1: 2012/11/03(土) 19:57:11.41 
やよい「超うっうーみたいな~」

P「ひぃぃ!!!」

やよい「もうアイドルとかやめちゃおうかなーって」

P「そんな張り裂けそうなこと言わないでくれ頼むよ!」

やよい「みんなにわーわー言われてもその先が見えてこないっていうかー」

P「どうしてこんな……ただの日焼けだよな? な!?」

やよい「プロデューサーとかまぢうざいかもー」

P「死ぬ」




3: 2012/11/03(土) 20:02:46.27 ID:8u3O3Gi/0
P「死のうかと思う。ただちに」

小鳥「わぁあああプロデューサーさん早まらないでバインダーじゃ死ねませんよ!」

P「こんな無彩色の世界に未練なんてない」

小鳥「でもほらやよいちゃん、顔はキレイな褐色で」

やよい「超うっうーみたいな~」

P「慰めになってませんよそんなの!」

P「なあやよい……昨日まではやや天使すぎるくらいだったお前が何故……」

P「アイドル活動がつらくなったのか? だからこんな姿に?」

やよい「ちょだる~」

P「……え?」

4: 2012/11/03(土) 20:08:09.60 ID:8u3O3Gi/0
やよい「ちょだる~」

小鳥「……『超ダルい』って意味なんじゃないでしょうか」

P「な、なるほど。仕事に倦怠感が」

小鳥「いえ、この場合の『ダルい』は単なる相槌であってそれ以上でもそれ以下でもないと思います」

P「そうなのか……ギャルっぽいな……って!」

P「やよいお前パーカーまでこんなラメラメに! 威嚇状態の深海生物みたいになってるぞ!」
 
やよい「ちょかわ~」

P「それは……超かわいいって意味か?」

やよい「TYD」

P「何……?」

6: 2012/11/03(土) 20:15:01.55 ID:8u3O3Gi/0
やよい「『大変よくできました』の略かなーって系」

P「な、なるほど」

やよい「ていうか、なんだかプロデューサーとかちょーきもいっていうかー」

P(――この場合の『キモい』も間を埋める意味合いでしかないとしたら)

P「やよい」

すっ

やよい「あ……」

P「いくぞ」

P「ハイ、ターッチ」

ぱんっ


P・やよい「「うぇ~~~~~~~い」」


小鳥「気だるい!」

8: 2012/11/03(土) 20:22:40.70 ID:8u3O3Gi/0
P「そんなに嫌われてはないみたいです」

小鳥「プロデューサーさんの適応力がゴイスー!」

P「一時は生死の境をさまよいましたけどね。なーやよい俺のこと好きだもんなー?」

やよい「べっ、別にスキとかそういうのじゃないってゆうかー!」

やよい「でもキライかって言われたらよくわかんないですかなーって系で超うっうーみたいなーっ!」

小鳥「急に饒舌に!」

P「でもマズいですよね……」

小鳥「ええ、私たちはともかく他の子に与える影響も……」

P「よくない前兆なんじゃ。この間みたいに――」

やよい「まぢお調子にのらないでくださーいみたいなーっ!」

伊織「お疲れ。なんか騒がしいわね」

9: 2012/11/03(土) 20:23:24.39 ID:j05LFEM10
かわいい
やよいかわいい

10: 2012/11/03(土) 20:28:12.87 ID:8u3O3Gi/0
やよい「あ、いおりちゃんちょりちょり~っす」

伊織「………」

やよい「今日もおデコちょーキマっててオニありえないんだけどーうけるーおなかペコった」

やよい「あげあげ~」

やよい「だるぽよ」

伊織「………」

伊織「………」

伊織「ふぅっ……」

小鳥「ぷぷぷプロフェッサーさん伊織ちゃんの意識レベルがー!!」

P「プロフェッサーって誰ですか! 落ち着いてください!」

11: 2012/11/03(土) 20:34:46.02 ID:8u3O3Gi/0
伊織「よくない夢を見ていたようだわ……」

伊織「そう、やよいの肌が黒褐色に……パーカーは深海生物が威嚇してる時みたいに」

P「現実だ」

伊織「ッあああああアンタねえアンタのせいでしょアンタのせいよね死ね!!」

P「誤解だから心をきしませないでくれ!」

伊織「だッてこんな外道なことするのアンタ以外ダレがいるっていうのよぅ!」

小鳥「い、伊織ちゃん落ち着いて!」

やよい「とりまスーパーいくっしょ?」

伊織「あぁやよい……あのバカプロデューサーバカに何かされたんでしょ? ね?」

やよい「………」

ふるふる

12: 2012/11/03(土) 20:41:15.93 ID:8u3O3Gi/0
伊織「え、違うの?」

やよい「………」

伊織「じゃあ何かヒドいことでも言われたとか」

伊織「もしそうだったら水瀬財閥はあの男を滅するためだけの活動体と化すわ」

P「や、殺られる……」

やよい「う……」

伊織「?」

やよい「ううぽよーっ!!!」

伊織「どっち!?」

14: 2012/11/03(土) 20:43:24.11 ID:glpAYwBx0
これはこれで可愛い
もやしあげたい

15: 2012/11/03(土) 20:47:57.72 ID:8u3O3Gi/0
やよい「ていうかさーっ、これプロデューサーのせいとかじゃなくね? ありえんてぃーかもーっ」

伊織「ど、どんな味かしら」

P「ありえんてぃーはお茶じゃないぞ多分」

小鳥「プロデューサーさんのせいじゃないって言ってるみたい」

伊織「そ、そうなの」

伊織「……疑って、悪かったわね」

P「いおりんぺろぺろ」

伊織「ぶつわよ!?」

やよい「げろまぶ」

伊織「やめなさい! ……って」

小鳥「どうしたの、伊織ちゃん」

伊織「……やよい、今日は事務所の掃除しなかったの?」

16: 2012/11/03(土) 20:53:34.66 ID:8u3O3Gi/0
P「え……?」

小鳥「そういえばいつもしてくれてるけど……本当だわ。ど、どうしてわかったの?」

伊織「別に確証があったわけじゃないけど、ただ」

伊織「このパーカ……まぶしい……いつもパーカーの袖がめくれ上がったままのことが多いから」

伊織「直してあげるのがクセになってるのよ。『アイドルなんだから油断しないの』って」

P「そうだったのか……まぶしい……」

小鳥「伊織ちゃん優しいわね。パーカーがまぶしい」

やよい「ぱねえ」

伊織「べべっ、別に優しいとかそういうんじゃないわよかゆいわね全く!」

P「……伊織の方から、言ってやってくれないか?」

18: 2012/11/03(土) 20:59:32.12 ID:8u3O3Gi/0
伊織「へ?」

P「いや……やよいもアイドルなんだし、事務所の掃除まで背負い込むことないだろう」

伊織「まあそんなのは『おそなひほほり』みたいな人の仕事よね」

小鳥「うっぐぅ!」

やよい「げろ」

小鳥「ただの!?」

P「そういう些細なことだって、アイドル活動の傍らじゃ負担にならないわけじゃない」

P「最初は仕事もなかったかもしれないが、今はなにぶん大切な時期だ」

伊織「理屈はわかるわよ。でもやよいがやりたいんだし、やよいの勝手じゃない?」

P「勝手って……そりゃ助かってはいるんだけど」

伊織「それに……私からじゃなくて、あんたから直接言えばいいじゃない」

19: 2012/11/03(土) 21:01:09.29 ID:j05LFEM10
やよい「げろ」
かわいい

21: 2012/11/03(土) 21:04:40.29 ID:8u3O3Gi/0
伊織「というかあんたから言うべきことでしょ?」

P「……う」

伊織「ふうん、そう」

P「……伊織?」

やよい「いおりちゃん、的な……」

伊織「大丈夫よやよい。何も不安がることなんてないんだから」

やよい「う、うち不安がってなんかあらへんしーっ! そなたの勘違いなんですけどー!」

やよい「いおりちゃんこそ心配ご無用系でお願いします系でー!」

伊織「ぷふっ」

やよい「わわ、笑うとかまぢありえんてぃーかなーって!」

伊織「ごめん、ごめんねってば。そうよね、ありえんてぃーよね」

25: 2012/11/03(土) 21:09:32.03 ID:8u3O3Gi/0
伊織「姿とか口調は変わったけど、やっぱり、やよいはやよいね」

P「だな」

小鳥「うんうん」

伊織「いつもの可愛くてキュートなやよいだわ」

やよい「可愛くなんてなっしんぐなんですけどーなっしんぐなんですけどー」

小鳥「言いつつも髪型を整えてるやよいちゃんマーベラス」

やよい「いおりちゃんこそ姫ぎゃる系でちょかわー」

伊織「そうね、超川口能活ね」

P「伊織ムリしなくていいぞ」

小鳥「こういう時は海外の先生に聞くのよ。これを音無-グーグル協定と呼ぶの」

伊織「ね、ねえプロデューサー!?」

31: 2012/11/03(土) 21:14:00.77 ID:8u3O3Gi/0
伊織「やよいもきっと、普段のことで色々ためこんでるんだと思うわ」

P「……」

伊織「今深く追及するのは得策じゃない、でしょ?」ぼそっ

P「そうだな……」

伊織「だからどっか連れてってあげなさいよ、息抜きにでも、あんたが」

P「俺!?」

やよい「え……」

小鳥「姫ギャルとは、AD2007年あたりから出没した、過去にロマンティック系と呼ばれていた――」

伊織「あんた以外に誰がいるのよ」

P「……いいかもな。幸い今日は時間もあるし」

P「やよい、俺とどっか行くか?」

32: 2012/11/03(土) 21:18:24.20 ID:8u3O3Gi/0
やよい「う……」

伊織「やよい?」

P「あ、嫌なら嫌で全然かまわないんだぞ!? あくまでこれはやよいのためなんだしな!」

P「やよいが今辛いんだったらわざわざ出かける必要も」

伊織「ちょっと黙ってて」

やよい「う………」

やよい「うっうーーーー!!!」


ぺかーーーーーーっ☆☆☆


P「何ィーーー!!??」

伊織「どどどどういうことっ、やよいの身体がにわかに輝きだしたわ!」

小鳥「やだー新刊出てるわーポチっておきましょう」

33: 2012/11/03(土) 21:23:26.83 ID:8u3O3Gi/0
P「わからんっ、一体何が起こって!?」

伊織「あ、あれ! やよいの顔の黒さがゆるやかに落ち着いていくわ!」

P「パーカーのラメも薄らいでいく……!」


やよい「プロデューサー、おはようございまーっす!」


P「元に……」

伊織「戻った?」

34: 2012/11/03(土) 21:24:15.15 ID:4nCgsEm60
どうなってんだ

35: 2012/11/03(土) 21:25:29.16 ID:j05LFEM10
第三の力だよ

36: 2012/11/03(土) 21:25:58.49 ID:8cEJNzX40
なら納得お得だな

37: 2012/11/03(土) 21:27:50.46 ID:8u3O3Gi/0
小鳥「なんてこと! 私が新刊をポチったらやよいちゃんが元に戻ってる!」

やよい「お出かけですか? うっうー! 行っちゃいますよー!」

P「あ、ああ……」

伊織「ええ……いや!」

伊織「やよいっ、あああんんたねぇっ、今までの格好と口調は何だったのよっ!」

P「そうだぞやよい! 今までの格好と口調は何だったのよ!」

伊織「気持ち悪いわよアンタ!」

やよい「え、ええっ……」

やよい「あう、えっと、その……」

P「いやいや! 何もやよいを責めてるわけじゃないんだむしろアレはアレで」

伊織「そうよ! やよいがいつだって可愛い事実は世界的に認められているところでもあるし」

やよい「あの……二人とも、何のことを話してるのかなーって」

38: 2012/11/03(土) 21:32:31.36 ID:8u3O3Gi/0
P「………」

伊織「………」

伊織「……おぼえて、ないの……?」

やよい「あの……」

小鳥「やよいちゃん、さっきまでギャルみたいな格好と話し方で……」

やよい「? ぎゃる?」

伊織「……演技じゃ」

P「ないだろう。んなもん、する必要がない。やよいだぞ?」

伊織「わかってるわよ……でも、だったら」

やよい「プロデューサーっ!」

41: 2012/11/03(土) 21:38:06.81 ID:8u3O3Gi/0
やよい「あの……わたしっ」

やよい「またプロデューサーに迷惑をかけちゃいましたか……?」

P「―――」

やよい「プロデューサー、眉のあいだがこーーいう風に、しわしわになってるから」

やよい「この間みたいに、その……私がまた……」

P「やよい! そんなことはない!」

やよい「でもっ」

P「やよいのことを迷惑だなんて思ったこと一度もない。俺はプロデューサーだぞ」

やよい「そう、ですよね……」

P「やよい……」

千早「お早うございます」

42: 2012/11/03(土) 21:42:13.55 ID:mu5Be4lM0
神の見えざる手か…

43: 2012/11/03(土) 21:43:34.46 ID:8u3O3Gi/0
伊織「あら……」

小鳥「ち、千早ちゃん、おはよう」

千早「何かあったの?」

小鳥「……えぇっと」

伊織「別に大丈夫よ。ひとまずは元通りだから」

千早「よくわからないけれど大丈夫ならいいわ」


やよい「超うっうーみたいな~」


伊織「ブフーーーーッ!!!!」

千早「きゃぁあっ! 唾ぁああ!」

44: 2012/11/03(土) 21:48:33.77 ID:8u3O3Gi/0
千早「何なの、いったい何が起こって……」

やよい「あ、千早センパイちーーっす。おつーんす。今日もお疲れさまでした系の感じでー」

やよい「『ちーっす』と『おつーんす』を合わせて~……」

やよい「ううぽよーーーっ!!!」

千早「………」

千早「―・・―・・・――・―・―」

P「千早、今のは別にモールス信号じゃないんだ」

伊織「ちょっとアンタ! どういう――」

P「すまんみんな。またギャル化した」

伊織「どういうことなの!?」

46: 2012/11/03(土) 21:54:19.69 ID:8u3O3Gi/0
千早「……高槻さんが黒くなったり白くなったり黒くなったり? 言っている意味が……」

小鳥「それが私たちにも……」

伊織「起きていることが全てよ。千早、あんたも見たでしょ?」

千早「不可思議さは置いておいて、高槻さんを元に戻すことだけ考えるなら」

やよい「センパイはまぢぱないからなー。みとけよー」

千早「元に戻った時の状況はどうだったの?」

やよい「やびゃあ」

P「戻ったのは……俺と一緒に出かける話になって」

千早「プロデューサーと……」

伊織「……!!」

やよい「……!!」

48: 2012/11/03(土) 21:59:09.41 ID:8u3O3Gi/0
小鳥「あら、やよいちゃんお顔が真っ赤」

やよい「~~~」

千早「本当だわ。どうしたのかしら」

伊織「……ありえないと思うけど照れてたりして」

P「えっ、おいおい~」

やよい「タイムセール」

P「え……」

やよい「タイムセール! タイムセールですので!」

千早「……」

伊織「無言で私の方見ないでよ! わかんないわよタイムセールなんじゃないの!?」

やよい「タイムセール系の感じなんでーっ!」

P「やよい!? おいっ、どこに行くんだやよい!」

49: 2012/11/03(土) 22:04:57.98 ID:8u3O3Gi/0
P「待ってくれやよい! 本当にタイムセールに行くつもりなのか!?」

P「それはスーパーに行くっていう意味なのか!?」

P「そもそも本当にタイムセールの時間なのか!?」

P「危ないから走るのはやめるんだやよい!」

P「行くにしても少しだけ時間をくれ! 頼む! お前を元に戻す方法を」 


P「トイレだった」


小鳥「oh……」

51: 2012/11/03(土) 22:10:18.67 ID:8u3O3Gi/0
伊織「デリカシーの欠片もないゴミ蔵ね」

P「お前らだってわかってなかったくせに!」

P「……変なところで気を遣うなぁ。お手洗いくらい普通に行っていいのに」

伊織「そういうわけにもいかないでしょバカ」

千早「男女の違いもあるけれど……なんだか、高槻さんらしいって思っちゃったわ」

千早「奔放そうに見えて、変に遠慮するというか、奥ゆかしい? うまく言えないけれど」

P「………」

千早「プロデューサー?」

伊織「ね、ねえ!」

55: 2012/11/03(土) 22:27:33.72 ID:8u3O3Gi/0
伊織「今は別に、やよいを無理に元に戻す必要もないんじゃないかしら」

小鳥「伊織ちゃん……」

伊織「休む時期というか、インターバルは必要でしょ?」

千早「そうね……その通りだと思うわ」

千早「高槻さんは高槻さんだものね」

伊織「休んでも治らなかったら……キュートギャル系アイドルとして売り出すとか!」

小鳥「新しいわ!」

P「いいかもな……やよいはやよいだもんな!」

伊織「そうよ、やよいはやよい! その可愛さが曇ることなんてないわ!」

千早「高槻さんは高槻さんだものね!」

P「やよいはやよいだ! よーし頑張ってプロデュースしちゃうぞーー!!」

56: 2012/11/03(土) 22:33:43.09 ID:8u3O3Gi/0

――――――――……



律子「ダメに決まってるでしょう」

P「………」

伊織「………」

千早「………」

律子「今までのイメージってものがあるんです。まったくの真逆じゃないですか」

律子「なんですかキュートギャル系アイドルって」

P「………」

伊織「………」

千早「………」

小鳥(お通夜みたいになってる……)

57: 2012/11/03(土) 22:35:46.57 ID:yCve9JNt0
正座させられる事のないいおりんとちーたん想像してフイタ

59: 2012/11/03(土) 22:38:26.52 ID:8u3O3Gi/0
P「所詮、現実逃避」

P「ダメだ、やっぱりどうにか……」

律子「それとやよいならさっき見かけましたが、いつも通りでしたよ」

P「は!?」

伊織「ど、どういうこと!?」

律子「お手洗いの前でずっと恥ずかしそうにそっちをうかがっていたけど」

千早「聞かれていたんですね……」

律子「やよいが黒ギャル? って言うんですか? ……になったなんて信じられないですけど」

律子「このメンツが揃って嘘をつくとも思えませんし、現実、だと思うことにします」

P「現実……」

律子「向き合うべきもの、という意味です」

60: 2012/11/03(土) 22:43:48.87 ID:8u3O3Gi/0
律子「このところやよいには色々と仕事を与えてるみたいですけど」

律子「今回のことはそれと……」

P「……」

律子「いえ、やめておきます。所詮私は協力者であるけど部外者」

律子「やよいのプロデューサーはあなたなんですから」

律子「どうか、向き合ってあげてくださいね、プロデューサー殿」


P「俺、は……」

伊織「あんた……」

千早「あの、プロデューサー」

61: 2012/11/03(土) 22:48:39.36 ID:8u3O3Gi/0
千早「高槻さんは、自分がああなっていたことを知らないんですよね?」

千早「だったら、私は本当のことを教えてあげたほうがいいと思うんです」

千早「でなければいつまでも輪の外のままになってしまう」

小鳥「千早ちゃん……」

千早「前提として、必要なことだと思うんです」

千早「そのあとでプロデューサーが、高槻さんにどんな言葉をかけてあげるにしても」

伊織「……私も賛成」

P「すまない……俺から言うべきことだったのに……」

千早「いえ……」

小鳥「そうと決まれば……再生の準備しますね……隠し撮りしてたやつの……」

62: 2012/11/03(土) 22:51:53.03 ID:8u3O3Gi/0

伊織「オラッッッッ!!!!!」


小鳥「ぐぇええええええええええ!!!!!」

64: 2012/11/03(土) 22:57:13.79 ID:8u3O3Gi/0
P「やよい、驚かないで見てほしいんだ。今から始まる映像を」

やよい「は、はい……あの」

千早「………」

伊織「………」

小鳥「」

やよい「小鳥さんはどうして立ったまま眠ってるんですかー……?」

P「ちょっと心がどこかにお出かけしちゃってるのかな(笑)」

やよい「そ、そうなんですかー」

千早「あの、結局見せるんだったら音無さん殴られ損……」

P「シッ!」

P「じゃあいいか……始めるぞ」

やよい「……」

65: 2012/11/03(土) 23:01:35.23 ID:8u3O3Gi/0
『超うっうーみたいな~』


やよい「……!!」


『もうアイドルとかやめちゃおうかなーって』

『まぢお調子にのらないでくださーいみたいなーっ!』


P「やよいは覚えてないって言ってたことだが」

P「断続的に……ときどき、やよいは普段とは違う行動を見せていたんだ」

P「行動だけじゃなく外見もだけど」


『う、うち不安がってなんかあらへんしーっ! そなたの勘違いなんですけどー!』

『可愛くなんてなっしんぐなんですけどーなっしんぐなんですけどー』


やよい「う……///」

66: 2012/11/03(土) 23:07:14.81 ID:8u3O3Gi/0
千早「これ……やっぱり高槻さんには辛いことよね。可愛いのだけど」

伊織「そうね……可愛いけど。可愛いんだけどね」

千早「可愛い」

やよい「ううぅ……///」


『あ、千早センパイちーーっす。おつーんす。今日もお疲れさまでした系の感じでー』

『タイムセール! タイムセールですので!』


P「今のやよいはもちろん元のやよいだ。でもこの現象は繰り返し起きてる」

P「つまりやよいはまたこの状態に戻ってしまうかもしれない」

P「そうなると、『高槻やよい』というアイドルとしては、やっぱり少し困るんだ」

67: 2012/11/03(土) 23:13:52.75 ID:8u3O3Gi/0
やよい「あ……」


『なんだか、高槻さんらしいって思っちゃったわ』

『奔放そうに見えて、変に遠慮するというか、奥ゆかしい? うまく言えないけれど』


やよい「………」

P「やよい?」

やよい「私……なんなんだろ……」

68: 2012/11/03(土) 23:20:39.37 ID:8u3O3Gi/0
伊織「―――!」

千早「高槻さんの雰囲気、急に――」

やよい「やっぱり……やっぱり私、プロデューサーに、みんなにっ……」

やよい「わかって、わかってたはずなのに、なのにわたしっ」

P「え……?」

小鳥「やよいちゃんっ!?」

やよい「ごめんなさいプロデューサー! ごめんなさいっ!!」

伊織「まずいわ……」

やよい「私、ひきょうものなんです! ずるいんです! わがままな子なんです!」

やよい「とってもとっても、いやになっちゃうくらいっ……」

P「何を――」

69: 2012/11/03(土) 23:27:20.48 ID:8u3O3Gi/0
やよい「だめ、わたし、だめなんですっ、プロデューサーにっ」

やよい「だめなこと……」

やよい「ずっと……わたしっ……」


やよい「ううぅっ――!!」


P「っ! やよい!!」

伊織「やよい! 待ちなさい!!」

70: 2012/11/03(土) 23:36:13.86 ID:8u3O3Gi/0
千早「わ、私、が――いけなかったの」

伊織「あんたのせいじゃない、落ち着きなさいよ」

P「……」

伊織「そこのへっぽこプロデューサーも! まだ間に合うでしょうが!」

P「わかってる……」

P「でもその前に懺悔しておきたい」

小鳥「懺悔……?」

伊織「……」

伊織「私、さっきの映像を見て確信したわ」

伊織「やっぱりあの『黒いやよい』は、やよいの影みたいなものなのよ」

73: 2012/11/03(土) 23:42:14.51 ID:8u3O3Gi/0
千早「……それはつまり」

伊織「『裏と表』と言い換えてもいいわ、もう一人のやよい、隠された願望」

伊織「気持ちの内側……」

P「だったらやよいは自分の影と向き合ったってことだ。俺にだって向き合う義務がある」

伊織「それはあの日のことよね?」

P「伊織……」

小鳥「『あの日』……もしかしてやよいちゃんが」

千早「ダンスレッスン中に倒れてしまった――」

P「……ああ、一ヶ月前のその日のことだ」

P「やよいが倒れた。俺の目の前で」

76: 2012/11/03(土) 23:48:14.90 ID:8u3O3Gi/0
P「やよいがレッスンの進行度とズレ始めていることには気づいていた」

P「俺は静観を決め込んだ。開花が遅くとも、あの子には素晴らしい資質があると思ったから」

P「今は心と身体のバランスがうまく取れていないだけだと」

P「でもそのただの粋がりは、やよいの首を絞めていた」

P「俺はやよいを見殺しにした」 

P「それだけじゃない、俺は――!」

伊織「待ちなさい。確認させて」

伊織「大事なのは今よ。やよいの『影』がどうして出来ていて、その顔を出すのか」

伊織「あんたはわかってるのよね?」

77: 2012/11/03(土) 23:52:29.49 ID:8u3O3Gi/0
P「やよいは……かまってほしかったんだと思う」


『プロデューサーとかまぢうざいかもー』


P「みんなと遊んで、好き勝手にふるまって」


『まぢお調子にのらないでくださーいみたいなーっ!』


P「無理していつもの元気な自分を演じずに、不自由なく過ごしたかったんだと思う」


『ちょだる~』

『……やよい、今日は事務所の掃除しなかったの?』

79: 2012/11/03(土) 23:57:14.69 ID:8u3O3Gi/0
P「こんな俺にも、やよいはまだメッセージを送ってくれていたんだ」

P「受け取らなくちゃ駄目だ」

P「二回目は、ナシだろ」

伊織「……そこまでわかってるんなら良いわ」

伊織「あんたの気持ちの内側は、ここでじゃなく、あの子に伝えてあげなさい」

P「伊織……」

P「ありが」

伊織「あんたに礼を言われる筋合いなんてない。私はやよいのために動いてるだけなんだから」

千早「ふふっ」

伊織「な、何よ」

千早「だから、『無理に元に戻す必要はない』って?」

伊織「だ、だったら何よっ! あんただって同じでしょっ、私はやよいが大切なの!」

80: 2012/11/03(土) 23:59:30.66 ID:8u3O3Gi/0
小鳥「でも、大切にしておくことと、大切に向き合うことは違う」

小鳥「やよいちゃんの影を消す方法、見つけ出さないと……ね?」

伊織「……ええ」

小鳥「プロデューサーさん、行ってあげてください、やよいちゃんのもとへ」

千早「あの、私からもお願いします!」

千早「独りで閉じこもってしまう時間は、何物にも勝る苦しみだから」

P「わかってる。みんなが情けない俺の背中を押してくれたし」

伊織「……『卑怯者』って言ってたわね。やよいもまだ何か隠してるのかもしれないわ」

伊織「ちゃんと、うまくやりなさいよね」

82: 2012/11/04(日) 00:03:24.40 ID:h3O6FBEm0

――――――――……



やよい「……うん……そうだね……」


やよい「うん……ううん、それは、ちょっと違うかなーって」


やよい「プロデューサーが悪いわけじゃなくて……」


やよい「わたしが……」


やよい「そんな……こと……」



P「やよい……誰かいるのか?」

やよい「!! ぷ、ぷろでゅーさっ」

84: 2012/11/04(日) 00:09:16.41 ID:h3O6FBEm0
P「よかった。ここにいてくれて」

やよい「………」

P「少し話を聞いてくれるか……俺は、お前に謝らなきゃいけない」

やよい「プロデューサー……」

P「さっきはすまなかった。まずは状況を説明した方がいいと思ったんだ」

P「みんな悪気があったわけじゃない。でもお前が受けるショックを軽く見すぎていた」

やよい「ちが、ちがうんです……」

P「もっとやり方はあったはずなのに傷つけるだけで」

P「でも、そもそもは俺のせいだ。一ヶ月前から俺がやよいを――」

やよい「ちがうんですプロデューサー!」

P「違うものか! やよい、無理をすることはいいことばかりじゃない!」

やよい「わたしっ、ウソをついてたんです!」

85: 2012/11/04(日) 00:14:18.75 ID:h3O6FBEm0
P「嘘……?」

やよい「一ヶ月前――」

やよい「そうです、一ヶ月前ですよね……私がここで、このレッスンルームで倒れちゃって」

P「……うん」

やよい「あの時から、なんです」

やよい「えっと、ちがう……倒れる瞬間にです」

やよい「声が聞こえたんです」

P「え……」

やよい「それで、その声は私が目覚めてからも聞こえるようになったんです」

やよい「それは私自身の声そっくりで」

やよい「きっと、もう一人の私なんだなって」

87: 2012/11/04(日) 00:19:30.48 ID:h3O6FBEm0

『もう一人のやよい』

『影みたいなものなのよ』


やよい「わわ、私、ヘンなこと言っちゃってますよね、なんだか」

P「影……ってことか」

やよい「そうです、影さんですっ」

やよい「……あの、それで、私はだんだんとその『影さん』と話せるようになって」

やよい「不思議なことですけど、心の奥から聞こえてくるんです」

やよい「その声に私も話し返すと、どんどんお話が広がっていって」

P「うん……」

やよい「私はいつのまにか、『影さん』とお話できるのが楽しみになっていました」

88: 2012/11/04(日) 00:26:26.78 ID:h3O6FBEm0
やよい「『影さん』は私のそばにいてくれて、私が言えないこともずばーんと言っちゃうんです」

やよい「レッスンで倒れちゃってから、私はずっとがんばろうがんばろうって思ってました」

やよい「プロデューサーの顔を見れば、心配してくれてるのがわかって」

やよい「だからもう迷惑をかけちゃいけないって、いつも元気でいようって」

やよい「あきらめる言葉を口から出しちゃったら、そのままダメになっちゃうかもって」

P「やよい……」

やよい「でも『影さん』は、そんな私に言っちゃうんです」

やよい「『だるかったらだるくなればいい』『アイドルなんかやめちゃえばいい』」

91: 2012/11/04(日) 00:34:19.54 ID:h3O6FBEm0
やよい「私は『そうじゃないよ』って言うんです。『やめるのとは違うんだよ』」

やよい「やめたくないからつらくて、だるくてもやりたいんだよって」

やよい「そうしたら、『少し休むのならいいでしょ』って聞かれて」


『……うん、それならいいかもー』

『なら休もう。休んじゃおう。それが今やよいちゃんに必要なことだよ』

『でも、どういう風に?』

『かんたんなことだよ』


『少しのあいだ、「わたし」になってみない?』

92: 2012/11/04(日) 00:40:14.12 ID:h3O6FBEm0
やよい「なんだか、つかれていたんです」

やよい「それととってもさびしいなんて思って」

やよい「プロデューサーがいっぱいがんばってくれて、事務所のみんなもがんばってるのに」

やよい「いけないことなのに、でも」

やよい「私は『影さん』の言葉に、心の中で『うん』って言っていて」

やよい「そうしたらすぅーって眠っちゃうみたいに……」

やよい「だから……プロデューサー」

P「………」

やよい「私は、しってたんですよ……もう一人のわたしのことを……」

94: 2012/11/04(日) 00:45:34.16 ID:h3O6FBEm0
P「そうか……知ってたのか……」

やよい「知っててウソをついたんです、プロデューサーたちに」

やよい「『何のことを話してるのか』なんてとぼけてたんですっ」

P「すごいな……全然、見抜けなかった……」

P「演技――」


『んなもん、する必要がない。やよいだぞ?』


P「バカじゃないのか俺……」

P「魔性だなやよい」

やよい「……でも、覚えてないっていうのは本当なんです」

やよい「私は、もう一人のわたしになっているあいだのことをおぼえてませんでした」

96: 2012/11/04(日) 00:51:21.84 ID:h3O6FBEm0
やよい「でも、プロデューサーのやさしい声が聞こえてくると、ふわーって浮き上がって」

やよい「プロデューサーがどこかへ連れて行ってくれるって」

P「あ……」

やよい「すごくすごーくうれしかったんですっ」

やよい「プロデューサーは私のためにいつも頑張ってくれてるのに」

やよい「私のことを見てくれていないんじゃないかって……」

P「――っ」

やよい「おかしいんですそんなこと思っちゃうの」

やよい「だからプロデューサーの言葉を聞いて、私はもっとわがままに、ひきょうに」

97: 2012/11/04(日) 00:54:58.76 ID:Vy0NiXTAO
まさかのシリアス

98: 2012/11/04(日) 00:57:17.20 ID:h3O6FBEm0
やよい「ウソなんかついて、とぼけて、でもプロデューサーの顔はすごくつらそうで」

やよい「それでも私はっ、声が聞こえて、『影さん』で、またさびしくっ」

やよい「『迷惑なんかじゃない』って言ってもらえてっ、また甘えてっ……!」

やよい「わかんないのに、だめなのにっ……また『影さん』になってしまいました!」

P「やよい……」

やよい「プロデューサー……ぷろでゅーさぁっ……」

やよい「ビデオを見て、私はなにをやってるんだろうって、なんでひきょうなのってっ!」

やよい「こんなのいやだ、だめだっ、ひきょうな私がいけない!」

やよい「わがまま言って、いけないってわかってたのにっ!」

やよい「わたし……ううぅ……ひっく」

やよい「もう、だめなんでしょうか……ぷろでゅーさぁあ……」

100: 2012/11/04(日) 00:58:41.51 ID:vFomqzC70
黒ギャルからこんな展開を誰が予想しただろうか

101: 2012/11/04(日) 00:58:53.12 ID:h3O6FBEm0
P「………」

やよい「ぷろ……でゅーさぁ……?」

P「ぷふ……ふっくく……」

やよい「え、えええっ」

P「ふふふっ……ふっはは、くふふふふっ!」

やよい「わわ、わらうなんてひどいですーっ!」

P「やよいは可愛いなあ!」

P「そうしたらアレか、二回目にやよいが『浮き上がって』これたのも」


『やよいはやよいだ! よーし頑張ってプロデュースしちゃうぞーー!!』


P「俺が言ってたことがうれしかったから?」

やよい「あ……う……///」

102: 2012/11/04(日) 01:02:48.74 ID:h3O6FBEm0
P「簡単なことだったんだよな、こうして話せばよかったんだ」

P「恥ずかしいからなんて言い訳して向き合わずにいたんだ」

P「俺、ギャルのやよいとはすごく素直にしゃべれてたと思うんだけどさ」

やよい「そうなんですか……?」

P「あの子はずばーって感じだったからな」

P「でも、ちゃんと今のやよいとも向き合わないと」

P「やよいもこうして俺に吐き出してくれたんだから」

やよい「プロデューサー……」

P「やよい、俺な、ビビってたんだよ」

103: 2012/11/04(日) 01:03:20.01 ID:H3syGXMxO
やよいはかわいいなぁ

104: 2012/11/04(日) 01:07:57.10 ID:h3O6FBEm0
P「やよいが倒れて、俺はすごく動揺した」

P「これからのやよいのことを色々考えたよ。眠れなかったし食えなかった」

P「幸い大事には至らなくて、戻ってきたやよいを見た時に、俺は震えた」

P「どうすればいいんだって唐突に思った」

P「今までのプロデュースじゃ、同じ事を繰り返してたらやよいがまた倒れる」

P「そう考えたら俺は、やよいのことを見れなくなってた」

P「壊れ物を扱うみたいに、やよいに触れることを恐れていたんだ」

106: 2012/11/04(日) 01:13:18.86 ID:h3O6FBEm0
P「ごめんな、やよい」

やよい「え……」

P「将来のやよいを考えて、ダンス以外に色々な仕事を与えた」

P「でもお前は、今の自分の悩みを聞いて欲しかったんだよな」

P「寄り添っていてほしかったんだよな……」

P「やよいは今ここからリスタートすることだけを考えていたのに」

P「俺は現実から逃げて、むやみに目線を前へなげうってた」

109: 2012/11/04(日) 01:15:44.25 ID:h3O6FBEm0
P「それでもお前は……俺に期待してくれた」

P「俺はもう一人のお前から聞いたよ。そんな苦しい思いをしてるのに」


『ていうかさーっ、これプロデューサーのせいとかじゃなくね? ありえんてぃーかもーっ』


P「お前は俺をかばってくれたんだよ」

やよい「……っ」

P「今思えば、やっぱりやよいだ」

P「気配り上手で、甘え下手で、ちょっぴり我慢しがちなお前だ」

P「でもな、やよい」

P「我がままを言いたくて、遊びまわりたくて、何の遠慮もなく甘えたいお前だって」

P「大切なやよいの一部なんだよ」

110: 2012/11/04(日) 01:18:18.99 ID:h3O6FBEm0
P「ごめんな、今まで逃げてばっかりで」

P「お前が弱音を吐き出さずに、ためこむ性格だって知ってたのに」

P「ごめん」


ぎゅっ


やよい「ぷろ……でゅーさ……」

P「そして、ありがとう。こんな俺にまだお前とふれあえるチャンスをくれて」

P「もう絶対に逃げたりしない」

P「俺は何があっても、お前のプロデューサーでいる」

P「いつだって胸を張ってやよいのそばにいる」

P「だから、やよい……つらかったら甘えていいんだ」

やよい「っ……」

113: 2012/11/04(日) 01:21:56.88 ID:h3O6FBEm0
P「迷惑なんて考えずに、遠慮なしに、何でも俺に言っていいんだ」

P「俺はやよいを受け止める、そのためにいるんだから」

やよい「っ……ううぅっ……」

P「俺が頼りなかったら、一緒に悩もう。二人なら辛さもやわらぐはずさ」

P「さびしいときも疲れたときも、俺たちは一緒だ」

やよい「ぷろでゅーさぁあっ……!」

やよい「わたしっ……ひっぐっ……ぐすっ、わたじっ、」

P「ほら、また我慢してるぞ」

P「泣いていいんだ、やよい」

やよい「うううぅっ……」

P「ごめんな……」

やよい「ううぅっ、うあああぁっ」


やよい「うわぁああああああんっ……!!」


114: 2012/11/04(日) 01:24:02.41 ID:h3O6FBEm0

『………』


『………』


『……影さん?』

『もう、だいじょうぶだね……』

『やよいちゃんはわたしがいなくても』

『影さん……行っちゃうんですか?』

『いつまでもわたしに頼ってちゃ、め、だよっ。だってやよいちゃんには』

『プロデューサーがいますーっ』

『そうだよ、一緒に歩くんだよ』

115: 2012/11/04(日) 01:27:14.32 ID:h3O6FBEm0
『今度からは、ちゃんと素直に言うんだよ?』

『うん……』

『ちゃんと受け止めてくれる人がいるんだからね』

『うんっ』

『素直に甘えるんだよ。休みたいときは休むんだよ』

『迷惑だなんて思ったら、メーワクなんだから』

『うん……あの、影さんっ』

『ずっとずっと、今までありがとうございましたーっ!』

『………』

『そ、そういう水くさーいのはご遠慮願います系でー! 超うっうーみたいなーっ!』

『あははっ、超うっうーみたいなーっ!』

116: 2012/11/04(日) 01:29:37.26 ID:h3O6FBEm0
『じゃあ、ね』

『うん……』

『やよいちゃん、元気でね』

『私……影さんといちど会ってみたかったなーって。もし実際にあえたら……』

『………』

『別に、ここでもできるよ、やよいちゃん』

『その人のことをおもえば、わたしたちはいつでもつながっていられるんだよ』

118: 2012/11/04(日) 01:31:50.50 ID:h3O6FBEm0
『影さん……』

『ほら……』

『せーの』

『! せーのっ』

『ハイ、』

『ターッチ!!』


『うぇ~~~~~~いっ!!!』


119: 2012/11/04(日) 01:33:37.19 ID:ZSTU9Nyb0
うえ~~~~~~~~~い

120: 2012/11/04(日) 01:34:22.72 ID:h3O6FBEm0

――――――――……



春香「プロデューサーさんっ、聞きましたよ!」

P「うわ、びっくりした」

春香「やよい、今度ドラマの主演が決まったって! それもタイアップの曲まで!」

P「主演といってもダブル主演だけどな。曲ももう一人の主役の子とデュエットになる」

P「でも、その曲もダンスを織り交ぜたものになるから挑戦しがいはあるよ」

春香「やよい……大丈夫かな」

P「大丈夫、俺がついてるし」

春香「わぁ、すごい自信」

P「……ところで春香、その手に持ってるのは?」

125: 2012/11/04(日) 01:46:10.86 ID:h3O6FBEm0
春香「え? ああ、これですか? や、これは全然関係なくて」

春香「あぁでも、プロデューサーさん……こういうのどう思います?」

春香「健康的だといいけど、こういう黒くてラメラメーみたいなのって一般的じゃな」

P「……春香」

春香「はい?」

P「それ、どこにあった?」

春香「えぇっと、随分前から置いてあったような、ほかの雑誌と一緒に」

春香「でかでかと『ギャル』なんて書いてあるから読んでませんでしたけどねー」

P「………」

P「それがモデルか……」

127: 2012/11/04(日) 01:51:32.30 ID:h3O6FBEm0
春香「え、今何か」

P「春香、スケジュール」

春香「わわっ、そうでした! なんかついつい読み耽っちゃってたなーいけない!」

春香「ではプロデューサーさん! またあとでっ」

P「あのさ」

P「……お前も、辛くなったら言うんだぞ?」

春香「え……?」

P「どこにいても、すぐ駆けつけてやるから。もし悩んでることがあったら言えよ?」

春香「あ……はい……」

春香「えへへ、恥ずかしいなあ……どうしたんですか急に」

128: 2012/11/04(日) 01:53:51.79 ID:G7pd8u/TO
のヮの「うぇ~~~~~~い!」

130: 2012/11/04(日) 02:01:12.42 ID:h3O6FBEm0
P「いいや……少し思い出してさ」

P「でも、大事なことだぞ」

P「大人だってつい忘れてしまう、とても大切なことだ」

P「誰だっていろんなことをためこむけど、それは吐き出していいものなんだよ」

P「それを俺は教えてもらったんだ」

P「小さくてかわいい黒ギャルにさ」

春香「……?」



『べ、べつに』


『可愛くなんてなっしんぐなんですけどー』



                                
                            
                                  
                                 おしまい

132: 2012/11/04(日) 02:03:28.49 ID:G7pd8u/TO
超乙なんですけどぉー

133: 2012/11/04(日) 02:03:36.91 ID:/sDGiVM00

136: 2012/11/04(日) 02:08:14.91 ID:vFomqzC70
ちょっとマジ乙なんすけどぉ~
おっつぅ~

引用元: P「やよいが黒ギャルになった」