1: 2011/10/23(日) 12:41:16.36
波平「....そうか..そうだったか....」
タマ「にゃーんw」
9: 2011/10/23(日) 13:17:26.76 ID:iKKfsr9PO
フネ「いやですわ、おとうさんったら」
10: 2011/10/23(日) 13:21:58.85 ID:iKKfsr9PO
波平「かあさんは忘れとるのかもしれん、サザエー」
サザエ「はーい、なぁにとうさん」
波平「飯はまだか?」
サザエ「やぁねぇ、食べたじゃない!」
波平「お!?そうか…」
サザエ「もーとうさんったらぼけてきちゃったんじゃない?」
波平「ばっかもん!そういう事を簡単に言うな!ワシはぼけとらん!」
サザエ「いっけない、てへへ」
サザエ「はーい、なぁにとうさん」
波平「飯はまだか?」
サザエ「やぁねぇ、食べたじゃない!」
波平「お!?そうか…」
サザエ「もーとうさんったらぼけてきちゃったんじゃない?」
波平「ばっかもん!そういう事を簡単に言うな!ワシはぼけとらん!」
サザエ「いっけない、てへへ」
12: 2011/10/23(日) 13:25:28.65 ID:iKKfsr9PO
波平「おかしいな…ワシが忘れとるのか?タラちゃーん」
タラ「はーい、おじいちゃん、なんですかぁ?」
波平「その…タラちゃんはお腹すいてないか?」
タラ「お腹ですかぁ?」
波平「ごはん、食べたくないか?」
タラ「いらないですー、さっき食べたです」
波平「そうか…だよなぁ」
タラ「おじいちゃんおかしいですー」
タラ「はーい、おじいちゃん、なんですかぁ?」
波平「その…タラちゃんはお腹すいてないか?」
タラ「お腹ですかぁ?」
波平「ごはん、食べたくないか?」
タラ「いらないですー、さっき食べたです」
波平「そうか…だよなぁ」
タラ「おじいちゃんおかしいですー」
15: 2011/10/23(日) 13:31:09.58 ID:iKKfsr9PO
波平「…おかしい、ワシが忘れとるようだ…」
カツオ「とうさん、かあさんが食後のお茶はいかが?って」
波平「うむ…いただこうか」
カツオ「わかった、言ってくるね」
スー パタン
サザエ「どうだった?」
カツオ「とうさんすっかり信じてるよ姉さん」
タラ「おじいちゃん信じてるですかー」
カツオ「タラちゃんの名演技もあったからね」
サザエ「サプライズパーティーは成功しそうね」
カツオ「とうさん、かあさんが食後のお茶はいかが?って」
波平「うむ…いただこうか」
カツオ「わかった、言ってくるね」
スー パタン
サザエ「どうだった?」
カツオ「とうさんすっかり信じてるよ姉さん」
タラ「おじいちゃん信じてるですかー」
カツオ「タラちゃんの名演技もあったからね」
サザエ「サプライズパーティーは成功しそうね」
16: 2011/10/23(日) 13:35:15.02 ID:iKKfsr9PO
タラ「おじいちゃんびっくりするですー」
サザエ「とうさん自分の誕生日も忘れてるんだから」
カツオ「ふふふ、とうさんはうっかり屋だなぁ」
ワカメ「お姉ちゃん、ケーキ受け取ってきたよ」
カツオ「ワカメ、勝手口から入ってくるとは気が利くじゃないか」
ワカメ「だってサプライズだもん、おかあさんは?」
サザエ「洗濯物干してるわ、まあーおいしそうなケーキ」
カツオ「姉さんのじゃないよ」
サザエ「わかってるわよ!」
サザエ「とうさん自分の誕生日も忘れてるんだから」
カツオ「ふふふ、とうさんはうっかり屋だなぁ」
ワカメ「お姉ちゃん、ケーキ受け取ってきたよ」
カツオ「ワカメ、勝手口から入ってくるとは気が利くじゃないか」
ワカメ「だってサプライズだもん、おかあさんは?」
サザエ「洗濯物干してるわ、まあーおいしそうなケーキ」
カツオ「姉さんのじゃないよ」
サザエ「わかってるわよ!」
17: 2011/10/23(日) 13:38:36.67 ID:iKKfsr9PO
タマ「にゃーん」
サザエ「あらタマ、そのお花…」
タラ「おじいちゃんへのプレゼントですかー」
タマ「にゃーん」
ワカメ「えらいわタマ」
タラ「いいこですー」
カツオ「姉さんよりえらいや」
サザエ「カツオ!」
カツオ「えへへ」
フネ「どうしたんです、騒々しい」
サザエ「あらタマ、そのお花…」
タラ「おじいちゃんへのプレゼントですかー」
タマ「にゃーん」
ワカメ「えらいわタマ」
タラ「いいこですー」
カツオ「姉さんよりえらいや」
サザエ「カツオ!」
カツオ「えへへ」
フネ「どうしたんです、騒々しい」
18: 2011/10/23(日) 13:42:42.50 ID:iKKfsr9PO
サザエ「あ、かあさん、見て、ワカメがケーキ受け取ってきてくれたの」
タラ「タマもお花持ってきたですー」
カツオ「とうさんすっかり信じてるよ、かあさん」
ワカメ「サプライズパーティーきっと大成功よ」
フネ「ケーキ?お花?パーティー?なんですか?」
サザエ「もー、かあさんまで知らない振りしなくていいのよ」
フネ「わたし知りませんよ、なんですか、今日に限って」
カツオ「とうさんの誕生日だからでしょ」
フネ「おとうさんの…?」
タラ「タマもお花持ってきたですー」
カツオ「とうさんすっかり信じてるよ、かあさん」
ワカメ「サプライズパーティーきっと大成功よ」
フネ「ケーキ?お花?パーティー?なんですか?」
サザエ「もー、かあさんまで知らない振りしなくていいのよ」
フネ「わたし知りませんよ、なんですか、今日に限って」
カツオ「とうさんの誕生日だからでしょ」
フネ「おとうさんの…?」
19: 2011/10/23(日) 13:45:53.29 ID:iKKfsr9PO
ワカメ「おかあさん?どうしたの?」
フネ「なにがです?」
サザエ「…今日とうさんのサプライズパーティーしようって言ってたじゃない」
フネ「…?」
カツオ「かあさん…」
タラ「おばあちゃん忘れちゃったですかー」
カツオ「タラちゃん!」
サザエ「しっかりしてよかあさん!」
フネ「えぇ…サプライズ…パーティーですか…」
タラ「おばあちゃんうっかりしてますー」
カツオ「タラちゃん!」
フネ「なにがです?」
サザエ「…今日とうさんのサプライズパーティーしようって言ってたじゃない」
フネ「…?」
カツオ「かあさん…」
タラ「おばあちゃん忘れちゃったですかー」
カツオ「タラちゃん!」
サザエ「しっかりしてよかあさん!」
フネ「えぇ…サプライズ…パーティーですか…」
タラ「おばあちゃんうっかりしてますー」
カツオ「タラちゃん!」
21: 2011/10/23(日) 13:49:37.32 ID:iKKfsr9PO
波平「なんだ騒がしい」
サザエ「とうさん…」
タラ「おばあちゃんがぼけちゃったですー」
カツオ「タラちゃん!いい加減にしなよ!」
タラ「カツオお兄ちゃんこわいですー」
波平「なんじゃと?かあさん、大丈夫か?」
フネ「…えぇ…」
ワカメ「今日とうさんのサプライズパーティーするつもりだったの」
サザエ「でもかあさんすっかり忘れてて…」
サザエ「とうさん…」
タラ「おばあちゃんがぼけちゃったですー」
カツオ「タラちゃん!いい加減にしなよ!」
タラ「カツオお兄ちゃんこわいですー」
波平「なんじゃと?かあさん、大丈夫か?」
フネ「…えぇ…」
ワカメ「今日とうさんのサプライズパーティーするつもりだったの」
サザエ「でもかあさんすっかり忘れてて…」
23: 2011/10/23(日) 13:54:45.53 ID:iKKfsr9PO
波平「なんじゃ、それくらい」
サザエ「えっ?」
波平「それくらい誰にでもある、かあさんも疲れとるんじゃろう」
フネ「えぇ…そうですよね、おとうさん…」ホッ
波平「疲れとる時は寝るのが一番じゃ、ワカメ、かあさんを寝かしてあげなさい」
ワカメ「はぁい、おかあさん行こう、お布団ひいてあげる」
フネ「いえ、でも…」
波平「ゆっくり休みなさいかあさん、心配しなくていい」
フネ「…では、お言葉に甘えて…」
サザエ「えっ?」
波平「それくらい誰にでもある、かあさんも疲れとるんじゃろう」
フネ「えぇ…そうですよね、おとうさん…」ホッ
波平「疲れとる時は寝るのが一番じゃ、ワカメ、かあさんを寝かしてあげなさい」
ワカメ「はぁい、おかあさん行こう、お布団ひいてあげる」
フネ「いえ、でも…」
波平「ゆっくり休みなさいかあさん、心配しなくていい」
フネ「…では、お言葉に甘えて…」
25: 2011/10/23(日) 13:58:23.87 ID:iKKfsr9PO
波平「うむ、カツオはタラちゃんと向こうでケーキでも食べなさい」
サザエ「これはとうさんのよ」
波平「どっちみちパーティーはできんじゃろう、また買い直せばいい」
カツオ「でも…」
タラ「わーい、ケーキ食べるですー」
波平「カツオ、行きなさい」
タラ「カツオお兄ちゃん、早く食べるですー」
カツオ「タラちゃん先に食べといで」
タラ「はーいですー」
サザエ「いいの?とうさん」
サザエ「これはとうさんのよ」
波平「どっちみちパーティーはできんじゃろう、また買い直せばいい」
カツオ「でも…」
タラ「わーい、ケーキ食べるですー」
波平「カツオ、行きなさい」
タラ「カツオお兄ちゃん、早く食べるですー」
カツオ「タラちゃん先に食べといで」
タラ「はーいですー」
サザエ「いいの?とうさん」
27: 2011/10/23(日) 14:02:13.63 ID:iKKfsr9PO
波平「いいんじゃ」
タラ「うわーい、食べてくるですー」
カツオ「さすがとうさんだね、安心したよ」
サザエ「そうよ、私びっくりしちゃって、余計かあさんを不安にさせちゃったわ」
波平「サザエ」
カツオ「かあさん、そんなに疲れてるなんてなぁ」
サザエ「あんたがイタズラばかりするからよ!」
波平「サザエ、明日かあさんを病院に連れていけ」
サザエ「…え?」
カツオ「…え?」
波平「こういうのは早い方がいい」
タラ「うわーい、食べてくるですー」
カツオ「さすがとうさんだね、安心したよ」
サザエ「そうよ、私びっくりしちゃって、余計かあさんを不安にさせちゃったわ」
波平「サザエ」
カツオ「かあさん、そんなに疲れてるなんてなぁ」
サザエ「あんたがイタズラばかりするからよ!」
波平「サザエ、明日かあさんを病院に連れていけ」
サザエ「…え?」
カツオ「…え?」
波平「こういうのは早い方がいい」
31: 2011/10/23(日) 14:09:25.34 ID:iKKfsr9PO
カツオ「かあさんは疲れてるんじゃないの、とうさん」
波平「その可能性もある、かあさんを不安にさせる訳にはいかんじゃろう」
サザエ「そんな…でも大丈夫よね?とうさん」
波平「わからん、はっきりさせるために明日病院へ連れていけ」
サザエ「…わかったわ」
カツオ「でも、とうさんの誕生日忘れたからって、すぐには…」
波平「ばかもん、かあさんが…ワシの誕生日を簡単に忘れる訳なかろう」
サザエ「とうさん…」
波平「その可能性もある、かあさんを不安にさせる訳にはいかんじゃろう」
サザエ「そんな…でも大丈夫よね?とうさん」
波平「わからん、はっきりさせるために明日病院へ連れていけ」
サザエ「…わかったわ」
カツオ「でも、とうさんの誕生日忘れたからって、すぐには…」
波平「ばかもん、かあさんが…ワシの誕生日を簡単に忘れる訳なかろう」
サザエ「とうさん…」
33: 2011/10/23(日) 14:14:27.78 ID:iKKfsr9PO
波平「よっぽどのことでもない限り、そうそう忘れんわい、かあさんはそういう人だ」
カツオ「とうさん」
波平「ん、こほん、まぁそういうことだ、サザエ明日頼むぞ」
サザエ「わかったわとうさん」
カツオ「なんだ、とうさんののろけじゃないか」
波平「!ばっかもーん!!」
サザエ「いいじゃないのとうさん、そんな照れなくても」
カツオ「いやぁ、両親がラブラブで嬉しいような照れるような」
波平「こら!!サザエ!カツオ!」
サザエ&カツオ「ウッフフフ、ごめんなさーいw」
カツオ「とうさん」
波平「ん、こほん、まぁそういうことだ、サザエ明日頼むぞ」
サザエ「わかったわとうさん」
カツオ「なんだ、とうさんののろけじゃないか」
波平「!ばっかもーん!!」
サザエ「いいじゃないのとうさん、そんな照れなくても」
カツオ「いやぁ、両親がラブラブで嬉しいような照れるような」
波平「こら!!サザエ!カツオ!」
サザエ&カツオ「ウッフフフ、ごめんなさーいw」
41: 2011/10/23(日) 14:59:21.16 ID:drPofe5B0
ハッピーエンドにしてくれよ…
44: 2011/10/23(日) 15:06:52.37 ID:k6zaLDhP0
予想外に重い展開でワロエナイ
47: 2011/10/23(日) 15:14:57.47 ID:iKKfsr9PO
フネ「大げさなんですよ、おとうさんは」
サザエ「かあさんを心配してるのよ」
フネ「なにもこんな病院まで…」
サザエ「検査したらすっきりするじゃない、大丈夫よ」
フネ「そうかねぇ…」
サザエ「大丈夫だから、ほら、かあさん行ってらっしゃい」
フネ「じゃあ…行ってきます」
サザエ「待合室で待ってるからー」
フネ「はいはい」
サザエ「かあさん…大丈夫よね、きっとなんでもないわ…」
サザエ「かあさんを心配してるのよ」
フネ「なにもこんな病院まで…」
サザエ「検査したらすっきりするじゃない、大丈夫よ」
フネ「そうかねぇ…」
サザエ「大丈夫だから、ほら、かあさん行ってらっしゃい」
フネ「じゃあ…行ってきます」
サザエ「待合室で待ってるからー」
フネ「はいはい」
サザエ「かあさん…大丈夫よね、きっとなんでもないわ…」
48: 2011/10/23(日) 15:19:53.95 ID:iKKfsr9PO
フネ「…ふぅ」
サザエ「かあさん、お疲れ」
フネ「えぇ、サザエ、なんだか疲れたわ」
サザエ「検査なんてなれてないものね」
フネ「そうですよ、サザエお医者さまに聞いといてちょうだい、私休んでますから」
サザエ「わかったわかあさん」
看護婦「磯野さーん」
サザエ「はーい、じゃあかあさん、ちょっと言ってくるわね」
フネ「えぇ、頼みましたよ」
パタパタ
サザエ「…かあさんには聞かれずにすみそうね」
サザエ「かあさん、お疲れ」
フネ「えぇ、サザエ、なんだか疲れたわ」
サザエ「検査なんてなれてないものね」
フネ「そうですよ、サザエお医者さまに聞いといてちょうだい、私休んでますから」
サザエ「わかったわかあさん」
看護婦「磯野さーん」
サザエ「はーい、じゃあかあさん、ちょっと言ってくるわね」
フネ「えぇ、頼みましたよ」
パタパタ
サザエ「…かあさんには聞かれずにすみそうね」
50: 2011/10/23(日) 15:25:43.48 ID:iKKfsr9PO
医者「…少し脳が萎縮してますね…」
サザエ「えっ…」
医者「うーん、年のせいもありますが…」
サザエ「先生、あの、母は…」
医者「認知症、ですね、今はまだ軽いですが…」
サザエ「そんな…」
医者「できる限りのことをしていきましょう、認知症はご家族の協力が一番大事です」
サザエ「…はい」
医者「そう気を落とさないで」
サザエ「えっ…」
医者「うーん、年のせいもありますが…」
サザエ「先生、あの、母は…」
医者「認知症、ですね、今はまだ軽いですが…」
サザエ「そんな…」
医者「できる限りのことをしていきましょう、認知症はご家族の協力が一番大事です」
サザエ「…はい」
医者「そう気を落とさないで」
51: 2011/10/23(日) 15:30:19.81 ID:iKKfsr9PO
サザエ「…はい」
医者「認知症になる方は、今はけっこういらっしゃいますから」
サザエ「…けっこういる…」
医者「昔に比べて、サポートの施設も団体も多いですよ」
サザエ「…でも、認知症の人がいっぱいいても…かあさんは1人だけよ…」
医者「…」
サザエ「私たちのかあさん…」
医者「…そうですよね、失礼いたしました」
サザエ「先生、かあさんはいつか全部忘れちゃうんですよね?」
医者「今はなんとも言えませんが…おそらく」
医者「認知症になる方は、今はけっこういらっしゃいますから」
サザエ「…けっこういる…」
医者「昔に比べて、サポートの施設も団体も多いですよ」
サザエ「…でも、認知症の人がいっぱいいても…かあさんは1人だけよ…」
医者「…」
サザエ「私たちのかあさん…」
医者「…そうですよね、失礼いたしました」
サザエ「先生、かあさんはいつか全部忘れちゃうんですよね?」
医者「今はなんとも言えませんが…おそらく」
53: 2011/10/23(日) 15:36:10.45 ID:iKKfsr9PO
サザエ「…とうさんに相談しなくちゃ…先生、ありがとうございました」
医者「はい、また…」
サザエ「…かあさん…」
パタパタ
フネ「サザエ、お医者さまはなんて?」
サザエ「…たぶん、疲れだろうって」
フネ「そう、やっぱり、おとうさんが大げさだったわねぇ」
サザエ「かあさんが大事なのよ、とうさんは」
フネ「まぁサザエ、からかうんじゃありません」
サザエ「ウフフw(…かあさん…)」
医者「はい、また…」
サザエ「…かあさん…」
パタパタ
フネ「サザエ、お医者さまはなんて?」
サザエ「…たぶん、疲れだろうって」
フネ「そう、やっぱり、おとうさんが大げさだったわねぇ」
サザエ「かあさんが大事なのよ、とうさんは」
フネ「まぁサザエ、からかうんじゃありません」
サザエ「ウフフw(…かあさん…)」
55: 2011/10/23(日) 15:40:59.31 ID:iKKfsr9PO
ガラッ
波平「ただいまー」
フネ「おかえりなさい、おとうさん」
波平「かあさん、今日はどうだったんじゃ?」
フネ「疲れですよ、疲れ」
波平「なぁんじゃ、そうだったのか」
サザエ「とうさん、お風呂わいてるわよ」
カツオ「とうさんおかえり!」
ワカメ「おとうさん、おかあさん大丈夫ってお姉ちゃんが」
フネ「みんなに心配かけたわねぇ」
波平「ただいまー」
フネ「おかえりなさい、おとうさん」
波平「かあさん、今日はどうだったんじゃ?」
フネ「疲れですよ、疲れ」
波平「なぁんじゃ、そうだったのか」
サザエ「とうさん、お風呂わいてるわよ」
カツオ「とうさんおかえり!」
ワカメ「おとうさん、おかあさん大丈夫ってお姉ちゃんが」
フネ「みんなに心配かけたわねぇ」
56: 2011/10/23(日) 15:46:29.38 ID:iKKfsr9PO
マスオ「おかえりなさいおとうさん」
タラ「おばあちゃんぼけてなかったですー」
カツオ「タラちゃん!」
タラ「冗談でーす」
波平「みんなかあさんを心配しとったしなぁ」
フネ「えぇ、なんでもなくて良かったですわ」
サザエ「とうさん!お風呂わいてるわよってば」
波平「なんじゃサザエ、わかっとるわ」
サザエ「早く来てよ」
タラ「おばあちゃんぼけてなかったですー」
カツオ「タラちゃん!」
タラ「冗談でーす」
波平「みんなかあさんを心配しとったしなぁ」
フネ「えぇ、なんでもなくて良かったですわ」
サザエ「とうさん!お風呂わいてるわよってば」
波平「なんじゃサザエ、わかっとるわ」
サザエ「早く来てよ」
59: 2011/10/23(日) 15:52:37.67 ID:iKKfsr9PO
波平「サザエ、せかすんじゃない」
サザエ「とうさん…」
波平「サザエ…もしかして、かあさんは…」
サザエ「うん、認知症って…今はまだ軽いみたいだけど…先生が…」
波平「…なんじゃと…かあさんが…ばかな」
サザエ「とうさん、私たちどうしたらいいの?かあさんはいつか…」
波平「…今々、どうこう言えんな…かあさんを1人にせんことだ…」
サザエ「でも、それだけじゃ」
波平「また病院にも行って、先生に指導してもらわんことには…ワシにはわからん」
サザエ「とうさん…」
波平「サザエ…もしかして、かあさんは…」
サザエ「うん、認知症って…今はまだ軽いみたいだけど…先生が…」
波平「…なんじゃと…かあさんが…ばかな」
サザエ「とうさん、私たちどうしたらいいの?かあさんはいつか…」
波平「…今々、どうこう言えんな…かあさんを1人にせんことだ…」
サザエ「でも、それだけじゃ」
波平「また病院にも行って、先生に指導してもらわんことには…ワシにはわからん」
62: 2011/10/23(日) 16:00:57.33 ID:iKKfsr9PO
サザエ「…かあさん…」
波平「サザエ、泣くんじゃない」
サザエ「でも…」
波平「かあさんはまだ元気だ、しっかりしてる、これからを大事にしてやらにゃいかん」
サザエ「とうさん」
波平「かあさんは大丈夫だ、今までかあさんはずっと穏やかじゃったろう」
サザエ「うん」
波平「かあさんは変わらん、かあさんはかあさんのままだ、お前のかあさんであり、ワシの妻だ」
波平「サザエ、泣くんじゃない」
サザエ「でも…」
波平「かあさんはまだ元気だ、しっかりしてる、これからを大事にしてやらにゃいかん」
サザエ「とうさん」
波平「かあさんは大丈夫だ、今までかあさんはずっと穏やかじゃったろう」
サザエ「うん」
波平「かあさんは変わらん、かあさんはかあさんのままだ、お前のかあさんであり、ワシの妻だ」
63: 2011/10/23(日) 16:03:30.63 ID:7S5SNzDD0
泣いた
64: 2011/10/23(日) 16:03:45.98 ID:iKKfsr9PO
サザエ「とうさん…」
波平「心配するな、かあさんはワシが守る」
サザエ「…とうさん、かっこいい」
波平「んん?親をからかうんじゃない…」
サザエ「はい…ふふふ」
フネ「サザエ、おとうさん、ご飯ですよ」
波平「ほれ、行くぞ」
サザエ「うん、はーいかあさん、今手伝うわ」
パタパタ
波平「…さて、どうしたものか…」
波平「心配するな、かあさんはワシが守る」
サザエ「…とうさん、かっこいい」
波平「んん?親をからかうんじゃない…」
サザエ「はい…ふふふ」
フネ「サザエ、おとうさん、ご飯ですよ」
波平「ほれ、行くぞ」
サザエ「うん、はーいかあさん、今手伝うわ」
パタパタ
波平「…さて、どうしたものか…」
68: 2011/10/23(日) 16:09:28.42 ID:iKKfsr9PO
タラ「すぅーすぅーですー」
マスオ「タラちゃんぐっすり寝てるね」
サザエ「マスオさん」
マスオ「ん?どうしたんだい?サザエ」
サザエ「あの、かあさんのことなんだけど…実は先生に、認知症、って…」
マスオ「えぇーっ!?ほんとかい!?」
サザエ「えぇ、まだ、軽いみたいだけど…」
マスオ「おかあさんが…認知症…そんな…」
サザエ「ねぇ、マスオさん、私、どうしたらいいの?」
マスオ「タラちゃんぐっすり寝てるね」
サザエ「マスオさん」
マスオ「ん?どうしたんだい?サザエ」
サザエ「あの、かあさんのことなんだけど…実は先生に、認知症、って…」
マスオ「えぇーっ!?ほんとかい!?」
サザエ「えぇ、まだ、軽いみたいだけど…」
マスオ「おかあさんが…認知症…そんな…」
サザエ「ねぇ、マスオさん、私、どうしたらいいの?」
70: 2011/10/23(日) 16:15:29.78 ID:iKKfsr9PO
マスオ「サザエ…」
サザエ「私、いやよ、ちょっと想像しただけで、耐えられない…」
サザエ「かあさんがいつか…全部忘れちゃうなんて…私のことも、ワカメもカツオも」
マスオ「…」
サザエ「いやよ、どうしたらいいの?とうさんは守るって言うけど、どう守るの…」
マスオ「…おとうさんが言ったことは信じようよ、サザエ」
マスオ「おとうさんはおとうさんにしかできないことをするんだ、」
マスオ「だから僕たちも、僕たちにしかできないことを…」
サザエ「だって…記憶は守れないでしょう!?何かに残しておいても…」
サザエ「かあさんがそれを思い出せなかったら、なにもなかったのと同じよ…」
サザエ「私、いやよ、ちょっと想像しただけで、耐えられない…」
サザエ「かあさんがいつか…全部忘れちゃうなんて…私のことも、ワカメもカツオも」
マスオ「…」
サザエ「いやよ、どうしたらいいの?とうさんは守るって言うけど、どう守るの…」
マスオ「…おとうさんが言ったことは信じようよ、サザエ」
マスオ「おとうさんはおとうさんにしかできないことをするんだ、」
マスオ「だから僕たちも、僕たちにしかできないことを…」
サザエ「だって…記憶は守れないでしょう!?何かに残しておいても…」
サザエ「かあさんがそれを思い出せなかったら、なにもなかったのと同じよ…」
72: 2011/10/23(日) 16:20:50.65 ID:iKKfsr9PO
タラ「むにゃむにゃ…」
サザエ「タラちゃん、起きちゃったのね」
タラ「ママー、なんで泣いてるですかー?」
サザエ「泣いてないわよ、あくびよタラちゃん」
タラ「パパが泣かしたですかー?」
マスオ「ちがうよタラちゃん」
タラ「パパ許さないですー」
サザエ「大丈夫よタラちゃん、寝なさい」
タラ「パパもぼけちゃったですかー?」
サザエ「タラちゃん!」
タラ「おやすみなさいですー」
サザエ「タラちゃん、起きちゃったのね」
タラ「ママー、なんで泣いてるですかー?」
サザエ「泣いてないわよ、あくびよタラちゃん」
タラ「パパが泣かしたですかー?」
マスオ「ちがうよタラちゃん」
タラ「パパ許さないですー」
サザエ「大丈夫よタラちゃん、寝なさい」
タラ「パパもぼけちゃったですかー?」
サザエ「タラちゃん!」
タラ「おやすみなさいですー」
75: 2011/10/23(日) 16:25:02.64 ID:iKKfsr9PO
波平「…かあさんや、起きてるか?」
フネ「ふふ、はい、起きてますよ、どうしたんですか?」
波平「いや…検査のことじゃが…」
フネ「あぁ、疲れでしたよ、おとうさん」
波平「そうか…」
フネ「おとうさんが私を心配してるって、みんなが言うんですよ、からかって」
波平「まったく、しょうがない奴らじゃ」
フネ「うふふ、でも私は嬉しかったですよ、おとうさん」
波平「んん?なんじゃ、かあさんまで…」
フネ「うふふ、はいはい」
フネ「ふふ、はい、起きてますよ、どうしたんですか?」
波平「いや…検査のことじゃが…」
フネ「あぁ、疲れでしたよ、おとうさん」
波平「そうか…」
フネ「おとうさんが私を心配してるって、みんなが言うんですよ、からかって」
波平「まったく、しょうがない奴らじゃ」
フネ「うふふ、でも私は嬉しかったですよ、おとうさん」
波平「んん?なんじゃ、かあさんまで…」
フネ「うふふ、はいはい」
80: 2011/10/23(日) 16:29:20.01 ID:iKKfsr9PO
波平「…もう寝ようかあさん」
フネ「うふふ、はい」
波平「明日からは、ちょっと、ゆっくりしときなさい」
フネ「はい」
波平「おやすみ、かあさん」
フネ「おやすみなさい、おとうさん」
波平「…」
フネ「すー…すー…」
波平「かあさん…ワシは…」
波平「かあさんになにを、してあげられとったかなぁ…」
波平「なぁ、かあさん…」
フネ「うふふ、はい」
波平「明日からは、ちょっと、ゆっくりしときなさい」
フネ「はい」
波平「おやすみ、かあさん」
フネ「おやすみなさい、おとうさん」
波平「…」
フネ「すー…すー…」
波平「かあさん…ワシは…」
波平「かあさんになにを、してあげられとったかなぁ…」
波平「なぁ、かあさん…」
83: 2011/10/23(日) 16:35:15.03 ID:iKKfsr9PO
○月×日
とうさんに日記をつけるように言われた。日記ってどうやって書くんだったかしら…。
かあさんは、相変わらず。と言いたいけど、ちょっとずつ、変わってきてる。
いつもの料理の味付けがわからない。材料を忘れる。作り方を忘れる。
人の名前が出てこない。電話番号を忘れる。洗濯物を干すのを忘れる。
時々、本当に時々だけど、こういうことが起こるようになった。
今までのかあさんからは、想像つかないわ…。うっかり者は私だったのに。
でも、「サザエ」と呼ぶ声は、いつものかあさんのまま。かわらない。
とうさんに日記をつけるように言われた。日記ってどうやって書くんだったかしら…。
かあさんは、相変わらず。と言いたいけど、ちょっとずつ、変わってきてる。
いつもの料理の味付けがわからない。材料を忘れる。作り方を忘れる。
人の名前が出てこない。電話番号を忘れる。洗濯物を干すのを忘れる。
時々、本当に時々だけど、こういうことが起こるようになった。
今までのかあさんからは、想像つかないわ…。うっかり者は私だったのに。
でも、「サザエ」と呼ぶ声は、いつものかあさんのまま。かわらない。
85: 2011/10/23(日) 16:40:17.29 ID:iKKfsr9PO
○月△日
だんだん、かあさんも不安になってきてるみたい…。
「最近、どうしちゃったのかしらねぇ」ってよく言うようになった。
着物着て、縫い物してるかあさんの姿は、ずっとみてきたかあさんの姿なのに。
かあさんの中だけにある記憶は、まだちゃんとあるのかな…。
私のことも、カツオもワカメもタラちゃんも、今はちゃんと覚えてる。
もちろんとうさんのことも。とうさんは、いいなぁ。毎晩一緒に寝てて。
毎晩、どんな話をしてるのかしら。今度、かあさんと一緒に寝させてもらおう。
だんだん、かあさんも不安になってきてるみたい…。
「最近、どうしちゃったのかしらねぇ」ってよく言うようになった。
着物着て、縫い物してるかあさんの姿は、ずっとみてきたかあさんの姿なのに。
かあさんの中だけにある記憶は、まだちゃんとあるのかな…。
私のことも、カツオもワカメもタラちゃんも、今はちゃんと覚えてる。
もちろんとうさんのことも。とうさんは、いいなぁ。毎晩一緒に寝てて。
毎晩、どんな話をしてるのかしら。今度、かあさんと一緒に寝させてもらおう。
88: 2011/10/23(日) 16:46:41.43 ID:iKKfsr9PO
□月◇日
とうさんが、そろそろ、カツオたちに話そうって言ってきた。
そろそろ…っていうのが、悲しくて、こわい。覚悟を決めさせるってこと…?
カツオたちに、なんて伝えたらいいのかしら。カツオたちは疑ってもない。
「かあさん」「おかあさん」「おばあちゃん」って、今まで通りなのに。
カツオなんてまだまだイタズラをして、かあさんに怒られてる。
カツオがイタズラしても、かあさんが怒らない日が、いつかやってくる。
かあさん、まだ叱っててよ。私やとうさんじゃ足りないのよ。
かあさんが、優しく強く叱ってくれてたから…かあさん。かあさん。
とうさんが、そろそろ、カツオたちに話そうって言ってきた。
そろそろ…っていうのが、悲しくて、こわい。覚悟を決めさせるってこと…?
カツオたちに、なんて伝えたらいいのかしら。カツオたちは疑ってもない。
「かあさん」「おかあさん」「おばあちゃん」って、今まで通りなのに。
カツオなんてまだまだイタズラをして、かあさんに怒られてる。
カツオがイタズラしても、かあさんが怒らない日が、いつかやってくる。
かあさん、まだ叱っててよ。私やとうさんじゃ足りないのよ。
かあさんが、優しく強く叱ってくれてたから…かあさん。かあさん。
92: 2011/10/23(日) 16:52:55.79 ID:iKKfsr9PO
□月×日
今日、とうさんが、仕事帰りにかあさんへ花束を買って帰ってきた。
かあさんは「まぁおとうさん、ありがとうございます」って、
にこにこ、ずーっとお花を見てにこにこしてて、嬉しそうだった。
「おとうさん、どうしたんですか突然」なんて言ってても、にこにこ。
かあさん照れて、顔赤くなっちゃって。私も嬉しかったわよ、かあさん。
かあさん、良かったね。とうさんからの、本当に気持ちのこもった花束よ。
みんな、知らないから、みんなにこにこ。みんな、かあさんの分まで覚えてようね。
明日、カツオたちに話すことに決まった。
今日、とうさんが、仕事帰りにかあさんへ花束を買って帰ってきた。
かあさんは「まぁおとうさん、ありがとうございます」って、
にこにこ、ずーっとお花を見てにこにこしてて、嬉しそうだった。
「おとうさん、どうしたんですか突然」なんて言ってても、にこにこ。
かあさん照れて、顔赤くなっちゃって。私も嬉しかったわよ、かあさん。
かあさん、良かったね。とうさんからの、本当に気持ちのこもった花束よ。
みんな、知らないから、みんなにこにこ。みんな、かあさんの分まで覚えてようね。
明日、カツオたちに話すことに決まった。
96: 2011/10/23(日) 17:01:49.89 ID:IsJA4sGq0
胸が痛い
100: 2011/10/23(日) 17:09:05.74 ID:iKKfsr9PO
カツオ「…え?」
ワカメ「どういうこと…なの?おとうさん…」
サザエ「…」
カツオ「とうさん」
波平「かあさんは…認知症、というやつになったんじゃ」
カツオ「かあさんが…」
タラ「おばあちゃんぼけちゃうです…」
ワカメ「本当なの?お姉ちゃん」
サザエ「…本当よ」
カツオ「やだよ…とうさん、治らないの?ねぇ」
ワカメ「どういうこと…なの?おとうさん…」
サザエ「…」
カツオ「とうさん」
波平「かあさんは…認知症、というやつになったんじゃ」
カツオ「かあさんが…」
タラ「おばあちゃんぼけちゃうです…」
ワカメ「本当なの?お姉ちゃん」
サザエ「…本当よ」
カツオ「やだよ…とうさん、治らないの?ねぇ」
104: 2011/10/23(日) 17:14:13.52 ID:iKKfsr9PO
波平「治ることは…ない、ただ、進行をゆっくりとすることはできるらしい」
カツオ「ゆっくりじゃだめだよ、治らなきゃ!」
サザエ「カツオ…」
カツオ「姉さんもとうさんも、かあさんのこと諦めてるの!?」
波平「そうではない」
カツオ「じゃあとうさん、なんとかしてよ!なんとかしてよ!」
サザエ「カツオ…」
ワカメ「おとうさんおかあさんを助けて、お願いおとうさん」
タラ「おばあちゃん僕たちを忘れちゃうですー」
カツオ「とうさん!」
カツオ「ゆっくりじゃだめだよ、治らなきゃ!」
サザエ「カツオ…」
カツオ「姉さんもとうさんも、かあさんのこと諦めてるの!?」
波平「そうではない」
カツオ「じゃあとうさん、なんとかしてよ!なんとかしてよ!」
サザエ「カツオ…」
ワカメ「おとうさんおかあさんを助けて、お願いおとうさん」
タラ「おばあちゃん僕たちを忘れちゃうですー」
カツオ「とうさん!」
106: 2011/10/23(日) 17:23:12.99 ID:iKKfsr9PO
波平「諦めてなどおらん…当然じゃ、大事なかあさんじゃないか」
カツオ「だったら…」
波平「でもな、カツオ、止められないんじゃ」
カツオ「とうさん」
波平「かあさんを、いっぱい、笑顔にしよう、カツオ」
ワカメ「…おかあさんー」
波平「ワカメ、かあさんに、料理のことでもなんでも聞きなさい」
カツオ「…かあさん…」
波平「サザエ、カツオ、ワカメ」
波平「かあさんに、いっぱい、いっぱい、甘えなさい」
カツオ「だったら…」
波平「でもな、カツオ、止められないんじゃ」
カツオ「とうさん」
波平「かあさんを、いっぱい、笑顔にしよう、カツオ」
ワカメ「…おかあさんー」
波平「ワカメ、かあさんに、料理のことでもなんでも聞きなさい」
カツオ「…かあさん…」
波平「サザエ、カツオ、ワカメ」
波平「かあさんに、いっぱい、いっぱい、甘えなさい」
109: 2011/10/23(日) 17:30:06.69 ID:iKKfsr9PO
カツオ「とうさん…僕、やっぱりいやだよ…」
ワカメ「私も…悲しいわ、やだ、おかあさん…」
波平「左様、お前たちに納得してほしいなど思っとらん」
サザエ「とうさん」
波平「ワシは、お前たちに、かあさんと思い出をもっと作って欲しいんじゃ」
カツオ「でも、かあさんは忘れちゃう…そんなの、覚えてる僕たちが悲しいだけじゃないか」
波平「ばかもん!かあさんの分までお前たちが覚えておくんじゃ!」
ワカメ「私たちが?」
波平「なんでもないことでも、思い出そのものがかあさんなんじゃ、わかるか?」
ワカメ「私も…悲しいわ、やだ、おかあさん…」
波平「左様、お前たちに納得してほしいなど思っとらん」
サザエ「とうさん」
波平「ワシは、お前たちに、かあさんと思い出をもっと作って欲しいんじゃ」
カツオ「でも、かあさんは忘れちゃう…そんなの、覚えてる僕たちが悲しいだけじゃないか」
波平「ばかもん!かあさんの分までお前たちが覚えておくんじゃ!」
ワカメ「私たちが?」
波平「なんでもないことでも、思い出そのものがかあさんなんじゃ、わかるか?」
111: 2011/10/23(日) 17:34:32.77 ID:iKKfsr9PO
波平「かあさんは…お前たちのことが本当に大切で大好きなのじゃ」
ワカメ「ひっく…」
波平「それはわかるじゃろう?」
カツオ「わかるよ…それくらい僕にだって」
波平「じゃから、かあさんとの思い出をいつまでも覚えておくということは」
波平「いつまでももかあさんの愛を覚えておける、思い出せるということなんじゃ」
サザエ「とうさん…」
波平「いいか、磯野家団結の時じゃ」
波平「かあさんを目一杯笑顔にするんじゃ、みんなでな」
ワカメ「ひっく…」
波平「それはわかるじゃろう?」
カツオ「わかるよ…それくらい僕にだって」
波平「じゃから、かあさんとの思い出をいつまでも覚えておくということは」
波平「いつまでももかあさんの愛を覚えておける、思い出せるということなんじゃ」
サザエ「とうさん…」
波平「いいか、磯野家団結の時じゃ」
波平「かあさんを目一杯笑顔にするんじゃ、みんなでな」
117: 2011/10/23(日) 17:40:57.85 ID:iKKfsr9PO
×月○日
今日、とうさんがみんなに話した。ワカメもカツオも、泣いていた。
あの子たち、まだ幼いのに、それでも、一生懸命受け止めようとしていた。
もっと、もっと、かあさんに甘えて過ごしたらいいわ。
カツオもワカメもまだ小学生。中学高校って、かあさんに見せたかった。
かあさん、かあさん。お袋の味教えてね、かあさん。
かあさん。もっと「サザエ」って呼んでね、かあさん。
私の声、私のこと、いつまでも忘れないで欲しいよ、かあさん
今日、とうさんがみんなに話した。ワカメもカツオも、泣いていた。
あの子たち、まだ幼いのに、それでも、一生懸命受け止めようとしていた。
もっと、もっと、かあさんに甘えて過ごしたらいいわ。
カツオもワカメもまだ小学生。中学高校って、かあさんに見せたかった。
かあさん、かあさん。お袋の味教えてね、かあさん。
かあさん。もっと「サザエ」って呼んでね、かあさん。
私の声、私のこと、いつまでも忘れないで欲しいよ、かあさん
119: 2011/10/23(日) 17:46:32.55 ID:iKKfsr9PO
×月○日
今日とうさんから、かあさんの病気のことを聞いた。
最近のかあさんはおっちょこちょいだなぁ、なんて思ってたけど…。
こんなことになるなら、イタズラなんてしなければ良かった。
僕は、今まで、かあさんをいっぱい困らせてた。ごめんなさい、かあさん。
今からじゃもう、遅いのかな。かあさん、僕いい子になるから、お願い。
かあさん僕のこと忘れないでよ。僕いい子になるから。お願いだよかあさん。
かあさん、僕、自慢の息子になるから。お願い。
今日とうさんから、かあさんの病気のことを聞いた。
最近のかあさんはおっちょこちょいだなぁ、なんて思ってたけど…。
こんなことになるなら、イタズラなんてしなければ良かった。
僕は、今まで、かあさんをいっぱい困らせてた。ごめんなさい、かあさん。
今からじゃもう、遅いのかな。かあさん、僕いい子になるから、お願い。
かあさん僕のこと忘れないでよ。僕いい子になるから。お願いだよかあさん。
かあさん、僕、自慢の息子になるから。お願い。
122: 2011/10/23(日) 17:54:06.24 ID:iKKfsr9PO
×月○日
おとうさんから、おかあさんの病気のことを聞いた。なんでもっと早く教えてくれなかったのかしら
ゆっくり、いろんなこと忘れていく病気だなんて、ひどい病気だわ。
おかあさん、私、縫い物もご飯も、まだまだ全然できないのよ。
もっと、いろんなこと教えて欲しいよ、おかあさん。ねぇ、おかあさん。
私がお嫁にいくときも、相談乗って欲しいよおかあさん。
私の花嫁姿も、知らない人に見えちゃうの?ほんとに忘れちゃうの?
おかあさん、おかあさん、ずっと私のおかあさんでいてよ。
忘れないでよ、おかあさん、お願い、おかあさん
おとうさんから、おかあさんの病気のことを聞いた。なんでもっと早く教えてくれなかったのかしら
ゆっくり、いろんなこと忘れていく病気だなんて、ひどい病気だわ。
おかあさん、私、縫い物もご飯も、まだまだ全然できないのよ。
もっと、いろんなこと教えて欲しいよ、おかあさん。ねぇ、おかあさん。
私がお嫁にいくときも、相談乗って欲しいよおかあさん。
私の花嫁姿も、知らない人に見えちゃうの?ほんとに忘れちゃうの?
おかあさん、おかあさん、ずっと私のおかあさんでいてよ。
忘れないでよ、おかあさん、お願い、おかあさん
125: 2011/10/23(日) 17:58:46.21 ID:iKKfsr9PO
フネ「今日はみんな、静かですねぇ、おとうさん」
波平「宿題でもしとるのだろう、いいことだ」
フネ「あら、カツオもですかねぇ、ふふ」
波平「…なぁ、かあさんや」
フネ「はい?なんです、おとうさん」
波平「ワシは、かあさんに、いろいろ苦労をかけてきた」
フネ「なんですか、いきなり」
波平「かあさん、かあさんはワシと結婚して、一番嬉しかったことはなんだ?」
フネ「どうしたんですか、おとうさんったら、ふふ」
波平「宿題でもしとるのだろう、いいことだ」
フネ「あら、カツオもですかねぇ、ふふ」
波平「…なぁ、かあさんや」
フネ「はい?なんです、おとうさん」
波平「ワシは、かあさんに、いろいろ苦労をかけてきた」
フネ「なんですか、いきなり」
波平「かあさん、かあさんはワシと結婚して、一番嬉しかったことはなんだ?」
フネ「どうしたんですか、おとうさんったら、ふふ」
127: 2011/10/23(日) 18:03:04.56 ID:iKKfsr9PO
波平「…そうだな、すまん、聞くようなことじゃないな、こりゃ」
フネ「うふふ、おとうさん」
波平「ん?なんだ」
フネ「わたしは全部、嬉しかったですよ」
波平「かあさん…」
フネ「一番なんてありません、全部ですよ、おとうさん」
波平「そうか…かあさん、そうか…」
フネ「いやですよおとうさん、改まって聞くんですから」
波平「いや…かあさん、ありがとう…ありがとう」
波平「ワシと結婚してくれて…本当にありがとう」
フネ「わたしこそですよ、おとうさん、もらってくれてありがとうございます、うふふ」
フネ「うふふ、おとうさん」
波平「ん?なんだ」
フネ「わたしは全部、嬉しかったですよ」
波平「かあさん…」
フネ「一番なんてありません、全部ですよ、おとうさん」
波平「そうか…かあさん、そうか…」
フネ「いやですよおとうさん、改まって聞くんですから」
波平「いや…かあさん、ありがとう…ありがとう」
波平「ワシと結婚してくれて…本当にありがとう」
フネ「わたしこそですよ、おとうさん、もらってくれてありがとうございます、うふふ」
138: 2011/10/23(日) 18:22:28.93 ID:iKKfsr9PO
フネ「サザエ、サザエ」
サザエ「はーい、どうしたの?かあさん」
フネ「このお料理は…どうやって作るんだったけねぇ…」
サザエ「かあさん…」
フネ「いやね、忘れちゃって、恥ずかしい」
サザエ「かあさん、うっかりくらい誰でもするわよ、一緒に作りましょう」
フネ「悪いわねぇ、サザエ」
サザエ「そんなのいいのよかあさん、気にしないで」
フネ「ありがとうね、サザエ」
サザエ「はーい、どうしたの?かあさん」
フネ「このお料理は…どうやって作るんだったけねぇ…」
サザエ「かあさん…」
フネ「いやね、忘れちゃって、恥ずかしい」
サザエ「かあさん、うっかりくらい誰でもするわよ、一緒に作りましょう」
フネ「悪いわねぇ、サザエ」
サザエ「そんなのいいのよかあさん、気にしないで」
フネ「ありがとうね、サザエ」
140: 2011/10/23(日) 18:26:59.25 ID:iKKfsr9PO
フネ「ワカメ」
ワカメ「なぁにおかあさん」
フネ「…あら、なんだったかしら」
ワカメ「おかあさん忘れちゃったの?」
フネ「そうみたい、ふふ、恥ずかしいわ」
ワカメ「おかあさんったら、ふふ」
フネ「思い出したら言いますからね」
ワカメ「はぁい、おかあさん」
フネ「ん?」
ワカメ「おかあさん…おみそ汁、今日一緒に作りたい」
フネ「あら、まぁ、じゃあ一緒に作りましょう、ワカメ」
ワカメ「なぁにおかあさん」
フネ「…あら、なんだったかしら」
ワカメ「おかあさん忘れちゃったの?」
フネ「そうみたい、ふふ、恥ずかしいわ」
ワカメ「おかあさんったら、ふふ」
フネ「思い出したら言いますからね」
ワカメ「はぁい、おかあさん」
フネ「ん?」
ワカメ「おかあさん…おみそ汁、今日一緒に作りたい」
フネ「あら、まぁ、じゃあ一緒に作りましょう、ワカメ」
142: 2011/10/23(日) 18:31:06.79 ID:iKKfsr9PO
フネ「カツオー、カツオ」
カツオ「はぁい、呼んだ?かあさん」
フネ「中嶋くんが来てますよ」
カツオ「あ、いっけね」
フネ「野球に行くの?気をつけて行ってらっしゃい」
カツオ「はい、かあさん」
フネ「ふふふ」
カツオ「かあさん、帰ったら宿題ちゃんとするからね」
フネ「はいはい、わかりました」
カツオ「えへへ」
フネ「じゃあ、サッカー楽しんでいらっしゃいな、カツオ」
カツオ「…うん、行ってきます、かあさん」
カツオ「はぁい、呼んだ?かあさん」
フネ「中嶋くんが来てますよ」
カツオ「あ、いっけね」
フネ「野球に行くの?気をつけて行ってらっしゃい」
カツオ「はい、かあさん」
フネ「ふふふ」
カツオ「かあさん、帰ったら宿題ちゃんとするからね」
フネ「はいはい、わかりました」
カツオ「えへへ」
フネ「じゃあ、サッカー楽しんでいらっしゃいな、カツオ」
カツオ「…うん、行ってきます、かあさん」
156: 2011/10/23(日) 18:57:31.26 ID:iKKfsr9PO
ワカメ「おかあさーん」
フネ「あぁ、サザエ」
ワカメ「えっ…とあの…」
フネ「?サザエ?」
ワカメ「わたし…ワカメよ…」
フネ「あら、ワカメごめんね、名前間違えちゃうなんてね」
ワカメ「ううん、いいの」
フネ「やだわ、ほんと…ごめんね、サザエ」
ワカメ「えと、おかあさん、電話よ」
フネ「あぁ、はいはい」
ワカメ「おかあさん…」
サザエ「ワカメ、大丈夫?」
ワカメ「お姉ちゃん…ぐす…」
フネ「あぁ、サザエ」
ワカメ「えっ…とあの…」
フネ「?サザエ?」
ワカメ「わたし…ワカメよ…」
フネ「あら、ワカメごめんね、名前間違えちゃうなんてね」
ワカメ「ううん、いいの」
フネ「やだわ、ほんと…ごめんね、サザエ」
ワカメ「えと、おかあさん、電話よ」
フネ「あぁ、はいはい」
ワカメ「おかあさん…」
サザエ「ワカメ、大丈夫?」
ワカメ「お姉ちゃん…ぐす…」
166: 2011/10/23(日) 19:14:14.63 ID:iKKfsr9PO
ガラッ
マスオ「ただいまー」
サザエ「おかえりなさい、マスオさん」
マスオ「かあさんの様子は…?」
サザエ「うん…あんまり…」
フネ「サザエ…?」
サザエ「あ、かあさん」
フネ「…?」
サザエ「えっ…」
マスオ「ただいまです、おかあさん」
フネ「あっ、おかえりなさい、マスオさん」
サザエ「…かあさん」
マスオ「ただいまー」
サザエ「おかえりなさい、マスオさん」
マスオ「かあさんの様子は…?」
サザエ「うん…あんまり…」
フネ「サザエ…?」
サザエ「あ、かあさん」
フネ「…?」
サザエ「えっ…」
マスオ「ただいまです、おかあさん」
フネ「あっ、おかえりなさい、マスオさん」
サザエ「…かあさん」
168: 2011/10/23(日) 19:23:32.38 ID:iKKfsr9PO
フネ「おとうさん、お茶はいかがですか」
波平「うむ、もらおうか」
フネ「はい」
波平「ありがとう、かあさん」
フネ「ふふふ」
波平「ん?なんだかあさん」
フネ「サザエにもワカメにもいい人が見つかるといいですねぇ」
波平「…そうだな」
フネ「ふふふ」
波平「かあさん、お茶、うまいな」
フネ「ふふ、ありがとうございます」
波平「うむ、もらおうか」
フネ「はい」
波平「ありがとう、かあさん」
フネ「ふふふ」
波平「ん?なんだかあさん」
フネ「サザエにもワカメにもいい人が見つかるといいですねぇ」
波平「…そうだな」
フネ「ふふふ」
波平「かあさん、お茶、うまいな」
フネ「ふふ、ありがとうございます」
174: 2011/10/23(日) 19:45:33.18 ID:iKKfsr9PO
フネ「カツオーカツオー」
波平「かあさん!」
フネ「カツオーー」
サザエ「どうしたのかあさん!」
フネ「カツオーカツオーー」
カツオ「かあさん、僕ここにいるよ!かあさん!」
フネ「カツオー」
カツオ「かあさん!僕だよ!かあさん!かあさん!」
フネ「カツオ…」
カツオ「僕だよ、かあさんの息子、カツオだよ、ねぇかあさん…」
フネ「カツオ…ごめんね…かあさん、どうしちゃったのかしらねぇ…」
波平「かあさん!」
フネ「カツオーー」
サザエ「どうしたのかあさん!」
フネ「カツオーカツオーー」
カツオ「かあさん、僕ここにいるよ!かあさん!」
フネ「カツオー」
カツオ「かあさん!僕だよ!かあさん!かあさん!」
フネ「カツオ…」
カツオ「僕だよ、かあさんの息子、カツオだよ、ねぇかあさん…」
フネ「カツオ…ごめんね…かあさん、どうしちゃったのかしらねぇ…」
178: 2011/10/23(日) 19:56:29.06 ID:iKKfsr9PO
フネ「サザエ…」
サザエ「かあさん」
フネ「最近…わたし…変じゃないかねぇ…」
サザエ「えっ…」
フネ「もう、年だからねぇ…仕方ないのかね…」
サザエ「そんな…かあさん…」
フネ「ごめんねぇサザエ…」
サザエ「かあさん…」
フネ「サザエやみんなに苦労かけて…」
フネ「わたし、なにやってるのかしらね…」
フネ「ごめんねぇサザエ…ごめんね…」
サザエ「かあさん、苦労なんて…したことないわよ、かあさん…」
サザエ「かあさん」
フネ「最近…わたし…変じゃないかねぇ…」
サザエ「えっ…」
フネ「もう、年だからねぇ…仕方ないのかね…」
サザエ「そんな…かあさん…」
フネ「ごめんねぇサザエ…」
サザエ「かあさん…」
フネ「サザエやみんなに苦労かけて…」
フネ「わたし、なにやってるのかしらね…」
フネ「ごめんねぇサザエ…ごめんね…」
サザエ「かあさん、苦労なんて…したことないわよ、かあさん…」
191: 2011/10/23(日) 20:15:09.44 ID:iKKfsr9PO
トントン
波平「ん、誰だ」
カツオ「とうさん…」
波平「カツオ…どうした」
カツオ「あのさ、とうさん、かあさんは…だんだん忘れてきてるよね」
波平「…だんだんとな」
カツオ「いつか、僕たちのこと、全部忘れちゃうんだよね」
波平「うむ…」
カツオ「ねぇとうさん、記憶って、なくなったらそれっきりなの?」
カツオ「もう思い出せないの?消えちゃうってこと?」
波平「ん、誰だ」
カツオ「とうさん…」
波平「カツオ…どうした」
カツオ「あのさ、とうさん、かあさんは…だんだん忘れてきてるよね」
波平「…だんだんとな」
カツオ「いつか、僕たちのこと、全部忘れちゃうんだよね」
波平「うむ…」
カツオ「ねぇとうさん、記憶って、なくなったらそれっきりなの?」
カツオ「もう思い出せないの?消えちゃうってこと?」
199: 2011/10/23(日) 20:22:39.51 ID:iKKfsr9PO
波平「ワシにもわからん…忘れていくということだけだ」
カツオ「…とうさん、人は死ぬとき、走馬灯を見るんでしょ」
波平「まぁ…事故の時などみると言うな」
カツオ「それってその人の人生の走馬灯なんでしょ?じゃあ、かあさんは?」
波平「…かあさん?」
カツオ「かあさんは、何を思い出して死んでいくの?」
波平「カツオ…」
カツオ「記憶がなくなるってことは、死ぬとき走馬灯もみれないの?」
カツオ「かあさんは死ぬとき、自分の人生をなにも思い出せないの?」
カツオ「…とうさん、人は死ぬとき、走馬灯を見るんでしょ」
波平「まぁ…事故の時などみると言うな」
カツオ「それってその人の人生の走馬灯なんでしょ?じゃあ、かあさんは?」
波平「…かあさん?」
カツオ「かあさんは、何を思い出して死んでいくの?」
波平「カツオ…」
カツオ「記憶がなくなるってことは、死ぬとき走馬灯もみれないの?」
カツオ「かあさんは死ぬとき、自分の人生をなにも思い出せないの?」
204: 2011/10/23(日) 20:39:35.78 ID:iKKfsr9PO
波平「カツオ…」
カツオ「かあさんはかあさんじゃなくなっちゃうの…?」
波平「…いや、かあさんはかあさんのままだ…」
カツオ「僕たちを忘れちゃっても?」
波平「左様、かあさんはかあさんだ」
カツオ「…じゃあ、かあさんは何か考えてるの?」
波平「どうだろうな…」
カツオ「忘れていくって、なんなんだろうね、とうさん」
波平「記憶をなくしても、かあさんの愛や優しさはかわらんよカツオ」
カツオ「…僕が知らない男の子になっても?」
カツオ「かあさんはかあさんじゃなくなっちゃうの…?」
波平「…いや、かあさんはかあさんのままだ…」
カツオ「僕たちを忘れちゃっても?」
波平「左様、かあさんはかあさんだ」
カツオ「…じゃあ、かあさんは何か考えてるの?」
波平「どうだろうな…」
カツオ「忘れていくって、なんなんだろうね、とうさん」
波平「記憶をなくしても、かあさんの愛や優しさはかわらんよカツオ」
カツオ「…僕が知らない男の子になっても?」
208: 2011/10/23(日) 20:56:19.08 ID:iKKfsr9PO
ワカメ「…お兄ちゃん起きてる?」
カツオ「…起きてるよ」
ワカメ「お兄ちゃん、おかあさん、もうすぐなのかな」
カツオ「…なにが」
ワカメ「おかあさん…もうすぐ…いろんなこと…ぐす…」
カツオ「ワカメ…」
ワカメ「おかあさん、本当に私たちのこと忘れちゃうのかな…本当に?」
カツオ「僕も、忘れてほしくないよ…」
ワカメ「本当になの?私、まだ信じられないよ…おかあさん…」
カツオ「うん、かあさんまだ、覚えてくれてるしね…」
カツオ「…起きてるよ」
ワカメ「お兄ちゃん、おかあさん、もうすぐなのかな」
カツオ「…なにが」
ワカメ「おかあさん…もうすぐ…いろんなこと…ぐす…」
カツオ「ワカメ…」
ワカメ「おかあさん、本当に私たちのこと忘れちゃうのかな…本当に?」
カツオ「僕も、忘れてほしくないよ…」
ワカメ「本当になの?私、まだ信じられないよ…おかあさん…」
カツオ「うん、かあさんまだ、覚えてくれてるしね…」
210: 2011/10/23(日) 21:01:02.57 ID:iKKfsr9PO
ワカメ「なんかね、お兄ちゃん、私、いろいろと不思議」
カツオ「不思議って?」
ワカメ「私にとってお兄ちゃんはお兄ちゃん、おかあさんはおかあさん」
ワカメ「それを思い出せなくなるなんて、想像できなくて…不思議」
カツオ「そうだね」
ワカメ「おかあさん…おとうさんのことも忘れていって…さみしくないしら…」
カツオ「僕たちが一緒にいるから、きっと大丈夫だよ」
ワカメ「でも、おかあさんの中では、誰もわからないんだよ?おにいちゃん」
ワカメ「誰もわからないなら、自分のこともわからないんじゃないかしら…」
カツオ「不思議って?」
ワカメ「私にとってお兄ちゃんはお兄ちゃん、おかあさんはおかあさん」
ワカメ「それを思い出せなくなるなんて、想像できなくて…不思議」
カツオ「そうだね」
ワカメ「おかあさん…おとうさんのことも忘れていって…さみしくないしら…」
カツオ「僕たちが一緒にいるから、きっと大丈夫だよ」
ワカメ「でも、おかあさんの中では、誰もわからないんだよ?おにいちゃん」
ワカメ「誰もわからないなら、自分のこともわからないんじゃないかしら…」
214: 2011/10/23(日) 21:13:51.55 ID:iKKfsr9PO
カツオ「そうかもしれないけど、だから、僕らが一緒にいるんだよ」
ワカメ「…おかあさんはおかあさんじゃなくなって、誰になるのかしら」
カツオ「かあさんはかあさんだよ、とうさんも言ってたろ」
ワカメ「でも…かあさん…私をサザエって呼んだりしたわ…」
ワカメ「そのうち…私をワカメともサザエとも呼ばなくなって」
カツオ「ワカメ…」
ワカメ「おかあさん、私に買ってくれた洋服とかも、全部忘れちゃうのね」
カツオ「でも、忘れても、たぶんかあさんはまた買うよ、かあさんの優しさだから」
ワカメ「…おかあさんはおかあさんじゃなくなって、誰になるのかしら」
カツオ「かあさんはかあさんだよ、とうさんも言ってたろ」
ワカメ「でも…かあさん…私をサザエって呼んだりしたわ…」
ワカメ「そのうち…私をワカメともサザエとも呼ばなくなって」
カツオ「ワカメ…」
ワカメ「おかあさん、私に買ってくれた洋服とかも、全部忘れちゃうのね」
カツオ「でも、忘れても、たぶんかあさんはまた買うよ、かあさんの優しさだから」
217: 2011/10/23(日) 21:20:38.16 ID:iKKfsr9PO
カツオ「僕のことがわからなくなっても、僕がケガしたら介抱してくれるし」
カツオ「僕が泣いてたら慰めてくれるし、お腹すいたら食べさせてくれる」
カツオ「そういうのは変わらないんだよ、ワカメ」
ワカメ「でも…さびしい…」
カツオ「さびしくてもだよ、ワカメ、僕たちが覚えているんだよ」
カツオ「記憶と絆はイコールじゃないだろ、絆はそのまんまだ、家族なんだから」
カツオ「ただちょっと…忘れちゃっただけなんだよ…かあさんは…」
ワカメ「おかあさん…」
カツオ「ちょっと…忘れちゃうから…僕たちがかあさんの頭のかわりなんだ…」
カツオ「それだけだよ、ワカメ、な?」
カツオ「僕が泣いてたら慰めてくれるし、お腹すいたら食べさせてくれる」
カツオ「そういうのは変わらないんだよ、ワカメ」
ワカメ「でも…さびしい…」
カツオ「さびしくてもだよ、ワカメ、僕たちが覚えているんだよ」
カツオ「記憶と絆はイコールじゃないだろ、絆はそのまんまだ、家族なんだから」
カツオ「ただちょっと…忘れちゃっただけなんだよ…かあさんは…」
ワカメ「おかあさん…」
カツオ「ちょっと…忘れちゃうから…僕たちがかあさんの頭のかわりなんだ…」
カツオ「それだけだよ、ワカメ、な?」
222: 2011/10/23(日) 21:27:14.33 ID:iKKfsr9PO
ワカメ「…うん、お兄ちゃん、ありがとう…」
カツオ「もう寝ようワカメ」
ワカメ「うん…おやすみ、お兄ちゃん」
カツオ「おやすみ」
カツオ「(かあさん…)」
カツオ「(かあさん、僕も本当は…さみしいよ、かあさん…)」
カツオ「かあさん…」
ワカメ「…?おにいちゃん…?」
カツオ「かあさん…う…かあ、さん…」
ワカメ「お、おにいちゃん…う…ひっく…」
カツオ「かあさん、かあさぁん…うあ…かあさぁあん」
ワカメ「お、おかあさぁん…おかあさぁあん…ひっく…」
カツオ「もう寝ようワカメ」
ワカメ「うん…おやすみ、お兄ちゃん」
カツオ「おやすみ」
カツオ「(かあさん…)」
カツオ「(かあさん、僕も本当は…さみしいよ、かあさん…)」
カツオ「かあさん…」
ワカメ「…?おにいちゃん…?」
カツオ「かあさん…う…かあ、さん…」
ワカメ「お、おにいちゃん…う…ひっく…」
カツオ「かあさん、かあさぁん…うあ…かあさぁあん」
ワカメ「お、おかあさぁん…おかあさぁあん…ひっく…」
226: 2011/10/23(日) 21:36:03.00 ID:iKKfsr9PO
フネ「サザエーカツオーワカメー」
サザエ「かあさん、どうしたの、夜中よ…」
フネ「…サザエー」
波平「何事だ…!?」
サザエ「とうさん、かあさんが…」
波平「どうしたかあさん、ワシじゃよ」
フネ「…?」
サザエ「かあさん…」
フネ「…カツオー」
波平「かあさん…かあさん…!」
フネ「…?…」
サザエ「かあさんっ…ひっく…」
サザエ「かあさん、どうしたの、夜中よ…」
フネ「…サザエー」
波平「何事だ…!?」
サザエ「とうさん、かあさんが…」
波平「どうしたかあさん、ワシじゃよ」
フネ「…?」
サザエ「かあさん…」
フネ「…カツオー」
波平「かあさん…かあさん…!」
フネ「…?…」
サザエ「かあさんっ…ひっく…」
230: 2011/10/23(日) 21:49:27.05 ID:iKKfsr9PO
ワカメ「…おかあさん…」
フネ「あらあら、こんにちわ」
ワカメ「…こんにちわ」
フネ「どうかしたの?」
ワカメ「あの、ね、テストで100点とれたの…」
フネ「まぁ、すごいわねぇ」
ワカメ「うん…あの、頭なでなでして?」
フネ「あら、うふふ、こんなおばあちゃんでいいの?」
ワカメ「うん…お願い」
フネ「はいはい」
ワカメ「…ありがとう…(おかあさん…)」
フネ「あらあら、こんにちわ」
ワカメ「…こんにちわ」
フネ「どうかしたの?」
ワカメ「あの、ね、テストで100点とれたの…」
フネ「まぁ、すごいわねぇ」
ワカメ「うん…あの、頭なでなでして?」
フネ「あら、うふふ、こんなおばあちゃんでいいの?」
ワカメ「うん…お願い」
フネ「はいはい」
ワカメ「…ありがとう…(おかあさん…)」
240: 2011/10/23(日) 21:56:44.19 ID:iKKfsr9PO
サザエ「入るわよー」
フネ「あら…」
サザエ「うふふ、ご飯よ」
フネ「まぁ…すみませんねぇ、ありがとうございます」
サザエ「まぁいいのいいの、さ、どうぞ」
フネ「本当においしそうだこと」
サザエ「…かあさんの好きなものよ…」
フネ「なにかおっしゃった?」
サザエ「いいえ…さぁ、たーんと食べて」
フネ「いただきます…まぁ、おいしいわ、ふふ」
サザエ「良かった…」
フネ「あら…」
サザエ「うふふ、ご飯よ」
フネ「まぁ…すみませんねぇ、ありがとうございます」
サザエ「まぁいいのいいの、さ、どうぞ」
フネ「本当においしそうだこと」
サザエ「…かあさんの好きなものよ…」
フネ「なにかおっしゃった?」
サザエ「いいえ…さぁ、たーんと食べて」
フネ「いただきます…まぁ、おいしいわ、ふふ」
サザエ「良かった…」
243: 2011/10/23(日) 22:01:31.48 ID:iKKfsr9PO
フネ「うふふ…」
サザエ「…かあさん…」
フネ「いつも悪いねぇ、サザエ」
サザエ「!…かあさん…?」
フネ「…?」
サザエ「かあさん…かあさん!」
フネ「あら…どうかしたの…?」
サザエ「かあさんっ…かえってきて…かえってきてよ、かあさん!」
フネ「かあさん…わたし…?」
サザエ「かあさん!サザエよ、かあさん!」
フネ「…まぁ…」
サザエ「かあさぁん…かあさん…私のかあさんよ…ひっく…」
フネ「あらあら…」 なでなで
サザエ「…かあさん…」
フネ「いつも悪いねぇ、サザエ」
サザエ「!…かあさん…?」
フネ「…?」
サザエ「かあさん…かあさん!」
フネ「あら…どうかしたの…?」
サザエ「かあさんっ…かえってきて…かえってきてよ、かあさん!」
フネ「かあさん…わたし…?」
サザエ「かあさん!サザエよ、かあさん!」
フネ「…まぁ…」
サザエ「かあさぁん…かあさん…私のかあさんよ…ひっく…」
フネ「あらあら…」 なでなで
252: 2011/10/23(日) 22:19:01.46 ID:iKKfsr9PO
カツオ「かあさん…」
フネ「すー…すー…」
カツオ「…かあさん、寝てる」
フネ「すー…すー…」
カツオ「…かあさんの手…柔らかいなぁ、しわしわだけど…」
カツオ「…かあさん…」
フネ「…ん…」
カツオ「あ、かあさん…」
フネ「あら…?僕、どこの子…?」
カツオ「えと…あ、遊びに来たんだ」
フネ「そう、ふふふ、ここにはおばあちゃんしかいないわよ」
カツオ「えへへ…あ、あのさ、僕とお話をしようよ」
フネ「えぇ」
フネ「すー…すー…」
カツオ「…かあさん、寝てる」
フネ「すー…すー…」
カツオ「…かあさんの手…柔らかいなぁ、しわしわだけど…」
カツオ「…かあさん…」
フネ「…ん…」
カツオ「あ、かあさん…」
フネ「あら…?僕、どこの子…?」
カツオ「えと…あ、遊びに来たんだ」
フネ「そう、ふふふ、ここにはおばあちゃんしかいないわよ」
カツオ「えへへ…あ、あのさ、僕とお話をしようよ」
フネ「えぇ」
258: 2011/10/23(日) 22:26:13.21 ID:iKKfsr9PO
カツオ「あ、あのね…僕くらいの年でおかあさん大好きって…変かなぁ」
フネ「いえいえ、まさか、ちっとも変じゃないですよ」
カツオ「そ、そうだよね!」
フネ「えぇ、もちろん、僕のおかあさんも嬉しいはずよ」
カツオ「…うん、あの、僕カツオって言うんです」
フネ「そう、カツオくんていうの、いい息子さんね」
カツオ「僕…もっといい子になりたいんだ、もっと、もっと」
フネ「もうカツオくんは十分いい子ですよ、まっすぐにおかあさん大好きって言うんですから」
カツオ「…ありがとう(…かあさん)」
フネ「いえいえ、まさか、ちっとも変じゃないですよ」
カツオ「そ、そうだよね!」
フネ「えぇ、もちろん、僕のおかあさんも嬉しいはずよ」
カツオ「…うん、あの、僕カツオって言うんです」
フネ「そう、カツオくんていうの、いい息子さんね」
カツオ「僕…もっといい子になりたいんだ、もっと、もっと」
フネ「もうカツオくんは十分いい子ですよ、まっすぐにおかあさん大好きって言うんですから」
カツオ「…ありがとう(…かあさん)」
265: 2011/10/23(日) 22:33:08.05 ID:iKKfsr9PO
マスオ「タラちゃん」
タラ「なんですかパパー」
マスオ「タラちゃんは…おばあちゃんと…その…さみしくないかい?」
タラ「さみしくないかいでーす」
マスオ「た、タラちゃん!?」
タラ「おじいちゃん言ってたですー、僕たちが覚えてたら大丈夫って」
タラ「僕たちが覚えてたら、いつでもおばあちゃんに会えるですー」
タラ「だから、おばあちゃんと僕はずーっと一緒ですー」
マスオ「タラちゃん…」
タラ「どうしてパパが泣くですかー?」
マスオ「いやタラちゃん…、その通りだね、ずっとおばあちゃんとみんなは一緒だね…」
タラ「当然でーす」
タラ「なんですかパパー」
マスオ「タラちゃんは…おばあちゃんと…その…さみしくないかい?」
タラ「さみしくないかいでーす」
マスオ「た、タラちゃん!?」
タラ「おじいちゃん言ってたですー、僕たちが覚えてたら大丈夫って」
タラ「僕たちが覚えてたら、いつでもおばあちゃんに会えるですー」
タラ「だから、おばあちゃんと僕はずーっと一緒ですー」
マスオ「タラちゃん…」
タラ「どうしてパパが泣くですかー?」
マスオ「いやタラちゃん…、その通りだね、ずっとおばあちゃんとみんなは一緒だね…」
タラ「当然でーす」
269: 2011/10/23(日) 22:40:19.44 ID:iKKfsr9PO
波平「よっこいしょ…」
フネ「あら…」
波平「…かあさんや…」
フネ「…?」
波平「…いや、なんでもないですよ」
フネ「そうですか、ふふ」
波平「綺麗な月ですなぁ」
フネ「ほんと、綺麗ですねぇ」
波平「あなたと見るからでしょうなぁ」
フネ「いやですわ、そんな…」
波平「いやいや、本当です」
フネ「まぁ、もう…ふふ」
フネ「あら…」
波平「…かあさんや…」
フネ「…?」
波平「…いや、なんでもないですよ」
フネ「そうですか、ふふ」
波平「綺麗な月ですなぁ」
フネ「ほんと、綺麗ですねぇ」
波平「あなたと見るからでしょうなぁ」
フネ「いやですわ、そんな…」
波平「いやいや、本当です」
フネ「まぁ、もう…ふふ」
279: 2011/10/23(日) 22:48:15.66 ID:iKKfsr9PO
波平「昔の話なんですがね、気立てのいい女性がいて、すぐ好きになりましてね」
フネ「まぁ、そうなんですか」
波平「その女性とも、よく、こうして月を見とったんですわ」
フネ「あらあら、ふふ」
波平「贅沢させてもやれんのに、飽きることなく月をにこにこ眺めてってですな」
フネ「うふふ」
波平「その横顔が綺麗でなぁ、私は飽きることなくその横顔を眺めとったのです」
フネ「まぁ、ロマンチックですね、ふふ」
波平「お恥ずかしい」
フネ「素敵なお二人ですね」
フネ「まぁ、そうなんですか」
波平「その女性とも、よく、こうして月を見とったんですわ」
フネ「あらあら、ふふ」
波平「贅沢させてもやれんのに、飽きることなく月をにこにこ眺めてってですな」
フネ「うふふ」
波平「その横顔が綺麗でなぁ、私は飽きることなくその横顔を眺めとったのです」
フネ「まぁ、ロマンチックですね、ふふ」
波平「お恥ずかしい」
フネ「素敵なお二人ですね」
285: 2011/10/23(日) 22:53:28.13 ID:iKKfsr9PO
波平「ワシはどうだったか知りませんが、あれは素敵な女性だったんですわ」
フネ「あなたも素敵ですよ、そんなロマンチックなお話を聞かせてくれたんですもの」
波平「…かあさん…」
フネ「はい?なにか?」
波平「いえ…それにしても綺麗ですなぁ」
フネ「そうですねぇ」
波平「あなたと見るから綺麗なんですな」
フネ「あら、またおっしゃって…ふふ」
波平「ワシも、全部全部嬉しかったんですわ」
波平「一番なんてない、全部嬉しかったんです」
波平「一番があるとしたら、かあさんだけじゃった」
フネ「ふふ、そうなんですねぇ、うふふ」
フネ「あなたも素敵ですよ、そんなロマンチックなお話を聞かせてくれたんですもの」
波平「…かあさん…」
フネ「はい?なにか?」
波平「いえ…それにしても綺麗ですなぁ」
フネ「そうですねぇ」
波平「あなたと見るから綺麗なんですな」
フネ「あら、またおっしゃって…ふふ」
波平「ワシも、全部全部嬉しかったんですわ」
波平「一番なんてない、全部嬉しかったんです」
波平「一番があるとしたら、かあさんだけじゃった」
フネ「ふふ、そうなんですねぇ、うふふ」
290: 2011/10/23(日) 23:04:16.25 ID:iKKfsr9PO
サザエ「もしもーし」
フネ「あら…」
サザエ「お外で写真とりましょう」
フネ「写真…?」
ワカメ「うん、写真!お願い、一緒にとりたいの」
フネ「まぁ、わたしと?」
カツオ「かあさ…うん、是非一緒にとりたいんだ」
波平「ワシからもお願いします」
フネ「えぇ…こんなおばあちゃんとでいいなら…ふふ」
ワカメ「やったぁ!」
カツオ「やったね!一緒に外に行こうよ」
ワカメ「あ、ずるいおにいちゃん、私も手つなぐ!」
フネ「あら…」
サザエ「お外で写真とりましょう」
フネ「写真…?」
ワカメ「うん、写真!お願い、一緒にとりたいの」
フネ「まぁ、わたしと?」
カツオ「かあさ…うん、是非一緒にとりたいんだ」
波平「ワシからもお願いします」
フネ「えぇ…こんなおばあちゃんとでいいなら…ふふ」
ワカメ「やったぁ!」
カツオ「やったね!一緒に外に行こうよ」
ワカメ「あ、ずるいおにいちゃん、私も手つなぐ!」
292: 2011/10/23(日) 23:07:55.73 ID:iKKfsr9PO
フネ「はいはい…うふふ」
サザエ「…とうさん」
波平「ん?なんだサザエ」
サザエ「…ここ最近、かあさんはもう、チラッとも私たちを思い出さないわ」
波平「そうか…」
サザエ「今までの、時々戻る瞬間が奇跡だったのね」
波平「左様…変わらんのになぁ」
サザエ「なにが?」
波平「かあさんだよ、ほら、見なさい」
波平「笑う顔も声も、やっぱりかあさんだなぁ」
サザエ「…とうさん」
波平「ん?なんだサザエ」
サザエ「…ここ最近、かあさんはもう、チラッとも私たちを思い出さないわ」
波平「そうか…」
サザエ「今までの、時々戻る瞬間が奇跡だったのね」
波平「左様…変わらんのになぁ」
サザエ「なにが?」
波平「かあさんだよ、ほら、見なさい」
波平「笑う顔も声も、やっぱりかあさんだなぁ」
295: 2011/10/23(日) 23:12:53.00 ID:iKKfsr9PO
カツオ「姉さん早くー」
ワカメ「そうよ、早くー」
サザエ「わかったわよー」
波平「まったく…」
サザエ「はーい、みんな寄ってー」
フネ「ふふふ」
サザエ「あと、みんな笑うのよ~、いい笑顔でね!」
カツオ「…えへへ」
ワカメ「…えへ」
波平「うむ…」
サザエ「とうさんちゃんと笑って」
ワカメ「そうよ、早くー」
サザエ「わかったわよー」
波平「まったく…」
サザエ「はーい、みんな寄ってー」
フネ「ふふふ」
サザエ「あと、みんな笑うのよ~、いい笑顔でね!」
カツオ「…えへへ」
ワカメ「…えへ」
波平「うむ…」
サザエ「とうさんちゃんと笑って」
297: 2011/10/23(日) 23:17:50.26 ID:iKKfsr9PO
波平「そうは言ってもだな…慣れてないものは…」
フネ「うふふ」
サザエ「あ、そうよー、かあさん良い笑顔よー」
サザエ「(あっ)」
カツオ「(かあさん…)ぐす」
ワカメ「(おかあさん…)ひく…」
波平「(カツオ…ワカメ…)」
サザエ「ちょっとー何て顔してるのよ、ワカメとカツオ」
サザエ「もっと…ちゃんと笑いなさいよ…ひく」
波平「ばかもん、泣く奴があるか、ちゃんと…」
フネ「そうですよ、サザエ」
フネ「うふふ」
サザエ「あ、そうよー、かあさん良い笑顔よー」
サザエ「(あっ)」
カツオ「(かあさん…)ぐす」
ワカメ「(おかあさん…)ひく…」
波平「(カツオ…ワカメ…)」
サザエ「ちょっとー何て顔してるのよ、ワカメとカツオ」
サザエ「もっと…ちゃんと笑いなさいよ…ひく」
波平「ばかもん、泣く奴があるか、ちゃんと…」
フネ「そうですよ、サザエ」
309: 2011/10/23(日) 23:25:11.69 ID:iKKfsr9PO
サザエ「!!!!!かあさん!!?」
フネ「しっかりしなさい、サザエ、あなたが家を守るんですよ」
カツオ「かあさん!!!??」
ワカメ「おかあさん!!!??」
フネ「カツオ、のびのびと生きなさい、ワカメもやりたいことをしなさい」
波平「か…かあさん…!!!??」
フネ「おとうさん…幸せを教えてくれてありがとうございます」
波平「かあさん…!!!」
フネ「みんなの気持ちは届いてますよ、本当にありがとうね」
サザエ「かあさぁあん!」
カツオ「かぁさん!」
ワカメ「おかあさぁん!」
フネ「しっかりしなさい、サザエ、あなたが家を守るんですよ」
カツオ「かあさん!!!??」
ワカメ「おかあさん!!!??」
フネ「カツオ、のびのびと生きなさい、ワカメもやりたいことをしなさい」
波平「か…かあさん…!!!??」
フネ「おとうさん…幸せを教えてくれてありがとうございます」
波平「かあさん…!!!」
フネ「みんなの気持ちは届いてますよ、本当にありがとうね」
サザエ「かあさぁあん!」
カツオ「かぁさん!」
ワカメ「おかあさぁん!」
318: 2011/10/23(日) 23:30:50.43 ID:iKKfsr9PO
フネ「あらあら…ふふ…」ぎゅっ…
波平「かあさん…ワシは…ワシは…」
フネ「…」
フネ「あら、どうかされたんですか?」
波平「…かあさん…」
サザエ「え…かあさん?」
フネ「まぁ、みんな泣いて…どうしたんです?」
カツオ「…もう、終わり…?」
フネ「…?」
ワカメ「ひっく…おかあさん…」
波平「かあさん…」ぎゅっ
フネ「えっ、あ、あの…」オロオロ
波平「かあさん…ワシは…ワシは…」
フネ「…」
フネ「あら、どうかされたんですか?」
波平「…かあさん…」
サザエ「え…かあさん?」
フネ「まぁ、みんな泣いて…どうしたんです?」
カツオ「…もう、終わり…?」
フネ「…?」
ワカメ「ひっく…おかあさん…」
波平「かあさん…」ぎゅっ
フネ「えっ、あ、あの…」オロオロ
325: 2011/10/23(日) 23:37:05.32 ID:iKKfsr9PO
カツオ「あっとうさん…だめだ」
サザエ「しっ、いいのよ」
フネ「あ、あの…」
波平「かあさん、届いとるぞ!ワシらにもちゃんと!」
波平「かあさんの気持ち、ちゃんと届いとるぞ!だから安心しなさい!」
フネ「…」
波平「だから…だから…」
フネ「あら…まぁ、どうしましょう、皆さんのがうつってしまったみたい」
フネ「ふふ、なんでかしらね、こんなおばあちゃんが泣くなんて、変よね、ふふ」
カツオ「…全然変じゃないよ…かあさん…」
フネ「うふふ…おかしいわねぇ」
サザエ「しっ、いいのよ」
フネ「あ、あの…」
波平「かあさん、届いとるぞ!ワシらにもちゃんと!」
波平「かあさんの気持ち、ちゃんと届いとるぞ!だから安心しなさい!」
フネ「…」
波平「だから…だから…」
フネ「あら…まぁ、どうしましょう、皆さんのがうつってしまったみたい」
フネ「ふふ、なんでかしらね、こんなおばあちゃんが泣くなんて、変よね、ふふ」
カツオ「…全然変じゃないよ…かあさん…」
フネ「うふふ…おかしいわねぇ」
338: 2011/10/23(日) 23:45:21.40 ID:iKKfsr9PO
…ふわふわする。どうしてかしら。
いつもにこにこしてくれて、一緒にいてくれる人達がいて…
とっても優しくしてくれて、うふふ、とってもふわふわする。
あったかいわ、なんだかとっても、あったかい気持ち。
そう、お月さまを見てるみたいな。
誰かしら。優しい人達。教えてもらった気がする。
あぁ、そう、愛と幸せと…家族……
かぞく………
フネ「うふふ」
終わり
いつもにこにこしてくれて、一緒にいてくれる人達がいて…
とっても優しくしてくれて、うふふ、とってもふわふわする。
あったかいわ、なんだかとっても、あったかい気持ち。
そう、お月さまを見てるみたいな。
誰かしら。優しい人達。教えてもらった気がする。
あぁ、そう、愛と幸せと…家族……
かぞく………
フネ「うふふ」
終わり
342: 2011/10/23(日) 23:46:15.14 ID:YScFVqNN0
乙ー。ちょっとほろりと来たぜ
345: 2011/10/23(日) 23:48:08.65 ID:urecDQNt0
乙 超乙
348: 2011/10/23(日) 23:48:52.38 ID:iKKfsr9PO
長くて拙かったですが、支援本当にありがとうございました
351: 2011/10/23(日) 23:50:14.28 ID:fVxyNQz20
おつ
感動した
感動した
395: 2011/10/24(月) 00:27:54.21 ID:5gmf12ej0
お母さんを大事にするわ
ありがとうありがとう
ありがとうありがとう
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