガブリアス「フライゴンさん!ひどい!」
フライゴン「ははは、まあそう怒るな。一つくらいお前より得意なもんがないと、こっちも立つ瀬がねえ」
フライゴン「ああ。もう一度、空を飛ぶを覚えて色んなところに行ってみてえ」
ガブリアス「空を飛ぶって、秘伝技の?」
フライゴン「おう。昔は俺が飛んでたんだがな、トレーナー戦に出る機会が増えたんで、外れたんだ」
ガブリアス「そうだったんだ」
フライゴン「好きなんだ、飛ぶのが。お前はどうだ?」
ガブリアス「僕はあんまり…」
フライゴン「そりゃそうだな。お前は本当に、一応飛ぶ事もできるってだけだからな。何度か見たが、ありゃひどかった。人を乗せるなんて絶対に無理だな」
ガブリアス「フライゴンさん!ひどい!」
フライゴン「ははは、まあそう怒るな。一つくらいお前より得意なもんがないと、こっちも立つ瀬がねえ」
43: 2012/11/08(木) 01:47:00.77 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「今、マスターを乗せて飛んでるのはフワロイドだがな、あいつも色々と面白い戦い方ができるヤツなんだよ。だからそろそろ代わってやりてえ。それにな」
ガブリアス「うん」
フライゴン「人の仕事にケチはつけたくねえが、マスターがフワロイドにしがみついて飛んでるのは、どうにもおっかなくて見てられねえ」
ガブリアス「確かにあれはちょっと…」
フライゴン「絶対に俺の方がうまく飛べる自信がある」
ガブリアス「うん、僕もそう思うよ!」
ガブリアス「うん」
フライゴン「人の仕事にケチはつけたくねえが、マスターがフワロイドにしがみついて飛んでるのは、どうにもおっかなくて見てられねえ」
ガブリアス「確かにあれはちょっと…」
フライゴン「絶対に俺の方がうまく飛べる自信がある」
ガブリアス「うん、僕もそう思うよ!」
47: 2012/11/08(木) 01:52:43.88 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「俺の故郷は砂漠でな。ガキの頃、たまにオアシスがあるだけの、全く代わり映えのしねえ風景を、毎日毎日眺めてたよ」
ガブリアス「うん…」
フライゴン「何にも面白い事なんてねえ。でも出て行く度胸もねえ。ただ目的もなく生きて、いつかただ死んでいくんだって思ってた。そんなある日、マスターに出会った」
ガブリアス「………」
フライゴン「マスターと旅して、色んなもんを見たよ。どこまでも広がる海と水平線、天にも届きそうな山と断崖、真っ白な雪原と凍りついた湖。世界はこんなにも広くて、美しいんだって思った」
ガブリアス「………」
フライゴン「不思議なもんでな。色んな美しいものを見て、そうしてたまにあの故郷の砂漠を思い出すとな、あんなに嫌いだった風景が、あれはあれで美しかったんだなって感じるんだよ」
ガブリアス「………」
フライゴン「…っておい、ガブリアス…?」
ガブリアス「………」
ガブリアス「うん…」
フライゴン「何にも面白い事なんてねえ。でも出て行く度胸もねえ。ただ目的もなく生きて、いつかただ死んでいくんだって思ってた。そんなある日、マスターに出会った」
ガブリアス「………」
フライゴン「マスターと旅して、色んなもんを見たよ。どこまでも広がる海と水平線、天にも届きそうな山と断崖、真っ白な雪原と凍りついた湖。世界はこんなにも広くて、美しいんだって思った」
ガブリアス「………」
フライゴン「不思議なもんでな。色んな美しいものを見て、そうしてたまにあの故郷の砂漠を思い出すとな、あんなに嫌いだった風景が、あれはあれで美しかったんだなって感じるんだよ」
ガブリアス「………」
フライゴン「…っておい、ガブリアス…?」
ガブリアス「………」
49: 2012/11/08(木) 01:54:48.09 ID:nFKiAJNr0
フライゴン「まったく、思いっきり早起きして人のところに来といて、そこで寝ちまうヤツがあるか」
ガブリアス「……ぅ…」
フライゴン (いや、昨日はろくに寝てないんだろう。ガキなみのオツムで、こいつなりに色々考えたってわけか)
フライゴン (………)
フライゴン (なあガブリアス。俺には分かる)
フライゴン (お前は強くなる)
フライゴン (俺なんかがいなくても、1人でも立派にやっていけるようになる)
フライゴン (そしてマスターにたくさんの勝利をもたらすだろう)
フライゴン (そこまでは分かる。確信してる。だが…)
フライゴン (そこから先の事は、俺には分からねえ…)
ガブリアス「……ぅ…」
フライゴン (いや、昨日はろくに寝てないんだろう。ガキなみのオツムで、こいつなりに色々考えたってわけか)
フライゴン (………)
フライゴン (なあガブリアス。俺には分かる)
フライゴン (お前は強くなる)
フライゴン (俺なんかがいなくても、1人でも立派にやっていけるようになる)
フライゴン (そしてマスターにたくさんの勝利をもたらすだろう)
フライゴン (そこまでは分かる。確信してる。だが…)
フライゴン (そこから先の事は、俺には分からねえ…)
50: 2012/11/08(木) 01:56:41.70 ID:nFKiAJNr0
フライゴン (世界は広い)
フライゴン (いつか、今は俺たちの知らないポケモンとも戦う日がやって来る)
フライゴン (その時、お前の強さは通用するのか…)
フライゴン (今は確かなものに見える強さも、たった1つの新しい特性、新しい技、新しいアイテムが出て来るだけで、あっさりと揺らいじまう事だってある)
フライゴン (そういう不安定な土台の上に、強さってのは乗っかってる)
フライゴン (そんな危なっかしい場所でお前は、これから先ずっと、戦い続けて、勝ち続けていかなきゃならねえんだな)
フライゴン (いつか、今は俺たちの知らないポケモンとも戦う日がやって来る)
フライゴン (その時、お前の強さは通用するのか…)
フライゴン (今は確かなものに見える強さも、たった1つの新しい特性、新しい技、新しいアイテムが出て来るだけで、あっさりと揺らいじまう事だってある)
フライゴン (そういう不安定な土台の上に、強さってのは乗っかってる)
フライゴン (そんな危なっかしい場所でお前は、これから先ずっと、戦い続けて、勝ち続けていかなきゃならねえんだな)
52: 2012/11/08(木) 01:59:51.70 ID:nFKiAJNr0
フライゴン (もし将来、お前の前に、自分ではどうする事もできない壁が立ちふさがった時)
フライゴン (お前は強さを諦める事ができるんだろうか)
フライゴン (強さ以外の、何か大切なものに、気付く事ができるんだろうか)
フライゴン (ガキの頃から、強者として生きていく事が、義務になっちまったお前に…)
フライゴン (………)
フライゴン (俺には、祈る事しかできねえ…)
フライゴン (お前の旅が、終わりをむかえるその日まで)
フライゴン (ずっと、高く、飛び続けられるように)
ガブリアス「………」
おわり
フライゴン (お前は強さを諦める事ができるんだろうか)
フライゴン (強さ以外の、何か大切なものに、気付く事ができるんだろうか)
フライゴン (ガキの頃から、強者として生きていく事が、義務になっちまったお前に…)
フライゴン (………)
フライゴン (俺には、祈る事しかできねえ…)
フライゴン (お前の旅が、終わりをむかえるその日まで)
フライゴン (ずっと、高く、飛び続けられるように)
ガブリアス「………」
おわり
53: 2012/11/08(木) 02:00:51.98 ID:oj/Shk7L0
イイハナシダナー
54: 2012/11/08(木) 02:02:16.24 ID:DWmIltF60
乙
59: 2012/11/08(木) 02:19:33.69 ID:S8PEoKlWO
乙
引用元: ガブリアス「フライゴンさん、遊んで~」
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