1:2018/11/06(火) 08:39:45.368 ID:2NT0O3700.net
店長「……さて、と」

店長「それじゃあ、明日から来てもらおうかな」

店長「ようこそ、LAWSONへ。よろしくね……」

店長「お嬢様ちゃん」


お嬢様「ええ、よろしくお願いしますわ!」
2:2018/11/06(火) 08:40:50.519 ID:2NT0O3700.net
……
ギィ
お嬢様「……」フフン

店長「あ、お嬢様ちゃん」

店長「まずはこれに着替えてもらえるかな」

お嬢様「? 何ですの? この安そうな服は……?」

店長「制服だよ」

お嬢様「……」

お嬢様(専属のブランド会社にでも特注品を頼んでおこうかしら)
3:2018/11/06(火) 08:41:53.524 ID:2NT0O3700.net
店長「じゃあ……そうだね、僕がレジ見とくから、まず掃除をやってもらおうかな」

店長「男くーん」

男「うぃーす」

店長「この子が、今日から入るお嬢様ちゃん。掃除教えてあげて」

男「うぃーす」

男「よろしく」

お嬢様「え、ええ」

お嬢様(貧乏人の香りがひしひしとしていますわね。何故私の前でこんなに無気力なのかしら)
5:2018/11/06(火) 08:42:49.268 ID:2NT0O3700.net
男「じゃ、まずは外の蛇口の鍵とホウキ持って外出る」

お嬢様「…………?」

男「?」

お嬢様「鍵とホウキが要るんでしょう? 何故持っていかないの?」

男「持って行くけど?」

お嬢様「……? いや、でもあなた、持ってないじゃないの」

男「は?」
6:2018/11/06(火) 08:43:34.865 ID:2NT0O3700.net
お嬢様「いや、ですからー……!」

男「うん。持って?」

お嬢様「はあ!?」

男「当たり前じゃん、早く行くよ」

お嬢様「わ、私が持つんですの……!? こんな安物を……!? それも、私が……!?」

男「んでー」

お嬢様「ちょ、ちょっと待ってくださいましー!」
7:2018/11/06(火) 08:44:06.366 ID:US5iTaFg0.net
かわいい
8:2018/11/06(火) 08:44:21.154 ID:2NT0O3700.net
……

お嬢様「な、何で私がこんな……!」

お嬢様(袖に缶から出た汁が……! 手を濡らしてしまいましたわ……! 挙げ句に……!)

お嬢様(お客に私が、この私が敬語を使うことを強制されるだなんて……屈辱……!!)

お嬢様(それも、全部この男とかいう貧乏人のせいですわ! この私をこんな目にあわせて、後悔させてやりますわ!)

男「てんちょー終わりゃっしたよ」

店長「うん、ありがとう。じゃ、次はトイレ掃除教えたげて」

お嬢様「!?」

男「うぃーす」
9:2018/11/06(火) 08:45:57.374 ID:2NT0O3700.net
……

お嬢様「……」ゲッソリ

お嬢様「く、臭かったですわ……。どうなっているんですの……うちのお手洗いはもっと……」

男「レジ行くからついてきて、教えっから」

お嬢様「ま、まだ何かやるんですの……!?」

男「まあレジ打ちバイトだし」
11:2018/11/06(火) 08:46:51.616 ID:2NT0O3700.net
男「はい、今教えた通りに、次の客から対応してみて。俺袋詰めすっから」

お嬢様「……」

男「出来ねー?」

お嬢様「は!?」

お嬢様「私に出来ない事なんてありませんわ! 何もしないで見てなさい庶民!」

男「袋詰めはやるって」

店長「あはは」
13:2018/11/06(火) 08:47:55.382 ID:2NT0O3700.net
ピンポンピンポンwww

客中学生「……」

男「シャッセー」

お嬢様「い、いらっしゃいませですわ!」

客中学生「あー……Lチキ下さい」

お嬢様「Lチキ……、Lチキって、この鶏肉ですの!?」
14:2018/11/06(火) 08:48:36.775 ID:2NT0O3700.net
お嬢様「あんな安物、何のために買うんですの!?」

客中学生「えっ、えっ?」

お嬢様「ペットの餌にしても、もっと良いものがあ」

グイッ

お嬢様「きゃっ……」

店長「お客様、大変失礼致しました。お代は結構です。宜しければ好きなだけ御注文をお願い致します」

客中学生「えっ……ほんとに!? じゃ、じゃあからあげくんも……!」
15:2018/11/06(火) 08:49:43.936 ID:2NT0O3700.net
店長「畏まりました。少々お待ちください」

男「お待たせ致しました。商品になります」

客中学生「ほんとにタダでいいの!? ラッキー、えへへ!」

店長、男「ありがとうございました! またお越し下さいませ!!」

お嬢様「ちょ、ちょっと……! 今私の服を引っ張」

男「……」
16:2018/11/06(火) 08:51:21.157 ID:2NT0O3700.net
店長「お嬢様ちゃん」

店長「君は、社会勉強のためにうちのバイトを受けてくれたんだよね」

お嬢様「え、ええ」

お嬢様「お父様が学生時代こんびにえんすすとあ……? で働いていた事を、良い経験だったと仰っていましたから……」

店長「なら、店のルールには従って欲しい。面接の時も言ったよね、お客様第一だって」

お嬢様「で、でも」

店長「君からどんな風に見えていても、店にとっては大事なお客様なんだ」

店長「今日のシフト中は、僕たちの接客を見学しててもらえないかな」

店長「お客様に対する態度が今のままじゃ、続けてもらうのは難しいから」

お嬢様「……」
17:2018/11/06(火) 08:51:48.781 ID:2NT0O3700.net
お嬢様「……」

お嬢様(こんなの、おかしいですわ)

お嬢様(『株式会社世界的産業社』の令嬢である私が、こんな扱いを受けるだなんて……!)

お嬢様(こんな思いをするくらいなら、アルバイトがしてみたいだなんて言うんじゃなかった)

お嬢様「……」グスン
18:2018/11/06(火) 08:53:47.047 ID:2NT0O3700.net
……

店長「シフト交代の時間だね、今日もありがとう、男くん」

男「うぃす」

男「……? あいつは?」

店長「もう帰ったよ」

男「危うく問題になるとこでしたね。あれなら大丈夫そうっスけど」

店長「……」

男「ったく、これだからお金持ちの嬢ちゃんってやつは」

店長「……まあまあ」

店長「見守ってあげようよ、ね」

男「……反省して、バイト続けるようなら別にいいっスけど」
19:2018/11/06(火) 08:54:07.049 ID:2NT0O3700.net
……

メイド「おかえりなさいませ。お嬢様」

お嬢様「……」

メイド「辛いことがあったんですね」

お嬢様「な、なんでわかるんですの!?」

メイド「わかりますよ。お嬢様の事なら何でも」

お嬢様「……かないませんわね」

メイド「ふふ。コンビニエンスストアでしたよね」

メイド「行ってみましょう。お嬢様」

お嬢様「……? 今からですの?」
20:2018/11/06(火) 08:55:16.876 ID:2NT0O3700.net
店員「いらっしゃいませ」

メイド「こちらの、ミネラルウォーターと……Lチキをお願いします」

お嬢様「……」

店員「畏まりました。ポイントカードはお持ちですか?」

メイド「いえ。ありません」

店員「では、268円のお買い上げになります」

メイド「カード払いでお願いします」

店員「有難う御座います。有り難う御座いました、またいらっしゃいませ」

メイド「有難う御座います」

お嬢様「……」
21:2018/11/06(火) 08:55:52.354 ID:2NT0O3700.net
メイド「どうでしたか、お嬢様」

お嬢様「何が、ですの」

メイド「丁寧な接客を実際に、受けてみて。です」

お嬢様「……」

メイド「悪い気持ちにはなりませんよね?」

お嬢様「え、ええ。でも、そんなの私が令嬢であるから当たり前……」

メイド「私は平凡な一市民です。ですが、彼はあんなにも丁寧に接客してくれましたよ」

お嬢様「!」

メイド「……」

メイド「食べてみますか、Lチキ」

お嬢様「……」はむっ
24:2018/11/06(火) 08:57:48.900 ID:2NT0O3700.net
お嬢様「……ジューシーで、美味しい、ですわ」

お嬢様「……勿論、シェフの作るステーキには劣りますが……」

お嬢様「これで、あのお値段……」

メイド「あまり健康的ではありません。くれぐれも、ご主人様には御内密にお願いしますね、お嬢様」

お嬢様「……わかってますわ」
25:2018/11/06(火) 08:58:22.052 ID:2NT0O3700.net
メイド「……アルバイト。辞めてしまわれますか?」

お嬢様「……」

お嬢様「……っ」

お嬢様「やってやりますわよ! こんなもので辞めるだなんて、世界的産業の令嬢には有り得ませんわ!」

メイド「ふふ」

メイド(お嬢様、頑張ってくださいね)
26:2018/11/06(火) 08:59:18.295 ID:2NT0O3700.net
……

男「シャッセーぇ……え」

店長「おや」



お嬢様「……っ」

お嬢様「わ……私も」

お嬢様「頑張ります、から……仕事を、教えて……ください、まし」

店長「……」

店長「よーし!」
27:2018/11/06(火) 08:59:31.085 ID:2NT0O3700.net
店長「じゃあ、まずは掃除からやってもらおうかな」

お嬢様「!」

店長「昨日教えてもらった通りにやってみてくれるかな」

店長「わからない事があったら聞いてね」

お嬢様「……っ」

お嬢様「は、はい!」
28:2018/11/06(火) 08:59:49.901 ID:2NT0O3700.net
……



男「じゃ、教えた通り。次の客から一人でな」

お嬢様「わ、わかりましたわ」


男「シャッセー」

お嬢様「い、いらっしゃいませですわ!!」

客「これ、お願いします」

お嬢様「いらっしゃいませですわ! あ、お、お預かり致しますわ!」
29:2018/11/06(火) 09:01:18.101 ID:2NT0O3700.net
……



お嬢様「……」

メイド「おかえりなさいませ。お嬢様」

メイド「如何でしたか。アルバイトの方は」

お嬢様「……っ」

お嬢様「私……、私! 出来ましたわ! こんびにの、接客!!」

お嬢様「見なさい! この、かんこーひー? とかいうもの! 店長が買ってくれたんですの!」

お嬢様「有り難うって! 改めてようこそって! うふふっ」

メイド「良かったですね。お嬢様」
30:2018/11/06(火) 09:02:15.770 ID:2NT0O3700.net
……

店長「シフト交代だよ、男くん」

男「うぃーす」

店長「どう見えたかな」

男「……ま、覚えは早いんじゃないっすかね」

男「はらはらする場面もありましたが」

男「ただし今日はあの客も来なかったし。今からでしょ」

店長「そうだね。このエリアを震撼させ、全五店舗合計24名のバイト辞職。エリア全域での人手不足の発生源となった名クレーマー……」

店長「"怒鳴投夫"様が、ね……」
31:2018/11/06(火) 09:02:25.587 ID:2NT0O3700.net
続く
お嬢様「こんびにえんすすとあーのレジ打ちあるばいとをやってみたいんですの!」メイド「やってみますか?」
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1541461185