1:2018/07/06(金) 04:21:16.888
俺「今年もいいのが取れたなー」そうめんチュルチュル

農家幼女「……」

俺「……どうした?」

農家幼女「ごはん、今日もおやさい?」

俺「そうだぞ。今日は夏野菜そうめんだ! 暑い夏はこういうすっと喉を通る食い物が最高に美味い! 夏野菜との相性も最高だ!」



2:2018/07/06(金) 04:22:13.159
農家幼女「ハンバーグがいい……」

俺「んなっ!? なんでそんなわがまま言うんだ! 」

農家幼女「だってぇ」ぐずっ

俺「そうめん食わないのか?」

農家幼女「そうめんおいしーけどおやさいあきた」むすっ

俺「おじさん、好き嫌いよくないと思うぞ」
3:2018/07/06(金) 04:22:53.720
俺「おじさん、好き嫌いよくないと思うぞ」

農家幼女「うー……でもね? お隣のさんちゃんもなかちゃんもおやさい苦手っていってたよ?」

俺「それはさんちゃんもなかちゃんもダメだ。こんなにも美味いのに」きゅうりシャクッ
5:2018/07/06(金) 04:23:20.513
農家幼女「やぁ! おじさんのかのことわかってくれないからきらい!! 」箸ぽいー

農家幼女「おやさいももーいらない!!」どたどたどた

俺「お、おいのか!!」

俺「はぁ……一年前までは美味い美味いって一緒に食ってたのに……あのくらいの子はこんなもんなのかね」

俺「……姉さん」
8:2018/07/06(金) 04:24:21.939
………………

~次の日~

俺「ふぅ。あぢぃなぁオイ。今日はこれくらいにしとくか」汗ふきふき

俺(のかのやつはもう手伝いすらしないとおもっていたが駄菓子屋に行く小遣いやるつったら意気揚々と草引きしだして……現金なやつめ。将来が心配だ)やれやれ

俺「のかー? 家あがるぞー」
11:2018/07/06(金) 04:25:41.224
農家幼女「おじさんおじさんおじしゃーん!」とてとてとて

俺「んぁ? どうした」

農家幼女「あのね? 女の子がいるー!」

俺「? 友達か?」

農家幼女「ううん」首ふりふり

俺(村に新しく引っ越してきた、とかでもないのか)

農家幼女「おやさいの女の子がいたの!」

俺「は?」
13:2018/07/06(金) 04:26:19.562
農家幼女「こっちこっちー!」

俺(あっちはトマト畑……一体誰が……)ガサガサ

とまと幼女「こんにちわー」手ふりふり

俺「? あ、ああこんにちわ」

俺(み、緑色の髪……? 珍しいな。都会から引っ越してきたのか? にしても最近の子はませてんなー)

農家幼女「ね? おやさいみたいでしょ?」

俺(え、ああそういうこと?)
17:2018/07/06(金) 04:28:21.304
俺「こら、あれはおしゃれなんだからそういうこと言っちゃだめなんだぞ」ボソボソ

農家幼女「ちがうよ。ほんとーにおやさいだもん」

俺(こども特有の偏見だなぁ)

とまと幼女「ね……とってー」

俺「?」

農家幼女「ほら、ね? かみの毛、つながっちゃってるもん」

俺「!?」

とまと幼女「とってー……」ぴょんぴょん

俺「え、ぁ、ちょっとまってろ……ハサミ取ってくるから」ダッダッダッ
18:2018/07/06(金) 04:28:49.275
………………

俺「はぁ、で、きみは一体どこから来たのかな?」

農家幼女「だからぁ」

とまと幼女「とまとー」

俺(そりゃそうか)

俺(マジで髪の毛の一部と茎が繋がってたし)
19:2018/07/06(金) 04:29:16.546 ID:90S59ku+0.net
閃いた
20:2018/07/06(金) 04:29:17.389
俺(この子、どうしたらいいんだ)

とまと幼女「あちゅいー」

俺(とりあえず、とまとのは本当みたいだし、洗ってみるか……)
21:2018/07/06(金) 04:30:08.697
………………

\ざばー/

とまと幼女「のかはおやさいきらいなの?」

俺「ん? いや、前まではそうでもなかったんだけど最近ちょっとな……ハンバーグとかが羨ましいみたいで……まあお隣さんの女の子は元山賊だから狩猟が得意なんだとよ」ごしごし

俺「しかも手際もよくて愛らしい嫁さんつきだ。まったく羨ましいねぇ、旦那の方が毎日のように嫁さんの作る山菜粥がうめーんだと自慢してきやがる。憎たらしいこった」ごしごし

とまと幼女「……」

俺「おっと、悪いな。なんか話がそれちまった……」

俺(なんで俺、こんな子どもに愚痴なんか……)ごしごし
22:2018/07/06(金) 04:31:25.287
とまと幼女「いや、いい。それよりのかにおやさいを食べさせてあげたいの」

俺「きみもそう思うか。そうだよな。野菜ってのはあんなにも美味いのに……ん? きみは」

とまと幼女「おやさい」

俺「! もしかして、そういうことか?」わしゃわしゃ

とまと幼女「おやさいのせいれー。のかにおやさいを食べてほしいから、のかとなかよしになるためにあそこにいたの」
23:2018/07/06(金) 04:32:18.173
俺「なるほど、結局うちのトマトが擬人化した原理は分からんが、それ以外はなんとなく分かった」わしゃわしゃ

\ざばー/

俺(まあついこの前なんかは山に化けたぬきや化けきつねが出たって話聞いたし、この村付近はもはや何が起ころうと今さらだな)ふきふき

とまと幼女「……だからおじさんはわたしのこと食べちゃダメだよ?」

俺「ぇ……/// いやっ/// きみ、いきなり何言ってんだ」

とまと幼女「だっておじさんおやさい大好きでしょ?」

俺「え、あ、そういう意味?」

とまと幼女「ふふっ」くすくす

俺「おまっ、もしかして、俺をからかった?」

とまと幼女「どーでしょー」へらへら

俺(なんだこの掴めない感じ……やさいの精霊ってのはみんなこうなのか? だとしたら野菜食えなくなりそうだわ……)うーむ……
24:2018/07/06(金) 04:33:12.172
………………

俺「のかー」

農家幼女「んー?」

俺「ちょっとこの子と遊んでやれ。この子、お前とあそびたいんだとよ」

農家幼女「! いいよ!」

とまと幼女「のかいこー?」

農家幼女「うん! あのね? 村のこといっぱいあんないしたげるね!」

とまと幼女「ありがとー」にこにこ
26:2018/07/06(金) 04:33:55.286
俺「のか、とまと、水筒だ。もってけ」ぽい

農家幼女「んっ、おじさんありがとー」きゃっち

とまと幼女「お水しゅきー」ぽすっ

農家幼女「そーなんだ。じゃあ川いこ?」

俺「え、おい子どもだけで……」

農家幼女「ふかいとこはいかないよ」

俺「いや、でもだな」
27:2018/07/06(金) 04:35:48.855
とまと幼女「だいじょーぶー」

俺「へ、そ、そうか? 」

俺「じゃあ気をつけてな」

とまと「うんー」手ふりふり

俺「……」手ふりふり

俺(大丈夫かな。いや、大丈夫か……あいつが本当に精霊なら)

\ミーン/ \ミーン/

俺(暑い……)汗ぬぐっ

扇風機<ぶるるる

俺(扇風機は偉大だ。あー涼しい)
29:2018/07/06(金) 04:36:20.688
……………………

~山道~

とてとてとて

農家幼女「♪やさいぶらざーずー」

農家幼女「♪いがみじゃがいも♪わさわっさほーれんそー 」

とまと幼女「♪じばいとーまーとー」

農家幼女「!」
30:2018/07/06(金) 04:37:05.694
農家幼女「とまちゃんこのお歌知ってるの?」

とまと幼女「あ……」

とまと幼女「とまとだからかなー」

農家幼女「おお~! さっすがー!」目きらきら
31:2018/07/06(金) 04:37:44.447
……………………
………………
…………

俺「いやびっくりだ。姉さん、なんで帰ってきたんだ? 都会の暮らしはやっぱキツかったのか?」

姉「やっぱり父さんが残した畑が忘れられなくてさー」

俺「ホームシックかよ」

姉「あと野菜が高い!! うちならタダなのに!!」><

俺「ハッ、貧乳ベジタリアンめ」

姉「お、おにくも食べるもん」
32:2018/07/06(金) 04:38:40.812
俺「で? 旦那さんは?」

姉「ちょっとだけ田舎帰るって言ったら逃げられちゃった」テヘヘ

俺「お、おいおいテヘヘじゃねーだろ」

姉「別に最初はずっといるつもりもなかったし、ついて来いとまではいってないのにさー、冷たいよねー」

姉「……でもまあ、この子が産まれてから私にはもう興味がなくなってたみたいだし、他に好きな人がいたんじゃないのかなって……」なでなで

農家幼女「んにゅ……」うとうと
33:2018/07/06(金) 04:39:22.844
姉「あーもー!! 結婚するんならやっぱあんたみたいな野菜好きがよかったー!!」うがー

俺「……なんだそりゃ」


本当に……


「ゴホッ! ゴホッ!」

「姉さん!? 姉さん!!」

「姉さんもしかして、ここに帰ってきたのって……」

「あのね? お願いがあるの……」

「私が……」

「だら……」



なんだそりゃって……
34:2018/07/06(金) 04:39:52.708
………………

俺「……!」ハッ

\カァー/ \カァー/

俺「んっ、寝てた……もう夕方か」

俺「のかー? とまとー? 」

俺「……あれ? まだ帰ってきてないのか」
35:2018/07/06(金) 04:40:34.697
………………

農家幼女「ぅ、ぐしゅ……とまちゃ、ごめんね……みちまよっちゃった……」ぐすっ

農家幼女「せっかくとまちゃんにっ、もっとたのしーばしょ……おしえてあげたかったのにっ……うっ、ぐしゅ……とまちゃんまで……」ぐすっ、ぐすっ

とまと幼女「のかー」おててぎゅっ

農家幼女「ふぇ?」
36:2018/07/06(金) 04:41:17.007
とまと幼女「ありがとね。わたしたのしかったよ」

農家幼女「で、でも、でもぉ」ぐすっ

とまと幼女「だいじょーぶー」

農家幼女「?」

とまと幼女「こっちー」とてとて

ぐぃぐぃ

農家幼女「ふぇ!? と、とまちゃ……やまみちわかるの?」

とまと幼女「わかるよー」
37:2018/07/06(金) 04:41:59.110
農家幼女「なんで? とまちゃんはずっとあのとまとの畑にいたんでしょ?」

とまと幼女「そうだよ。でもね、この村でそだったんだよー」

農家幼女「!」

とまと幼女「だからここの土地のことはわかるんだよー。だから、だいじょーぶー」にこにこ

とて、とて……

とまと幼女「ほら」

ガサ、ガサ

農家幼女「!!」

農家幼女「ほんとだー! おうちかえれたー!」
39:2018/07/06(金) 04:43:11.038
俺「おいお前ら! 遅いぞ!」

農家幼女「おじさーん!!」とてとてとて

農家幼女「んっ」ぎゅっ

俺「ぅおっ……おいおいあんまり心配させんなよ。今から探しにいこうと思ってたとこだぜ」

農家幼女「ごめんなしゃぃ……」しゅん

俺「でも無事でよかったよ」なでなで

農家幼女「あのね、のかみちにまよっちゃったの」
40:2018/07/06(金) 04:44:13.361
俺「……」

農家幼女「でもね! とまちゃんすごいんだよ!! とまちゃんがこっちっていってのかのことひっぱってくれたの! そしたらね! おうちかえれたの!」

俺「!」

とまと幼女「……」にこにこ

俺(精霊ってのはマジだったのか? いや、疑うのも逆に無理があったが……)

俺「とまと、ありがとな」なでなで

とまと幼女「んっ、なんかへんなかんじー」にこにこ

俺「? 」

俺「晩飯にするぞ」

とまと幼女「ハンバーグ!」

俺「はぁ……お前らが普通に帰ってきてたら探しにいく時間にお隣さんにお肉分けてもらおうかなって思ってたけど、お前らが遅すぎて今日はお肉ありません」

農家幼女「え~~~」
42:2018/07/06(金) 04:45:13.576
俺「また今度な。なんならちょっと遠出して買ってきてもいいし」

農家幼女「やったー!」>< きゃっきゃ

とまと幼女「おにくなんて無理に食べなくてもいいんだよー」

農家幼女「それはそうだよ……だってとまちゃんはおやさいだし……」

俺「ははっ、でもまあ野菜の精霊さんには悪いが野菜ばっかってのもよくないかもな。だって姉さんみたいにおっぱい大きくならないかもしれないしな」へらへら

農家幼女「えー!それやだ!」

とまと幼女「ッ!」びしっ

俺「いだっ!? ぅ、な、なんだよ……どんだけ自分たち食って欲しいんだよ……」

とまと幼女「おんなのこにそんなこといっちゃだめー」ぶーぶー

俺「そ、そこ……? 野菜のくせに感情豊かだな」
43:2018/07/06(金) 04:46:09.535
……………………

とまと幼女「……」水ごきゅごきゅ

俺「今日はきゅうりだ。もうすでに塩すりこんで洗ってるからそのままでも美味いぞ」コトッ

農家幼女「えーまたー?」

俺「味噌もあるから飽きないぞ」

農家幼女「うー」

俺「わがまま言うなよ。さっきのこともあるって言ったろ? 嫌なら食わんでよろしい」
44:2018/07/06(金) 04:47:09.761
とまと幼女「……」じっー

俺「……? お前まさか、欲しいのか?」

とまと幼女「ぇ、いやー」水ごきゅごきゅ

俺「だよな、野菜が野菜食べるとかもうわけわかんねーし」

とまと幼女「……」じゅるっ

俺「……」

俺「ん、この一本だけだぞ」つ きゅうり

とまと幼女「いいのー?」

俺「畳にトマト汁が染みたら叶わんからな」
45:2018/07/06(金) 04:47:54.924
とまと幼女「ありがとねー」ぽりぽり

とまと幼女「ん~~~♡♡♡」シャクッ、シャクッ

俺(な、なんだこいつ……野菜のクセに美味そうにくいやがる。なんか俺も無性にかぶりつきたくなるっ……)

俺(……なんだ、この感じ)
46:2018/07/06(金) 04:48:48.729
…………………
…………
……

「今日はきゅうりだ! 味噌もあるぞ!」

「えー、父ちゃんまたー?」

「なんだと!? 不満があるやつは食わんでよろしい!!」

「ね、じゃああんたのちょーだいよ。いいでしょ? ん~~~♡♡♡ おいし~~~♡♡♡」ポリポリッ

「……ぁ、やっぱ、俺も」
47:2018/07/06(金) 04:49:39.682
………………
…………
……

俺「へ……」

とまと幼女「ごちそーさまー♡」にこにこ

農家幼女「……」じゅる……

農家幼女「やっぱたべりゅ! 」ぽりゅぽりゅ

農家幼女「.……おいひー/// おやさいってこんなにおいしかったんだ///」

俺「そりゃ美味いのはわかり切ってるんだからあとは好き嫌いの問題だろ」ポリポリ

俺「……」チラッ

とまと幼女「ふふっ……」

俺「……」
48:2018/07/06(金) 04:50:29.791
………………

\ざばー/

俺「……どうせなら風呂ものかと一緒の方がよかったんじゃないか?」

とまと幼女「ううん。もういいかなって。川でいっぱいあそんだしね」
49:2018/07/06(金) 04:51:11.723
俺「……」

俺「な、あんた……」

とまと幼女「もう気がついてるんでしょ?」

俺「……やっぱりそうなのか」

俺「姉さん」

とまと幼女「そだよー。だからさ、久しぶりにあんたとも一緒にお風呂入りたいなって……この身体ならちょうどいいし」テヘヘ

俺「なんだそりゃ」
51:2018/07/06(金) 04:52:46.150
とまと幼女「……ね」ぎゅっ

俺「お、おい」

とまと幼女「おねーちゃんは……?」

俺「……結局聞くんかい」ハァ

俺「……野菜みたいな青くさいにおいする」

とまと幼女「とまとだもん」

俺「だから、好きだ」

とまと幼女「……そっか」
53:2018/07/06(金) 04:53:40.176
とまと幼女「……」

俺「……」

とまと幼女「……たべていいよ?」

俺「ダメなんじゃなかったのか?」

とまと幼女「……たべて」

とまと幼女「たべても、だいじょーぶ……だから……おやさい、だもん……」

俺「…….」

とまと幼女「……好きなんでしょ?」ぎゅぅ

俺「……うん」


「大好きだ」
54:2018/07/06(金) 04:54:54.354
………………
…………


「あのね? お願いがあるの。私がしんだら、私の灰を畑にまいて欲しいの」

「そしたらね、私を肥料にして育ったお野菜があんたやのかの一部になるの。そうしたらまた私たちは一緒になれる」

「そう思ったらね? しぬのなんて、怖くないなって……」
55:2018/07/06(金) 04:55:41.849
………………
………


農家幼女「んにゅー……おじさん、とまちゃんは?」目こすこす

俺「とまとなら畑に帰ってたよ。お野菜の精霊だからね」

農家幼女「ふぇぇ!? せっかく今日もたくさんあそぼーと思ったのに」しゅん

俺「また頑張って野菜育ててたら会えるかもしれないぞ」

農家幼女「ほんとー?」

俺「ああ」

(だよな……)


姉さん……
56:2018/07/06(金) 04:56:23.358
おしり
57:2018/07/06(金) 04:59:57.670 ID:eq4Dq2C70.net

感動した
58:2018/07/06(金) 05:00:32.882 ID:wR2T30ob0.net
夏らしくてよかったぞ
75:2018/07/06(金) 07:53:30.066 ID:LEOD4Hkwa.net
おつ