1:2019/02/05(火)06:39:12 lmF
俺はおばあちゃんが昔から嫌いだ
正確には「寝たきり」になってから
嫌いだと気が付いた、それまでは
興味がなかったって言うほうが正しい

ある日おじいちゃんが亡くなった
葬式の話をした、そしたら

「私は出ないよ、家に居とく」

これがきっかけだった
別れるのが辛いからだと僕は
勝手に思っていた、たけど違った

「足が痛いから」
「階段が辛いから」
「着替えるのが嫌だから」

この日を境に俺はおばあちゃんを嫌いになった
2:2019/02/05(火)06:41:56 wEj
ワイはイッチが嫌いだ
5:2019/02/05(火)06:44:34 lmF
父親が説得するもおばあちゃんは
頑なに葬式に出る事を拒否した
理由は変わらず、母親も呆れ返り
姉は冷たい目でおばあちゃんと父親を見た

俺はもうこの人を家族として見れない
そんな気がした、俺はおばあちゃんを嫌いなった

結局無理やり着替えさせて
近所の病院から車椅子を借り
葬式に参加させた、俺は呆れた
自分の愛した人が氏んだと言うのに
父親と母親が席を外した途端
小声でブツブツ文句を言い始めた
まるでそれを俺に聞かせるかのように
7:2019/02/05(火)06:48:50 lmF
葬式が終わり、会食が始まった
するとさっきまで不機嫌そうに
文句を言っていたおばあちゃん
久々に会う兄弟や親戚の前で
泣きながらおじいちゃんの話をした

信じられなかった、けど一瞬
「本当は我慢してたのかな」と
思い直した、だけど違った

家に着くなり着替えさせろ
早く部屋まで連れてってくれ
階段を上る度に息切れした声で
父親に当たりはじめた

俺はやっぱりこの人が嫌いだ
9:2019/02/05(火)06:53:55 lmF
おじいちゃんが氏に、年金も等々
底を尽いた結果俺達がこの人の生活を
支えなきゃならなくなった、正直
そんな裕福ではないし余裕もない

だから最大限に手軽に安く色々と
済ませよう、葬式の後話し合い
みんなでおばあちゃんの面倒を見る

この日を境に地獄が始まった

母は毎朝姉の弁当を作る
そのついでにおばあちゃんの分も作る
そしてそれをおばあちゃんに朝渡す
おばあちゃんは耳が悪い、その上
娯楽がテレビしかない
当然爆音でただただ垂れ流されるテレビ

母は大きな声で弁当の事を伝える
するとおばあちゃんは母に向かって言った
「聞こえてるよ!!わかったから!!」
絶対に聞こえてない、何故ならその日
お弁当は食べられる事もなく捨てられたのだ
10:2019/02/05(火)06:59:39 lmF
母はよかれと思って作った
ちゃんと塩分や糖質を控えた
物で作ったお弁当は一日中
常温で放置され、おばあちゃんは
そのお弁当に気が付かず
父親の会社帰りに買い物を頼んで
その時買ってもらったカップ麺を食べ
その容器を洗い溜め込んでいる

ある日おばあちゃんの部屋から
うなり声が聞こえた、明らかに
苦しがっていた、その日は俺しか
家におらず嫌だったけど部屋へ向かった

「お腹が痛い、病院へ連れて行け」

俺は免許を持っていない
慌てて父親に連絡した
会社を早退した父親は急いで
おばあちゃんを車に乗せ
病院へ向かった、この時俺は

「このまま氏んでくれたらいいな」

正直、そう思った
12:2019/02/05(火)07:06:05 lmF
病院に着き診てもらった
何か重い病気なら入院もある
氏ななかったとしても少し
家での仕事がなくなり楽が
出来る、そんな期待を胸に
呼び出されるのを待ってた

「ただお腹を下しただけですね」

は?それだけ?え?それだけなの?
どうやら原因はおばあちゃんが飲んでる
水だった、飲み口を軽く濯いだ
ペットボトルに水道水を入れそれを
冷蔵庫に入れず常温で放置した結果
水が腐りそれに気が付かずそのまま
飲んで腹を下しただけだと言う

無事な事には変わりない、けどまさか
こんな理由で父親はわざわざ早退して
病院まで着替えもせずに連れてきた

俺は絶句し、父親は深い溜息を吐いた
おばあちゃんはただただ痛いと言い続けた
14:2019/02/05(火)07:10:29 3E3
え、年中常温の水飲んでるわ
気を付けよう
15:2019/02/05(火)07:12:31 lmF
帰宅し父親は水の事を話した
しかし耳が悪いおばあちゃんは
一度では話が理解出来ない
父親は段々声を荒げた、しかし
怒っているわけではない
こうでもしないとおばあちゃんは
話を理解できないから

話し終えた父親は部屋に戻り
家で出来る仕事をしはじめた
俺も部屋に戻りバイトに行く準備をした

行く前にトイレに行こうとした時
おばあちゃんの部屋から話し声がする
俺は部屋に近づき盗み聞きをした

「そうなんだよ、すぐ怒鳴るんだよ」
「もう辛い、氏にたいねぇほんとに」
「孫も無関心で態度が悪くてねぇ」
「はぁ、なんで生きてるんだろうねぇ」

絶句した、おそらく兄弟に電話をし
まるで自分が悲劇のヒロインかのような
話をしていた、聞き間違いだと思いたい

この日から俺はおばあちゃんの部屋に近づかなくなった
19:2019/02/05(火)07:19:44 lmF
「便が出ない」

おばあちゃんは寝たきりで
一日中ただただテレビを見て
カップ麺や菓子パンを食べ
水を飲む、そりゃ便秘にもなるわ

しかしあまりにもうるさい為
父親は掛かりつけの病院で
便秘薬を貰ってきた、そして
薬の説明をまた声を荒げて
話していた、俺はその荒げた声が
聞こえてくるのが嫌だった

次の日、俺の職場に突然
電話が掛かってきた、出ると
それはおばあちゃんからだった

「お腹が痛い、氏にそう」

またか、俺は今から帰るのは無理
胃薬とか飲んで様子を見てくれ
そう伝えたが横で聞いたいた店長が
「帰ってあげな、他の奴呼ぶから」
結局俺は急いで帰りおばあちゃんの
部屋に入った
25:2019/02/05(火)07:26:35 lmF
部屋に入った瞬間
俺は腹痛の原因をすぐ理解した
机の上は大量の便秘薬の空袋
呆れた…思わず膝から崩れ落ちた

「腹痛くなって当たり前だろ!!!」

思わず怒鳴った、今思えば
我慢すればよかった話かもしれない
けど俺はとっくに限界だった
こんな理由で俺は職場の人に
心配をかけ、急いで帰って来たのに

薬を用意してくれた病院に連絡し
とにかく白湯などを飲ませろと
薬の大量摂取は老人の中で
よくあるパターンらしい

とりあえず言われた通りの方法を
おばあちゃんに進めた、しかし拒否した

「医者の言う事なんか信用できるか」

等々我慢の限界が来てしまった
33:2019/02/05(火)07:35:06 lmF
「じゃあもうそのまま苦しんでろ!!」

そう怒鳴り俺は自分の部屋に戻った
しばらくするとおばあちゃんが自ら
部屋を出てトイレに行く音が聞こえた
さっさと出すもん出してそのまま
くだばってくれ、心底そう思った

トイレからは苦しそうな唸り声が
一時間響き続けた、こっちまで胃が
痛くなってきた…そして声が止まり
そこからまた一時間くらい経った

さすがにおかしい、そう思い
トイレを見に行った
開けっ放しのドア、只ならぬ異臭
そしてドアの前で倒れてるおばあちゃん

流石に色々とまずいと思い
窓を開け近寄り大丈夫かと声をかけた

返事は返ってこなかった
36:2019/02/05(火)07:41:38 lmF
人生ではじめて救急車を呼んだ

救急隊員の人達が慌しく階段を上り
担架に乗せ俺はそのまま付き添い
病院へ行った、数時間後家族が来た
とりあえずまだ生きてる事だけ伝えた

そして全員医者に呼ばれた
この時俺は不安より期待してた
ああ終わるんだなやっと
もうあんな奴の面倒見ずに済む
そう思っていた、けど違った

「便が詰まりそれを出そうと力んだ」
「それが原因でただ気絶しただけです」

俺はおばあちゃんをもっと嫌いになった
それと同時に家族もおばあちゃんを嫌いになった
39:2019/02/05(火)07:43:11 dxP
イッシャ「ただ気絶しただけ」
40:2019/02/05(火)07:48:12 lmF
入院をする必要はない
便秘薬はもう出せない
消化のよい食事を食べさせろ
なんでこんな事になったんだ
ちゃんと面倒見てるんですか?

医者の口から出た言葉は
あまりにも残酷だった
食事は用意しても食べない
薬の説明もちゃんとした

他にどうすればよかったのか
俺達が間違っていたんだろうか
父は深く溜息をつき
母は下を向いたまま
姉は呆れ果てていた

施設に入れるべき

親戚や兄弟からそう提案された
一週間後、おばあちゃんは施設に入れられた
44:2019/02/05(火)07:55:10 lmF
ボケが始まっている
もう話も理解出来てない
施設の人にそう説明された
今更かよ、んな事わかってるわ

だけど入れるのが遅くなったのは
俺達の判断ミスだった
施設費は正直バカにならないぐらい高い
だけど精神的に楽になるなら仕方がない
全員で話し合った結果だった

これでやっと終わり
やっと肩の荷が下りる
その予定だった

施設に入ってから一ヶ月後

「ちゃんとごはんも食べてます」
「車椅子での移動もするようになりました」
「自分からお風呂に入る事も出来ますよ」

施設の人達からそういう連絡が
定期的に届いた、なんでもっと早く
入れなかったんだろうと改めて思った
あとはそこで余生を過ごしてほしい

それから更に一ヶ月ほど経った

「おばあちゃんが居ません」
深夜に突然施設から連絡が来た
45:2019/02/05(火)07:55:54 dxP
急展開キター
46:2019/02/05(火)08:01:00 lmF
担当介護の人がいつも通り
巡回をしていたらおばあちゃんが
部屋に居ない事に気が付いた
施設中を探したけど見つからなかった

捜索願を出した
俺達も探し回った
行きそうな所
近所に住んでる兄弟や
親戚の家、全部回った
けど見つからなかった

そして一旦家に戻った
玄関の前におばあちゃんが居た
50:2019/02/05(火)08:05:34 lmF
いそいで駆け寄った
「どうしたんだよ!!」
「何してんの!!」
父親泣きながら声を荒げた
母は座り込み泣いた

見つかってよかった
大きな事件にならずに済んだ
嫌いでもやっぱり家族
俺は怒りよりも先安心した

そんな俺達をじーっと
ただ見つめるだけのおばあちゃん
なんか様子がおかしい気がした

「あんた達誰だい?誰なんだい?」
「ここは私とじいさんの家だよ!!」

耳を疑った
51:2019/02/05(火)08:06:03 dxP
ボケ来た
52:2019/02/05(火)08:11:00 lmF
「なに言ってんだよ母さん!!」
父親は泣きながらおばあちゃんの
肩を掴もうとした、おばあちゃんは
振り払った

「だから誰だい!!警察呼ぶよ!!」
「じいさんがお腹すかしてるんだ」
「早くごはんの支度をしなきゃ」

全てを察した
もう俺達の知ってる
おばあちゃんではない

結局施設の人達がうまく
説得してくれておばあちゃんみたいに
ボケた人達用の施設に連れて行かれた

俺はおばあちゃんが嫌いだ

けどもう俺の嫌いなおばあちゃんはいない
54:2019/02/05(火)08:11:49 lmF
終わりです
オチもなんもないけど実話です
59:2019/02/05(火)08:18:59 Qoj
ひぇ…これ実話やったんか
60:2019/02/05(火)08:19:21 lmF
なんでこんな事を書いたかというと
俺の事をどうやら昔亡くなった兄弟の
息子だと思ってるみたいで俺の嫌いだった
おばあちゃんは俺に厳しくて優しさなんて
ひとつも与えてくれなかっただけど
今じゃすごい優しく接してくれます

施設に面会しにいく度にすごい笑顔で
「よく来たねぇ~!!ほらここに座りな!!」って
それでなんか悲しくなって酔った勢いで書いた
61:2019/02/05(火)08:19:53 dxP
まさかのいい落ちで草
63:2019/02/05(火)08:20:25 dxP
終わりよければすべてよし、やで
76:2019/02/05(火)09:39:45 NSB
朝から泣いたわ
イッチおつかれさん、介護はほんまに神経磨耗するからなしゃーない
ワイもボケる前に氏にたいわ
俺はおばあちゃんが嫌いだ
引用元:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1549316352