8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 20:53:06.75 ID:pc1ATXYlO
勇者「って言われてもなぁ…。君もモンスターなわけでしょ?」

スライム「そ、そうだけど、別に人なんて襲ったことないよ!」

勇者「ふーん。ま、経験値もGもあんまり無さそうだからどこかに行っていいよ」

スライム「ほ、本当!?」

勇者「本当も本当。ただ俺以外の人間の前にいるとやられるから気をつけろよ」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 20:58:51.82 ID:pc1ATXYlO
スライム「あ、ありがとうおじさん!」

勇者「――やっぱ狩るか」

スライム「ご、ごめんなさい! 昔から思ったこと口に出しちゃうもんで…」

勇者「フォローになってねぇよ」

スライム「とりあえず、ここでお別れですね」

勇者「おう、早く去れ去れ」

スライム「それじゃ…」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 21:03:52.56 ID:pc1ATXYlO
勇者「………」

テクテク

スライム「………」

テトテト

勇者「で、なんで付いてくるわけ?」

スライム「えっと、、ここはどこなの?」

勇者「どこって、お前自分がどの大陸にいるか分からんのか」

スライム「空から落ちてきた羽を投げて遊んでたら、いつの間にかここに…。帰りたいんだけど、場所が分からなくて」

勇者「――つまり俺に、お前の家まで送っていけと」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 21:08:07.14 ID:pc1ATXYlO
スライム「お願いしますっ!」

勇者「まぁ良いけどさ…。お前の来た大陸ってどこ?」

スライム「あっちから飛んで来たんだけど…」

勇者「あ~、あっちって言うとあの軍事国家のとこか」

スライム「軍事国家?」

勇者「おう。まぁ簡単に言えばモンスターを見たら全て排除する国だよ」

スライム「――え?」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 21:13:05.02 ID:pc1ATXYlO
勇者「あそこ王族がやけに魔族嫌ってるからなぁ」

スライム「………」

勇者「捕まったら最後、もう生き地獄だよ」

スライム「………」ガクブル

勇者「――とまぁ脅かしたところで、行くか」

スライム「え、そんな場所に行って問題ないの?」

勇者「全く。王が変わったてからは全て排除なんてことをしなくなったらしいからな」

スライム「そ、そうなんだ…良かった」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 21:17:30.27 ID:pc1ATXYlO

勇者「で、だ。お前何か魔法使える?」

スライム「魔法? なにそれ」

勇者「え…」

スライム「だってボク、スライムだよ。MP1しかないし」

勇者「……」

スライム「自慢じゃないけど攻撃力とか防御力とかないよ。ひのきの棒すら驚異だもん」

勇者「えっと…つまり…」

スライム「戦力的にはまったく役にたてないかなぁ」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 21:21:51.69 ID:pc1ATXYlO
勇者「じゃ、自分だけで帰ってくれ」

スライム「なんで!?」

勇者「俺だっていっぱいいっぱいなんだよ。パーティー雇う金無いし、他人に気をかけてられるほど余裕無いし」

スライム「そこをなんとか…」

勇者「乗りかかった船だからなんとかするけど、戦闘の邪魔にだけはならないでくれな」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 21:25:50.79 ID:pc1ATXYlO
勇者「……」

ガィン!

スライム「頑張れ~!」

勇者「確かに戦闘の邪魔にはなるなって言ったけど…、木陰から応援されてるとなんかムカつくな」

スライム「じゃあどうすれば良いの」

勇者「囮になるとか……あぶねっ!」

ヒョイ

スライム「そんな危険なことはしたくないです」

勇者「お前……なんか役に立とうとかしないのか」

スライム「したいけど、今この状況において手伝えることと言えば、応援くらいなの」

勇者「じゃあ黙って祈っててくれ!」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 22:29:00.63 ID:pc1ATXYlO
勇者「はぁ…なんだか大変な旅になりそうだなぁ」

スライム「次からは薬草とかでサポートするよ」

勇者「薬草持ってるのか?」

スライム「……持ってない」

勇者「――結局俺のGで買わないとダメなのか。てかお前もモンスターなら、仲介するとかできんのか」

スライム「スライム族だったら会話出来るけど、他は言葉が分からないよ」

勇者「そっか…」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 22:32:44.48 ID:pc1ATXYlO
勇者「じゃああの町に入るか」

スライム「入るって、人間の町にボクなんか入ったら大変なことになるよ!?」

勇者「あー、あそこは大丈夫だよ。なんだか知らんが、モンスターが人間をマスターって呼んで仲良く暮らしてるし」

スライム「本当…?」

勇者「おう、なんだっけ、テ…テ…、とりあえずそんな感じの少年がそんな風習を伝えたらしいぞ」

スライム「へぇ~、そんな少年なんているんだね」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 22:37:02.13 ID:pc1ATXYlO
スライム「本当だ…。わっ、しにがみきぞくなんて初めて見た」

勇者「……だれだ爆弾岩3匹も引き連れてきた奴は」

スライム「とりあえずここに来たけど、どうするの?」

勇者「ん、装備の新調にな。あと情報収集」

スライム「勇者ってのも大変なんだね」

勇者「余計なお荷物も増えたしな」

スライム「…なんとも言えない」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 22:42:23.82 ID:pc1ATXYlO
カランカラーン

店主「へいらっしゃい!」

勇者「ブーメラン一つ」

店主「あいよっ! さっそく装備していくかい?」

勇者「おう。てか装備しないなら買わんよ」

店主「それもそうだな。他に買うものはあるかい?」

勇者「いや他には……あ、いや、防具も欲しいな」

店主「まいどーっ」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 22:45:41.79 ID:pc1ATXYlO
スライム「あ、アリさんだ。行列作ってどこいくのかな~」

カランカラーン

店主「ありがとーございやしたー」

勇者「ほら行くぞ」

スライム「遅かったね。あ、ブーメラン買ったんだ」

勇者「戦闘楽になるからな。あ、そだ。これやるよ」ポイ

スライム「へ? これなに?」

勇者「スライム用防具だよ。一番安いのだけどな」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 23:01:12.12 ID:pc1ATXYlO
スライム「へへへ~」

勇者「なんだよそんな気持ち悪い笑顔作りやがって」

スライム「だってまさか防具渡されるとは思わなかったんだもん」

勇者「まぁ、回復役になるなら防御力も必要だからな」

スライム「薬草もいっぱい買ったし、回復は任せてね!」

勇者「期待しないでおく」

スライム「むっ、なら次の戦闘でいいとこ見せるから!」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 23:04:33.02 ID:pc1ATXYlO
勇者「噂をすればなんとやら、さっそくモンスターだ」

スライム「頑張ってね」

勇者「おう、任せ――」

ベチャッ

勇者「げっ!? コイツ毒吐くのかよ! 毒消しよこしてくれ!」

スライム「毒…消し……だと?」

勇者「……まさか渡したお金全て薬草に当てたのか」

スライム「…そうともいうかも」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 23:10:12.03 ID:pc1ATXYlO
勇者「なんとか薬草で命を繋いだものの――」

スライム「…ごめんなさい」

勇者「買ったものは仕方ないからな、次からは気をつけてくれ」

スライム「えっと、怒らないんですか?」

勇者「別にそこまでは。次やられたら怒るけど」

スライム「以後気をつけます」

勇者「さて、じゃあまずは毒を消しに前の町まで戻るか」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 23:20:46.79 ID:pc1ATXYlO
勇者「よしっ、毒も無くなったことだし次の町行くか」

スライム「次の町もモンスターが入ってもいいの?」

勇者「いや、次の町はモンスターだってバレたら例外なく排除される」

スライム「じゃあ行くの止めようよ」

勇者「やだよ。次の町行かないと新しい装備買えないだろ」

スライム「えー…、次の町行きたくない」

勇者「アホか。何のためにお前にフードとマント付きの防具買ったと思ってんだ」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 23:29:15.23 ID:pc1ATXYlO
スライム「え」

勇者「上手くかぶってればモンスターだってバレないだろ」

スライム「そ、そうかなぁ…?」

勇者「まぁ5パーセントくらいだろうな」

スライム「なにが?」

勇者「兵士達にモンスターだってバレない確率」

スライム「全然ダメじゃん!」

勇者「冗談だ冗談。俺の用事が終わるまで町の外にいれば安心だろ」

スライム「――そっか」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/13(水) 23:57:56.53 ID:pc1ATXYlO
勇者「なんて意気揚々と飛び出したのは良いけど」

スライム「あんな所に関所があるなんて聞いてないよ…」

勇者「一人一人荷物チェックか。厳重だなぁ」

スライム「どうする? 回り道するの?」

勇者「頑張ってくれ」

スライム「どういうこと?」

勇者「いや関所は俺一人なら通れるから、回り道はお前だけだよ」

スライム「そ、そんなぁ…っ」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 00:02:04.56 ID:pc1ATXYlO
勇者「おつかれー」

スライム「ハァ……山を丸ごと越えないといけないなんて…ハァ…聞いてないっ…」

勇者「そういう場所に作らないと関所の意味ないだろ」

スライム「す、少し休ませて…」

勇者「いいけど、此処は兵士達の休憩場に近いぞ?」

スライム「場所移動しよう」

勇者「あいよ」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 00:07:27.26 ID:ilvIllIvO
スライム「うわーっ、風が気持ち良い」

勇者「景色もなかなか良いなぁ」

スライム「でもよくここにこんな休憩場があるって知ってるね」

勇者「看板見たからな」

スライム「あ、なんだ」

勇者「なんだとはなんだ。冒険における常識だろ」

スライム「へぇ~。他にもあるの」

勇者「そうだな、最初は必ずスライム狩りから始める」

スライム「……」

勇者「冗談だ」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 00:12:17.88 ID:ilvIllIvO
勇者「さて、行くか」

スライム「もうちょっと見てたかったな~」

勇者「夜になるとゾンビ系モンスターでるらしいけど残るか?」

スライム「次の町ってここからどれくらい?」

勇者「(モンスターなのにお化けダメか…)そうだな、あと1日かかるかどうかってとこ」

スライム「意外と遠いんだね」

勇者「まぁな。それまではレベル上げとかしとくさ」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 00:18:01.97 ID:ilvIllIvO
勇者「そういやお前にもレベルってあるのか?」

スライム「さぁ?」

勇者「まぁあると仮定して、魔法は何覚えるんだろうな」

スライム「イオナズ(ry」

勇者「かしこさ足りんだろ。あとMP」

スライム「MPはレベル上がったらアップするでしょ! むぅ、それじゃあ勇者は私が何を覚えると思うの?」

勇者「そりゃあれだ、『忘れる』」

スライム「魔法ですらない……」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 00:24:00.50 ID:ilvIllIvO
勇者「よっ、と」

ズバッ!

勇者「ふぅ。ここら辺の敵にも慣れてきたな」

スライム「でも薬草尽きてきたよ」

勇者「それはお前がダメージを受けまくってるからだ」

スライム「ごめんなさい……」

勇者「別にいいけど――お、レベルアップした」

スライム「何か覚えたの?」

勇者「え? ……うん、まぁ」

スライム「? なにその煮え切らない返事」

勇者「みなごろし覚えた」

スライム「………」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 00:30:59.84 ID:ilvIllIvO
スライム「使わないでね」

勇者「使わん。もしかしたら自分に来るかもしれん両刃の剣は嫌すぎる」

スライム「良かった…。でもあれだよね」

勇者「なんだよ」

スライム「勇者の覚える技じゃないよね」

勇者「………」

チャッ!

スライム「あ~、ごめんなさい嘘ですすいません、目に危険な光があるよ、落ち着いて落ち着いて」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 00:40:44.74 ID:ilvIllIvO

勇者「バカやってないで行くぞ」

スライム「は~い。でも私も何か覚えたいなぁ」

勇者「そんなに魔法使いたいのか?」

スライム「うん。あ~ぁ、なんでスライムに生まれてきたんだろ」

勇者「でもスライムってたしかレベル最大までいくと最強の呪文覚えるんじゃなかったっけ」

スライム「そうなの? じゃあ頑張ってレベル上げしようね!」

勇者「いやだからお前はかしこさが……って、まいいか」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 00:45:44.93 ID:ilvIllIvO
勇者「………」

スライム「………」

勇者「……なぜ正座させられてるか分かるか?」

スライム「守りの種を食べたからです」

勇者「俺が大切に取っておいたのは分かるよな?」

スライム「うん」

勇者「勘違いしないでほしいんだが、食べたことには怒っていない」

スライム「? じゃぁ何に対して?」

勇者「なんで守りの種食ったのに守備力1も上がってないんだよ! 体プニプニのままじゃねぇか!」

スライム「そこ!?」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 00:54:40.70 ID:ilvIllIvO
勇者「ったく、次からは食ったらきちんと能力上げろ!」

スライム「う、うん…。まさかこんな風に怒られるとは思わなかったよ」

勇者「俺もこんな風に怒るとは思わなかった」

スライム「でもスライムは外的要素で守備力が上がらないって分かったんだからいいよね」

勇者「その知識の使いどころがねぇよ」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 08:04:07.93 ID:ilvIllIvO
勇者「にしてもブーメランは便利だな」

スライム「グループまとめて攻撃出来るもんね」

勇者「あ、メタルスライム」

スライム「っ!」

勇者「まじんぎりはまだ覚えてない……地道に攻撃するしかないのか」

スライム「(どうか気付きませんように…)」

勇者「そうだ、あれやればいいのか」

スライム「まさか…」

勇者「みなごろ(ry」

スライム「皆逃げてー!」

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 08:23:12.15 ID:ilvIllIvO
勇者「まったく…お前が急に叫ぶからメタルスライム皆逃げたじゃないか」

スライム「ごめんなさい…。スライム族が倒される姿は見たくないもんで」

勇者「まぁいいさ。攻撃も近くにいたじんめんじゅに当たったし」

スライム「凄いびっくりしてたよね…」

勇者「ただの通りすがりって感じだったからな」

スライム「…やっぱり勇者の技じゃない…」ボソッ

勇者「さて、次は誰に当たるかな~っと」

スライム「止めて~、ブーメランでも私の体だと危ないの~」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 08:39:39.65 ID:ilvIllIvO
勇者「お、次の町が見えてきたな」

スライム「け、けっこう大きいんだね」

勇者「一応は最大の名が付くからな。じゃ買い物行ってくる」

スライム「早く戻ってきてね」

勇者「カジノ行って、一泊して、情報集めて、ツボをチェックして、武器買って、もう一泊して、それから戻ってくるよ」

スライム「ボクが自由に動けないからって…!」

勇者「そんじゃ頑張れ」

しばらく書けん

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 15:36:34.47 ID:ilvIllIvO

スライム「まだかな~…」ボーッ

スライム「まさかこのまま別れるなんてことないよね」

スライム「………」

スライム「うん、あの勇者さんに限ってそれはないよ」

スライム「あ、あの雲アイスクリームみたい」

スライム「――暇だよ~、早く帰ってきて勇者さーん!」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 15:40:57.62 ID:ilvIllIvO
同時刻

勇者「おおっ、フルハウス! よっしゃ、このままダブルアップチャンスで」

カジノの人「出た数字は9です。次はこの数字より大きいと思いますか? 小さいと思いますか?」

勇者「うーん。小さいほうだ!」

カジノの人「残念、10です」

勇者「ですよねー」

勇者「あ~あ、コイン無くなっちまったし、情報でも集めっかなぁ」

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 15:44:04.00 ID:ilvIllIvO
2日後

勇者「おぉ……」

スライム「遅いよ勇者さ~ん…。ボクの体こんなに縮んじゃったじゃないかぁ」

勇者「悪い。てかスライムって小さくなるんだな…」

スライム「なりますよ! というか女の子にそんなこと聞かないでよ…えっち」

勇者「あぁ……、俺今えっちな事聞いたんだ…」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 15:47:29.59 ID:ilvIllIvO
勇者「で、どうやったら元のサイズに戻るんだ?」

スライム「とりあえず水を掛ければ大丈夫かな」

勇者「それだけでいいのか? 醤油あったかな」

スライム「調味料は入れないで…」

勇者「冗談だ。そら、かけるぞ」

ダバダバ

スライム「あーっ、生き返るぅ。――あれ? なんだか甘い香りが」

勇者「ん? おお、サイダーかけてた」

スライム「!」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 15:51:28.98 ID:ilvIllIvO
スライム「体中がシュワシュワしてる…」

勇者「やっちまったZE! ハハハ」

スライム「ハハハじゃないよ! ボクの体がぁぁぁああ」

勇者「まぁ気にするな。誰にだって失敗はある」

スライム「それはボクが言うセリフだよ…。もう、次の目的地は泉にしてね」

勇者「あいよー。そうだ、これお土産」

スライム「え、あ、ありがとう!」

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 15:57:17.96 ID:ilvIllIvO
スライム「スライムピアスは分かる。分かるんだけど…」

勇者「なんだ、俺のお土産に不満か」

スライム「もう一つのお土産に毒針はびっくりするよ」

勇者「だってお前攻撃力ないから毒針くらいじゃないと釣り合いがとれんからな」

スライム「まぁ受け取っておくけど。とりあえずありがとうね」

勇者「おう。じゃとりあえず炭酸落としに泉行くか。面倒だけど」

スライム「誰のせいだと…っ」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 16:18:58.49 ID:ilvIllIvO
勇者「てなわけで泉発見。はよ入ってこい、臭いハンパないぞ」

スライム「ああ、これで蟻さんがボクの後ろをぞろぞろ付いてくる生活が終わるんだね…っ!」

勇者「2日目がピークだったな」

スライム「本当に危なかった…。じゃあこれから入ってくるけど、見ないでよ」

勇者「お前の裸なんざ興味ない。だったらがいこつ剣士の入浴見たほうがマシだ」

スライム「骨じゃない…」

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 16:24:59.41 ID:ilvIllIvO
勇者「見るなとか言ったくせに近くにいろとか、アホか」

スライム「いる~?」

パチャパチャ

勇者「いるよ。水分取りすぎて太ましくなるなよ」

スライム「ならないよっ! それよりこっち向いちゃダメだからね」

勇者「分かってるっつの。ガキかお前は」

スライム「~♪ やっぱり水浴びは楽しいなぁ」

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 18:04:08.95 ID:ilvIllIvO
スライム「ぅ~ん! さっぱりしたぁ」

勇者「おう、やっと上がったか。にしても面白い体だな」

スライム「そうでもないよ。雨の日とか、水の他にも色々吸い込むし、春にも大変だし」

勇者「春に? なんでまた」

スライム「花粉でボクの体が黄色くなるの…」

勇者「――あぁ」

134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 18:10:03.43 ID:ilvIllIvO
スライム「たぁっ!」

ブスッ

勇者「お、一撃で倒したか。急所を狙うとは、お前もえげつないな」

スライム「毒針って一撃必殺なんだね…」

勇者「おう」

スライム「……勇者さん、覚悟!」

勇者「じゃあここでお別れか。短い旅だったな…」

スライム「感動的なセリフ吐きながら、戦闘体制とらないでよ……」

勇者「癖だ」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 18:15:17.47 ID:ilvIllIvO
勇者「お、新しい技覚えた」

スライム「いいなぁ~。なに覚えたの?」

勇者「ライデイン。これで勇者っぽくなってきたな」

スライム「あ、ボクもレベル上がった」

勇者「そんなバカな…」

スライム「むぅ、ボクだってやるときはやるんだから!」

勇者「で、なにか覚えた?」

スライム「ううん…」

勇者「ステータスも素早さだけアップか。なんだ、ダーマにでも行ってくるか?」

スライム「その優しさが逆にツラい…」

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 18:19:17.28 ID:ilvIllIvO
勇者「この洞窟さえ攻略すれば、お前が来たっていう大陸に行けるぞ」

スライム「! 本当!?」

勇者「嘘ついてどうする」

スライム「じゃあ早速攻略しよう! それ~!」ピュー

勇者「そうしたいのは山々なんだが、この奥には――ってもういねぇ」

勇者「やれやれ…、手が焼けるやつだ」スタスタ

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 18:22:47.71 ID:ilvIllIvO
勇者「そこのスライム! 止まれ、止まらなければ撃つぞ!」

スライム「? 撃つってなにを――」クルッ

勇者「ラ・イ・デ・イ・ン」

スライム「ってもう撃ってるじゃない!」

勇者「すまん、口が滑った」

スライム「そういうのは口が滑ったって言わないってぇ! きゃぁー!」

勇者「お~、焦げとる焦げとる」

140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 18:50:05.86 ID:ilvIllIvO
勇者「ライデインに耐えるほどのHP、誉めてやるぞ」

スライム「それはどうも…」

勇者「出来れば俺も使いたくは無かった。人の話を最後まで聞かないお前が悪い」

スライム「話?」

勇者「おう。この洞窟の最後では、隣の大国の兵士がいるんだ」

スライム「!? じゃあ通れないの?」

勇者「お前はな」

スライム「え……またこの展開?」

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 18:53:20.80 ID:ilvIllIvO
勇者「いや今回は助けてやる。隠された道もないしな」

スライム「じゃあどうやって兵士の目を盗んで洞窟を抜けるの?」

勇者「決まってる」

スライム「?」

勇者「スライム、お前の色仕掛けだ」

スライム「へぇ、ボクの色仕掛けかぁ」

勇者「――あれ? 突っ込まんのか」

スライム「何を――って、そんなの無理だよ!」

勇者「(反応遅っ)」

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 19:19:08.82 ID:ilvIllIvO
スライム「モノは試しだ、なんて言われたから頑張るけど、絶対怪しまれる…」

スライム「でもやるしかない。ねぇお兄さん達、遊ぼーよ」

兵士A「お、おおっ…!」

兵士B「な、なんと…!」

スライム「(あれ、意外といい反応? もしかしたらボク才能が――)」

兵士AB「モンスターだ!」

スライム「ですよね~」

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 19:21:30.87 ID:TTqkgiqv0
ですよね~

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 19:49:37.37 ID:ilvIllIvO
勇者「HAHAHA」

スライム「そ、そんなカタコトの笑い方してないで助けてぇぇえ」

兵士A「バイキルト!」

兵士B「せいしんとういつ!」

スライム「何か唱えてきたぁ~」

勇者「おぉ、なぜか懐かしい感じがするコンボだな」

兵士B「ばくれつけ――」

勇者「ライデイン!」

スライム「なんでボクまで巻き込むのぉ!?」

勇者「なんとなく」

154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 20:08:03.73 ID:ilvIllIvO
勇者「おお、洞窟でたぞ」

スライム「…やっと、帰ってこれた」

勇者「俺も久々に来たなぁ。――にしても、あの兵士達経験値たっぷりくれたな」

スライム「モンスターじゃないのに経験値入るんだ…」

勇者「こうなったらあの兵士達が回復したらまた不意打ちして経験値稼ぐか」

スライム「勇者としてそれはどうかと思うよ」

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 20:12:58.03 ID:ilvIllIvO
勇者「とりあえずだ、これからどうするんだ?」

スライム「へ?」

勇者「お前が望んだ大陸には来たんだ、もう別行動しても問題ないだろ」

スライム「そっか…そういえばそうだよね」

勇者「俺が行く場所はお前の住んでた場所とは違うだろうし、お前が決めてくれ」

スライム「………」
勇者「……」

スライム「……る」

勇者「ん?」

スライム「勇者さんとまだ旅するっ!」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/14(木) 20:17:27.19 ID:ilvIllIvO
勇者「――そうか」

スライム「うんっ。またよろしくね勇者さん」

勇者「おう」

スライム「ところで、勇者さんはこれからどこに行くつもりだったの?」

勇者「スライム格闘場」

スライム「……へ?」

勇者「いや一攫千金を狙って行こうかな、と。でもお前が来るとなると、モンスターに挑戦することだって出来るな」

スライム「もしかして戦うのって…」

勇者「お前以外に誰がいる」

スライム「――やっぱりお家に帰っていい?」

勇者「ダメだ。行くぞ」

スライム「えぇ~!」

178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 00:30:52.48 ID:4ZMso0HUO
勇者「おぉ、いっぱいスライムいるな」

スライム「わぁ、キングさんやナイトさんがいる。カッコイいな~」

勇者「でもあれだ、チャンピオンってノーマルスライムだよな」

スライム「うん。ん? ということはボクも頑張れば勝てるってことだよね!」

勇者「他人にも出来たんだ、きっと出来るさ」

スライム「よし、やる気出てきたよ」

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 00:33:28.65 ID:4ZMso0HUO
勇者「というわけで選手登録してきました」

スライム「ランクは?」

勇者「最初ということでEクラスだ」

スライム「ならボクでもいけるかも。それじゃ控え室に行ってくるね!」

勇者「おう、気をつけてな~」

スライム「ボクの戦闘、ちゃんと見ててね」

勇者「――まぁ、この闘技場はEクラスが最強クラスなんだがな」

180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 00:40:47.11 ID:4ZMso0HUO
スライム「さぁ、最初に戦うのは誰かな~」

レフェリー「それじゃあ相手選手の入場です!」

キラーマシーン×3「よっ」

スライム「………え?」

キラーマシーンA「いやまさかスライムが戦いを挑んでくるとは」

キラーマシーンB「しかし加減して戦ったら失礼だし」

キラーマシーンC「全力でいきましょう」

スライム「全力で逝くことになるよ…」

182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 00:46:46.92 ID:4ZMso0HUO
勇者「おぉ、さすがスライム。逝くことだけは防いだか」

スライム「お花畑は見えかけたけどね…」

勇者「対戦相手を選ぶべきだったな」

スライム「勇者さんが勝手に登録したんじゃない!」

勇者「毒針があるから大丈夫だと思った。反省はしていないし後悔もしていない」

スライム「ダメじゃない…」

183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 00:54:07.35 ID:4ZMso0HUO
勇者「じゃあここはもう出るか」

スライム「え、もう?」

勇者「だってお前がEクラスに勝てないんだったら意味ないし」

スライム「あんな最強クラス、誰だって勝てないよ!」

勇者「チャンピオンがいるじゃな――」

観客「ああっ、チャンピオンがDクラスの一回戦で負けた!」

勇者「……行くか」

スライム「……うん」

184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 01:02:46.92 ID:4ZMso0HUO
勇者「次の町はどこかな~っと」

スライム「何か用事でもあるの?」

勇者「特に無いけど、定期的にツボとかを調べないと落ち着かないんだ」

スライム「へぇ」

勇者「人の家のだとなお良し」

スライム「強盗じゃない…」

勇者「一モンスターに言われるとは心外だな。きちんと断りはいれてるぞ」

スライム「了承してくれるんだ、その人たち…」

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 01:07:46.18 ID:4ZMso0HUO
勇者「ふ~ん、商業の発達した町か」

スライム「この町にもモンスターいっぱいいるね」

勇者「本当だ。じゃあ一旦別行動するか」

スライム「? なんで?」

勇者「俺と一緒に一軒一軒ツボ探ししたいなら話は別だが」

スライム「――別行動しよう」

勇者「あいよ。あそだ、なんか買いたいもんあったらこれで買え」ポイ

186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 01:12:28.18 ID:4ZMso0HUO
スライム「え、こんなに!?」

勇者「ああ。気にするな、俺のおじさんの遺産だから…」

スライム「重いよ…」

勇者「冗談だ。それはお前が今まで倒してきたモンスターの金だから心置きなく買え」

スライム「そうなんだ! ボクもなかなか稼いでるね」

勇者「その金、俺によこせばカジノで儲けて二倍になって返ってくるぞ」

スライム「いやだよ」

188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 01:22:47.79 ID:4ZMso0HUO
スライム「と言われてもなぁ、今まで買い物したことないから何が必要なのか分からないや」

スライム「うーん…」

店主「おっ、珍しいお客さんだね。どうだい、この腕輪買ってかない?」

スライム「腕輪? でもボクのサイズじゃ…」

店主「じゃあマスターにプレゼントしてあげなよ!」

スライム「プレゼント……」

店主「そ、いつもお世話になってますって」

スライム「――一つ、ください」

店主「毎度っ」

189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 01:26:44.15 ID:4ZMso0HUO
スライム「――なにやってるの?」

勇者「バカお前、声かけんな! 見つかるだろ!」

スライム「そんなタルの後ろに隠れなくても。なにかしたの?」

勇者「別になにも。ちゃんと断り入れて家宅捜査してたのに、急にブチ切れられただけだ」

スライム「それが原因だと思うよ…」

勇者「何をいう。勇者ならその特権があるのが常識だろ」

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 01:30:34.09 ID:4ZMso0HUO
スライム「(こんな人のためにプレゼント買っちゃったのかぁ…。なんか失敗した気がする)」

勇者「――よしアイツらはいなくなったな。ふぅ、しつこかった~」

スライム「自業自得じゃない」

勇者「るっさいなぁ。それよりもう買い物終わったのか?」

スライム「あ、うん。はいこれ」

勇者「? なんだこれ、腕輪?」

スライム「今までお世話になってたから、ボクからのプレゼント!」

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 08:27:30.38 ID:4ZMso0HUO
勇者「星降りの腕輪…! お前よくこんなの買ってこれたな」

スライム「ふっふーん。見直した?」

勇者「どこを見直したらいいのか分からんが、見直した」

スライム「……全然誉めてないよ」

勇者「俺的にはかなり誉めてる」

スライム「まぁいいや、突っ込んだら時間がなくなりそうだし」

勇者「――ありがとな」ボソッ

206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 08:31:38.56 ID:4ZMso0HUO
スライム「――え?」

勇者「……」

スライム「なにか言った?」

勇者「転売しようかなって言った」

スライム「ううん、もっとなんか違うこと言った!」

勇者「言ってない」

スライム「言ったよ」

勇者「言ってない」

スライム「むぅ…、聞く時間はいっぱいあるんだからね。これからもいっぱい聞くんだから」

勇者「残念だったな、俺は口が固いんだ」

スライム「ボクもしつこいよ」

勇者「はぁ…、まぁ」

スライム・勇者「これからもよろしく」

終わり

207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 08:34:33.32 ID:2hlWwLvQO
さらっとオワタ

208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 08:35:05.90 ID:4ZMso0HUO
エピローグ

勇者「おい」

スライム「ん?」

勇者「お前の故郷に来てからしばらく経つけど、俺はなんでここに居座ってるんだ」

スライム「居心地がいいんじゃないかな?」

勇者「――まいっか、魔王も他の勇者倒すだろうし」

スライム「なんで勇者さんは勇者になれたんだろう…」

勇者「なにか言ったか?」

スライム「ううん。それよりご飯出来たよ~」

勇者「あいよー」

スライム・勇者「いただきまーす」

エピローグ終わり

212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 08:41:49.14 ID:2hlWwLvQO
面白がったんぜ

214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 09:24:12.90 ID:N9+s/ExXO
おつ

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 09:34:13.74 ID:+N/SdG+YO
気が向いたらまた書いてくれよな
「暇だから読んであげてるんだからねっ///」

217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/15(金) 10:17:21.55 ID:NfH36nCZO

気軽に読めてあっさりしていて良かった

引用元: スライム(女)「ボクは悪いスライムじゃないよ」