1:2019/02/06(水) 21:01:26.250
男「奥さん!」
未亡人「あなたは主人と同じ会社の……なんでしょう?」
男「旦那さんが氏んでしばらく経ちましたし、私と結婚して下さい!」
未亡人「喜んで!」
男「奥さんっ……!」
ゾンビ夫「ちょっと待て」
未亡人「あなたは主人と同じ会社の……なんでしょう?」
男「旦那さんが氏んでしばらく経ちましたし、私と結婚して下さい!」
未亡人「喜んで!」
男「奥さんっ……!」
ゾンビ夫「ちょっと待て」
2:2019/02/06(水) 21:04:35.839
男「うわぁぁぁぁぁ!?」
未亡人「あなた、なんで生きてるの!?」
ゾンビ夫「生きてないよ、もう氏んでるよ。なぜかゾンビとして蘇ってしまった」
未亡人「ゾンビですって!?」
男「ていうか、遺体は火葬されたんじゃ……」
未亡人「そうよそうよ! 骨だけになってなきゃおかしいわ!」
ゾンビ夫「火葬場が火力ケチったせいで生焼けになって、そのまま墓に埋めただろうが!」
未亡人「ああ、そういえばそうだったわね」
未亡人「あなた、なんで生きてるの!?」
ゾンビ夫「生きてないよ、もう氏んでるよ。なぜかゾンビとして蘇ってしまった」
未亡人「ゾンビですって!?」
男「ていうか、遺体は火葬されたんじゃ……」
未亡人「そうよそうよ! 骨だけになってなきゃおかしいわ!」
ゾンビ夫「火葬場が火力ケチったせいで生焼けになって、そのまま墓に埋めただろうが!」
未亡人「ああ、そういえばそうだったわね」
4:2019/02/06(水) 21:08:23.184
未亡人「今さらなんの用よ?」
ゾンビ夫「死んだ夫に今さらとかいうな。お前なに再婚しようとしてんだよ!?」
未亡人「別にいいじゃない。あなたは死んだんだし」
男「そうそう、お前は課の飲み会の帰りに、酔っ払って階段から落ちて死んだんだ」
男「通行人が見つけた時には、もう冷たくなってたらしい」
ゾンビ夫「たしかにそうだ。俺は死んだ。俺が死んだ以上、別に再婚したってかまわない」
ゾンビ夫「だけど、いくらなんでも早すぎるだろ! せめてもう少し独り身でいてくれよ!」
未亡人「善は急げっていうし」
ゾンビ夫「急がば回ってくれよ!」
ゾンビ夫「死んだ夫に今さらとかいうな。お前なに再婚しようとしてんだよ!?」
未亡人「別にいいじゃない。あなたは死んだんだし」
男「そうそう、お前は課の飲み会の帰りに、酔っ払って階段から落ちて死んだんだ」
男「通行人が見つけた時には、もう冷たくなってたらしい」
ゾンビ夫「たしかにそうだ。俺は死んだ。俺が死んだ以上、別に再婚したってかまわない」
ゾンビ夫「だけど、いくらなんでも早すぎるだろ! せめてもう少し独り身でいてくれよ!」
未亡人「善は急げっていうし」
ゾンビ夫「急がば回ってくれよ!」
5:2019/02/06(水) 21:12:30.872
ゾンビ夫「それとお前!」
男「ん?」
ゾンビ夫「階段から落ちた時のこと、俺は未だに覚えてる!」
ゾンビ夫「俺はたしかに酔ってたけど、あの時俺は間違いなく背後から突き飛ばされたんだ!」
ゾンビ夫「お前だろォ!」
男「おいおい……被害妄想はやめてくれよ。なにか証拠でもあるのかい?」
ゾンビ夫「証拠はない……が、お前しかいねーじゃねえか!」
ゾンビ夫「直前までお前とも飲んでたし、俺が死んだら妻にプロポーズしてるし!」
男「面白い推理だ……だけど証拠がなきゃ話にもならないねえ。ハーッハッハッハッハ!」
ゾンビ夫「くっ……!」
男「ん?」
ゾンビ夫「階段から落ちた時のこと、俺は未だに覚えてる!」
ゾンビ夫「俺はたしかに酔ってたけど、あの時俺は間違いなく背後から突き飛ばされたんだ!」
ゾンビ夫「お前だろォ!」
男「おいおい……被害妄想はやめてくれよ。なにか証拠でもあるのかい?」
ゾンビ夫「証拠はない……が、お前しかいねーじゃねえか!」
ゾンビ夫「直前までお前とも飲んでたし、俺が死んだら妻にプロポーズしてるし!」
男「面白い推理だ……だけど証拠がなきゃ話にもならないねえ。ハーッハッハッハッハ!」
ゾンビ夫「くっ……!」
6:2019/02/06(水) 21:15:43.460
ゾンビ夫「まぁ、そのことはいい。もう水に流す」
男「流しちゃうのかよ」
ゾンビ夫「だが、俺はまだお前を俺に代わる夫として認めたわけじゃない!」
ゾンビ夫「お前が本当にニュー・ハズバンドに相応しいか見極めるまで、お前たちが結婚することは許さん!」
ゾンビ夫「そう、これこそが俺に与えられた使命! だからゾンビになれたのだ!」
ゾンビ夫「妻と結婚したかったら、俺の屍を越えていけ!」
男「分かったよ……」
未亡人「ってことは、私たちしばらくは三人暮らし?」
男「そうなるね」
ゾンビ夫「楽しい共同生活の始まりだ!」
男「流しちゃうのかよ」
ゾンビ夫「だが、俺はまだお前を俺に代わる夫として認めたわけじゃない!」
ゾンビ夫「お前が本当にニュー・ハズバンドに相応しいか見極めるまで、お前たちが結婚することは許さん!」
ゾンビ夫「そう、これこそが俺に与えられた使命! だからゾンビになれたのだ!」
ゾンビ夫「妻と結婚したかったら、俺の屍を越えていけ!」
男「分かったよ……」
未亡人「ってことは、私たちしばらくは三人暮らし?」
男「そうなるね」
ゾンビ夫「楽しい共同生活の始まりだ!」
7:2019/02/06(水) 21:19:08.690 ID:XmDyKk9jr.net
この夫ノリノリである
8:2019/02/06(水) 21:20:17.730
<会社>
男「俺、昨日死んだあいつの奥さんにプロポーズしたんだ」
同僚「えっ……マジで!? ……で、どうだったんだよ!?」
男「オーケーしてもらえたよ。彼女も寂しかったんだろうな」
同僚「くうっ、いいなぁ~!」
男「だけど、とんでもないことになっちゃって……」
同僚「とんでもないことって?」
男「いや……なんでもない」
男「俺、昨日死んだあいつの奥さんにプロポーズしたんだ」
同僚「えっ……マジで!? ……で、どうだったんだよ!?」
男「オーケーしてもらえたよ。彼女も寂しかったんだろうな」
同僚「くうっ、いいなぁ~!」
男「だけど、とんでもないことになっちゃって……」
同僚「とんでもないことって?」
男「いや……なんでもない」
9:2019/02/06(水) 21:23:04.155
男「ただいま」
ゾンビ夫「お帰り!」
未亡人「お帰りなさい」
男(マジで三人暮らしが始まっちゃったよ)
ゾンビ夫「さっそく、どっちが優れた夫か勝負を始めるぞ!」
ゾンビ夫「夫というのはやはり稼ぎが多くなければならない……」
ゾンビ夫「俺の生前最後の給与明細とお前の明細、どっちが稼いでるか、尋常に見せ合おう!」
男「いいよ」
ゾンビ夫「お帰り!」
未亡人「お帰りなさい」
男(マジで三人暮らしが始まっちゃったよ)
ゾンビ夫「さっそく、どっちが優れた夫か勝負を始めるぞ!」
ゾンビ夫「夫というのはやはり稼ぎが多くなければならない……」
ゾンビ夫「俺の生前最後の給与明細とお前の明細、どっちが稼いでるか、尋常に見せ合おう!」
男「いいよ」
10:2019/02/06(水) 21:25:46.057
ゾンビ夫「ま、負けた……!」
未亡人「ずいぶん差があるわね」
ゾンビ夫「同じ会社の同じ課に勤めてたのに……! どんだけ査定低かったんだよ俺……」
男「お前、ドジでしょっちゅうヘマしてたからなぁ」
ゾンビ夫「うぐ……」
男「だから階段から落ちて死ぬなんて死に方するんだよ」
ゾンビ夫「あれはお前の仕業だっつうの!」
男「で、どうする? 負けを認めてくれるのか?」
ゾンビ夫「いや……まだだ!」
未亡人「ずいぶん差があるわね」
ゾンビ夫「同じ会社の同じ課に勤めてたのに……! どんだけ査定低かったんだよ俺……」
男「お前、ドジでしょっちゅうヘマしてたからなぁ」
ゾンビ夫「うぐ……」
男「だから階段から落ちて死ぬなんて死に方するんだよ」
ゾンビ夫「あれはお前の仕業だっつうの!」
男「で、どうする? 負けを認めてくれるのか?」
ゾンビ夫「いや……まだだ!」
11:2019/02/06(水) 21:28:53.084
ゾンビ夫「次は……料理勝負だ!」
男「料理……?」
ゾンビ夫「今時の夫は料理もできなきゃ話にならない! 男子厨房に入らずなんてナンセンス!」
ゾンビ夫「料理で俺を越えてみやがれ!」
男「あんまり自信ないけど、やってみるよ」
未亡人「審査員は私がやるわね!」
男「料理……?」
ゾンビ夫「今時の夫は料理もできなきゃ話にならない! 男子厨房に入らずなんてナンセンス!」
ゾンビ夫「料理で俺を越えてみやがれ!」
男「あんまり自信ないけど、やってみるよ」
未亡人「審査員は私がやるわね!」
12:2019/02/06(水) 21:31:34.552
男「ハンバーグを作ってみたよ」
未亡人「どれどれ……」パクッ
未亡人「あら、おいしい! ひき肉と玉ねぎが上手に調和しあってるわ!」
ゾンビ夫「次は俺のチャーハンを食ってくれ!」
未亡人「どれどれ……」モグモグ
ゾンビ夫(クックック、料理勝負は後攻が有利と紀元前から決まってんだよ)
未亡人「……なにこれ。油でギトギトな上、全然塩気がないんだけど」
ゾンビ夫「死人だけあって、どうも塩は苦手で……」
未亡人「勝者、男さん!」
ゾンビ夫「後攻なのに負けた……!」
未亡人「どれどれ……」パクッ
未亡人「あら、おいしい! ひき肉と玉ねぎが上手に調和しあってるわ!」
ゾンビ夫「次は俺のチャーハンを食ってくれ!」
未亡人「どれどれ……」モグモグ
ゾンビ夫(クックック、料理勝負は後攻が有利と紀元前から決まってんだよ)
未亡人「……なにこれ。油でギトギトな上、全然塩気がないんだけど」
ゾンビ夫「死人だけあって、どうも塩は苦手で……」
未亡人「勝者、男さん!」
ゾンビ夫「後攻なのに負けた……!」
14:2019/02/06(水) 21:34:31.911
ゾンビ夫「次は体力勝負! かけっこだ!」
男「いい年してかけっこて」
ゾンビ夫「うるせえ、やるんだよ!」
未亡人「位置について、よーいドン!」
タタタタタタッ タタタタタタッ
男「ゴールだ!」
ゾンビ夫「ダ、ダメだ……両手を前に出すゾンビ走りじゃ全然スピードが出ない……」
男「いい年してかけっこて」
ゾンビ夫「うるせえ、やるんだよ!」
未亡人「位置について、よーいドン!」
タタタタタタッ タタタタタタッ
男「ゴールだ!」
ゾンビ夫「ダ、ダメだ……両手を前に出すゾンビ走りじゃ全然スピードが出ない……」
15:2019/02/06(水) 21:36:46.320
ゾンビ夫「こうなったら……夜の営み勝負!」
男「どうやって勝負すんだよ、それ」
ゾンビ夫「あいにく死んだ俺からはもう、そういう機能は失われてるから……」
ゾンビ夫「お前ら……俺の目の前で抱き合え! 判定してやる!」
男「ええっ!?」
未亡人「いいの?」
ゾンビ夫「かまわん! ヤれ!」
男「どうやって勝負すんだよ、それ」
ゾンビ夫「あいにく死んだ俺からはもう、そういう機能は失われてるから……」
ゾンビ夫「お前ら……俺の目の前で抱き合え! 判定してやる!」
男「ええっ!?」
未亡人「いいの?」
ゾンビ夫「かまわん! ヤれ!」
16:2019/02/06(水) 21:40:15.467
ゾンビ夫「…………!」
ゾンビ夫「な、なにィ! あんなテクがあったとは……!」
ゾンビ夫「おおっ、そんなプレイも! マジかよ……!」
ゾンビ夫「まだいくのか!? なんという持続力! ]
ゾンビ夫「すげえ……すごすぎるぜ……! 次元が違いすぎる……!」
男「どうだった?」
ゾンビ夫「完敗です……」
ゾンビ夫「な、なにィ! あんなテクがあったとは……!」
ゾンビ夫「おおっ、そんなプレイも! マジかよ……!」
ゾンビ夫「まだいくのか!? なんという持続力! ]
ゾンビ夫「すげえ……すごすぎるぜ……! 次元が違いすぎる……!」
男「どうだった?」
ゾンビ夫「完敗です……」
17:2019/02/06(水) 21:43:26.551
未亡人「これであなたの四連敗ね。どうするの?」
ゾンビ夫「うぐぐぐ……」
ゾンビ夫「……認めん!」
ゾンビ夫「俺が認めない以上、お前らは結婚できないし、俺も成仏はしない!」
ゾンビ夫「分かったな!」
未亡人「こりゃ当分の間、私たち結婚できそうにないわね」
男「まあ、しょうがないよ。三人暮らしを楽しもう」
ゾンビ夫「うぐぐぐ……」
ゾンビ夫「……認めん!」
ゾンビ夫「俺が認めない以上、お前らは結婚できないし、俺も成仏はしない!」
ゾンビ夫「分かったな!」
未亡人「こりゃ当分の間、私たち結婚できそうにないわね」
男「まあ、しょうがないよ。三人暮らしを楽しもう」
18:2019/02/06(水) 21:48:16.599
<会社>
同僚「え、まだ結婚せず、同棲みたいなことしてんの?」
男「ああ……結婚するのはしばらく無理そうだな」
同僚「奥さんが死んだ夫(あいつ)のことを忘れられないからか?」
男(忘れられないどころか、一緒に暮らしてるんだけど……)
同僚「いつまでもおあずけ状態じゃツライだろ。いっそ別れた方がいいんじゃ……」
男「だけど今の生活も……わりと楽しいよ」
同僚「ふうん……」
同僚「え、まだ結婚せず、同棲みたいなことしてんの?」
男「ああ……結婚するのはしばらく無理そうだな」
同僚「奥さんが死んだ夫(あいつ)のことを忘れられないからか?」
男(忘れられないどころか、一緒に暮らしてるんだけど……)
同僚「いつまでもおあずけ状態じゃツライだろ。いっそ別れた方がいいんじゃ……」
男「だけど今の生活も……わりと楽しいよ」
同僚「ふうん……」
19:2019/02/06(水) 21:50:58.551
ゾンビ夫「ふあーあ……ヒマだなぁ……」
ゾンビ夫「あ、そうだ。風呂掃除でもやろうか?」
未亡人「あなたがやると、かえって汚くなっちゃうわよ」
ゾンビ夫「ゾンビだからなぁ」
未亡人「もう氏んでるんだから、思う存分のんびりしなさいよ」
ゾンビ夫「だけどヒマなんだよなぁ……。俺、特に趣味もなかったし……」
未亡人「だったらバイトでもしたら?」
ゾンビ夫「そうだな、探してみるか」
ゾンビ夫「あ、そうだ。風呂掃除でもやろうか?」
未亡人「あなたがやると、かえって汚くなっちゃうわよ」
ゾンビ夫「ゾンビだからなぁ」
未亡人「もう氏んでるんだから、思う存分のんびりしなさいよ」
ゾンビ夫「だけどヒマなんだよなぁ……。俺、特に趣味もなかったし……」
未亡人「だったらバイトでもしたら?」
ゾンビ夫「そうだな、探してみるか」
20:2019/02/06(水) 21:54:24.850
ゾンビ夫(ゾンビでもできるアルバイト、か……)
ゾンビ夫(工場関係は衛生面でアウト……)
ゾンビ夫(接客系は見た目でアウトだろう)
ゾンビ夫(力仕事はゾンビってるこの体じゃとても無理だし……)
ゾンビ夫「あ~~~~~、ゾンビってなんもできねえなぁ! まさに死人に職無しってか!」
ゾンビ夫「!」ハッ
ゾンビ夫「――お!」
ゾンビ夫「これいい! これなら俺にもできそうだ! さっそく電話しよう!」
ゾンビ夫(工場関係は衛生面でアウト……)
ゾンビ夫(接客系は見た目でアウトだろう)
ゾンビ夫(力仕事はゾンビってるこの体じゃとても無理だし……)
ゾンビ夫「あ~~~~~、ゾンビってなんもできねえなぁ! まさに死人に職無しってか!」
ゾンビ夫「!」ハッ
ゾンビ夫「――お!」
ゾンビ夫「これいい! これなら俺にもできそうだ! さっそく電話しよう!」
21:2019/02/06(水) 21:54:42.951 ID:hKkvfQzU0.net
ゾンビでも働くのに…
22:2019/02/06(水) 21:57:34.887
<遊園地のお化け屋敷>
ヒュードロドロ…
女性客「こわ~い……」
男性客「大丈夫さ、この遊園地のお化け屋敷はチャチなことで有名――」
ゾンビ夫「グオオオオオオオッ!!!」バッ
男性客「うわああああああっ!!!」
女性客「キャーッ!!!」
ゾンビ夫(ふっふっふ、ゾンビにこれ以上向いてる仕事は他にあるまい)
ヒュードロドロ…
女性客「こわ~い……」
男性客「大丈夫さ、この遊園地のお化け屋敷はチャチなことで有名――」
ゾンビ夫「グオオオオオオオッ!!!」バッ
男性客「うわああああああっ!!!」
女性客「キャーッ!!!」
ゾンビ夫(ふっふっふ、ゾンビにこれ以上向いてる仕事は他にあるまい)
24:2019/02/06(水) 22:01:28.725
男「三人で映画でも見に行かない?」
未亡人「ちょうど今、映画館でゾンビ映画やってるわ。すごいCGなんだって」
ゾンビ夫「へっ、こちとら本物のゾンビだぜ? CGのゾンビなんか怖くないぜ!」
……
グオオオオオ… ウオオオオオ…
ゾンビ夫「怖えええええっ……!」
男「最近のCGは凄いな……!」
未亡人「本物よりも本物らしいわね」
未亡人「ちょうど今、映画館でゾンビ映画やってるわ。すごいCGなんだって」
ゾンビ夫「へっ、こちとら本物のゾンビだぜ? CGのゾンビなんか怖くないぜ!」
……
グオオオオオ… ウオオオオオ…
ゾンビ夫「怖えええええっ……!」
男「最近のCGは凄いな……!」
未亡人「本物よりも本物らしいわね」
25:2019/02/06(水) 22:04:25.706
男「銃でゾンビを倒しまくるゲームを買ってきたから、みんなでやろう!」
未亡人「わぁっ、面白そう!」
ゾンビ夫「そんなゲーム買ってくるなんて、俺へのあてつけかよ~?」
……
ゾンビ夫「うおおおっ! 死ね死ねゾンビども! 死人はとっととあの世行け!」バキューンバキューン
男「…………」
未亡人「…………」
ゾンビ夫「何か?」
未亡人「わぁっ、面白そう!」
ゾンビ夫「そんなゲーム買ってくるなんて、俺へのあてつけかよ~?」
……
ゾンビ夫「うおおおっ! 死ね死ねゾンビども! 死人はとっととあの世行け!」バキューンバキューン
男「…………」
未亡人「…………」
ゾンビ夫「何か?」
27:2019/02/06(水) 22:05:09.381 ID:cKnOROXN0.net
ワロタ
26:2019/02/06(水) 22:05:08.655 ID:hKkvfQzU0.net
かわいい
28:2019/02/06(水) 22:07:36.195 ID:YvpdsqRIr.net
楽しそう
29:2019/02/06(水) 22:09:03.663
未亡人「二人とも、ご飯よー」
男「わぁっ、おいしそう!」
ゾンビ夫「いただきまーす」
モグモグ… ポロポロ…
男「最初は戸惑ったけど、三人暮らしもなかなか楽しいね」
未亡人「そうね、ずっとこのままでもいいかも」
ゾンビ夫(ケッ、俺を殺しておいて、何いってやがる)
ゾンビ夫(だけど、こいつはたしかに優秀だし、俺もこいつのことを認めつつある……)
ゾンビ夫(もうこの二人は夫婦になっていい、と思っちゃってる)
ゾンビ夫(なら俺は――)
男「わぁっ、おいしそう!」
ゾンビ夫「いただきまーす」
モグモグ… ポロポロ…
男「最初は戸惑ったけど、三人暮らしもなかなか楽しいね」
未亡人「そうね、ずっとこのままでもいいかも」
ゾンビ夫(ケッ、俺を殺しておいて、何いってやがる)
ゾンビ夫(だけど、こいつはたしかに優秀だし、俺もこいつのことを認めつつある……)
ゾンビ夫(もうこの二人は夫婦になっていい、と思っちゃってる)
ゾンビ夫(なら俺は――)
30:2019/02/06(水) 22:12:34.532
ゾンビ夫「……んん」
ゾンビ夫「目が覚めちゃった……」モゾモゾ
ヒソヒソ… ボソボソ…
ゾンビ夫「ん?」
ゾンビ夫(二人でなにか話してる……?)
ゾンビ夫「目が覚めちゃった……」モゾモゾ
ヒソヒソ… ボソボソ…
ゾンビ夫「ん?」
ゾンビ夫(二人でなにか話してる……?)
31:2019/02/06(水) 22:15:10.801
ヒソヒソ…
未亡人「あの人、いい加減どうにかしないと……」
男「そうだな、ゾンビの専門家に相談した方がいいかもしれない」
未亡人「そんなのいるの?」
男「分からないけど、探せばきっと――」
ゾンビ夫「…………!」
ゾンビ夫(だよな……俺みたいなのがいつまでも家にいたら迷惑に決まってる)
ゾンビ夫(いよいよ、覚悟を決める時が来たようだな……)
未亡人「あの人、いい加減どうにかしないと……」
男「そうだな、ゾンビの専門家に相談した方がいいかもしれない」
未亡人「そんなのいるの?」
男「分からないけど、探せばきっと――」
ゾンビ夫「…………!」
ゾンビ夫(だよな……俺みたいなのがいつまでも家にいたら迷惑に決まってる)
ゾンビ夫(いよいよ、覚悟を決める時が来たようだな……)
32:2019/02/06(水) 22:18:33.221
……
未亡人「はい……もしもし。うん、分かった。じゃあねー!」
ゾンビ夫「どうした?」
未亡人「今日あの人遅くなるんだって。同僚さんと飲んでくるみたい」
ゾンビ夫「そっか……あいつにも別れをいいたかったけど、仕方ない」
未亡人「え、どういうこと?」
ゾンビ夫「俺は……今日でこの家を去るよ」
未亡人「はい……もしもし。うん、分かった。じゃあねー!」
ゾンビ夫「どうした?」
未亡人「今日あの人遅くなるんだって。同僚さんと飲んでくるみたい」
ゾンビ夫「そっか……あいつにも別れをいいたかったけど、仕方ない」
未亡人「え、どういうこと?」
ゾンビ夫「俺は……今日でこの家を去るよ」
33:2019/02/06(水) 22:22:14.056
未亡人「なんで!? いきなりどうして!?」
ゾンビ夫「俺……こないだ、お前たちの話を聞いちゃったんだ」
ゾンビ夫「いい加減俺をどうにかしたくて、ゾンビの専門家を探してるんだろ?」
ゾンビ夫「だったら手間かけさせるより、自分から去った方がいいと思って……」
未亡人「そんな……私たちはただ……」
ゾンビ夫「いいんだ、お前たちを責めるつもりはない」
ゾンビ夫「そもそも死人がいつまでも居座る今までの状況が異常だったんだ」
ゾンビ夫「俺はどこか墓場か廃墟ででも暮らすから、お前らはちゃんと結婚して……」
未亡人「違うのよ!」
ゾンビ夫「えっ?」
ゾンビ夫「俺……こないだ、お前たちの話を聞いちゃったんだ」
ゾンビ夫「いい加減俺をどうにかしたくて、ゾンビの専門家を探してるんだろ?」
ゾンビ夫「だったら手間かけさせるより、自分から去った方がいいと思って……」
未亡人「そんな……私たちはただ……」
ゾンビ夫「いいんだ、お前たちを責めるつもりはない」
ゾンビ夫「そもそも死人がいつまでも居座る今までの状況が異常だったんだ」
ゾンビ夫「俺はどこか墓場か廃墟ででも暮らすから、お前らはちゃんと結婚して……」
未亡人「違うのよ!」
ゾンビ夫「えっ?」
35:2019/02/06(水) 22:25:46.402
未亡人「私たちはあなたを追い出したかったんじゃないの! 助けたかったのよ!」
ゾンビ夫「どういう意味だ?」
未亡人「あなた、自分では気づいてないようだけど……あなたの体、どんどんボロボロになってるの」
ゾンビ夫「え……」
未亡人「皮膚はあちこちヒビ割れて、顔色も前よりずっと悪くなってる」
未亡人「このところ、食事しててもノドから食べた物がポロポロ転がり落ちてるし……」
未亡人「だから、ゾンビの体を修復できる人を探そうとしてたのよ……」
ゾンビ夫(俺の体、そんなことになってたのか……知らなかった)
未亡人「とにかく、あの人が帰ってきてから、もう一度話し合いましょ?」
ゾンビ夫「……分かった」
ゾンビ夫「どういう意味だ?」
未亡人「あなた、自分では気づいてないようだけど……あなたの体、どんどんボロボロになってるの」
ゾンビ夫「え……」
未亡人「皮膚はあちこちヒビ割れて、顔色も前よりずっと悪くなってる」
未亡人「このところ、食事しててもノドから食べた物がポロポロ転がり落ちてるし……」
未亡人「だから、ゾンビの体を修復できる人を探そうとしてたのよ……」
ゾンビ夫(俺の体、そんなことになってたのか……知らなかった)
未亡人「とにかく、あの人が帰ってきてから、もう一度話し合いましょ?」
ゾンビ夫「……分かった」
36:2019/02/06(水) 22:28:59.675
未亡人「あの人……遅いわね」
ゾンビ夫「同僚と飲んでんだろ? 心配することないさ」
未亡人「だけど、遅くなる時はいつも連絡くれるのに……」
プルルルルル…
未亡人「もしもし」
未亡人「はい……?」
未亡人「え、あの人が!? それで、容態は!? はい……分かりました……」
ゾンビ夫「おい……どうした?」
未亡人「病院から電話があって……男さん、階段から転げ落ちて重体なんだって……」
ゾンビ夫「……なんだと!?」
ゾンビ夫「同僚と飲んでんだろ? 心配することないさ」
未亡人「だけど、遅くなる時はいつも連絡くれるのに……」
プルルルルル…
未亡人「もしもし」
未亡人「はい……?」
未亡人「え、あの人が!? それで、容態は!? はい……分かりました……」
ゾンビ夫「おい……どうした?」
未亡人「病院から電話があって……男さん、階段から転げ落ちて重体なんだって……」
ゾンビ夫「……なんだと!?」
38:2019/02/06(水) 22:32:45.380
未亡人「どうしよう……重体って危ないってことだよね……」
未亡人「このまま死んじゃうんじゃ……」
ゾンビ夫「落ち着け」
未亡人「!」
ゾンビ夫「あいつは俺ほどドジじゃないし、運動神経も抜群だ。簡単に死ぬわけないさ」
ゾンビ夫「とにかく……俺たちもすぐ病院へ行こう。タクシー呼ぼう」
未亡人「うん、分かった!」
未亡人「このまま死んじゃうんじゃ……」
ゾンビ夫「落ち着け」
未亡人「!」
ゾンビ夫「あいつは俺ほどドジじゃないし、運動神経も抜群だ。簡単に死ぬわけないさ」
ゾンビ夫「とにかく……俺たちもすぐ病院へ行こう。タクシー呼ぼう」
未亡人「うん、分かった!」
39:2019/02/06(水) 22:35:08.692
ピンポーン…
未亡人「タクシーだわ!」
ゾンビ夫「もう来たのか? ずいぶん早いな」
未亡人「事情は説明したし、きっと大急ぎで来てくれたのよ!」タタタッ
未亡人「お待ちしてましたー!」ガチャッ
未亡人「タクシーだわ!」
ゾンビ夫「もう来たのか? ずいぶん早いな」
未亡人「事情は説明したし、きっと大急ぎで来てくれたのよ!」タタタッ
未亡人「お待ちしてましたー!」ガチャッ
42:2019/02/06(水) 22:38:29.862
同僚「…………」
未亡人「えっ……?」
同僚「夜分遅くすみません……」
未亡人「あなたはたしか……同僚さん、ですよね?」
同僚「今度はもう抜け駆けされるわけにはいかない……」
未亡人「はい?」
同僚「僕と……僕と結婚してくれぇぇぇぇぇっ!!!」
未亡人「!?」
同僚「僕はずっとあなたのこと好きだったんだ! 愛してたんだ! 結婚したいんだ!」
同僚「婚姻届も持ってきた! さあ、ハンコを押すんだぁぁぁぁぁ!!!」
未亡人「ちょ、ちょっと……!」
未亡人「えっ……?」
同僚「夜分遅くすみません……」
未亡人「あなたはたしか……同僚さん、ですよね?」
同僚「今度はもう抜け駆けされるわけにはいかない……」
未亡人「はい?」
同僚「僕と……僕と結婚してくれぇぇぇぇぇっ!!!」
未亡人「!?」
同僚「僕はずっとあなたのこと好きだったんだ! 愛してたんだ! 結婚したいんだ!」
同僚「婚姻届も持ってきた! さあ、ハンコを押すんだぁぁぁぁぁ!!!」
未亡人「ちょ、ちょっと……!」
43:2019/02/06(水) 22:41:26.292
ゾンビ夫「同僚、お前なにやってんだ!?」
同僚「!?」ビクッ
同僚「お前……なんで生きてる?」
ゾンビ夫「ああ、そういやお前は知らなかったな。俺は――」
同僚「あんな派手に頭から転がり落ちたのに、なんで生きてんだよぉぉぉぉぉっ!!!」
ゾンビ夫「いや、だから俺はもう氏んでて……え?」
ゾンビ夫「なんで俺の落ち方を知ってんだよ、お前……」
同僚「…………」
ゾンビ夫「まさか……俺を突き飛ばしたのはお前か? お前なのか!?」
同僚「……ああ、そうさ!」
同僚「!?」ビクッ
同僚「お前……なんで生きてる?」
ゾンビ夫「ああ、そういやお前は知らなかったな。俺は――」
同僚「あんな派手に頭から転がり落ちたのに、なんで生きてんだよぉぉぉぉぉっ!!!」
ゾンビ夫「いや、だから俺はもう氏んでて……え?」
ゾンビ夫「なんで俺の落ち方を知ってんだよ、お前……」
同僚「…………」
ゾンビ夫「まさか……俺を突き飛ばしたのはお前か? お前なのか!?」
同僚「……ああ、そうさ!」
44:2019/02/06(水) 22:42:37.540 ID:YvpdsqRIr.net
おまえかよ
46:2019/02/06(水) 22:45:46.400
同僚「俺はずっとこの人が好きだったのに、お前に先を越されて結婚された」
同僚「だから課の飲み会の後、密かに尾けて階段から突き落としてやった!」
同僚「で、未亡人になったこの人に――と機会を探ってたらどうだ!」
ゾンビ夫「先にあいつがプロポーズしたわけか……」
同僚「そうだ! あの野郎、抜け駆けしやがって……!」
未亡人「もしかして、男さんが階段から落ちたのも……」
同僚「ああ、俺だよ」
同僚「後頭部からガツンとイッてたからなぁ、ありゃ絶対に助からない!」
同僚「さあ、今こそ結婚してくれぇ!」ガシッ
未亡人「や、やめてえっ!」
同僚「だから課の飲み会の後、密かに尾けて階段から突き落としてやった!」
同僚「で、未亡人になったこの人に――と機会を探ってたらどうだ!」
ゾンビ夫「先にあいつがプロポーズしたわけか……」
同僚「そうだ! あの野郎、抜け駆けしやがって……!」
未亡人「もしかして、男さんが階段から落ちたのも……」
同僚「ああ、俺だよ」
同僚「後頭部からガツンとイッてたからなぁ、ありゃ絶対に助からない!」
同僚「さあ、今こそ結婚してくれぇ!」ガシッ
未亡人「や、やめてえっ!」
47:2019/02/06(水) 22:47:55.325
ゾンビ夫「やめろっ!」ガシッ
同僚「なんだそりゃ? 全然力入ってねーぞ」
ゾンビ夫(ダメだ……! 俺の体、本当にボロボロなんだ……!)
同僚「どけえっ!」ブオンッ
ゾンビ夫「ぐわっ!」ゴキッ
ドサッ…
同僚「ヒャハハ、首が折れやがった! ありえない方向に曲がってやがる!」
同僚「なんで生きてたか知らねえが、今度こそ死んだだろ!」
未亡人「あなたぁっ!」
同僚「なんだそりゃ? 全然力入ってねーぞ」
ゾンビ夫(ダメだ……! 俺の体、本当にボロボロなんだ……!)
同僚「どけえっ!」ブオンッ
ゾンビ夫「ぐわっ!」ゴキッ
ドサッ…
同僚「ヒャハハ、首が折れやがった! ありえない方向に曲がってやがる!」
同僚「なんで生きてたか知らねえが、今度こそ死んだだろ!」
未亡人「あなたぁっ!」
48:2019/02/06(水) 22:51:09.608
同僚「さあ、さあ、さあ! 結婚しよう! やっと俺の番なんだから!」
未亡人「来ないで!」
同僚「なんでそう拒絶するかなぁ。君のために二人も殺してあげたのに……」
未亡人「君のため? 自分のためじゃないのよ!」
同僚「そうかいそうかい。だったらぁ……君が三人目だぁぁぁぁぁっ!!!」ガシッ
未亡人「あ、が……っ!」ミシミシ…
同僚「ヒヒヒ、窒息しそうな顔もキレイだよぉ……」
「ま、待て……」
同僚「え?」
未亡人「来ないで!」
同僚「なんでそう拒絶するかなぁ。君のために二人も殺してあげたのに……」
未亡人「君のため? 自分のためじゃないのよ!」
同僚「そうかいそうかい。だったらぁ……君が三人目だぁぁぁぁぁっ!!!」ガシッ
未亡人「あ、が……っ!」ミシミシ…
同僚「ヒヒヒ、窒息しそうな顔もキレイだよぉ……」
「ま、待て……」
同僚「え?」
50:2019/02/06(水) 22:53:39.718
ゾンビ夫「手をはなせ……」ブランッ
同僚「ひっ!? お前、首が折れてるのに、なんで死なないんだぁ!?」
ゾンビ夫「残念だったな……」
ゾンビ夫「俺はゾンビ、もうとっくに氏んでんだよォ!!!」
同僚「わ、わわっ! ひいいっ! 来るな! 来ないでっ!」
ゾンビ夫「グオオオオオオオオオオッ!!!」
同僚「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
同僚「ひっ!? お前、首が折れてるのに、なんで死なないんだぁ!?」
ゾンビ夫「残念だったな……」
ゾンビ夫「俺はゾンビ、もうとっくに氏んでんだよォ!!!」
同僚「わ、わわっ! ひいいっ! 来るな! 来ないでっ!」
ゾンビ夫「グオオオオオオオオオオッ!!!」
同僚「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
51:2019/02/06(水) 22:56:49.322
ゾンビ夫「……失神しやがった。お化け屋敷での経験が生きたな」
未亡人「あなた、あなたぁっ! よかった……!」
ゾンビ夫「お前こそ無事でよかった」
ブロロロロ… キキッ…
ゾンビ夫「ちょうどタクシーも来たみたいだ」
ゾンビ夫「同僚は縛り上げて、俺たちはすぐ病院に向かおう!」
未亡人「うん!」
ゾンビ夫「と、その前に首を直しておかないと」ゴキゴキッ
未亡人「あなた、あなたぁっ! よかった……!」
ゾンビ夫「お前こそ無事でよかった」
ブロロロロ… キキッ…
ゾンビ夫「ちょうどタクシーも来たみたいだ」
ゾンビ夫「同僚は縛り上げて、俺たちはすぐ病院に向かおう!」
未亡人「うん!」
ゾンビ夫「と、その前に首を直しておかないと」ゴキゴキッ
52:2019/02/06(水) 23:00:42.309
<病院>
未亡人「容態はどうなんでしょう?」
医者「頭蓋骨を骨折しており、非常に危険な状態です。おそらく……今夜が峠でしょう」
医者「また、命は助かっても、このまま意識が戻らない可能性も高く――」
未亡人「そんな……!」
ゾンビ夫「……お医者さん」
医者「なんでしょう? ……あなたもずいぶん顔色が悪いですが」
ゾンビ夫「俺を集中治療室に入れて下さい! お願いしますっ!」
未亡人「容態はどうなんでしょう?」
医者「頭蓋骨を骨折しており、非常に危険な状態です。おそらく……今夜が峠でしょう」
医者「また、命は助かっても、このまま意識が戻らない可能性も高く――」
未亡人「そんな……!」
ゾンビ夫「……お医者さん」
医者「なんでしょう? ……あなたもずいぶん顔色が悪いですが」
ゾンビ夫「俺を集中治療室に入れて下さい! お願いしますっ!」
54:2019/02/06(水) 23:02:08.637 ID:l4bQU8Fcr.net
お医者さんそいつ氏んでます
55:2019/02/06(水) 23:04:09.074
集中治療室――
ピッピッピッ…
男「…………」
ゾンビ夫「…………」
未亡人(どうするつもりなの……?)
ゾンビ夫「…………」ガシッ
未亡人(手を握った……!)
ピッピッピッ…
男「…………」
ゾンビ夫「…………」
未亡人(どうするつもりなの……?)
ゾンビ夫「…………」ガシッ
未亡人(手を握った……!)
56:2019/02/06(水) 23:07:29.223
男『…………』
男『……ん?』
ゾンビ夫『ひどい目にあったな』
男『ああ、誰かに背中を押されて……気づいたらこうなってた』
ゾンビ夫『お前を押したのは、同僚だった。ちなみに俺を殺したのもあいつだったよ』
男『なんだって……!?』
ゾンビ夫『お前のことを疑ってすまなかった……許して欲しい』
男『……いや、かまわないさ。お前が死んだとたん、奥さん狙ったのは事実だしな』
男『今回のこともその罰だとして受け入れるさ』
男『お前はこれからもゾンビとして奥さんを支え――』
ゾンビ夫『いや、そのつもりはない』
男『……ん?』
ゾンビ夫『ひどい目にあったな』
男『ああ、誰かに背中を押されて……気づいたらこうなってた』
ゾンビ夫『お前を押したのは、同僚だった。ちなみに俺を殺したのもあいつだったよ』
男『なんだって……!?』
ゾンビ夫『お前のことを疑ってすまなかった……許して欲しい』
男『……いや、かまわないさ。お前が死んだとたん、奥さん狙ったのは事実だしな』
男『今回のこともその罰だとして受け入れるさ』
男『お前はこれからもゾンビとして奥さんを支え――』
ゾンビ夫『いや、そのつもりはない』
57:2019/02/06(水) 23:10:43.991
ゾンビ夫『俺の中でわずかにくすぶってる生命……全部お前にくれてやる』
ゾンビ夫『そうすれば多分、お前は助かる』
男『は……!? そんなことしたらお前は――』
ゾンビ夫『俺、やっと分かったんだ』
ゾンビ夫『俺がゾンビとして蘇れたのは、お前らの再婚を邪魔するためじゃなく』
ゾンビ夫『きっと同僚の手から妻を守り、こうするためだったんだって』
男『なにいってんだお前!』
ゾンビ夫『じゃあな……あいつのこと、よろしく頼む』
男『やめろ!』
『幸せにしてやってくれよ……』
男『やめろぉぉぉぉぉっ!!!』
ゾンビ夫『そうすれば多分、お前は助かる』
男『は……!? そんなことしたらお前は――』
ゾンビ夫『俺、やっと分かったんだ』
ゾンビ夫『俺がゾンビとして蘇れたのは、お前らの再婚を邪魔するためじゃなく』
ゾンビ夫『きっと同僚の手から妻を守り、こうするためだったんだって』
男『なにいってんだお前!』
ゾンビ夫『じゃあな……あいつのこと、よろしく頼む』
男『やめろ!』
『幸せにしてやってくれよ……』
男『やめろぉぉぉぉぉっ!!!』
58:2019/02/06(水) 23:13:28.006
男「…………!」パチッ
医者「意識が回復した!? おおっ、奇跡だ!」
医者「しかし、患者さんの手を握っていた、あの顔色が悪い人はどこへ……!?」キョロキョロ
男「…………」
男「あいつは……?」
未亡人「……旅立っていったみたい」
男「そうか……」
…………
……
医者「意識が回復した!? おおっ、奇跡だ!」
医者「しかし、患者さんの手を握っていた、あの顔色が悪い人はどこへ……!?」キョロキョロ
男「…………」
男「あいつは……?」
未亡人「……旅立っていったみたい」
男「そうか……」
…………
……
59:2019/02/06(水) 23:18:01.432
時は流れ……
少年「ただいまー!」
男「お帰り」
妻「お帰りなさい」
少年「今日は友達んちでゲームやったんだ! 楽しかったー!」
男「へえ、よかったじゃないか」
少年「あ、そうそう! 友達から面白いものもらったの!」
妻「あら、なに?」
少年「ほらこれ! ゾンビ人形!」
男「!」
妻「!」
少年「ゾンビってもう氏んでるのに動く人のことなんでしょ? 怖いよね~」
少年「ただいまー!」
男「お帰り」
妻「お帰りなさい」
少年「今日は友達んちでゲームやったんだ! 楽しかったー!」
男「へえ、よかったじゃないか」
少年「あ、そうそう! 友達から面白いものもらったの!」
妻「あら、なに?」
少年「ほらこれ! ゾンビ人形!」
男「!」
妻「!」
少年「ゾンビってもう氏んでるのに動く人のことなんでしょ? 怖いよね~」
60:2019/02/06(水) 23:20:02.985
男「…………」
妻「…………」
少年「あれ、二人とも泣いてる? どうしたの? そんなにゾンビが怖いの?」
~おわり~
妻「…………」
少年「あれ、二人とも泣いてる? どうしたの? そんなにゾンビが怖いの?」
~おわり~
61:2019/02/06(水) 23:23:37.043 ID:VQqNzw4g0.net
乙
今日は最後まで面白かったわ
今日は最後まで面白かったわ
63:2019/02/06(水) 23:24:46.155 ID:4a8amAea0.net
乙
64:2019/02/06(水) 23:24:55.516 ID:l4bQU8Fcr.net
乙
いい話でいいゾンビだった
いい話でいいゾンビだった
66:2019/02/06(水) 23:37:43.379 ID:b5PEcnXOd.net
全俺が泣いた
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