1: 2012/02/28(火) 13:27:42.12 
伊織「どうかしら?」

P「zzz」

伊織「…」

伊織「反応無いわね」

伊織「やめた馬鹿らしいもう帰って寝よ」

伊織「じゃあねアホプロデューサー」

11: 2012/02/28(火) 14:47:39.88 ID:nTlUMGq80
P(ようやくいなくなったか……)

P(あんなに近くにこられて心臓がバクバクしちゃったよ)

P(正直抱きしめたかった。だが俺はプロデューサーだ、アイドルとそんな関係になってはいけない)

P(しかしあんなことをするなんて、もしかして伊織は俺のことが……)

P(なわけないか。あんなに魅力的な子が俺なんかにそんな感情を抱くはずがない)

P(イタズラか何かだろう。きっと亜美か真美に吹きこまれたに違いない)

14: 2012/02/28(火) 14:56:02.21 ID:nTlUMGq80
P(しかしイタズラされっぱなしってのも癪だなぁ)

P(ちょっと仕返ししてやろう)

P(明日が楽しみだ)ニヤニヤ

小鳥「プロデューサーさん?」

P「お、音無さんっ!? 一体いつからそこに居たんですか?」

小鳥「事務所には今来たばかりですよ。途中で顔を真赤にした伊織ちゃんとすれ違ったんですが……何かあったんですか?」

P「いえ、何も」

小鳥「そうですか。それにしてもプロデューサーさんもついに、妄想でニヤニヤする領域に達しましたか……うふふ」

P「そんなんじゃないですよ。誤解しないでください」

小鳥「ふふ、お姉さんは分かってますからね。男性だったら誰でも妄想しちゃいますよね、女の子だらけの事務所ですし」

P(何言っても無駄だろうな、こりゃ)

19: 2012/02/28(火) 15:05:46.86 ID:nTlUMGq80
次の日――

P「おはよう、伊織」

伊織「ちょっと、この伊織ちゃんを待たせるなんてどういうつもり? まったく、困ったプロデューサーね」

P(30分前に来たんだが……伊織が早すぎるんだよ。ま、早く来てくれるのは嬉しいけどな)

P(さて、仕返しをはじめるとしよう)

P「すまない伊織。昨日の夜、伊織の事を考えてたらドキドキしちゃって……なかなか眠りにつけなかったんだ」

伊織「ちょっ……いきなり何言ってるのよあんた!」

P「何か気に障るようなことを言ったかな。すまない、伊織……いや、俺だけのお姫様」

伊織「お、お姫様ぁ? ま、周りにみんないるんだけど!?」

P「つまり、周りに誰もいなければいいってことかな」

伊織「そういう意味じゃないわよ、ばかぁ!」

P(予想以上に面白い反応を返すな。朝だけでやめるつもりだったけど、今日一日に延長するか)

21: 2012/02/28(火) 15:11:53.27 ID:nTlUMGq80
P「それじゃ、営業に行くとしようか。今日は午前中が雑誌の表紙撮影、午後からはドラマ撮影だな」

伊織「ひとつ聞きたいんだけど」

P「どうぞ」

伊織「何でさっきからこんなに顔が近いのよ!」

P「できるだけ近くで伊織の顔を見たいからだろ、そりゃ」

伊織「よ、よくもまぁそんな恥ずかしいことを言えるわねぇ」

P「俺は伊織のことが好きだからな」

伊織「!?」

P(伊織の顔が真っ赤になった、かわいい)

伊織「ちょ、ちょっとそこで待ってなさい」

P「ん、いいけど。まだ時間もあるしな」

24: 2012/02/28(火) 15:18:51.08 ID:nTlUMGq80
――女子トイレ

伊織「はぁ、はぁ……」

伊織は右手を胸にあてて、呼吸を荒くしている。

伊織「ふぅ、ようやく収まったわね。何でこんなに心臓がバクバク言ってんのよ、もう……」

伊織「今日のあいつはどこもかしこもおかしかった」

伊織「まさか、昨日のアレが本当に効いちゃったのかしら?」

伊織「どどどどうすんのよ、もうすぐ仕事だっていうのに。あいつが近くにいるだけで心臓がバクバクしちゃいそうじゃない」

伊織「さっきなんてみんな居る所で好きだなんて言ってくるし……あぁもう、人の気も知らないで」

伊織「って私があんなことしたせいなんだけど」

伊織「好きって言われた時、すっごく嬉しかった……でも、あいつが本当に私のことを好きなわけじゃないのよね」

伊織「何だか、ちょっと虚しいわ」

25: 2012/02/28(火) 15:23:18.69 ID:nTlUMGq80
伊織「おまたせ」

P「どこか調子でも悪いのか?」

伊織「別に。さっさと行きましょ」

P「おう。表紙の撮影……伊織の可愛さをばっちりアピールしてくれよ」

伊織「分かってるわ」

P「……?」

P(いつもなら『当然よ! 伊織ちゃんの可愛さで、みんなをメロメロにしてやるんだからっ』とか言うのに)

P(おふざけが過ぎたかな……)

27: 2012/02/28(火) 15:35:10.28 ID:nTlUMGq80
カメラマン「いいよ、伊織ちゃん。そのポーズぐっとくる!」

伊織「にひひっ、ありがとうございまーす♪」

P(ちょっと不安だったが、撮影が始まってからの伊織は完璧だ)

伊織「……サー」

P(むしろ、いつもより調子がいいんじゃないか?)

伊織「ちょっと、聞いてるのプロデューサー」

P「お、おっとすまん伊織。どうしたんだ?」

伊織「さっきから飲み物が欲しいって言ってるんだけど」

P「すまん。えーっと飲み物は……しまった、買うの忘れた!」

伊織「何やってんのよあんたは……」

P「すぐに買ってくる!」

伊織「そんな時間ないわよ。だからそれ、ちょうだい」

P「え……?」

33: 2012/02/28(火) 15:43:55.16 ID:nTlUMGq80
伊織「あんたが手に持ってる、そのお茶をよこしなさいって言ってるの」

P「いやでもこれ、俺が口つけちゃったんだけど」

伊織「あ、あんたは私のことが好きなんでしょ」ボソボソ

P「も、もちろんさ。はい」

伊織「ありがと」

P(伊織ってもしかして、本当に俺が伊織のことを好きになったと思ってるのか……昨日のアレで)

P(女は男より占いとか催眠術とか信じてそうだし……ありえるな)

P(そして私のことが好きなら何でもやれるでしょ!的なノリで行動してるわけか。そのうち無理難題出されそうで怖い)

P(嘘でした、っていつ言えばいいんだ。困ったぞ……)


34: 2012/02/28(火) 15:50:02.59 ID:nTlUMGq80
伊織「んっ……」ゴクゴク

P(伊織の口が、俺が口つけたペットボトルに……飲み物を飲んでいるだけなのに、どこかいやらしさがある)

P(ってダメだダメだ。あくまで好きなフリをするだけにしないと)

P(本当に好きなんだっていう気持ちは出しちゃいけない)

伊織「ぷはぁ、まぁまぁね。次からはちゃんと買っておきなさいよ」

P「あぁ、分かってるよ」

伊織「あんた、私がお茶飲んでる時……私の口元じーっと見てたわね。この変態!」

P「あまりにも魅力的な唇でさ、あはは」

伊織「後でおしおき決定ね」

P(こ、これはまずいぞ。身の危険を感じる! ここでバラすしかない!)

P「すまん伊織、実は……」

カメラマン「伊織ちゃーん、そろそろいいかな?」

伊織「はーい、今行きまーす♪」

P(なんてこったい)

38: 2012/02/28(火) 16:00:14.96 ID:nTlUMGq80
数時間後――

P(今日の営業は終わった。いよいよ恐怖のおしおきタイムか……お手上げ侍だよ)

伊織「ドラマの撮影、かなり長引いちゃったわね」

P「あの男優さん、何度もダメだし食らってたからなぁ」

P「ん、事務所に鍵かかってる。もうみんな帰ったのかな」ガチャ

伊織「……誰もいないわね、ちょうどいいわ」

P「ちょ、ちょうどいいって?」

伊織「やだプロデューサー、もう忘れたの。後でおしおきするって言ったじゃない」

P(とうとう来てしまった……伊織の顔が怖い、今すぐ逃げ出したい!)

伊織「プロデューサー……私のこと好きよね?」

P「え、えっと……その」

伊織「愛してるわよね?」

P「は、はいっ!」

伊織「それなら……私にキ、キスしなさいっ!」

P「へ?」

42: 2012/02/28(火) 16:13:16.93 ID:nTlUMGq80
伊織「へ、じゃないわよ。早く、して」

伊織はそっと目を閉じ、つま先立ちになって顎を少し上げた。

P(キス、したい。でもしてしまったら確実に一線を超えてしまう)

伊織「…………」

P「すまん、それはできない」

伊織「っ……!」

P「実は……伊織をちょっとからかおうと思って、昨日の催眠術みたいなのにかかったフリをしてただけなんだ」

P「ごめんな」

伊織「そんなこと分かってるに決まってるでしょ!」

P「え……そうなの、か? じゃあ何でキスしろだなんて……」

伊織「あんたって本当に乙女心が分かってないわね、本当にバカ。私、なんでこんな奴のことを……」

P「もしかして伊織は、俺のことが好き……なのか」

44: 2012/02/28(火) 16:24:24.75 ID:nTlUMGq80
伊織「そうよ、あんたのことが好き……悪い?」

伊織「あんたは私をからかおうとして、今日の朝から催眠術にかかったフリしたんでしょ」

伊織「だから私はそれにのっかったフリをして、普段できないようなことをしようと思ったのよ」

伊織「あんたが口つけたペットボトルをもらうとかね」

伊織「でも、キスはしてくれなかった」

P「それは……」

伊織「別にいいのよ。好きでもないような女と、キスなんてしたくないわよね。たとえおふざけでも」

伊織「ま、一日限りの夢っても悪くなかったわ。それじゃ、お疲れ様」

P(伊織が行ってしまう。いいのか、このまま行かせて)

P(伊織は俺のことを好きだと言ってくれた。それはとても勇気がいることだろう)

P(なら、俺も勇気を出して打ち明けるべきだろ)

P「待ってくれ!」

46: 2012/02/28(火) 16:33:31.09 ID:nTlUMGq80
伊織「何?」

P「俺は、伊織のことが好きだ」

伊織に近づく。

伊織「やめて。次にこんなおふざけしたら……ただじゃおかないわよ」

伊織にもう一歩近づく

P「おふざけなんかじゃない」

伊織にさらに一歩、近づく。

伊織「キスもできなかった奴が何言ってんのよ」

P「できるさ」

プロデューサーは高さを合わせるために前のめりになり、伊織の顔の少し上あたりに自分の顔をもってくる。
次に伊織のあごを右手で支え、少し上げる。そして、自分の唇と伊織の唇を重ねた。

伊織「んっ……」

55: 2012/02/28(火) 16:42:59.26 ID:nTlUMGq80
伊織(これがプロデューサーの唇、なんだ)

1分ほど経った頃に、プロデューサーは唇を離した。

伊織(終わった、のかしら?)

そう思ったのもつかの間、プロデューサーは再び伊織の唇に、自分の唇を重ねてきた。

伊織(も、もう一回やるの? 今でも心臓がどうにかなっちゃいそうなのに、これ以上されたら……)

プロデューサーの唇から何かが入ってくる。

伊織(こ、これってプロデューサーの舌? えっとこれって確か……ディープキス、って奴だったかしら)

口内に入ってきたプロデューサーの舌が、伊織の舌に絡み合う。

伊織(何だか変な味なのね、舌って……っていうかこれはさすがに)

伊織「調子に乗り過ぎよバカーーーーっ!」

伊織は両手でプロデューサーの身体を突き飛ばした。

P「どぉわぁっ!」

60: 2012/02/28(火) 16:55:00.02 ID:nTlUMGq80
「いてて……伊織がキスしてくれって言ったんだろ」

伊織「舌を入れていいなんて言ってないわよ! この変態! ド変態!」

P「反省してます」

伊織「まったく……」

P「でもこれで、俺が伊織のことを好きだっていうのは分かっただろ?」

伊織「まぁ、ね」

伊織「でも何で最初からキスしてくれなかったのよ……本当にショックだったんだから」

P「プロデューサーとアイドルがそういう関係になっちゃいけないって考えてたんだ」

伊織「じゃあ何でキスしようと思ったの?」

P「伊織が勇気を出して告白してくれたから。それと、伊織の悲しそうな顔は見たくなかった」

伊織「悪くはないけど、それってあんたは私のことを好きでも何でもない、っていう風にも考えられるんだけど」

P「あ……確かに。でも俺は伊織のことがずっと前から大好きだったぞ」

64: 2012/02/28(火) 17:07:14.10 ID:nTlUMGq80
P「始めてあったときはわがままな上にぶりっ子だなぁって思ってたけど」

P「仕事に対しては熱心だし、負けず嫌いで向上心もあったから、この子は伸びるって思えたよ」

P「でも時々失敗したりするとすごく落ち込んで、結構繊細な所もあるんだよな」

P「あと髪型変えてからもっと可愛くなったな。あ、もちろん前の髪型も大好きだから寂しいとも思ったぞ」

伊織「プロデューサー……」

P「偶然、何度か胸に手が触れたなことがあったな。あの時に思ったんだが、伊織の胸は俺の手にちょうど埋まって、ベストな大きさだと思うよ」

P「あずささんや貴音の胸を見て羨ましそうにしてたが、気にするな。俺は伊織の胸が一番好きだ」

P「うん、これぐらい言えば俺がどれだけいおりんのことが好きか分かってもら……」

伊織「いい加減にしなさい、この馬鹿っ! 変態! ド変態! Da変態! 変態大人!」

P「いてっ! あ、そこ踏むな! 痛い、痛いって。ギブ、ギブギブアップ! ギブアップです伊織様!」



                                                            おわり

69: 2012/02/28(火) 17:14:55.74 ID:NnbsnhJa0
乙面白かった

76: 2012/02/28(火) 17:29:46.01 ID:nTlUMGq80
小鳥「プロデューサーさんは私のことが好きになーる好きになーる」

P「いい年して何やってるんですか、音無さん」

小鳥「」



                                              おわり

引用元: 伊織「アンタは私のことが好きになーる好きになーる」