1:2018/09/21(金)23:02:10 
ガヴ「すぅすぅ」

ヴィーネ(目を覚ますと可愛い寝顔が真っ先に目に入った)

ヴィーネ「ガヴの寝顔、かわいい」

ヴィーネ「……えっ」

ヴィーネ(朝、起きたらガヴと同じ布団にいた)

ラフィ「ヴィーネさん、ついにやってしまったんですね」

ヴィーネ「ちがっ、これは違うの!」

ラフィ「何が違うって言うんですか!一緒の布団に入って何もないとは言わせませんよ。
    ヴィーネさんの変態!破廉恥!サキュバス!」

ヴィーネ「ちょっと待って、冷静に話を」

ヴィーネ「って、そもそも何でラフィが同じ部屋にいるのよ!?」

ラフィ「何でって」

ラフィ「林間学校で同じ部屋になったからじゃないですか」

ヴィーネ「林間学校?あっ」

ガヴ「ふわ~、何だよ騒がしいな」

ヴィーネ(ガヴが欠伸をしながら起き上がる)

ヴィーネ(徐々に昨日の夜のことを思い出し始めた)



※原作6巻の「林間学校編」を元にしているので、
 未読の方はご注意。
 ネタバレ気にしない方、当然読んでいるぞ!という方はぜひこのまま。



2:2018/09/21(金)23:03:00 QO1
===昨晩===

ヴィーネ「うわああああんん」

ガヴ「いつまで泣いているんだよ」

ヴィーネ「だって、お化けが、幽霊がいたのよ!?」

ヴィーネ(私は、林間学校の定番イベントとして『肝試し』を提案した)

ヴィーネ(イベント好きの私にとって外せない夏の恒例行事)

ヴィーネ(でも、この恐怖のイベントは行うべきではなかったと非常に後悔している)

ヴィーネ(だって)

ヴィーネ(女の子の幽霊に出会ってしまったのだから)


ガヴ「天使や、悪魔がいるんだ。幽霊ぐらいいても不思議じゃないだろう」

ラフィ「ガヴちゃん、もっと優しい言葉をかけてあげなきゃ駄目ですよ」

ガヴ「そう言いながらニヤニヤしているのは何処の天使だよ」

ラフィ「だって、怯えるヴィーネさん可愛いじゃないですか」

ガヴ「本当、悪魔だなお前」

サターニャ「Zzz…」

ガヴ「あいつははしゃぎすぎたのか寝ているし」
3:2018/09/21(金)23:03:36 QO1
ヴィーネ「ガヴ…怖いよ、助けてよ」

ガヴ「あー、大丈夫だって。幽霊が出たって、悪魔のお前なら平気だろ?」

ヴィーネ「そういうことじゃないのよ。私、憑りつかれてないよね?死なないよね?」

ガヴ「だから、大丈夫だって。何も憑いてないよ」

ヴィーネ「グスン、何でわかるのよ」

ガヴ「だって、私幽霊見えるから」

ヴィーネ「ほら、やっぱり幽霊はいるんだー、うわあああああん」

ガヴ「あーめんどくさいいい!!!」


ラフィ「私は大浴場行ってきますね」

ガヴ「ちょっと待った、逃げるな!私、一人に押し付けるな」

ガヴ「…行ってしまった」

ヴィーネ「ガヴ、怖い、怖いよ」

ガヴ「しょうがない奴だな」

ヴィーネ(ガヴが震える私の背中を擦る)

ガヴ「私がいるから安心しろ」

ヴィーネ「う、うん、うぅ」

ヴィーネ(私が落ち着くまで、ずっと背中をさすってくれた)
4:2018/09/21(金)23:04:02 QO1
ヴィーネ「……ありがと」

ガヴ「落ち着いたか」

ヴィーネ「うん」

ガヴ「明日も早いから、早く寝ないとな」

ヴィーネ(まだ明日も林間学校はある)

ヴィーネ(優しい声と気づかいに心はだいぶ安らいだ)

ヴィーネ(でも)

ヴィーネ「まだ、怖い」

ヴィーネ(幽霊に触れられた悪寒が消えない)

ガヴ「そうか」

ヴィーネ(ガヴが私の手を握る)

ヴィーネ「え」

ガヴ「近くに私がいるから」

ヴィーネ「う、うん」

ガヴ「だからちゃんと寝ろ。ずっと楽しみにしていたイベントだろ」

ヴィーネ(そう、私はしおりを作るほど、林間学校を楽しみにしていた)

ヴィーネ(寝不足で、明日を棒に振ってしまうのは不本意だ)
5:2018/09/21(金)23:04:12 QO1
ヴィーネ「ずっと」

ガヴ「うん?」

ヴィーネ「朝までずっと手繋いでいてくれる?」

ガヴ「ああ、ずっと繋いでいる」

ヴィーネ(電気を消し、布団に入る)

ヴィーネ(手にはガヴの手の温もり)

ヴィーネ(安心を与える天使の施し)

ヴィーネ「離さない、でね?」

ヴィーネ(すぐ近くからガヴの声が聞こえる)

ガヴ「ああ、離さないよ」

ヴィーネ「本当?約束だよ?」

ガヴ「今日はとんだ甘えん坊だな…。うん、約束する」

ヴィーネ(そういって同じ布団にガヴが入る)

ヴィーネ「私が寝るまで、寝ないでね」

ガヴ「そして、我儘娘と。わかったよ、早く安心して寝ろ」

ヴィーネ(ガヴの握る手の力が強まる)

ヴィーネ「うん、おやすみガヴ」

ガヴ「おやすみ、ヴィーネちゃん」
6:2018/09/22(土)00:07:23 8Or
===元の時間===
ヴィーネ(昨晩のことを鮮明に思い出した)

ヴィーネ(顔が)

ヴィーネ(顔が熱い)

ラフィ「思い出しましたか、ヴィーネさん。…顔真っ赤ですよ?」

ヴィーネ「わかっているわよ」

ヴィーネ(鏡を見なくてもわかる、自覚できる)

ガヴ「よく寝れたか、ヴィーネ?」

ヴィーネ(ぶんぶんと腕をまわす、体が軽い)

ヴィーネ「うん、よく寝れたわ。ごめんなさい、ガヴ」

ガヴ「怯えるヴィーネは新鮮だったからいいよ」

ヴィーネ「もう!……ありがとう」

ガヴ「うん」

サターニャ「Zzz…」

ガヴ「こいつは置いといて、早く朝食食べに行こうぜ」

ラフィ「私が、ちゃんと起こしてあげますよ」

ガヴ「……あんまりいじめるなよ」

ラフィ「ガヴちゃんの私のイメージ酷くないですか!?」
7:2018/09/22(土)00:08:17 8Or
ヴィーネ(午前のレクリエーションも終わり、
     昼食を食べ終え、ラフィとサターニャは探検に出かけた)

ヴィーネ(私はガヴと部屋でお留守番)

ガヴ「スーースーー…」

ヴィーネ「寝ちゃった……」

ヴィーネ(昨日、私が寝るまで起きていてくれて、あまり寝られていないのだろう)

ヴィーネ「もー、せっかくの自由時間なのに」

ヴィーネ(私のせいで、ガヴの楽しい時間が奪われてしまった)

ヴィーネ(申し訳ない)

ヴィーネ(ガヴの頭をなでる)

ヴィーネ(なでなで)

ヴィーネ(私のためにありがとうね)

ヴィーネ(起きたら一緒にキャンプファイヤーだからね)

ヴィーネ(柔らかい髪。まともに手入れしていないのにどうしてこんなにサラサラなのかしら)

ヴィーネ(なでなで)
8:2018/09/22(土)00:08:27 8Or
サターニャ「ヴィネット大変よ!!」

ヴィーネ「わっ」

ヴィーネ(サターニャが大声で部屋に戻ってきた)

ヴィーネ「しーーーっ」

ヴィーネ「ガヴが寝たとこだから」

サターニャ「赤ちゃんかっ」

サターニャ「それより大変なのよ!」

ヴィーネ(サターニャとラフィが話すには、楽しみにしていたキャンプファイヤーが
     手違いで薪が用意できずに、中止になりそうとのことだった)

ヴィーネ(楽しみにしていた。けれども仕方がない)

ヴィーネ(また別の機会にできる。アクシデントは付き物なのだ)
ヴィーネ(それすらも楽しんでいい思い出となるのだ)

ヴィーネ(でも、彼女は違った)

ガヴ「ちょっくら木を切りに」

ヴィーネ(ガヴは眠い体を起こし、キャンプファイヤーを中止にさせないといった)
ヴィーネ(そして、しおりを預言書などと言い出し、ラフィとサターニャを説得したのだ)

ガヴ「間に合うよ。4人でやれば」

ヴィーネ(時間がないと諦めそうな私を、ガヴは奮い立たせてくれたんだ)
9:2018/09/22(土)00:09:06 8Or
ヴィーネ「楽しかったね」

ガヴ「こうやって、外に立たされているのが楽しいの!?ヴィーネ、意外とそっちの人種?」

ヴィーネ「ち、違うわよ」

ヴィーネ(私達4人の頑張りにより、代わりの薪は準備でき)
ヴィーネ(キャンプファイヤーは実施された)

ヴィーネ(皆で見るキャンプファイヤーは綺麗で、)
ヴィーネ(炎に照らされる彼女の横顔は誰よりもかっこよかった)

ヴィーネ(…ガヴのおかげで最高の林間学校になったのだ)

ヴィーネ(その後は、部屋で枕投げをし)
ヴィーネ(不幸なことに、先生に枕を当ててしまい、部屋の外に立たされているわけだが)

ヴィーネ(それも、またいい思い出だ)
10:2018/09/22(土)00:09:38 8Or
ガヴ「くそー、サターニャの野郎め、あいつがノーコンだから」

サターニャ「何よ、避けるガヴリールが悪いんでしょ」

ヴィーネ「ふふ、楽しいわね」
ラフィ「ヴィーネさんが狂った!?」

グラサン「おい、お前ら反省したか?」

サターニャ「サー」
ガヴ「イエッサー」

グラサン「…もう暴れるなよ」

ヴィーネ(外に立たされるも、結局10分ほどで済んだのであった)
ヴィーネ(先生も立場上、仕方なく叱ったのだろう)
ヴィーネ(私たちの頑張りに免じて、軽いペナルティーだった)
11:2018/09/22(土)00:10:42 8Or
サターニャ「さぁ、第二ラウンドといくわよ」
ガヴ「よしきた」

ラフィ「はいはい、寝ますよ二人とも」

サターニャ「うな」
ガヴ「うへ」

ヴィーネ(ラフィが強制消灯。二人の扱いに慣れているわ)

ヴィーネ(さすが大人なラフィだ)

サターニャ「真っ暗じゃ何もできないじゃない」

ガヴ「くそっ、パソコン持ってきてネトゲ―やればよかった」

ヴィーネ「はいはい、静かに」

ヴィーネ「二人とも今日は頑張ってくれたんで疲れたでしょ」

ヴィーネ「ゆっくり寝っ」

ラフィ「さぁ、誰が好きか話しましょう!!」

ガヴ「はあ?」
サターニャ「へ?」
12:2018/09/22(土)00:11:39 8Or
ヴィーネ(電気を消したのは自分の利益を優先するためだった)

ヴィーネ(さすが大人げない)

ガヴ「いやだよ」

サターニャ「何が楽しいの?」

ラフィ「修学旅行の夜に、誰が好きか話すのは恒例の『イベント』ですよね、ヴィーネさん」

ヴィーネ「うっ」

ヴィーネ(痛い所を突かれた)

ヴィーネ(修学旅行の夜といえば、定番の行事だった)

ヴィーネ(そして、イベント好きの私としてはラフィの提案を却下できない…!)

ヴィーネ「そ、そうね話しましょうか」

ガヴ「おい」

ラフィ「さすがヴィーネさん」

ヴィーネ(真っ暗でもラフィが笑顔になっているのが想像できる)

ラフィ「じゃあ早速。ヴィーネさんは好きな人いますよね?」

ヴィーネ「い、いないわ」

ラフィ「それじゃ、話が盛り上がりませんよ。いるんですよね、ね?」

ヴィーネ「お、教えないわ」

ラフィ「もう、つれないですね」

ガヴ「ラフィはいるのかよ」

ラフィ「ええ。私は全人類を愛していますよ?」

ヴィーネ「ずるい、その答え」

サターニャ「私はメロンパンが好きよ!」

ヴィーネ「そういうことじゃない!」
13:2018/09/22(土)00:12:40 8Or
ラフィ「さっぱり盛り上がりませんね」

ヴィーネ「私たちにそういう恋バナは早かったのよ」

ガヴ「私は」

ヴィーネ(ガヴが優しい声で)


ガヴ「いるよ、好きな人」


ヴィーネ(爆弾を投げた)


ラフィ「へーそうなんですか。ガヴちゃんが素直に話すなんて珍しいですね」

サターニャ「お金?」

ガヴ「人って言っているだろう」

ラフィ「で、誰なんですか。気になりますよね、ヴィーネさん?」

ヴィーネ「何で私に振るのよ」

ラフィ「気になるでしょ?」

ヴィーネ「…気になるわよ!」

ガヴ「じゃあ、おやすみ」

ラフィ「あー、もう逃げない!」

サターニャ「ぐー、ぐー」

ヴィーネ「サターニャまで寝ちゃって」


ガヴ(本当に寝たのか、呼びかけてもガヴは無反応)
14:2018/09/22(土)00:13:44 8Or
ヴィーネ(二人が脱落してしまったので、私とラフィが世間話を続けるも)

ヴィーネ(先にラフィが寝てしまったのであった)


ヴィーネ(そして、私は)


ヴィーネ「寝れない」

ヴィーネ(理由はわかっている)

ヴィーネ(ガヴに好きな人がいる)
ヴィーネ(ガヴが『誰か』を好きなのだ)

ヴィーネ(気になって、心が落ち着かなくて、寝られるわけがない!)
ヴィーネ(あー、誰なのよ。私の知っている人?知らない人?)

ヴィーネ(ここまで最高の林間学校だったのに、全てがぶち壊しだ)

ヴィーネ「あー、もう!」

ガヴ「寝れないのか、ヴィーネ?」

ヴィーネ「ガヴ!?」
15:2018/09/22(土)00:14:24 8Or
ヴィーネ(起きているのは私だけ。そう思っていた)

ヴィーネ(でも、ガヴが起きていた)

ヴィーネ(あれ、私変なこと言っていないよね?聞かれていないよね?)

ガヴ「また怖いことあった?」

ヴィーネ「もう大丈夫よ」

ガヴ「それはよかった」

ヴィーネ「ガヴも寝れないの?」

ガヴ「ああ、疲れているはずなのに目がさえちまってな」

ヴィーネ「私も、同じ」

ガヴ「じゃあさ」

ヴィーネ「うん?」

ガヴ「外、散歩しに行こうか?」

ヴィーネ(夜間外出はいけないこと)
ヴィーネ(学校のルールを破ることだ)

ヴィーネ(でも、ガヴからのお誘いだった)


ヴィーネ「うん」

ヴィーネ(断れるわけがなかった)
16:2018/09/22(土)00:22:45 8Or
ヴィーネ(昼間は暑かったが、夜になると涼しく、歩くにはちょうど良い気温になっていた)

ヴィーネ(外は静まり返り、私とガヴしかこの世界にいないように錯覚させられる)

ヴィーネ「暗いわね」

ガヴ「あっ、ごめん。もしかして怖い?」

ヴィーネ「怖い?」

ガヴ「だって、昨日お化けが出たって」

ヴィーネ「あっ…すっかり忘れていた」

ヴィーネ(ガヴが好きな人がいるという事実で、頭がいっぱいで)

ヴィーネ(あんなに怖い思いをしたというのに、言われるまで全く考えていなかった)

ヴィーネ(思い出すと急に怖くなる。でも、その暗闇もすぐに照らされる)

ガヴ「ほら」

ヴィーネ(ガヴが私の手を握る)

ガヴ「私がいれば怖くないだろう?」

ヴィーネ「うん」

ヴィーネ(自然とそういう行動をするガヴが怖い)

ヴィーネ(…私以外にしないでよね)

ヴィーネ(そう、ガヴの思い人にとか)
17:2018/09/22(土)00:39:51 8Or
ガヴ「少し先まで歩こう」

ヴィーネ「わかったわ」

ヴィーネ(ガヴに導かれるまま、足を進める)

ヴィーネ(歩いている途中はほぼ無言だった)

ヴィーネ(でも、繋いだ手のおかげか、恐怖はなく)

ヴィーネ(二人だけの静かな空間が居心地よかった)

ガヴ「ここぐらいかな」

ヴィーネ(ガヴが立ち止まる)

ヴィーネ「何がよ?」

ガヴ「いいから。上を見て」

ヴィーネ(ガヴが上を向き、私も続いて見上げる)
18:2018/09/22(土)00:41:03 8Or
ヴィーネ「わあ…!」

ヴィーネ(そこに広がるのは満点の星空だった)
ヴィーネ(都会では見えない、幾千もの星)
ヴィーネ(まばゆい光の数々が空に咲いていた)

ヴィーネ「綺麗……!」

ヴィーネ(こんな綺麗な光景を見たのははじめてだった)

ガヴ「だろ?」

ヴィーネ「うん、すっごく綺麗」

ガヴ「良かった」

ヴィーネ「あれがデネブ、アルタイル…」

ガヴ「あー、星名まではわからないわ」

ヴィーネ「わかると楽しいわよ」

ガヴ「綺麗であればいいだろ?」

ヴィーネ「それもそうね」

ヴィーネ(大事なのは星の知識ではない)

ヴィーネ(ただガヴと二人でいられれば幸せだった)

ヴィーネ「ありがとうガヴ。林間学校では感謝してばかりだわ」

ガヴ「いつもお世話になっているからな」

ヴィーネ「それもそうね」

ガヴ「そこは否定しろよ!」

ヴィーネ「じゃあ自分で料理、洗濯、掃除する?」

ガヴ「はい、私はヴィーネさんに大変お世話になっております」

ヴィーネ「素直で宜しい」

ガヴ「ゴミ屋敷には戻りたくないからな」

ヴィーネ「ふふ」

ガヴ「はは」
19:2018/09/22(土)00:43:03 8Or
ヴィーネ(星空を見るだけでこんなに楽しい)

ヴィーネ(でも、)

ヴィーネ(引っかかる)

ヴィーネ(何で)

ヴィーネ(どうしてだろう)

ヴィーネ「どうして」

ガヴ「うん?」

ヴィーネ「どうして連れてきたの?」

ヴィーネ(何で私を星空のもとへ案内したのだろう)

ヴィーネ(だって、それはガヴの好きな人と見れば良いのだから)

ヴィーネ(それは『私』じゃないのだから)

ガヴ「どうしてってさ」

ヴィーネ「だって、好きな人がいるんでしょ?」

ヴィーネ「その人と見ればいいじゃない」

ガヴ「わからない、かな」

ヴィーネ「全然わからないわよ」

ガヴ「言わなきゃ駄目?」

ヴィーネ「悩んで寝れない」

ガヴ「あー、もう!見たかったからだよ」

ガヴ「ヴィーネと一緒に見たかったから」

ヴィーネ(私と見たかった?)

ヴィーネ(……よく意味がわからなかった)

ヴィーネ「ど、どういうこと?」
20:2018/09/22(土)00:43:35 8Or
ガヴ「本気で言っているの?」

ヴィーネ「ええ、本気よ」

ガヴ「馬鹿なのか、こいつは馬鹿なのか…」

ヴィーネ「し、失礼ね、私は馬鹿じゃないわよ」

ガヴ「馬鹿だよ」

ヴィーネ(ガヴが手を離し、私の肩を掴む)

ヴィーネ(透き通った瞳がまっすぐ私を写す)

ガヴ「ヴィーネが大好きだからだよ」

ヴィーネ「え」

ヴィーネ(ガヴが私を)
ヴィーネ(好き)
ヴィーネ(大好き)

ヴィーネ「私のこと好きなの?」

ガヴ「だから、そう言っているだろ?」

ヴィーネ「え」

ヴィーネ「ええええええええええええ!!??」

ヴィーネ(ガヴが私を好き!!?!?!!??)

ヴィーネ(ガヴの好きな人は、私だった?!?!)

ヴィーネ(だから、星空を見たかった)

ヴィーネ(くぁwせdrftgyふじこlp)

ヴィーネ(落ち着け、月乃瀬=ヴィネット=エイプリル)

ヴィーネ(深呼吸、ふぅー…)

ヴィーネ「しょ、衝撃の事実ね…!」

ガヴ「お前の鈍感さが憎いよ」
21:2018/09/22(土)00:44:14 8Or
ヴィーネ「にへへ」

ガヴ「にやけるな」

ヴィーネ「だって、だって」

ヴィーネ「ガヴが私を好きなんて、幸せすぎるだもの!」

ヴィーネ(ガヴが目を背ける)

ガヴ「恥ずかしいこと言うなよ」

ヴィーネ「えへへ、ガヴ大好き」

ガヴ「キャラ違くありません?」

ヴィーネ(緩んだが顔が戻らない)

ヴィーネ(悩んで、眠れなかった私が馬鹿みたいだ)

ヴィーネ「ありがとう、ガヴ。私も好き。ずっと好き」

ガヴ「そうかよ」

ガヴ「…私と同じだ」
22:2018/09/22(土)00:44:36 8Or
ヴィーネ「えへへ」

ヴィーネ(林間学校は最高に楽しかった)

ヴィーネ(けど、ガヴは二人だけの時間を求めた)

ヴィーネ(二人だけの思い出)

ヴィーネ(私の知っていた空は、上塗りされて、さらに輝く星空となった)

ヴィーネ(そして)

ヴィーネ(そっと目を閉じる)

ヴィーネ(私の『最高』は更新され、『思い出』はさらに彩られる)

ガヴ「……」

ヴィーネ(気配だけでわかる。ガヴが近づいてくる)

ヴィーネ(心臓の音が早くなる)

ヴィーネ(定番イベントかもしれない)

ヴィーネ(林間学校での告白なんて)

ヴィーネ(星空の下でなんて)

ヴィーネ(定番のシチュエーションすぎるかもしれない)

ヴィーネ(でも私にとっては何よりも特別で)

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(唇の感触は、一生かかっても忘れられそうになかった)
23:2018/09/22(土)00:46:11 8Or
===部屋====

ラフィ「あらあら、お二人とも何処にいったのでしょうか」

ラフィ(夜に目を覚ますと、ガヴちゃんとヴィーネさんが部屋にいませんでした)

ラフィ「二人で夜の散歩といったところですかね」
ラフィ(ガヴちゃんは思いを伝えられたでしょうか)
ラフィ(それともヴィーネさんが暴走して、告白してしまうのでしょうか)

ラフィ(ニヤニヤが止まりません)
ラフィ(でも、二人の時間を邪魔するのは無粋なもので、)
ラフィ(私は静かに二人の幸福を祈ります)

ラフィ(まぁ二人に天使の加護なんて必要ないでしょうが)

ラフィ「さて、私も」

サターニャ「Zzz…」

ラフィ「よいっしょと」

ラフィ(サターニャさんと同じ布団に入ります)
ラフィ(私にだって、思い出が欲しいのですよ?)


ラフィ(朝になって、真っ赤な顔をしたサターニャさんに怒られるのは、また別の話)
24:2018/09/22(土)00:46:52 8Or
===帰りのバス====

サターニャ「席替えしたい?」
ラフィ「はい、サターニャさんに朝、迷惑かけたんで罪滅ぼしをと」
ガヴ「まぁ、私はいいけど」
ヴィーネ「じゃあ、ガヴは私の隣ね」


ラフィ(後ろを見るとヴィーネさんとガブちゃんが気持ちよさそうに寝ています)
サターニャ「何、二人をじろじろ見ているのよ」
ラフィ(仲良く手を繋いじゃって、きっとうまくいったんですね)

ラフィ「ふふ、悪戯チャンスですね」
サターニャ「そうね!悪魔的記載<デビルズライティング>ね!」
ラフィ「はい、サターニャさん。黒ペンです」

~~~

グラサン「先生は否定しないが、そういうのは慎ましくだな」
ヴィーネ「へ?」

ガヴ「こらサターニャ!!!悪戯書きしやがって!!!」
サターニャ「だってラフィが!」
ラフィ「嘘は書いていませんよ?」
ヴィーネ「……///」

ガヴ「おい、何で顔が真っ赤なんだよ、ヴィーネ!?」
ラフィ「さあ、何て書かれているんでしょうね」
ヴィーネ「……私も愛しているわ、ガヴ」
ガヴ「ヴィーネさん!?」

ラフィ(私なりの祝福ですよ、お二人さん♪)
25:2018/09/22(土)00:47:49 8Or
おわりです。久しぶりに書きました。
林間学校編が良すぎて、妄想で補完してしまった。
27:2018/09/28(金)01:17:04 R9s
すこ