1: 2012/01/04(水) 21:11:38.91 
貴音「確かめてみますか?」

P「えっ」

貴音「ふふっ」

P「そ、そういえば貴音は冗談が好きだったよな。
 けど、そういう冗談は相手を勘違いさせるから、やめといた方がいいと思うぞ」

貴音「勘違い、とは?」

P「それは……つまり、寝るときの姿を見せる位だから、相手の事を憎からず思ってるとか」

貴音「…………」

P「もっと言えば好きだとか。まあ、これは少し飛躍しすぎかもな」

貴音「……ならば勘違いではありませんね」

P「え?」

貴音「つまり、あなた様の事をお慕い申していて、それ故に見て頂きたいということです」

P「お慕いって……ええぇ!?冗談だよな?」

貴音「おや、これが冗談で言っている顔に見えますか?」ジッ

5: 2012/01/04(水) 21:19:46.70 ID:Y5N3wW4Q0
P「そ、そりゃあ貴音にそう思って貰えるのは嬉しいというか、男冥利に尽きるというか」

貴音「……」

P「でも、俺とお前はプロデューサーとアイドルの関係であって、そういうのは駄目な訳でだな……」ブツブツ

貴音「……」

P「しかし、最後に重要なのは二人の意思でもあるし……」ブツブツ

貴音「……くすっ」

P「でもやっぱり、貴音の気持ちにはって……ん?」

貴音「ふふっ。失礼、冗談が過ぎました。
   確かにあなた様の事は大変信頼していますが、男女の仲を指す意味合いではありません」

貴音「今日のあなた様は眠そうな御様子でしたので、眠気覚ましに冗談を、と思い立ったのです」

6: 2012/01/04(水) 21:23:46.24 ID:Y5N3wW4Q0
P「貴音、確かに眠気は吹っ飛んだけど心臓に悪いよ。
おかげで、寿命が少し縮まったかも」

貴音「ふふ、それは失礼しました。……では、お詫びに手料理を振る舞わさせて頂くというのは如何でしょうか。
   それで、水に流してはもらえませんか?」

P「……それも冗談なんだよな?」

貴音「いえ、これは決して冗談ではありません。それに、前々からあなた様の頑張りに対して
   何か報いる事ができないかと考えていました」

P「うーん……。その気持ちは凄く嬉しいけど、報いるってのはちょっと大袈裟じゃないか?
 それに、貴音が頂点を目指して俺と一緒に頑張ってくれる」

P「それ自体が報いるって事だし、何よりそれが最高に嬉しいよ。
  ……って、この台詞はちょっとくさかったかな」

貴音「あなた様……」

8: 2012/01/04(水) 21:27:46.42 ID:Y5N3wW4Q0
P「だから料理を作ってもらわなくても、」

貴音「で、でしたら料理を振る舞う事に特別な意味なく、
   一人暮らしが問題なく出来ているかどうか、上司としてのちぇっく」

貴音「その一環として、食べては貰えませんか?」

P「……なるほど。そういう事なら是非、ごちそうに預かろうかな」

貴音「よ、よろしいのですか?」

P「ああ、こっちこそ頼むよ。実は最近、コンビニの弁当ばかりで手料理に飢えてたんだ」

貴音「承知しました。腕によりをかけて作らせて頂きます」

P「それじゃあ、むさ苦しくて悪いけど、俺の自宅で良いか?貴音の所は男子禁制だしな」

貴音「はい、勿論です」

11: 2012/01/04(水) 21:31:47.38 ID:Y5N3wW4Q0
P「よし。じゃあいつにしようか」

貴音「急ではありますが今日は如何でしょうか。明日は週末ですし、運良くあなた様の休暇日でもあります。
   手の込んだ料理を作る余裕もありましょう」

P「そうだな。急ではあるけど折角なら、貴音の気合いの入った料理を食べたいし」

貴音「ええ、お任せ下さい」

P「じゃあ、そういうことで頼むよ」

貴音「はいっ」

P「ところで、貴音はどうして俺の休みを知ってるんだ?不定期だから把握しにくいだろ?」

貴音「っ……、それは……」

P「それは?」

12: 2012/01/04(水) 21:35:45.91 ID:Y5N3wW4Q0
貴音「そ、そうです!先ほど申し上げた通り、前々からあなた様を労いたいと考えていた故に
   休暇日を把握していたのです!ただそれだけの事です!」

P「……」

貴音「(必死過ぎたでしょうか……)」

P「貴音、お前……」

貴音「(もしや、私の気持ちがばれたのでしょうか?だとすれば、穴掘って埋まってしまいたい気分です……)」

P「そこまで俺に対して……」

貴音「ううっ……///」

P「感謝してるなんてな」

貴音「へ?」

13: 2012/01/04(水) 21:39:46.78 ID:Y5N3wW4Q0
P「いやあ、そこまで感謝されるなんてプロデューサー冥利に尽きるよ」

P「たまに休みがあるものなら、美希や亜美真美にどっか連れてってくれとか、
 千早に練習に付き合ってくれとか」

P「あずささんは道に迷ったから、迎えに来てくれとか」

P「真には女の子らしさを研究するために、デートの真似事してみましょうとか」

貴音「…………」ピクッ

P「雪歩にいたっては、お茶には妥協できないとか言って、泊まりで静岡まで茶摘みに付き合わされるし」

貴音「…………」ピクピクッ

16: 2012/01/04(水) 21:43:46.38 ID:Y5N3wW4Q0
P「まあ、どうせ寝るだけの休日だし、あいつらの普段を知るって事で悪くはないけどな。
 だけど、俺の体力を考えてほしいよ」

貴音「そうですね。やりがいのある仕事ではありますが、色々とすとれすが溜まるのもまた事実」

貴音「ですから、すとれす解消の為に、あなた様に協力して貰いたいのでしょう」

P「そうだな。けど、いくら使い勝手が良いからって、
 それに付き合わされる俺の身にもなって欲しいよな」

貴音「……本当にそれだけの理由でみなは、あなた様を連れ回すのでしょうか?」

P「え?そりゃ、そうだろ」

貴音「……はあ。あなた様があなた様であるからこそ、私達は頑張れる訳ですが
   時々、その性格が恨めしくなることもあります」

P「ん?それってどういう意味だ?」

貴音「……どんかん」ボソッ

17: 2012/01/04(水) 21:47:47.77 ID:Y5N3wW4Q0
ガチャ
バタン

やよい「うっうー、ただいま帰りました!」

伊織「ただいま」

貴音「お帰りなさい」

P「お、二人ともお帰り。それとお疲れ様。どうだった、生放送は?」

やよい「伊織ちゃんのおかげで大成功です!
    私がミスしそうになると絶妙のタイミングで、フォローしてくれるんですよー」

P「そっか、さすが伊織だな」

伊織「にひひっ、そんなの当然。それにやよいが頼りない分、尚更やりがいがあるってものよ」

やよい「えへへ。私たち名コンビだね、伊織ちゃん」

P「そうだな。でも、やよいも伊織と同い年だし
 家ではお姉ちゃんなんだから、もう少ししっかりしないとな」ポンポン

やよい「は、はい!私もっと、もーっと頑張ります!///」

貴音「(ふふ、微笑ましい光景ですね。まるで兄妹のようです)」

19: 2012/01/04(水) 21:50:43.30 ID:bGjXUmVY0
お姫ちんかわいい

20: 2012/01/04(水) 21:51:46.30 ID:Y5N3wW4Q0
やよい「えっと、プロデューサー。ご褒美にいつものお願いできますか?」

P「いつものって……あれか?いいけど、やよいも好きだな」

貴音「(いつもの?はいたっちの事でしょうか?)」

やよい「えへへ、一日一度のハグタッチです」

貴音「はぐたっち?はて……」

やよい「じゃあ、いきますよ?……ハグターッチ!」ダッ

貴音「!!!」

P「おっと。今日は随分勢いがいいな」ギュッ

やよい「えへへ、プロデューサーなら受け止めてくれるって、信じてますから///」ギュッ

P「はは、それは光栄だな」ポンポン

貴音「こほん。……説明いたしましょう。はぐたっちとは互いが抱きしめ合い
   やさしく相手の背中をぽんぽんと叩く行為なのです!」ドンッ

伊織「あ、あんた誰に説明してるのよ……」

22: 2012/01/04(水) 21:55:45.85 ID:Y5N3wW4Q0
P「……よしっと。満足したか?やよい」ナデナデ

やよい「はい!これがないと生きていけない、これがあるから、辛い練習も頑張れるかなーって」

P「おいおい、飲兵衛みたいなこと言うなよ」

やよい「のんべえ?それってお酒が好きな人ですよね?わ、私お酒なんて飲んだことありませんよぉ!」

P「あはは、物の例えだよ。それにやよいじゃ一口舐めただけでダウンしそうだしね」

やよい「む、そんなことありません!駆けつけ三杯は余裕です!」

P「本当か?それじゃあやよいが成人したら、バーに付き合ってもらおうかな」

やよい「はい、もちろんです!」

P・やよい「wwwwww」キャッキャッ

貴音「(……将来の約束を取り付けるとはやりますね。
   まさか、やよいがここまでやるとは、思ってもみませんでした)」

伊織「…………」ジッ

23: 2012/01/04(水) 21:59:45.43 ID:Y5N3wW4Q0
貴音「(ところで)」チラッ

伊織「…………」ジィッ

貴音「(先ほどから羨ましそうに見ていますが、素直になれない伊織のことです。
   よくて褒めてもらうが関の山でしょうね)」

伊織「ね、ねえ。あんた」

P「ん、何だ伊織?」

伊織「やよいだけって訳じゃないわよね。私にもいつもの頼むわ」

P「やれやれ、伊織もか。二人とも甘えん坊だな」

伊織「う、うるさい!いいから、さっさとそこのイスに座りなさい!」

P「分かった、分かった」ストン

伊織「すぅー……、はぁー……」

貴音「(深呼吸までするとは一体何を?)」

24: 2012/01/04(水) 22:03:46.14 ID:Y5N3wW4Q0
伊織「じゃあ、いくわよ?」

P「いつでもどうぞ」

伊織「……んっ///」ストン

貴音「!!!」

やよい「わあ、伊織ちゃん大胆」

伊織「と、特別に撫でても良いわよ」

P「やれやれ。素直じゃないな」ナデナデ

貴音「……」ワナワナ

27: 2012/01/04(水) 22:07:49.69 ID:Y5N3wW4Q0
伊織「ちょっとあんた。落っこちないように、もっと力いれなさいよ!」

P「はいはい」ギュッ

伊織「……っぁ……///」ギュッ

貴音「……これも説明しなければなりませんね」

貴音「なんとあの方の膝の上に伊織が鎮座し
   片手はお腹に回してもらい、もう片方では撫でて貰っているのです!」ドン

やよい「た、貴音さん、何か見えるんですかー?」

貴音「補足すると、伊織の腕の中にはしゃるる・ど・二世が抱かれています!」ドドン

やよい「ふえぇ……、黄色い救急車の出番かなーって感じです……」

28: 2012/01/04(水) 22:12:16.53 ID:Y5N3wW4Q0
伊織「あ、ありがと。もういいわ。これ以上したらもたないし」スタッ

P「もたないって何がだ?伊織は軽いから一日中持ってても問題ないぞ?」

伊織「い、一日中!?悪くはないけど、天下のトップアイドル伊織ちゃんにそんな時間はないわ!」

P「そっか。まあ、して貰いたくなったらいつでも来いよ」ポンポン

伊織「……っ///子供扱いすんじゃないわよ!///」バシッ

P「あ痛っ!」

貴音「(正直、羨ましいです……)」

30: 2012/01/04(水) 22:16:27.31 ID:Y5N3wW4Q0
やよい「あ、伊織ちゃん。そろそろダンスレッスンの時間だよ。スタジオに行かなきゃ」

伊織「そうね。じゃあ私達このへんで失礼するわ。あんたも油うってないでキリキリ働きなさいよ」

P「はいはい」

やよい「それじゃあ、いってきまーす」

ガチャ
バタン

P「さてと、じゃあ俺たちも現場に行くか。えっと、インタビュー記事とグラビア撮影の二つだったな」

貴音「ええ」

P「よし、じゃあ張り切っていこうか」

31: 2012/01/04(水) 22:20:22.11 ID:Y5N3wW4Q0
――数時間後、765プロ――

P「ただいまー」

貴音「ただいま帰りました」

春香「あ、二人ともお帰りなさい」

P「あれ?春香、今日はレコーディングの収録日じゃなかったか?随分と帰ってくるの早かったな」

春香「うふふ、何でだと思います?」

P「うーん、……サボったとか?」

春香「ひ、酷いですよ、プロデューサーさん!」

P「はは、ごめん春香。冗談だよ、冗談」

春香「もうっ、次で当ててくれないとデコピンしちゃいますよ?」プクッ

32: 2012/01/04(水) 22:22:34.92 ID:0+/rhqo80
はるるん……

33: 2012/01/04(水) 22:23:08.98 ID:YbqPk9Ss0
あざとい春香さんあざとい

34: 2012/01/04(水) 22:24:23.19 ID:Y5N3wW4Q0
P「……本当は一発オッケーだったんだろ?」

春香「す、凄いですプロデューサーさん!そのあと、何回かやり直したんですけど
   結局は一回目が採用になったんです。でも、どうして分かったんですか?」

P「そんなの簡単さ。最近、春香はメキメキと実力つけてるからな。
 ヴォーカルの先生も春香の事誉めてたぞ」

春香「本当ですか!?」

貴音「ええ、確かに最近の春香の進歩には、目を見張るものがあります」

貴音「春香の歌い手としての魅力は、何と言っても明るく弾むような歌声ですが、最近は色香や情緒――」

37: 2012/01/04(水) 22:28:22.51 ID:Y5N3wW4Q0
貴音「言ってみれば、あだるとな魅力が備わってきた思います」

貴音「(それも、きっと恋をしているからでしょうね……)」チラッ

P「そうだな、確かに最近の春香は大人っぽくなった」

春香「やったあ!貴音さんにそう言って貰えるなんて、凄く自信がついちゃいます。ありがとうございます!」

貴音「ふふ、本当の事を言ったまでです」

P「おいおい、俺だって誉めてるんだぞ」

春香「えへへ、サボったなんて言っちゃう
   プロデューサーさんには、ありがとうなんて言いたくありませーん♪」

39: 2012/01/04(水) 22:32:40.64 ID:Y5N3wW4Q0
P「はは、それは酷いな。じゃあ、このプリンは俺と貴音で食べようかな」ガサガサ

春香「あっ、それってあのゴージャスセレブプリンじゃないですか!?」

P「そう、それそれ。帰りに寄ったら運良く二つだけあったんだ。本当はみんな分買いたかったんだけどね」

春香「それでもすごいですよ!運が良いんですね」

P「だから、みんなには悪いけど、俺と貴音で食べようと思ってね」

春香「うぅ……。残念ですけど、そういう事なら仕方ないですね」

P「だけど、レコーディングが上手くいったんだろ?だから、そのご褒美に春香に俺の分をあげようかなって」

春香「ほ、本当ですか?」

P「思ってた」

春香「思ってた?な、何で過去形なんですか!?」

P「だって、ありがとうも言いたくない相手だろ?そんな奴から欲しくないんじゃないか?」

春香「そんなぁ、私も食べたいですよ……」

41: 2012/01/04(水) 22:36:44.69 ID:Y5N3wW4Q0
P「仕方ないな。それじゃあ、春香らしい最高の『ありがとう』を見せて貰おうかな。
 そしたらあげてもいいよ」

春香「私らしいですか?……わかりました!」

P「貴音は先に食べてて良いぞ」パカッ

貴音「ありがとうございます。ではお先に」モグモグ

春香「……心の準備が出来ました。じゃあいきますよ?」

P「いつでもこい」

春香「誉めて頂き大変有難う御座います」キリッ

P「ダメだ」

春香「えぇ!心を込めましたよ!?」

45: 2012/01/04(水) 22:41:37.80 ID:Y5N3wW4Q0
P「俺との関係はそんな形式ばったものじゃないだろ?だから、もう一回」

春香「(お、俺との関係……///)」

P「どうした春香?」

春香「な、何でもないです。次いきますよ?」

P「ああ、ダメな時はダメって言うからどんどんこい」

春香「ありがとうございます^^」

P「ダメ」

49: 2012/01/04(水) 22:45:46.73 ID:Y5N3wW4Q0
春香「ありがとうございまーす☆ミ」

P「ダメ」

春香「あ、ありがとうなんて言わないんだからねっ///」

P「食べたくないのか?……ダメ」

春香「おす!オラ春香!サンキューな!」

P「ドラゴンボールは好きだが、ダメ」

春香「んあー、んあー、りがとうございます」

P「なんだよそれ……」

春香「余が有り難うと言っているのだぞ!」カッカ

P「だ、ダメ」ビクッ

春香「くっ、今の自信があったのに」

貴音「(……二人とも、何だか楽しそうですね)」パクパクモグモグ

51: 2012/01/04(水) 22:52:52.75 ID:Y5N3wW4Q0
春香「ハァ、ハァ……。もう一通りやっちゃったよ……」

P「どうした春香?降参ならこのプリンは俺が食べるぞ」パカッ

春香「ま、待って下さい」

P「ん、まだあるのか?」

春香「(これは多分違うかも。いや違って欲しいけどやってみようかな)」

貴音「(春香の分も食べたいですね……)」ペロペロ

春香「プロデューサーさん、次いきますよ?」

P「どんとこい」

春香「……ありがとうございます♪」テヘペロコツン

P「あざとい」

春香「や、やっぱり!?」ガーン

54: 2012/01/04(水) 22:56:46.12 ID:Y5N3wW4Q0
P「でも合格。ほら、プリン」

春香「って、えぇっ!?これが合格なんですか?」

P「そうだけど、何かおかしいか?」

春香「今の自分でもあざといなって思ったんです。プリンが貰えるのは嬉しいですけど、何だか複雑で……」

P「確かにあざといかもな」

春香「ですよね……」ショボン

P「でも俺は好きだな。春香らしいかって聞かれると実は自信ないけど、一番可愛い表情してるぞ?」

春香「ほ、本当ですか?///」

P「ああ、プロデューサーとして色んな春香を、色んな角度から見てきた結論だ。間違いないよ」

春香「えへへ、一番可愛い顔かあ」ニコニコ

P「まあ、あくまで俺の意見だよ。参考までにな」

貴音「…………♪」テヘペロコツン

56: 2012/01/04(水) 23:00:59.80 ID:Y5N3wW4Q0
春香「それじゃあ、頂いちゃいますね」

P「どうぞ、召し上がれ」

春香「あーん」パク

P「どうだ春香?」

春香「美味しいですよこれ!カラメルソースのほろ苦さに、プリンの優しい甘さ」

春香「それに、フルーツもプリンの邪魔をすることく見事にマッチしていて、とっても美味しいです!」パクパク

P「そ、そんなに美味しいのか」ゴクリ

貴音「…………」ゴクリ

春香「それはもう!」

P「……これは俺も食べるしかないな。機会をみて何度か足を運んでみよう」

春香「ふふ、その時はみんなの分もお願いしますね」

P「はは、現金だな。まあ、まかせとけ」

58: 2012/01/04(水) 23:04:48.76 ID:Y5N3wW4Q0
春香「!!……そ、それより今食べてみませんか」

P「今って……もうプリンはないぞ?」

春香「ここにあるじゃないですか」

貴音「…………」ゴクリ

P「これって春香のか?でも、春香の食べる分少なくなっちゃうぞ」

春香「そんなの気にしないで下さい。元々はプロデューサーさんのなんですから」

P「うーん……。それじゃあ、いただこうかな。えっと、確か給湯室にスプーンがあったよな。取ってくるよ」ガタッ

春香「い、一緒のスプーンで食べませんか?わざわざ取りに行くなんてめんどうですよ」

貴音「!!!」

62: 2012/01/04(水) 23:08:58.73 ID:Y5N3wW4Q0
P「俺は構わないけど、春香は良いのか?女の子ってそういうの気にするんじゃないか」

春香「わ、私は気にしませんよ。だから、一緒に食べましょ?」

P「そっか、だったらそうしようかな。じゃあ、スプーン貸してくれ」スッ

春香「…………」ヒョイ

P「」スカッ

春香「…………」ヒョイ

P「ん?」スカッ

春香「…………」ヒョイ

P「…………」スカッ

春香「あーん?」

P「……なあ、春香。それどういうつもりなんだ?」

63: 2012/01/04(水) 23:09:57.84 ID:JyFr8VmR0
んあー?

68: 2012/01/04(水) 23:12:46.35 ID:Y5N3wW4Q0
春香「やだなあ、プロデューサーさん。食べさせてあげるに決まってるじゃないですか」

P「か、勘弁してくれよ。もうそんなことする歳じゃないんだ」

春香「ダメです。じゃなきゃ、プロデューサーさんにはあげられません」

P「おいおい……」

春香「はあ、美味しいなあこのプリン」モグモグ

P「……くっ」

春香「こんなプリンを食べられるなんて、きっとベルタースの飴を貰う子供より幸せだなあ」チラチラッ

P「…………」ゴクリ

貴音「…………」ゴクリ

P「分かったよ、降参だ。……食べさせてくれ」

春香「ふふ、やっと素直になりましたね、プロデューサーさん」

69: 2012/01/04(水) 23:16:44.91 ID:Y5N3wW4Q0
春香「じゃあ、いきますよ。はい、あーん?///」

P「あむっ」パク

春香「どうですか?」

P「……美味しい」モグモグ

春香「ですよね。本当に美味しいです///」パクパク

貴音「(か、間接きす……)」

P「あ!春香、俺ももう少し食べたいから、そんなに食べないでくれ!」

春香「え?……し、しょうがないなあ。それじゃあ、変わりばんこに食べましょう」

72: 2012/01/04(水) 23:20:45.44 ID:Y5N3wW4Q0
春香「はい、あーん?///」

P「あむっ」パク

P「うまい!」モグモグ

貴音「あ、あなた様。よろしければ私の、ぷ……っ!?」

P「ん?どうした貴音?」

貴音「いえ、何でもありません……」

P・春香「美味しいwwwwww」キャッキャッ

貴音「(私の分は舐り尽くすほど、食べてしまったのでした……)」

74: 2012/01/04(水) 23:24:52.86 ID:Y5N3wW4Q0
P「いやあ、本当に美味しかったな」

春香「ごちそうさまでした。私は特別美味しかったですよ!」

貴音「……ふふ、私もです」

春香「それではプロデューサーさん。時間も余ったので、次の新曲の振り付けの確認してきますね」

P「ああ、頑張ってな」

貴音「頑張って下さい、春香」

春香「はい!では、いってきまーす」

ガチャ
バタン

P「……さて、俺も仕事頑張らないとな」

貴音「ええ、頑張って下さい」

77: 2012/01/04(水) 23:28:52.72 ID:Y5N3wW4Q0
P「確か、貴音は今日の仕事はもう無かったよな?」

貴音「はい、ですからあなた様の帰社時間に合わせて、私もあがろうかと思います」

P「そうだな。それじゃあ帰りにスーパーに寄って食材買っていこうか」

貴音「ええ、そういたしましょう」

P「て事は、今は時間があるってことだよな。
悪いんだけど、倉庫から○○○を持ってきてくれないかな。企画書の作成にちょっと使いたいんだ」

貴音「任せてください。では行って参ります」

P「ああ、頼むよ」

ガチャ
バタン

81: 2012/01/04(水) 23:32:48.99 ID:Y5N3wW4Q0
――廊下――

貴音「……くすっ」テクテク

貴音「共に帰り、共に食料品店に立ち寄って食材を選ぶ」テクテク

貴音「そして、あの方の自宅で料理を振る舞う」テクテク

貴音「まるで、通い妻ですね……///」テクテク

貴音「ですが、いつかは……。ふふ、夢が膨らみます」テクテク

84: 2012/01/04(水) 23:36:44.39 ID:Y5N3wW4Q0
ガチャ
バタン

貴音「あなた様、資料はこれで……おや、響にハム蔵。帰ってきたのですね」

響「ただいま貴音!」

ハム蔵「チュー」

貴音「ええ、お帰りなさい。……あなた様、資料はこれで?」

P「ああ、ありがとう。助かったよ」カキカキ

響「お、プロデューサー。何やってるの?」

P「企画書の作成。でも中身はまだ秘密だ」カキカキ

響「な、なんで?自分気になるぞ」

P「はは、いわゆるトップシークレットってやつだ。まだ、社長と律子しか知らないからな」

響「う゛ー。そう言われると、ますます見たくなるんだけど……」

86: 2012/01/04(水) 23:41:07.37 ID:Y5N3wW4Q0
P「……どうしても見たいか?」

響「えっ、いいの?見せて、見せて!」

P「じゃあ、ちょっとだけな」

響「うん、うん」ワクワク

P「」ペラッ

響「……え?」

P「よし、十分見たな」カキカキ

響「そ、そんなのってないぞ!?何が書いてあるか全く分からなかったさー!」

P「ちょっとだけって言ったろ。まあ、後でみんなに知らせるから」

響「うがー!プロデューサーの意地悪っ!」プンスカ

P「はは、そういじけるなって」ポンポン

響「……ふん」

貴音「(ふふ、響には悪いですが、微笑ましい掛け合いですね)」

91: 2012/01/04(水) 23:47:02.52 ID:Y5N3wW4Q0
響「……わかった。プロデューサーがそういう態度に出るなら、強行手段にでるまでだぞ」

P「面白い、受けてたとうじゃないか」

響「ふっふっふ。泣いて謝っても知らないんだからね?」

P「はは、そりゃ怖いな。で、一体何をするんだ」

響「それは……、こうするんだあ!」コチョコチョ

P「うわっ!ち、ちょっ、響!擽りはっ、勘弁、してくれっ」

響「どうだ、プロデューサー。まいったか!?」コチョコチョ

P「あはは、誰がっ、参るかっ」

響「む?だったら、降参するまで続けるぞ!」コチョコチョ

94: 2012/01/04(水) 23:51:13.77 ID:Y5N3wW4Q0
P「くっ、こうなったら……擽り返しだ!」コチョコチョ

響「えっ!?……あんっ……///じ、自分擽り、には、弱いんだっ!やっ、やめてええ!///」コチョコチョ

P「だったら、先に、響がやめる、べきだっ」コチョコチョ

響「な、なにおー!プロデューサーが……ふぁっ……///や、やめる、べきだぞっ///」コチョコチョ

P・響・ハム蔵「wwwwww」キャッキャッ

貴音「(私も混ざりたいです……)」ワキワキ

96: 2012/01/04(水) 23:55:01.99 ID:Y5N3wW4Q0
P「……ハァ、ハァ。笑い死ぬかと思った」

響「ハァ、ハァ。自分もだぞ」ニコニコ

貴音「ふふ、響。企画書の事はそっちのけではしゃいでいましたね」

響「あはは、そうだった。自分企画書の為に擽ってたんだっけ」

P「どうする?降参してないけど、見たきゃ見ても良いぞ」カキカキ

響「んー、やっぱりいいや。折角だからみんなで見たいな」ニコニコ

貴音「(ふふ、企画書は口実。ようは遊んでもらいたかったのでしょうね)」

響「じゃあ、そろそろ自分、」

ハム蔵「チュー(待つんだ、響)」

響「ん、どうしたハム蔵?」

ハム蔵「チュー(本当に今のスキンシップだけで帰るつもりなのか)」

響「(だ、だけって、今日のはけっこう頑張った方だぞ?)」ボソッ

98: 2012/01/04(水) 23:55:39.45 ID:rp6Z+JoV0
ハム蔵まざってねぇだろ

101: 2012/01/04(水) 23:59:01.85 ID:Y5N3wW4Q0
ハム蔵「チュー(確かに今日の響は頑張った。けどな)」チラッ

貴音「?」

ハム蔵「チュー(俺の見立てでは、あの銀髪の姉ちゃん。響の一歩、いや、二歩は先を進んでる)」

響「(そ、それって本当!?じゃあ、このままじゃ自分とプロデューサーは……。い、いくら貴音が相手でも
  そんなの嫌だぞ。自分どうしたら良いんだ!?)」ボソボソッ

ハム蔵「チュー(まあ、落着け。……俺に考えがある、ちょっと耳を貸してくれ)」

ハム蔵「チュー(――――――――)」

響「(そ、そんなことやるの!?魅力的ではあるけど、さすがに恥ずかしいさー……)」ボソボソッ

ハム蔵「チュー(でも、誰にも渡したくないんだろ?だったら頑張るんだ)」

響「(……わかったぞハム蔵。完璧な自分はやりきってみせるぞ)」ボソボソッ

102: 2012/01/05(木) 00:00:44.94 ID:HSG5QNul0
お姫ちんと響、どっちを応援すればいいんだ

106: 2012/01/05(木) 00:03:05.57 ID:/TZ1og3a0
P「……ここはこうしてっと」カキカキ

響「ね、ねえ、プロデューサー」

P「ん?どうした響。やっぱり見たくなったか?」

響「いや、そうじゃなくて、襟元に何かついてるよ」チョンチョン

P「襟元?この辺か?」ガサゴソ

響「そこじゃなくて、もうちょい右」

P「えっと、……ここか?」ガサゴソ

貴音「はて。どこにも何かついている様には見えませんよ?」

響「そ、そんなことないぞ!……プロデューサー。自分が取ってあげるから動かないでね」

P「分かった、頼むよ」

110: 2012/01/05(木) 00:07:29.19 ID:/TZ1og3a0
響「えーっと、この辺りに……」ガサゴソ

ハム蔵「チュー(今だ!)」ピョン

P「うわっ!な、何か服の中に入ってきた!」

響「わあ、大変だあ。ハム蔵がプロデューサーの服の中に入っちゃったぞ(棒)」

P「う、動くなハム蔵!今出してやるから」ガサゴソ

ハム蔵「チューwww(動くな?wwwだが断るwww)」モゾモゾ

響「待つんだ、プロデューサー。優しく捕まえないとハム蔵が怪我しちゃうさー!」

P「む、それもそうか。じゃあ、どうすればいいんだ?」

響「家族の自分が捕まえてあげる!」

P「そうか。じゃあ、頼むよ響。擽ったくて堪らないんだ」

ハム蔵「チューwww(へけっwww)」モゾモゾ

112: 2012/01/05(木) 00:11:19.58 ID:tc3DoHiv0
いったい何が始まるんでちゅの?

113: 2012/01/05(木) 00:11:27.61 ID:/TZ1og3a0
響「それじゃあ、裾の下から失礼するぞ」モゾモゾ

P「おいおい、直接かよ。まあ、仕方ないよな。早く頼むぞ!」

響「完璧な自分に任せとくさー!……えっと、この辺かな」ペタペタ

P「違う違う。もっと上だ」

響「じゃあこの辺?」スリスリ

ハム蔵「チューwww」モゾモゾ

響「ぷ、プロデューサーの体ってけっこう、ガッシリしてるね。男の体って感じだぞ///」スリスリ

P「そうか?まあ、体力の必要な仕事だから、自然と筋肉もつくだろうな」

響「へえ、そういうものなんだ///」ペタペタ

133: 2012/01/05(木) 00:45:51.26 ID:/TZ1og3a0
P「って、響。早く捕まえてくれ。擽ったいんだ」

響「分かってるぞ!……こ、ここか!?」ツンツン

P「おふっ。……こら響!そんなちっちゃいのがハム蔵なわけないだろ!」

響「あれ、違ったのか。あはは、失敗失敗///」ペタペタ

ハム蔵「チューwww」モゾモゾ

貴音「(ここは本当に、あいどる事務所なのでしょうか……)」

136: 2012/01/05(木) 00:48:58.37 ID:cIrJW/kP0
ハム蔵楽しそうだな

142: 2012/01/05(木) 00:55:02.30 ID:/TZ1og3a0
P「ハァ、ハァ。響、そろそろ体力の限界だ。早く捕まえてくれ」

響「わ、わかったぞ」ペタペタ

響「(ハム蔵。ありがとう、そろそろ終わりにしよう)」ボソボソッ

ハム蔵「……チュー(……なあ、響。お前ほんとにそれで満足なのか?ほんとは
    不完全燃焼なんだろ?そうなんだろ?って感じなんだろ?)」モゾモゾ

響「(え、何そのへんてこな曲?そんなことより、自分大満足だぞ!
  プロデューサーの、む、胸まで触っちゃったし///)」ボソボソッ

ハム蔵「…………」カチン

響「(ハム蔵?)」ボソッ

ハム蔵「……チュー(……響。お前そんなことで満足してるから、
    ボッチだの、獣臭いだのネタキャラにされちまうんだ。今ここで一皮向ける必要があるんだ)」

響「(むっ、自分そんなことないんだぞ!それに、一皮向けるって……)」ボソボソッ

ハム蔵「……チュー(……越えちゃいけないライン、越 え て み な い か ?)」ドヤァ

響「(は、ハム蔵、きっとそれが言いたかっただけなんだぞ……。
でも、この際だから自分越えてみせるさー!)」ボソボソッ

143: 2012/01/05(木) 00:55:59.44 ID:rZM51C6w0
これハム蔵じゃねぇだろ

147: 2012/01/05(木) 00:59:17.08 ID:3LIh/gP70
面妖な

151: 2012/01/05(木) 01:02:25.56 ID:hP0odu8D0
貴音(ハム蔵になりたい…)

153: 2012/01/05(木) 01:03:06.37 ID:/TZ1og3a0
ハム蔵「チュー(よく言った、それでこそ響だ。それとあの曲は名曲だからな。
    ……それじゃいくぜ?)」モゾモゾ

響「(いつでもいいんだぞ)」ボソッ

ハム蔵「チューwww(ハム蔵、行っきまーすwww)」モゾモゾモゾモゾ

P「うわっ、は、ハム蔵!そっちは出口じゃなくて、パンツの中だ!」

響・貴音「「!!!」」

ハム蔵「チューwww(うはwww相変わらずでけぇwww)」モゾモゾ

P「くっ……。は、ハム蔵、お前オスだろ!……って、いやいや、オスじゃなくても入ってくるな!」

響「(こ、越えちゃいけないラインって、パンツの中だったのか……。だ、だけど自分は!)」

156: 2012/01/05(木) 01:04:32.71 ID:/TZ1og3a0
ハム蔵「チュー(や ら な い か ?wwwって、俺ホOじゃないですしお寿司www)」

響「ぷ、プロデューサー。今度こそ捕まえてあげるからね!」カチャカチャ

P「ち、ちょっと待て!今度はパンツの中なんだ。
 さすがに、それは……って、ズボンを脱がさないでくれ!」

響「いいから、いいから。完璧な自分にまかせるっ、さー!」ズボッ

P「あふっ」

貴音「」

響「は、ハム蔵ー。どこー?返事してくれー!///」ガサガサ

ハム蔵「チューwww(我思うwww故に我ここに在りwww)」モゾモゾ

159: 2012/01/05(木) 01:06:16.75 ID:3Ccnh+H70
このハム蔵さんは敏腕

165: 2012/01/05(木) 01:08:12.92 ID:/TZ1og3a0
響「お、ハム蔵。ここだな!」ツンツン

P「ちょ、響!それハム蔵じゃなくてP蔵なん、」

響「問答無用!ハム蔵、とったどー!」ガシッ

P「うぎゃあああああああ」

ハム蔵「チューwww(ちょwwwおまwwwそれ俺じゃねえwwwけど、GJwww)」

貴音「」

響「?」ムニュムニュ

P「」ピクピク

響「あ。こ、これって……///」ムニュッ

貴音「」ピクピク

ハム蔵「いやあ、いい仕事したぜ」

173: 2012/01/05(木) 01:13:38.92 ID:/TZ1og3a0
貴音「///」

響「いやー。ごめんね、プロデューサー///」

P「ハァ、ハァ。……いや、間違いは誰にでもあるさ。それより、ハム蔵が無事に出てきてよかったな」

響「ああ、自分の家族だからね。本当に良かったぞ」ナデナデ

ハム蔵「チューwww(へけっwww)」

P「おいおい、ハム蔵。お前反省しなきゃだめだぞ?」ツンツン

ハム蔵「チューwww(サーセン旦那www)」

響「はは。一応、反省してるってさ」

P「一応って……。まあ、いいか」

174: 2012/01/05(木) 01:18:44.58 ID:/TZ1og3a0
響「それじゃあ、自分ラジオ番組の収録があるから行ってくるね」

P「ああ、気をつけてな。行ってらっしゃい」

響「いってきまーす」

ハム蔵「チュー」

ガチャ
バタン

貴音「///」

P「はぁ、何かすっかり汗かいちゃったな」パタパタ

貴音「///」

P「ん?貴音どうしたんだ?」

貴音「はっ!な、何でもありません。少々、ぼーっとしておりました」

177: 2012/01/05(木) 01:24:32.47 ID:/TZ1og3a0
P「そっか、貴音にしては珍しいな。何か悩み事か?」

貴音「そ、そんな事はありません。……それより、今の一件で喉が渇いたのではありませんか」

P「ああ、確かに渇いたな。そこのポットのお湯で良いから一杯頼んでも良いか?」

貴音「ええ、お任せを」

――数分後――

貴音「どうぞ、粗茶ですが」

P「おう、悪いね」ズズッ

貴音「どうですか?」

P「ああ、美味いよ」ズズッ

貴音「ふふ、それは良かった」

180: 2012/01/05(木) 01:29:32.19 ID:/TZ1og3a0
P「さて、企画書の続きでも書こうかな」カキカキ

貴音「では、私は雑誌でも読んでいましょう」ペラッ

P「……」カキカキ

貴音「……」ペラッ

P「……」カキカキ

貴音「……」チラッ

P「……これは、ちょっと違うか」ゴシゴシ

貴音「……」ジッ

P「……」カキカキ

182: 2012/01/05(木) 01:35:11.92 ID:/TZ1og3a0
貴音「……あの、あなた様」

P「ん、なんだ貴音?」カキカキ

貴音「作業を続けながらで結構です。お聞きしたい事があるのです」

P「ああ、いいよ。俺に答えられることならね」カキカキ

貴音「……あなた様はなぜ今の仕事に?」

P「…………」ピタッ

P「……またえらく急な質問だな。どうしたんだ急に?」

貴音「な、なんとなくです。しかし、どうしても気になって」

P「……そうだな、どうしようかな」

貴音「お願いします」

185: 2012/01/05(木) 01:39:59.63 ID:/TZ1og3a0
P「うーん、でもな……」

貴音「そこを何とかっ」

P「男にだって秘密にしたいことの、一つや百個はあるんだぞ?」

貴音「それは……」

P「はは、冗談だよ。それに別に秘密にするような事じゃないしな」

貴音「では、教えていただけるのですか?」

P「ああ、勿論。……それじゃあ、隣いいか?」

貴音「はい」ササッ

P「じゃあ、失礼して……よっと」ギシ

P「それじゃあ、どこから話そうかな。……前の仕事からで良いか?」

貴音「ええ、お好きな様に」

186: 2012/01/05(木) 01:45:19.89 ID:/TZ1og3a0
P「万台市役所って所に勤めてたんだ」

貴音「ばんだい?万台というと私が以前、一日警察署長を務めたあの万台区の?」

P「そう、そこそこ。そう言えば、あの時は悪質なカメラマンに投げ飛ばされちゃったんだよな」

貴音「くすっ、そんな事もありましたね」

P「はは、あまりいい記憶じゃないから、忘れてくれるとありがたいな。
 ……それで、その市役所の窓口で働いていたんだ」

貴音「……何だか想像がつきませんね」

P「まあ、そうだろうな。アイドルのプロデューサーと市役所勤めの人間じゃ、全く接点がないからね」

貴音「では、何がきっかけで?」

P「……その前に貴音に聞きたい事があるんだけど、公務員ってどんなイメージがある?」

貴音「そうですね。……やはり何と言っても安定性でしょうか。福利厚生もしっかりとしていますし」

P「休みもちゃんとあるしな」

188: 2012/01/05(木) 01:51:05.45 ID:/TZ1og3a0
貴音「ええ。浮き沈みの激しい世界に身を置く者として、大変魅力的だと思います」

貴音「ただ……」

P「ただ?」

貴音「少し、面白みに欠ける様な……」

P「面白みに欠ける、か」

貴音「……すいません」

P「いや、いいんだ。俺もそう感じてたし。ただ、そうは言ってもやり甲斐がない訳じゃないぞ?」

P「同僚や上司にも恵まれていたし、なにより市民の為に直接関わる仕事だしな」

貴音「はい」

P「……それに、職場に気になる人もいた」

貴音「気になる人……」ズキン

190: 2012/01/05(木) 01:57:10.76 ID:/TZ1og3a0
P「だから、不満はあるし代わり映えのない毎日だけど、俺の生き方はそんなに悪いものじゃない」

P「そもそも、そう考えてしまうのは俺が大人になりきれてない証拠なんだって、そう自分に言い聞かせてた」

貴音「…………」

P「そんな時、社長と出会ったんだ」

――とある日の深夜、コンビニの帰り道――

P「はあ、あそこでまさか差されるとはなあ。おかげで給料日までカップ麺か……」トボトボ

???「うーむ。なかなかティンとくる者がいないねえ。いっそ私がプロデュースしてみるべきか」ポトッ

P「大体、あの騎手は最後の追い込みがって……あれ?今の人、サイフ落として気づいてないぞ」

???「それが良いかもしれないね。この前撮った宣材も私のセンスがティンと光ってたし」スタスタ

P「おーい。そこの方、待ってください!サイフ落とされましたよー!」タッタッ

191: 2012/01/05(木) 02:01:51.91 ID:/TZ1og3a0
???「そうだなあ。……まずは、プロデュース第一号にまさかの音無君を起用しよう」スタスタ

P「おーい!……ダメだ。あの人気づいてない」タッタッ

???「ユニット名をつけようかな。最近は一人でもユニット名をつけるのが流行りだからね」スタスタ

???「うむ……。『小鳥さんじゅうななさい』なんてどうだろ」スタスタ

P「おーい!だから、サイフ落としましたってば!」ガシッ

???「いいね、実にいい!とうとう、765プロの最終兵器が……おや?」

P「ハァ、ハァ。サイフを落とされましたよ」

高木社長「あれま、私のサイフじゃないか。悪いねえ君……おおっ!?」ティン

P「ええ、先ほど落とされたのですが、気づかなかった様で」

高木社長「」ティンティン

200: 2012/01/05(木) 02:07:31.12 ID:/TZ1og3a0
P「あ、あの、私の顔に何か」

高木社長「」ティンティン

P「(これは関わっちゃいけないタイプの人かもしれないな……。早く立ち去ろう)」

高木社長「」ティンティン

P「それじゃあ、失礼しま、」

高木社長「君ぃ!アイドルのプロデューサーやってみる気はないかね!?」

P「……はい?」

202: 2012/01/05(木) 02:12:08.08 ID:/TZ1og3a0
貴音「……そんな事があったのですね」

P「ああ、その後ファミレスに連れ込まれて、延々と話を聞かされたよ」

貴音「それで、決められたのですか?」

P「まさか。何度も断ったよ。でも、なかなか帰してくれなくて」

貴音「ふふ、困惑するあなた様が目に浮かびます」

P「はは。……それで何度も断っているうちに、社長がこう言ったんだ」

P「『だったら、その目で直接うちのアイドルを見て欲しい。きっと考えが変わるはずだから』って」

P「そういうことならってOKしたよ。……まあ、結局は断るつもりだったけどね」

貴音「直接……?ならば、なぜあのような真似を?」

205: 2012/01/05(木) 02:19:42.51 ID:/TZ1og3a0
P「あのようなって、……カメラマンのふりをした事か?」

貴音「ええ」

P「まあ、色々理由はあるよ。例えば初めて会った男に、いきなり密着取材なんかされたら警戒しちゃうだろ?」
 
貴音「そうですね。特に雪歩は」

P「はは、そうだな。そうなったら、見えるものも見えなくなるしね。
 だから第三者的なカメラマンって訳さ」

貴音「なるほど」

P「それにな……」

貴音「それに?」

P「一通り見たあと、やっぱりやりませんっていったら、貴音はどう思う?」

貴音「それは……。あっ」

208: 2012/01/05(木) 02:26:14.15 ID:/TZ1og3a0
P「そうなんだ。俺個人の理由で辞退するのに、たぶん貴音達はこう考えると思う」

P「『ああ、私達に魅力や才能を感じないから、きっとこの人は引き受けないんだ』って」

貴音「ええ、たしかに」

P「『私は彼女達の可能性を信じている。だから、そんな風に考えて欲しくない。
君には申し訳ないが、身分を偽って彼女達を見て欲しい』」

P「社長にそう言われたんだ」

貴音「高木殿が……」

P「ああ、あの時の社長はちょっとカッコよかったな」

貴音「くすっ、これは想像がつきませんね」

P「おいおい、可哀想なこと言うなよ」

貴音「ふふ、すいません」

210: 2012/01/05(木) 02:38:30.97 ID:/TZ1og3a0
P「それで、話の続きな」

貴音「はい」

P「……でまあ、そんなこんなで――貴音達に出会った」

貴音「……はい」

P「どう感じたか聞きたいよな。それが、なぜこの仕事を選んだかの理由でもあるし」

貴音「ええ、是非とも」

P「……楽しそうだなって思った」

貴音「楽しそう……」

P「実力勝負の世界だから、もっとピリピリしてるものだと思ってた」

P「だけど歌う時も踊る時も、お前達は本当に楽しそうなんだ。
 こっちも見てるだけで、楽しくなるくらいな」

215: 2012/01/05(木) 02:47:49.13 ID:/TZ1og3a0
貴音「そうですね。現在は多忙を極める様になりましたが、それでも楽しい事に変わりはありません」

P「それって、お前達には当たり前の事かもしれないけど、
 毎日同じ様な生き方をしている俺には凄く眩しく見えたんだ」

貴音「…………」

P「この娘達をプロデュースしたら、俺も変われるかもしれない。毎日が楽しくなるかもしれない」

P「それは凄く魅力的な生き方に思えたよ」

貴音「……それであなた様はこの道を?」

P「いや、たしかにぐらっときたけど、それだけの理由で決心はつかなかったよ」

貴音「ではなぜ?」

P「……」チラッ

貴音「……?」

219: 2012/01/05(木) 03:03:50.68 ID:/TZ1og3a0
P「……出会って、しまったんだよな」

貴音「……出会った?」

P「ああ。この娘達をトップアイドルにしたい。
 いや、――この娘を俺の力で頂点に導きたいって娘にさ」

貴音「!!!」

P「それで、その次の日には辞職届けをだして、765プロに入社。新米プロデューサーの誕生ってわけさ」

貴音「……(共に頂点を目指す者……)」

P「はは。改めて考えると無謀だよな。公務員やめてアイドルのプロデューサーやるなんて」

貴音「……(これはもう、限界ですね……)」

P「まあ、今じゃ敏腕プロデューサーなんて呼んでくれる人もいるし、結果オーライかな」

貴音「あ、あなた様」

221: 2012/01/05(木) 03:08:26.37 ID:/TZ1og3a0
P「これで話はおしまいだ。それじゃあ、俺は企画書の続きを、」

貴音「あなた様っ!」

P「っ……。な、なんだよ貴音。そんな大きな声だして」

貴音「その者の名を……。その共に頂点を目指す者の名を、まだ聞いてはおりません」

P「聞いてないって……。そんなのどうでも良くないか?個人的すぎる理由だし」

貴音「たしかにその通りでしょう。しかし――」

貴音「私にとって、それこそが何より重要な事なのです」

P「それってまさか……。いやいやいや、さすがにそんなことはないか」

貴音「そんなこととは?」

224: 2012/01/05(木) 03:17:06.90 ID:/TZ1og3a0
P「えっと、それは……貴音が俺の事を、す、好きとか?」

貴音「……はぁ」

P「はは、そうだよな。貴音が俺の事好きになるわけないよな。すまん、すまん」

貴音「やはり、あなた様は超がつくほどの鈍感者のようです」

P「む、それってどういう意味だよ?」

貴音「……」ジッ

P「貴音?」

貴音「……いつかこの気持ちを伝えられる日がきっとやってくる」

貴音「それは、頂点にたどり着いたその時だと。そう思っていました」

P「お、おい貴音。急にどうしたんだ」

227: 2012/01/05(木) 03:25:05.66 ID:/TZ1og3a0
貴音「それとも、そうなる前にあなた様が私の気持ちに気づいて下さる」

貴音「それはそれで悪くないとも、考えていました」

P「お前、何言って……」

貴音「しかし、もう限界なのです。この思いは今にも溢れてしまいそうで……」

P「…………」

貴音「あなた様が私にかけて下さる、言葉に一喜一憂し」

貴音「あなた様が今日の様に、他の異性と戯れる姿を見ているだけで、堪らなく嫉妬してしまうのです」

P「……貴音」

貴音「ふふ、ただ一言の想いを告げるために、随分と前置きが長くなってしまいました」

P「…………」

貴音「つまるところ私、四条貴音は――――あなた様を愛しているのです」

234: 2012/01/05(木) 03:30:36.97 ID:/TZ1og3a0
P「っ……」

貴音「とうとう言ってしまいました……」

P「……本気、なんだよな?」

貴音「これも冗談に見えますか?」

P「まさか。その真剣な表情、本気の時の貴音だよ」

貴音「ふふ、よく見ていますね」

P「まあな。……それじゃあ俺も答えないとな。その娘の事を」

貴音「……ええ」

P・貴音「「…………」」

P「その娘の名前は……」

貴音「…………」ドキドキ

P「いま、」

241: 2012/01/05(木) 03:36:59.02 ID:/TZ1og3a0
prrrrrrrr!

P・貴音「!!!」ビクッ

P「で、電話だな」

貴音「は、はい」

P「えっと、……○○○テレビのプロデューサーさんからだ」

貴音「その様ですね」

P「緊急の用事だったら悪いし、出てもいいかな?」

貴音「ええ。残念ですが、出られた方が……」

P「悪いな。それじゃあ、ちょっと外で話してくるよ」pi

P「……はい、765プロです。いつもお世話になっております」スタスタ

ガチャ
バタン

247: 2012/01/05(木) 03:43:08.86 ID:/TZ1og3a0
貴音「……はぁ。なんと間の悪い」

貴音「これでは、再び聞き直す雰囲気には、今すぐにはなりそうもありませんね」

貴音「ただ、残念な反面、安堵しているのもまた事実」

貴音「そもそも、告白するつもりなど、まだなかったのですから///」

貴音「……しかし、采は投げられました。それも私自身の手で」

貴音「今宵が勝負、ですね……」

249: 2012/01/05(木) 03:49:27.42 ID:/TZ1og3a0
ガチャ
バタン

P「あの、貴音」

貴音「は、はい。なんでしょう」

P「すまない!実は緊急の打ち合わせが入ってしまったんだ。
 それで今から向こうの本社に行かなきゃならない。だから、」

貴音「それでは今日の食事会は中止ですか!?」

P「いや、そうじゃないよ。貴音さえよければ……」ゴソゴソ

貴音「?」

P「あ、あったあった。はい、これ」チャリン

貴音「これは?」

253: 2012/01/05(木) 03:55:49.14 ID:/TZ1og3a0
P「俺が住んでるマンションの合鍵だよ。直帰で急いで帰るから、あまり待たせないと思うんだ」

貴音「それはつまり……」

P「だから、貴音さえよければ先に行って準備をしてて貰いたいんだ。……ダメかな?」

貴音「よ、よろしいのですか?」

P「ああ。なるべく早く帰ってくるよ。そして一緒に食べよう」

貴音「はいっ、承知しました」

P「それじゃあ、マンションまでの道のりを……」カキカキ

P「よし、こんなもんかな。ここがマンションな」トントン

貴音「……ここからさほど離れていませんね」

255: 2012/01/05(木) 04:01:42.19 ID:/TZ1og3a0
P「そうだな。だけど、この事は他の仲間には秘密だぞ?
 亜美真美に知られたら溜まり場にしそうだからな」

貴音「ふふ、確かに」

P・貴音「「…………」」

P「そ、それじゃあ、そろそろ行こうかな」

貴音「え、ええ。道中お気をつけて」

P「じゃあ、行ってくるよ」スタスタ

ガチャ

貴音「あ、あなた様!」

P「ん、何かな貴音?」

258: 2012/01/05(木) 04:08:31.26 ID:/TZ1og3a0
貴音「あの……、その……」

P「?」

貴音「……その者に対する気持ちは、やはり愛情なのですか?」

P「……ああ、そうだな。一目惚れってやつだ」

貴音「っ……そうですか」

P「本当はそんな気持ちを持っちゃいけないのにな。……プロデューサーである前に
 そもそも、なっちゃいけなかったのかもしれないな。お前たちには悪い事を、」

貴音「そ、そんなことはありません!もし、あなた様が現れなければ、きっと私たちは未だに燻っていました」

P「貴音……」

貴音「それに何より、あなた様にそれほど思われる者は、きっと幸せに違いありません。
   ですから、その気持ちを悔いる必要などありません」

P「……そっか。なんかありがとな」

貴音「いえ、本当のことを言ったまでです」

262: 2012/01/05(木) 04:14:58.65 ID:/TZ1og3a0
P「それじゃあ、行ってくるよ。また今晩な」

貴音「ええ、お待ちしています」

バタン

貴音「…………」

貴音「あの方にそれほど思われるとは一体誰なのでしょうか。
   ……もちろん私であって欲しいですが」

貴音「……やはり、最大の好敵手は美希ですね」

貴音「あの方に対する好意を面と言って憚りませんし、何より輝くような容姿と才能……」

貴音「…………」

貴音「……ふぅ。考えても埒が開きません」

貴音「向かう準備をするといたしましょう」

264: 2012/01/05(木) 04:20:12.64 ID:/TZ1og3a0
――765プロ、更衣室――

貴音「こ、これを僥倖と呼ぶのかもしれませんね」プルプル

【お泊まりセット】

貴音「不規則な仕事でありますから、いつかは事務所に泊まる日があるやもしれぬと」プルプル

貴音「そんな時のために準備をしておくようにと、律子嬢は言っておりました」プルプル

貴音「しかし、あの方が共にいれば、このせっと一式を持ち寄る事について、
   問い質される事もあったでしょう」プルプル

貴音「僥倖っ……、圧倒的、僥倖っ……!」プルプル

貴音「…………」ピタッ

貴音「……出陣の時です」

269: 2012/01/05(木) 04:30:17.14 ID:/TZ1og3a0
――スーパーの帰り道、P宅へ向う途中――

貴音「ど、どっさり買ってしまいました」テクテク

貴音「とても今晩のみで、食べきれる量ではありません」テクテク

貴音「ですから、向こう数日間のおかずも合わせて作るつもりです」テクテク

貴音「和食に洋食に中華……。ふふ、腕が鳴りますね」テクテク

貴音「…………」テクテク

貴音「くっ……、重い」ヨロッ

278: 2012/01/05(木) 05:06:52.49 ID:/TZ1og3a0
――P宅、玄関前――

貴音「ここですね。えっと、まずは表札を確認して……」

【―――】

貴音「……たしかにあの方の部屋ですね。では、早速上らせて頂きましょう」ガチャリ

キイッ
バタン

貴音「し、失礼します」ヌギヌギ

貴音「…………」クンカクンカ

貴音「あの方の香りが///」

貴音「…………///」

貴音「……こほん。いつまでも、こうしてはいられませんね」

貴音「早速作るといたしましょう」

281: 2012/01/05(木) 05:15:18.09 ID:/TZ1og3a0
貴音「……よし、ざっとこんなものですね。あとは、味が染み込むのに、時間がかかる料理を待って完成です」

貴音「それと明日食べる作り置きは冷蔵庫へ。それ以降の分は冷凍庫へ入れておきましょう」

貴音「…………」

貴音「…………」ソワソワ

貴音「多忙なあの方の事です。掃除をする暇もないでしょう」

貴音「ですから部屋を掃除したら、きっと喜ぶに違いありません」

貴音「た、たとえ掃除中に、見られて困るものが出てきてもです!」

貴音「……まずは居間からですね」

284: 2012/01/05(木) 05:22:09.39 ID:/TZ1og3a0
――居間――

貴音「……ふぅ。殿方の部屋はもっと雑然としているかと思いきや、意外な程に片付いていますね」

貴音「掃除機を軽くかけるだけで終わってしまいました」

【本棚】

貴音「…………」チラッ

貴音「様々な本がありますね。はぁどかばぁに辞典に小説に叢書に新書――。そして、仕事に関する資料です」

貴音「そういった類いの本はありません。……で、でじたる派なのでしょうか」

貴音「……おや?」

貴音「やけに分厚いふぁいるのぉとですね。しかも、ざっと10冊はあります」

288: 2012/01/05(木) 05:29:13.38 ID:/TZ1og3a0
貴音「表題は『765プロの軌跡』。……少し拝見させて頂きましょう」

貴音「…………」ペラッ

貴音「なるほど。これは今までに私達が取り上げられた雑誌等の、すくらっぷ集のようです」ペラッ

貴音「丁寧に日付まで書いてあります。やはり日を追う毎にその数は増えていますね」ペラッ

貴音「あの方はどの様な気持ちで、これを眺めるのでしょうか」ペラッ

貴音「ふふ、これはあの時の。……ん?」ペラッ

貴音「…………」ペラペラッ

貴音「き、気のせいでしょうか。明らかに私に関する記事や写真が多いような///」ペラッ

貴音「///」ペラッ

貴音「……」パタン

貴音「さ、さて。今度は寝室を片付けるといたしましょう」スクッ

292: 2012/01/05(木) 05:36:06.12 ID:/TZ1og3a0
――寝室――

貴音「これまた、掃除機を軽くかけるだけで終わってしまいました」

貴音「…………」チラッ

【ベッド】

貴音「お約束ではありますが。……とぅ!」ボフッ

貴音「……な、なんとこれはっ」ゴロゴロ

貴音「あの方の匂いに包まれてっ」ゴロゴロ

貴音「まるで、あの方に抱き締められている様です!」ゴロゴロ

貴音「……まあ、実際に抱き締められた事はありませんが」ピタッ

貴音「…………」

貴音「ふふっ♪」ゴロゴロ

297: 2012/01/05(木) 05:43:28.57 ID:/TZ1og3a0
二十分後

貴音「ふぅ、満喫しました」ムクッ

貴音「それでは、そろそろお風呂の準備でも……おや?」チラッ

【眼鏡 on サイドボード】

貴音「いつもかけている眼鏡とは違いますね。……予備なのでしょうか」

貴音「……少しかけてみましょう」スチャッ

貴音「おぉ、なんとぴったり。良く見えます」

貴音「と言うことは、あの方は裸眼では、私と同じような景色を見ているのでしょうか。
   大したことではありませんが、何だか嬉しいですね……」

貴音「…………」



298: 2012/01/05(木) 05:50:31.45 ID:/TZ1og3a0
貴音「……そう言えばこの状況、あるあにめぇしょんを思い出します」

貴音「あれは、古都にまだ居を構えていた時の事です」

貴音「深夜に目が覚めててれびをつけた所、えう゛ぁという面妖なあにめがやっていたのです」

貴音「そう言えば、ひろいんの一人は私と同じ銀髪の少女でした」

貴音「『駄目、あの方が呼んでる……』」

貴音「……ふふっ」

貴音「……話を戻しましょう」

貴音「ある日、主人公の少年が身分証を届けるために、その少女のマンションを訪れるのですが
  呼び鈴が壊れているせいか、少女は出てきません」

貴音「そこで部屋に入ると、少年は寝具の脇棚に、父親の壊れた眼鏡を見つけるのです」

貴音「少年にとって実の父親は……。いえ、話が長くなるので割愛いたしましょう」

302: 2012/01/05(木) 05:57:05.49 ID:/TZ1og3a0
貴音「そして、少年おもむろににその眼鏡をかけるのです」

貴音「その時、背後から気配が――」

ミシッ

貴音「何奴!?」バッ

P「た、貴音。なにやってるんだ?」

貴音「な゛っ……///」カアッ

P「……」

貴音「……///」パクパク

P「……なんかすまん」

貴音「……///」パクパク

P「……」

貴音「ど、どいてくれる?」

307: 2012/01/05(木) 06:04:05.45 ID:/TZ1og3a0
――食事中――

貴音「すいませんでした。つい舞い上がってしまい///」

P「はは、そんなに気にするなって。むしろ見てて楽しかったから」パクッ

貴音「どの辺りから見ていたのですか?」

P「えっと、『駄目、あの方が呼んでる……』ってとこからかな。随分と饒舌に語ってたな」

貴音「あぁ……///」

P「はは。まあ、いいじゃないか。それより箸が止まってるぞ。どんどん食べよう」

貴音「は、はい」パクパク

310: 2012/01/05(木) 06:13:40.94 ID:/TZ1og3a0
P「いやあ、食べた食べた。本当に美味しかったよ」ギシッ

貴音「ふふ、お粗末様でした。食後のお茶をどうぞ」コト

P「ああ、ありがとう。……それと貴音も隣に座りなよ」

貴音「はい、では失礼します」キシッ

P「それにしても、貴音は本当に器量がいいよな」ズズッ

貴音「いえいえ、そんなことはありません」

P「そう謙遜するなって。短時間で作り置きの食事も準備してくれて、部屋も掃除してくれて」

P「ついでに、面白い物も見せてくれたしな」

貴音「ふふ、あれは余計でした///」

311: 2012/01/05(木) 06:22:44.61 ID:/TZ1og3a0
P「貴音をお嫁さんに貰う人は、きっと幸せだな」

貴音「っ……。な、ならば、あなた様はきっと、幸せ者になりますね」

P「え?」

貴音「私が添い遂げたいと思う相手は、あなた様だけですから」

P「そ、そうか」

貴音「ええ」

314: 2012/01/05(木) 06:29:29.80 ID:/TZ1og3a0
P「……なんか急に大胆になったな」

貴音「くすっ、そうですね。想いは伝えましたし、恥ずかしいところも見られました」

貴音「怖いものなし、というやつです」

P「はは、そっか。……なら、俺の答えを聞く用意もできてるよな?」

貴音「は、はい」

P「…………」

316: 2012/01/05(木) 06:47:01.86 ID:/TZ1og3a0
P「……俺も」

P「俺もお前の事が、――貴音の事が好きだ。初めて会った時からずっと好きだ。……愛してる」

貴音「……本当、ですか?」

P「ああ。それとも、冗談に見えちゃうか?」

貴音「ふふ、見えませんね。あなた様は冗談が下手ですから」

P「え、そうかな。自分じゃそんなつもりはないんだけどな」

貴音「いいえ、私にはわかります。……いつもあなた様を見てきたのですから」

P「はは、そっか。それは光栄だな……」ズズッ

貴音「…………」

P「えっと、それじゃあそろそろ、」

貴音「……っく……」ポロッ

P「ん?」

322: 2012/01/05(木) 06:55:04.31 ID:/TZ1og3a0
貴音「……うぅっ……ぐすっ」ポロポロ

P「お、おい。貴音、どうした!?」

貴音「す、すいません……。でもっ……ひくっ……うれし、くて……ぐすっ」ポロポロ

P「……そっか。けど、嬉しいなら笑ってくれないか?貴音のそういう顔は見たくないからな」ポンポン

貴音「ぐすっ……で、ですが、ひくっ……勝手に……涙が……っく」ポロポロ

P「貴音……」

貴音「ひぐっ……すいま、せん……うぅっ……すぐに、泣き止み……ぐすっ……ますからっ」ポロポロ

P「それじゃあ、俺の胸を貸してやる。こうすれば見えないだろ?」ギュッ

貴音「あっ……。……ひくっ……は、はい……ぐしゅ」ギュウッ

358: 2012/01/05(木) 10:26:26.65 ID:/TZ1og3a0
P「……どうだ、そろそろ落ち着いたか?」ポンポン

貴音「ぐすっ……。は、はい、大分落ち着きました」

P「それにしても、嬉しくて泣いちゃうなんて、凄く意外だったよ」

貴音「そうですか?」

P「ああ。貴音は超然としてるっていうか、常に余裕の笑みを浮かべてるイメージだからな」

貴音「自分ではそのようなつもりは……」

P「分かってる。素の貴音はちょっと天然で純真無垢で、ほっとけないって感じだし」

貴音「そ、そのような事は///」

P「はは、こういうのギャップ萌えって言うのかな。素の貴音を見せていけば、もっとファンが増えると思うよ」

貴音「素の私……」

P「ああ、貴音はどう思う?」

363: 2012/01/05(木) 10:33:36.70 ID:/TZ1og3a0
貴音「……嫌、です」

P「うーん。やっぱりそうか。貴音にも大事にしたいイメージがあるだろうしな」

貴音「いえ、そうではありません」

P「え、それじゃあ、なんで?」

貴音「本当の私は、あなた様だけが知っていて欲しいからです」ギュッ

P「そ、そうか。勿体無い気もするけど、それでいいのかな」

貴音「それでいいのです」

P「……そうだな」ギュッ

366: 2012/01/05(木) 10:38:44.26 ID:/TZ1og3a0
P「すっかり、夜も更けたな」

貴音「……ええ」

P「よし。じゃあ、そろそろタクシー呼ぼうか」

貴音「…………」

P「さすがにこの時間に、女の子が一人で帰るのは危険だしな。だから、」

貴音「いやです」

P「そ、そっか。だったら、俺がマンションまで送ろうか?」

貴音「それも、嫌です」

P「……おいおい。じゃあ一体どうしたいんだ?」

369: 2012/01/05(木) 10:44:52.90 ID:/TZ1og3a0
貴音「今宵は帰りたくありません。……泊めて頂けませんか?」

P「泊めてって……ええっ!?いやいや、それだけはダメだ!」

貴音「どうしてですか?」

P「どうしてって……。とにかくダメなものはダメだ」

貴音「漸く想いが叶ったのです。このまま帰れるほど私は大人ではありません」

P「……前は子供じゃないって、反論してたじゃないか」

貴音「それに、あなた様はもっと私といたくはありませんか?」

P「それは、一緒にいたいよ。だけどな、」

貴音「何より、今の私は泣いたせいで目が赤く腫れています」

貴音「週刊誌にでもこの顔を撮られようものなら、何時ぞやの様に、あることないこと書かれてしまいませんか?」

P「それは……」

371: 2012/01/05(木) 10:50:58.32 ID:/TZ1og3a0
貴音「卑怯な物言いで、あなた様を困らせている事は承知しています。しかし、それでも私は……」

P「貴音……」

貴音「お願いします」

P「……はぁ。わかったよ、泊まっていけ」

貴音「ほ、本当ですか?」

P「そう言ったのはお前だろ?それに、俺だって貴音といたくないって言ったら嘘になるしな」

貴音「あなた様……」

372: 2012/01/05(木) 10:57:20.16 ID:/TZ1og3a0
P「それじゃあ、そうと決まったら風呂に入らないか。泣いたし、スッキリしたいだろ?」スクッ

貴音「い、いきなりお風呂ですか!?心の準備が……。しかし、あなた様が望むのであれば///」ガタッ

P「ん、いきなり立ち上がってどうしたんだ。先に入るか?」

貴音「へ?一緒に入るのではないのですか?」

P「一緒に入るって……。な、何言ってんだ貴音!?先に俺が入るって事だよ!」

貴音「っ……、そうですね。普通はそういう意味ですね///」

P「普通も何もそれしかないだろ……。とにかく、先に入ってくるよ」スタスタ

貴音「ええ、ごゆっくり」

ガラッ
パタン

376: 2012/01/05(木) 11:03:33.14 ID:/TZ1og3a0
貴音「さ、さすがにいきなりお風呂ぷれぃと言われたら困りましたね」

貴音「…………」ソワソワ

貴音「しかし、泊まる事を認めた直後に、お風呂を勧めると言うことは、そういうつもりなのでしょう……」

貴音「性急なのかもしれませんが、いつかはあの方と通る道……」

貴音「…………」ゴクリ

貴音「……覚悟を決めるといたしましょう」

380: 2012/01/05(木) 11:09:38.62 ID:/TZ1og3a0
ガラッ
パタン

P「ふー。スッキリした」ゴシゴシ

貴音「お、お帰りなさい」

P「ああ、ただいま。それじゃあ、今度は貴音が入ってきな。その間に寝る準備しておくから」

貴音「寝る準備!?……そうですね。あとは寝るだけですね」

P「ドライヤーは洗面所にあるから、勝手に使っていいから」

貴音「は、はい。では行って参ります」

/////

貴音「ふぅ……」ゴシゴシ

貴音「…………」バシャ

385: 2012/01/05(木) 11:15:28.16 ID:/TZ1og3a0
【鏡】

貴音「…………」ジッ

貴音「…………」クルッ

貴音「……すたいるに自信がない訳ではありませんが」

貴音「重要なのは、あの方がこの体を好ましく思うかどうかですね……」

貴音「…………」ジッ

貴音「……くすっ。きっと、好ましく思ってくれるはずです」

貴音「あのすくらっぷ集には、私の水着写真もたくさんあったのですから」

貴音「そろそろ、上がるとしましょう」ペタペタ

ガチャ
バタン

388: 2012/01/05(木) 11:22:04.53 ID:/TZ1og3a0
カチッ

貴音「…………」ゴォー

貴音「……ところで、きちんと着てからあの方の前に出るべきでしょうか」ゴォー

貴音「脱がす楽しみもあると言いますが、何分、初めての事……」ゴォー

貴音「一枚一枚脱がされるなど、恥ずかしくて卒倒してしまいそうです」ゴォー

カチッ

貴音「…………」

貴音「ば、ばすたおる一枚でいきましょう」キュッ

貴音「すぅ……、はぁ……」

貴音「いざ参ります」ペタペタ

392: 2012/01/05(木) 11:30:52.51 ID:/TZ1og3a0
ガラッ

貴音「た、頼もう!」

P「おう、貴音。結構早かったな……って、うわああぁ!?」ガタッ

貴音「あ、あなた様、どうされました!?」

P「な、何でバスタオル一枚なんだよ!?」

貴音「やはり、脱がしたい派ですか?しかし何分、初めてなのでできれば、」

P「何だよ、脱がしたい派って!?と、とにかく、何か着るんだ!それまでの間、向こうに行ってるから!」ダッ

貴音「ま、待って下さい!」ガシッ

P「っ!ちょっ……いきなり掴んだら、バランスが……うわっ!」

貴音「あなた様!?……きゃあ!」

ドシン!

396: 2012/01/05(木) 11:37:30.97 ID:/TZ1og3a0
P「いつつ……。貴音、大丈夫か?」

貴音「は、はい。あなた様がくっしょんになって頂いたお陰で、どこも痛くは」

P「そうか、それは良かった。……それじゃあ、そろそろ退いてくれるか?そ、その、目のやり場に困るしな。
 俺は向こうに行ってるから」チラッ

貴音「……あの、先程から向こう向こうとは、どういうおつもりで?で、できれば、初めてはべっどが……」

P「ん?貴音こそさっきから、初めてとか、脱がすとか何言ってるんだ?」

貴音「で、ですから、初めての、え、えっちは脱がすこともなく、べっどの上でお願いしたいのですが///」

P「ああ、なるほど。たしかに初めてのHは……って、えええぇ!?」

貴音「?」

398: 2012/01/05(木) 11:43:51.48 ID:/TZ1og3a0
P「ま、まさか、貴音がそういうつもりだったとはな……」

貴音「すいません……///」カアッ

P「いや、俺こそ悪かったよ。泊まれって言うや否や、風呂に入ろうだもんな。勘違いしても仕方ないさ」

貴音「うぅっ……///」

P「だけどさ。そもそも、まだそういうのは早いんじゃないかな。せっかくの覚悟を無駄にするようで悪いけど
 焦らずいかないか?……もう恋人同士なんだしさ」

貴音「っ……、そうですね。少し残念な気もしますが
   焦る必要はありませんね。……恋人同士なのですから」

P「だろ?それじゃあ、そういうことで一段落着いたことだし寝ようか」

貴音「……あの」

P「ん、まだ何かあるのか?」

402: 2012/01/05(木) 11:50:27.38 ID:/TZ1og3a0
貴音「勘違いとはいえ、覚悟は覚悟です。……せめて、一緒に寝て頂けませんか?」

P「い、一緒にって、同じ布団でか?」

貴音「は、はい」

P「……いいよ」

貴音「よ、よろしいのですか?」

P「まあ、一緒に寝るくらいならな。それに、今日の貴音は妙に頑固だからな。ダメって言っても聞かないんだろ?」

貴音「ふふ、それもそうですね」

P「じゃあ、今度こそもう寝よう。明日休みとはいえ、夜更かしは体によくないからな」

貴音「ええ、おやすみなさい」

P「おやすみ」

パチッ

407: 2012/01/05(木) 11:57:19.34 ID:/TZ1og3a0
――1時間後――

貴音・P「「…………」」

貴音「(やはり眠れませんね。隣に好きな方がいるのですから)」モゾッ

P「貴音も眠れないのか?」

貴音「!……起きていたのですか」

P「ああ、いつもはすぐに寝ちゃうんだけどな。……きっと、貴音が側にいるからかな?」

貴音「くすっ、私もです。隣にあなた様がいると思うと、胸が高鳴ってしまってかないませんね」

P「おお、なんと。銀色の王女にそこまで仰って頂けるとは有り難き幸せ」

貴音「ふふ、あなた様にはそのような気障な言い回しは、似合いませんよ」

P「む、そうか?真には好評だったんだけどな」

貴音「……」ピクッ

P「ん、どうした貴音?」

貴音「……その話、今度詳しく聞く必要がありますね」

410: 2012/01/05(木) 12:06:07.67 ID:/TZ1og3a0
P「……ふふ」

貴音「どうされました?」

P「ううん、大した事じゃないんだ。貴音は寝るとき、やっぱりパジャマ着るんだなって思って」

貴音「笑うということは、……似合っていませんか?」

P「いや、そんな事ないよ、凄く似合ってる。……ただね」

貴音「ただ?」

P「今こういう風になってるのって、冗談半分で何着て寝るかを、聞いたのが始まりだったろ?」

貴音「ええ、そういえばそうですね」

P「あれだけでも結構驚いたのに、それがまさか、パジャマどころかバスタオル一枚の姿まで、
 見れることになるとは思わなかったからさ。何だかおかしくて」

貴音「そ、そのことは忘れて下さい///」

P「はは、残念ながら忘れろってのは無理な話だな」

416: 2012/01/05(木) 12:14:23.00 ID:/TZ1og3a0
貴音「……あなた様」

P「なに?」

貴音「手を繋いでも良ろしいですか?」

P「手?……ああ、勿論いいよ」キュッ

貴音「ふふ……」キュッ

P「……何かこういうの良いな」

貴音「ええ」

P・貴音「「…………」」キュッ

420: 2012/01/05(木) 12:21:19.46 ID:/TZ1og3a0
P「……なあ、貴音」

貴音「はい、なんでしょう?」

P「そろそろ……限界みたいだ。凄く眠い……」

貴音「……そうですか。でしたら、無理せず寝て下さい。私もじきに眠りますから」

P「悪いな……」

貴音「お気になさらず。……では、おやすみなさい」

P「ああ……、おや……すみ……」

423: 2012/01/05(木) 12:27:36.86 ID:/TZ1og3a0
貴音「……あなた様」ボソッ

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「……寝てしまいましたか」

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「…………」

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「…………」モソモソ

貴音「……んっ……」ギュッ

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「(ふふ、暖かい……)」

428: 2012/01/05(木) 12:34:06.97 ID:/TZ1og3a0
貴音「…………」ジッ

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「(そう言えば、眼鏡の掛けていない素顔を、こうまじまじと見つめるのは初めてですね)」

貴音「(以前、舞台から落ちた大怪我で、入院した際には見る機会がありましたが……)」

貴音「(あの時は、気が気でなく、それどころではありませんでしたし)」

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「…………」ジッ

貴音「(意外や意外に睫毛が長いですね)」

貴音「(それに、すっと通った鼻梁に、薄く開いた口から漏れる寝息……)」

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「(殿方であるのに、どこか色っぽく感じてしまうのは、なぜでしょう……)」ドキドキ

430: 2012/01/05(木) 12:40:56.20 ID:/TZ1og3a0
P「すぅ……、すぅ……」

貴音「(……唇)」ジッ

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「(き、きす、してみたいですね。……しかし寝込みにそのような、)」ドキドキ

――『もう恋人同士なんだしさ』

貴音「……っ……」ドキドキ

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「(そうです、私たちは恋人同士なのです。
   何を遠慮する必要がありましょうか……)」ドキドキ

貴音「すぅ……、はぁ……」ドキドキ

435: 2012/01/05(木) 12:49:51.26 ID:/TZ1og3a0
貴音「…………」スッ

貴音「……んっ……」チュッ

P「…………」

貴音「……んぅっ……」ギュウッ

P「…………」

貴音「……ふっ……」スッ

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「…………」ドキドキ

貴音「……ふふっ///」カアッ

P「すぅ……、すぅ……」

貴音「……おやすみなさい」

439: 2012/01/05(木) 13:00:31.09 ID:/TZ1og3a0
【朝】

貴音「……すぅ、……すぅ」

貴音「……んぅ……」ピクッ

貴音「…………」パチッ

貴音「(……?)」

貴音「(……知らない天井?……ここは一体?)」キョロキョロ

P「…………」カタカタ

貴音「(……そうでした。昨日は、あの方の自宅に泊めて貰ったのでしたね)」ムクリ

P「ん?起きたのか貴音。おはよう」

貴音「ええ、おはようございます。朝から仕事ですか?」スタッ

441: 2012/01/05(木) 13:06:47.95 ID:/TZ1og3a0
P「ああ、ちょっと思いついた企画があってね。形に残して置こうと思って」カタカタ

貴音「仕事に熱心なのは良いことですが、たまの休日くらいは休まれた方がよいのでは?」

P「ああ。そうするつもりだったんだけど、貴音の寝顔を眺めてたら、閃く物があってね」

貴音「私の寝顔?」

P「ああ。……可愛い寝顔だったよ?」

貴音「な゛っ……///」カアッ

P「はは、そんなに照れることないんじゃないか。可愛いなんて言われ慣れてるだろ?」

貴音「た、たしかに、容姿を誉めて頂ける事は少なくありませんが、
   綺麗と言われても、可愛いとはあまり。それに……」

P「それに?」

442: 2012/01/05(木) 13:13:32.53 ID:/TZ1og3a0
貴音「他の方に誉められるのと、あなた様のそれでは全く意味合いが違いますから///」

P「っ……。そ、そうか」

貴音「ええ……」

P・貴音「「…………」」

P「……はは」

貴音「……くすっ」

P「なんか朝から、惚気るなんてむず痒いな」

貴音「おや、そうですか。私はもっと惚気た話もできますよ?」

P「か、勘弁してくれ。素面じゃこれが限界だ」

貴音「ふふ、それは残念です」

444: 2012/01/05(木) 13:20:53.59 ID:/TZ1og3a0
P「それじゃあ、そろそろ飯にしないか?お腹ぺこぺこなんだ」

貴音「ええ。では、すぐに準備いたしますので、少々お待ちください」

――20分後――

貴音「おまたせしました」コトッ

P「おっ、朝は和食か」

貴音「ええ、やはり日本人なら朝はお米を食べねば、力が出ませんからね。
   ……それともパンの方がよかったですか?」

P「ううん、そんなことないよ。俺も朝はご飯派だ」

貴音「それは良かった。……ではいただきましょうか」

P「ああ」

P・貴音「「いただきます」」

445: 2012/01/05(木) 13:26:10.83 ID:/TZ1og3a0
P「うーむ……」モグモグ

貴音「んくっ、……どうされました?もしや、口に合わない物でもありましたか?」

P「いや、全部おいしいよ。ただ、見慣れたメニューばかりなのに
 どれも深い味とでも言えばいいのかな。……プロ並みなんじゃないか?」

貴音「ふふ、ありがとうございます」

P「やっぱり何かコツや秘訣があるのか?
 それとも、これが四条家のお袋の味ってやつなのか?」

貴音「……」ピクッ

P「ん、どうした貴音?」

貴音「いえ、なんでもありません。まあ、味の事に関してはあなた様に対する
   愛情が隠し味といったところです」ニコッ

P「はは、また惚気話かよ」

貴音「くすっ。……そんなことより、このお漬物も食べてみて下さい。とても美味しいですよ」

P「どれどれ……。おっ、上手いな」ポリポリ

448: 2012/01/05(木) 13:35:25.90 ID:/TZ1og3a0
P「(……なんか、露骨に話題を変えられたよな)」パクパク

貴音「…………」モグモグ

P「(触れられたくない話だったのかな。四条家のことって)」

P「…………」パクパク

――『やはり日本人なら朝はお米を食べねば、力が出ませんからね』

P「(日本人なら、か……)」モグモグ

P「(古都の爺やさんだったり、柔道経験者を投げ飛ばす身のこなしだったり……)」ゴクン

P「(他にも、日本人離れしたスタイルや顔立ち。何よりあの神秘的な銀髪――)」チラッ

貴音「…………」モグモグ

451: 2012/01/05(木) 13:39:07.91 ID:/TZ1og3a0
P「(俺もまだまだ、貴音のことを知らないってことか……)」

貴音「あなた様、ごはんのおかわりは?」

P「あっ、ああ。それじゃあ頼むよ」

貴音「では、少々お待ちください」ガタッ

P「(知りたい、と思うのは当然だよな。……好きなんだから)」ジッ

貴音「…………」カチャカチャ

P「(いつか教えてくれるよな?貴音……)」

453: 2012/01/05(木) 13:45:45.08 ID:/TZ1og3a0
P「……ふぅ。ごちそうさま。美味しかったよ」ギシッ

貴音「はい、お粗末様でした。……食後のお茶をどうぞ」コトッ

P「ああ、ありがとう」ズズッ

貴音「では、私も隣に失礼して」キシッ

P「…………」

貴音「…………」

P・貴音「「あの、」」

P「おっと、悪い。重なっちゃったな」

貴音「ふふ、お気になさらず」

454: 2012/01/05(木) 13:52:30.83 ID:/TZ1og3a0
P「……で、なにかな?貴音から先に言って良いぞ」

貴音「よろしいのですか?」

P「ああ、勿論」

貴音「では、お言葉に甘えて」

貴音「……でぇと、してみませんか?」

P「デート?」

貴音「ええ。家でまったりと過ごすのも魅力的ではありますが、せっかくの行楽日和」

貴音「陽光の下をあなた様と共に、歩いてみたいのです。……だめ、でしょうか?」

P「ううん、俺も良いと思うよ。……じゃあ、まずは近場の公園にでも行ってみようか」

貴音「はい、ぜひともっ」

457: 2012/01/05(木) 14:03:31.81 ID:/TZ1og3a0
P「そうだな……。それじゃあ、今日は一日デートしよう。
えっと、他に行きたい所はないか?」

貴音「他にですか?そうですね……。日用雑貨店はどうでしょう」

P「日用雑貨店?消耗品でも買うのか?」

貴音「ええ。あなた様の自宅には、生活する上で足りない物が多々ありますからね。少々不便なのです」

P「不便って……。俺は別に困っちゃいないぞ?」

458: 2012/01/05(木) 14:08:01.88 ID:/TZ1og3a0
貴音「ふふ、あなた様ではなく私です」

P「ん?それって、もしかして……」

貴音「はい。毎日というわけにはいきませんが、休みの日にはできる限りお邪魔して、寝食を共にできたらと」

P「し、寝食を共に……!?さ、さすがにそれは無理じゃないかな」

貴音「おや、なぜでしょうか?」

P「っ……、それはだな……」

貴音「それは?」

P「(分かってからかってるわけじゃないよな?
いや、分かってないなら尚更質が悪いよ、貴音……)」

460: 2012/01/05(木) 14:14:11.13 ID:/TZ1og3a0
P「そ、そうだ!週刊誌に撮られる可能性があるからな!」

P「『銀色の王女、自社のプロデューサーと熱愛か!?』なんて、書かれたら困るだろ?」

貴音「……そうですね」

P「だろ?だから寝食を共になんて、」

貴音「しかし、大丈夫です。何も心配する必要はありません」

P「へ?」

貴音「私の第六感は冴えに冴えていますから、そのような失態は犯しません」

P「だ、だけどな……」

貴音「それに、不穏な気配を感じたら、ほうれんそう、ですからね?何も問題はありません」ニコリ

P「ぐぬぬ」

462: 2012/01/05(木) 14:21:21.65 ID:/TZ1og3a0
P「はぁ……。わかったよ」

貴音「よ、よろしいのですねっ?」

P「ああ。とは言っても、貴音の生活リズムに、響かない程度に来てくれよ」

貴音「ええ、それは勿論!」

P「……ただし」

貴音「ただし?」

P「昨日みたいに、はしゃぎ過ぎたり、先走らないようにな?」ニヤリ

貴音「っ……///」

466: 2012/01/05(木) 14:27:43.27 ID:/TZ1og3a0
P「よし。それじゃあ、そろそろ行こうか。あとの行く先は、デートしながら考えればいいしな」スクッ

貴音「ええ、そういたしましょう」スクッ

――玄関前――

P「火の元よし。戸締まりよし。それと、貴音の変装も。……うん、いいな。似合ってるよ」ポンポン

貴音「ふふ、ありがとうございます。……では、まいりましょうか」

ガチャ

貴音「あっ」

P「ん、どうした貴音。何か忘れ物か?」

貴音「いえ、忘れ物ではありません」

P「じゃあ、何だ?」

472: 2012/01/05(木) 14:33:52.02 ID:/TZ1og3a0
貴音「あなた様も……。あなた様も先ほど何か、言おうとしたのではありませんか?」

P「あっ……。ああ、そう言えばそうだったな」

貴音「なんでしょう?」

P「…………」ポリポリ

貴音「どうされました?もしや、何か他に予定でも?」

P「いや、予定は特にないよ」

479: 2012/01/05(木) 15:04:04.38 ID:/TZ1og3a0
貴音「では、一体何を言おうとしたのですか?」

P「うーん。それは、貴音にしてもらいたい……いや、したいこと、かな」

貴音「し、したいこと?///……ど、どうぞ何なりと言って下さい」

P「本当か?後悔するなよ?」

貴音「ええ。四条貴音に二言はありません。それにあなた様の頼み事です。
   何を後悔する事がありましょう」

P「はは、そうか。……それじゃあ遠慮なく」

貴音「ええ」

P「今度は――」

貴音「(何でしょう……。はぐたっちでしょうか?
それとも、擽り合いでしょうか?)」ワクワク

480: 2012/01/05(木) 15:09:50.33 ID:/TZ1og3a0
P「今度は俺からキスしても良いかな?」






貴音「えっ」





           ~tinじゃなくてfin~

481: 2012/01/05(木) 15:10:32.29 ID:gM7bZZzf0
俺「えっ」

482: 2012/01/05(木) 15:12:31.77 ID:l+r93BH40
えっ

486: 2012/01/05(木) 15:14:15.87 ID:FUPvQ2YAO
えっ

と言いたいところだが乙でした

495: 2012/01/05(木) 15:19:32.84 ID:/TZ1og3a0
最後は、キスされた時に実は
狸寝入りしてたってことなんですが
分かりにくかったか…。
あと、最初のレスに合わせて落そうと思ったんです

496: 2012/01/05(木) 15:20:17.13 ID:xolBmYHu0
乙!
よかったよ!

507: 2012/01/05(木) 15:36:52.86 ID:GG7qzmVf0
乙でした!

引用元: P「貴音は寝るときパジャマじゃないのか?」