1: 2018/07/01(日) 00:31:06.655 ID:JgqIBY1K0.net
その子は何十年も昔に氏んだ女の子の幽霊だったみたいな
4:2018/07/01(日) 00:39:02.624 ID:ZJve1rDnp.net
少年「田舎ってほんと何もなくてつまんないや」
少女「そう? 私は気に入ってるけど」
少年「うわあ!?」
少女「なにさ」
少年「いつから、っていうか誰!?」
少女「キミこそ誰? この辺じゃ見ない顔だよね?」
少女「そう? 私は気に入ってるけど」
少年「うわあ!?」
少女「なにさ」
少年「いつから、っていうか誰!?」
少女「キミこそ誰? この辺じゃ見ない顔だよね?」
5:2018/07/01(日) 00:39:56.239 ID:A0twWn560.net
>>4
蜃気楼に消えた遠い思い出…
蜃気楼に消えた遠い思い出…
6:2018/07/01(日) 00:42:10.181 ID:ZJve1rDnp.net
少女「ふーん、おじいちゃんおばあちゃんの家に泊まってるんだ」
少年「ヤッカイバライされたんだよ、父さんも母さんも自分勝手だ」
少女「……そういうこと言うの、よくないよ」
少年「な、なんだよ」
少女「どこの家庭だって、お父さんもお母さんも、子供のことが大好きに決まってるもん」
少年「……ばっかみて」
少女「……」
少年「ヤッカイバライされたんだよ、父さんも母さんも自分勝手だ」
少女「……そういうこと言うの、よくないよ」
少年「な、なんだよ」
少女「どこの家庭だって、お父さんもお母さんも、子供のことが大好きに決まってるもん」
少年「……ばっかみて」
少女「……」
7:2018/07/01(日) 00:45:41.893 ID:ZJve1rDnp.net
少女「それより、さ。どっか遊びに行こうよ!」
少年「遊びにって、この辺何もないじゃん」
少女「あるよ? いっぱいある」
少年「ゲームセンターもカラオケも何もないじゃん!」
少女「山とか川とか! えへ」
少年「……なら一人で行けばいいだろ」
少女「私と同じくらいの子ども、この辺にいないんだよう」
少年「遊びにって、この辺何もないじゃん」
少女「あるよ? いっぱいある」
少年「ゲームセンターもカラオケも何もないじゃん!」
少女「山とか川とか! えへ」
少年「……なら一人で行けばいいだろ」
少女「私と同じくらいの子ども、この辺にいないんだよう」
8:2018/07/01(日) 00:48:37.222 ID:ZJve1rDnp.net
少年「ふぅ、ふぅ……まだ?」
少女「もうちょっともうちょっと♪」
少年「さっきからそればっか……ふぅ」
少女「ほんとにもうちょっとなんだってばー、ホラ立って立って!」
少年「ちょ、ま、一旦休憩……」
少女「だらしないなー、男のコでしょ? 都会っ子は運動不足ってホントなんだね」
少年「っ、この……!」
少女「なーんだ、全然元気じゃん! えへへ」
少女「もうちょっともうちょっと♪」
少年「さっきからそればっか……ふぅ」
少女「ほんとにもうちょっとなんだってばー、ホラ立って立って!」
少年「ちょ、ま、一旦休憩……」
少女「だらしないなー、男のコでしょ? 都会っ子は運動不足ってホントなんだね」
少年「っ、この……!」
少女「なーんだ、全然元気じゃん! えへへ」
9:2018/07/01(日) 00:53:11.288 ID:ZJve1rDnp.net
少年「はぁ、はぁ、はぁ」
少女「ふーぅ、はいっ到着ー! 長旅おつかれさまでしたー」
少年「はぁ、はぁ……到着って、何、っも……」
少女「ふふーん」
少年「すげ……」
少女「えへへ、えーい!」
少年「うわぁあ!?」
少女「あはははは! 気持ちいいでしょー? よっ!」
少年「っぷは! ちょ、いきなり何! ってうひゃ!?」
少女「……ぷっはー! やっぱり夏は川に飛び込みだよね! ほらほら早く上がって、もう一回!」
少女「ふーぅ、はいっ到着ー! 長旅おつかれさまでしたー」
少年「はぁ、はぁ……到着って、何、っも……」
少女「ふふーん」
少年「すげ……」
少女「えへへ、えーい!」
少年「うわぁあ!?」
少女「あはははは! 気持ちいいでしょー? よっ!」
少年「っぷは! ちょ、いきなり何! ってうひゃ!?」
少女「……ぷっはー! やっぱり夏は川に飛び込みだよね! ほらほら早く上がって、もう一回!」
10:2018/07/01(日) 00:58:23.144 ID:ZJve1rDnp.net
少年「うわ……改めて見るとすごい高い……」
少女「ふふーん、こんなのラクショーでしょ? それとも怖い?」
少年「……いや、だってあそこよく見てみろよ」
少女「ん、なになに? どこー?」
少年「よく見ろって、ほら、あそこ……さっきのお返、し!」
少女「きゃぁあ!?」
少年「あっははは! 思い知ったか!」
少女「あはははは! やられちゃったあ! ふふ、あはははは!」
少年「なっ」
少女「ほら、早くキミもー!」
少年「……」
少女「あー……ふふ、怖い?」
少年「っ、見てろ!」
少女「早く早く♪」
少年「……たああああ!!」
少女「ふふーん、こんなのラクショーでしょ? それとも怖い?」
少年「……いや、だってあそこよく見てみろよ」
少女「ん、なになに? どこー?」
少年「よく見ろって、ほら、あそこ……さっきのお返、し!」
少女「きゃぁあ!?」
少年「あっははは! 思い知ったか!」
少女「あはははは! やられちゃったあ! ふふ、あはははは!」
少年「なっ」
少女「ほら、早くキミもー!」
少年「……」
少女「あー……ふふ、怖い?」
少年「っ、見てろ!」
少女「早く早く♪」
少年「……たああああ!!」
12:2018/07/01(日) 01:04:47.244 ID:ZJve1rDnp.net
少女「ね、楽しかったでしょ?」
少年「……別に」
少女「ふふーん、楽しかった?」
少年「……まぁ」
少女「楽しかったよね♪」
少年「ちょっとは、な、ぁ!?」
少女「なに?」
少年「す、すすけ」
少女「煤け? すすけ、すすー、すけー? ……あっ」
少年「変なモン見せんな!!」
少女「いやん、えっち」
少年「……別に」
少女「ふふーん、楽しかった?」
少年「……まぁ」
少女「楽しかったよね♪」
少年「ちょっとは、な、ぁ!?」
少女「なに?」
少年「す、すすけ」
少女「煤け? すすけ、すすー、すけー? ……あっ」
少年「変なモン見せんな!!」
少女「いやん、えっち」
13:2018/07/01(日) 01:07:33.925 ID:ZJve1rDnp.net
少年「わっ……あー、くそ。やっちゃった」
少女「? なにそれ? あっ、ポラか」
少年「デジカメだよ。うわー、防水付いてたかな……」
少女「ふーん、壊れちゃった?」
少年「お前のせいだからな……お、点いた」
少女「ぴーすぴーす!」
少年「……なに」
少女「壊れてなかったんでしょ、撮ってくれないの?」
少年「別にいいけど。ハイ、チーズ」
少女「えへ。可愛く撮れた?」
少年「んー、ん……あ、読み込めない。撮れてないかも」
少女「光ったし撮れたんじゃないの?」
少年「分かんね」
少女「……ふーん」
少女「? なにそれ? あっ、ポラか」
少年「デジカメだよ。うわー、防水付いてたかな……」
少女「ふーん、壊れちゃった?」
少年「お前のせいだからな……お、点いた」
少女「ぴーすぴーす!」
少年「……なに」
少女「壊れてなかったんでしょ、撮ってくれないの?」
少年「別にいいけど。ハイ、チーズ」
少女「えへ。可愛く撮れた?」
少年「んー、ん……あ、読み込めない。撮れてないかも」
少女「光ったし撮れたんじゃないの?」
少年「分かんね」
少女「……ふーん」
14:2018/07/01(日) 01:11:33.063 ID:ZJve1rDnp.net
少女「ね、明日はどこ行く? 山?」
少年「一人で行けばいいじゃん」
少女「私と同じくらいの子ども、この辺にいないんだよう」
少年「……何時?」
少女「お昼のサイレン鳴ったら! そうだなー、今日いた駄菓子屋さんの前で!」
少年「ん。じゃあな」
少女「うん、また明日!」
少年「ん」
少年「一人で行けばいいじゃん」
少女「私と同じくらいの子ども、この辺にいないんだよう」
少年「……何時?」
少女「お昼のサイレン鳴ったら! そうだなー、今日いた駄菓子屋さんの前で!」
少年「ん。じゃあな」
少女「うん、また明日!」
少年「ん」
15:2018/07/01(日) 01:14:18.752 ID:ZJve1rDnp.net
爺「ん」
婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」
少年「いらない」
婆「いっぱい食べなきゃ大きくなれないよ。はい、おかわりどうぞ」
少年「……」
爺「しっかり食え」
少年「ん……」
婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」
少年「いらない」
婆「いっぱい食べなきゃ大きくなれないよ。はい、おかわりどうぞ」
少年「……」
爺「しっかり食え」
少年「ん……」
17:2018/07/01(日) 01:17:35.605 ID:ZJve1rDnp.net
少年「カメラ、一応撮れてるかもだし持って行こう。今日も暑そうだな……んしょっと」
婆「こりゃ! 行ってきますぐらい言いなさい」
少年「……行ってきます」
婆「はい、いってらっしゃい。ほれ、あたしの帽子乗せていきな」
少年「ん」
婆「夕方には帰って来なよ」
少年「んー」
婆「こりゃ! 行ってきますぐらい言いなさい」
少年「……行ってきます」
婆「はい、いってらっしゃい。ほれ、あたしの帽子乗せていきな」
少年「ん」
婆「夕方には帰って来なよ」
少年「んー」
18:2018/07/01(日) 01:20:18.017 ID:ZJve1rDnp.net
少女「ごめーん、お待たせ!」
少年「別に。それよりここ……」
少女「あー、今日はやってないみたいだね」
少年「昨日もアイス買いに来たのに開いてなくてさ」
少女「ここのお婆ちゃん70くらいだからねー、体調崩したのかもね」
少年「ふーん」
少年「別に。それよりここ……」
少女「あー、今日はやってないみたいだね」
少年「昨日もアイス買いに来たのに開いてなくてさ」
少女「ここのお婆ちゃん70くらいだからねー、体調崩したのかもね」
少年「ふーん」
19:2018/07/01(日) 01:26:52.444 ID:ZJve1rDnp.net
少年「ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ……」
少女「ほらもうちょっともうちょっと」
少年「昨日も、それ、散々、聞いた!」
少女「ふふーん、休憩したい?」
少年「いらね!」
少女「じゃあがんばっていこー。ほらもうちょっともうちょっと」
少年「うるせ!」
少女「ほらもうちょっともうちょっと」
少年「昨日も、それ、散々、聞いた!」
少女「ふふーん、休憩したい?」
少年「いらね!」
少女「じゃあがんばっていこー。ほらもうちょっともうちょっと」
少年「うるせ!」
21:2018/07/01(日) 01:31:43.404 ID:ZJve1rDnp.net
少年「くっ、うぅ~……!」
少女「あはははは! ハズレ引いたね、酸っぱいでしょ?」
少年「なんらこぇ……!」
少女「知らなーい。でもちゃんと熟してるのは甘くて美味しいんだよ?」
少年「うそつけ」
少女「ほんとだってば! ええと、これとかー、それとか!」
少年「……じゃあお前食べてみろよ」
少女「はむ、うん、うん、うんうん、甘くて美味しい~!」
少年「……あぐ」
少女「ど?」
少年「別に」
少女「甘い?」
少年「まぁ」
少女「美味しい~?」
少年「ちょっとは、な」
少女「あはははは! ハズレ引いたね、酸っぱいでしょ?」
少年「なんらこぇ……!」
少女「知らなーい。でもちゃんと熟してるのは甘くて美味しいんだよ?」
少年「うそつけ」
少女「ほんとだってば! ええと、これとかー、それとか!」
少年「……じゃあお前食べてみろよ」
少女「はむ、うん、うん、うんうん、甘くて美味しい~!」
少年「……あぐ」
少女「ど?」
少年「別に」
少女「甘い?」
少年「まぁ」
少女「美味しい~?」
少年「ちょっとは、な」
22:2018/07/01(日) 01:35:56.900 ID:ZJve1rDnp.net
少年「ひゃ!?」
少女「ぷぷぷ、ひゃーだって、あはは!」
少年「うるせ。セミ嫌いなんだよ」
少女「うっはー、足がワサワサしてる」
少年「キモい、マジキモい」
少女「そうかな? ほーら」
少年「ひゃあ!? 近づけんなマジキモい死ね!!」
少女「……そこまで言わなくても、この子もうすぐ死んじゃうよ」
少年「な、なんだよ」
少女「ほら、木に捕まりな。もう落ちてきちゃダメだよ?」
少年「……キモい」
少女「ハイハイわかったわかった。ほら、もっと上に行ってみよ! 私のお気に入りの景色があるんだー♪」
少女「ぷぷぷ、ひゃーだって、あはは!」
少年「うるせ。セミ嫌いなんだよ」
少女「うっはー、足がワサワサしてる」
少年「キモい、マジキモい」
少女「そうかな? ほーら」
少年「ひゃあ!? 近づけんなマジキモい死ね!!」
少女「……そこまで言わなくても、この子もうすぐ死んじゃうよ」
少年「な、なんだよ」
少女「ほら、木に捕まりな。もう落ちてきちゃダメだよ?」
少年「……キモい」
少女「ハイハイわかったわかった。ほら、もっと上に行ってみよ! 私のお気に入りの景色があるんだー♪」
23:2018/07/01(日) 01:40:28.878 ID:ZJve1rDnp.net
少年「すっげー……っ」
少女「なに?」
少年「また突き落とされるのはゴメンだ」
少女「川でもないのにそんなことしないってば!」
少年「ふんっ。それにしてもキレイだな、ここ」
少女「でしょ? 誰にも教えなかったんだ、ここ」
少年「風、気持ちいいな」
少女「うん、気持ちいい。村の全部が見えそうなくらい……きゃっ!?」
少年「きゃー、だってさ。ほら」
少女「いいじゃん、女のコなんだもん。えへ、帽子ありがと!」
少年「しっかり被っとけ」
少女「うん♪」
少女「なに?」
少年「また突き落とされるのはゴメンだ」
少女「川でもないのにそんなことしないってば!」
少年「ふんっ。それにしてもキレイだな、ここ」
少女「でしょ? 誰にも教えなかったんだ、ここ」
少年「風、気持ちいいな」
少女「うん、気持ちいい。村の全部が見えそうなくらい……きゃっ!?」
少年「きゃー、だってさ。ほら」
少女「いいじゃん、女のコなんだもん。えへ、帽子ありがと!」
少年「しっかり被っとけ」
少女「うん♪」
24:2018/07/01(日) 01:46:00.102 ID:ZJve1rDnp.net
少年「……」
少女「撮れた?」
少年「分かんね」
少女「私も入っていい?」
少年「ハイ、チーズ」
少女「わっ」
少年「撮ったから終わりな」
少女「何それー! アンコール、アンコール!」
少年「充電切れそうだし今日の分は終わり」
少女「ふーん、じゃあ明日はどこ行く?」
少年「他はどんなとこあるんだよ?」
少女「昔作った秘密基地、はーもう壊れてるかな。また川行こ!」
少年「何時?」
少女「今日といっしょ、お昼のサイレン鳴ったら! 駄菓子屋さんの前ね!」
少年「ん。じゃあな」
少女「うん、また明日!」
少年「また明日」
少女「撮れた?」
少年「分かんね」
少女「私も入っていい?」
少年「ハイ、チーズ」
少女「わっ」
少年「撮ったから終わりな」
少女「何それー! アンコール、アンコール!」
少年「充電切れそうだし今日の分は終わり」
少女「ふーん、じゃあ明日はどこ行く?」
少年「他はどんなとこあるんだよ?」
少女「昔作った秘密基地、はーもう壊れてるかな。また川行こ!」
少年「何時?」
少女「今日といっしょ、お昼のサイレン鳴ったら! 駄菓子屋さんの前ね!」
少年「ん。じゃあな」
少女「うん、また明日!」
少年「また明日」
25:2018/07/01(日) 01:47:07.313 ID:ZJve1rDnp.net
爺「ん」
婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」
少年「ちょっとだけちょうだい」
婆「いっぱい食べなきゃ大きくなれないよ。はい、おかわりどうぞ」
少年「……」
爺「しっかり食え」
少年「んー」
婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」
少年「ちょっとだけちょうだい」
婆「いっぱい食べなきゃ大きくなれないよ。はい、おかわりどうぞ」
少年「……」
爺「しっかり食え」
少年「んー」
27:2018/07/01(日) 01:50:00.535 ID:ZJve1rDnp.net
少年「ねえ、アイスないの?」
爺「なかったらない」
婆「あそこの駄菓子屋行って買ってきな、あの田んぼ沿いの」
少年「そこ、昨日も今日も閉まってた」
婆「あら……でもそうねぇ、考えてみれば歳だもんねえ」
爺「明日買ってきてやる、何がいい」
少年「ガリガリソーダ」
爺「ん」
爺「なかったらない」
婆「あそこの駄菓子屋行って買ってきな、あの田んぼ沿いの」
少年「そこ、昨日も今日も閉まってた」
婆「あら……でもそうねぇ、考えてみれば歳だもんねえ」
爺「明日買ってきてやる、何がいい」
少年「ガリガリソーダ」
爺「ん」
28:2018/07/01(日) 01:51:53.928 ID:ZJve1rDnp.net
少年「雨……」
婆「今日は遊びに行かないのかい?」
少年「んー、んー……ちょっとだけ。行ってきます」
婆「足元には気を付けなよ、行ってらっしゃい」
婆「今日は遊びに行かないのかい?」
少年「んー、んー……ちょっとだけ。行ってきます」
婆「足元には気を付けなよ、行ってらっしゃい」
30:2018/07/01(日) 01:54:05.059 ID:ZJve1rDnp.net
少年「また閉まってる」
少年「……」
少年「……」
少年「……今日は、来ないかな。雨だし」
少年「……」
少年「んー」
少年「……また川って、言ってたっけ」
少年「……」
少年「……」
少年「……」
少年「……今日は、来ないかな。雨だし」
少年「……」
少年「んー」
少年「……また川って、言ってたっけ」
少年「……」
31:2018/07/01(日) 01:59:50.705 ID:ZJve1rDnp.net
少女「あ、やっほ。あはは、来ると思ってなかった」
少年「バカ! ずぶ濡れじゃん、風邪引くぞ!」
少女「へーきへーき、死にはしないって」
少年「だからバカ!! いいからこれ使え!」
少女「キミの傘を私が借りちゃったらキミはどうするのさ」
少年「走って帰る。お前もさっさと帰って風呂入って寝ろよ、ちゃんと髪乾かせよ!」
少女「いいよいいよ、大丈夫だから」
少年「よくない! 大丈夫じゃない! 風邪から肺炎になったりするんだぞ!!」
少女「あっ、今またスケスケ見つめてた?」
少年「っ、勝手にしろバカ!!」
少女「ちょ、ホントに走って帰るのー!? これ、キミの傘どうすんのさー!?」
少年「知らねー!」
少年「バカ! ずぶ濡れじゃん、風邪引くぞ!」
少女「へーきへーき、死にはしないって」
少年「だからバカ!! いいからこれ使え!」
少女「キミの傘を私が借りちゃったらキミはどうするのさ」
少年「走って帰る。お前もさっさと帰って風呂入って寝ろよ、ちゃんと髪乾かせよ!」
少女「いいよいいよ、大丈夫だから」
少年「よくない! 大丈夫じゃない! 風邪から肺炎になったりするんだぞ!!」
少女「あっ、今またスケスケ見つめてた?」
少年「っ、勝手にしろバカ!!」
少女「ちょ、ホントに走って帰るのー!? これ、キミの傘どうすんのさー!?」
少年「知らねー!」
32:2018/07/01(日) 02:01:56.250 ID:ZJve1rDnp.net
婆「何してんだい」
少年「……転んで傘なくした」
婆「ふんっ」
少年「いっ……てぇ!!」
婆「風呂入ってきな、しっかり髪も乾かすんだよ」
少年「ん……」
婆「返事は!」
少年「ひゃ! は、はい!」
少年「……転んで傘なくした」
婆「ふんっ」
少年「いっ……てぇ!!」
婆「風呂入ってきな、しっかり髪も乾かすんだよ」
少年「ん……」
婆「返事は!」
少年「ひゃ! は、はい!」
33:2018/07/01(日) 02:04:56.672 ID:U+4bZy1R0.net
バッドエンド嫌だぞ
36:2018/07/01(日) 02:10:19.612 ID:ZJve1rDnp.net
少年「あいつ、ちゃんと帰ったのかな……」
婆「電話ー、パパからだよー」
少年「んー。しょっ……もしもし」
父「もしもし、楽しくやってるか?」
少年「別に。何?」
父「いや、元気にしてるならそれでいいんだ。声が聴きたくなってな」
少年「ふーん。今忙しいからもういい?」
父「ああ、すまんな。ちゃんとおじいちゃんとおばあちゃんの言うこと聞くんだぞ」
少年「分かってるって……もういい?」
父「ん、またな」
少年「ん」
婆「電話ー、パパからだよー」
少年「んー。しょっ……もしもし」
父「もしもし、楽しくやってるか?」
少年「別に。何?」
父「いや、元気にしてるならそれでいいんだ。声が聴きたくなってな」
少年「ふーん。今忙しいからもういい?」
父「ああ、すまんな。ちゃんとおじいちゃんとおばあちゃんの言うこと聞くんだぞ」
少年「分かってるって……もういい?」
父「ん、またな」
少年「ん」
37:2018/07/01(日) 02:17:06.667 ID:ZJve1rDnp.net
婆「なんだって?」
少年「おじいちゃんおばあちゃんの言うことちゃんと聞きなさいって」
婆「あれま、それだけ?」
少年「……ん。あと元気にしてるかって」
婆「うんうん、そうかい」
少年「あと、今度サッカーの試合連れて行ってくれるとか、ディズニー行こうとかそんな話した。帰ったらお寿司食べに行こうとか」
婆「そうかい、そりゃあ良かったね」
少年「ん。まぁ、ね」
少年「おじいちゃんおばあちゃんの言うことちゃんと聞きなさいって」
婆「あれま、それだけ?」
少年「……ん。あと元気にしてるかって」
婆「うんうん、そうかい」
少年「あと、今度サッカーの試合連れて行ってくれるとか、ディズニー行こうとかそんな話した。帰ったらお寿司食べに行こうとか」
婆「そうかい、そりゃあ良かったね」
少年「ん。まぁ、ね」
38:2018/07/01(日) 02:21:34.673 ID:ZJve1rDnp.net
爺「ただいま」
少年「おかえり」
婆「はい、おかえりなさい。ありゃこっちも濡れ鼠だ。転んで傘なくしたかね?」
爺「バカ言え。車からちょいと歩く内にこんなだ。ああそうだ、ほれ」
少年「わ、アイス」
爺「これで良かったな?」
少年「あ、あずきバー……!」
爺「なんだ、違ったか?」
少年「ん……これでいい。ありがと」
爺「ん」
少年「おかえり」
婆「はい、おかえりなさい。ありゃこっちも濡れ鼠だ。転んで傘なくしたかね?」
爺「バカ言え。車からちょいと歩く内にこんなだ。ああそうだ、ほれ」
少年「わ、アイス」
爺「これで良かったな?」
少年「あ、あずきバー……!」
爺「なんだ、違ったか?」
少年「ん……これでいい。ありがと」
爺「ん」
39:2018/07/01(日) 02:27:56.771 ID:ZJve1rDnp.net
爺「ん」
婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」
少年「ちょうだい。明日って晴れ?」
爺「晴れたら晴れる」
少年「なにそれ?」
婆「どうだったかねぇ。天気予報は雨なんて言ってなかった気がするけど……はい、おかわりどうぞ」
少年「ありがと」
婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」
少年「ちょうだい。明日って晴れ?」
爺「晴れたら晴れる」
少年「なにそれ?」
婆「どうだったかねぇ。天気予報は雨なんて言ってなかった気がするけど……はい、おかわりどうぞ」
少年「ありがと」
40:2018/07/01(日) 02:32:12.239 ID:ZJve1rDnp.net
少年「あ」
少女「あ」
少年「……」
少女「昨日は傘ありがとね。助かっちゃった」
少年「いい、別に」
少女「えへへ、ありがと! 今日はどこ行く?」
少年「昨日も濡れたし、今日は山にしようぜ」
少女「うん♪」
少女「あ」
少年「……」
少女「昨日は傘ありがとね。助かっちゃった」
少年「いい、別に」
少女「えへへ、ありがと! 今日はどこ行く?」
少年「昨日も濡れたし、今日は山にしようぜ」
少女「うん♪」
41:2018/07/01(日) 02:36:33.805 ID:ZJve1rDnp.net
少年「くっ……くく、う」
少女「キミ、ホントハズレばっかり引くよねー。わざと?」
少年「わざろりゃらいっ!」
少女「舌回ってない、ぷぷ」
少年「うるへ!」
少女「はい、あーん」
少年「!?」
少女「? あーん、だってば」
少年「あ、あー……」
少女「ぽいっと。甘くて美味しい?」
少年「……」
少女「んー?」
少年「甘くて、美味しい……」
少女「よろしい♪」
少女「キミ、ホントハズレばっかり引くよねー。わざと?」
少年「わざろりゃらいっ!」
少女「舌回ってない、ぷぷ」
少年「うるへ!」
少女「はい、あーん」
少年「!?」
少女「? あーん、だってば」
少年「あ、あー……」
少女「ぽいっと。甘くて美味しい?」
少年「……」
少女「んー?」
少年「甘くて、美味しい……」
少女「よろしい♪」
42:2018/07/01(日) 02:45:58.158 ID:ZJve1rDnp.net
少女「ね、今度遅くまで遊べない?」
少年「なんで?」
少女「ここから見るお祭りの花火、ホンットにキレイなんだ! 誰かに見て欲しくって」
少年「ん。それっていつ?」
少女「そうだなぁ、大体来週くらい……だったかな?」
少年「ん、分かった。お祭りは」
少女「あー私人混みニガテで。そっちはパス、ごめん! 花火だけって、だめ?」
少年「別に」
少女「えへ。っとと、今日も結構遅くなっちゃったね、そろそろ帰……」
少年「? あっ」
少年「なんで?」
少女「ここから見るお祭りの花火、ホンットにキレイなんだ! 誰かに見て欲しくって」
少年「ん。それっていつ?」
少女「そうだなぁ、大体来週くらい……だったかな?」
少年「ん、分かった。お祭りは」
少女「あー私人混みニガテで。そっちはパス、ごめん! 花火だけって、だめ?」
少年「別に」
少女「えへ。っとと、今日も結構遅くなっちゃったね、そろそろ帰……」
少年「? あっ」
43:2018/07/01(日) 02:50:16.371 ID:ZJve1rDnp.net
少女「……」
少年「わ、わわ……」
少女「花火だ」
少年「……すげえ、すっげーキレイだ……な!これ、すっげーな!?」
少女「う、ん。キレイ……花火、キレイだね!」
少年「なー! すげー、すっげー……」
少女「えへへ、そんなに喜んでくれると私も嬉しい、かな」
少年「なぁ、そこ立てよ。花火と一緒に撮ってやるから」
少女「あはは、壊れてるんでしょ?」
少年「撮れてるかも知れないから。ほら、早く!」
少女「えへへ、こんな感じ?」
少年「ああ、キレイだ」
少女「ななっ」
少年「わ、わわ……」
少女「花火だ」
少年「……すげえ、すっげーキレイだ……な!これ、すっげーな!?」
少女「う、ん。キレイ……花火、キレイだね!」
少年「なー! すげー、すっげー……」
少女「えへへ、そんなに喜んでくれると私も嬉しい、かな」
少年「なぁ、そこ立てよ。花火と一緒に撮ってやるから」
少女「あはは、壊れてるんでしょ?」
少年「撮れてるかも知れないから。ほら、早く!」
少女「えへへ、こんな感じ?」
少年「ああ、キレイだ」
少女「ななっ」
44:2018/07/01(日) 02:56:16.352 ID:ZJve1rDnp.net
少年「七?」
少女「何を恥ずかし、わ、わー! やっぱ撮るのなし、なしなーし!」
少年「なんだよ、そんなに嫌がんなよ……まぁいいけど」
少女「はー、もう暑……キミ、急にそういうのズル」
少年「にしてもホントキレイな花火だな、村の特産?」
少女「おい」
少年「ん?」
少女「おい私も撮れ」
少年「は? いや、今撮るなって」
少女「撮れー! 私も花火といっしょにキレイに撮れー! かわいい私を撮れー!!」
少年「なんなんだよ意味分かんねー! っていうかジッとしろよ、ブレる!」
少女「何を恥ずかし、わ、わー! やっぱ撮るのなし、なしなーし!」
少年「なんだよ、そんなに嫌がんなよ……まぁいいけど」
少女「はー、もう暑……キミ、急にそういうのズル」
少年「にしてもホントキレイな花火だな、村の特産?」
少女「おい」
少年「ん?」
少女「おい私も撮れ」
少年「は? いや、今撮るなって」
少女「撮れー! 私も花火といっしょにキレイに撮れー! かわいい私を撮れー!!」
少年「なんなんだよ意味分かんねー! っていうかジッとしろよ、ブレる!」
45:2018/07/01(日) 03:00:06.538 ID:ZJve1rDnp.net
爺「ん」
婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」
少年「ちょうだい」
婆「はい、おかわりどうぞ」
少年「ありがと」
爺「明日迎えに来るそうだ」
少年「んー。え?」
婆「急ねぇ」
爺「昼間は別にいいが夕方には家にいろ」
少年「……」
婆「返事は!」
少年「……ん、分かった」
婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」
少年「ちょうだい」
婆「はい、おかわりどうぞ」
少年「ありがと」
爺「明日迎えに来るそうだ」
少年「んー。え?」
婆「急ねぇ」
爺「昼間は別にいいが夕方には家にいろ」
少年「……」
婆「返事は!」
少年「……ん、分かった」
46:2018/07/01(日) 03:04:39.212 ID:ZJve1rDnp.net
少女「お待たせー! んー、今日も閉まってるね」
少年「もう慣れた」
少女「ここのお婆ちゃんが作ってるお団子がすっごく美味しいんだよねー、是非ご賞味頂きたい!」
少年「でも閉まってるし」
少女「そうなんだよねー、まあきっと明日こそ開くでしょ」
少年「明日は……」
少女「明日は?」
少年「開いてると、いいな」
少女「ねー。えへへ」
少年「もう慣れた」
少女「ここのお婆ちゃんが作ってるお団子がすっごく美味しいんだよねー、是非ご賞味頂きたい!」
少年「でも閉まってるし」
少女「そうなんだよねー、まあきっと明日こそ開くでしょ」
少年「明日は……」
少女「明日は?」
少年「開いてると、いいな」
少女「ねー。えへへ」
48:2018/07/01(日) 03:12:48.421 ID:ZJve1rDnp.net
少年「とうっ!」
少女「うわっ、すっごーい!! はー、やっぱり男のコには敵わないなぁ。あの高さは流石の私もムリだ」
少年「っぷは、へへ! 見たかオレの実力!」
少女「ホントすごいよ。この前までピーとかパーとか言ってかわいかったのに、ねぇ?」
少年「言ってない!」
少女「あはは! じゃあまだ私の勝てる釣りでもやってみようかな?」
少年「釣りもコツを掴めば多分簡単なんだろ」
少女「いやいや、釣りは奥が深いんだよキミ。石と、川と、風と、世界と一体化して……」
少年「うるせ」
少女「きゃあぁあ!?」
少年「ぷっ、はははは!」
少女「ぷへぇ、ちょっと! マナー違反だよキミ!」
少女「うわっ、すっごーい!! はー、やっぱり男のコには敵わないなぁ。あの高さは流石の私もムリだ」
少年「っぷは、へへ! 見たかオレの実力!」
少女「ホントすごいよ。この前までピーとかパーとか言ってかわいかったのに、ねぇ?」
少年「言ってない!」
少女「あはは! じゃあまだ私の勝てる釣りでもやってみようかな?」
少年「釣りもコツを掴めば多分簡単なんだろ」
少女「いやいや、釣りは奥が深いんだよキミ。石と、川と、風と、世界と一体化して……」
少年「うるせ」
少女「きゃあぁあ!?」
少年「ぷっ、はははは!」
少女「ぷへぇ、ちょっと! マナー違反だよキミ!」
49:2018/07/01(日) 03:16:24.192 ID:ZJve1rDnp.net
少女「んもー、おかげでサッパリいい気分だよう」
少年「くく、ごめん」
少女「……笑うようになったねー」
少年「ん?」
少女「キーミ。だって最初は、もっと、なんかズーンってしてたもん」
少年「そうかな」
少女「そうだよ」
少年「そうかも。なぁ、オレ」
少女「明日、帰っちゃうんだねー」
少年「……ん」
少年「くく、ごめん」
少女「……笑うようになったねー」
少年「ん?」
少女「キーミ。だって最初は、もっと、なんかズーンってしてたもん」
少年「そうかな」
少女「そうだよ」
少年「そうかも。なぁ、オレ」
少女「明日、帰っちゃうんだねー」
少年「……ん」
51:2018/07/01(日) 03:22:30.946 ID:ZJve1rDnp.net
少女「ね、ポラ貸して」
少年「デジカメだって。何するんだ?」
少女「撮られてばっかりだったからさ。はーい、笑って笑ってー」
少年「ん、んん」
少女「あはははは! 引きつってるじゃん、ほら、もっとニコーって! あーもう、ダメダメ、ほら!」
少年「ちょ! ま、近……!?」
少女「ね、カメラ見て?」
少年「おお、う」
少女「ハイ、チーズ♪ えへへ、ありがと!」
少年「これ、撮れてないかもだぞ」
少女「へーきへーき、心のアルバムにしまっといてよ」
少年「……ん」
少女「私とのツーショットなんてお宝だよ~?」
少年「うるせ」
少女「えへ」
少年「デジカメだって。何するんだ?」
少女「撮られてばっかりだったからさ。はーい、笑って笑ってー」
少年「ん、んん」
少女「あはははは! 引きつってるじゃん、ほら、もっとニコーって! あーもう、ダメダメ、ほら!」
少年「ちょ! ま、近……!?」
少女「ね、カメラ見て?」
少年「おお、う」
少女「ハイ、チーズ♪ えへへ、ありがと!」
少年「これ、撮れてないかもだぞ」
少女「へーきへーき、心のアルバムにしまっといてよ」
少年「……ん」
少女「私とのツーショットなんてお宝だよ~?」
少年「うるせ」
少女「えへ」
52:2018/07/01(日) 03:24:02.948 ID:ZJve1rDnp.net
少年「また遊びに来るから」
少女「うん、待ってる」
少年「じゃあ」
少女「うん」
少年「またな」
少女「またね」
少女「うん、待ってる」
少年「じゃあ」
少女「うん」
少年「またな」
少女「またね」
53:2018/07/01(日) 03:34:38.232 ID:ZJve1rDnp.net
父「おばあちゃんの家は楽しかったか?」
少年「結構楽しかったよ」
父「はは、お前がそんなに日焼けするなんてな」
少年「前見て運転してよ」
父「父さんも昔はあの辺一帯を走り回ったもんだ。懐かしいなあ」
少年「ふーん」
父「……」
少年「……山に、さ」
父「ん?」
少年「山に、木の実が生ってて、すっごく甘いのと、すっごく酸っぱいのが見分けつかなくて、オレ酸っぱいのばっかりでさ」
父「……ん」
少年「友達が教えてくれたんだ。そいつ、すごいやつでさ! 色んなこと知ってて、色んな場所知ってて、毎日、いっしょに、あそ、遊びっに」
父「そうか」
少年「川、飛び込ん、込んだりして、カメラ、こっ壊れたっかもだけど、いっぱい、写真、いっぱい……とったがらっ」
父「防水のデジカメ買わなきゃな。また、来年も来ような」
少年「ん゛……!」
少年「結構楽しかったよ」
父「はは、お前がそんなに日焼けするなんてな」
少年「前見て運転してよ」
父「父さんも昔はあの辺一帯を走り回ったもんだ。懐かしいなあ」
少年「ふーん」
父「……」
少年「……山に、さ」
父「ん?」
少年「山に、木の実が生ってて、すっごく甘いのと、すっごく酸っぱいのが見分けつかなくて、オレ酸っぱいのばっかりでさ」
父「……ん」
少年「友達が教えてくれたんだ。そいつ、すごいやつでさ! 色んなこと知ってて、色んな場所知ってて、毎日、いっしょに、あそ、遊びっに」
父「そうか」
少年「川、飛び込ん、込んだりして、カメラ、こっ壊れたっかもだけど、いっぱい、写真、いっぱい……とったがらっ」
父「防水のデジカメ買わなきゃな。また、来年も来ような」
少年「ん゛……!」
55:2018/07/01(日) 03:44:12.247 ID:ZJve1rDnp.net
父「トイレ大丈夫か?」
少年「ん。ねえ」
父「ん?」
少年「田んぼ沿いの駄菓子屋、行ったことある?」
父「ああ、まだ残ってたか。あそこの団子は絶品だったなあ」
少年「ふーん、やっぱりそうなんだ。ずっと閉まってたけど」
父「そりゃそうだろうなあ、あそこのお婆さんも生きてたらもう100近いか? 仕事は無理だろうな」
少年「……え?」
父「父さんも昔はよくあそこに入り浸ってたんだよ、今思うとちょっと迷惑だったかもなぁ。お婆さんは『身寄りもないからみんな孫みたいなもんだ』ってよく言ってたけど」
少年「そう、なんだ……」
父「お腹空いたのか? やっぱりサービスエリア寄るか?」
少年「ん、大丈夫」
少年「ん。ねえ」
父「ん?」
少年「田んぼ沿いの駄菓子屋、行ったことある?」
父「ああ、まだ残ってたか。あそこの団子は絶品だったなあ」
少年「ふーん、やっぱりそうなんだ。ずっと閉まってたけど」
父「そりゃそうだろうなあ、あそこのお婆さんも生きてたらもう100近いか? 仕事は無理だろうな」
少年「……え?」
父「父さんも昔はよくあそこに入り浸ってたんだよ、今思うとちょっと迷惑だったかもなぁ。お婆さんは『身寄りもないからみんな孫みたいなもんだ』ってよく言ってたけど」
少年「そう、なんだ……」
父「お腹空いたのか? やっぱりサービスエリア寄るか?」
少年「ん、大丈夫」
56:2018/07/01(日) 03:48:43.239 ID:ZJve1rDnp.net
父「明日は病院で検査してもらって、何かしら食べて、カメラのことはそれからだな」
少年「ん」
父「まだしばらくかかる、寝てていいぞ」
少年「ん、ありがと……」
父「おやすみ」
少年「ん」
父「まだしばらくかかる、寝てていいぞ」
少年「ん、ありがと……」
父「おやすみ」
59:2018/07/01(日) 04:29:33.981 ID:ZJve1rDnp.net
父「よかったな、ちゃんとこれでまた使えるってさ」
少年「ん、ありがと……ああ。やっぱり」
父「父さんにも見せてくれ。おお、どれもいい風景だな、こんなの撮れる所があったのか?」
少年「写真には写ってないけど、友達に、案内してもらった」
父「ああ、例の同じ年頃の。お婆ちゃん経由で渡してもらうか?」
少年「……ん、やめとく」
父「あ、この子か?」
少年「!?」
父「あー……相当仲良くなったんだな、ツーショットか。ん、そういうこともあるな」
少年「写ってる……写ってる!」
父「お、おい。何をそんな、ん、んん? この子、
少年「ん、ありがと……ああ。やっぱり」
父「父さんにも見せてくれ。おお、どれもいい風景だな、こんなの撮れる所があったのか?」
少年「写真には写ってないけど、友達に、案内してもらった」
父「ああ、例の同じ年頃の。お婆ちゃん経由で渡してもらうか?」
少年「……ん、やめとく」
父「あ、この子か?」
少年「!?」
父「あー……相当仲良くなったんだな、ツーショットか。ん、そういうこともあるな」
少年「写ってる……写ってる!」
父「お、おい。何をそんな、ん、んん? この子、
60:2018/07/01(日) 04:33:39.502 ID:ZJve1rDnp.net
少年「相変わらず何にもないな」
少女「そう? 私は気に入ってるけど」
少年「久しぶり」
少女「久しぶり! ちょっと背伸びたんじゃない?」
少年「ん、去年から5cmくらい。お前は変わらないな」
少女「えへへ、まあね」
少女「そう? 私は気に入ってるけど」
少年「久しぶり」
少女「久しぶり! ちょっと背伸びたんじゃない?」
少年「ん、去年から5cmくらい。お前は変わらないな」
少女「えへへ、まあね」
61:2018/07/01(日) 04:40:11.406 ID:ZJve1rDnp.net
少女「ふーん、おじいちゃんおばあちゃんの家に泊まってるんだ」
少年「もう肺もよくなったから、田舎に来ることもないんだけどな」
少女「でも、来てくれたんだ?」
少年「ん。また遊びに来るから、って約束したし」
少女「ふふ、私も待ってた」
少年「もう肺もよくなったから、田舎に来ることもないんだけどな」
少女「でも、来てくれたんだ?」
少年「ん。また遊びに来るから、って約束したし」
少女「ふふ、私も待ってた」
62:2018/07/01(日) 04:47:41.309 ID:ZJve1rDnp.net
少年「カメラ、見られなくなってただけでさ。やっぱりちゃんと撮れてたんだ」
少女「ふーん、ちゃんと撮れてたんだ」
少年「……ちゃんと、じゃないな。お前だけが写ってなかった」
少女「あー、やっぱりね」
少年「知ってた?」
少女「うっすら。色んな子と友達になって、中にはポラ持ってる子もいて、一緒に撮り合ったりもしたんだけどね。カメラの調子が悪いのか私だけ写らなかったり」
少年「……」
少女「忘れてたんだよね、あんまりみんなといるのが楽しくって。夏が来る度に、お日様の眩しさで目が眩んで、迷って」
少年「お前」
少女「うん、死んでる。死んでます。お化けだね」
少女「ふーん、ちゃんと撮れてたんだ」
少年「……ちゃんと、じゃないな。お前だけが写ってなかった」
少女「あー、やっぱりね」
少年「知ってた?」
少女「うっすら。色んな子と友達になって、中にはポラ持ってる子もいて、一緒に撮り合ったりもしたんだけどね。カメラの調子が悪いのか私だけ写らなかったり」
少年「……」
少女「忘れてたんだよね、あんまりみんなといるのが楽しくって。夏が来る度に、お日様の眩しさで目が眩んで、迷って」
少年「お前」
少女「うん、死んでる。死んでます。お化けだね」
64:2018/07/01(日) 04:56:48.306 ID:ZJve1rDnp.net
父「この子、そっくり……いや、似てるどころか本人じゃないのか?」
少年「え?」
父「父さんが村に住んでた頃、川で足を滑らせて亡くなった子がいてな。明るい子で、村のみんなから可愛がられてたんだ」
少年「……」
父「父さんもまだ小さい頃、一人で家にいなきゃいけない時とか何度か面倒を見てもらってな。ああ、それにしてもよく似てるなぁ」
少年「川で、足を滑らせて?」
父「ん、ああ。雨の日に川へ……何しに行ったのかは知らないが、川へ行ってそこで、って話だったはずだ。詳しくは覚えてないが村中大騒ぎになったのはよく覚えてる」
少年「え?」
父「父さんが村に住んでた頃、川で足を滑らせて亡くなった子がいてな。明るい子で、村のみんなから可愛がられてたんだ」
少年「……」
父「父さんもまだ小さい頃、一人で家にいなきゃいけない時とか何度か面倒を見てもらってな。ああ、それにしてもよく似てるなぁ」
少年「川で、足を滑らせて?」
父「ん、ああ。雨の日に川へ……何しに行ったのかは知らないが、川へ行ってそこで、って話だったはずだ。詳しくは覚えてないが村中大騒ぎになったのはよく覚えてる」
65:2018/07/01(日) 05:06:31.995 ID:ZJve1rDnp.net
少年「スケスケだな」
少女「あはは、思い出しちゃったからね。足なんかもうほとんど溶けちゃってるみたいでしょ」
少年「なんか、今目の前にいるのに本当はいないような……変な感じだ」
少女「あんまり見つめちゃだめだよ、えっち」
少年「花火のさ」
少女「あ、うわ、すごいね」
少年「ん?」
少女「うん、あの時にハッキリ思い出したんだ。んー、分かっちゃった? なのかも。お祭りの日は第三日曜日なのに、前倒しにするはずないもん」
少年「そうなのか。いや、そっちじゃなくて、これ」
少女「これ、この写真」
少年「一枚だけあった。お前がちゃんと写ってる写真……もらってくれるか?」
少女「……えへ。うん! えへへ、ありがと♪ かわいく撮れてるじゃん」
少女「あはは、思い出しちゃったからね。足なんかもうほとんど溶けちゃってるみたいでしょ」
少年「なんか、今目の前にいるのに本当はいないような……変な感じだ」
少女「あんまり見つめちゃだめだよ、えっち」
少年「花火のさ」
少女「あ、うわ、すごいね」
少年「ん?」
少女「うん、あの時にハッキリ思い出したんだ。んー、分かっちゃった? なのかも。お祭りの日は第三日曜日なのに、前倒しにするはずないもん」
少年「そうなのか。いや、そっちじゃなくて、これ」
少女「これ、この写真」
少年「一枚だけあった。お前がちゃんと写ってる写真……もらってくれるか?」
少女「……えへ。うん! えへへ、ありがと♪ かわいく撮れてるじゃん」
68:2018/07/01(日) 05:21:09.310 ID:ZJve1rDnp.net
少年「もう?」
少女「うん。ホントは思い出した時にすぐ行くべきだったんだけど」
少年「そっか」
少女「でも、待ってたおかげでこんなに立派な冥土のお土産もらっちゃった。ありがとね」
少年「ん」
少女「笑顔、上手になったね」
少年「お前のせいだ」
少女「どういたしまして! じゃあね」
少年「またな」
少年「……またな」
おわり
少女「うん。ホントは思い出した時にすぐ行くべきだったんだけど」
少年「そっか」
少女「でも、待ってたおかげでこんなに立派な冥土のお土産もらっちゃった。ありがとね」
少年「ん」
少女「笑顔、上手になったね」
少年「お前のせいだ」
少女「どういたしまして! じゃあね」
少年「またな」
少年「……またな」
おわり
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