1:2008/05/20(火) 14:34:13.19 ID:ZlW8KyME0

    キョン「おい、古泉」

    古泉「んー? なんね?」

    キョン・古泉「!!」

    キョン「古泉、おま……」

    古泉「ち、ちがっ……さっきのは間違えただけったい」

    キョン・古泉「!!」


    長門「ユニーク」

5:2008/05/20(火) 14:36:06.09 ID:ZlW8KyME0

    古泉「長門さん、これ、どういうことね」

    長門「涼宮ハルヒの影響と考えられる。
        涼宮ハルヒは先日、博多華丸大吉のネタを視聴した。
        そして、あなたのような人格が、方言を用いて会話をするところを想像した」

    古泉「僕んごた人格が?」

    長門「……日本語で喋ってもらえると有り難い」

    古泉「こすかー」

9:2008/05/20(火) 14:38:40.90 ID:ZlW8KyME0

    キョン「それにしても、凄い違和感だな」

    古泉「これ、なおらんの?」

    長門「涼宮ハルヒの興味が無くなるまでは治らない」

    古泉「そ、そんな……。機関にはどげん言えばよかとよ」

    長門「……喋っても通じないと思われる」



12:2008/05/20(火) 14:40:10.97 ID:ZlW8KyME0

    古泉「涼宮さんの前でも、この喋り方でよかと?」

    長門「問題はないと思われる。
        けれど、意思の疎通が図れるかは不明」

    古泉「長門さん、さっきから方言を馬鹿にしすぎちゃ!」

    キョン「ちゃ?」

    古泉「ちゃ」

    みくる「あ、お茶欲しいんですかぁ? いま、用意しますねぇ」


18:2008/05/20(火) 14:42:44.55 ID:ZlW8KyME0

    古泉「そういえば、今日、涼宮さんやけに遅かね」

    キョン「ああ、掃除当番らしい。……というかだな、古泉。
         口を噤むわけにはいかないか」

    古泉「ひどかー。方言を喋った途端発言権を奪う気ね?」

    キョン「いや、ちょっと……違和感がだな」

    長門「私も読書に集中出来ない」

    みくる「私も、ちょっと……」

    古泉「……じゃあ、黙っとくことにするったい」 


21:2008/05/20(火) 14:44:46.69 ID:ZlW8KyME0

    こすかーって、ちょっと使い方間違ってた。
    標準語で言うと「ずるい」



    古泉「…………」

    キョン「……睨むのはやめてくれないか」

    古泉「…………」

    キョン「……参ったね。もう喋ればいいだろ、喋れば」

    古泉「…………」

    キョン「…………はあ」


    鶴屋「やっほー! 皆、元気かなっ!? つるにゃんのお出ましだよっ!」



27:2008/05/20(火) 14:48:18.71 ID:ZlW8KyME0

    鶴屋「どうしたんだいっ、古泉くんっ。
        いつもはあんなに笑ってるのに、今日に限って不機嫌顔だねっ」

    古泉「別にそんなことないったい」

    鶴屋「ん? あれあれあれ? その喋り方はどうしたのかなっ?
        不思議なイントネーションにょろねっ?」

    長門「古泉一樹は、方言について学習中」

    鶴屋「そうなのかいっ? そっかそっか! 勉強熱心なんだねっ!
        方言と言えば、昨日の博多華丸大吉のお笑いライブ見たかいっ?
        めがっさ面白かったよっ! 
       はるにゃんにも、メールで連絡したんだけど、結局見たのかなっ?
       それが知りたくてここに来たんだけど、まだはるにゃん居ないっぽいね!
       また出直すことにするよっ」





    キョン「鶴屋さんが全ての元凶か」

    長門「そう思われる」



28:2008/05/20(火) 14:50:06.83 ID:ZlW8KyME0

    みくる「こ、古泉くん、お茶です」

    古泉「別にお茶が欲しかったわけやねえちゃ」

    みくる「……? ご、ごめんなさい、私英語ってよく分かんなくて……」

    古泉「…………」



    キョン「俺も、英語よく分からないんだが。古泉が何言ったか分かるか? 長門」

    長門「私にも不明」

    キョン「そうか……」



31:2008/05/20(火) 14:52:50.78 ID:ZlW8KyME0

    ハルヒ「やっほー! って、何よ、暗いわね。
         どうかしたの?」

    キョン「あ、ああ、ハルヒ。早かったな」

    ハルヒ「はあ? 何、その言い草。
         まるで、もっと遅く来れば良かったのに、みたいな……」

    キョン「い、いや、そんなことないんだが」

    みくる「そ、そうですよ、そんなことないですよ。
         涼宮さん、お茶飲みますかぁ?」

    ハルヒ「……怪しい。そうだっ、古泉くんに聞けばいいのよ!
         古泉くん、二人が何隠してるか教えてくれる?」

    古泉「…………」(首を振り)

    ハルヒ「そう。古泉くんも知らないんだったら、しょうがないわね。
         ま、いいわ。みくるちゃん、早くお茶用意してちょうだいっ」

    みくる「は、はぁい、ただいまぁ」



37:2008/05/20(火) 14:55:39.18 ID:ZlW8KyME0

    キョン「古泉、お前、もう帰って良いぞ。
         これ以上ここに居ても、どうしようもないだろうしな」

    古泉「…………」

    キョン「な? ハルヒには俺からうまく言っとくから」

    古泉「…………」(こくん)

    キョン「……色々、言い過ぎて悪かったな。
        俺、英語の勉強頑張って、お前と普通に喋れるようにするからさ。
        あったかくして寝ろよ」

    古泉「…………」

    キョン「な、なんで俺はいま古泉くんに睨まれてるのかなー」



    みくる「キョンくん、天然で酷いでしゅね」

    ハルヒ「みくるちゃーん、お茶まだー?」

    みくる「あ、ひゃーい。もうすぐでぇーす」



41:2008/05/20(火) 15:00:57.59 ID:ZlW8KyME0

    キョン「ハルヒー! 古泉、ちょっと具合が悪いから帰るらしいぞ」

    ハルヒ「えっ、大丈夫なの? 古泉くん」

    古泉「…………」(こくん)

    ハルヒ「本当に? そういえば、今日古泉くんの声一回も聞いてない気がするわ。喉が痛いの?」

    古泉「…………」(こくん)

    ハルヒ「そう。一人で帰れるの?」

    古泉「…………」(こくん)

    ハルヒ「……嘘ね。そんだけ元気がなくて一人で帰れる筈が無いわ!
         皆っ、今日の活動はここまで! 皆で一緒に帰るわよ!」

    古泉「!」

    キョン「い、いや、ハルヒ。古泉は一人で……」

    ハルヒ「何言ってんのよ、キョン!
         古泉くんは、あんたと違って副団長なんだからね!
         手荒に扱って良い存在じゃないのよ! ね、古泉くん」

    古泉「あ、……ありがとうごぜえやす」

    ハルヒ「ん? 何か言った?」

    古泉「…………」(首を振り)



46:2008/05/20(火) 15:04:48.70 ID:ZlW8KyME0

    キョン「おい、古泉」

    古泉「…………」

    キョン「だから睨むなって。普通に喋って良いぞ」

    古泉「……別に喋ることなんかねえちゃ」

    キョン「ん? お姉ちゃんがどうかしたのか?」

    古泉「…………」

    キョン「だ、だから睨むなって」


    ハルヒ「こら! そこの男子二人! 何ひそひそと喋ってんのよ!
         つーか、キョン! 古泉くんは喉が痛いんだから、無理矢理喋らせるのはやめなさいよ!」

    キョン「そんなことしてねえちゃ!」

    ハルヒ「ん、キョン?」

    キョン「あ、いや、別に何でもない」


    キョン「……お前が姉ちゃん姉ちゃん言うからうつっただろ」

    古泉「…………」

    キョン「だから、睨むなって」



51:2008/05/20(火) 15:07:52.62 ID:ZlW8KyME0

    ハルヒ「んじゃ、古泉くん。ちゃんとうがい手洗いをして、あったかくして寝るのよ? 分かった?」

    古泉「…………」(こくん)

    ハルヒ「それじゃ、また明日ね!」

    みくる「また、明日」

    長門「……明日」

    キョン「姉ちゃんによろしく伝えといてくれな!」

    古泉「…………」






    ハルヒ「キョン、あんた古泉くんに相当睨まれてたわよ」

    キョン「俺今日一日だけで古泉に一生分睨まれた気がするんだが」



52:2008/05/20(火) 15:11:04.34 ID:ZlW8KyME0

    古泉「はあ……これ、どげんすればいいんやろ。
        とりあえず、機関に報告せな……」


    古泉「……もしもし、あ、僕。古泉やけど……。
        いや、ふざけとるわけやないって。
        これ、涼宮さんの影響で方言しか喋れんごとなっちょうとよ。
        嘘やないって。こんなしょーもない嘘つかんって。
        ちょ、切らんで。まだ電話切らんで。信じて。
        あ、じゃあ、森さん。森さん出してくいれば、そいでよかけん。
        …………切れた」


    古泉「……欝や、死ぬしかなか」



55:2008/05/20(火) 15:13:29.20 ID:ZlW8KyME0

    キョン「おい、長門」

    長門「何」

    キョン「古泉のあれ。どうしたら治るんだ?」

    長門「涼宮ハルヒの興味を無くさせるしかない」

    キョン「んなこといっても、どうやって?」

    長門「…………考えておく」

    キョン「分かったよ。俺にも何か出来ることはあるか?」

    長門「……古泉一樹のケアを」

    キョン「……すまん。俺英語分からないんだ。ケアってなんだ?」

    長門「…………何でもない」


59:2008/05/20(火) 15:18:46.81 ID:ZlW8KyME0

    古泉「サンポール、サンポールっと……。あれ、サンポールがなかよ」



    古泉「あ、電話がかかってきたったい」


    キョン『あ、もしもし?』

    古泉「…………」

    キョン『電話越しに睨まれてる気がするんだが。あの……今日はすまなかったな。
         長門に色々咎められた。だけど、わざとじゃないんだ。それだけは分かって欲しい』

    古泉「……そんなん言われんくても分かっとるっちゃ。ちょっと、すねとっただけよ」

    キョン『そうかい。……俺も方言の勉強するからさ。
         お前も、あんまり気にすんなよ。中々良いと思うぜ、お前の方言』

    古泉「……本当にそう思いよると?」

    キョン『嘘吐くわけないだろ。長門もお前の方言は可愛いって言ってたぞ』

    古泉「……ほんなこてや?」

    キョン『ああ、はんだごてだ』

    古泉「…………」

    キョン『心なしかまた睨まれてる気がするんだが……』



61:2008/05/20(火) 15:22:35.21 ID:ZlW8KyME0

    女子「あ、古泉くん、おはよー」

    古泉「…………」(こくん)





    女子「ねーねー、今日の古泉くんいつもと違う感じしない?」

    女子「それ思った! なんか、守ってあげたくなるよねー」

    女子「いつもの余裕かました笑顔も良いけど、今日みたいな古泉くんも良いかも」

    女子「でも、どうしたのかな? 失恋かな?」

    女子「えー、私が慰めてあげよーっと」

    女子「あははははははははは」







    キョン「まあ、ある意味失恋だよな。日本語に失恋して英語にチャレンジしてるわけだしな」

    長門「……あなたも、少し口を噤むべき」



62:2008/05/20(火) 15:25:38.50 ID:ZlW8KyME0

    男子「おい、古泉。お前、どうしたんだよ。元気ねえな」

    古泉「…………」(ふるふる)

    男子「なんだ、風邪か? 顔は赤くないが……目は赤いな」

    古泉「…………」





    女子「ねえねえ、古泉くんの目、少し赤いの見た?」

    女子「見た見た! やっぱり失恋じゃない?」

    女子「きゃー、相手の女誰だよー、ぶっころー」





    ハルヒ「古泉くん、相当具合悪いのかしらね。
         昨日咳き込んじゃって、涙目になっちゃったんじゃない?」

    キョン「さあ、どうだかな。えーっと、兎はラビット、っと」

    ハルヒ「……あんた何やってんの」

    キョン「英語の勉強だ」


67:2008/05/20(火) 15:29:23.34 ID:ZlW8KyME0

    古泉「……はあ。やっと昼休みやね……」

    古泉「先生にあてられたときはどげんしようかと思ったばい……」


    長門「古泉一樹」

    古泉「わあ! 何ね、急に後ろから近づかんでよ。びっくりするやろ!」

    長門「……ごめん。それより、大分精神が衰弱しているように見える。
        大丈夫?」

    古泉「別に大丈夫よ。こんくらいなんてことなか」

    長門「…………そう」

    古泉「……もし」

    長門「…………」

    古泉「……もし、こんまま戻らんごとなったら、僕はどぎゃんすいばよかと?」

    長門「…………」

    古泉「もし、こんまま一生誰とも喋れんごとなったら、僕はどぎゃんして生きていけばよかと?」

    長門「……私が、あなたの話し相手になる。
        だから、泣かないで」

    古泉「べ、別に泣いてなんかなかよ」



73:2008/05/20(火) 15:33:41.11 ID:ZlW8KyME0

    長門「あなたのことだから、昨夜一睡も出来なかった筈。
        ……目が赤くなっている」

    古泉「アルビノたい。アルビノごっこ」

    長門「私の前では気丈に振舞わなくても良い。
        あなたは少し休むべき」

    古泉「でも、今日は保健室も先生が出張で空いとらんし……」

    長門「ここに居れば良い」

    古泉「……でも、さぼるなんて出来んし」

    長門「赤信号皆で渡れば怖くない」

    古泉「……なんね、それ」

    長門「つまり、二人でさぼれば問題は無いということ。
        私も少し休養をする。だから、あなたも休んで」

    古泉「……気を使ってくいようと?」

    長門「そういうわけではない。私も休みたかっただけ」

    古泉「…………ありがとう」


    キョン「あ、長門に古泉じゃないか! 俺もここで英語の勉強していいか?
         って、二人して睨むなよ」



77:2008/05/20(火) 15:36:56.66 ID:ZlW8KyME0

    キョン「宇宙 is ふぉーえばー。
         I am very なんしー」

    古泉「……なんね、そのふざけた英単語は」

    キョン「ええっと、ラビット! ラビット!」

    古泉「…………」

    長門「彼に悪気はない。極端にエアークラッシャーなだけ」

    古泉「まあ、いいったい。僕は休む。おやすー」

    長門「おやすみ」

    キョン「ぐんないっ」



84:2008/05/20(火) 15:40:47.19 ID:ZlW8KyME0

    キョン「ミラーは田代で、ミスキャストは原田泰三っと……」

    長門「…………」

    キョン「おい、長門。なんだその目は。
        長門さん、目つき怖っ」

    長門「……どうしてあなたがこの高校に入学することが出来たのかが不思議」

    キョン「ああ、それに関しては俺も同意見だ。不思議で堪らんね。
         まあ、そうなる運命だったんだろうさ。規定事項ってやつだな」

    長門「…………そう」

    キョン「そして、俺が英語ぺらぺらになるのも規定事項だろうさ」

    長門「それはない」



86:2008/05/20(火) 15:44:51.62 ID:ZlW8KyME0

    キョン「じゃあ、そろそろ俺はバックすることにする。
         二時限も続けてさぼったら、流石にアングリーされるだろうからな」

    長門「……そう」

    キョン「それじゃあ、長門もぼちぼちバックしろよ。
         古泉のこともゲラップしてやれ」

    長門「……わかった」

    キョン「じゃあな。シーユー」






    長門「古泉一樹、起きて」(ゆさゆさ)

    古泉「う……なんね、もう朝ね」

    長門「朝はとっくに過ぎている。そろそろ六限目がはじまる」

    古泉「あ……そういえば、ここは学校やったね。起こしてくれてありがとう」

    長門「疲れは取れた?」

    古泉「微妙やね。夢の中に、ルー大柴が出てきたったい」

    長門「……そう」



87:2008/05/20(火) 15:46:15.24 ID:ZlW8KyME0

    古泉「それにしても、これ本当に治るんやろうか」

    長門「……いい方法を思いついた」

    古泉「え、ほんなこてや?」

    長門「……うまくいけば、あなたは元に戻れる」


91:2008/05/20(火) 15:49:54.08 ID:ZlW8KyME0

    (三日後)


    古泉「長門さん! 長門さん!」

    長門「何」

    古泉「ほら、元に戻ってます!」

    長門「そう」

    古泉「ありがとうございます。長門さんのお陰ですよ。
        でも一体どうやったんですか?」

    長門「…………秘密」



93:2008/05/20(火) 15:52:47.76 ID:ZlW8KyME0

    ハルヒ「ねー、キョン。こないだルー大柴のDVDを有希に貸して貰ったんだけどさ。
         あのおっさん中々やるわね!」

    キョン「ああ、あいつはインサイドインサイドインタレスティングだよな」

    ハルヒ「なに? あんたまだ英語の勉強続けてんの?」

    キョン「いや、サッチつもりは無いんだがな。
        どうやら英語がボディーに染み付いちまったソートオブだ」

    ハルヒ「そ、そう。まあ、あんたが喋ってるそれが英語かどうかは不明だけど」

    キョン「あとで長門にも俺のこの流暢な英語を聞かせてやろうとシンクするぜ。
        やっぱり、俺の言ったストリート。
        俺が英語ペラペラになる規定マターは既に組まれていたのさ」






    古泉「本当に有難うございます! 今度、何か長門さんに奢りますね!
        あ、とおりもんでも如何ですか?」

    長門「ユニーク」

                         (完)



97:2008/05/20(火) 15:55:16.99 ID:3q86nWBb0

    乙━!
    なかなか面白かったよ。



100:2008/05/20(火) 15:56:08.96 ID:i+dc1kYZ0

    乙
    おもしろかったぜ
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1211261653/