1:2018/07/02(月) 22:08:58.746
― 城 ―

王「……女神教?」

大臣「はい、このところ急速に信者を増やしている宗教団体です」

大臣「教団の信者は、各地で貧しい者に施しを与えているとか……」

王「そうやって弱者の支持を集めてるというわけか」

王「ふうむ、そういう輩が団結すると、我が王政に害をなすおそれがあるな」

大臣「おっしゃる通り、今のうちに適当な信者を捕え、見せしめとするのがよろしいかと」

王「しかし、信者らしき人間を捕えても『信者ではない』といわれたら、それまでではないか?」

大臣「そこでいい方法がございます」


2:2018/07/02(月) 22:11:57.559
大臣「“踏み絵”をやりましょう」

王「踏み絵?」

大臣「はい、連中が崇拝する女神の絵が描かれたこの板を……踏ませるのです」

大臣「踏まなければ、信者と認定してもちろん逮捕」

大臣「踏めば、信者ではないと認定しますが、仮に信者だったとしても」

大臣「己が助かるため神を踏んだ、ということで女神教から脱退することでしょう」

大臣「つまり、どう転んでも女神教の勢力を衰えさせることができます」

王「それは名案だ。やってみせい!」

大臣「ははーっ!」
3:2018/07/02(月) 22:13:54.700
兵士「――女神教の信者と思われる者を捕えました!」

信者「ぐっ……!」

大臣「国を脅かす邪教徒め、覚悟するがいい」

信者「俺は信者じゃない! こんなの横暴だ!」

王「まぁよい、おぬしが女神教信者であるか、確かめる方法がある」

王「大臣、礼の物を」

大臣「はっ!」
5:2018/07/02(月) 22:14:40.608 ID:LSZGz6Irr.net
スレタイw
6:2018/07/02(月) 22:15:46.992
大臣「どうぞ」サッ

信者「これは……!」

王「女神教が崇拝する神である、女神の絵が描かれた板だ」

信者「これをどうしろと……」

王「踏んでみろ」

信者「え」

王「女神教の信者でないというのなら、この絵を踏んでみせろ」

信者「……!」
7:2018/07/02(月) 22:17:40.562
王(さぁ、どうする……?)

大臣(踏めば信者失格、踏まなければ信者、だ)

信者「……」

信者(女神教の教えにはこうある……)

信者(『己の身を守るためなら、女神様を踏むことも許される』と……!)

信者(女神様、申し訳ありません!)
8:2018/07/02(月) 22:19:18.869
信者「えいっ!」ゲシッ





王「!」

大臣「おおっ!」
11:2018/07/02(月) 22:22:17.368
王「踏んだ……」

大臣「踏みましたね……」

王「よかろう、おぬしは女神教信者ではない」

大臣「釈放してやれ」

兵士「は……!」

信者「……あの」

王「なんだ?」

信者「女神様踏むの……もう一回やってもいいですか?」

王「へ!?」
12:2018/07/02(月) 22:25:06.608
王「いや、一回だけでいいんだが……」

信者「まあまあ、いいじゃないですか! 減るもんじゃなし!」

王「そりゃ減らないけど」

信者「えいっ! えいっ!」ゲシッ ゲシッ

王「オイオイオイ」

大臣「踏みまくってるよ、おい」

信者「えいっ! えいっ! えいっ!」ゲシッ ゲシッ ゲシッ
13:2018/07/02(月) 22:26:08.595 ID:LSZGz6Irr.net
オイオイオイ
14:2018/07/02(月) 22:28:28.887
王「よさぬか! 邪教とはいえ、神の描いてある絵だぞ!」

信者「いや、これ案外楽しくて!」

大臣「楽しいの……?」

信者「はい、踏むとなんだかスカッとするというか……ストレス解消になるんです!」

信者「えいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえい!!!」

ゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシ……
15:2018/07/02(月) 22:28:29.110 ID:7Dvn7u0o0.net
なんかよくわからんけどもっとやれ
16:2018/07/02(月) 22:30:55.737
王「やめろォッ!」ガシッ

信者「!」

王「もういい……! もういいんだ……!」

信者「やらせろ! 踏ませろォッ!」

大臣「これ以上踏むと、一周回って信者認定してしまうぞ!」

信者「かまうもんか! 俺は生粋の女神教信者だ!」

信者「どけっ!」ブンッ

王「あうっ」ドテッ
17:2018/07/02(月) 22:33:41.172
信者「でりゃああああああああああっ!!!」

ドカッ! ドカッ! ドカッ!





王「とうとう全体重乗せて、カカトで踏み始めた……」

大臣「あああ……壊れちゃう。せっかく作ったのに……」
18:2018/07/02(月) 22:34:18.107 ID:oQRiTnYEM.net
女神ブチ切れ
19:2018/07/02(月) 22:35:50.574
信者「トドメだ!」ガシッ

信者「絵を放り投げて――」ポイッ


ヒュルルルルルルルル…



王「天井近くまで投げ上げた!」

大臣「いったいどうするつもりだ!?」
20:2018/07/02(月) 22:37:33.243
信者「はあっ!!!」バッ





王「跳躍(とん)だ!!!」

大臣「ま、まさか……決めるつもりか、あの幻の大技を!」
21:2018/07/02(月) 22:38:46.684 ID:0R4w/0nMr.net
!?
22:2018/07/02(月) 22:41:04.331
信者「空中で絵を踏みながら、そのまま地上へ落下する……ッ!」

信者「メテオ……」

信者「クラァァァァァッシュ!!!」

ギュゥゥゥゥンッ!





ズガァァァァンッ!!!!!
23:2018/07/02(月) 22:41:53.957 ID:oQRiTnYEM.net
もうやだ女神教信者ってこんなんばっかなん
24:2018/07/02(月) 22:45:07.005
シュゥゥゥ…



王「うわぁ……」

大臣「女神の絵が粉々に……!」

信者「あー、スカッとした!」

王「おぬし……なんということを! 崇拝しているのだろう、女神を!」

信者「してますけど、それとこれとは話が別です」

信者「それに女神教では、緊急時には女神様の像や絵を破壊していいことになってますしね!」

王「な、なんという奴だ……。それでも信者か!?」

信者「信者です」ニヤッ

王「ぐぐぐ……! 全く悪びれてない……!」
25:2018/07/02(月) 22:47:04.662
パァァァァ…



王「上から光が!」

大臣「な、なんだ!?」

信者「これはまさか……」
26:2018/07/02(月) 22:50:04.579
女神「……」スーッ


王「おおっ!? 七色の光に包まれながら美しい女性がスーッと降りてきた!」

大臣「な、何者だ!?」

信者「あの方は……女神様だ!」

王「女神だと!?」

信者「女神様、教えを忠実に守る私の信心深さに感動して、降臨して下さったのですね!」


女神「……」スタッ
27:2018/07/02(月) 22:51:08.808 ID:0R4w/0nMr.net
キター
29:2018/07/02(月) 22:53:32.292
王「まさか、女神とやらが実在するなんて……」ブルブル…

大臣「邪教だなんていってしまった……どうしよう……」ガタガタ…



信者「女神様、ご機嫌うるわしゅう……」ササッ

女神「……だよ」

信者「……はい?」

女神「テメェは踏みすぎなんだよォ!!!」

信者「ひっ!?」
30:2018/07/02(月) 22:53:43.359 ID:fC+TX0aV0.net
こんなんされたら女神もブチ切れるわ
31:2018/07/02(月) 22:57:17.485
信者「でも……! 女神教では偶像崇拝はあまり重要じゃないって……気持ちが大事って……」

女神「だからって、あんな粉々になるまで踏むこたァねえだろうが!」

信者「あうう……」

女神「寝ろ」

信者「へ?」

女神「いいから、地面にうつ伏せになれッ!」

信者「は、はいっ!」

女神「オラァァァッ! 踏んでやる、踏んでやる、踏んでやるッ!!!」ゲシゲシゲシゲシゲシゲシ

信者「あぎゃぁぁぁぁぁっ!!!」
33:2018/07/02(月) 23:00:04.702
王「まあまあ女神様……彼も悪気があってやったわけでは……」

女神「黙れ!」

女神「そういやテメェ、女神教を弾圧しようとしてたな……?」

王「あっ、それは……」

女神「踏んでやる、踏んでやる、踏んでやる!!!」ゲシゲシゲシゲシゲシゲシ

王「ぐごっほぉぉぉぉぉっ!!!」
34:2018/07/02(月) 23:01:44.975 ID:aPzZTwD9C.net
クソワロタ
ただの足踏みプレイじゃねーか
35:2018/07/02(月) 23:03:03.542
大臣「じゃあ、私はこれで……」

女神「待て」

大臣「!?」ギクッ

女神「ここまで来て、一人だけ逃げられると思ってるのか?」

大臣「あああ……」

女神「オラオラオラァァァァァッ!!!」ゲシゲシゲシゲシゲシゲシ

大臣「ぎえぇぇぇぇぇっ!!!」

兵士「なんで俺まで!?」
37:2018/07/02(月) 23:04:16.669 ID:mq795xfg0.net
ってなんで兵士くんが!?
38:2018/07/02(月) 23:05:11.120
女神「……どうだ?」



信者「ハァ、ハァ、ハァ……」

王「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」

大臣「ゼェ、ゼェ、ゼェ……」

兵士「あん、あん、あん……」
39:2018/07/02(月) 23:05:46.686 ID:nUh18hNGr.net
女神様ワイルドだな
40:2018/07/02(月) 23:08:24.162
信者「き、気持ちよかった……」

女神「なに?」

大臣「お願いします、もっと踏んで下さい!」

兵士「腰骨がギシギシいうくらいの強さで!」

女神「この……変態どもめっ……!」

王「お願いします、女王様!!!」

女神「誰が女王だ!」

信者「一生のお願いですから!」

女神「ええい、分かった分かった! 踏みまくってやるから、うつ伏せになって並べ!」

四人「ワーイ!!!」
42:2018/07/02(月) 23:11:26.910
ワイワイ… ガヤガヤ…

「吾輩も踏んで頂きたい!」

「小生も!」

「あたちも~」


女神「ゲ、評判聞きつけて大勢集まってきやがった!」

女神「ええい、どいつもこいつも踏んでやるァァァァァ!!!」

女神「女神様とお呼び!!!」



ゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシ……
43:2018/07/02(月) 23:13:45.236
こうして、この国で女神教は国王公認の宗教となり、隆盛を極めた。

人々はみんな健康となり、国も大いに栄えることになったという。

なお、余談ではあるが、女神様に踏まれたがる人々は、≪女神教信者≫となるわけだが、
いつしかその頭文字を取って、≪女神教信者≫は“M”と呼ばれるようになったということだ。

めでたしめでたし……。







~END~
45:2018/07/02(月) 23:17:07.412 ID:nUh18hNGr.net

俺も踏まれたい
47:2018/07/02(月) 23:21:52.047 ID:uLFsc4DZM.net
感動した
41:2018/07/02(月) 23:11:01.506 ID:dJ4x6JI+0.net
~Happy End~