この子は何ができるの？

セイバー「だから私に働けと？」

士郎「そうだ」

セイバー「しかし、私には自宅を警備するという仕事があるのですが……」

士郎「本当にお願いします。働いてください！」

士郎「切嗣(じいさん)も働きすぎて、もう肋骨が三本しか残ってないんだぞ！」

セイバー「分かりました。明日から本気を出します」

士郎「今日からだ」

セイバー「はい？」

士郎「明日からとか言ってたら、明日になっても明後日になっても『明日からやる』って言い出すだろ」

士郎「令呪を以て命じる。セイバー、今すぐ履歴書を買ってきてアルバイトの面接を受けてこい」

セイバー「くっ、なんということを！　分かりましたシロウ、行ってきます」

士郎「あっ。なるべくバイト代が高くて、賄いが出るところな」

店長「それで、君がうちの牛丼屋で働きたいって子かな」

セイバー「はい。よろしくお願いします！」

店長「そんなに固くならなくてもいいよ。うちも人手不足だからね、面接って言ってもほとんど形式だけだから」

セイバー「はい」

飲食店とか嫌な予感しかしない

店長「えっと。アルトリア＝ペンドラゴンさんね。ずいぶんと日本語がお上手ですね」

セイバー「はい。十年ほど前にも日本に来たことがあり、日本語での日常会話には問題がありません」

店長「なるほどね(えっと年齢は……一五◯◯歳！？　多分一五歳の書き間違いかな)」

店長「今までの職歴を教えてもらえますか？」

セイバー「はい。昔、王様をしていました」

店長「……王様ですか？」

セイバー「正確には最初は騎士に仕える従者だったのですが、なんやかんやありまして王様になりました」

店長「…………えーっと、分かりました」

店長「特技はありますか？」

セイバー「エクスカリバーです」

店長「エクス……カリバーですか？」

セイバー「はい、エクスカリバーです」

店長「履歴書の特技欄には『約束された勝利の剣』と書かれていますが」

セイバー「『約束された勝利の剣』と書いて『エクスカリバー』です。ヘラクレスを一撃で七回殺せます。あとストライク・エアとかも出来ます」

店長「……………………わっかりました。面接の結果はご自宅の方に後日郵送しますんで」

セイバー「ありがとうございました」




店長「……これがゆとり世代というやつか」

──後日──


セイバー「何故ですか。何故私が不採用なのですか」

士郎「予想はついていた」

セイバー「やっぱりバツイチは隠しておくべきだったでしょうか」

ライダー「問題はそこでは無いのでは？」

桜「面接の際のセイバーさんの受け答えを考えると、他のところも落ちているでしょうからね」

セイバー「これが就職難という奴なのですね。バゼットの気持ちが分かります」

セイバー「いいんですか？撃ちますよエクスカリバー」

士郎「このままじゃ起源弾の打ち過ぎでじいさんの肋骨が無くなるからセイバー、これに出てみないか？」

セイバー「何ですか、このチラシは？　えっと『第一回冬木フードファイト大会』ですか。なんなのですか、これは？」

士郎「ようは大食い大会のことだ。優勝商品はわくわくざぶーん年間フリーパスと副賞として賞金五◯万円が貰えるんだ」

凛「フードファイターか。セイバーには天職かもしれないわね」

セイバー「なんと！　食べるだけで賞金が貰えるとは！」

士郎「よし。セイバーも乗り気みたいだし、早速出場申し込みしておくよ」

──大会当日──


セイバー「とうとう大会当日ですね。大会のために朝は野菜ジュースのみにしておきました」

士郎「セイバー応援してるからな」

セイバー「士郎任せてください」

司会「それでは大会実行委員兼審判役の、言峰教会の言峰神父。よろしくお願いします」

セイバー・士郎「！？」

言峰「ここに大食い大会の開幕を宣言する」

士郎「何やってるんだアイツ……」

バツイチわろた

セイバー「あの神父が出てきた時点でオチは読めているのですが、ともかく優勝を目指しましょう」

セイバー「それにしても、私以外の出場者の方たちもなかなか手強そうです」





白純「いいねぇその目つき。やっぱりフードファイターはそうでなくちゃいけない」

シエル「カレー出ろ、カレー出ろ」

インダストリアル「とーまの負担を少しでも減らすために絶対優勝するんだよ」

田中「ずんだ餅三◯個、牛タン定食一◯人前、鮭イクラ弁当一◯個を……」

司会「さあ、料理も出揃いました。それでは試合！　開始！」

セイバー「シロウ、申し訳ありませんでした」

士郎「いや、いいよ。あれは仕方ない」

凛「そうよセイバー。あの激辛麻婆豆腐を食べられる奴なんて綺礼とカレンくらいしかいないわよ」

士郎「言峰が審判役って時点である程度予想はついていたけどな」

セイバー「ですがこれでは家にお金を入れることが出来ません」

士郎「気にしなくていいよ」

セイバー「そうです！　いいことを思い付きました！」



セイバー「シロウのところに永久就職すれば良いのです」



ＥＮＤ

眠くなったから寝る。

俺たちの戦いはこれからだ！

何も解決していない

力仕事できるから面接さえ突破できればどこでも働ける

物覚えも速いだろうし仕事投げ出したり愚痴ったりもしないだろうし、人材としては最高だな。

但し、食糧を与えないとお店が壊れます