1:2018/12/26(水) 21:45:34.629
男「いやぁー、ダメ元でナンパしてみるもんだね」

男「まさかデートしてくれるなんて……」

女「私もちょうどヒマだったし、あなたハンサムだから」

男「…………」ゴクッ

男「ところで、そのマフラー……よく似合ってるね」

女「これ毒蛇よ」

男「え」



2:2018/12/26(水) 21:46:20.028 ID:3GwfkgAVd.net
女「冷たくてめっちゃ寒いのよ」
3:2018/12/26(水) 21:47:30.593 ID:B4f65cjza.net
>>2
これな
使えたもんじゃない
5:2018/12/26(水) 21:49:21.021
女「ほら」

毒蛇「シャーッ!」

男「な……!」

男「君はいったい……!?」

女「私、ヘビ使いやってるの」

男「ヘビ使い……!?」

女「これでも自分の事務所を持ってて、本場インドで修行した本格派よ」

男「へ、へえ~……」
8:2018/12/26(水) 21:51:09.940 ID:L/QWfVcq0.net
ちなみにヘビ使いは笛でヘビつついて怒らせてるだけな
9:2018/12/26(水) 21:54:09.306
<自宅兼事務所>

女「なんでフラれたのかしら」

毒蛇「なんで分かんねえんだよ」

女「なんで?」

毒蛇「どこの世界に、毒蛇首に巻いてる女と付き合いたい男がいるんだよ!?」

毒蛇「せっかくの出会いだったのに……もう出歩く時、俺を首に巻くのやめろよ!」

女「だって寒いんだもの。首回りは特に」

毒蛇「マフラーって優秀な防寒具があんだろ!」

女「マフラーって首がチクチクするから苦手なの」

毒蛇「安物買うからだよ! お前はいつも肝心なところでケチるからな!」

女「あんたはいつも毒舌よねえ」

毒蛇「なんたって毒蛇だからな!」

女「猛毒すぎて、自分の脳まで異常をきたして、人の言葉を喋れるようになるくらいにね」

毒蛇「うっせえ! 好きで喋れるようになったんじゃねえや!」シャーッ
10:2018/12/26(水) 21:54:57.886 ID:fpy3bJk+r.net
ヘビーな話になりそう
13:2018/12/26(水) 21:57:24.418
女「きっと私の魅力が足りなかったのよ。もっとシェイプアップしなくちゃ」

女「ってわけで、縄跳びやるから縄になって」

毒蛇「絶対嫌だよ! 縄買ってこいよ!」

女「爬虫類ショップで、“ヘビ用ビーフジャーキー”買ってあげるから」

毒蛇「しゃーねーなー……やるよ、やりますよ!」

女「いち、に、さん」ピョンピョンピョン
14:2018/12/26(水) 22:00:21.428
<爬虫類ショップ>

店長「いらっしゃい!」

女「こんにちは」

毒蛇「ちわーっす!」シャーッ

店長「おお、二人とも相変わらず元気だね」

毒蛇「この店は相変わらず流行ってねえな」

店長「今日も毒吐くね~」

毒蛇「なにせ俺は毒蛇だからな」

女「“ヘビ用ビーフジャーキー”ちょうだい」

店長「毎度!」
15:2018/12/26(水) 22:03:20.214
女(さて、帰ろうっと)

女「……ん」ドンッ

銀髪「おっと、失礼」

白蛇「シュルルルル…」

女「…………」

女「あの男の人、白蛇を首に巻いてたわ」

毒蛇「ああ、アルビノってやつか?」

女「只者じゃないわね」

毒蛇「蛇を首に巻いて外うろついてる時点で只者じゃねえよ。悪い意味で」
16:2018/12/26(水) 22:07:14.944
ある日――

<古い民家>

チューチュー… ドタバタ…

家主「ご覧のように、ネズミが大量に住み着いてしまって……」

女「分かりました。すぐに駆除します」

女「頼んだわよ」

毒蛇「おう、任せとけ!」
17:2018/12/26(水) 22:09:25.672
毒蛇「いたいた……ネズミどもが」ニョロニョロ

ネズミ「チュッ!?」

毒蛇「お前ら全員……俺の毒牙の餌食だぜ!」シャーッ


チュウゥゥゥゥ… シャァァァァァ…



ドタンバタン! ドタンバタン! ドタンバタン!

…………

……
18:2018/12/26(水) 22:12:28.176
毒蛇「ほらよ、こいつでラスト」ペッ

毒蛇「一匹残らず仕留めてやったぜ」ニュルニュル…

女「ご苦労様」

家主「ありがとうございます!」

家主「悪質な駆除業者に任せると、ネズミを退治するふりをして」

家主「またネズミが増えるよう、わざと残すケースもあるらしいのですが」

家主「あなたたちに頼んでよかった!」

毒蛇「へへへ、毎度~」

女「…………」

毒蛇「どうした?」

女「その手があったか」

毒蛇「オイ」
21:2018/12/26(水) 22:16:40.191
帰り道――

女「あら?」

毒蛇「悪そうなヤツが女の子に絡んでるな」



チンピラ「な? そこのカフェで一緒にコーヒー飲んでくれるだけでいいからよォ~」

女子高生「この後、用事あるんで……!」

チンピラ「お、断るの? 心が傷ついたわぁ~」

チンピラ「だったら慰謝料でコーヒー代くらいよこせや! ほら、財布出しな!」

女子高生「お金なんて持ってません!」

チンピラ「今時の女子高生が金持ってねえわけねーだろ! オラ、出しやがれぇ!」
22:2018/12/26(水) 22:19:23.744
女「やめなさいな」

毒蛇「シャーッ!」

女子高生「えっ」

チンピラ「なんだてめえ!?」

チンピラ「薄気味悪い女だ……邪魔するんなら……」ガシッ

女「やっちゃいなさい」

毒蛇「シャーッ!」ガブッ

チンピラ「ぐわっ!?」
24:2018/12/26(水) 22:22:25.550
ドサッ…

チンピラ「か、体が……痺れて……」ピクピク…

女「加減はしておいたから、一時間もすれば動けるようになるわ」

女「ただ……また悪さしてるとこ見かけたら、今度は命の保証はないけど」

チンピラ「…………」ゾクッ

女子高生「あ、あの……ありがとうございました!」

女「気にしないで。気をつけて帰りなさい」

女子高生「は、はいっ!」
25:2018/12/26(水) 22:26:21.894
……

<民家>

ニュルニュルニュル…

毒蛇「お、あったあった!」

毒蛇「ほれ、排水溝に流しちまったカギを取ってきたぜ!」ペッ

依頼人「ありがとうございますぅ!」

依頼人「これは替えがきかないカギでして、本当に助かりました!」

女「またご依頼があれば、私の事務所までお気軽にどうぞ」

女「今日は頑張ってくれたから、“ヘビ用ペディグリーチャム”買ってあげる」

毒蛇「ヒャッホウ!」
26:2018/12/26(水) 22:29:09.045
<爬虫類ショップ>

女「よかった、あと一つだけ残ってるわ」サッ

銀髪「ラスト一個が残ってたか」サッ

女「あっ」

銀髪「あっ」

女「あなたも……“ヘビ用ペディグリーチャム”が欲しいのね?」

銀髪「ええ、ウチの白蛇の大好物なもので」
27:2018/12/26(水) 22:32:18.224
女「悪いけど、これは譲れないわ」

銀髪「ボクもです」

女「お互い引く気はないってわけね」

銀髪「だったら≪ガラガラ勝負≫で決めませんか?」

女「望むところよ」



≪ガラガラ勝負≫とは――

どちらがよりガラガラヘビのようにガラガラできるか競う、ヘビ使いの決闘法の一つである。
28:2018/12/26(水) 22:36:06.699
女&銀髪「勝負!!!」

女「ガラガラガラガラガラ…」

銀髪「ガラガラガラガラガラ…」

女「ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ…」

銀髪「ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ…」

女「……ぐっ!」ガクッ

銀髪「どうやら……ボクの勝ちですね。“ヘビ用ペディグリーチャム”はいただきますよ」

女「生まれて初めて……ガラガラ勝負で負けた……」

白蛇「シュルルルルル…」ニヤッ

毒蛇「!」

毒蛇「あ、あのクソ蛇! 俺を笑いやがった! ちくしょう!」
29:2018/12/26(水) 22:39:33.708
店長「いい勝負だったけど、惜しかったね」

女「あの人は何者なの?」

店長「うちに来るようになったのは最近なんだけど、新進気鋭のヘビ使いらしい」

女「同業者か……」

毒蛇「ってことはいずれ商売がかち合うかもしれねーな!」

毒蛇「そん時はあの白蛇、ボッコボコにしてやるぜ!」

女「いつになく殺気立ってるわね。あんたらしくもない」

毒蛇「だって、ペディグリーチャム食べたかったんだもん……」ニョロ…

女「おお、よしよし」ナデナデ

毒蛇「ううう……」
30:2018/12/26(水) 22:42:02.621 ID:YHUsG13Br.net
可愛い
32:2018/12/26(水) 22:43:51.846 ID:kIFtAjW70.net
蛇巻いて見てる
34:2018/12/26(水) 22:44:30.637
<自宅兼事務所>

女「今日のスケジュールは?」

毒蛇「えぇっと……まず午前中は爬虫類愛好家への公演」

毒蛇「午後はスーパーマーケットのネズミ退治、夜はマムシ酒の品評会があるぜ」

女「今日も忙しいわね」

女「忙しいのはいいことだけど……さすがにもっと人手が欲しいわ」

毒蛇「たしかにな。このところあまり寝れてねえだろ」

女「……そうだ、バイトでも雇おうかしら」

毒蛇「バイトォ~? こんなとこで働きたい奴なんていねえだろ!」

女「分かんないわよ。もしかしたら、いるかもしれない」

毒蛇「絶対いねえよ!」
35:2018/12/26(水) 22:47:21.847
……

女「…………」

女「二人も応募が来たわ」

毒蛇「マジで!?」シャーッ

毒蛇「世の中好景気なのか不景気なのかよく分かんねえけど、不景気ってことだなぁ」

毒蛇「景気よかったら、ぜってえこんな魔境で働こうとは思わねえもん」

女「コラコラ、あまり毒吐かないの」

毒蛇「で、どうすんだ? 採用すんのか?」

女「とりあえず、二人とも面接してみることにするわ」
37:2018/12/26(水) 22:50:24.573
後日――

女子高生「こんにちは!」

チンピラ「ちわっす!」

女(あら……?)

毒蛇(どっかで見たことあるような二人組だな……)

女子高生「なんだあんたが!?」

チンピラ「なんでテメェが!?」

女「コラコラ、喧嘩しない。さっそく面接を始めさせてもらうわ」
39:2018/12/26(水) 22:54:05.365
女子高生「私、以前あなたに助けていただいた女子高生です!」

女子高生「それであなたに憧れて、ずっと捜してて、バイト募集をしていたので……」

女「なるほどね」

女「だけど、うちはヘビ使いの事務所なのよ。ヘビは大丈夫?」

女子高生「はいっ、私ハブを飼ってますから! ほら!」

ハブ「シューッ!」ニュルニュル

女「あら、いいじゃない。採用よ」

女子高生「やった!」

毒蛇(俺も、ヘビ語で面接してみるか)

毒蛇『ハブ……お前はなんかできるのか? ネズミ退治とか……』

ハブ『将棋が得意ですね。奨励会の人にも勝ったことあります』

毒蛇『流石ハブ……』
41:2018/12/26(水) 22:57:57.928
チンピラ「俺、あんた……いえ、あなたに睨みつけられた時……」

チンピラ「これが“ヘビに睨まれたカエル状態”なんだって、分かったんす!」

チンピラ「俺はあなたのカエルになりたい! ここでパシリとして使って下さい!」

女「ヘビを扱ったことは?」

チンピラ「ない……っす」

女子高生「それじゃここで働くなんて無理よ! さっさと帰りなさい、このヒキガエル!」

チンピラ「ぐうう……!」

女「他になにか特技は?」

チンピラ「うーん……あ、簿記の資格持ってます。数字には強いっす」

毒蛇「どういうチンピラだよ!?」

女「経理要員も欲しかったのよね……うん、あなたも採用にするわ」

チンピラ「あざーっす!」
42:2018/12/26(水) 23:01:07.384
女子高生「それじゃ、ハブを連れて老人ホームの人達と将棋指してきます!」

ハブ「シューッ!」

女「適度に勝ったり負けたりするのがコツよ」

毒蛇「いずれ、あの羽生さんとも対局することになったりしてな」



女「今月の収支はどう?」

チンピラ「バッチリ黒字っす! だけど、毒蛇さんの食費がちょっとかさんでますね……」

女「じゃあ、来月は食わせないことにするわ」

毒蛇「スト起こすぞてめえ!」シャーッ



女「二人ともよく働いてくれてるわ」

毒蛇「ああ、正直いってここまで使えるとは思わなかった」

女「私たちも負けられないわね」

毒蛇「おう!」
45:2018/12/26(水) 23:04:07.713
ある日――

<自宅兼事務所>

女「いらっしゃいませ」

紳士「こんにちは」

金髪「こ、こんにちは……」

女(どういうコンビかしら? 親子ってわけじゃなさそうだけど……)
46:2018/12/26(水) 23:07:57.279
女「本日はどのようなご用件でしょう?」

紳士「その前に、私どもの事情をお話しさせてもらってもよろしいでしょうか」

女「ええ、かまいません」

紳士「実は、日本有数のある大富豪が、自分の財産について遺言を残そうということになりまして」

紳士「当然、ご子息たちに分配することになるわけですが……」

紳士「そんな中、その大富豪様には私生児、いわゆる“隠し子”がいることが明らかになりまして」

紳士「当然、その方にも財産を分与しようということになったのですが……」

女「大富豪がお父さんだったなんて羨ましい話ね」

毒蛇「おめーのオヤジはただのサラリーマンだしな」
47:2018/12/26(水) 23:11:12.476
紳士「これで面白くないのが、他のご子息の方々です」

女「そりゃそうよね。取り分が減っちゃうんだから」

紳士「それで、どうしたかというと……」

紳士「なんと、彼らのうちの誰かが、頃し屋を雇ったことが分かったのです」

女「えっ、頃し屋?」

女「あの……ひょっとして、その“隠し子”って……」

紳士「はい、隣に座っているこのお方です」

金髪「…………」

紳士「あなたには、この方を狙う頃し屋を退治して欲しいのです!」
48:2018/12/26(水) 23:15:51.547
女「ちょっと待ってちょうだい。そんな話は警察に任せた方が……」

紳士「我が財閥は、警察関係にも大きく根を張っており、うかつに警察にも頼れないのです」

女「だからって、なんで私に?」

紳士「なぜなら……相手の頃し屋もまた、“ヘビ使い”だからです」

女「ヘビ使い……!」

紳士「こちらの写真をご覧ください。この方のボディガードの写真です」サッ

女「みんな、蛇に急所を噛まれてやられてるわね……。氏んではいないようだけど」

紳士「ええ、なんとかこの方を守れていますが、このままでは時間の問題です」

紳士「ですから、有名なヘビ使いのあなたに、ヘビを使う頃し屋を倒して欲しいのです!」

女「蛇の道はヘビ……ってわけね」
49:2018/12/26(水) 23:18:26.456
女「分かりました」

女「同じヘビ使いとして、ヘビを悪用する輩を放っておけないし」

女「その頃し屋を何とかしてみせるわ」

紳士「引き受けて頂けますか!」

金髪「ありがとうございます!」

女「ただし、私は頃し屋じゃないから、その頃し屋の命を奪うようなことはしないわよ」

紳士「もちろんです!」

紳士「私どもとしては、この方が穏便に財産を相続できればそれでよいのです」

毒蛇(こりゃあ、大仕事になりそうだな……)
50:2018/12/26(水) 23:22:44.671
女「……というわけなの」

女子高生「すごい依頼が舞い込んできましたね! まるで漫画みたい!」

チンピラ「金のために悪事を働くとは……許せねえ!」

女「…………」

女子高生「…………」

毒蛇「…………」

チンピラ「え、何か?」

女「それで、私一人じゃちょっと大変そうだから……あなたたちにも協力を頼みたいの」

女子高生「喜んで協力しますよ!」

チンピラ「俺らのボスはあなたなんですから!」
51:2018/12/26(水) 23:25:18.281
チンピラ「しかし、その頃し屋が今どこにいるかってのは分かってるんですかい?」

女「そこはさすがに財閥だけあって、居場所はつかんでるらしいわ」

女「今はあるホテルに滞在してるみたい」

女子高生「いかにも頃し屋って感じですね!」

チンピラ「よーし、そうと決まれば話は早い!」

チンピラ「俺らでホテル向かって、その頃し屋をブチのめしましょうや!」

女「くれぐれも慎重にね」
52:2018/12/26(水) 23:30:29.254
<ホテル>

女「あの部屋にいるみたい……」

毒蛇「出てくるまで待つか」

女子高生「寒いわね……缶コーヒー飲む?」

チンピラ「おっ、サンキュー!」

女「……出てきたわ」


ガチャッ…

銀髪「…………」スッ

白蛇「シュルルルル…」


女&毒蛇「!?」

女(あの人は……!)

毒蛇(あの白蛇は……!)
53:2018/12/26(水) 23:33:36.044
チンピラ「あの野郎が頃し屋っすね? よーし、荒事は俺に任せて下せえ!」ダッ

女「あ、ちょっと」

チンピラ「うおおおおおおおおおっ! 往生しやがれええええええっ!」

銀髪「! ……またか!」

チンピラ「くたばれぇっ!」

銀髪「ハッ!」シュバッ

ビシッ!

チンピラ「ぎゃんっ!」



女「あれは……中国拳法の蛇拳!」

毒蛇「ジャッキー・チェンの映画にもなった拳法か!」

女「ええ、やはり彼、只者じゃなかったわね」
54:2018/12/26(水) 23:36:40.505
チンピラ「ま、まだだ……!」

チンピラ「俺だって、カエルの意地、見せてやるぜぇ!」

銀髪「!」

チンピラ「とおりゃあああああっ!」ピョーンッ

ゴンッ!

チンピラ「あうっ!」ドサッ

チンピラ「と、跳びすぎ、た……」ガクッ



毒蛇「なにやってんだあのバカ……」

女子高生「だったら次は私が相手よ! チンピラの仇は取ってやる!」
55:2018/12/26(水) 23:38:05.481 ID:wFDxML08r.net
チンピラェ…
56:2018/12/26(水) 23:39:17.297
女子高生「いっけーっ、ハブ! 王手喰らわせちゃいなさい!」

ハブ「シューッ!」

銀髪「…………」

銀髪「キーキーッ!」

ハブ「!?」ビクッ

女子高生「どうしたのハブ!?」
57:2018/12/26(水) 23:41:21.016
女「あれは……マングースの鳴き声!」

毒蛇「あの野郎、ヘビの弱点を知り尽くしてやがる!」



女子高生「どうしちゃったの!?」

ハブ「…………」ガタガタ…

銀髪「キーキーッ!」

ハブ『と、投了します……』

女子高生「どうしちゃったのよー!」
58:2018/12/26(水) 23:44:16.271
女「ウチのバイト二人をあっさり倒してくれちゃって……やるわね」

銀髪「あなたとはいつか、ヘビ使い同士戦う時が来ると思ってました」

銀髪「しかし、こんな形では戦いたくなかった」

女「私もよ」

毒蛇『ブッ潰してやる、白蛇野郎!』シャーッ

白蛇『…………』シュルルル…

女&銀髪「勝負!!!」

女「いきなさい」

毒蛇「シャァァァァァッ!」

銀髪「噛みつけ」

白蛇「シュルルルルル…」
59:2018/12/26(水) 23:46:57.285
毒蛇「シャーッ!」ガブッ

白蛇「シュルルルルル…」ガブッ

グルグルグルグルグル…



女「これは、全く互角のヘビ同士でしか起こらないといわれる――」

銀髪「二匹のヘビが互いの尾を噛み合う、ウロボロス状態!」

女(やはり、私の毒蛇と彼の白蛇はほぼ互角なのね)

銀髪(こうなると、一瞬の油断が勝敗を分ける!)
60:2018/12/26(水) 23:48:44.314
グルグルグル…

毒蛇(ちっ、ウロボロス状態は苦手だ! 先に離すか!)パッ

白蛇「シュルルルルル…」パッ

毒蛇「…………」ジリ…

白蛇「…………」ジリ…

毒蛇「シャッ!」

白蛇『きゃっ!』ビクッ

毒蛇(え、こいつ! ……メスなのか!? 分かんなかった!)

白蛇『バカねえ』ニヤッ
61:2018/12/26(水) 23:50:51.161
白蛇『もらったわ!』ガブッ

毒蛇『ぐあああああっ……!』

女「しまった!」

銀髪「よし!」

銀髪「白蛇、そのまま飼い主である彼女にも攻撃しろ!」

白蛇『分かったわ!』シュルルルル…

毒蛇(ぐ……俺としたことが!)
62:2018/12/26(水) 23:53:42.681
白蛇『銀髪君は私が守るわ……いくわよぉ!』シュバッ

女「…………」

白蛇(え、全く動かない!?)

銀髪「……ストップ!」

白蛇「…………」ピタッ

銀髪「なぜかわそうともしない?」

女「あっ」

女「よく手入れされてる美しいヘビだから、つい見とれちゃって……戦ってるのを忘れてたわ」

毒蛇「アホか……」

女「うるさい」

銀髪「…………」

銀髪「あなたは……頃し屋じゃないな?」

女「え?」

銀髪「ボクを頃しにきた人間が、そんなこというとは到底思えない」

女「ちょっと待って。私が頃し屋? どういうこと?」

銀髪「実は……ボクは命を狙われているんです」
63:2018/12/26(水) 23:56:19.676
チンピラ「なにいいいいいい!?」

女子高生「あなたが大富豪の隠し子なの!?」

銀髪「ああ、どうやらそうらしくて、ボクとしても戸惑ってたんだけど」

銀髪「そうこうするうち、何度もボクを狙う刺客が現れて」

銀髪「なんとかボクの蛇拳と白蛇で撃退していたんだ」

銀髪「おかげでこのところはホテル暮らしを余儀なくされているよ」

チンピラ「マジかよ……」

女子高生「先生、これはどういうことでしょう?」

女「どうやら、あの依頼人たちにしてやられたわね」

女「彼らが見せてくれたやられたボディガードの写真は、みんな頃し屋だったんだわ」

毒蛇「ああ……あいつらこそが“隠し子を狙ってる側”だったんだ!」
64:2018/12/26(水) 23:59:10.580
銀髪「君のヘビは人間の言葉をしゃべるのか。すごいね」

毒蛇「へへっ、照れるぜ」

女「勉強したからじゃなくて、自分の毒で脳みそがおかしくなったからなんだけどね」

白蛇『なーんだ。あなたってホントバカねえ!』シュルルルル…

毒蛇『うるせえブス!』シャーッ

白蛇『なんですって!? また噛んでやりましょうか!』

銀髪「まあ、ヘビ語はだいたい分かるけどね」

女「私もよ。この二匹、痴話喧嘩してるわ」

女子高生「うぐぐ……まだまだ二人の域には遠いわ……」

ハブ『そのうち、私の言葉も分かるようになりますよ』シューッ

チンピラ「あ、あのっ! ヘビ談義してる場合じゃないと思うんすけど!」

女「そうね、とりあえず私の事務所に行きましょうか」
65:2018/12/27(木) 00:04:06.116 ID:0Z3g/FR40.net
<自宅兼事務所>

銀髪「これからボクはどうすれば……」ハァ…

チンピラ「サツにもうかつに頼れねえしなぁ」

女「しばらく、ここにいればいいわ」

女「今は私が依頼を受けてる状態だから、新しい刺客を送り込んでくることもないでしょ」

毒蛇「そうだな。二、三日ゆっくり作戦会議でもしようぜ」

銀髪「ありがとう……」

ハブ「シュー…」

毒蛇『どうした、ハブ?』

ハブ『私の“読み”がたしかなら、我々はもう王手されている!』

毒蛇『なにっ!?』
66:2018/12/27(木) 00:07:23.025 ID:0Z3g/FR40.net
――ドガァンッ!

タタタタタッ タタタタタッ

頃し屋「ククク……標的はそこの銀髪の青年か」

手下A「てめえらぁ!」

手下B「無駄な抵抗すんじゃねえぞ!」



女「まぁっ……」

毒蛇「こいつらドア壊しやがって!」

銀髪「ボクらが意気投合したことは、すでにバレていたのか!」
67:2018/12/27(木) 00:09:39.915 ID:0Z3g/FR40.net
女「窓から逃げましょう」

女子高生「だけどここ二階ですよ!?」

女「自分の蛇をロープにして逃げるのよ」シュルルルル…

女子高生「なるほど!」シュルルルル…

銀髪「白蛇、頼むよ」シュルルルル…

チンピラ「あのっ、俺はどうしましょ!?」

女「自力で頑張って」

チンピラ「はーいっ!」ピョーンッ

タタタタタッ… タタタタタッ…
68:2018/12/27(木) 00:13:29.925 ID:0Z3g/FR40.net
紳士「どうだったかね? アナコンダ君」

金髪「…………」オドオド…

頃し屋「惜しくも逃げられました。襲撃は読まれていたようです」

紳士「なかなか勘が鋭いようだな」

紳士「しかし、ヘビ使い女め……あの隠し子と和解した上に真実も知ってしまった」

紳士「こうなれば、銀髪だけでなく、この事務所の連中も皆頃しにしてくれ!」

紳士「むろん、その分金は払う!」

頃し屋「お任せ下さい」

頃し屋「この私が“アナコンダ”の異名を持つ理由、奴らにとくと思い知らせてやりましょう」

紳士「あんなヘビ女なんぞに頼らず、最初から君に依頼すべきだったよ」
70:2018/12/27(木) 00:17:08.218 ID:0Z3g/FR40.net
<爬虫類ショップ>

女「……というわけで、かくまって欲しいの」

店長「いいとも!」

店長「ここは爬虫類を愛する者のオアシスだからね。いくらでもいてくれよ!」

女「ありがとう」



女「いつまでもいることはできないけど、これで時間が稼げるはずよ」

毒蛇「今のうちにこれからどうするか決めねえとな!」

銀髪「みんな、ボクのせいですまない……」

女子高生「なにいってるの! あなたはなにも悪くないじゃん!」

チンピラ「ああ、むしろこっちから仕掛けたんだしな!」
71:2018/12/27(木) 00:20:22.589 ID:0Z3g/FR40.net
コツッ… コツッ…

店長「……ん?」

頃し屋「この店にヘビ使いどもがいるだろう。出してもらおう」

店長「ヘビ使い? はて、なんのことやら……」

バキッ!

店長「ぐわっ!」

頃し屋「とぼけるな……この店にいるのは分かってるんだ」



女「どうやら、もうバレちゃったようね」

毒蛇「くそったれ、出て行くしかねえぜ!」シャーッ
72:2018/12/27(木) 00:23:22.019 ID:0Z3g/FR40.net
女「店長さん、大丈夫?」

店長「あ、ああ……役に立てずすまない……」

銀髪「くっ、もう見つけられるなんて……」

頃し屋「我らの情報網を甘く見たな」

頃し屋「追加オーダーがあってな。お前たちは全員氏んでもらうことになった。やれ」

手下A「へっへっへ……」パキポキ…

手下B「覚悟しやがれ!」

女「もう、やるしかないようね」

毒蛇「おう、ここで決着だ!」
73:2018/12/27(木) 00:27:27.774 ID:0Z3g/FR40.net
チンピラ「だったら、俺がいきやす!」

チンピラ「どおりゃああああああっ!」ピョーンッ

手下A「うおっ!? なんてジャンプ力だ!」

ドカッ!

手下A「ぐああっ!」


女子高生「ハブ、あいつの首絞めちゃって!」

ハブ「シューッ!」ギュッ

手下B「ぐえっ、ぐるじ……!」


チンピラ「ザコは俺らに任せて下せえ!」

毒蛇「頼むぜ、ザコ専!」

チンピラ「ザコ専はキツイっすよ……毒蛇さん……」
74:2018/12/27(木) 00:29:21.764 ID:0udZGxWgr.net
ヒソカかな?
75:2018/12/27(木) 00:30:20.443 ID:0Z3g/FR40.net
女「じゃあ、頃し屋は私が――」

銀髪「待った、そこまで世話になるわけにはいかない」

銀髪「こいつとはボクがケリをつける!」

頃し屋「勇ましいな。それでこそ頃しがいがある」

銀髪「いくぞ!」シュバババッ

頃し屋「ほう、拳法使いか」バババッ

銀髪(かわされた!?)

頃し屋「もらった!」ガシッ

銀髪「ぐっ!?」
76:2018/12/27(木) 00:34:20.461 ID:0Z3g/FR40.net
頃し屋「俺は裏社会じゃ“アナコンダ”って呼ばれてるんだが」グググッ…

銀髪「あ、が……!」

頃し屋「なぜ“アナコンダ”と呼ばれてるか教えてやろう」グググッ…

頃し屋「この太い腕で、標的を絞め頃すからだよォ!」グググッ…

頃し屋「特に仕留めた相手の全身の骨をバキボキ折るのが楽しくてなァ!」グググッ…

銀髪「が、あああああ……!」メキメキ…

白蛇『コラッ、離れなさいよ!』ガブッ

頃し屋「俺の肉体に、こんな噛みつきが通用するか」バシッ

白蛇『きゃっ!』
77:2018/12/27(木) 00:37:20.533 ID:0Z3g/FR40.net
女「毒蛇、助けてあげて」

毒蛇「おう! よくも白蛇を殴りやがったな!」

毒蛇「シャーッ!」ガブッ

頃し屋「……む」

女「終わったわ」

毒蛇「毒をたっぷりと注入してやった……もう動けねえぞ!」

頃し屋「それはどうかな?」

毒蛇「なに?」
79:2018/12/27(木) 00:40:10.287 ID:VVKOYHYu0.net
爬虫類ショップの独特な臭い好き
80:2018/12/27(木) 00:41:32.141 ID:0Z3g/FR40.net
頃し屋「どおりゃあっ!」ブオンッ

バキッ!

毒蛇「ぐおあっ!」

毒蛇「こいつ、毒が効かねえ……!」

女「なんて奴なの……!」

頃し屋「これが“アナコンダ”のもう一つの理由よ!」

頃し屋「俺は長年の訓練で、そんじょそこらの毒なんざ効かない体質なのさ!」

頃し屋「いくら毒を喰らっても、アナコンダのように獰猛に暴れ回る!」

銀髪「ぐ……逃げ、ろ……」

頃し屋「まだ口がきけたか! とっとと首をヘシ折ってやる!」グググッ…

銀髪「ぐ、あ、ぁぁ……」

白蛇『いやぁぁぁっ!!!』
81:2018/12/27(木) 00:44:42.639 ID:0Z3g/FR40.net
女「なるほど、毒が効かないとは驚きだわ」

毒蛇「ああ」

女「だったら、あまり気が進まないけど、“あれ”をやるしかないわね」

毒蛇「……やんのか。あれはやりたくねえなぁ……」

女「あんただって、白蛇ちゃんを助けたいでしょ?」

毒蛇「まぁな。メスは見捨てない主義でな」

女「じゃ、やるわよ」

毒蛇「おう!」

頃し屋「今さら何をするつもりだ!? 何やったって、俺には通用しねえ!」
82:2018/12/27(木) 00:47:48.142 ID:0Z3g/FR40.net
女「行くわよ」ガシッ

ヒュルンッ! ヒュンヒュンッ! ヒュルルンッ!

銀髪(毒蛇の尻尾を持って……鞭のように……!)

頃し屋「なにが切り札かと思いきや、そんなのがこの俺に通用するかよ!」

女「だったら試してみるといいわ」ヒュンッ


バチィンッ!!!


頃し屋「…………」

頃し屋「……い」

頃し屋「いっでぇぇぇええぇぇぇぇええ!!!」
83:2018/12/27(木) 00:52:21.356 ID:0Z3g/FR40.net
女「毒蛇は、私に振るわれることで最高の“毒”になるの」ヒュンッヒュンッ

女「もういっちょいくわよ」ヒュルルンッ

頃し屋「ちょ、ちょっと待っ……!」

ベチィッ!

頃し屋「あぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

バチィンッ!

頃し屋「うごおおぉぉぉぉぉお!!!」

頃し屋(なんて鞭……いや蛇さばき! しかもウロコのせいでクッソ痛えええええ!!!)

頃し屋(痛しゅぎるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!)



銀髪「す、すごい……!」

銀髪(毒蛇には極力ダメージがないようにしつつ、強力な鞭として扱っている……!)

銀髪(二人の呼吸が合い、なおかつ絶対の信頼関係がなければ、これほどのことはできない!)
85:2018/12/27(木) 00:55:21.879 ID:0Z3g/FR40.net
ビシィッ!

頃し屋「ひぎぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

頃し屋「なんなのお前……SM嬢か、なんかか……?」

女「SM嬢……か。たしかに私はSM嬢だわ」パシィンッ

女「ただし、SM(スネークマスター)だけどね」ヒュンッ


バチィン!!!


頃し屋「おふうぅぅぅぅぅ……」ガクッ
86:2018/12/27(木) 00:59:19.578 ID:0Z3g/FR40.net
女「ふぅ……やっと倒れてくれたわね」

毒蛇「おう、ざまあねえぜ!」

チンピラ「すげえっす! まさにお二人ならではの技っす!」

女子高生「さすが先生……うっとりしました……!」

女「今の蛇さばき、ユーチューブに流したらウケるかしら?」

毒蛇「多分炎上すると思うよ……」

女「さて、後は……奥でコソコソしてるあなたたちだけね」チラッ



紳士「ひっ!」ビクッ

金髪「ひえっ!」
87:2018/12/27(木) 01:02:20.702 ID:0Z3g/FR40.net
金髪「ボ、ボクは“隠し子のふりをしろ”って雇われただけで……大富豪の息子はこの人の方なんです!」

紳士「き、貴様ァ!」

女「なるほど、財産の取り分を増やそうとした黒幕はあなただったわけね」

紳士「ひ、ひいい……」

女「あなた……すみやかに警察に行って、あなたの息がかかってない人に全て話しなさい」

女「でないと……今頃し屋にやったように、ヘビ喰らわすわよ」

紳士「い、行きます! 行きますぅぅぅ!」

紳士「あんたみたいなヘビ女、絶対敵に回したくないっ……!」
88:2018/12/27(木) 01:05:28.958 ID:0Z3g/FR40.net
銀髪「すっかり助けられてしまって……どうもありがとう」

女「どういたしまして。こちらこそ迷惑かけちゃって」

銀髪「ボクは自分が大富豪の息子だと分かってからも、のらりくらりとやり過ごしてきたけれど」

銀髪「ちゃんと父に会って、決着をつけることにするよ」

女「うん、それがいいわ」

白蛇『ふんっ、いっとくけど礼はいわないからね』シュルルル…

毒蛇『別にいらねーよ!』

白蛇『だけど……』チュッ

毒蛇『!』

女「なに赤くなってるの。ヘビのくせに」

毒蛇「な、なってねーよ!」
90:2018/12/27(木) 01:08:56.280 ID:0Z3g/FR40.net
女子高生「じゃあ皆さん、事件解決祝いにハブ酒でも飲みましょー!」

ハブ『私の味が染み込んだ、最高の一品ですよ』

チンピラ「おっ、いいねえ!」

銀髪「ボクもハブ酒には目がないんだ」

店長「いやぁ、嬉しいねえ」

女「あ、だけど……」

女「あなた飲んじゃダメでしょ。未成年じゃない」

女子高生「も、もちろん! 先生たちだけで飲んでっていう話ですよー!」

毒蛇(さてはこいつ、普段飲んでやがるな……)

…………

……
91:2018/12/27(木) 01:13:26.381 ID:0Z3g/FR40.net
しばらくして――

<自宅兼事務所>

女「…………」ボケーッ

毒蛇「どうした? ボケーッとして」

女「ああ、あの頃し屋と戦った事件を思い出してたの」

毒蛇「ああ、あれか。俺もよく覚えてるぜ」

女「結局、銀髪の彼はどうなったのかしら?」

毒蛇「そりゃあ、大富豪と和解して、正式に息子になったんだろ」

女「ヘビ使いはやめちゃったのかしら」

毒蛇「まあ……職業としてのヘビ使いはやめちまっただろうな。続ける意味ねえし」

女「そうよね。せっかく同業と知り合えたと思ったのに、残念だわ」
92:2018/12/27(木) 01:16:14.786 ID:0Z3g/FR40.net
女「あれから、女子高生ちゃんは女子大生になって――」

女「ここで稼いだお金で沖縄にハブ修行に行っちゃって、しばらく会えないだろうし」

毒蛇「チンピラはあいつが描いたカエルの絵本がなぜか大ヒットして」

毒蛇「絵本作家になって、今や出版社に出入りする日々……」

女「それでも、ウチの会計の仕事は続けてくれてるから助かるけどね」

女「結局変わらないのは、私たちだけか」

毒蛇「俺を巻き込むんじゃねえよ。俺はこないだ脱皮したぜ」

女「そうだったわね」
93:2018/12/27(木) 01:19:05.925 ID:0Z3g/FR40.net
女「とはいえ仕事は忙しいし……今度は正式な従業員を雇おうかしら」

毒蛇「お、正社員ってやつか?」

女「うん、できればヘビ使いをね」

毒蛇「いるわけねえって――」


ガチャッ…

銀髪「だったらボクなんかどうだい?」

白蛇「シュルルルル…」


女「あっ」

毒蛇「あっ」
94:2018/12/27(木) 01:23:13.897 ID:0Z3g/FR40.net
女「あなた……大富豪の息子として生きるんじゃなかったの?」

銀髪「逆だよ。ボクはヘビ使いとして生きる決心をした」

銀髪「財産相続の話も正式に断ってきたよ」

女「そうだったの……」

毒蛇「あーあ、もったいねえ! ぜってえ後悔するよ!」

白蛇『うるさいわね! 私たちには私たちの生き方ってもんがあんのよ!』

毒蛇『そりゃあ悪うございましたね!』

女「あなたたち、夫婦喧嘩はやめなさい」

毒蛇「まだ夫婦じゃねえ!」シャーッ

白蛇『まだ夫婦じゃないわよ!』シュルルルル…

女「まだっていっちゃってるじゃない」

銀髪「アハハ……」
95:2018/12/27(木) 01:27:06.551 ID:0Z3g/FR40.net
銀髪「……というわけで、このフリーのヘビ使い……雇ってもらえるかな?」

女「ええ、もちろんOKよ」

白蛇『縁起のいい私もついてくるわよ!』

毒蛇「あーあ、こりゃますますこの事務所も忙しくなっちまいそうだぜ!」







おわり
96:2018/12/27(木) 01:29:17.009 ID:LWzHq+vP0.net
おつ
97:2018/12/27(木) 01:32:48.322 ID:CDlGqKMSr.net
乙!
俺もヘビ使いになりたくなったよ