1:2018/12/07(金) 22:10:12.654 ID:yhI6VsZ5D.net
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    安坂清之(39) 大学准教授

    【汚れた金印】

    ホーッホッホッホ……。」
2:2018/12/07(金) 22:12:17.870 ID:yhI6VsZ5D.net
テロップ「東京――」

とある文化センター。考古学者や歴史学者たちが集まり、合同シンポジウムを行っている。

シンポジウムのテーマは、「邪馬台国論争を再考する」だ。とある学者が壇上に上がり、何かを話す。

安坂「魏志倭人伝には、『帯方郡より女王国にいたる距離は12000余里』の記述があります」
   「この12000里のうち、帯方郡から伊都国まで10500里を引くと、残りが1500里になります」
   「伊都国は、現在の福岡県糸島市辺りと考えられるため……」
   「この地点から1500里とすれば、邪馬台国は北部九州の可能性が高いでしょう」

テロップ「安坂清之(39) 考古学者、筑前商科大学文学部史学科・准教授」

三枝「安坂先生の主張は、私には異論があります」
   「魏志倭人伝には、不弥国から投馬国までが『水行20日』、投馬国から邪馬台国までが『水行10日、陸行1月』とありますが……」
   「ここまでの日数がかかる場所は、九州域内というのよりはむしろ……。大和にたどり着く日数の可能性が高いでしょう」

テロップ「三枝孝太郎(50) 歴史学者、洛中大学総合人間学部人間環境学科・教授」

安坂「三枝先生。魏志倭人伝には、不弥国から南へ行くと投馬国、さらに南に行くと邪馬台国という記述があります」
   「これについては、どうお考えですか?」

三枝「これは、写本した時の写し間違いでしょう。正確には『東』であるのを、誤って『南』と書いたと思われます」
3:2018/12/07(金) 22:14:16.293 ID:yhI6VsZ5D.net
とある居酒屋。カウンターに座り、一人で酒を飲む安坂。安坂の隣には、喪黒福造がいる。

店の奥にある液晶テレビが、とあるニュースを流している。

テレビ「邪馬台国の有力候補地である、奈良県の槇丘遺跡から……。大型建物の跡が見つかりました」

喪黒「ほう……。これは貴重な発見ですなぁ。弥生時代の研究がますます進むでしょう……」

安坂「ええ……。ですが、私にとってはあまりうれしくないですよ……」

喪黒「どうしてです?」

安坂「この発見のせいで、畿内説の学者たちがまた勢いづくのかと思うと憂鬱になります」

喪黒「おや?もしかすると、あなたは邪馬台国九州説を支持しているのですか?」

安坂「はい。私は学者として、それなりの論拠を持っていますから……」


居酒屋を出て、夜の街を歩く喪黒と安坂。

喪黒「なるほど……。私、あなたのことが気にいりましたよ」
4:2018/12/07(金) 22:16:18.044 ID:yhI6VsZ5D.net
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。

安坂「ココロのスキマ、お埋めします?」

喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」

安坂「あなた、セールスマンの方なんですか……」

喪黒「どちらかと言うと、ボランティアみたいなものですよ。いい店を知っていますから、そこでゆっくり話でもしましょう」


BAR「魔の巣」。喪黒と安坂が席に腰掛けている。

安坂「……魏志倭人伝に書かれた邪馬台国の行程を読み解くと、邪馬台国は九州にあった可能性が高いと思います」

喪黒「なかなか興味深い解釈ですね。では、邪馬台国とその後のヤマト王権の関連についてはどう思われますか?」

安坂「私は、邪馬台国東遷説を支持します。卑弥呼亡き後の邪馬台国は、台与(とよ)が統治していましたが……」
   「その後は、邪馬台国は現在の奈良県三輪山に移り、ヤマト王権につながっていった可能性があります」
   「つまり、邪馬台国の東遷とは、古事記や日本書紀のいわゆる神武東征に該当すると思われます」

喪黒「三輪山への移転ですか?そうお考えになる根拠は?」
5:2018/12/07(金) 22:18:33.292 ID:yhI6VsZ5D.net
安坂「三輪山には、崇神大王……いわゆる第10代・崇神天皇が営んだ宮がありました」
   「崇神天皇には、『ハツクニシラススメラミコト』の称号がありますが……」
   「この『ハツクニシラススメラミコト』の名を持つのが、初代・神武天皇と第10代・崇神天皇なんです」
   「『ハツクニシラススメラミコト』とは、『国を初めて治めた天皇』という意味なんです」

喪黒「ほう……」

安坂「神武天皇と崇神天皇は、初代天皇として同一のものと考えていいでしょう」
   「第2代・綏靖天皇から第9代・開化天皇までの8人の大王……いわゆる欠史八代は、後世の創作の可能性が高いと思います」

喪黒「そうですか……。では、邪馬台国の卑弥呼というのはどういう存在だったんですか?」

安坂「卑弥呼は、北部九州の連合王国の女王でした」
   「古事記や日本書紀に出てくる天照大神とは卑弥呼のことであり、高天原とは邪馬台国のことだと思われます」
   「天照大神は太陽神でしたし、卑弥呼(日御子)は太陽神を祀る巫女であった可能性があります」
   「天照大神が天岩戸に隠れた時期とは、卑弥呼の死から台与(とよ)の即位までの出来事を意味していると思います」

喪黒「なるほど……。面白いご説ですね」

安坂「あと、当時の邪馬台国は古代中国の江南地方と交流があった可能性が高いでしょう」
   「顔や体に入れ墨を入れる、貫頭衣を着る、という邪馬台国の風習は江南地方の風習とも似ています」
6:2018/12/07(金) 22:20:17.844 ID:yhI6VsZ5D.net
喪黒「いやぁ……。さすが、古代史の専門家なだけあってよく勉強していますねぇ。邪馬台国九州説が説得力を感じましたよ」

安坂「そんな……。学者としてありのままの事実を調べたら、九州説の可能性が高いと判断せざるを得なくなったんです」

喪黒「ですが……。最近の邪馬台国論争では、畿内説が有力になりつつありますよねぇ」

安坂「まあ、ここのところ奈良県方面の遺跡で発見が相次いでいますからね……」

喪黒「例えば、今回、槇丘遺跡から見つかった大型建物の跡なんてその最たるものでしょう」

安坂「全く……。畿内説の人たちは、出土品が相次いだことで元気づいていますけど……」

喪黒「ですが、先生……。九州説だって、文献だけでなく遺跡の面でも一応根拠はあるのでしょう」

安坂「はい。福岡県や佐賀県の遺跡からは、弥生時代の大規模な集落の跡地が見つかっていますから……」

喪黒「しかしながら、邪馬台国論争には決定的な何かが欠けています」
   「その決定的な何かが見つかれば、論争には一気に終止符が打たれるはずです」

安坂「何ですか、それは?」
8:2018/12/07(金) 22:22:15.751 ID:yhI6VsZ5D.net
喪黒「親魏倭王の金印ですよ。親魏倭王の金印が出土した場所こそが、邪馬台国のあった地域と言えるはずです」

安坂「そんなの言うまでもありませんよ。私は、九州北部からいずれ金印が見つかると思っています」

喪黒「ならば、先生のためにちょうどいいものをあげますよ」

喪黒は鞄から何かを取り出す。机の上に置かれたのは、金色をした何かの塊だ。

安坂「これは……」

喪黒「見てくださいよ……」

金色の塊の底を、安坂に見せる喪黒。塊の底には、4つの文字が書かれている。

安坂「えーーと……。親・魏・倭・王……。レプリカですか、これ?」

喪黒「そうです。これは、邪馬台国の金印を象ったレプリカなのです。しかも、純金製ですよ」

安坂「よくできてますね、これ……」

喪黒「私としては、金印のレプリカを安坂先生にプレゼントしたいのですよ。安坂先生のお守り代わりのために……」

安坂「えっ、これをですか!?純金製の値打ちものを、わざわざ私に……」
9:2018/12/07(金) 22:24:15.441 ID:yhI6VsZ5D.net
喪黒「構いません。これは私からの気持ちですよ」
   「この金印のレプリカは、お守りとして先生に様々な幸福をもたらしてくれるはずです」

安坂「ハハハ、面白いことをおっしゃりますね。では、あなたのご厚意に甘えて、これを貰っておきましょう」

喪黒「いやぁ、どうも……。ただし、安坂先生には約束していただきたいことがあります」

安坂「約束!?」

喪黒「そうです。この金印をお守りとするならば、学者として誠実に研究に取り組んでくださいよ」
   「よこしまな振る舞いをしたら、金印は先生に罰をもたらすでしょう」

安坂「わ、分かりましたよ……」


線路を走る新幹線。窓側の座席に座る安坂。安坂は、喪黒から貰った名刺を見つめる。

安坂(ココロのスキマ、お埋めします……か)

安坂の頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。

(喪黒「この金印のレプリカは、お守りとして先生に様々な幸福をもたらしてくれるはずです」)

安坂(それにしても、ずいぶん変わった人だったなぁ……)
12:2018/12/07(金) 22:26:18.061 ID:yhI6VsZ5D.net
テロップ「福岡県――」

北九州市。街の郊外のとある工事現場。工事を中断し、地面に集まる建設作業員たち。

翌日。遺跡の発見を一面トップで報じる地元の地方紙。

福岡新聞「北九州、弥生時代の集落跡見つかる」


北九州市、例の遺跡。発掘調査を行う関係者たち。関係者の中には、安坂清之も加わっている。

安坂「おお……。これは一体何だ……!?」

地面を掘った部分には、土器のようなものが埋まっている。さらに発掘を進める一同。

一同「こりゃあ、すごい……」

錆びた鏡や剣のようなものが、土の中から姿を現す。

安坂「これは、宝の山だぞ……」

福岡新聞「筑清水遺跡から多数の出土品発見」
14:2018/12/07(金) 22:28:15.237 ID:yhI6VsZ5D.net
とある講演会。壇上に立ち、講演を行う安坂。

安坂「近年の邪馬台国論争では、九州説は畿内説にやや押され気味でした」
   「しかし、今回の発見により、邪馬台国九州説はもう1度見直されることとなったと言えるでしょう」

講演を終える安坂。彼に拍手をする参加者たち。

とある大型書店。ベストセラーのコーナーでは、安坂が著した新書や学術書が山積みされている。安坂の本を手に取る客たち。


筑前商科大学。研究室で、助手の女性と資料の整理をする安坂。

和美「安坂先生。教授への昇進、おめでとうございます」

テロップ「榎本和美(30) 筑前商科大学文学部史学科・助手」

安坂「ああ。この私にも、ようやく運が向いてきたようだな」

和美がいなくなり、研究室で1人だけになる安坂。彼は、机の引き出しから金印のレプリカを取り出す。

金印のレプリカを握りしめる安坂。

安坂「フフフ……」
16:2018/12/07(金) 22:30:15.832 ID:yhI6VsZ5D.net
とある夜。ホテル街。安坂と和美が手をつなぎながら、ホテルの中に入っていく。安坂にしなだれる和美。

しばらくした後……。客室のベッドでは、裸の安坂と和美が布団をかぶって横になっている。

安坂(助手の和美は、すっかり俺に心酔しきっている。おかげで、女に縁のなかった俺もとうとう愛人ができた……)

にやりとほくそ笑む安坂。


午前。筑前商科大学。教室内で、日本古代史の授業を受ける学生たち。学生たちを相手に、教壇で何かを話す安坂。

安坂「壬申の乱の後、天武天皇が即位したことにより、『大王』の称号は『天皇』の名前に変わりました」
   「飛鳥池からは、『天皇』の文字が書かれた最古の木簡が出土していますが……。この木簡は天武天皇の時代のものです」
   「『日本』という国号も天武天皇のころに成立し、持統天皇のころに飛鳥浄御原令で制度化したものと見られます」


正午。学生食堂。喪黒は、定食を積んだお盆を持っている。テーブルで食事をする安坂。安坂の前の席に、喪黒が座る。

喪黒「こんにちは、安坂先生」

安坂「ああ、喪黒さん……」
17:2018/12/07(金) 22:32:16.210 ID:yhI6VsZ5D.net
喪黒「安坂先生。このところ、筑清水遺跡で素晴らしい発見を続けていますねぇ」

安坂「はい。貴重な発見が相次いだことで、邪馬台国九州説は再び有力になりました」

喪黒「それだけじゃあ、ないでしょう。先生は、考古学や古代史研究で注目される学者の一人になりましたねぇ」

安坂「ええ……。あの金印を持ってからは、何もかもとんとん拍子に物事が運ぶようになりました」
   「喪黒さんには心から感謝していますよ」

喪黒「どういたしまして……。ところで先生、私との約束は覚えていますか?」

安坂「は、はい……。例の金印を持つ代わり、学者として誠実に振る舞え……ってことでしょ」

喪黒「そうです。今のところ、先生は私との約束を守っているようですねぇ」

安坂「まあ、私は真面目さだけが取り柄ですからね……。学者として真実を追求するのみですよ」

喪黒「それでいいのです。証拠と論証に基づいて、真実を追求するのが歴史学や考古学ですから……」

安坂「ええ」
18:2018/12/07(金) 22:34:16.779 ID:yhI6VsZ5D.net
テロップ「奈良県――」

槇丘遺跡。発掘調査を行う関係者たち。彼らは、スコップを使い地面を掘っている。


テロップ「福岡県――」

筑前商科大学。研究室にいる安坂と助手の和美。2人は、部屋の中にあるテレビを見ている。

テレビで、ニュース原稿を読む男性アナウンサー。

テレビ「奈良県の槇丘遺跡から出土した桃の種を、放射性炭素年代測定したところ……」
    「西暦135年から230年と判明したことが分かりました。この年代は、邪馬台国の女王・卑弥呼の年代と重なっており……」

安坂「ああ、何て嫌なニュースなんだ……」

和美「これでは、畿内説がまた勢いを盛り返してしまいますね……」

安坂「畿内説の連中がおとなしくなるには、九州から金印が発掘されるしか望みがない……。金印……、金印……」
   「こうなったら、奥の手を使うしかないな……」

和美「奥の手?」

安坂「ああ、そうだ……!」
19:2018/12/07(金) 22:36:16.338 ID:yhI6VsZ5D.net
北九州市。筑清水遺跡。発掘調査を行う関係者たち。関係者の中に、安坂と和美も加わっている。

和美がスコップで地面を掘っていた時……。スコップの刃が地面の中の硬い物に当たる。


記者会見を行う安坂と和美たち。一同は、緊張した様子で口を開く。

新聞やテレビがあわただしくニュースを報じる。そう、邪馬台国の金印が見つかったというニュースを――。

全国紙「親魏倭王の金印、発見される」「北九州・筑清水遺跡から出土」「日本史を塗り替える歴史的発見」「邪馬台国論争、終止符へ――」


筑前商科大学。廊下を歩く安坂と和美に、色紙を持った女子学生たちが駆け寄る。

女子学生たち「お願いします!サインしてください!」

笑顔の安坂。一方、和美は緊張のせいか、表情はどことなく重苦しそうだ。女子学生の色紙にサインをする安坂と和美。

和美「用事がありますので、私はこれで失礼します」

和美と別れ、研究室に入ろうとする安坂。彼が研究室のドアを開けると、部屋の中には喪黒がいる。
20:2018/12/07(金) 22:38:39.107 ID:yhI6VsZ5D.net
安坂「も、喪黒さん……!」

喪黒「やぁ、先生。この間発見された、親魏倭王の金印なんですが……。あの金印の正体が何なのか、私には見当がついていますよ」

安坂「え!?な、何のことですか!?」

喪黒「あの金印の正体は、私が先生にプレゼントしたレプリカでしょう」

安坂「い、言いがかりは……。や、やめてください……!!」

喪黒「どうやら、図星ですか……。安坂先生……。あなた約束を破りましたね」

安坂「なっ……」

喪黒「私は言ったはずですよ。あのレプリカをお守りとするならば、学者として誠実に研究に取り組め……と」
   「それにも関わらず……。あなたは功を焦るあまり、やらかしてしまいましたねぇ」

安坂「な、何を言ってるんですか!!私は、やましいことは一切してません!!」

喪黒「とぼけても無駄です。約束を破った以上、あなたには罰を受けて貰うしかありません!!」

喪黒は安坂に右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

安坂「ギャアアアアアアアアア!!!」
21:2018/12/07(金) 22:40:32.470 ID:yhI6VsZ5D.net
その後――。『週刊文隆』が、金印に関する疑惑について報じる。

週刊文隆「独占スクープ 『親魏倭王』の金印、発掘捏造の決定的証拠」

雑誌には写真が載っている。例の金印をいったん地中に埋め、足で地面を踏み固める安坂の写真が――。


筑前商科大学。研究室で、『週刊文隆』を手に取る安坂。

安坂「な、何てことだ……!!和美が俺を週刊誌に売りやがった!!」

驚愕した表情になる安坂。


記者会見場。カメラのフラッシュを無数に浴びながら、記者会見を行う和美。

和美「発掘の捏造を計画したのは、安坂教授です。私は発掘前に、彼から計画を事前に知らされていました……」
   「どの地点に金印が埋められていて、どう掘ればいいのかを……」
   「安坂教授は、私を金印の発見者にして売り出そうと目論んでいました……」
   「私は立場的に、教授に逆らえる状況ではありませんでした。なぜなら、私は日ごろから彼にセクハラを受けていました……」
   「彼は、自分の愛人になるよう私に強要していたんです」

ハンカチで目頭を押さえる和美。
23:2018/12/07(金) 22:43:35.052 ID:yhI6VsZ5D.net
筑前商科大学。キャンパスへ向かう安坂。彼は、うなだれたまま覇気のない表情で歩いている。

安坂に対し、生卵やトマトを一斉に浴びせる学生たち。しかし、安坂は無抵抗のまま歩き続ける。

研究室前。ドアには、油性マジックで「大嘘つき」「氏んで詫びろ!!」と落書きされている。

ドアを開け、研究室に入る安坂。彼は汚れた衣服のまま椅子に座り、机に向かう。

安坂「ウッ……。ウウウウウ……、ウウウッ……」

頭を抱えながら泣きじゃくる安坂。


とある遺跡の前にいる喪黒。遺跡には、弥生時代の集落の跡がいくつも残っている。

喪黒「『我々はどこから来たのか?我々は何者なのか?我々はどこへ行くのか?』とは……。誰もが持っている素朴な疑問です」
   「自分たちが何者であるかを知るためには……。昔の時代に何が起きたのかを学んだり、調べたりすることが必要になります」
   「つまり、歴史を研究するということは……。自分たちが何者であるかを知るための手掛かりを掴むことでもあるのです」
   「中でも、古代史は未解明な部分が多いですから……。研究の余地は十分ありますし、これから新たな事実が分かるでしょう」
   「しかし、自分のルーツ探しは、真実を知るためですからねぇ。発掘捏造で仕立てた歴史なんて、所詮は偽物ですよ。ねぇ、安坂先生……」
   「オーホッホッホッホッホッホッホ……」

                   ―完―
24:2018/12/07(金) 22:49:21.402 ID:E8NANgfc0.net
gj

いい感じに原作の感じ出てたよ
25:2018/12/07(金) 22:49:40.232 ID:CY6AHRpa0.net
おつ
喪黒福造「これは、邪馬台国の金印を象ったレプリカなのです」 考古学者「よくできてますね、これ……」
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1544188212