1:2018/12/05(水) 23:09:59.068 ID:zXSwh1TnD.net
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
猫本聖羅(19) ファッションモデル
【猫とインスタグラム】
ホーッホッホッホ……。」
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
猫本聖羅(19) ファッションモデル
【猫とインスタグラム】
ホーッホッホッホ……。」
4:2018/12/05(水) 23:12:15.172 ID:zXSwh1TnD.net
とあるスタジオ。真っ白な壁を背景に、ファッションモデルの女性が立っている。
彼女に対し、カメラを向ける男性カメラマン。女性モデルとカメラマンを見守るスタッフたち。
カメラマン「それじゃあ、いきますよー」
聖羅「はい」
テロップ「猫本聖羅(19) ファッションモデル」
カメラマンが、聖羅をカメラで撮影する。カシャッ!!
とある大型書店。雑誌コーナーに置かれた女性ファッション雑誌『GLORIA(グ ア)』。
『GLORIA』の表紙には、聖羅の写真が写っている。この前、スタジオで撮影した例の写真が――。
夜。とある居酒屋。店の奥にある液晶テレビには、デジタルカメラのCMに出演する聖羅の姿が映っている。
カウンター席に座り、客たちとともにビールを飲む喪黒福造。喪黒は、テレビに映る聖羅の顔を見つめる。
彼女に対し、カメラを向ける男性カメラマン。女性モデルとカメラマンを見守るスタッフたち。
カメラマン「それじゃあ、いきますよー」
聖羅「はい」
テロップ「猫本聖羅(19) ファッションモデル」
カメラマンが、聖羅をカメラで撮影する。カシャッ!!
とある大型書店。雑誌コーナーに置かれた女性ファッション雑誌『GLORIA(グ ア)』。
『GLORIA』の表紙には、聖羅の写真が写っている。この前、スタジオで撮影した例の写真が――。
夜。とある居酒屋。店の奥にある液晶テレビには、デジタルカメラのCMに出演する聖羅の姿が映っている。
カウンター席に座り、客たちとともにビールを飲む喪黒福造。喪黒は、テレビに映る聖羅の顔を見つめる。
5:2018/12/05(水) 23:14:16.289 ID:zXSwh1TnD.net
喪黒「…………」
どうやら、喪黒はまたしても何かの企みを思いついたようだ。
とあるカフェ。聖羅が、友人の女性モデルと一緒にパフェを食べている。
美央「ねぇ、聖羅。あんた、インスタグラム始めたんだってね?」
テロップ「玉川美央(20) ファッションモデル」
聖羅「そうだよ。まだ、やり始めたばかりだからさー……。試行錯誤っていうか……」
美央「最初は誰だってそうだよ。慣れてくれば、インスタも生活の一部になるよ」
聖羅「うん……。でも、できるなら、インスタ映えする題材をスマホで撮りたいよねぇ」
美央「インスタ映え……ね。じゃあ、例えばこのテーブルにあるパフェを撮影するのとか……どう?」
聖羅「あ、そっか!」
スマホでパフェを撮影する聖羅。
どうやら、喪黒はまたしても何かの企みを思いついたようだ。
とあるカフェ。聖羅が、友人の女性モデルと一緒にパフェを食べている。
美央「ねぇ、聖羅。あんた、インスタグラム始めたんだってね?」
テロップ「玉川美央(20) ファッションモデル」
聖羅「そうだよ。まだ、やり始めたばかりだからさー……。試行錯誤っていうか……」
美央「最初は誰だってそうだよ。慣れてくれば、インスタも生活の一部になるよ」
聖羅「うん……。でも、できるなら、インスタ映えする題材をスマホで撮りたいよねぇ」
美央「インスタ映え……ね。じゃあ、例えばこのテーブルにあるパフェを撮影するのとか……どう?」
聖羅「あ、そっか!」
スマホでパフェを撮影する聖羅。
6:2018/12/05(水) 23:16:16.471 ID:zXSwh1TnD.net
とある水族館。水槽を泳ぐ魚を、スマホで撮影しようとする聖羅。
聖羅(この魚とか、インスタ映えしそう……。インスタ映え……。インスタ映え……)
次の瞬間、スマホの画面に喪黒の顔が大写しで映る。
喪黒「ばあ」
水槽のガラスに張り付く喪黒。喪黒の顔に、驚く聖羅。彼女は思わず、スマホで喪黒の顔を撮影してしまう。
聖羅「あーーーーっ!!!」
喪黒「どうです!?インスタ映えはバッチリでしょ!?」
聖羅「何てことしてくれたんですか!!おじさん!!」
喪黒「すみません。私は悪気はなかったのですよ。あなたの手助けをしようとしたまでで……」
聖羅「手助け!?わざわざ、私に何のつもりなんですか!?」
喪黒「猫本聖羅さん。あなたは、インスタグラムを始めたばかりでしょう」
「だから、インスタ映えについて、私はあなたにアドバイスがしたいのですよ」
聖羅(この魚とか、インスタ映えしそう……。インスタ映え……。インスタ映え……)
次の瞬間、スマホの画面に喪黒の顔が大写しで映る。
喪黒「ばあ」
水槽のガラスに張り付く喪黒。喪黒の顔に、驚く聖羅。彼女は思わず、スマホで喪黒の顔を撮影してしまう。
聖羅「あーーーーっ!!!」
喪黒「どうです!?インスタ映えはバッチリでしょ!?」
聖羅「何てことしてくれたんですか!!おじさん!!」
喪黒「すみません。私は悪気はなかったのですよ。あなたの手助けをしようとしたまでで……」
聖羅「手助け!?わざわざ、私に何のつもりなんですか!?」
喪黒「猫本聖羅さん。あなたは、インスタグラムを始めたばかりでしょう」
「だから、インスタ映えについて、私はあなたにアドバイスがしたいのですよ」
7:2018/12/05(水) 23:18:16.166 ID:zXSwh1TnD.net
聖羅「私が猫本聖羅だと知ってるなんて……。まさか、あなた業界の方なんですか!?」
喪黒「いいえ。私はこういう者です」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
聖羅「ココロのスキマ、お埋めします?」
喪黒「実はですねぇ……。私、人々の心のスキマをお埋めするボランティアをしているのですよ」
聖羅「か、変わったお仕事ですね……」
喪黒「いい店を知っていますから、そこでゆっくり話でもしましょうか」
BAR「魔の巣」。喪黒と聖羅が席に腰掛けている。
喪黒「最近、若い世代の間にインスタグラムを利用する人が増えていますねぇ」
聖羅「はい……。喪黒さんもご存じのように、私もインスタを始めたばかりなんですよ」
喪黒「芸能人には、インスタグラムを利用している人はかなりいますからねぇ」
喪黒「いいえ。私はこういう者です」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
聖羅「ココロのスキマ、お埋めします?」
喪黒「実はですねぇ……。私、人々の心のスキマをお埋めするボランティアをしているのですよ」
聖羅「か、変わったお仕事ですね……」
喪黒「いい店を知っていますから、そこでゆっくり話でもしましょうか」
BAR「魔の巣」。喪黒と聖羅が席に腰掛けている。
喪黒「最近、若い世代の間にインスタグラムを利用する人が増えていますねぇ」
聖羅「はい……。喪黒さんもご存じのように、私もインスタを始めたばかりなんですよ」
喪黒「芸能人には、インスタグラムを利用している人はかなりいますからねぇ」
8:2018/12/05(水) 23:20:24.089 ID:zXSwh1TnD.net
聖羅「ええ。有名な芸能人のインスタは、私と違ってファンの人気が高いからうらやましいですよ」
喪黒「それだけじゃあ、ないでしょう」
「芸能人でも実力がある人は、インスタ映えする題材を選ぶテクニックも持ってるんです」
聖羅「……ですよね」
喪黒「ごく自然でありながら、個性的である題材……。インスタ映えする写真には、これが欠かせません」
聖羅「……はい」
喪黒「色の美しさや、おしゃれさもインスタ映えには大事です。あと、写真を撮るために、小物を利用するのもいいでしょう」
聖羅「……なるほど」
喪黒「インスタ映えする題材として、非常に打ってつけのものがごく身近にあります」
聖羅「何ですか、それ?」
喪黒「猫ですよ。2017年に日本で最も人気があったインスタグラムのハッシュタグは、『#猫 / #ねこ』だったんです」
聖羅「猫?」
喪黒「それだけじゃあ、ないでしょう」
「芸能人でも実力がある人は、インスタ映えする題材を選ぶテクニックも持ってるんです」
聖羅「……ですよね」
喪黒「ごく自然でありながら、個性的である題材……。インスタ映えする写真には、これが欠かせません」
聖羅「……はい」
喪黒「色の美しさや、おしゃれさもインスタ映えには大事です。あと、写真を撮るために、小物を利用するのもいいでしょう」
聖羅「……なるほど」
喪黒「インスタ映えする題材として、非常に打ってつけのものがごく身近にあります」
聖羅「何ですか、それ?」
喪黒「猫ですよ。2017年に日本で最も人気があったインスタグラムのハッシュタグは、『#猫 / #ねこ』だったんです」
聖羅「猫?」
9:2018/12/05(水) 23:22:14.752 ID:zXSwh1TnD.net
喪黒「はい。猫は、インスタ映えのいい題材になってくれますよ」
「猫は人々に人気のある動物ですし、その可愛らしい姿は見る人に癒しを与えてくれます」
聖羅「確かに……」
喪黒「猫本さん。インスタグラムで撮影するために、猫を飼ってみたらどうですか?」
聖羅「私が猫を飼うんですか!?」
喪黒「そうです。あなたが飼い猫の写真をインスタグラムに投稿すれば、労せずして『いいね』がたくさん付きます」
「それにより、猫本さんのインスタグラムは、フォロワーと投稿への『いいね』が増えていく……というわけです」
聖羅「そうですか……」
喪黒「その上……。インスタグラムでフォロワーと『いいね』が増えるおかげで、あなたのファンもさらに増えます」
「まさに、いいことづくめですよ」
聖羅「……分かりました。私、思い切って猫を飼ってみようと思います」
喪黒「そうです!その調子!」
「猫は人々に人気のある動物ですし、その可愛らしい姿は見る人に癒しを与えてくれます」
聖羅「確かに……」
喪黒「猫本さん。インスタグラムで撮影するために、猫を飼ってみたらどうですか?」
聖羅「私が猫を飼うんですか!?」
喪黒「そうです。あなたが飼い猫の写真をインスタグラムに投稿すれば、労せずして『いいね』がたくさん付きます」
「それにより、猫本さんのインスタグラムは、フォロワーと投稿への『いいね』が増えていく……というわけです」
聖羅「そうですか……」
喪黒「その上……。インスタグラムでフォロワーと『いいね』が増えるおかげで、あなたのファンもさらに増えます」
「まさに、いいことづくめですよ」
聖羅「……分かりました。私、思い切って猫を飼ってみようと思います」
喪黒「そうです!その調子!」
10:2018/12/05(水) 23:24:26.250 ID:zXSwh1TnD.net
夜。とある住宅街の中にある広めの住宅。ここが聖羅の実家だ。台所で、両親と一緒に食事をする聖羅。
聖羅の母「猫を飼う!?どうしてまた、急にそんなことを……!?」
聖羅「インスタ映えのためだよ。実はさ……」
一連の事情を両親に話す聖羅。
聖羅の母「猫を飼うなんて、反対よ。不衛生だし、扱いに困るじゃん」
聖羅「そんな!!母さん……!!」
聖羅の父「父さんは賛成だね。聖羅が飼いたいと言ってるんだからな」
聖羅「ほら!父さんもそう言ってるんだから、猫を飼おうよ!」
とあるペットショップ。店内にいる聖羅と両親。3人は、ガラスケースの中にいる猫を見つめる。
この猫は耳が立っていて、ふっくらした肉体をしており、足は短めだ。
聖羅「これ、可愛い……」
聖羅の母「猫を飼う!?どうしてまた、急にそんなことを……!?」
聖羅「インスタ映えのためだよ。実はさ……」
一連の事情を両親に話す聖羅。
聖羅の母「猫を飼うなんて、反対よ。不衛生だし、扱いに困るじゃん」
聖羅「そんな!!母さん……!!」
聖羅の父「父さんは賛成だね。聖羅が飼いたいと言ってるんだからな」
聖羅「ほら!父さんもそう言ってるんだから、猫を飼おうよ!」
とあるペットショップ。店内にいる聖羅と両親。3人は、ガラスケースの中にいる猫を見つめる。
この猫は耳が立っていて、ふっくらした肉体をしており、足は短めだ。
聖羅「これ、可愛い……」
11:2018/12/05(水) 23:26:19.205 ID:zXSwh1TnD.net
店員「この猫の種類は、マンチカンです。マンチカンは、飼い猫として人気がある種類の一つなんです」
「愛らしい姿もさることながら、人懐っこくて社交的な子が多いんです」
聖羅の父「そうなんですか……」
店員「大人のマンチカンは賢い性格なので、留守番が得意な猫とも言われてるんですよ」
聖羅「じゃあ、これに決めたっ」
猫本家、聖羅の部屋。スマホで喪黒と通話する聖羅。
聖羅「もしもし、喪黒さん?私、遂に猫を飼いましたよ」
喪黒「ほう……。それにしても、素早く決断してくれましたねぇ」
聖羅「はい。ペットショップに行って、猫を購入してきたんです。これもインスタ映えのためですから……」
喪黒「あなたの飼い猫で、いい写真が撮れるといいですねぇ」
聖羅「ええ。必ず、あの猫でインスタ映えした写真を投稿して見せますよ!」
「愛らしい姿もさることながら、人懐っこくて社交的な子が多いんです」
聖羅の父「そうなんですか……」
店員「大人のマンチカンは賢い性格なので、留守番が得意な猫とも言われてるんですよ」
聖羅「じゃあ、これに決めたっ」
猫本家、聖羅の部屋。スマホで喪黒と通話する聖羅。
聖羅「もしもし、喪黒さん?私、遂に猫を飼いましたよ」
喪黒「ほう……。それにしても、素早く決断してくれましたねぇ」
聖羅「はい。ペットショップに行って、猫を購入してきたんです。これもインスタ映えのためですから……」
喪黒「あなたの飼い猫で、いい写真が撮れるといいですねぇ」
聖羅「ええ。必ず、あの猫でインスタ映えした写真を投稿して見せますよ!」
12:2018/12/05(水) 23:28:17.006 ID:zXSwh1TnD.net
そして――。聖羅のインスタグラムには、飼い猫モモの写真が次々と投稿されていく。
マットの上に寝転ぶモモ。キャットフードを食べるモモ。聖羅に頭をなでられるモモ。椅子の上にいるモモ。
座布団の上に座るモモ。身体を伸ばしたまま寝そべるモモ。2本足で立った状態のモモ。顔が大写しのモモ。
聖羅(やった!今日も、モモの写真に『いいね』が多く付いている!)
スマホを見つめながら、喜ぶ聖羅。
とある海岸。海を背景に、砂浜の上に立つ聖羅。彼女にカメラを向けるカメラマン。聖羅とカメラマンを見守るスタッフたち。
様々なポーズを決める聖羅。そんな彼女を、カメラマンが数回ほど撮影する。カシャッ、カシャッ、カシャッ、カシャッ……!!
カメラマン「オッケー!ばっちりだよ!」
撮影を終え、ほっとした表情になる聖羅。
移動中のワンボックスカー。後部座席でスマホを眺める聖羅。
聖羅(私のインスタ、順調にフォロワーが増えてる……。もしかしたら、モモの写真のおかげかもしれない……)
マットの上に寝転ぶモモ。キャットフードを食べるモモ。聖羅に頭をなでられるモモ。椅子の上にいるモモ。
座布団の上に座るモモ。身体を伸ばしたまま寝そべるモモ。2本足で立った状態のモモ。顔が大写しのモモ。
聖羅(やった!今日も、モモの写真に『いいね』が多く付いている!)
スマホを見つめながら、喜ぶ聖羅。
とある海岸。海を背景に、砂浜の上に立つ聖羅。彼女にカメラを向けるカメラマン。聖羅とカメラマンを見守るスタッフたち。
様々なポーズを決める聖羅。そんな彼女を、カメラマンが数回ほど撮影する。カシャッ、カシャッ、カシャッ、カシャッ……!!
カメラマン「オッケー!ばっちりだよ!」
撮影を終え、ほっとした表情になる聖羅。
移動中のワンボックスカー。後部座席でスマホを眺める聖羅。
聖羅(私のインスタ、順調にフォロワーが増えてる……。もしかしたら、モモの写真のおかげかもしれない……)
13:2018/12/05(水) 23:30:16.029 ID:zXSwh1TnD.net
夜。猫本家、聖羅の部屋。クッションの上に座るモモ。モモにスマホを向ける聖羅。
聖羅(よーーし。今日はこういう感じで写真を撮ろう)
スマホでモモを撮影する聖羅。
BAR「魔の巣」。喪黒と聖羅が席に腰掛けている。
喪黒「猫本さん。あなたのインスタグラムに投稿されたモモちゃんの写真、なかなか可愛いですよ」
聖羅「喪黒さんもそう思いますか?モモの写真を投稿すると、いつも『いいね』がいっぱい付くんです!」
喪黒「よかったですねぇ。猫本さん」
聖羅「喪黒さんのおかげですよ。喪黒さんが私に、猫を飼うよう勧めてくださったからです」
喪黒「どういたしまして……。ですがねぇ、私としてはあなたに忠告しておきたいことがあるんですよ」
聖羅「どういうことですか?」
喪黒「これは、私がモモちゃんの写真を見た感想ですが……。今のところ、モモちゃんは大切に飼育されているようです」
聖羅(よーーし。今日はこういう感じで写真を撮ろう)
スマホでモモを撮影する聖羅。
BAR「魔の巣」。喪黒と聖羅が席に腰掛けている。
喪黒「猫本さん。あなたのインスタグラムに投稿されたモモちゃんの写真、なかなか可愛いですよ」
聖羅「喪黒さんもそう思いますか?モモの写真を投稿すると、いつも『いいね』がいっぱい付くんです!」
喪黒「よかったですねぇ。猫本さん」
聖羅「喪黒さんのおかげですよ。喪黒さんが私に、猫を飼うよう勧めてくださったからです」
喪黒「どういたしまして……。ですがねぇ、私としてはあなたに忠告しておきたいことがあるんですよ」
聖羅「どういうことですか?」
喪黒「これは、私がモモちゃんの写真を見た感想ですが……。今のところ、モモちゃんは大切に飼育されているようです」
14:2018/12/05(水) 23:32:20.532 ID:zXSwh1TnD.net
聖羅「当然ですよ。モモは、インスタ映えの大切な題材だから……」
喪黒「自分の手で大切に飼育していれば、ペットを心から愛することができるはずです」
「あくまでも、自分の手で世話をした場合の話ですよ」
聖羅「ええ、まあ……」
喪黒「そこでです。猫本さんには、私と約束していただきたいことがあります」
聖羅「約束!?」
喪黒「そうです。あなたが飼育する猫は、モモちゃんの1匹だけにしておいてください」
「それ以外の猫は、絶対に飼ってはいけませんよ。いいですね!?」
聖羅「わ、分かりました……。喪黒さん」
ある夜。猫本家。帰宅した聖羅。彼女を出迎える家政婦の女性。
聖羅「ただいまーー」
家政婦「おかえりなさいませ、お嬢様」
聖羅「ところで、モモの世話はちゃんとやってる?」
喪黒「自分の手で大切に飼育していれば、ペットを心から愛することができるはずです」
「あくまでも、自分の手で世話をした場合の話ですよ」
聖羅「ええ、まあ……」
喪黒「そこでです。猫本さんには、私と約束していただきたいことがあります」
聖羅「約束!?」
喪黒「そうです。あなたが飼育する猫は、モモちゃんの1匹だけにしておいてください」
「それ以外の猫は、絶対に飼ってはいけませんよ。いいですね!?」
聖羅「わ、分かりました……。喪黒さん」
ある夜。猫本家。帰宅した聖羅。彼女を出迎える家政婦の女性。
聖羅「ただいまーー」
家政婦「おかえりなさいませ、お嬢様」
聖羅「ところで、モモの世話はちゃんとやってる?」
15:2018/12/05(水) 23:34:17.790 ID:zXSwh1TnD.net
家政婦「ええ。もちろんです」
聖羅「うん、それならいいよ」
聖羅の部屋。ベッドの上で、モモを抱える聖羅。
聖羅「お前は可愛いねぇ。モモ」
モモ「ニャーーン」
ベッドに寝そべりながら、スマホを操作する聖羅。彼女の側にいるモモ。
聖羅(えーーーと……。私以外の、インスタユーザーによる猫の写真はどうなってるんだろう?)
聖羅のスマホの画面に、猫の写真が次々と映し出される。豊富な猫の種類と、独特な構図の写真ばかりが――。
聖羅(うわぁ~~。みんなの写真、私よりもインスタ映えが抜群じゃん……。しかも、どの猫も個性的だね……)
聖羅の側にいるモモが鳴く。
モモ「ニャーーン」
聖羅(確かに、モモは可愛い……。でも、この子1匹だけではインスタ映えする題材に限度がある)
(だから、私は他の猫も欲しい。それに、他の猫も見ていると可愛さを感じてしまう……)
(そうだ……。私の家は金持ちだし、お父さんは私に甘いから、きっと何とかなるはず……)
聖羅「うん、それならいいよ」
聖羅の部屋。ベッドの上で、モモを抱える聖羅。
聖羅「お前は可愛いねぇ。モモ」
モモ「ニャーーン」
ベッドに寝そべりながら、スマホを操作する聖羅。彼女の側にいるモモ。
聖羅(えーーーと……。私以外の、インスタユーザーによる猫の写真はどうなってるんだろう?)
聖羅のスマホの画面に、猫の写真が次々と映し出される。豊富な猫の種類と、独特な構図の写真ばかりが――。
聖羅(うわぁ~~。みんなの写真、私よりもインスタ映えが抜群じゃん……。しかも、どの猫も個性的だね……)
聖羅の側にいるモモが鳴く。
モモ「ニャーーン」
聖羅(確かに、モモは可愛い……。でも、この子1匹だけではインスタ映えする題材に限度がある)
(だから、私は他の猫も欲しい。それに、他の猫も見ていると可愛さを感じてしまう……)
(そうだ……。私の家は金持ちだし、お父さんは私に甘いから、きっと何とかなるはず……)
16:2018/12/05(水) 23:36:19.537 ID:zXSwh1TnD.net
ある日。猫本家。台所で、両親と食事をする聖羅。
聖羅「私、他にも猫を飼いたくなったんだけど……」
聖羅の父「分かったよ。聖羅が猫を飼いたいなら、好きにすればいいさ」
数日後。猫本家。フローリングの上には、モモも含め5匹の猫が寝そべっている。猫たちを見守る聖羅と家政婦。
聖羅「この子たちの世話、しっかりやっておくんだよ」
家政婦「はい」
家の階段を上る聖羅。
聖羅「やったーー!これでインスタ映えする題材にいくらでも恵まれる!」
彼女が自分の部屋に入ると……。室内にあるベッドに、喪黒が座っている。
聖羅「も、喪黒さん!!いつの間に、私の部屋に入り込んでいたんですか!?」
喪黒「やぁ、猫本さん……。あなた約束を破りましたね」
聖羅「なっ……」
聖羅「私、他にも猫を飼いたくなったんだけど……」
聖羅の父「分かったよ。聖羅が猫を飼いたいなら、好きにすればいいさ」
数日後。猫本家。フローリングの上には、モモも含め5匹の猫が寝そべっている。猫たちを見守る聖羅と家政婦。
聖羅「この子たちの世話、しっかりやっておくんだよ」
家政婦「はい」
家の階段を上る聖羅。
聖羅「やったーー!これでインスタ映えする題材にいくらでも恵まれる!」
彼女が自分の部屋に入ると……。室内にあるベッドに、喪黒が座っている。
聖羅「も、喪黒さん!!いつの間に、私の部屋に入り込んでいたんですか!?」
喪黒「やぁ、猫本さん……。あなた約束を破りましたね」
聖羅「なっ……」
17:2018/12/05(水) 23:38:18.597 ID:zXSwh1TnD.net
喪黒「私は言ったはずですよ。猫本さんが飼育する猫は、モモちゃんの1匹だけにしておけ……と」
「それにも関わらず、あなたはモモちゃん以外にも4匹の猫を飼いましたねぇ」
聖羅「だ、だって……。私にも欲がありますよ!他の種類の猫も使って、インスタ映えした写真を撮りたくなったんです!」
喪黒「インスタ映えを求めるのは結構……。しかし、ペットは飼い主のおもちゃではなく、大切な家族の一員なのですよ」
「まずは、かけがえのない1匹に愛情を注ぐべきではないですか?」
聖羅「え、ええ……。私は猫を大切に飼育していますし……」
喪黒「猫本さん。猫を飼育しているのは、あなたではなくこの家の家政婦さんでしょう」
「自分の手で飼育していないから、たった1匹のモモちゃんを愛せなかったということなのですよ!」
聖羅「そ、そんな……!!」
喪黒「約束を破った以上、あなたには罰を受けて貰うしかありません!!」
喪黒は聖羅に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
聖羅「キャアアアアアアアアアアア!!!」
「それにも関わらず、あなたはモモちゃん以外にも4匹の猫を飼いましたねぇ」
聖羅「だ、だって……。私にも欲がありますよ!他の種類の猫も使って、インスタ映えした写真を撮りたくなったんです!」
喪黒「インスタ映えを求めるのは結構……。しかし、ペットは飼い主のおもちゃではなく、大切な家族の一員なのですよ」
「まずは、かけがえのない1匹に愛情を注ぐべきではないですか?」
聖羅「え、ええ……。私は猫を大切に飼育していますし……」
喪黒「猫本さん。猫を飼育しているのは、あなたではなくこの家の家政婦さんでしょう」
「自分の手で飼育していないから、たった1匹のモモちゃんを愛せなかったということなのですよ!」
聖羅「そ、そんな……!!」
喪黒「約束を破った以上、あなたには罰を受けて貰うしかありません!!」
喪黒は聖羅に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
聖羅「キャアアアアアアアアアアア!!!」
18:2018/12/05(水) 23:40:16.272 ID:zXSwh1TnD.net
喪黒のドーンを受け、聖羅は全身が光り輝く。光に包まれながら、身体がみるみる縮む聖羅。
光はやがて、はっきりした姿となる。そう……、聖羅が飼っている猫のモモの姿だ。
喪黒「猫本さん。私はそろそろ失礼します」
聖羅の部屋を出る喪黒。部屋のドアが閉まる。バタンッ!!
聖羅「ニャーーン……(え、何これ……)。ニャーーン(何が起きたの?)」
喪黒がいなくなり、部屋にたった1人……いや、たった1匹残された聖羅。
必死に言葉を話そうとする聖羅。しかし……、彼女の口から出てきたのは、どれも猫の鳴き声ばかりだ。
聖羅(何か、部屋がとっても巨大になってる……。まさか、私……)
聖羅の目から見た部屋の光景は、猫の目で見た光景になっている。その時、彼女の部屋のドアが開く。ガチャッ……。
聖羅の部屋に、誰かが入る。そう、聖羅と生き写しのもう1人の自分だ。
聖羅「ニャーーン……(わ、私がもう1人いる……)。ニャーーーン(どういうこと!?)」
光はやがて、はっきりした姿となる。そう……、聖羅が飼っている猫のモモの姿だ。
喪黒「猫本さん。私はそろそろ失礼します」
聖羅の部屋を出る喪黒。部屋のドアが閉まる。バタンッ!!
聖羅「ニャーーン……(え、何これ……)。ニャーーン(何が起きたの?)」
喪黒がいなくなり、部屋にたった1人……いや、たった1匹残された聖羅。
必死に言葉を話そうとする聖羅。しかし……、彼女の口から出てきたのは、どれも猫の鳴き声ばかりだ。
聖羅(何か、部屋がとっても巨大になってる……。まさか、私……)
聖羅の目から見た部屋の光景は、猫の目で見た光景になっている。その時、彼女の部屋のドアが開く。ガチャッ……。
聖羅の部屋に、誰かが入る。そう、聖羅と生き写しのもう1人の自分だ。
聖羅「ニャーーン……(わ、私がもう1人いる……)。ニャーーーン(どういうこと!?)」
19:2018/12/05(水) 23:43:18.216 ID:zXSwh1TnD.net
飼い猫モモとなった聖羅に、もう1人の聖羅――モモが話しかける。
モモ「こんにちは、ご主人様。私は、あなたの飼い猫だったモモだよ」
聖羅「ニャーーーン……(な、何だって……)」
モモ「これから私が、人間・猫本聖羅としての人生を謳歌するからね。よろしく」
聖羅「ニャーーーーン(そ、そんなぁ)!!」
猫本邸の前にいる喪黒。
喪黒「昔から、猫は人々の間に根強い人気を持っており……。犬と並んで、人間のペットとして長らく飼われてきました」
「猫の魅力とは、見た目の愛らしさがそうですし……。その鳴き声の心地よさは、人々の心を癒す力を持っています」
「それだけでなく、頭がよくて、飼い主に懐きやすいことも……。猫が持っている魅力の一つと言えるのかもしれません」
「ところで、飼い猫の写真をインスタグラムに投稿するのは結構ですが……。忘れてはならないことがあります。それは……」
「飼い猫はおもちゃではなく、大切な家族だということです。猫の気持ちにもなって考えてみるべきですよ。ねぇ、猫本聖羅さん……」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
モモ「こんにちは、ご主人様。私は、あなたの飼い猫だったモモだよ」
聖羅「ニャーーーン……(な、何だって……)」
モモ「これから私が、人間・猫本聖羅としての人生を謳歌するからね。よろしく」
聖羅「ニャーーーーン(そ、そんなぁ)!!」
猫本邸の前にいる喪黒。
喪黒「昔から、猫は人々の間に根強い人気を持っており……。犬と並んで、人間のペットとして長らく飼われてきました」
「猫の魅力とは、見た目の愛らしさがそうですし……。その鳴き声の心地よさは、人々の心を癒す力を持っています」
「それだけでなく、頭がよくて、飼い主に懐きやすいことも……。猫が持っている魅力の一つと言えるのかもしれません」
「ところで、飼い猫の写真をインスタグラムに投稿するのは結構ですが……。忘れてはならないことがあります。それは……」
「飼い猫はおもちゃではなく、大切な家族だということです。猫の気持ちにもなって考えてみるべきですよ。ねぇ、猫本聖羅さん……」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
喪黒福造「インスタグラムで撮影するために、猫を飼ってみたらどうですか?」 ファッションモデル「私が猫を飼うんですか!?」
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1544018999
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