1: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:15:07.03
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朝
みかづき荘
やちよ「フェリシア? もう外に行くの? まだ朝ご飯食べてないじゃない」
フェリシア「ちょっと近くを見るだけだから。せっかく雪積もってるのに」
やちよ「もうっ・・・。あっ、ちょっと。そんな薄着で出るつもり? ちゃんとコートを羽織りなさい。それとマフラーと手袋と」
フェリシア「んなもん、いいよ別に・・・」
やちよ「あら、今履いているそのひも靴、紐がほどけているわよ。危ないからちゃんと結びなさい。結び方は分かる?」
フェリシア「だからいいって・・・!」
やちよ「あ、そもそも普通のひも靴じゃダメよ。雪が入ったら冷たいし、滑ったら危ないんだからそっちの長靴に―――」
フェリシア「あーもう! いちいちうるせーんだよ母ちゃん!!」
やちよ「ん・・・?」
フェリシア「あっ・・・・!////」カァ
やちよ「お、お母さん・・・?」
2: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:29:05.75 ID:nSoKXtCU0
フェリシア「あっ/// はっ、うっ、こ、これは違っ・・・// ちげーから! ちげーんだよ! やちよババアのバーカ! バーカ!」ダダッ
やちよ「ちょっと! 今走ったら危な―――」
フェリシア「あっ・・・!」フラッ
ズテンッ
フェリシア「ッテー・・・・」ヒリヒリ
やちよ「ああもう、だから言ったのに。靴紐の紐がほどけてるって。ちょっと膝見せてごらんなさい。擦りむいてるわね。ほら、消毒して絆創膏貼ってあげるから一旦家に戻りなさい」
フェリシア「ん・・・・・」
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いろはの部屋
やちよ「いろは、入るわよ」
いろは「んー・・・・・」
やちよ「まだお寝坊するの? 朝ごはんできているんだけど」
いろは「今日お休みでしょー・・・もうちょっとー・・・」
やちよ「もうっ、しょうがないわね」
やちよ「あら、いろは、ウサギの抱き枕、下に落ちているわよ」
いろは「んむー・・・とってー・・・・」
やちよ「はいはい。横に置くわよ」ポスッ
いろは「あぃがとぉ・・・・」ギュウ
やちよ(なんかさっきから砕けた感じの口調ね。いつもはもっと丁寧に話すのに。寝ぼけているのかしら)
いろは「ねー・・・・おかぁさーん・・・・」
やちよ「へっ?」
いろは「雪降ってるー?」
やちよ「・・・え、ええ。あ、いえ、今は降っていないわね。でも結構積もっているわよ」
いろは「んー・・・」
やちよ「フェリシアはもう遊びに行ったわよ。いろはは行かないの?」
いろは「あとでー・・・・」
やちよ「そう。そろそろ起きるのよ」
いろは「ふぁぃ・・・・・」ムニャムニャ
3: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:31:26.17 ID:nSoKXtCU0
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居間
やちよ「はー・・・・・・」
鶴乃「ししょー! おはよー! あとおじゃましまーす」
やちよ「・・・・・・」
鶴乃「ほっ? なんかお疲れだね。頻尿で夜あんまり眠れなかった?」
やちよ「・・・・・・」チラッ
鶴乃「!?」ババッ
やちよ「はー・・・・・・」
鶴乃「およ? 本当にどうしたの? 槍の一本や二本飛んでくると思って構えたのに」
やちよ「・・・・ねえ」
鶴乃「はいっ! なんでしょうか!」
やちよ「私って、そんなに老けて見える?」
鶴乃「ええっ? 今更そんなこと気にしているの?」
やちよ「今更って何よ今更って」
鶴乃「あっ、あはは~・・・ま、まあ・・・それはそれとしてー・・・。えと・・・? 何かあった?」
やちよ「実は・・・・」
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やちよ「ということがあって・・・・」
鶴乃「なるほどねー。いろはちゃんとフェリシアにお母さんと呼ばれてしまったと」
やちよ「ええ・・・。みふゆみたいにふざけて言っているのならまだマシよ」
やちよ「だけどフェリシアといろはのあれは無意識よ。ふいにお母さんって呼んでしまった感じね。ということは、普段から二人は心の底では、私をお母さんみたいな年齢だと思っているってことで・・・」
鶴乃「えー? そうかなあ?」
やちよ「違うっての?」
4: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:33:19.86 ID:nSoKXtCU0
鶴乃「違うっていうか・・・。うーん、うまく言えないんだけど・・・。でもさ、やちよはどう思ってる? お母さんって言われるのが嫌なの? 嫌だから、今度お母さんって呼んだら叱りつけたいって思う?」
やちよ「別にそこまでは思わないわよ。意図的に悪口を言われているのならともかく、あの感じじゃそうでもないし」
鶴乃「だったらさ、もうあんまり気にしないでさ、そのまんまにしておいてあげたらダメかな」
やちよ「どうしてよ」
鶴乃「考えてもみてよ。いろはちゃんのお母さんはずっと海外にいて、もう長く会えていないんだよ。いろはちゃんは一見しっかりしているけど、まだまだ中学生だし、誰かに甘えたい、ホームシックみたいな、そういう寂しさってあると思う」
やちよ「・・・・・」
鶴乃「フェリシアにいたってはさ、もう二度とお母さんに会えないんだよ? そんなフェリシアが無意識にお母さんと思える人が傍にいるって、すごくいいことじゃない?」
やちよ「・・・・・」パチクリ
鶴乃「やちよはそれだけ二人の心のよりどころになっているってこと。だからこれからもそんなやちよでいてあげたらいいって思うの。二人のためにさ。どうかな?」
やちよ「・・・・時々、鶴乃の精神年齢が60歳くらいに思えるわ」
鶴乃「ししょーの三倍老けた?!」
やちよ「ま、確かにそこまで言われれば、お母さんと呼ばれるのもやぶさかではないわね。この家じゃ私はあの子たちの保護者なわけだし、お母さんはあながち間違っていないわね」
鶴乃「そうでしょそうでしょー。ということでっ! さなもやちよのことをお母さんって呼んでみよっか?」
さな「へっ?! わ、私ですかあ?」
やちよ「こら。無理やり呼ばせるのは違うでしょ」
鶴乃「まあまあ、そう言わずに。試しに一回だけお母さんって呼んでみてよ! 案外しっくりするかもよ?」
さな「う、うーん・・・。でも、なんだか違和感があって・・・」
鶴乃「違和感?」
さな「私、やちよさんのことはあんまり母って感じがしなくて・・・」
鶴乃「そうなの? さなにとってのお母さんってどんな感じなの?」
さな「えっと、私にとっての母は、鈍間な私をいつも大声で怒って、私が透明じゃなくても私のことは見えていなくて、一緒に住んでいても直接会話をすることはなくて、メールだけで、内容は事務連絡だけで」
鶴乃「ごっ、ごめんもういいや・・・ごめん・・・。でもさでもさ、とりあえずでいいから呼んでみてよ!」
鶴乃「そりゃ確かにやちよは、ギリ未成年だけどなんかおばさんみたいで、何かとお小言が多くて、食いしん坊で、お買い得商品意外の買い物をしようとするとネチネチ文句を言うケチだから、完璧なお母さんとは言えないかもだけど、とりあえずお母さんと思ってお母さんって呼んでみよ?」
5: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:35:00.39 ID:nSoKXtCU0
やちよ「鶴乃。久しぶりに後で手合わせしましょうか」ピキピキ
さな「で、でも・・・」
鶴乃「いいからいいから、一回だけだから。ねっ?」
さな「あの・・・・」チラッ
やちよ「・・・・はー。こうなったら鶴乃は聞かないわよ。二葉さん、呼んでみたら?」
さな「わ、わかりました・・・。では・・・・・」
さな「お母様」
鶴乃「違う違う! やちよ相手なんかに “様” なんていらないのっ」
やちよ「どういう意味よ」
鶴乃「もっと気軽に、深く考えずに “お母さん” でいいから」
さな「あっ、はい・・・」
鶴乃「それじゃもう一回! さんっ、はいっ」
さな「すー・・・はー・・・・・・」
さな「お、お母さん・・・?」
やちよ「はーい」
鶴乃「どう? どう? どんな感じ?」
さな「えと・・・・」ジワァ
さな「えっ?」
鶴乃「えっ?」
やちよ「えっ?」
さな「あ、あれ・・・? 私なんで・・・涙が・・・」ポロポロ
鶴乃「ごめん! そんなに嫌だった・・・?!」オロオロ
さな「違いますっ! 違います、嫌なんてことはなくて・・・すんっ・・・」グシグシ
さな「あの・・・やちよさんが・・・優しい声で返事してくれて・・・だ、だから・・・・私の声がちゃんと届いているんだって・・・思って・・・私はここにいるんだって思って・・・私のこと見てくれているんだって・・・へ、変ですよね、一緒に暮らして結構経つのに、そんな当たり前のこと・・・すんっ・・・」
さな「で、でも、そんな当たり前が、お母さんなのかなって思って・・・・そうしたら、なんか・・・うれしいというか・・・こみ上げてきちゃって・・・すんっ、すんっ・・・」
6: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:37:45.86 ID:nSoKXtCU0
やちよ「・・・・・・」
さな「ご、ごめんなさい・・・泣いちゃって・・・・ごめんなさい・・・」グシグシ
鶴乃「えと・・・? ど、どうすれば・・・」オロオロ
やちよ「・・・・ふふっ、ねえ」
さな「は、はい?」グシグシ
やちよ「こっちにおいで “さな” 」
さな「・・・・?!」
やちよ「おいで」ニコッ
さな「あ、あ・・・・」フラフラ....
やちよ「はい、捕まえた」ぎゅう
さな「あっあっ・・・・ゔゔっ・・・・」
やちよ「よしよし。さなはいい子ね。いつも私といろはの料理を手伝ってくれるし、透明でもちゃんと学校にも行っているし」ナデナデ
さな「お、お・・・・お母さぁん・・・・。う、うん・・・! すんっ、すんっ・・・えへへっ」ぎゅう
鶴乃「わっ//// わっ//// な、なんというか・・・・う、美しい・・・!」
やちよ「鶴乃はいいの?」
鶴乃「ほえっ?」
やちよ「鶴乃もお母さんとは結構会っていないんでしょ? お母さんが恋しいんじゃない? 鶴乃も一緒に私に甘えてみる?」
鶴乃「んんっ?!/// そ、そうだけど・・・・/// もうわたしはそういう歳じゃないというか・・・最強のわたしとしては、どっちかっていうと、甘えるより甘えられたいというか・・・」
やちよ「そうなの?」
鶴乃「でも、お母さん感ではやちよには勝てないし・・・。あっ! そうだ! お姉さん!」
やちよ「ん?」
鶴乃「鶴乃お姉さんがいい! ねえ、さな! わたしのこと “お姉さん” って呼んで!」
さな「えと・・・。う~ん・・・。鶴乃さんはあんまり姉という感じがしなくて。私、兄はいましたけど、その兄は」
鶴乃「分かってる! 分かってるから! そういうのは置いといて、この頼れる鶴乃お姉さんのことを、 “お姉さん” って呼んで! お願い!」
さな「はっ、はい」
さな「・・・・鶴乃、お姉さん」
鶴乃「ほほー!/// いいねえこれ!/// さなどうだった? お姉さんに甘えたくなった? いいんだよー、この胸に飛び込んできて!」
さな「んふふっ、そうですね。甘えたいというか、楽しい? でしょうか」
鶴乃「楽しい?」
7: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:39:49.65 ID:nSoKXtCU0
さな「いつもフェリシアさんがうらやましかったんです。フェリシアさんは鶴乃さんに楽しそうに勉強を見てもらってて。だから、私も鶴乃さんから勉強を教えてもらったら、楽しそうだなって、思いました」
鶴乃「教える教える! 勉強でも最強なわたしが勉強くらいいくらでも教えちゃうよ! もちろん勉強だけじゃなくて遊びも、あっ、そうだ! せっかくだし遊ぼうよ!」
さな「遊びですか? ゲームとかですか?」
鶴乃「それもいいけど、体動かしたい! せっかく外は雪が積もってるしさ、雪遊びしない?」
さな「んと・・・外は寒いし・・・・」
鶴乃「え~いいでしょー、雪合戦しようよ~。雪だるま作ろうよ~。ついでにやちよも一緒にやろ~」
やちよ「嫌よ。寒いし。家でココアでも飲みながら、さなと一緒に本とか読んでゆっくりしていたいわ。ねえ?」
さな「・・・・」コクッ コクッ
鶴乃「ぬあ~・・・。甘えられ勝負でもししょーには勝てないのかー・・・」
やちよ「なによそれ。あっ、そういえばフェリシアが先に外に行っていたわよ。フェリシアと遊んで来たら?」
鶴乃「ホントッ? そうしよう! それじゃいってきまーす!」ダダッ
やちよ「本当落ち着きがないんだからあの子は」
さな「・・・・えへへっ。やちよお母さん、鶴乃お姉さん」ギュウ
やちよ「あらあら。さなってこんなに甘えん坊だったのね。最初に会ったころからは想像もできないわ」
さな「あっ・・・! ご、ごめんなさいっ、私気を緩めすぎちゃって・・・。ごめんなさい、踏み込みすぎですよねっ・・・」パッ
やちよ「そんなことない」グイッ
さな「わふっ」ポスッ
やちよ「好きなだけ気を緩めなさい。いくらでも踏み込みなさい。この家にいる限り、さなはうちの子なんだから」
さな「・・・・・・は、はいっ、ありがとう、ございます・・・!」
...トテトテ
いろは「おはようございます~・・・」ムニャムニャ...
やちよ「やっと起きたのね、いろは。おはよう」
さな「おはようです、いろはお姉さん。・・・・あっ!////」
いろは「ふゃ~?」ポケー
やちよ「ふふっ」
さな「あうぅぅ/////」
8: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:41:33.70 ID:nSoKXtCU0
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翌日
ももこ「はー・・・・・・」
やちよ「あら、ももこじゃない。どうしたの? 元気ないわね」
ももこ「あー、やちよさんか。んー・・・ちょっとなあ・・・かえでとレナがなあ・・・」
やちよ「何かあったの?」
ももこ「あったんだよ・・・。ちょっと聞いておくれよ」
やちよ「ええ、いいわよ」
ももこ「学校の女の先生のことを、ついつい『お母さん』って呼んじゃう子っているよな」
やちよ「いるわね。あっ、分かった。ももこ、レナかかえでに『お母さん』って呼ばれたんでしょ」
ももこ「お母さん、なぁ・・・・。そう呼んでくれたのならまだマシだったんだけどなあ・・・」
やちよ「違うの?」
ももこ「そうさ・・・。昨日のお休みの日の話なんだけどさ」
やちよ「ええ」
ももこ「雪が結構積もったよな。かえでがさ、家庭菜園の雪かきをしたかったんだけど、一人じゃやりきれない量でさ、しかも昨日はかえでの家族の人がいなかったから、それでアタシとレナが手伝うことになったんだよ」
ももこ「実際やってみると、雪って結構重たくてさあ、これがなかなかの重労働。かえでとレナは早々にバテちゃってさ、結局、雪かきはほとんどアタシ一人でやったよ。まあ、そこまではいいとして・・・問題はそのあと・・・」
ももこ「アタシが雪かきをあらかた終えて一息ついてたら、かえでが暖かいお茶を持ってきて、アタシにこう言ったんだよ・・・」
ももこ「『ありがとう、お父さん』って・・・」
9: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:44:58.92 ID:nSoKXtCU0
やちよ「・・・・・・」
ももこ「かえではそれを言った途端、言い間違えた自分に恥ずかしくなって顔を真っ赤にして固まっちゃって・・・・・」
ももこ「レナは、アタシが男っぽいことにコンプレックスを持っているのを知っているから、かえでのことを怒り出してなあ・・・」
ももこ「なによりアタシがショックだったよ・・・。はぁ・・・・そりゃあ確かにアタシは女っぽくないって自覚してるさ・・・。この通り性格はがさつだし、体は大きいし・・・」
ももこ「調整屋あたりがふざけて言ったのなら聞き流せばいいけどさ、かえでだもんなあ・・・。あの素直で、いい子で、レナ以外の人をからかうなんてしないかえでが言い間違えるなんて、かえでですらアタシのことを普段は男と認識しているのかあ・・・なんて思ってさ・・・・」
ももこ「かえでがアタシのことをどう思うが自由だよ。それにレナだってアタシの事を想って怒ってくれたのだから、誰も悪くない。だからアタシは誰も責められない。でも、何事もなかったことにはできなくて、それで今日までずっと三人共ぎくしゃくしちゃってさあ・・・」
やちよ「・・・・・・」
ももこ「あのなぁ、やちよさんよ・・・。歯は食いしばっているし、口の先は吊り上がってるし、体はプルプル震えているし・・・。笑いをこらえているの丸わかりだからな? 笑いたきゃ笑いなよ・・・」
やちよ「・・・・ぷっ。あははっ、ご、ごめんなさい、でも、ふふっ」
ももこ「はいはい分かってますよ・・・。アタシは男ですよーだ・・・・」
やちよ「違うわよ、そうじゃない」
ももこ「じゃあどういうことなんだ?」
やちよ「ふふっ、だってあのももこよ。あのももこが、うふふっ」
ももこ「どのももこだよ・・・」
やちよ「ひよこみたいにいつも私の後ろにくっついていた、あの甘えん坊でひっつき虫のももこちゃんがね? ふふっ」
ももこ「んなっ?!/// なんで今その過去を蒸し返すんだよ!////」
やちよ「あのももこが、今は誰かに甘えられるももこになったんだなあ、って思ったら、嬉しくって」
ももこ「甘えられてる・・・のかあ・・・?」
やちよ「それじゃあちょっと聞くけど。本当の男性、例えばももこのお兄さんとしましょうか。昨日の雪かきをももこのお兄さんが手伝っていたとして、かえではお兄さんのことを『お父さん』と呼んだと思う?」
ももん「んー・・・・。いやあ、そりゃないだろうな。かえでは見ての通り臆病だから、そもそも雪かき手伝って、とすら言えないと思うよ」
やちよ「そうでしょ。かえではももこが男みたいだからお父さんと呼んでしまったんじゃないの。かえでにとってももこは、気軽に雪かきを手伝ってと言える身近な仲なうえに、何度も命を救ってくれるほどに強くて頼れて守ってくれて、泣きたいときは胸を貸してくれるから、なにがあっても離れたくない、そんなお父さんみたいなかけがえのない存在」
ももこ「・・・・・」
やちよ「だからかえでは、ついついももこのことをお父さんと呼んでしまった。かえでにここまで想われているのに、ももこはまだ嫌な気分になる?」
ももこ「んっ、いや・・・。意外と、悪い気はしない・・・かな?」
やちよ「だったらその気持ちをかえでとレナに伝えなさい。そうすればかもレの絆、もっと深まるんじゃない?」
ももこ「ははっ・・・・。まったく、やちよさんには敵わないや。年の功ってやつかな?」
やちよ「どういう意味よそれ」
ももこ「なんかさ、恋人ができる前に娘ができるってのも変な感じだなあ」
やちよ「分かるわ。でも、そんなのどうでもよくなるくらい、かわいいでしょ。娘って」
ももこ「ああ、かわいい。目に入れても痛くない」
やちよ「そうよね。ふふっ」
ももこ「あははっ」
おわり
10: ◆LXjZXGUZxjdx 2019/03/02(土) 22:45:32.69 ID:nSoKXtCU0
ありがとうございました。
18: 2019/03/03(日) 01:23:29.87 ID:9MMVvjgs0
乙
引用元: 七海やちよ「お、お母さん・・・?」
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