1:2018/08/14(火)23:49:18 tUM

彡(゚)(゚)「いやー、見渡すかぎり砂漠やなあ」

彡(゚)(゚)「さすがオーストラリアや、すごい広さやで」

(;´・ω・)「のんびり眺めてる場合じゃないよ、遭難してるんだよ」

彡(゚)(゚)「車と無線が同時にいかれるとはなあ」

彡(゚)(゚)「水をもっと買うとくべきやったな、もう全部飲んでもうたで」

(;´・ω・)「まだ日が高い……とにかく、夜まで車の中で体力を温存して」



??「おおーーーーーーい」



彡(゚)(゚)「なんや? えらく低い声が響いてきたで」

(´・ω・`)「え? 風の音とかじゃ……」

彡(゚)(゚)「ほげ!? なんや、あのでっかいシルエットは!?」

(´・ω・`)「きょ……巨人!?」
2:2018/08/14(火)23:50:34 tUM
ドシーン ドシーン ドシーン

巨人「やあ、やっぱり人だった」

彡(゚)(゚)「うおおおおお、なんちゅうでかさや、ゴジラぐらいある!」

(´・ω・`)「し、信じられない……こんな大きな人間が」

巨人「きみたち、日本人でしょう、会話が聞こえたんだよ」

彡(゚)(゚)「へ? あの距離から声が聞こえたんか?」

巨人「うん、ねえ君たち、巨人軍って知ってる? 野球ってスポーツの」

彡(゚)(゚)「まあ知ってるけど」

巨人「僕、そこに入りたいんだけど」

彡(゚)(゚)「は……?」
3:2018/08/14(火)23:51:23 EWB
普通の野球人ならみんな巨人軍に入りたいと思ってるよ
4:2018/08/14(火)23:52:00 tUM
巨人「僕ね、ずっとこの砂漠にいたんだけど」

巨人「100年ぐらい前かな、頭の中に声が聞こえるようになったの」

巨人「それで音楽とか、人が話してるのとか聞いてたんだけど」

巨人「野球っていうのに興味があって、ここ何十年かはずっとそればかり聞いてたの」

彡(゚)(゚)「頭の中にラジオが聞こえるんか? 便利やなあ」

(´・ω・`)「本格的なラジオ放送は1920年ごろから…。計算は合うかな」

(´・ω・`)「でも電波を聞く力といっても…。このオーストラリアで、日本のラジオ波なんて微弱なものを…」
5:2018/08/14(火)23:53:20 tUM
彡(゚)(゚)「砂漠にいたっちゅうても、よく人間に見つからへんかったなあ」

巨人「飛行機の無線とかも聞こえるから、来そうになったら砂の中に隠れてたの」

彡(゚)(゚)「砂に隠れられるんか、便利やな」

彡(゚)(゚)「ところで腰ミノはつけてるんやな」

巨人「うん、オシャレでしょう」

(´・ω・`)「デザートオークの木だね。細くて柔らかいから、樹皮を薄く剥いでロープに加工されたりするよ」

彡(゚)(゚)「何十本も腰回りにつけてるな」

彡(゚)(゚)「コレ言うとかんと巨人が全裸かと思われるから」

(´・ω・`)「誰に言ってるの?」
7:2018/08/14(火)23:54:09 tUM
彡(゚)(゚)「しかしでっかいなあ、身長いくつあるんや」

(´・ω・`)「えーと仰角による計算だと……90メートルぐらいかな」

彡(゚)(゚)「仙台大観音が帽子取ったぐらいの大きさやな」

(´・ω・`)「それ通じるかなあ」

(´・ω・`)「それにしても、この大きさで潰れずに立てるなんて……」

(´・ω・`)「体の構成物質が、人間とはまるで違うとしか……」

彡(゚)(゚)「それはともかく、ワイらは街まで行きたいんやけど」

巨人「じゃあ僕が送ってあげるよ、ついてに日本まで連れてって」

彡(゚)(゚)「よっしゃ、じゃあ頭に乗せてくれや」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「……い、いや、やきう君、ちょっと待って」

彡(゚)(゚)「どうした?」
10:2018/08/14(火)23:55:13 tUM
(´・ω・`)「その……大事な実験機材をここに置いておけないよ。高価なものだし」

(´・ω・`)「しばらくここにとどまって、車を修理して帰ろう」

彡(゚)(゚)「そうか? でも食料とか水がないで」

(´・ω・`)「水……」

(´・ω・`)「大丈夫、朝になれば何とかするよ。巨人に協力してもらって」

彡(゚)(゚)「?」
11:2018/08/14(火)23:56:45 tUM
(´・ω・`)「巨人くん、君はどうやって眠るの?」

巨人「いや、眠らないの。ラジオを聞いてぼーっとしてるだけ」

(´・ω・`)「立ったままでも大丈夫?」

巨人「大丈夫だよー」

(´・ω・`)「じゃあ頭にそのへんの草や蔓をたくさん乗せて、そのまま朝まで立ってて」

彡(゚)(゚)「???」
12:2018/08/14(火)23:58:07 tUM
-翌朝-

彡(゚)(゚)「あれって何か意味があるんか? つる草の山でアフロみたいになってるけど」

(´・ω・`)「大丈夫……、おーい、そろそろ下におろして」

巨人「わかったー」

(´・ω・`)「下ろしたら、この容器の上でぎゅっと絞ってみて」

彡(゚)(゚)「?」

(´・ω・`)「砂漠の砂は熱を溜めておけないので、夜は極端に気温が下がる」

(´・ω・`)「すると空気中の水分が凝結して、露になるんだ」

(´・ω・`)「高いところならより効率的に露を集められる、あれだけの量を絞れば…」

巨人「うーん」ギュッ

ドドドドドド

彡(゚)(゚)「うおお!! 水や! しかも何十リットルも!!」

(´・ω・`)「予想通りだ。草が混ざってるけど、煮詰めれば飲み水になるよ」
15:2018/08/15(水)00:00:21 r3u
彡(゚)(゚)「こいつはワイの友人や」

彡(゚)(゚)「ワイと同じ地質学科の学生やけど、頭のいいやつで、もう論文を何本も発表してる」

彡(゚)(゚)「今回の調査旅行もこいつの発案や」

彡(゚)(゚)「どのぐらい頭がいいのかと言うと、幼稚園の頃に天動説の批判本を書いたほどで」

(´・ω・`)「なにブツブツ言ってるの?」
16:2018/08/15(水)00:01:43 r3u
(´・ω・`)「じゃあ僕は車と無線機を修理するから、やきう君は食料を集めてて」

彡(゚)(゚)「やってみるわ」

彡(゚)(゚)「修理には何日かかるんや?」

(´・ω・`)「たぶん数日は…」

(´・ω・`)「時間が余ったら調査の方も進めようか、ちょうど目的地の近くだし」

彡(゚)(゚)「……なんの調査で来たんやっけ?」

(;´・ω・)「やっぱり忘れてる……。このあたりは先住民の伝承で、天から星が落ちてきたって話がたくさん残ってるんだよ」

(;´・ω・)「古代に隕石の落下があったと仮定して、地質を調べてそれを証明したいんだ」

彡(゚)(゚)「なるほど」

彡(゚)(゚)「まあそっちは任せるわ、ワイは食料集めやな」
17:2018/08/15(水)00:03:09 r3u
-それから数日-


彡(゚)(゚)「よっしゃ、そのままそーっと手を閉じるんや」

巨人「うん、そーっとそーっと…」

彡(^)(^)「捕まえたで、今夜は焼き鳥やな」



(´・ω・`)「エンジンが空回りするんだよね、実験用の工具で修理できるかな」

(´・ω・`)「古い車だし、応急処置でどうにか……」
18:2018/08/15(水)00:04:49 r3u

彡(゚)(゚)「ほーん、王貞治のホームランってそんなに盛り上がったんか」

巨人「うん、アナウンサーの人の叫びっぷりがすごくて」


(´・ω・`)「無線機は基盤が焼けてるなあ、配線をつなぎ直せば……」

(´・ω・`)「手持ちの道具でハンダづけはできる……」

(´・ω・`)「あとはアンテナを何かで代用して、と」
19:2018/08/15(水)00:06:17 r3u
彡(゚)(゚)「ええか、これがスライダーの握り方や」

巨人「うん、こうだね」

彡(゚)(゚)「球種を見破られんように、モーションを他の球種と同じにするのがコツやで」



(´・ω・`)「向こうに廃車が見えるな……、部品が取れるかも」

(´・ω・`)「工具を持って行ってこよう」



-数日後-

(´・ω・`)「なんとか修理のメドがついたよ」

彡(゚)(゚)「そうか、お互い大変やったな」

(´・ω・`)「おかしいな、大変だったの僕だけな気がする」
20:2018/08/15(水)00:10:13 fPA
90メートルとか神かな
21:2018/08/15(水)00:10:52 r3u
(´・ω・`)「ところでスライダーの投げ方教えてたの?」

巨人「うん、教わってた」

彡(゚)(゚)「巨人に丁度ええボールもあったしな」

(´・ω・`)「ボール?」

彡(゚)(゚)「向こうの方にあったんや」



彡(゚)(゚)「ほれ、あの黒いやつや、ゴロゴロ落ちてるやろ」

(´・ω・`)「こ……これは、球形の鉄? いや、金属の固まり…?」

巨人「このあたりにたくさん落ちてるんだよ」
22:2018/08/15(水)00:13:00 r3u
彡(゚)(゚)「ちょうどサイヤ人の宇宙船ぐらいの大きさやな、巨人の手にはちょうどええサイズや」

(´・ω・`)「これ何だろう…。自然にこんな、完全な球形ができるはずが」

巨人「この黒いボールを見てると、何か心の奥がモヤモヤしてくるの」

巨人「何かやらなくちゃ、って気がして、そんなときに野球のピッチャーってのを知って」

巨人「ボールを投げる様子を聞いてると、何か思い出せるような気がして」

彡(゚)(゚)「ほーん」

(´・ω・`)「……?」
23:2018/08/15(水)00:14:57 r3u
(´・ω・`)「思い出せるような、というのはどういうこと?」

巨人「ええとね、僕ね、お腹が空くと岩を食べるの」

(´・ω・`)「うん?」

巨人「月に一度ぐらいだけど、それでね、そこに黒っぽい岩があるでしょ、サビが浮いてるみたいに見えるやつ」

巨人「あれを食べたときだと思うんだけど、急に眠くなって、そのまま長いことずっと眠ってて」

巨人「500年ぐらい前に目が覚めたとき、それから前の記憶がほとんど無くなってたの」

彡(゚)(゚)「500年って、おまえトシいくつやねん」

巨人「よくわかんない……」

(´・ω・`)「あの黒い岩はコロンブ石かな? 天然のニオブやタンタルを含む岩だよ」

彡(゚)(゚)「タンタル?」

(´・ω・`)「携帯電話なんかに使われるレアメタルだよ」
24:2018/08/15(水)00:16:19 r3u
(´・ω・`)「オーストラリアは世界一のタンタル生産国だけど、ああして地面に転がってるのは珍しいね」

(´・ω・`)「……ということは、タンタルを食べると眠る…?」

巨人「そうみたい、だから食べないように気をつけてね」

彡(゚)(゚)「いや食われへんから」

彡(゚)(゚)「まあそれはええわ、じゃあ、さっき教えた感じで投げてみよか」

巨人「うん」

(´・ω・`)「え、投げるの?」

(´・ω・`)「ちょっと離れてもらったほうがよくない? できれば僕らは車の中に」

彡(゚)(゚)「ん? せやな、じゃあ離れてから投げてくれや」

巨人「わかった」
25:2018/08/15(水)00:18:33 r3u
巨人「じゃあ向こうに投げるよー」

彡(゚)(゚)「わかったーーーー(大声)」

巨人「えいっ」


ド ッ ゴ オ オ オ オ オ オ オ オ ン



彡()()「ほげええええええええええっ」

(´・ω・`)「うおおおおおお」

彡(゚)(゚)「な、なんや今のは、車が横にスライドしたで」

巨人「ごめんごめん、そーっと投げたつもりだったんだけど……」

(´・ω・`)「しょ、衝撃波だ、腕の振りがあっさりと音速を超えたんだ」

(´・ω・`)「この距離で車を揺らすほど……。しかも、まるで全力じゃないなんて……」

彡(゚)(゚)「これは大リーガーなみやな」

(´・ω・`)「大リーガーすげえええええええ」
26:2018/08/15(水)00:20:18 r3u
巨人「拾ってきたよ、50キロ先ぐらいまで飛んでた」

彡(゚)(゚)「この黒い岩も丈夫やな、傷もついてへんで」

巨人「投げるたびに……何か思い出しそうな気がするんだよね」

巨人「なにか、大事な役目があったような……」

彡(゚)(゚)「わかるわ、ワイも日曜にゴロゴロしてると、何かやらなあかん、って焦ることあるわ」

(´・ω・`)「……」
27:2018/08/15(水)00:22:18 r3u
(´・ω・`)「記憶を無くしてるんだっけ…」

巨人「そうなの、やらなきゃいけない事が……あったような気がするんだけど」

巨人「このボールを、どこかに投げたかったような……」

彡(゚)(゚)「どこかに?」

巨人「えーっと……あっちに」

(´・ω・`)「北西? あっちはシンガポールとか日本があるけど……」

(´・ω・`)「宵の明星も見えるね、日本だと南西だけど、ここは南半球だから北西に見えてる」

彡(゚)(゚)「ってことは、そろそろ夜やな、メシ食って寝よか」

(´・ω・`)「うん……」
29:2018/08/15(水)00:24:31 r3u
-その夜-

彡(-)(-)「うーん、それは臭すぎるわ……」

(´・ω・`)「(小声)やきう君、ちょっと起きて」

彡(゚)(゚)「ん? なんや?」

(´・ω・`)「あの黒い岩なんだけど、少し調べてみたんだ」

彡(゚)(゚)「うん?」

(´・ω・`)「おかしいんだ…。先端にダイヤのついてるガラス切りでも傷一つつかない」

(´・ω・`)「しかも、バーナーで五分ほど炙ってみても、表面温度がまったく変化しないんだ」

彡(゚)(゚)「ほーん……。どういうこっちゃ?」

(´・ω・`)「推測だけど、あれは地球上の物質じゃない」

(´・ω・`)「おそらくは宇宙から来た物質……」

彡(゚)(゚)「?」
32:2018/08/15(水)00:28:04 r3u
(´・ω・`)「あの巨人は記憶を無くしてるらしいけど、言動から察するに……」

(´・ω・`)「その記憶は、彼の「役割」や「仕事」に関係するもののような気がする……」

彡(゚)(゚)「何か投げたいんやったっけ」

彡(゚)(゚)「まあ車が直ったら街に行くんやろ、ゆっくり思い出したらええわ」

(;´・ω・`)「か、彼を連れて街に行くなんてムリだよ」

彡(゚)(゚)「なんでや?」

(;´・ω・`)「なんでって、彼は身長90メートルだよ、大男ってレベルを超えてる」

(;´・ω・`)「大騒ぎになるし、下手すると軍隊に攻撃されるかも……」

(;´・ω・`)「まして巨人に入りたいなんて……」

彡(゚)(゚)「うーん……それもそうか…」

彡(゚)(゚)「でもジャイアント馬場ってむかし巨人にいたんやろ?」

(´・ω・`)「全然関係ないよ?」
33:2018/08/15(水)00:30:13 r3u

彡(゚)(゚)「せやけど、あいつは大人しいし、大丈夫やろ」

彡(゚)(゚)「無くした記憶も、街で刺激を受けたら思い出すかも知れへんし」

(´・ω・`)「……それが心配なんだ」

彡(゚)(゚)「どういうこっちゃ?」

(´・ω・`)「まず、彼はボールを凄まじい速さで投げられる」

(´・ω・`)「あの巨体を考慮しても、考えられないほどの威力だ。音速をはるかに超えてる」

彡(゚)(゚)「すごい衝撃波やったよな」
34:2018/08/15(水)00:31:30 r3u
(´・ω・`)「しかもこの付近に、彼が投げるには丁度いい大きさの岩がいくつも転がってる」

(´・ω・`)「熱でも衝撃でも傷つけられない、とてつもなく強靭な物質だ」

彡(゚)(゚)「あの黒い岩やな」

(´・ω・`)「そして彼は電波を感知できる」

彡(゚)(゚)「?」

(´・ω・`)「電波は文明の産物だ、つまり、彼は文明の興隆を察知できる」

(´・ω・`)「しかも北西方向に意識が向いてた……。オーストラリアから見れば、人口が多い方向……」

彡(゚)(゚)「……」
36:2018/08/15(水)00:33:23 r3u
(´・ω・`)「こういう話を知ってる? アメリカ軍が研究してるという「神の杖」計画……」

(´・ω・`)「人工衛星に鋼鉄製の槍を積んで、大気圏外から落とす兵器だよ」

(´・ω・`)「地上に落下するとき、その速度は時速数千キロに達し、その威力は核兵器なみに……」

彡(゚)(゚)「……」

彡(゚)(゚)「つまり、あいつは人類を滅ぼす兵器やと言いたいんか?」

彡(゚)(゚)「あの黒い岩を超高速で投げて、街を破壊する兵器やと……」

彡(゚)(゚)「とてもそうは見えんで、野球が好きなだけのいい奴やないか」

(´・ω・`)「……もし、僕の推測が当たってたら、ことは人類全体に関わるんだよ」

彡(゚)(゚)「それはまあ……」
37:2018/08/15(水)00:35:05 r3u
(´・ω・`)「巨人が言ってたよね、あのサビの浮いたような岩、タンタルを含むコロンブ石を食べると眠ってしまうと」

彡(゚)(゚)「言うてたな」

(´・ω・`)「タンタルは携帯電話の中の、ごく小さな部品を作るために使われるんだ」

(´・ω・`)「つまり、どうにかして携帯を食べさせれば……」

彡(゚)(゚)「……」

彡(゚)(゚)「気が進まんなあ…」
38:2018/08/15(水)00:37:09 r3u
(´・ω・`)「もしもし、こちら○○、警察ですか」

(´・ω・`)「車両のトラブルにより立ち往生していましたが、なんとか修理できました、これから○○の街へ移動します」

巨人「車と無線機が直ったみたいだね、今日出発だっけ」

彡(゚)(゚)「ああ、せやな」

(´・ω・`)「(小声)やきう君、僕の携帯電話からタンタルを取り出して、砕いた岩と混ぜた、これを…」

彡(゚)(゚)「……」

彡(゚)(゚)「なあ巨人」

巨人「うん」

彡(゚)(゚)「街に行く前にワイらと一緒に食事……」

彡(゚)(゚)「……。いや」

彡(゚)(゚)「巨人、これを食べて眠ってくれへんか」

(´・ω・`)「!!」

巨人「えっ……」
40:2018/08/15(水)00:38:51 r3u
彡(゚)(゚)「お前が何を忘れてるのか分からへん」

彡(゚)(゚)「せやけど、それはもしかしたら、ワイら全員の生死に関わる事かも知れへんのや」

彡(゚)(゚)「せめてあと数百年……人間が勝手に滅ぶか、宇宙に散らばるまで待ってほしいんや」

巨人「……」

(´・ω・`)「……」

巨人「……わかったよ」

巨人「うすうす、気づいてたんだ、僕が街へ行くのは無理だってこと」

彡(゚)(゚)「そうか……」




ピー ピー

(´・ω・`)「ん、無線機に緊急連絡…?」
42:2018/08/15(水)00:41:54 r3u
彡(゚)(゚)「お前に野球を見せてやりたかったけど、考えてみたら東京ドームに入られへんな…」

彡(゚)(゚)「開閉式のヤフオクドームやったらギリいけるかも」

(´・ω・`)「やきう君! 大変だ!」

彡(゚)(゚)「な、なんや急に」

(´・ω・`)「気象レーダーが隕石を捉えたらしい! この付近に落下してくるって!」

彡(゚)(゚)「なんやて!?」
43:2018/08/15(水)00:43:14 r3u

彡(゚)(゚)「ど、どないしたらええんや」

(´・ω・`)「直撃しない限り、車の中に逃げ込めば大丈夫なはず……」

(´・ω・`)「見て、空に火球が見える、あれが大気圏突入してる隕石だよ」

彡(゚)(゚)「おお、ほんまや」

彡(゚)(゚)「巨人! お前も気をつけて……」

巨人「……」
44:2018/08/15(水)00:44:07 BJG
急展開
45:2018/08/15(水)00:44:48 r3u
彡(゚)(゚)「なんや…? 隕石をじっと見つめて……」

(´・ω・`)「……?」

巨人「……」

巨人「思い出した……」ダッ


ド バ ア ア ア ア ア ア ン


彡()()「ほげええええええええっっ」


彡(゚)(゚)「あいたたた、全身打ったわ」

彡(゚)(゚)「きょ、巨人が走り出しただけなのに、なんちゅう衝撃波や、吹っ飛ばされたで」

(´・ω・`)「」

彡(゚)(゚)「あいつ、急にどうしたんや」

(´・ω・`)「」

彡(゚)(゚)「原住民、あれは一体」

彡(゚)(゚)「あ、死んでる」
47:2018/08/15(水)00:45:49 UvR
原住民死んでて草
48:2018/08/15(水)00:46:55 r3u
ド ド ド ド ド ド ド

彡(゚)(゚)「巨人のやつ、ものすごい速さで駆けてるわ」

彡(゚)(゚)「と、とりあえず、車に避難や、原住民も運ばんと」

彡(゚)(゚)「車の鉄板がビリビリ言うてる……。鼓膜に響くわ」

彡(゚)(゚)「お、巨人がスライディングして、隕石の真下に滑り込んだで」

バ シ イ イ イ ッ

彡(゚)(゚)「隕石を受け止めた!?」

彡(゚)(゚)「そ、そのまま回転して起き上がって、うわ、地震みたいな振動や」

彡(゚)(゚)「思い切り振りかぶって」

彡(゚)(゚)「おお……美しいフォームで投げたで」

彡(゚)(゚)「北東の方向やな、なんや昨日言うてた方向と違うやんけ」
49:2018/08/15(水)00:48:14 r3u
彡(゚)(゚)「しかも、あそこは黒い岩が転がってるあたりやな」

彡(゚)(゚)「おお……掴んでは投げ、掴んでは投げ、連続でいくつも投げとる」

彡(゚)(゚)「……しかし、あの勢いで投げたとすると、おそらく数秒後に」

彡(゚)(゚)「あ、地面がめくれるほどの衝撃波が、これは死」

ド ゴ オ オ オ オ オ ッ ッ ッ

ウ ォ ッ ッ ゴ オ オ オ オ

ド ズ ゴ オ オ オ オ オ ッ ッ ッ

ガ ボ ゴ ド ズ ゴ ッ ッ オ オ オ オ ッ
50:2018/08/15(水)00:50:13 r3u
彡()()「(ヨロヨロ)うう、まさか車が三回転すると思わんかった」

彡(゚)(゚)「巨人のやつ、あの岩を全部投げ終わったあと、じっと立ち尽くしてるけど」

彡(゚)(゚)「とりあえず行ってみたろ、うう、全身が痛いわ」



彡(゚)(゚)「やっと近くまで来たわ」

彡(゚)(゚)「おーい、巨人、どうしたんや―――!」

巨人「……思い出したんだ」

彡(゚)(゚)「足が砂に埋まっていってる……流砂に飲み込まれてるみたいや」

彡(゚)(゚)「すごい速さで沈んでいってる、お、おい巨人、どうしたんや一体」
52:2018/08/15(水)00:51:51 r3u
巨人「ごめん……僕はここを、離れるわけにいかなかったんだ……」

彡(゚)(゚)「お、おい、巨人! 何を思い出したんや! 説明してくれ」

巨人「ごめんね……また、いつか」

巨人「役目が、終わったら……」



彡(゚)(゚)「待ってくれ巨人!!  巨人ーーーーー!!!」
53:2018/08/15(水)00:53:04 r3u
彡(゚)(゚)「その後、車はまた大破してもうたけど、無線機はなんとか無事やった」

彡(゚)(゚)「ワイらは地元の警察に助けを呼んで、無事に保護された」

彡(゚)(゚)「周辺は衝撃波でメチャクチャやったけど、隕石のせいやと思われたらしい」

彡(゚)(゚)「ワイらも巨人のことは言わんかった、どうせ信じてもらわれへんし」

彡(゚)(゚)「そしてワイらは、何とか日本まで帰ってきたんや」
54:2018/08/15(水)00:54:24 r3u
-二週間後-


(´・ω・`)「つまり、あの巨人は自分の仕事を思い出したんだよ」

彡(゚)(゚)「どういうこっちゃ?」

(´・ω・`)「やきう君が東京に住んでたとして、ある日、大阪に引っ越したとするよね」

彡(゚)(゚)「? うん」

(´・ω・`)「もといた住所に郵便物が届くと思うけど、それはどうする?」

彡(゚)(゚)「えーと、知り合いには引っ越しの通知は出すけど、それ以外は、たぶん不動産屋とかに転送を頼んで」

(´・ω・`)「そう、まさにそれだよ」

彡(゚)(゚)「あ、まさか」
55:2018/08/15(水)00:56:27 r3u
(´・ω・`)「「誰か」が遠い宇宙から地球に来たとする」

(´・ω・`)「その人が、ある日、太陽系内の別の星に引っ越した」

(´・ω・`)「でも、その「誰か」への郵便物は地球に届く」

(´・ω・`)「引っ越しの通知を出そうにも、電波だと何千年もかかるかも知れない」

(´・ω・`)「だから転送係を置いておくんだ、地球に」

彡(゚)(゚)「つまり、あいつは郵便配達人やったんか」

(´・ω・`)「そう、あの黒い岩は、おそらく郵便物を内包した小包みたいなもので」

(´・ω・`)「大気圏突入と、落下に耐えられるカプセルだったんだよ」

(´・ω・`)「あの巨人は、マス・キャッチャーとマス・ドライバーを兼ね備えた存在だったんだね」

彡(゚)(゚)「ゲットライドやな」

(´・ω・`)「それはアムドライバー」
56:2018/08/15(水)00:58:13 r3u
彡(゚)(゚)「せやけど、あいつはどこに郵便を投げたんや?」

(´・ω・`)「思い出して、夕方に聞いたときは、彼は北西を指さしてた」

彡(゚)(゚)「うん」

(´・ω・`)「そして明け方には北東に投げた、おそらくそこには、明けの明星が出てたはず」

彡(゚)(゚)「あっ! 金星か!!」

(´・ω・`)「そう、おそらく「誰か」は、あの巨人に言いつけてたんだ」

(´・ω・`)「地球に届いた郵便物を、金星に投げるように」

彡(゚)(゚)「ということは、その宇宙人か何かは金星にいるんか」

(´・ω・`)「さあ、それは分からない、巨人が地球にいたのは遥か昔からみたいだし」

(´・ω・`)「金星から、さらに別の惑星に移動してるかもね」

(´・ω・`)「もしかすると、全ての惑星にあんな巨人がいて、郵便物を届ける役目を負っているのかも」

彡(゚)(゚)「なるほどなあ」


(´・ω・`)「あの黒い岩をもっと調べとけばよかったなあ、巨人に命令するための電波とか出てたかも」

(´・ω・`)「タンタルで眠ることも、おそらく巨人を使役するためのシステムの一環で……」

彡(゚)(゚)「……」
57:2018/08/15(水)00:59:53 r3u
彡(゚)(゚)(ワイは想像する)

彡(゚)(゚)(もしかして金星にも、火星にも、水星にも巨人がいるとして)

彡(゚)(゚)(そうや……冥王星まで入れたら、惑星はちょうど9個や)

彡(゚)(゚)(あいつもいつか、役目が終わったら、他の惑星の巨人と出会って)

彡(゚)(゚)(野球のチームを作って、宇宙の彼方に試合に行く……そんな日が来るんやろうか)



彡(゚)(゚)(ただ一つ気がかりなことは、あいつが岩を投げたとき)

彡(゚)(゚)(ワイの教えたスライダーの握りやったことやな……)


(おしまい)
58:2018/08/15(水)00:59:53 Vaz
メッセンジャーやったんやな
67:2018/08/16(木)21:33:19 JlP
>>58
やっと意味わかった
61:2018/08/15(水)01:05:13 r3u
ちょっと小難しい話になってしまったかもしれない・・・
読んでいただきありがとうございます、おやすみなさい
63:2018/08/15(水)01:08:11 xqv
乙やで
巨人「巨人に入りたい」彡(゚)(゚)「えっ」
引用元:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1534258158