1: 2012/05/14(月) 21:09:31.42
猿「最初から渡せば痛い目見ずに済むのはわかってるだろうに」
キジ「ホントホント、余計な体力使わせやがって」
犬「ワン」
桃太郎「……その団子は……お前達なんかに……」
キジ「あ?なんだって?」
ゲシゲシ
桃太郎「……ッ……」
猿「よせよせ、それこそ無駄な労力だろうがよ。おら、帰るぞ」
キジ「チッ、今度は口の利き方に気をつけろ桃太郎ちゃんよ」
犬「ヘッヘッヘッ」
スタスタスタ
桃太郎「……ちくしょう……」
3: 2012/05/14(月) 21:11:59.12 ID:URiAC0O00
ガラッ
桃太郎「ただいま……」
婆「おや桃太郎どうしたんだい、傷だらけじゃないかい」
桃太郎「なんでもないよお婆さん、ちょっと下校途中に鬼と戦ってきただけさ」
爺「平和を守るのもよいが、自分を大事にの」
桃太郎「……うん、ありがとうお爺さん」
婆「でも桃太郎には強い味方がたくさん居るから、ワシらも安心じゃ」
爺「そうじゃのう、仲間も大事にの」
桃太郎「……うん、今日は疲れたからもう寝るよ」
婆「おやすみ、桃太郎」
爺「いい夢を、の」
4: 2012/05/14(月) 21:14:26.74 ID:URiAC0O00
桃太郎「あの、きび団子あげるから、僕の仲間に……」
蟹「ご、ごめん……」
桃太郎「僕の仲間に……」
栗「は?」
桃太郎「きび団子、美味しいよ」
臼「帰れでゴワス」
蜂「アンタと関わると面倒事がついてくるのよねー、ホントマジ勘弁」
蟹「……あ、ホラ、みんなもう急がないと……」
栗「ヤバヤバ」
臼「退散でゴワス」
桃太郎「……」
猿「よう、奇遇だな桃太郎」
桃太郎「……猿……!?」
5: 2012/05/14(月) 21:16:59.41 ID:URiAC0O00
キジ「おいおいおい、何で逃げんだよ俺達仲間だろー?」
犬「ワン」
猿「まあまあ、そう脅かすなって」
桃太郎「……お、お前達にやる団子なんか……」
キジ「ああ!?」
桃太郎「お、お前達みたいな悪い奴に団子は渡さないって言ってるんだ!」
犬「グルルルル」
桃太郎「ひっ……」
猿「……落ち着け、犬」
犬「クゥーン」
猿「桃太郎、ちょっとツラ貸せ」
桃太郎「……!」
7: 2012/05/14(月) 21:19:57.01 ID:URiAC0O00
キジ「だから逃げんなっつーの、面倒ばっかかけやがって」
犬「ガルルルル」
桃太郎「……ヒック……」
猿「泣くなよ、それでも男かよ」
猿「そもそも団子をくれるって言ったのはお前だろ?桃太郎」
桃太郎「それは、仲間になってくれるっていうから……」
キジ「だから俺達仲間だっつってんだろ」
桃太郎「仲間なもんか!毎日嫌がらせばかりして!」
犬「グルルルル」
桃太郎「も、もう威嚇なんかしても無駄だぞ!」
猿「……」
猿「よしよし。わかった、お前の言うとおりだ、仲間はやめよう」
キジ「な、何言ってんだよ猿!」
8: 2012/05/14(月) 21:22:17.43 ID:URiAC0O00
桃太郎「えっ……」
猿「確かに仲間に嫌がらせなんかしちゃいけねえ、ボコるなんてもっての外だ」
キジ「ちょっと待てよ、急に何言い出すんだよ!?」
猿「うるせえ少し黙ってろ」
桃太郎「じゃ、じゃあ、団子は……」
猿「それとこれとは話が別だ」
猿「今後俺達は仲間でもなんでもないお前から、力ずくで団子をもぎ取る」
犬「ワン」
桃太郎「……そんな!」
猿「まあ、今日一日ゆっくり考えるんだな、放課後またここに来い」
キジ「猿は優しいなあ」
犬「ヘッヘッヘッ」
9: 2012/05/14(月) 21:24:31.57 ID:URiAC0O00
桃太郎「お婆さんが僕と仲間のために作ってくれた団子を無駄にし続けるなんて……」
桃太郎「でも、もし断ったりすれば……」
桃太郎「僕が、もっと強ければ……ッ!!」
ブボッ
モリモリ
桃太郎「フンッ!」
メリッ
桃太郎「……ハァー」
桃太郎「今日のは硬いな、色も黒いし」
ジョバァー
10: 2012/05/14(月) 21:26:29.99 ID:URiAC0O00
天狗「じゃあほらお前ら、教科書開け。今日はどこからか覚えてるか」
雀「はい、第8章からです」
天狗「なんだわかってんじゃねーか、さっさと開けグズ」
雀「ピィ……」
ガヤガヤ
天狗「おらうるさいぞ、黙って教科書開けんのかお前らは」
ガヤガヤ
天狗「お前らいい加減に――」
鼠「先生!大変です!鬼達が教室へ向かってきます!!」
11: 2012/05/14(月) 21:29:01.28 ID:URiAC0O00
赤鬼「男は殺せ!女と金目のものだけブン盗れ!」
青鬼「ヒャッハー!」
キスケ「汚物は消毒だっピー!」
海亀「イヤー!やめてー!」
青鬼「うるせえ!黙ってついてくりゃいいんだよ!」
天狗「ぐわあー!」
雀「先生ー!」
犬「グルルルルル」
猿「……黙って見てりゃ、なんだお前ら俺のナワバリで」
赤鬼「あ?うるせえよ、死んでろ」
猿「へぶちっ!」
12: 2012/05/14(月) 21:31:28.84 ID:URiAC0O00
キジ「そんな!猿が殺されちゃうなんて!」
猿「……こ、殺すな……」
赤鬼「あれ、男かと思ったらお前……気に入った、お持ち帰りだ!」
猿「……チッ……」
桃太郎「待て!」
青鬼「なんだてめえ!」
桃太郎「……桃から生まれた、桃太郎だ!」
猿「桃太郎……!?」
桃太郎「お婆さんのきび団子の真の力を見せてやるぜ!」
赤鬼「お前ら!畳んじまえ!見せしめだ!」
キスケ「ピー!!」
13: 2012/05/14(月) 21:34:32.64 ID:URiAC0O00
犬「ワン!」
キジ「なんてこった、こいつ本当はこんなに強かったのか!」
蜂「強い人って素敵!」
桃太郎「みんな、怪我はないか」
蟹「せ、先生がみんなを守って……それと……」
猿「……」
桃太郎「猿、俺の肩につかまれ」
猿「俺はお前に散々……」
桃太郎「いいんだ、僕達はこれから本当の仲間になろう」
猿「桃太郎……!」
キジ「なんて心の広いやつなんだ!」
犬「ワン!」
14: 2012/05/14(月) 21:36:48.71 ID:URiAC0O00
桃太郎「……」
桃太郎「……」
天狗「おい、聞いてんのか桃太郎」
桃太郎「……すいません聞いてませんでした」
天狗「はあ?ったく、なんだと思ってんだよ」
天狗「お前のためにわざわざ時間作ってやってんだぞ?あ?」
桃太郎「すいません……」
天狗「そんなんだからモノで友情を買おうとするような歪んだ人間になっちまうんだよ」
桃太郎「……」
16: 2012/05/14(月) 21:39:11.82 ID:URiAC0O00
桃太郎「どうしよう、放課後に来いって言われたのに、先生に呼び出し食らうなんて」
桃太郎「きっと今から行ったらボコボコにされる……」
桃太郎「でも行かなかったら明日からボコボコにされ続ける……」
桃太郎「俺はどうすれば……!」
桃太郎「お婆さんの思いがこもったこのきび団子を粗末にするなんて……俺には……」
ガサガサ
桃太郎「……あれ、なんだろうこのきび団子……おかしなのが混じってるぞ」
桃太郎「……赤い……きび団子?」
17: 2012/05/14(月) 21:41:59.62 ID:URiAC0O00
キジ「桃太郎遅いっすねー」
猿「チッ、あの根性無し……」
犬「クゥーン」
桃太郎「俺、参上!」
キジ「なんだてめえ今頃!」
猿「何か弁明があるなら聞いてやるぞ。聞くだけだがな」
犬「グルルルル」
桃太郎「うるさい!これでも食らえ!猿!!」
モゴッ
猿「……!?」
18: 2012/05/14(月) 21:43:17.45 ID:Vm1i32UN0
キスケわろたwwwww
19: 2012/05/14(月) 21:44:24.19 ID:URiAC0O00
猿「……きび団子、か?」
桃太郎「滅多にないレアものだ!色違いだぞ!」
猿「ふうん」
モグモグ
猿「……!!?」
猿「ウグッ……!」
キジ「なっ……おい!猿に何を食わせやがった!!」
桃太郎「……よし!」
犬「クゥーン」
20: 2012/05/14(月) 21:46:47.06 ID:URiAC0O00
猿「……」
猿「……ふむ……」
桃太郎「……あれ、毒じゃないのかコレ」
キジ「毒!?てめえ!喧嘩で勝てないからって猿に毒盛ったのか!?」
犬「グルルルル」
桃太郎「いや、そんなつもりはないっていうか」
キジ「今なんか口走ってただろうがよ!」
桃太郎「いやホントになんでもないんで」
キジ「コイツ……!」
猿「……待て」
21: 2012/05/14(月) 21:49:58.49 ID:URiAC0O00
キジ「でも!」
猿「俺が待てって言ってるんだ」
犬「クゥーン……」
キジ「……チッ」
桃太郎「……な、何のつもりだ」
猿「いや……さっきの団子、美味しかったぞ」
桃太郎「……」
猿「……それと、もう遅いから帰れ」
桃太郎「なっ……」
猿「えっと、なんだ……その、あ、明日、また学校でな」
23: 2012/05/14(月) 21:53:08.85 ID:URiAC0O00
桃太郎「なんださっきの猿は、明らかにおかしかったぞ」
桃太郎「見る限りさっきの団子は少なくとも毒ではなかったようだけど」
ガラッ
桃太郎「ただいまー」
婆「あら、お帰り桃太郎。今日は早いんだね」
桃太郎「うん、今日は平和だったよ」
爺「平和が一番じゃの」
桃太郎「ところでお婆さん、今日袋の中に赤いきび団子があったんだけど――」
ガチャン
桃太郎「……お婆さん?」
婆「……もももも桃太郎、今なんと言いおった……!」
24: 2012/05/14(月) 21:55:18.32 ID:URiAC0O00
桃太郎「えっと、赤いきび団子が……」
婆「返せ!」
桃太郎「どうしたんだよお婆さん!それにその団子はもう無いよ!」
婆「なっ……!なんとえらいことを……!」
桃太郎「落ち着いてお婆さん、床に割れた茶碗もあるんだから」
婆「……まさかお前、男に食わせたりはしとらんだろうね」
桃太郎「……一応は♀だけど」
婆「……おそらく大丈夫だろうが……」
爺「婆さんや、ご飯はまだかの」
26: 2012/05/14(月) 21:57:33.99 ID:URiAC0O00
婆「単刀直入に言おう、アレは惚れ薬だ」
桃太郎「えっ」
婆「まあ安心しなさい。普通に食うだけじゃ効果は出ない」
桃太郎「そうなのか、良かった……」
婆「それも普通じゃ絶対に有り得ないから大丈夫」
婆「見つめ合った状態で、直接口に入れてやる必要があるからね」
桃太郎「……」
桃太郎「……えっ」
28: 2012/05/14(月) 21:59:56.42 ID:URiAC0O00
桃太郎「どうしよう!見つめ合った状態で直接口に投げ込んじゃったよ!!」
婆「どんなシチュエーションだい!」
桃太郎「そういえば去り際なんだか凄いおかしかった!絶対効果出てる!」
婆「なんまんだぶなんまんだぶ」
爺「孫はまだかの」
桃太郎「そんな縁起でもない!」
婆「桃太郎はその娘が嫌いなのかい」
桃太郎「鬼と天狗の次に嫌いだよ!」
爺「きび団子は、友情の印じゃの」
桃太郎「……!」
29: 2012/05/14(月) 22:02:00.80 ID:URiAC0O00
婆「きび団子は友情を確かめ合う手段だと教えたはずだが」
桃太郎「……」
婆「嫌いな娘に何故きび団子を投げつける必要が――」
桃太郎「ごめんなさい!」
ガラッ
婆「待て!待つんじゃ桃太郎!」
爺「行かせてやりなさいお婆さん」
婆「放せボケジジイ!」
爺「桃太郎にも考える時間が必要なんじゃ」
婆「放せー!」
31: 2012/05/14(月) 22:04:40.44 ID:URiAC0O00
猿「どうしよう……アイツの事を考えると胸が……」
猿「でも、いままであんなに虐めてたのに今更そんな……」
猿「いや、もしかしたらアイツの事が好きだから虐めてたんじゃ……」
猿「もうっ、なんだってんだよ……おかしいよ俺……」
猿「……」
猿「桃太郎……」
キジ「猿、何さっきからブツブツ言ってるんすか」
犬「クゥーン」
猿「な、なんでもない!」
キジ「桃太郎がどうとか」
猿「なんでもない!」
32: 2012/05/14(月) 22:07:08.97 ID:URiAC0O00
桃太郎「猿!」
猿「!?」
キジ「てめえ桃太郎何しに来やがった!」
犬「グルルルル」
桃太郎「頼む!俺の仲間になってくれ!」
キジ「あ?やっと大人しくきび団子を貢ぐ気になグフッ」
犬「キャインッ」
猿「お……俺みたいなのが仲間でいいのかよ!」
猿「乱暴だし、言葉遣いも荒いぞ!それに、お前にずっと酷いことを……」
桃太郎「それは僕が弱かったせいだ!猿の責任じゃない!」
猿「何でそんな風に言えるんだよ……!」
桃太郎「きび団子は、友情の印じゃなきゃいけないんだ!」
33: 2012/05/14(月) 22:10:36.20 ID:URiAC0O00
キジ「こいつ何を言ってるんだ」
桃太郎「今までの僕は間違っていた」
桃太郎「友達の居なかった僕はきび団子を渡して仲間になってもらおうと思っていたんだ」
桃太郎「だから、猿達の標的になったんだと思う」
猿「……」
桃太郎「きび団子は本当なら仲間に、友達になったうえで初めて渡せるモノだったんだ!」
桃太郎「見返りを求めて配ったり、憎しみを込めて投げつけていいようなものじゃなかったんだ!」
桃太郎「謝らせてくれ!そして、僕の最初の仲間になってくれ!」
猿「……桃太郎……!」
キジ「なんだこの空気」
犬「クゥーン」
35: 2012/05/14(月) 22:13:04.30 ID:URiAC0O00
――翌朝
桃太郎「なんとか無理やりごまかして都合よく仲間一号を手に入れたが、というかよくあれでごまかせたな」
桃太郎「まあ強いからいいんだけど。惚れ薬か、面倒だなあ」
桃太郎「そもそもイマイチ好みじゃないんだよ」
猿「よう!桃太郎!元気か!元気だな!」
桃太郎「や、やあ猿。あれ、どうしたんだい?今日はいつもの2人は一緒じゃないの?」
猿「昨日あの後グダグダとうるさかったんでな、ちょっとキュッと」
桃太郎「乱暴はよくないよ」
猿「……あ!……そ、そうだよな!ごめん……」
猿「桃太郎に相応しい女になれるように頑張るよ」
桃太郎「えっ」
36: 2012/05/14(月) 22:15:27.45 ID:URiAC0O00
猿「あっ」
桃太郎「あの」
猿「違う!違うから!」
猿「やだもう!俺ったら何言ってるんだろう!本当になんでもないんだ!」
猿「じ、じゃあ先教室行ってるから!」
バタバタバタ
桃太郎「効き目ありすぎだろ惚れ薬、とんでもないな……」
スタスタスタ
キジ「……惚れ薬か、なるほどなー」
犬「ヘッヘッヘッ」
38: 2012/05/14(月) 22:18:20.37 ID:URiAC0O00
桃太郎「なあ猿」
猿「なんだよ桃太郎!なんでも言え!」
桃太郎「俺の隣の席は蟹だったと思うんだけど」
猿「ああ!席を替えてもらった!」
桃太郎「そ、そっか……」
キジ「やあ、猿に桃太郎。元気そうでなによりだ」
犬「ワン」
猿「あ?なんだお前らまだ文句あんのか?」
桃太郎「な、なんの用だよ」
キジ「いや、文句なんてそんな、ちょっと聞いときたいことがあってな」
キジ「なあ、桃太郎」
キジ「……昨日、猿に食わせたのは何だ?」
桃太郎「……!!」
40: 2012/05/14(月) 22:21:14.08 ID:URiAC0O00
桃太郎「き……きび団子だよ」
キジ「へぇ、とぼけるのか、ふむふむ」
猿「キジ、言いたいことはハッキリ言いやがれ」
キジ「へっ、猿がそう言うんならしょうがねえ」
キジ「お前はな、こいつに惚れ薬を食わされたんだよ」
桃太郎「なっ……!」
猿「……!?」
キジ「てっきり毒でも盛ってたのかと思ったが、とんでもねえなあ!こいつは!」
キジ「天下の猿様を女として弄ぶ気でいたんだからなあ!ええ!」
犬「ワン!」
41: 2012/05/14(月) 22:24:15.79 ID:zkzGZYiu0
猿がゴリラじゃなくてよかったな桃太郎
42: 2012/05/14(月) 22:24:42.52 ID:URiAC0O00
桃太郎「ちが……僕はそんな……」
キジ「ああ?なんだって?聞こえねえぞ!?」
桃太郎「そんなつもりは……」
キジ「嘘吐きで卑怯者の言葉なんて聞こえねえよ!」
桃太郎「……くっ……」
猿「……そんな事はどうでもいい」
猿「だが、確かなことなら今、一つだけある」
キジ「猿、何を……ぐわあっ!」
猿「俺が、桃太郎の事を愛して止まないという事実だ!!」
猿「惚れ薬だかなんだか知らないが、少なくとも今のこの気持ちは本物だ!!」
桃太郎「う、うわあー……」
43: 2012/05/14(月) 22:27:38.18 ID:URiAC0O00
キジ「さ、猿はこいつにいいように利用されてるだけなんだぞ!」
猿「だからなんだ!何の問題がある!」
キジ「……チッ、もうお前の事なんか知らねえ、勝手にしやがれ」
猿「それは俺の台詞だ!消えろ!二度とツラ見せんな!」
桃太郎「でも僕達同じクラスだよ」
キジ「黙ってろクソ太郎」
猿「おい」
キジ「あ?」
猿「やっぱりちょっとツラ貸せ」
キジ「冗談じゃね……え、おい、放せ、放せって」
キジ「うわっ、ちょっ……はーなーせー!」
ズルズルズル
45: 2012/05/14(月) 22:31:37.45 ID:URiAC0O00
桃太郎「……おかえり猿」
猿「ただいま!」
桃太郎「あの、キジはどうしたの?」
猿「平和的に話し合った、暴力なんて振るってない」
桃太郎「僕は嘘もあまり好きじゃないんだけど」
猿「すいませんでしたボッコボコにしました」
桃太郎「……さっきの話、怒ってないのか」
猿「何をだ」
桃太郎「ほ、惚れ薬……」
猿「ああ、それホントだったのか」
46: 2012/05/14(月) 22:33:24.74 ID:URiAC0O00
桃太郎「ごめん……」
猿「いいんだ、桃太郎が謝る必要なんてない」
猿「むしろ嬉しいくらいだ、この俺に惚れ薬を飲ませようとしたってことはだ」
桃太郎「いや僕は」
猿「つまり、桃太郎は俺に惚れて欲しいと思ってくれてたんだろ!?」
桃太郎「あの」
猿「今、俺は……最高の気分だ!」
桃太郎「えらいこっちゃ……」
49: 2012/05/14(月) 22:36:27.40 ID:URiAC0O00
ガラッ
桃太郎「た、ただいま……」
爺「おかえり、桃太郎」
桃太郎「あれ、お婆さんは?」
爺「川へ洗濯にの」
桃太郎「そんなあ……」
爺「困った時は相談するんじゃぞ」
桃太郎「うん、ありがとう。お婆さん探してくるよ」
爺「気をつけての」
ガラッ
桃太郎「半分ボケたお爺さんに何を相談しろって言うんだよ……」
52: 2012/05/14(月) 22:38:46.33 ID:URiAC0O00
桃太郎「おばあさーん」
婆「あ?なんじゃ桃太郎か」
桃太郎「どうしよう、惚れ薬が効き過ぎていたたまれないよ」
婆「まったく、ちゃんと謝ったのかい?」
桃太郎「うん、謝ったんだけどなんだか独自の世界観を構築してて収拾がつかないんだ……」
婆「ハァ、……仕方ない、家に帰ったら効果を打ち消す方法を教えてやろう」
桃太郎「ありがとうお婆さん!」
婆「さあ帰ろう、お爺さんが待っている」
スタスタスタ
猿「……嘘だろ」
猿「効果を打ち消す……だと……」
53: 2012/05/14(月) 22:41:26.54 ID:URiAC0O00
ガラッ
桃太郎「ただいまお爺さんー」
婆「ただい……なんじゃコレは!!」
爺「に……逃げるんじゃ……」
婆「お爺さん!何があったんだい!」
爺「鬼……鬼じゃあ……」
婆「桃太郎!お爺さんを頼んだ!ワシは男衆を呼んでくる!」
桃太郎「う、うん!」
ガラッ ピシャン
婆「ぎゃあー!!」
桃太郎「お婆さん!!?」
55: 2012/05/14(月) 22:43:34.10 ID:URiAC0O00
桃太郎「お婆さん!何が……ああっ!」
婆「ううっ……」
桃太郎「誰か!誰か助けてくれ!」
婆「突然陰から……ワシの身包みを……ううっ」
桃太郎「誰か!誰か助けてくれ!」
桃太郎「お婆さんが、お婆さんがすっぽんぽんに!」
桃太郎「誰か……!」
猿「も、桃太郎!どうしたんだ!」
桃太郎「猿!助けてくれ!」
56: 2012/05/14(月) 22:45:07.61 ID:URiAC0O00
猿「俺が周りを見てくる!桃太郎はババア……じゃなくてお婆さんを家に!」
桃太郎「わかった!」
猿「あ!あと大事なものとかがあったらしっかりまとめておけよ!」
猿「ええと、何かあったらすぐ逃げられるようにな!」
桃太郎「うん!」
猿「いいか、ちゃんと一箇所にまとめるんだぞ!薬とかもだぞ!」
桃太郎「わかったよ!」
猿「急げよ!」
バッ
57: 2012/05/14(月) 22:48:25.75 ID:URiAC0O00
桃太郎「お爺さん、お婆さん守れなくてごめん……」
爺「……」
婆「桃太郎に非があるわけないだろう」
桃太郎「でも……」
婆「無闇に自分を責めてはいかんぞ」
桃太郎「お婆さん……」
ガラッ
爺「ヒイ!」
猿「あっ……」
桃太郎「猿!お爺さん、大丈夫だよ!僕の仲間だよ!」
猿「周り見てきたけど、着物しかなかったよ……お婆さんのだろ?」
婆「ああ……ありがとうよ」
59: 2012/05/14(月) 22:50:32.78 ID:zkzGZYiu0
猿、何企んでおる
60: 2012/05/14(月) 22:52:06.77 ID:URiAC0O00
桃太郎「でもなんで鬼がこの家だけを……金目のものがあるわけでも、若い女がいるわけでもないのに」
桃太郎「お婆さんの身包みをはいだのもわからない、鬼なら殺してるはずだ」
猿「……」
婆「……」
婆「そうじゃ桃太郎、さっき言ってた薬の入った箱がそこに」
猿「……!」
桃太郎「え?これ?」
パシィ
桃太郎「な、何するんだよ猿!」
猿「……これは渡さない!!」
61: 2012/05/14(月) 22:54:16.71 ID:URiAC0O00
桃太郎「まさか猿……それのために2人を……!」
猿「絶対ダメだ!これは使わせない!」
婆「やはり、この娘が桃太郎の言っていた……」
猿「薬のせいだろうとなんだろうと、今の俺を否定なんてさせてたまるか!」
猿「俺は桃太郎のことが好きなんだ!」
猿「これ以上邪魔すると殺しちまうぞババア!わかったな!」
桃太郎「猿、お前……!」
爺「ヒイ……」
猿「……クソッ!!」
ガラッ
桃太郎「猿……」
62: 2012/05/14(月) 22:56:49.64 ID:URiAC0O00
婆「……まっすぐな心を持った娘さんのようだね」
桃太郎「どこが!」
婆「いや、まっすぐさ。山川田んぼはおろか人の家までぶち抜いて歩くくらいにね」
桃太郎「迷惑もいいところだよ!」
婆「だが、あの娘を駆り立てたのはお前だ、桃太郎」
桃太郎「……!」
婆「わかってるね」
桃太郎「……責任……?」
婆「……」
婆「あの娘に接吻してくるんだ」
63: 2012/05/14(月) 22:58:06.80 ID:zkzGZYiu0
接吻///
64: 2012/05/14(月) 22:58:49.45 ID:URiAC0O00
桃太郎「な、なんだよそれ!」
婆「落ち着かんか桃太郎」
婆「さっき言っただろう、これが薬の効果を打ち消す方法だ」
桃太郎「えっ……」
婆「あの惚れ薬の効果は、食わせた本人とのたった一度の接吻で消える」
桃太郎「じゃあ、さっきの箱は……」
婆「ワシの入れ歯ケースだ」
65: 2012/05/14(月) 23:00:43.83 ID:URiAC0O00
猿「俺が桃太郎が嫌いになる薬……」
猿「そんなもんがあっていいわけない!燃えろ!燃えちまえ!」
メラメラ
猿「……でも、桃太郎はこんな俺も嫌だったんだよな……」
猿「俺にそんな薬を飲ませようとするなんて……」
猿「……なんなんだよ……」
猿「俺をこんな風にしたのは桃太郎なのに……」
猿「チクショウ……」
メラメラ
66: 2012/05/14(月) 23:04:04.11 ID:URiAC0O00
――翌朝
蟹「た、大変だね桃太郎、鬼に襲われたんだって?」
桃太郎「う、うん……」
蜂「やめなよ蟹、不幸がうつるよ」
桃太郎「……」
犬「ワン!」
キジ「どうしたんだクソ太郎、猿が守ってくれるんじゃなかったのか?」
桃太郎「……キジ、犬、後でちょっと話があるんだ」
ガラッ
天狗「おらー、席つけアホどもー」
キジ「チッ」
雀「あの、猿さんがまだ」
天狗「あ?ほっとけほっとけ、いちいち報告すんなグズが」
雀「ピィ……」
68: 2012/05/14(月) 23:06:34.06 ID:URiAC0O00
キジ「随分とお偉くなったもんだなクソ太郎さんよ、俺達を呼び出すなんざ」
犬「グルルルル」
桃太郎「……猿のことなんだ」
キジ「……チッ」
桃太郎「僕は猿をあんなふうにする気なんてなかったんだ、ちょっと痛い目にあわせたかっただけで」
桃太郎「だから、……猿を元に戻すのに協力してくれないか!」
キジ「冗談じゃねえ!どいつもこいつもてめえの都合じゃねえか!」
桃太郎「ごめん……」
キジ「……本当に、元に戻るんだな?」
桃太郎「……えっ」
キジ「どうすりゃいいんだよ、さっさと教えろ桃太郎」
犬「ワン!」
69: 2012/05/14(月) 23:09:35.98 ID:URiAC0O00
キジ「……ったく、猿と接吻できるように手伝えだ?」
キジ「ふざけてんのか、俺を何だと思ってんだよ」
犬「ワン!」
キジ「……どいつもこいつもただじゃ済まさねえ」
犬「ヘッヘッヘッ」
キジ「お前はさっさと猿の匂いを探せ!サボんな!」
犬「キャインッ」
70: 2012/05/14(月) 23:13:29.26 ID:zkzGZYiu0
犬www
71: 2012/05/14(月) 23:16:36.15 ID:URiAC0O00
犬「ワン!」
猿「あ?なんだ犬、何の用だよ」
キジ「……ずっとねぐらに居たのか」
猿「キジまで、まだ文句あんのか」
キジ「今日はちげえよ、ちょっと教えときたい事があってな」
猿「……桃太郎のことか」
キジ「そもそもそれしか聞いちゃくれねえだろ」
猿「……」
キジ「待ってるって言ってたぜ」
キジ「行ってやらなくていいのかよ」
猿「……そうか」
キジ「……それと、もう一つ」
72: 2012/05/14(月) 23:19:45.47 ID:URiAC0O00
桃太郎「……猿は今、俺に惚れているはずだ」
桃太郎「断るはずがない、きっとうまくいく……」
桃太郎「……でもその後……」
桃太郎「きっと殺されるんだろうなあ……」
桃太郎「でも、このままなんて絶対ダメだ」
桃太郎「今のアレは、ホントの猿じゃない」
桃太郎「ちゃんと元に戻して、謝らないと」
桃太郎「そうして、改めて友達になるんだ……!」
猿「……よう」
桃太郎「……猿」
73: 2012/05/14(月) 23:21:43.35 ID:URiAC0O00
猿「犬やキジを使い走りにやるなんて、出世したな」
桃太郎「普通にお願いしただけだよ」
猿「まあいいや。それで、用事はやっぱりアレか」
猿「俺の気持ちを否定するのか」
桃太郎「そんな事、しないよ……」
桃太郎「故意ではなかったとはいえ、僕のしたことに違いはない」
桃太郎「だから、責任を果たさなきゃいけないんだ」
猿「……」
猿「桃太郎は、そんな理由が無きゃ俺を愛せないのか」
桃太郎「ち、違うんだ。僕はどうしても口下手だから……ええい、もう!」
グイッ
桃太郎「……猿、僕は……!」
猿「桃太郎……そこまでして、俺を元に戻したいのか」
桃太郎「……え!?」
74: 2012/05/14(月) 23:23:26.72 ID:URiAC0O00
猿「桃太郎は演技が下手だな」
桃太郎「な、何を言ってるんだよ!」
猿「あのおせっかいなキジから聞いたんだよ」
猿「半信半疑だったが、桃太郎の演技を見て確信した」
猿「桃太郎は俺のことが嫌いなんだな」
桃太郎「そんなこと……」
猿「嫌いな俺と接吻してまで消し去りたいほど、今の俺が嫌いなんだな」
桃太郎「……」
猿「わかったよ……」
猿「消えてやるよ、お前がそう望むなら」
75: 2012/05/14(月) 23:25:17.10 ID:URiAC0O00
桃太郎「……じゃあ!」
猿「……嬉しそうな顔をするんだな」
桃太郎「あっ、そんなつもりじゃ……」
猿「いや、気にするな」
猿「俺は、桃太郎の笑顔が好きなんだ」
桃太郎「そんな……」
猿「さてと……じゃあ行ってくるな」
桃太郎「あれ、僕と接吻してくれるんじゃ……」
猿「悪いが、それは御免だ」
猿「俺は、今の俺のまま、この世から消えたい」
76: 2012/05/14(月) 23:27:01.56 ID:URiAC0O00
桃太郎「そんなのダメだ!」
猿「でも俺は前の俺には戻りたくない」
猿「またお前に酷いことをする俺には、戻りたくない」
桃太郎「今猿がしようとしてる事のほうがずっと酷いことだよ!」
猿「そうかもしれないな」
桃太郎「わかってるならなんで!」
猿「……ダメなんだ、俺が耐えられそうに無い」
猿「このままならきっと、元に戻ろうとした瞬間にでも心臓が止まってしまいそうだ」
桃太郎「そんな馬鹿な!」
猿「信じられないか?……そうだよな」
猿「でも、ダメなんだ……」
グスッ
77: 2012/05/14(月) 23:27:56.72 ID:zkzGZYiu0
猿、何するのだ
78: 2012/05/14(月) 23:28:40.04 ID:URiAC0O00
キジ「なんだよこいつらまだ揉めてんのか」
犬「ワン」
キジ「勢い余ってクソ太郎ぶっ殺すかと思ったんだが」
キジ「ただの自殺宣言メンヘラかよ、面白くねえな」
犬「ワン」
キジ「仕方ねえ、もうひと押しといくか」
犬「ワン」
79: 2012/05/14(月) 23:30:32.28 ID:URiAC0O00
桃太郎「簡単に死ぬとか消えるとか言うなよ!」
猿「簡単なわけないだろ!どれだけ俺が葛藤したと思ってるんだ!」
猿「もう、辛いんだよ!生きることも何もかも!」
猿「お願いだ……俺を楽にさせてくれ!」
桃太郎「そんな……」
キスケ「死ぬなっピ!」
桃太郎「……」
猿「……」
桃太郎「えっ」
猿「誰」
80: 2012/05/14(月) 23:32:58.04 ID:URiAC0O00
キスケ「親分!こっちだっピ!」
赤鬼「おお、ここか。ふうむ」
桃太郎「ほ、本物の鬼!?」
猿「なんだお前ら!」
青鬼「死ぬ前によー、俺たちの遊び道具になるのが資源の有効活用ってもんじゃねー?」
赤鬼「まったくだ、勿体無いことこの上ない」
猿「な、何を……」
青鬼「あ?決まってんだろ、わかんねーのかよ」
カクカクカクカク
猿「……チッ……」
桃太郎「そんな事……許さないぞ!」
猿「桃太郎!?」
81: 2012/05/14(月) 23:35:03.98 ID:URiAC0O00
赤鬼「ほう、勇ましいじゃねえか」
キスケ「親分!ここはキスケに任せてくれっピ!」
桃太郎「僕が時間を稼ぐ!今のうちに逃げろ!」
猿「お前すごく弱いくせに何言ってるんだ!」
桃太郎「一番小さいやつならなんとか……!」
キスケ「汚物は消毒だっピー!」
ボオォォ
桃太郎「燃える!」
82: 2012/05/14(月) 23:37:40.39 ID:URiAC0O00
猿「だからお前じゃ無理だ!そこをどけ!」
桃太郎「いいんだ!こいつらにはどうやっても勝てない!」
桃太郎「かと言って、僕では到底逃げ切れないけど……」
桃太郎「猿が一人なら……僕という足手まといが居なければ簡単に逃げられるだろ!」
猿「桃太郎!やめろ!」
桃太郎「はなしてくれ!これが一番賢い選択なんだ!」
猿「でも!」
桃太郎「……いい加減に……しろッ!」
グイッ ムチュー
猿「!!?」
83: 2012/05/14(月) 23:39:08.47 ID:URiAC0O00
キスケ「親分、こいつらなんかチューしてるっピ」
赤鬼「もう少しほっとけ」
バッ
猿「も……桃太郎!お前何を!」
桃太郎「……これで、気兼ねなく逃げられるだろ」
桃太郎「じきに薬の効果もなくなるはず、気に病む必要は無くなるよ」
桃太郎「……逃げてくれ」
猿「そんな!卑怯だ!」
ポロポロ
84: 2012/05/14(月) 23:41:18.85 ID:URiAC0O00
キジ「あれ、意外な展開だがラッキー。猿が元に戻るみたいだな」
犬「ワン!」
キジ「だったらまあ、猿は助けてやるか」
キジ「このまま見物するのも悪くないんだが、アイツの腕力は惜しいしな」
犬「ワン」
キジ「おーい!猿こっちだ、こっち!」
猿「キジの声……?」
キジ「こっちだって、早く逃げて来い!」
猿「助けてくれ!桃太郎が!」
キジ「は?ほっとけよそんなヤツ」
犬「ワン!」
85: 2012/05/14(月) 23:42:26.54 ID:URiAC0O00
赤鬼「おっと、逃がすと思ってんのかお前ら」
桃太郎「は、早く逃げろ猿!」
キスケ「うるさいっピー!」
ボオオォ
桃太郎「うわあ!」
猿「桃太郎!」
キジ「チッ、さっさと来いよ!薬はもう切れたんだろ!?」
猿「……桃太郎!」
タタタタ
キジ「おいおい、マジかよ……」
86: 2012/05/14(月) 23:44:14.45 ID:URiAC0O00
猿「桃太郎を傷つけんじゃねえ!」
ドカッ
キスケ「ピー!」
桃太郎「猿!なんで!?」
猿「……お前を置いて逃げるなんてできるわけねえだろ!」
桃太郎「でも、薬の効果はもう……」
猿「……ああ、そうだな」
桃太郎「なら!」
猿「ここに居るのは俺自身だ!」
猿「そうだ!俺は惚れ薬なんて関係無く、桃太郎の男気に心底惚れたんだ!」
87: 2012/05/14(月) 23:46:11.32 ID:URiAC0O00
青鬼「なんだ今度はノロケやがった」
赤鬼「キスケが白目をむいているな」
猿「桃太郎、立てるか!」
桃太郎「う、うん……でも、どうすれば」
猿「青いのは俺が相手する、その間に……黄色のアレを拾い上げろ!」
桃太郎「わかった!」
猿「行くぞ!」
タタタタ
青鬼「お、やった。こっちきたー!」
猿「うるせえ!」
ドカッ
88: 2012/05/14(月) 23:47:39.76 ID:URiAC0O00
タタタタ
桃太郎「もう少し……!」
赤鬼「お前足遅いなあ」
桃太郎「えっ」
ドカッ
桃太郎「ヒイ!」
猿「桃太郎!」
赤鬼「まあ、殴って楽しむくらいはできそうか」
猿「キジ!犬!見ているんだろう!助けてくれ!」
青鬼「あ?さっきの連中やっぱ知り合いだったのか」
猿「!?」
89: 2012/05/14(月) 23:49:10.91 ID:URiAC0O00
青鬼「あれ?そんな驚く事?あいつらお前たちに恨み持ってんだろ?」
青鬼「俺達、そいつらがそこそこ遊べるヤツ紹介するって言うから来たんだぜー」
猿「まさか、あいつらが……!」
キジ「うわあ、ネタバレしやがった」
犬「クゥーン……」
青鬼「あれ?まずかった?まあいいじゃん生きて返さないし」
猿「キジ……!」
キジ「おいおい、そんな怖い顔すんなよ、お前は助けてやろうとしたじゃねえか」
赤鬼「……お前は、何か勘違いしているようだが」
キジ「あ?」
白鬼「鳥と犬、お前らも帰すつもりはねえぞ」
緑鬼「まったくだ」
90: 2012/05/14(月) 23:50:22.56 ID:URiAC0O00
キジ「うわっ、どこ掴んでんだよ羽ちぎれんだろ!いてえ!」
白鬼「うるせえなあ、首を先にへし折るか」
緑鬼「それじゃ死んじまうだろ、もう少し遊ばせろ」
犬「クゥーン……」
桃太郎「……クソッ……」
赤鬼「おいおい、観念するのはまだ早いぞ、もう少し抵抗しろ」
猿「チクショウ……!」
青鬼「よーし、じゃあ続きしようぜー」
桃太郎「お婆さん……ごめん……」
赤鬼「……む、お前それは」
桃太郎「ヒイ!な、何だよ!」
ポロッ
赤鬼「馬鹿な……!きび団子だと!?」
92: 2012/05/14(月) 23:52:19.86 ID:URiAC0O00
青鬼「マジかよ!ありえねえ!」
赤鬼「遊んでる暇は無いようだな……」
猿「どーいう事だ……!」
赤鬼「知らないのか。……ならば好都合、やるなら今のうちという事だな」
白鬼「巻きで行こうか、はいボキッと」
ボキッ
キジ「ギギッ!」
犬「キャインッ!」
猿「キ……キジー!!」
93: 2012/05/14(月) 23:53:50.75 ID:URiAC0O00
桃太郎「た、ただのきび団子だぞ……なんでそんなに!」
赤鬼「知らなくていいと言ったはずだ」
犬「クゥーン……」
猿「なんなんだこいつら、急に顔色変えて……」
青鬼「俺の顔はずっと青いままだけどな」
猿「……チッ」
青鬼「いやツッコミ入れろよつまんねえな」
キスケ「……ピ」
キスケ「あ、あれは最強の対鬼特化アイテムきび団子だっピ!」
キスケ「口にされたが最後、10分間鬼に対して無敵になるというバランスブレイカーだっピ!!」
桃太郎「なるほど」
パクッ
94: 2012/05/14(月) 23:55:15.77 ID:URiAC0O00
赤鬼「キスケてめえ余計な事を!」
キスケ「ピー!」
桃太郎「猿!犬!受け取れ!」
パシッ
猿「おう!任せろ!」
犬「ワン!」
モグモグ
猿「いつも食ってる団子にそんな力があったなんてな!」
犬「ガルルルルルル」
青鬼「ヒイ!」
桃太郎「生きて帰さんぞ鬼共ー!」
赤鬼「ぐはあー!」
96: 2012/05/14(月) 23:56:08.41 ID:URiAC0O00
桃太郎が鬼達を退治したという噂はすぐに国中へ広まった
桃太郎は犬、猿、(故)キジを従えて鬼達を誘い出し、一網打尽にしてしまったのだ
鬼に困っていた民達はすぐに桃太郎へ金品財宝を差し出し、感謝の意を示した
桃太郎たちはそれを家に持ち帰ると、末永く幸せに暮らしましたとさ
めでたしめでたし
猿「俺、子供は20人くらい欲しいな」
桃太郎「いや、それはちょっと……」
爺「まごー、まごー」
犬「ワン!」
オシマイ
98: 2012/05/15(火) 00:04:55.86 ID:6pmTkYSr0
乙!
おもしろかったぜ
おもしろかったぜ
99: 2012/05/15(火) 00:06:20.09 ID:BRgAiDUxO
キジ・・・
乙ー
乙ー
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