1:2018/11/21(水) 17:15:03.665 ID:vwL6OJlYD.net
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
北野伸幸(41) 雑誌編集者
【至高の味のラーメン】
ホーッホッホッホ……。」
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
北野伸幸(41) 雑誌編集者
【至高の味のラーメン】
ホーッホッホッホ……。」
2:2018/11/21(水) 17:17:19.682 ID:vwL6OJlYD.net
喫茶店。とあるテーブルに、ライターと雑誌編集者がいる。ライターが、編集者・北野に原稿を渡す。
ライター「これが、来月号の原稿です」
北野「ありがとうございます。これで来月号の特集記事は面白い内容になりますよ」
テロップ「北野伸幸(41) 出版社『宝船社』社員、『月刊宝船』編集者」
出版社「宝船社」。『月刊宝船』編集部。編集長と、北野を含む編集者たちが仕事の話をしている。
編集長「よし、来月の『月刊宝船』はこの内容で行こう!」
編集者たち「はいっ」
机に置かれたノートパソコンを見つめる編集長と編集者たち。
ノートパソコンの画面には、来月号の『月刊宝船』の表紙の案が映っている。
オフィスで机に向かい、ノートパソコンを操作する北野。
ライター「これが、来月号の原稿です」
北野「ありがとうございます。これで来月号の特集記事は面白い内容になりますよ」
テロップ「北野伸幸(41) 出版社『宝船社』社員、『月刊宝船』編集者」
出版社「宝船社」。『月刊宝船』編集部。編集長と、北野を含む編集者たちが仕事の話をしている。
編集長「よし、来月の『月刊宝船』はこの内容で行こう!」
編集者たち「はいっ」
机に置かれたノートパソコンを見つめる編集長と編集者たち。
ノートパソコンの画面には、来月号の『月刊宝船』の表紙の案が映っている。
オフィスで机に向かい、ノートパソコンを操作する北野。
3:2018/11/21(水) 17:19:14.289 ID:vwL6OJlYD.net
深夜。街の中を歩く北野。
北野(よし……、今日の仕事はこれで一段落ついた!仕事を終えた後は、久々にあれを楽しむか)
彼が向かったのは、とあるラーメン屋のようだ。カウンター席に座り、ラーメン職人に食券を渡す北野。
ラーメン職人「麺の硬さは?」
北野「普通で」
ラーメン職人「分かりました」
店に入り、自動券売機で食券を買う喪黒福造。喪黒は、北野の隣の席に座る。
喪黒「あなた、こんな遅くまでお仕事をしていたのですか?」
北野「そうです。今日の仕事を終えたので、そろそろ食事でもしようかと思って……」
喪黒「1日を通して働き続けると、お腹がすきますからねぇ」
北野「ええ」
北野(よし……、今日の仕事はこれで一段落ついた!仕事を終えた後は、久々にあれを楽しむか)
彼が向かったのは、とあるラーメン屋のようだ。カウンター席に座り、ラーメン職人に食券を渡す北野。
ラーメン職人「麺の硬さは?」
北野「普通で」
ラーメン職人「分かりました」
店に入り、自動券売機で食券を買う喪黒福造。喪黒は、北野の隣の席に座る。
喪黒「あなた、こんな遅くまでお仕事をしていたのですか?」
北野「そうです。今日の仕事を終えたので、そろそろ食事でもしようかと思って……」
喪黒「1日を通して働き続けると、お腹がすきますからねぇ」
北野「ええ」
4:2018/11/21(水) 17:21:18.495 ID:vwL6OJlYD.net
ラーメンをすする喪黒と北野。北野はラーメンの汁も飲み干し、完食する。
喪黒・北野「ごちそうさまでしたーー!!」
ラーメン職人たち「ありがとうございまーーす!!」
ラーメン屋を出て、夜の街を歩く喪黒と北野。
喪黒「おいしかったですなぁ」
北野「やはり、夜食にラーメンを食べるのは最高ですよ」
喪黒「あなた、ラーメンがお好きなのですか?」
北野「ええ。ラーメンは私の好物であり、ある意味、趣味と言っても過言ではありません」
喪黒「ラーメンが趣味……。おそらく、あなたはラーメン店の食べ歩きを重ねてきたのでしょう」
北野「はい。ラーメンファンの端くれとして、店の食べ歩きはいろいろしてきましたね」
喪黒「どのラーメンが一番おいしかったのですか?」
喪黒・北野「ごちそうさまでしたーー!!」
ラーメン職人たち「ありがとうございまーーす!!」
ラーメン屋を出て、夜の街を歩く喪黒と北野。
喪黒「おいしかったですなぁ」
北野「やはり、夜食にラーメンを食べるのは最高ですよ」
喪黒「あなた、ラーメンがお好きなのですか?」
北野「ええ。ラーメンは私の好物であり、ある意味、趣味と言っても過言ではありません」
喪黒「ラーメンが趣味……。おそらく、あなたはラーメン店の食べ歩きを重ねてきたのでしょう」
北野「はい。ラーメンファンの端くれとして、店の食べ歩きはいろいろしてきましたね」
喪黒「どのラーメンが一番おいしかったのですか?」
6:2018/11/21(水) 17:25:14.475 ID:vwL6OJlYD.net
喪黒「いいえ、私は心を扱うセールスマンです。ボランティアでやっているから、お金は一銭もいただきません」
北野「そうなんですか……。変わったお仕事ですね……」
喪黒「いい店を知っていますから、そこでゆっくり話でもしましょうか」
BAR「魔の巣」。喪黒と北野が席に腰掛けている。
喪黒「北野さんは、昔からラーメン店の食べ歩きとかをしてきたのですか?」
北野「はい。私は大学時代から今に至るまで、時間を見つけてはラーメン店の食べ歩きをしてきました」
「もちろん、日本列島の各地を巡って……」
喪黒「ほう……、あなたは筋金入りのラーメンマニアというわけですなぁ」
北野「まあ、その……。一般人に比べると、私はラーメンに詳しいんでしょうけど……」
「ラーメン評論の関係者に比べると、私のラーメンの知識や食べた量なんてアマチュアもいいとこ……」
喪黒「ラーメン関係者の人たちは、ラーメンが仕事や生活そのものになっているわけですから……」
北野「そうなんですか……。変わったお仕事ですね……」
喪黒「いい店を知っていますから、そこでゆっくり話でもしましょうか」
BAR「魔の巣」。喪黒と北野が席に腰掛けている。
喪黒「北野さんは、昔からラーメン店の食べ歩きとかをしてきたのですか?」
北野「はい。私は大学時代から今に至るまで、時間を見つけてはラーメン店の食べ歩きをしてきました」
「もちろん、日本列島の各地を巡って……」
喪黒「ほう……、あなたは筋金入りのラーメンマニアというわけですなぁ」
北野「まあ、その……。一般人に比べると、私はラーメンに詳しいんでしょうけど……」
「ラーメン評論の関係者に比べると、私のラーメンの知識や食べた量なんてアマチュアもいいとこ……」
喪黒「ラーメン関係者の人たちは、ラーメンが仕事や生活そのものになっているわけですから……」
7:2018/11/21(水) 17:27:15.110 ID:vwL6OJlYD.net
北野「あの人たちはプロですよ。ある意味、尊敬に値します」
喪黒「でも、ラーメン関係者の人たちは早死にをする人が多いでしょう?」
「いくらラーメンがおいしいからと言っても、毎日食べると身体に影響が出ますからねぇ」
北野「問題はそれなんですよ……。だから、私も今ではラーメンを食べる頻度が減りました」
喪黒「それでも、ラーメンの虜になる人は後を絶ちませんねぇ。なぜなら、ラーメンは今や国民食の一つですから……」
北野「それだけじゃありません。さっきも言ったように……」
「ラーメンファンの人たちは、至高の味のラーメンというものを求め続けているのです」
喪黒「それなんですが……。至高の味のラーメンはすでに存在していますよ。当然、いい店も知っています」
北野「どこにあるんですか、それ!?」
喪黒「それは秘密です。今日はもう夜中ですから、時間ができたらまたお会いしましょう」
「その時、あなたに教えますよ。至高の味のラーメンが何かを……」
北野「その話、本当ですよね?冗談はよしてくださいよ!」
喪黒「ホーッホッホッホ……。本当に決まってますよ」
喪黒「でも、ラーメン関係者の人たちは早死にをする人が多いでしょう?」
「いくらラーメンがおいしいからと言っても、毎日食べると身体に影響が出ますからねぇ」
北野「問題はそれなんですよ……。だから、私も今ではラーメンを食べる頻度が減りました」
喪黒「それでも、ラーメンの虜になる人は後を絶ちませんねぇ。なぜなら、ラーメンは今や国民食の一つですから……」
北野「それだけじゃありません。さっきも言ったように……」
「ラーメンファンの人たちは、至高の味のラーメンというものを求め続けているのです」
喪黒「それなんですが……。至高の味のラーメンはすでに存在していますよ。当然、いい店も知っています」
北野「どこにあるんですか、それ!?」
喪黒「それは秘密です。今日はもう夜中ですから、時間ができたらまたお会いしましょう」
「その時、あなたに教えますよ。至高の味のラーメンが何かを……」
北野「その話、本当ですよね?冗談はよしてくださいよ!」
喪黒「ホーッホッホッホ……。本当に決まってますよ」
8:2018/11/21(水) 17:29:14.291 ID:vwL6OJlYD.net
数日後、夜。とある駅の改札口近く。腕時計を見ながら、喪黒を待つ北野。北野の前に、喪黒が姿を見せる。
喪黒「やぁ、北野さん」
喪黒と北野は、いつの間にか電車に乗っている。
喪黒「次の駅を降りた近くに、いい店があるんですよ」
北野「その店のラーメンこそが、至高の味のラーメンというわけですよね?」
喪黒「そうです」
電車を降り、駅の周囲を歩く喪黒と北野。
喪黒「着きましたよ」
北野「ここですか……」
ラーメン店の前にいる喪黒と北野。店の暖簾には、「らーめん有頂天」と書かれている。
喪黒「入りましょう、北野さん」
喪黒「やぁ、北野さん」
喪黒と北野は、いつの間にか電車に乗っている。
喪黒「次の駅を降りた近くに、いい店があるんですよ」
北野「その店のラーメンこそが、至高の味のラーメンというわけですよね?」
喪黒「そうです」
電車を降り、駅の周囲を歩く喪黒と北野。
喪黒「着きましたよ」
北野「ここですか……」
ラーメン店の前にいる喪黒と北野。店の暖簾には、「らーめん有頂天」と書かれている。
喪黒「入りましょう、北野さん」
9:2018/11/21(水) 17:31:13.867 ID:vwL6OJlYD.net
らーめん有頂天。店に入り、自動券売機で食券を買う喪黒と北野。2人はカウンターの席に座る。
白石「やぁ、喪黒さん」
テロップ「白石巌(58) 『らーめん有頂天』創業者」
食券を白石に渡す喪黒と北野。
喪黒「オヤジさん、お久しぶりです」
北野「喪黒さん、この人と知り合いなんですか」
喪黒「ええ。白石さんは、らーめん有頂天の創業者なんです」
北野「創業者!?至高の味のラーメンを作っていたのは、この人だったんですか……」
喪黒「そうです。彼は、料理の腕は確かですよ」
北野「じゃあ、楽しみですね……。ここのラーメンの味がどんなのか……」
喪黒「この店のラーメンの味は、一級品ですよ。しばらく待ちましょう」
白石「やぁ、喪黒さん」
テロップ「白石巌(58) 『らーめん有頂天』創業者」
食券を白石に渡す喪黒と北野。
喪黒「オヤジさん、お久しぶりです」
北野「喪黒さん、この人と知り合いなんですか」
喪黒「ええ。白石さんは、らーめん有頂天の創業者なんです」
北野「創業者!?至高の味のラーメンを作っていたのは、この人だったんですか……」
喪黒「そうです。彼は、料理の腕は確かですよ」
北野「じゃあ、楽しみですね……。ここのラーメンの味がどんなのか……」
喪黒「この店のラーメンの味は、一級品ですよ。しばらく待ちましょう」
10:2018/11/21(水) 17:33:19.039 ID:vwL6OJlYD.net
喪黒と北野の前に、ラーメンが置かれる。
白石「へい、お待ち!!」
割り箸を割り、ラーメンを食べ始める北野。
北野「おいしい!」
喪黒「この店のラーメンは、無添加の麺を使っているんですよ」
北野「えっ、そうなんですか?」
白石「ああ。もちろん、化学調味料も全く使用していませんよ」
北野「化学調味料も使用していないんですか……。健康志向なんですね……」
陶製のレンゲで、ラーメンの汁を口にする北野。
北野「魚介類の出汁をベースにしたこの味……。おおっ!!」
「まるで……。口の中に海がいっぱい広がって、魚が泳いでいるような感じ……」
喪黒「化学調味料に、このおいしさは出せませんよ。『有頂天』のラーメンは、他の店とは一味違うんです」
白石「へい、お待ち!!」
割り箸を割り、ラーメンを食べ始める北野。
北野「おいしい!」
喪黒「この店のラーメンは、無添加の麺を使っているんですよ」
北野「えっ、そうなんですか?」
白石「ああ。もちろん、化学調味料も全く使用していませんよ」
北野「化学調味料も使用していないんですか……。健康志向なんですね……」
陶製のレンゲで、ラーメンの汁を口にする北野。
北野「魚介類の出汁をベースにしたこの味……。おおっ!!」
「まるで……。口の中に海がいっぱい広がって、魚が泳いでいるような感じ……」
喪黒「化学調味料に、このおいしさは出せませんよ。『有頂天』のラーメンは、他の店とは一味違うんです」
11:2018/11/21(水) 17:35:38.455 ID:vwL6OJlYD.net
さらに、箸を使ってラーメンの具を食べる北野。
北野「卵、ノリ、野菜、チャーシュー……。具の味もいい!産地を丁寧に選びぬいているようだ!」
「特に、ラーメンの中に入っているキノコがまた何ともいえない!」
夢中になってラーメンを食べ続ける北野。喪黒と北野は、ラーメンの汁も飲み干す。
喪黒・北野「ごちそうさまでしたーー!!」
白石「ありがとうございまーーす!!」
らーめん有頂天を出て、夜の街を歩く喪黒と北野。
北野「喪黒さん、さっきの店のラーメンは本当に最高でしたよ!!この世に、こんなにおいしいものがあったのか……と」
喪黒「ほら!『有頂天』の店のラーメンは、至高の味のラーメンなのですから……」
北野「はい……!あの店のラーメンこそは、まさに至高の味のラーメンと言ってもいいでしょう!!」
「言葉では言い尽くせないほどのおいしさ……!あれを食べている時は、心のからの快感を覚えましたし……」
「それに、食べ終わった後は……。身体の中から力がみなぎってくるような感じさえするんです!!」
喪黒「ほう……。北野さんは、『有頂天』のラーメンにすっかりハマり込んでしまったようですなぁ」
北野「卵、ノリ、野菜、チャーシュー……。具の味もいい!産地を丁寧に選びぬいているようだ!」
「特に、ラーメンの中に入っているキノコがまた何ともいえない!」
夢中になってラーメンを食べ続ける北野。喪黒と北野は、ラーメンの汁も飲み干す。
喪黒・北野「ごちそうさまでしたーー!!」
白石「ありがとうございまーーす!!」
らーめん有頂天を出て、夜の街を歩く喪黒と北野。
北野「喪黒さん、さっきの店のラーメンは本当に最高でしたよ!!この世に、こんなにおいしいものがあったのか……と」
喪黒「ほら!『有頂天』の店のラーメンは、至高の味のラーメンなのですから……」
北野「はい……!あの店のラーメンこそは、まさに至高の味のラーメンと言ってもいいでしょう!!」
「言葉では言い尽くせないほどのおいしさ……!あれを食べている時は、心のからの快感を覚えましたし……」
「それに、食べ終わった後は……。身体の中から力がみなぎってくるような感じさえするんです!!」
喪黒「ほう……。北野さんは、『有頂天』のラーメンにすっかりハマり込んでしまったようですなぁ」
12:2018/11/21(水) 17:37:23.668 ID:vwL6OJlYD.net
北野「ええ……!もう、あの店の味がすっかり癖になってしまいそうで……」
喪黒「そうですか。ならば、北野さん……。あなたには、私と約束していただきたいことがあります」
北野「約束!?」
喪黒「はい。らーめん有頂天に行くのは、今回の一度きりにしておいてください。あの店には頻繁に行くべきではありません」
北野「どうしてですか!?あんなにおいしいものの存在を知ってしまうと、また店に行きたくなりますよ!!」
「特に、ラーメンファンの私としては……」
喪黒「だからなのですよ。あの店のラーメンは、至高の味のラーメンなのですから……」
北野「なるほど。どんなに極上のものであっても、頻繁に味わうと慣れますからね……」
「めったに味わえないからこそ、ありがたみが増すってことでしょう」
喪黒「まあ、私の言いたいことが何かはいずれ分かりますよ。とにかく、約束は守ってください」
北野「わ、分かりました……」
喪黒「そうですか。ならば、北野さん……。あなたには、私と約束していただきたいことがあります」
北野「約束!?」
喪黒「はい。らーめん有頂天に行くのは、今回の一度きりにしておいてください。あの店には頻繁に行くべきではありません」
北野「どうしてですか!?あんなにおいしいものの存在を知ってしまうと、また店に行きたくなりますよ!!」
「特に、ラーメンファンの私としては……」
喪黒「だからなのですよ。あの店のラーメンは、至高の味のラーメンなのですから……」
北野「なるほど。どんなに極上のものであっても、頻繁に味わうと慣れますからね……」
「めったに味わえないからこそ、ありがたみが増すってことでしょう」
喪黒「まあ、私の言いたいことが何かはいずれ分かりますよ。とにかく、約束は守ってください」
北野「わ、分かりました……」
13:2018/11/21(水) 17:39:18.727 ID:vwL6OJlYD.net
宝船社。『月刊宝船』編集部。編集長と会話をする北野。
北野「編集長、今度の『月刊宝船』はラーメン特集をやりましょうか?」
編集長「ラーメン特集か……。うちの雑誌はマニアックな内容の話題が多いし、読者もサブカル層が目立つ」
「だがな……。あんまりマニアな内容にすると読者に受けないんだよ。もう少し、普遍的で社会派のテーマの方がいい」
北野「で、ですが……、ラーメンを好きな人は多いですし……。私もその一人……」
編集長「君の好みで雑誌を左右されては困る」
北野と編集長を見つめる他の編集者たち。
編集者A「北野の奴、前に比べると何か変わったな」
編集者B「ああ。昔の北野は、もう少し聞き分けがよかった気がする」
夜。あるラーメン店。カウンターでラーメンをすする北野。
北野(確かに俺はラーメンが好きだ。しかし、『有頂天』の店のラーメンを知ってからは……)
(別のラーメン屋でのラーメンが、物足りなく感じるようになった。俺はもう一度、『有頂天』に行きたい……)
北野「編集長、今度の『月刊宝船』はラーメン特集をやりましょうか?」
編集長「ラーメン特集か……。うちの雑誌はマニアックな内容の話題が多いし、読者もサブカル層が目立つ」
「だがな……。あんまりマニアな内容にすると読者に受けないんだよ。もう少し、普遍的で社会派のテーマの方がいい」
北野「で、ですが……、ラーメンを好きな人は多いですし……。私もその一人……」
編集長「君の好みで雑誌を左右されては困る」
北野と編集長を見つめる他の編集者たち。
編集者A「北野の奴、前に比べると何か変わったな」
編集者B「ああ。昔の北野は、もう少し聞き分けがよかった気がする」
夜。あるラーメン店。カウンターでラーメンをすする北野。
北野(確かに俺はラーメンが好きだ。しかし、『有頂天』の店のラーメンを知ってからは……)
(別のラーメン屋でのラーメンが、物足りなく感じるようになった。俺はもう一度、『有頂天』に行きたい……)
14:2018/11/21(水) 17:41:18.463 ID:vwL6OJlYD.net
翌日、宝船社。机に向かいながら、貧乏ゆすりをする北野。落ち着きのない北野を、奇異な目で見つめる編集者たち。
北野(らーめん有頂天に行きたい……。行きたい……。行きたい……)
夜。らーめん有頂天の店の前に立つ北野。彼の頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。
(喪黒「らーめん有頂天に行くのは、今回の一度きりにしておいてください。あの店には頻繁に行くべきではありません」)
北野(構うもんか……!)
店の中に入る北野。
宝船社。『月刊宝船』編集部。編集長が北野を説教している。
編集長「北野君。最近の君は、勤務態度がなっていないぞ」
北野「すみません……」
編集長「遅刻をするわ……。原稿のチェックでミスを行うわ……。連載陣の一人のライターと喧嘩をするわ……」
「前の君はこんなんじゃなかった。しっかりしてくれよ!」
北野「は、はい……」
北野(らーめん有頂天に行きたい……。行きたい……。行きたい……)
夜。らーめん有頂天の店の前に立つ北野。彼の頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。
(喪黒「らーめん有頂天に行くのは、今回の一度きりにしておいてください。あの店には頻繁に行くべきではありません」)
北野(構うもんか……!)
店の中に入る北野。
宝船社。『月刊宝船』編集部。編集長が北野を説教している。
編集長「北野君。最近の君は、勤務態度がなっていないぞ」
北野「すみません……」
編集長「遅刻をするわ……。原稿のチェックでミスを行うわ……。連載陣の一人のライターと喧嘩をするわ……」
「前の君はこんなんじゃなかった。しっかりしてくれよ!」
北野「は、はい……」
15:2018/11/21(水) 17:43:12.497 ID:vwL6OJlYD.net
夜。線路を走る電車。電車の中には、吊革を持った北野がいる。
北野(チクショーッ!!編集長の奴、俺をクソミソにけなしやがって!ストレス解消のために、あそこへ行くしかないな)
らーめん有頂天。店のカウンターでラーメンをすする北野。彼がレンゲで、ラーメンの汁を飲むと……。
北野(おおっ……!!周りにあるものの輪郭がくっきりとして、世界が輝いて見える……!!)
毎日のように、らーめん有頂天に通い続ける北野。
テロップ「次の日――」「その次の日――」「さらに次の日――」「そして――」
宝船社。『月刊宝船』編集部。編集長と罵りあう北野。北野のげんこつが、編集長の顔面に命中する。
編集長「北野、お前はクビだ!!」
編集長にクビを宣告され、我に帰る北野。北野を見つめる編集者たち。
宝船社を飛び出し、駅へ向かう北野。
北野(くそっ……、どいつもこいつも……)
北野(チクショーッ!!編集長の奴、俺をクソミソにけなしやがって!ストレス解消のために、あそこへ行くしかないな)
らーめん有頂天。店のカウンターでラーメンをすする北野。彼がレンゲで、ラーメンの汁を飲むと……。
北野(おおっ……!!周りにあるものの輪郭がくっきりとして、世界が輝いて見える……!!)
毎日のように、らーめん有頂天に通い続ける北野。
テロップ「次の日――」「その次の日――」「さらに次の日――」「そして――」
宝船社。『月刊宝船』編集部。編集長と罵りあう北野。北野のげんこつが、編集長の顔面に命中する。
編集長「北野、お前はクビだ!!」
編集長にクビを宣告され、我に帰る北野。北野を見つめる編集者たち。
宝船社を飛び出し、駅へ向かう北野。
北野(くそっ……、どいつもこいつも……)
16:2018/11/21(水) 17:45:16.241 ID:vwL6OJlYD.net
切符を買い、駅の地下を歩く北野。彼の前に、喪黒が姿を現す。
喪黒「おや、北野さん?あなたどこへ行くのですか?」
北野「決まってるでしょう、あの店に行くんですよ!今では、毎日のように通っていますから!」
喪黒「そうですか。北野伸幸さん……、あなた約束を破りましたね」
北野「……ああっ!!」
喪黒「私は言ったはずですよ。らーめん有頂天に行くのは、一度きりにしておけ……と」
「それにも関わらず、あなたはあの店に何度も通っているようですねぇ」
北野「だ、だって……!ここまでおいしいものを知ってしまったせいで、私はもう……」
喪黒「もはや手遅れです。約束を破ったのだから、あなたにはペナルティーを受けて貰います!!」
喪黒は北野に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
北野「ギャアアアアアアアアア!!!」
喪黒「おや、北野さん?あなたどこへ行くのですか?」
北野「決まってるでしょう、あの店に行くんですよ!今では、毎日のように通っていますから!」
喪黒「そうですか。北野伸幸さん……、あなた約束を破りましたね」
北野「……ああっ!!」
喪黒「私は言ったはずですよ。らーめん有頂天に行くのは、一度きりにしておけ……と」
「それにも関わらず、あなたはあの店に何度も通っているようですねぇ」
北野「だ、だって……!ここまでおいしいものを知ってしまったせいで、私はもう……」
喪黒「もはや手遅れです。約束を破ったのだから、あなたにはペナルティーを受けて貰います!!」
喪黒は北野に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
北野「ギャアアアアアアアアア!!!」
17:2018/11/21(水) 17:48:28.637 ID:vwL6OJlYD.net
らーめん有頂天の前に辿りつく北野。店の周りに集まる野次馬。店の扉には、張り紙が貼ってある。
北野「『都合により、当店は閉店することになりました』だと……!?一体、どういうことだ!?」
通行人「帰って、テレビを見れば分かりますよ。あの店の人、やらかしたそうですから……」
夜。マンション。部屋でテレビを見る北野。テレビのニュースが、白石の逮捕を報道している。
テレビ「逮捕されたのは、ラーメン店経営者の白石巌容疑者です」
「警視庁は白石容疑者の自宅から……。LSD、コカイン、マジックマッシュルームを押収しました」
「警察の調べによると白石容疑者は、『店のラーメンに入れるために、薬物を購入した』と供述し……」
「容疑を認めているということです……」
北野「そ、そんな……!!あのラーメンが薬物まみれだったなんて……!!」
とあるラーメン店の前にいる喪黒。
喪黒「日本のラーメンは、国内で独自の進化を成し遂げ……。今や国民食の一つとして扱われるようになりました」
「全国には豊富な種類のラーメンが存在していますし……。ラーメンは日本人に人気のある料理の一つでもあります」
「ただ、おいしいラーメンも毎日食べるのは身体によくないですから……。たまに味わうのがいいかもしれません」
「ましてや、薬漬けのラーメンを毎日食べるなんて怖いですよ。おいしいものには気をつけるべきですねぇ、北野さん……」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
北野「『都合により、当店は閉店することになりました』だと……!?一体、どういうことだ!?」
通行人「帰って、テレビを見れば分かりますよ。あの店の人、やらかしたそうですから……」
夜。マンション。部屋でテレビを見る北野。テレビのニュースが、白石の逮捕を報道している。
テレビ「逮捕されたのは、ラーメン店経営者の白石巌容疑者です」
「警視庁は白石容疑者の自宅から……。LSD、コカイン、マジックマッシュルームを押収しました」
「警察の調べによると白石容疑者は、『店のラーメンに入れるために、薬物を購入した』と供述し……」
「容疑を認めているということです……」
北野「そ、そんな……!!あのラーメンが薬物まみれだったなんて……!!」
とあるラーメン店の前にいる喪黒。
喪黒「日本のラーメンは、国内で独自の進化を成し遂げ……。今や国民食の一つとして扱われるようになりました」
「全国には豊富な種類のラーメンが存在していますし……。ラーメンは日本人に人気のある料理の一つでもあります」
「ただ、おいしいラーメンも毎日食べるのは身体によくないですから……。たまに味わうのがいいかもしれません」
「ましてや、薬漬けのラーメンを毎日食べるなんて怖いですよ。おいしいものには気をつけるべきですねぇ、北野さん……」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
18:2018/11/21(水) 17:59:12.099 ID:y6Vaachm0.net
乙
20:2018/11/21(水) 18:09:28.671 ID:xSxHNFAz0.net
うわぁ悪質な喪黒トラップ回だった
皮肉の効いた締めなのはさすが
皮肉の効いた締めなのはさすが
21:2018/11/21(水) 18:19:31.885 ID:t67jI9VW0.net
無添加言うてましたやん
22:2018/11/21(水) 18:22:59.087 ID:nBieySqMa.net
読み返したら麺が無添加でスープは化学「調味料」を使ってないとしか言ってないな
23:2018/11/21(水) 18:33:59.704 ID:/hZBRfVH0.net
すばらしい
喪黒福造「至高の味のラーメンはすでに存在していますよ」 雑誌編集者「どこにあるんですか、それ!?」
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1542788103
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1542788103
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