1: 2013/05/06(月) 19:56:33 ID:Hv8KSfYY
未来を変える為に来てくれた猫型ロボット

金持ちの道楽息子

音痴と暴力の申し子

美肌風呂の女の子

天才のできすぎた子

そして

なんにもない、ただの僕。
ドラえもん「メガネの劣等生の優等生」
ドラえもん「金持ちの劣等と優越」
ドラえもん「優等生の劣等と優越」
ドラえもん「音痴の劣等と優越」
2: 2013/05/06(月) 21:07:42 ID:Hv8KSfYY
いつも夢見ていた

急に魔法が使える世界
急に頭がよくなる薬
強盗が来て好きな子を守って退治

そんな都合のいい夢物語

4: 2013/05/06(月) 21:10:51 ID:Hv8KSfYY
中学の頃に、僕はスネ夫とジャイアンとテストで勝負した

誰のものでもないけど
静香ちゃんを賭けて

僕達は、小学校の頃からの暗黙の了解を破った

「総合点数の高い人が、静香ちゃんに告白できる権利を得る」

そんなどうしようもない
その時の僕には絶望なんてものじゃなかった

5: 2013/05/06(月) 21:24:32 ID:Hv8KSfYY
どうやったら毎回0点をとれるのか?
先生にそう聞かれたことがあったっけ

そんな僕が、テストの点数で勝負するなんて
あー、やっちゃったなぁ

ドラえもんに頼もうかな、、、。

6: 2013/05/06(月) 21:25:02 ID:Hv8KSfYY
のび太「ドラえもーん!!」

ドラえもん「どうしたののび太君?」

のび太「実はね、、、」

僕はその時思った

これでいいのか?って

7: 2013/05/06(月) 21:25:41 ID:Hv8KSfYY
いつも甘え
いつも頼り
いつもそれに乗じて

それで結果を得る
僕は、それで静香ちゃんに、告白して

それで、結婚できるのか?

どうする?
どうすればいい?

8: 2013/05/06(月) 21:26:29 ID:Hv8KSfYY
ドラえもん「のび太君?」

のび太「あ、、、ど、ドラえもん、、」

僕は、何もとりえのない、ただの僕だ

ドラえもん「、、、、、。」

僕は、また、ここで甘えるのか?

のび太「僕は、、」

ドラえもん「、、、、、。」

まるで、全てを知っているかのように、ドラえもんは僕の手に触れた

ドラえもん「のび太君ならできるよ」

そう、僕に言った

9: 2013/05/06(月) 21:26:59 ID:Hv8KSfYY
そうか、ドラえもんは待っていたんだ

この時を、この瞬間を

未来を知っているからじゃない
未来から来たからじゃない

僕を、ずっと

信じてくれてたんだ

10: 2013/05/06(月) 21:31:06 ID:Hv8KSfYY
僕が自分で気づき

ドラえもんを頼らずに

ただ一歩
小さな、ほんとに小さなただの一歩を

ずっと、待っていてくれたんだ。

11: 2013/05/06(月) 21:31:54 ID:Hv8KSfYY
のび太「ドラえもん、ごめんね」

ドラえもん「ううん、のび太君は自分で気づいてくれた」

泣いていた、まだ何もやっていていない
まだ、進んでもいない

これからのはずなのに
もう、一つのゴールを切ったかのように

僕を応援してくれる「一人のロボット」は
僕の為に泣いてくれた

12: 2013/05/06(月) 21:32:24 ID:Hv8KSfYY
ドラえもん「君は、ひねくれ者だ」

ドラえもん「でも真っ直ぐに育ってくれた」

のび太「ドラえもん、、、」

ドラえもん「僕の一番大切な友達だよ」

兄弟のように育ち、住食を共にして
僕を支え、守ってくれた


「今度は、僕の番だね」

14: 2013/05/06(月) 21:33:48 ID:Hv8KSfYY
僕は勉強した
まだ、まだ間に合う

小学1年生からでも
2、3、4年生でもいい

どこからでも初めてやる
もう、悲しませないように

「またか、」そんな風に思わせないように

16: 2013/05/06(月) 21:35:42 ID:Hv8KSfYY
1時間で切れた
そりゃそうだ、勉強なんて一度も
ただの一度もしたことなんてない

集中なんて、そう簡単なモノじゃない

悔しかった、でもペンは進まない
全身が嫌がっている

「やりたくない」と
僕は、また怠けるのか?

ドラえもん「休んでいいんだよ」

のび太「え?」

17: 2013/05/06(月) 21:36:14 ID:Hv8KSfYY
ドラえもん「君のやる気はすごい」

ドラえもん「いつ切れるかなんて思わない、君はそれだけ今やる気に満ちているからね」

ドラえもん「でも急にやる必要なんてない、期末テストまで1ヵ月」

ドラえもん「大丈夫、のび太君ならもう大丈夫」

いつも僕の背中を押してくれる
休んでいいって言葉でさえも

「君なら進んでいける、まだ歩けるよ」なんて
そんな風に聞こえる

18: 2013/05/06(月) 21:44:12 ID:Hv8KSfYY
授業を真面目に受けるというのは思ったより大変だった
ノート取るだけならいいんだけど
先生の言葉まで聞いてるとノートが取れない

しかも寝てしまう

これは中々難しい

19: 2013/05/06(月) 21:50:10 ID:Hv8KSfYY
遊ぶのを極端に減らした
なぜかママが先生に相談して

「のび、どうした?何かあったのか?」と優しく声をかけてくれた
嬉しかったが、少し笑ってしまった

ドラえもんは遊びは必要だといい
少しは遊んだ
ジャイアンたちとサッカーしたり
野球、プロレスもどき

日に日に思った
僕は、一人じゃない

20: 2013/05/06(月) 21:52:06 ID:Hv8KSfYY
駄目な僕のそばにいてくれて
からかい、ふざけながらも

僕を心の友と呼んでくれる

僕は、そう
安っぽくていい
何度言っても恥ずかしくて

それでも、僕らは友達なんだ

21: 2013/05/06(月) 21:57:54 ID:Hv8KSfYY
テスト先日
ドラえもんが急に変な話をしだした

ドラえもん「もしさ、のび太君の友達がイカサマで勝ったとするじゃない?」

のび太「何に?」

ドラえもん「それはなんでもいいんだけどね、それで、そのイカサマを君が知ったら」

ドラえもん「君は、どうする?」

のび太「、、、、僕は」

22: 2013/05/06(月) 21:58:50 ID:Hv8KSfYY
テスト当日
眠い

今まで類を見ない勉強をしたからだろうか
前日緊張して寝れなかったからだろうか

どちらにしろ

のび太「今日で決まるんだ」

僕は学校までの道を、軽い足取りで歩いて行った

23: 2013/05/06(月) 22:00:19 ID:Hv8KSfYY
そして順調にテストは進み
僕はまだ終わってもいないのに達成感に満ちていた

のび太「すっごい調子がいいよ!これなら負けないかもしれない!」

ジャイアン「おー?w、のび太のくせに生意気言うな!w俺なんか教科書とノートの内容大体暗記してあるぞ!」

スネ夫「ジャイアンノートなんて取ってないじゃないか」

のび太「教科書も落書きだらけだし」

ジャイアン「なんだと!それでもテストは良好だったからいいんだ!」

そんないつもの笑い話をして、スネ夫はトイレに向かった

24: 2013/05/06(月) 22:12:47 ID:Hv8KSfYY
のび太「あ、僕もトイレに行こう」

トイレで用をたす

後1科目か、がんばろう

そう意気込んでいると
個室から嗚咽が聞こえた

25: 2013/05/06(月) 22:13:23 ID:Hv8KSfYY
のび太「どうしたの?だれかいるの?」

スネ夫「うぐ、、、のび太か、、」

のび太「スネ夫かぁ、どうしたの?」

スネ夫「なんでも、、、おえぇ、、」

トイレの隙間から流れてきた汚物

26: 2013/05/06(月) 22:14:47 ID:Hv8KSfYY
「それで、そのイカサマを君が知ったら」


スネ夫が吐いたのか、その消化途中の欠片は知っている


「君は、どうする?」


個室が開き、僕を見るスネ夫

スネ夫「なんだよ、、、、」

僕はトイレを後にして教室に戻った


、、、、暗記パン、、か

27: 2013/05/06(月) 22:16:31 ID:Hv8KSfYY
ジャイアン「スネ夫、戻ってきたか」

スネ夫「あ、いや、えっとあれは」

のび太「スネ夫こっちきてよ」

スネ夫「違う、いや、そうじゃなくて」

のび太「さっき出たこの問題がどうしても解けなくてさ、スネ夫わかる?」


いいじゃないか、ばれなければイカサマじゃない、
勉強頑張って同じ好きな人を追いかける友達しか、僕は見ていない

28: 2013/05/06(月) 22:19:29 ID:Hv8KSfYY
テストが終わり

結果が出た。

僕は2位だった

スネ夫は、静香ちゃんに告白して、振られた

今の僕の心境は
喜んでいる
友達が振られたのに

僕は、喜んでいる

29: 2013/05/06(月) 22:20:15 ID:Hv8KSfYY
2週間後
僕の番が回ってきた

気持ちの整理が完璧かと言われたら怪しいけど
迷いはない

のび太「静香ちゃん!」

まずい、いきなり裏返っちゃった、落ち着け、落ち着くんだ

静香「どうしたの?、のび太さん」

きっとわかっているだろう、校舎裏に呼び出されたんだから

のび太「あの、僕は、し、静香ちゃんがっ、、、!」

大丈夫かな?変な顔してないかな?
僕の思い伝わるかな、一生懸命告白するから

大好きだって想い、伝わってほしい

のび太「しゅきです!僕と付き合ってください!あ、待って!もう一回!」

やっちゃった!!!!
もう勘弁して!!!!

30: 2013/05/06(月) 22:21:57 ID:Hv8KSfYY
僕達は付き合うことになった
夢のような

でも、そう
こんな未来にならなくてもわかっていたこと

僕達3人の関係はきっと崩れる

どんなに繕っても

なにかぎこちない
戻れない

僕達は、一歩ずつ
嫌な未来でも、好きな未来でも
先に進んでしまう

31: 2013/05/07(火) 01:38:52 ID:0mBkas0M
当然静香ちゃんに振られたくなんてなかった
だから、静香ちゃんの隣にいられるように一生懸命勉強した

高校に進学したころ
周りの見る目が変わるのがわかった
やってよかったと思った

32: 2013/05/07(火) 17:42:46 ID:0mBkas0M
自慢かもしれないが
弓道部での全国大会に行った頃から
女の子たちに告白されるようになった

でも、僕はなぜか揺れなかった

どうしようもなく、静香ちゃんが好きだった

33: 2013/05/07(火) 18:22:21 ID:0mBkas0M
そんなある日出木杉君が家に来た

「なぜ君は僕の前に立つ!」

いきなりの事でなんのことかわからなかった

「え?!あれ?出木杉君?!」

「のび太君!君は自分のしたことが分かっているのか?」

正直全然わからない

「僕は君よりも遥かに物を知っている、なのに、こんな事で君に負けてしまうのか、、?」

出木杉君が僕に負けてる?!

「出木杉君の何が僕に負けてるの?」

34: 2013/05/07(火) 18:29:03 ID:0mBkas0M
どうしよう
僕がかっている事なんて射撃ぐらいじゃないか

なにをそんなに怒ってるんだろう

のび太「僕が出木杉君に勝てるものなんて射撃ぐらいだよw」

出木杉「うるさい!!僕は、何も欲を出さなかった!今回の一つぐらいくれてもいいじゃないか!」

のび太「、、、、。」

出木杉「静香ちゃんは、、、僕は、、、ずっと、、、」

静香ちゃん?欲?
静香ちゃんは誰にも渡さない

それに、

「、、、、、出木杉君、静香ちゃんは、モノじゃないよ?」

35: 2013/05/07(火) 19:14:49 ID:0mBkas0M
出木杉「!!」

のび太「くれるって、誰からもらうの?」

僕は絶対あげないよ!

出木杉「違うんだ、、、今のは、、」

のび太「僕は好きな子がいるけど、見てて思うよ、、、、」

のび太「伝えたら、触ったらきっといなくなっちゃう、でもそのぎりぎりの目の前までいかないと」

のび太「それがなんなのか、相手にはわからないよ」

だから、僕は伝えたんだ


消えちゃう前に、伝わるように

36: 2013/05/07(火) 20:20:27 ID:0mBkas0M
出木杉君が家に帰り、僕は横になった

僕が変わって、みんな変わって

僕達は、もうあの時みたいに遊べないのかな?

小学生の
あの事みたいに

「それでも、僕は変わることを選んだんだ」

僕は眠りについた

37: 2013/05/07(火) 20:21:27 ID:0mBkas0M
次の日の放課後

僕は不良に絡まれた

ジャイアンとスネ夫が助けに来てくれた

人を傷つけるのは好きじゃない
僕が殴られるだけならまだ良い


でも


のび太「僕の友達に、今何をした?」

戻れなくても、変わってしまっても

それが大切なものに変わりはないんだ

38: 2013/05/07(火) 20:24:55 ID:0mBkas0M
話はとても飛躍して結婚前夜

ジャイアンとの会話を思い出していた

のび太「後悔してるんでしょ?」

ジャイアン「、、、、あぁ」

のび太「でも、大ジョブだよ」

ジャイアン「え?」

のび太「まだ間に合うから」


あれはジャイアンに言った言葉なのか
それとも、、、、

自分自身に言った言葉なのか

39: 2013/05/07(火) 20:29:41 ID:0mBkas0M
間に合ったのかな?
僕は、変われたのかな?

ドラえもん

僕は、

僕には、なにがある?

40: 2013/05/07(火) 21:29:29 ID:0mBkas0M
ドラえもん「今、だよ」

のび太「ど、ドラえもん!?」

41: 2013/05/07(火) 21:30:35 ID:0mBkas0M
ドラえもん「やーのび太君」

のび太「ドラえもん、寝たんじゃなかったの?」

ドラえもん「のび太君の事だから、寝れないんじゃないかと思って」

のび太「はは、なんでもお見通しだね」

のび太「ねぇドラえもん」

ドラえもん「なんだいのび太君」

42: 2013/05/07(火) 21:31:12 ID:0mBkas0M
のび太「僕は、あの日から強くなれたかな?」

ドラえもん「うん、君は強くなったよ」

のび太「ドラえもんのおかげだね」

ドラえもん「違うよのび太君」

のび太「え?」

43: 2013/05/07(火) 21:43:21 ID:0mBkas0M
ドラえもん「道具に頼って、怠けてばかりの君はあの日からいなくなった」

ドラえもん「自分から解決策を探して、迷って失敗もして、でも諦めない」

ドラえもん「君は本当に強くなったよのび太君」

のび太「、、、、ドラえもん、、、」

ドラえもん「今の君にはたくさんのモノがある」

友達、知識、

強さ、優しさ、

そしてお嫁さん

ドラえもん「よく頑張ったね」

のび太「ドラえもん、、、うわーん!」

44: 2013/05/07(火) 21:46:49 ID:0mBkas0M
ドラえもん「いつになっても子供で、でも、あの時とは全く違う」

ドラえもん「頼るだけじゃない、苦しくても耐えて」

ドラえもん「それを乗り越えて先に進むことを覚えて」

ドラえもん「意志薄弱な君はもういない」

ドラえもん「劣等も知ってるから、君は優越に浸らずに進めたんだ」

45: 2013/05/07(火) 23:03:35 ID:0mBkas0M
結婚式

スピーチでかっこいいことなんて言えない
上ずって、噛んで

やっぱりかっこ悪いね、

それでも、人生で一番
胸を張って言えた

君を絶対に幸せにするから!

てね。

46: 2013/05/07(火) 23:04:09 ID:0mBkas0M
5作目になります
のび太編でした。
矛盾がある?気にしなーいの

みんなの視点とのび太の視線を混ぜてみました
特定意志薄弱児童監視指導員だったかな?その任を果たす時、それはこんな感じじゃないでしょうか
ドラえもん大好きです!

見てくれた方ありがとう!

※ところどころ繋がっています。

次回作がまたありましたら、よろしくお願いします

では。

47: 2013/05/07(火) 23:06:20 ID:NMGT/Qx2
次は先生やって(ムチャ振り)

乙!

48: 2013/05/07(火) 23:42:52 ID:ExjXQ1mA
そんな役だったなドラえもんwwww

引用元: ドラえもん「メガネの劣等と優越」