1:2019/01/01(火) 02:31:05.171
ハルヒ「早いものでもう12月も中旬かー。 色々あったわよねぇ」

キョン「なんだ、感慨にふけるなんてお前らしくないな」

ハルヒ「なによそれ! ……でも、そうね。 あたし、結構みんなに迷惑かけちゃったかなって」

キョン「おいおい、ほんとにどうした」

ハルヒ「あたしね、高校に入学してからの毎日、本当に楽しかった。
    なんていうか……、やっと生きてる充実感を得られたっていうか……。
    中学の頃はこうじゃなかったわ。 毎日が退屈で……、でも、今は違う。
    みんながいるから、それが凄く楽しいの」

みくる「涼宮さん……」

ハルヒ「あんまり楽しいから、周りが見えなくなってキョンたちのこと振り回して……。
    自分のことしか考えてなかったわ……。 ごめんね」

古泉「そんな……」

ハルヒ「……今のこの瞬間って、大事にしないと、すぐに消えちゃうような気がするの。
    だから、言えるうちに言っておくわ。 みんな……、ありがとう」

みくる「涼宮さーん……」グスッ

キョン「まぁ、確かに迷惑な目にいっぱい遭わせられたなぁ」

みくる「キョ、キョンくん!」



2:2019/01/01(火) 02:32:19.279
キョン「それじゃ、元旦はSOS団のみんなでゆっくり過ごすか」

長門「私の家を使って構わない」

ハルヒ「そうっ? じゃあ、有希の家におせちが届くようにしておくわ!」

キョン「悪いな、長門」

長門「いい」

ハルヒ「でもみんな! その前にクリスマスや忘年会や初詣があるんだからね! そっちも気合いれるわよー!」

キョン「ああ、これからもよろしくな、ハルヒ」

ハルヒ「うん!」
3:2019/01/01(火) 02:32:33.074
そして、元旦


ハルヒ「あけましておめでとう!」

キョンたち「おめでとう」

ハルヒ「いやー、有希のマンションって、立派でいいわよねぇ」

キョン「あんまり大騒ぎするなよ」

ハルヒ「正月は無礼講よ!」

キョン「お前は一年中無礼講だろ……」


ハルヒ「そういえば、お腹すいたわね」

みくる「今、お雑煮を作ってるところですから」

古泉「長門さん、注文したおせちは?」

長門「昨日のうちに届く予定だったが、未だに来ない」

ハルヒ「おかしいわねぇ、そろそろ来るんじゃ――」
4:2019/01/01(火) 02:33:12.684
ピンポーン

ハルヒ「あ、きたきたっ。 はい」

たったったっ がちゃ

キョン「……まるで我が家のような応対だな」


ハルヒ「みんな!、届いたわよ!」

キョン「腹減ったな、早く食おう」

古泉「……おや?」

キョン「どうした?」

古泉「あ、いえ、通常の配達物として送られたんですね。 こういうものはクール便だと思ってましたが」

みくる「確かにちょっと変ですねぇ……」

キョン「まぁいいじゃないか。 さすが豪華な箱だなぁ! こりゃ、中を見るのが楽しみだ」

みくる「そうですねっ! わたしも料理好きなので、おせちってすっごく興味あるんですよ?」

古泉「わくわくしますねぇ」

ハルヒ「なにせ、横浜の人気レストランの厳選食材をふんだんに使った33品・3段・7寸の立派なおせちだからね!」
5:2019/01/01(火) 02:33:56.962 ID:b44q7s/Aa.net
今のガキ、ハルヒ知らねえんだよなぁ…
6:2019/01/01(火) 02:34:13.303
キョン「早く開けてくれっ」

ハルヒ「うふふ、それじゃ開けるわよ!」


ごそごそごそ ぱかっ


ハルヒ「じゃーん! 豪華謹製おせちの――――えっ…………?」





キョン「……ん?」

古泉「これは…………」

みくる「……ふぇ」

長門「…………」

ハルヒ「え、えっと…………」アタフタ
7:2019/01/01(火) 02:34:37.252
ハルヒ「き、きっと2段目は凄いわよっ! ほらっ!」カパッ



キョンたち「…………」


ハルヒ「3段目ならきっと!!」カパッ





みくる「あ、6Pチーズだ……」


ハルヒ「な……、なんなのよこのおせち!! 写真と全然違うじゃない!!」

8:2019/01/01(火) 02:35:05.344
キョン「何かの間違いじゃないのか……? おせちというより、食い残しの弁当にしか見えないんだが……」

みくる「な、なんだか、酸っぱい匂いがしますぅ」

長門「……腐ってる。 食べるのは危険」

みくる「箱の中身……スッカスカですね……。 黒豆がえーっと……14粒かな」

長門「貝の中のアワビも1切れしかない」

古泉「この生ハム……、完全に乾いててカピカピですね」

キョン「この6Pチーズはなんだ……。 笑えばいいのか……?」

長門「違う、6Pではなく8Pチーズ」

キョン「どっちでもいいよ……」

みくる「4人前のおせちにハム2枚にチーズ1切れって…………」

古泉「スカスカだから配達の時に揺れて、中身が更に酷いことになってますね。 まるで残飯だ……」
10:2019/01/01(火) 02:35:29.961
ハルヒ「…………」

キョン「あっ! い、いや……、ちょっと大袈裟に言いすぎたな!」

みくる「え、あっ! そ、そうですね! よく見たら美味しそうかも!」

古泉「え、ええ! おせちなのに重箱の底が見えるところなんて前衛的なデザインで――」

ハルヒ「……っ!」


キョン(ば、ばかやろう! お前のフォローは嫌味にしか聞こえないんだよ!)

古泉(も、申し訳ありません……、気が動転して……つい…………)


キョン「それじゃ、いただこうか! ハルヒが俺たちのために用意してくれた、心のこもったおせちだもんな!」

長門「いや、だから腐って――むぐっ」ギュ

みくる「いただきましょう!(長門さん、空気読んで!)」

ハルヒ「いいわよ……、無理しなくて……。 有希の言うとおりお腹壊すわ……」
11:2019/01/01(火) 02:35:59.805
キョン「そ、そんなことないさ! うわぁ…この数の子おいしそうだなぁ!」

ひょい ぱくっ

キョン「うん! 味がしっかり染み込んで――――うっ! おげぇ!」

ぺっ!

キョン「げほっ! げほっ! な、なんだこの味……! 塩の塊を食ったみたいだ……」

みくる「こ、この数の子、塩抜きしてませんよ……。 皮がついたままだ…………」

古泉「い、いやぁ! これだけたくさん料理があったら外れもありますよ! なにせ33品目ですからねぇ!」

長門「いや、今数えたら25品目しかない」

キョン「こ、こまけぇこたぁいいんだよ!」
12:2019/01/01(火) 02:36:22.371
古泉「じゃあ、僕はサトイモをいただきますね!」

ぱくっ がりっ

古泉「うっ、うわあ、おいしい……です…………」ウッ

古泉(硬い! サトイモなのに硬いですよこれ!)

キョン(吐くな! 飲み込め!)

ごくん

古泉「さ、さすが本格おせちのサトイモ! 普段食べてるものとは出来が違うなぁ!」


キョン(だから、その嫌味やめろ!)

古泉(す、すいません、そんなつもりじゃ……)
13:2019/01/01(火) 02:36:36.373
ハルヒ「もういいわよ…………」

みくる「わ、わたしは、このローストビーフをいただきますね!」

ぱくっ

みくる「うぉ、おいしい……なぁ……アハハ…………」ウウッ

みくる(どうしよう、吐き出したい……。 半分生な上に、本当に腐ってるよこれ……)

キョン(朝比奈さん、後で胃腸薬を買ってあげますから、耐えてください!)

ごくん

みくる「お、お正月から幸せな気分です」アハハ…

キョン「そうでしょう! いや、楽しいなぁ!」アハハ…


ドンッ!


ハルヒ「もういいって言ってるでしょ!!!」


シーン……
14:2019/01/01(火) 02:36:53.024
みくる「す、涼宮さん……」

ハルヒ「ごめんね……、せっかくのお正月に水を差しちゃって……」グスッ

キョン「お前は悪くないぞ! ハルヒ!」

みくる「涼宮さんのお気持ちはしっかり伝わりました!」

古泉「そ、そうですよ! 悪いのは、こんなクソったれなゴミ汚せちを送りつけてきたバード○フェですよ!」

ハルヒ「ゴミ汚せち…………」


キョン(古泉……、後で真剣な話がある…………)

古泉(えっ!? 僕、また何かまずいこと言いました!?)


ハルヒ「ごめんね……、ほんとゴメン…………」ポロポロポロ

キョン「ハルヒ…………」
15:2019/01/01(火) 02:36:56.285 ID:bZ4EeO6t0.net
お世知辛ぇ世の中で
17:2019/01/01(火) 02:37:25.559
長門「……涼宮ハルヒ、気にしなくていい」

ハルヒ「……有希?」

ビリビリ ひょい ぱくっ

長門「この8Pチーズは中々イケる」モグモグ

ハルヒ「…………っ!?」

ハルヒ「うわああああああああああああああん!!!」ダッダッダッダッ

キョン「お、おいハルヒ! ハルヒイイイイイ!!!」


ガチャ バタンッ


キョン「長門おおおおおおおおおおお!!!!」

長門「……何かまずかった?」

みくる「8Pチーズしか、まともなものがなかったんですね…………」
19:2019/01/01(火) 02:37:46.589
シーン……


キョン「……どうすんだ、このゴミおせち…………」

ぶるるる ぶるるる

古泉「すいません、機関からの呼び出しです……。 理由は言うまでもないと思いますが…………」

キョン「ああ、閉鎖空間だろ……。 行ってこい…………」

古泉「はい、失礼します…………」


ガチャ バタン


シーン……


長門「……マリオカートでもやる?」

キョン「いいよ……、俺も帰る…………」

みくる「う……、さっきのローストビーフのせいでお腹が…………」ゴロゴロ
20:2019/01/01(火) 02:38:06.028 ID:o1/sYrE/d.net
古泉が承りみたいな口調で草
21:2019/01/01(火) 02:38:10.572
翌日 キョンの部屋


妹「あさー、朝だよキョンくん 起きろー」ユサユサ

キョン「ん……、休みなんだからゆっくり寝かせてくれ……」

妹「もう、寝ぼけてるな! 今日も学校あるでしょ 起きて!」

キョン「え……? 今日は1月2日だろ。 冬休みの真っ最中じゃないか……」

妹「何言ってるのキョンくん。 今日は12月14日だよ 学校に行くよ?」

キョン「えっ!? ちょ、ちょっと待て!」ガバッ

妹「ふぇ?」

キョン「ま、まさか……! テ、テレビ!!」

ぴっ

キョン「ほ、ほんとだ……。 12月14日だ……。 まさか、夏休みのエンドレスエイトのようにタイムスリップを……?」

ぷるるるる ぷるるぴっ

キョン「もしもし! 長門か!?」

長門『今起きている現象を説明する』
22:2019/01/01(火) 02:38:56.868
長門から受けた説明を簡潔にまとめると、
やはり、ハルヒの世界改竄能力によって、時間が巻き戻ったらしい。
理由は言うまでもないだろう。 昨日のおせちが原因だ。

あのゴミ箱から拾ってきたかのような残飯おせちを、
自信満々に差し出したハルヒは、激しくショックを受け、
あの恥辱をなかったことにすべく、この現象を引き起こしたようだ。

しかし、誰がハルヒを責められようか。
俺がハルヒの立場なら、一週間は引篭もってるであろうレベルだ。
俺は、ハルヒのことが無性に心配になり、学校への足を急いだ。



教室


キョン「ハルヒ……、ハルヒはまだ来てないのか……?」キョロキョロ

ハルヒ「おっはよー! キョーン!」

キョン「あ! ああ、おはようハルヒ……」

ハルヒ「ん? 何よ、随分元気ないわねぇ?」

キョン「い、いや、何でもない……。 と、ところでハルヒ、お前、おせちを買おうとしてるか……?」

ハルヒ「えっ!? どうしてそのことを……?」

キョン「い、いやぁ! おせちを注文しようと思ったら、今がギリギリだろっ? ちょっと聞いてみただけだっ」
23:2019/01/01(火) 02:39:17.115
ハルヒ「そっか。 うん、実はさ、みんなと一緒にゆっくりお正月を過ごしたいなと思って、選んでるところなんだっ」

キョン「そうか……、ひとつ言わせてくれ…………」

ハルヒ「なに?」

キョン「グル○ポンで買うのだけは絶対にやめとけ!!」


こうして、俺はあの呪われた運命を回避することに成功した…………はずだった。
しかし、俺はこの時、気付いていなかった。 また、新たな困難が待ち構えていることに…………。

ハルヒ「なんなのよ! 楽○で注文したおせち、いつまで経ってもこないじゃない!!」



おわり
26:2019/01/01(火) 02:41:38.425 ID:FhChjbbtM.net
風化させてはいけない
29:2019/01/01(火) 02:50:31.521 ID:6YjPlaBga.net
戒め
30:2019/01/01(火) 02:56:05.041 ID:gOmZUg+60.net
面白い そして罪は重い
37:2019/01/01(火) 03:26:05.941 ID:LNsC+y7Jd.net
真面目に風化させてはいけない
38:2019/01/01(火) 03:37:31.021 ID:uG0XbS0kM.net
ローソン100の100円おせちの方がコスパ良くて好きなもん食える