1:2010/07/10(土) 22:39:29.68
ハルヒ「ただいまー」
祖母「おかえり、ハルヒちゃん」
ハルヒ「おばあちゃん!来てたの?」
祖母「うん。急にハルヒちゃんの顔が見たくなってねぇ」
ハルヒ「もう、言ってくれてたらおばあちゃんの好きな、〇〇屋の
おまんじゅう買って来たのに」
祖母「ハルヒちゃんは相変わらずやさしいねぇ。高校の制服も似合ってるよ」
ハルヒ「ふふ、ありがとう。おばあちゃん」
4:2010/07/10(土) 22:48:23.32 ID:87DxXaqv0
祖母「どうだい、高校は楽しいかい?」
ハルヒ「うん!毎日充実してるわ」
祖母「そうかい。よかった、よかった。ハルヒちゃん、
中学の時はあんまり楽しそうじゃないってお母さんから聞いてたから、
おばあちゃんは嬉しいよ」ポロポロ
ハルヒ「おばあちゃん。泣いてるの?」
祖母「やっぱり年はとるもんじゃないねぇ。涙もろくなっちゃって…」
ハルヒ「おばあちゃん…肩叩いてあげるね」
祖母「ありがとう。ハルヒちゃんは小さいころから、肩叩きが上手だもんねぇ」
5:2010/07/10(土) 22:54:26.81 ID:87DxXaqv0
タントンタントンタントンタン
ハルヒ「おばあちゃん。気持ちいい?」
祖母「ああ、ほんと気持ちいいわぁ」
ハルヒ「あとで、腰のマッサージもしてあげるね」
祖母「そこまでしなくていいわよ。それよりもね、おばあちゃん、ハルヒちゃんの
高校を見てみたいんだけど」
ハルヒ「いいけど、坂を登るのが大変だよ?」
祖母「大丈夫だよう。おばあちゃんもたまには運動しないと」
7:2010/07/10(土) 23:02:12.64 ID:87DxXaqv0
ハルヒ「じゃあ、おばあちゃん行こうか」
祖母「ええ、ちょっと待ってね。杖、杖と」
ハルヒ「はい、杖」
祖母「ありがとう。これがないと落ち着かなくてねぇ」
シャリンシャリン
ハルヒ「おばあちゃん。その杖についてる鈴って」
祖母「覚えてたのかい?ハルヒちゃんが小学校に入ったときに、ランドセル
買ってくれたお礼っていってくれた鈴だよ」
ハルヒ「…おばあちゃん」
祖母「さあさあ、行きましょうね」
おばあちゃんの片手には杖、そしてもう片方の手は、ハルヒの手が握られていた。
11:2010/07/10(土) 23:17:02.96 ID:87DxXaqv0
ハルヒ「それでね、そのキョンって奴がいっつも遅刻してきてね、
悪びれる様子もないのよ。イヤになっちゃう」
祖母「ふふ、そうなのかい?さっきから、そのキョン君の話ばっかりしてるけど、
ハルヒちゃんは、その男の子が好きなのかい?」
ハルヒ「そっ、そんなことないわよ。誰があんなの…」
祖母「ふふ、そうかい」
ハルヒ「それにね、今は男なんかにウツツをぬかしてる暇は、アタシはないの」
祖母「そんなこと言っちゃいけないよ。おばあちゃんがハルヒちゃん位の時はね、
ちょうど戦争があったりして、恋愛なんてしたくても出来なかったんだよ。
せっかく一度きりの人生なんだから、たくさん恋をしないと、いつのまにか
おばあちゃんみたいにシワシワになっちゃうよ」
ハルヒ「…うん、わかった。でもおばあちゃんはいつまでも素敵だよ」
祖母「ありがとう。ハルヒちゃん」
13:2010/07/10(土) 23:26:40.13 ID:87DxXaqv0
祖母「ふぅふぅ」
ハルヒ「大丈夫?おばあちゃん」
祖母「ああ、大丈夫だよ。ハルヒちゃんはえらいねぇ。毎日こんな坂を登って
学校に来てるのかい?」
ハルヒ「うん。でもアタシは学校が今、楽しくてしょうがないから、こんなの全然平気」
祖母「若いってのはいいもんだねぇ」
ハルヒ「ほら、これがアタシの高校よ!」
祖母「ここが…こんなに立派な所でハルヒちゃんは勉強してるのかい。すごいねぇ」
ハルヒ「うん。今、一番楽しいところ」
祖母「そうかい、そうかい」ポロポロ
ハルヒ「もう、またおばあちゃん泣いてる」
祖母「何故だかわからないけど、嬉しくてねぇ」
ハルヒ「…そろそろ帰ろうか。晩ごはんの時間になっちゃうし」
祖母「グスッ、そうだねぇ。帰りにアイスでも買ってあげる」
15:2010/07/10(土) 23:41:25.10 ID:87DxXaqv0
ハルヒ「もう、小学生じゃないんだから」
祖母「そうだねぇ。ハルヒちゃんはもう立派な高校生だったねぇ」
その時だった。校門から見覚えのある、二つの人影が出てきた。
みくる「すいません。遅くまで付き合わせっちゃって」
キョン「いえいえ、朝比奈さんの頼みなら、あんなこと位」
ハルヒ「みくるちゃんに…キョン?」
キョン「あれ?ハルヒ」
みくる「えっ?」
ハルヒ「アンタら、仲良く二人で下校してるのね」(なんで、なんでみくるちゃんとキョンが)
キョン「お前こそ、こんな時間にどうしたんだ?」
17:2010/07/10(土) 23:48:15.53 ID:87DxXaqv0
ハルヒ「あ、アタシは別に…」
祖母「ハルヒちゃん。この子がキョン君かい?」
ハルヒ「…うん」
祖母「どうも、この子のおばあちゃんです。ハルヒちゃんがいつもお世話になってるんですってねぇ。
これからも仲良くしてあげてね」
キョン「いえ、こちらこそお世話になってます。ご丁寧にありがとうございます」
祖母「あなたもハルヒちゃんのお友達?」
みくる「はっはい!朝比奈みくるといいます。お世話になってます」
祖母「そう。ハルヒちゃんと仲良くしてあげてね」
18:2010/07/10(土) 23:55:17.17 ID:87DxXaqv0
ハルヒ(なんかアタシ、すごい惨め)
祖母「ハルヒちゃんは昔は病気がちでねぇ。本ばっかり読んでたの。
特に宇宙人とかの本が好きでねぇ」
ハルヒ「おばあちゃん!もういいから早く帰ろう。晩ごはんに遅れちゃう」
祖母「そうかい?じゃあお二人さんもお気をつけてねぇ」
キョン「はい、さようなら」
みくる「さようなら」
行きに握られていたハルヒの手は、いつの間にかおばあちゃんの手から離れていた。
19:2010/07/11(日) 00:07:12.84 ID:+Yu7d9+X0
祖母「あのキョン君って子は、優しそうな人だねぇ」
ハルヒ「そうかしら、アタシはそんな風に思わないけど」
思わずハルヒの声が尖る。
祖母「ハルヒちゃん…怒ってるのかい?」
ハルヒ「別に、怒ってなんかないよ」
祖母「ごめんねぇ。こんなしわくちゃ婆さんと歩いてるところなんて、
友達に見られたら恥ずかしいよねぇ。それなのにおばあちゃん、
ハルヒちゃんの友達だと思ったら舞い上がっちゃって…でしゃばっちゃったねぇ」
ハルヒ「…そんなんじゃないって」
(ホントにちがうのおばあちゃん。ただキョンとみくるちゃんが歩いてるの見てたら、
どうしようもない気持ちになっちゃって…ごめんなさい、ごめんなさい)
祖母「いつまでも、小さいハルヒちゃんな訳ないのにねぇ」
ハルヒ「…」(こういう時って、どうやって素直に謝ればいいんだろう)
結局、その後は無言のまま、二人は家路についた。
23:2010/07/11(日) 00:21:54.04 ID:+Yu7d9+X0
ハルヒ母「遅かったわねぇ、どこ云ってたの?」
ハルヒ「学校に行ってた」
ハルヒ母「あんな遠い所に?大丈夫なのお母さん」
祖母「ええ、ええ楽しかったよう。ハルヒちゃんが案内してくれて。ねぇハルヒちゃん?」
ハルヒ「…うん」(アタシ、酷い態度とったのに…なんでおばあちゃんは優しいの)
ハルヒ母「そう。じゃあ晩ごはんにしましょうか」
ハルヒ父「お久しぶりです。お義母さん。寿司を買って来たんで食べましょう」
祖母「あらあら、気をつかわなくてもいいのに。じゃあハルヒちゃん食べようかね」
ハルヒ「…うん」
24:2010/07/11(日) 00:32:26.12 ID:+Yu7d9+X0
ハル父「そうですか、やっぱり大分は暑いんですね」
祖母「まぁ、こっちみたいな都会の暑さとはちがうからねぇ。楽なもんですよ。
ハルヒちゃん、イクラと卵好きでしょう?おばあちゃんの分も食べていいからね」
ハルヒ「うん。…ありがとう」(なんで、おばあちゃんはこんなことまで覚えてるの?)
ハル父「そういえば、お義母さん。さっきから箸が進んでませんけど、
お口に会いませんでしたか」
祖母「いえいえ。こんなご馳走めったに食べれないからねぇ。胃がびっくりしちゃって」
ハル父「でも魚は大分のにはかないませんよ。またいずれ、お邪魔させてもらいますよ」
祖母「ええ。ハルヒちゃんもまたきてね」
ハルヒ「うん。行きたい」
そんな風にして夕食の時間は過ぎていった。
25:2010/07/11(日) 00:39:30.83 ID:+Yu7d9+X0
夕食が終わり、団らんの時間を過ごすと、時計の針は11時を指していた。
祖母「さぁさぁ。ワタシはそろそろ眠らせてもらおうかねえ」
ハル母「こっちの部屋に布団敷いておいたからね」
祖母「ああ、ありがとう」
ハルヒ「…おばあちゃん」
祖母「ああ、ハルヒちゃんおやすみ」
ハルヒ「…おばあちゃん。一緒に寝ていい?」
祖母「ああ、いいよ。枕を持っておいで」
ハルヒ「うん!」
26:2010/07/11(日) 00:49:14.01 ID:+Yu7d9+X0
布団に一緒に入ると、おばあちゃんは、ハルヒの手を握った。
祖母「ハルヒちゃんは、綺麗な手をしてるねぇ」
ハルヒ「握っただけでわかるの?」
祖母「ああ。これはいい女になる手だよう」
おばあちゃんの手は、子供の頃に握った柔らかさと瑞々しさを失い、
骨にかろうじて皮がついているようだと、ハルヒは思った。
ハルヒ「アタシはおばあちゃんの手が好きよ」
祖母「そうかい、ありがとう」
いつの間にか寝息をたてていたおばあちゃんからは、
ヒューヒューと、肺から空気がもれるような音がした。
29:2010/07/11(日) 01:00:00.84 ID:+Yu7d9+X0
リビングではハルヒの両親が、話をしている。
母親の方は目に涙を浮かべていた。
ハル父「…そうか。そんなに進行していたなんて」
ハル母「ええ。本当は今日もお医者さんから止められたらしいんだけど、
最後になるかも知れないからって」
ハル父「…そうか。一度大分に行った方がよさそうだな」
ハル母「それがね。お母さんがそんなことしなくていいって、聞かないのよ。
どうも、ハルヒにこのことを知られたくないみたい。
あの子は優しいから、この事がしれたら不安がるだろうって」
ハル父「…アイツはおばあちゃんが大好きだからな」
31:2010/07/11(日) 01:13:36.64 ID:+Yu7d9+X0
翌朝、ハルヒが目を覚ますと。隣で寝ているはずのおばあちゃんがいなかった。
ハルヒ「おはよー」
祖母「あら、ハルヒちゃんおはよう。今日はおばあちゃんが朝ごはん作ったからねぇ。
顔洗ってきたら食べて」
ハル母「もう、お母さんったら、ゆっくりしてればいいのに」
顔を洗ってきたハルヒが、食卓に着く。
ハルヒ「いただきます」
祖母「ハルヒちゃんは、覚えてないかもしれないけどねぇ。
小さいころ、おばあちゃんの作る卵焼きがおいしいって何回も言ってくれてねぇ」
ハル母「そうそう。それでこの子、私が焼いた卵焼きはおいしくないってケチつけたのよ」
ハルヒ「ふふ、そんなこともあった気がするわね」
久しぶりにおばあちゃんの卵焼きを食べてみた。正直、砂糖の入れ過ぎで、
胃もたれのしそうな卵焼きだと、ハルヒは思った。
祖母「おいしいかい?」
ハルヒ「うん!やっぱりこれを食べたら、お母さんの卵焼きはまだまだね」
祖母「そうかい、そうかい」
34:2010/07/11(日) 01:24:33.05 ID:+Yu7d9+X0
食事を食べ終えたハルヒは、制服に着替えると学校に行く準備をした。
ハルヒ「じゃあ、おばあちゃん。学校に行ってくるね」
祖母「うん。やっぱり制服を着たハルヒちゃんは可愛いねぇ」
ハルヒのつま先から、頭のてっぺんまでを愛おしむように、おばあちゃんはハルヒを見る。
祖母「ハルヒちゃん。忙しいところ悪いんだけどねぇ。おばあちゃんと一枚
写真をとってくれないかい?」
ハルヒ「うん。いいわよ」
おばあちゃんは、おそらくこの家に来る途中で買ったであろう、
使い捨てのカメラをハルヒの父親に渡した。
ハル父「じゃあ撮るぞ。ハイ、チーズ」
おばあちゃんは、しわだらけの顔に、さらにしわを作ってニッコリと笑っていた。
37:2010/07/11(日) 01:44:31.12 ID:+Yu7d9+X0
~学校~
キョン「よう、おはようハルヒ」
ハルヒ「…おはよう」
キョン「お前のおばあさん、優しそうな人だな」
ハルヒ「アタシのおばあちゃんなんだから、当たり前じゃない。
それよりアンタ、みくるちゃんと放課後デートなんていいご身分じゃない」
キョン「別にそんなんじゃねぇよ。ただ鶴屋さんの代わりに、
朝比奈さんのクラスの仕事を手伝ってただけだ」
ハルヒ「その割には、鼻の下のばしてたじゃない。みくるちゃんもみくるちゃんよ。
いちいちそんな用事を男に頼むなんて」
キョン「おい!朝比奈さんを悪く言うなよ」
ハルヒ「ふんっ。肩もっちゃって…アタシ寝るから話しかけないでよ」
キョン「ああそうか、勝手にしろ」
ハルヒ(なんで、こんな態度しかとれないんだろう…早く帰っておばあちゃんと話したい)
38:2010/07/11(日) 01:54:02.00 ID:+Yu7d9+X0
放課後、SOS団は今日は活動中止とメンバーに告げ、
ハルヒは急いで家に帰った。
ハルヒ「ただいまー」
ハル母「あら、おかえり。今日は早いのねぇ」
ハルヒ「あれ、おばあちゃんは?」
ハル母「ああ、お昼頃に帰ったわ。アンタにもよろしくって」
ハルヒ「そんな…」
ハル母「あっそうだ。おばあちゃんがこれアンタにって」
ハルヒが母親の渡した、色紙で出来た袋を受け取ると、中には一万円札が入っていた。
ハル母「これで、カワイイお洋服でも買いなさいって言ってたわよ」
ハルヒ「…おばあちゃん」(アタシ、昨日のこと、ちゃんとおばあちゃんに謝ってないのに)
39:2010/07/11(日) 02:08:22.89 ID:+Yu7d9+X0
~1週間後~
ハルヒとキョンの険悪なムードも、無かったことのように、SOS団は普段の光景を取り戻していた。
ただハルヒの胸の中には、言い切れないようなモヤモヤが少し残っていた。
ハルヒ「じゃあ、明日はいつもどおり不思議探索だからね。全員9時に集合のこと!」
古泉「了解です」
ハルヒ「キョンもわかってるの!」
キョン「ああ、分かってるよ」
ハルヒ「じゃあ今日は解散」
ハルヒが団室を出ていくと、キョンが口を開いた。
キョン「じゃあ、朝比奈さん。すいませんけど行きましょうか」
みくる「はい」
40:2010/07/11(日) 02:21:26.12 ID:+Yu7d9+X0
~デパート~
ハルヒ(おばあちゃんがくれたお小遣いで、ガラにもなくワンピースなんて買っちゃった。
キョンってこういう服好きなのかしら)
ハルヒはワンピースの入った袋を下げながら、次に髪を結ぶための髪留めを買うために、
アクセサリーショップへ向かった。
ハルヒ(この前見つけた、蝶々の髪留め。あれ可愛かったなぁ)
そんなことを考えていたら、見慣れた制服が目に入った。
みくる「これなんかいいんじゃないですかぁ?」
キョン「ああ、それがよさそうですねぇ」
ハルヒ(なんで?なんでよぉ)
みくる「あ、ああ、涼宮さん?」
ハルヒは人目もふらずに走りだしていた。
キョン「おいっ待てよハルヒ」
キョンは追いかけようとしたが、ハルヒは人並みに紛れてしまった。
41:2010/07/11(日) 02:30:19.36 ID:+Yu7d9+X0
その夜、キョンからメールと着信がいくつもあったが、ハルヒがそれに返事をすることはなかった。
そして、いつの間にか眠ってしまっていた。
キョン「おい!ハルヒ。起きろよハルヒ!」
ハルヒ「ん、んんキョン?」
ハルヒが目を覚ますと。そこは見覚えのある、いつかの暗い校舎だった。
ハルヒ「また、アンタとこの場所にいるの?」
キョン「どうやら、そうみたいだな」
ハルヒ「もうずっと、アタシはここにいたい気がするわ。
アンタはみくるちゃんのもとに戻りたいでしょうけど」
キョン「馬鹿なこと言うな!俺は…お前ともとの世界に戻りたいんだ」
そう言うと、キョンはハルヒの唇に、自分の唇を近づけた。
42:2010/07/11(日) 02:35:38.40 ID:+Yu7d9+X0
ハルヒ「馬鹿にしないでよ!」
ハルヒはキョンを突き飛ばした。
ハルヒ「そんなキスしたぐらいで、またうやむやにされたら堪らないわ!
アタシはもとの世界なんてもう嫌よ」
キョン「…ハルヒ」
二人の間に沈黙が出来たその時だった。
シャリンシャリン シャリンシャリン
ハルヒ「この音…おばあちゃんの杖の鈴?」
ハルヒの目の前が、真っ白になっていく。
44:2010/07/11(日) 02:49:00.00 ID:+Yu7d9+X0
ハル母「ハルヒ!起きなさい」
ハルヒ「お母さん?」
寝ぼけた顔で母を見ると、その目には涙が溢れていた。
ハルヒ「どうかしたの?」
ハル母「おばあちゃんが、おばあちゃんが危篤状態なのぉ」
ハルヒ「そんな…」
その日ハルヒは、誰かに連絡を入れることも忘れて、不思議探索を休んで大分に向かった。
せめて最後になるのなら、あの時のことをちゃんと謝りたい。
ハルヒはそう思ったが、ハルヒ達が大分に向かう途中で、おばあちゃんは息を引き取っていた。
46:2010/07/11(日) 02:59:04.66 ID:+Yu7d9+X0
ハルヒはもう息のないおばあちゃんに話しかけている。
ハルヒ「おばあちゃん。あの時はごめんねぇ。
アタシ、キョンとみくるちゃんが一緒だったのを見て腹を立ててただけなの。
おばあちゃんのことを恥ずかしいなんて、思ったことないよ」
ハル母「ハルヒ…これ、おばあちゃんがアンタに残してくれたみたい」
母から手渡されたのは、和紙で出来た綺麗な便箋だった。
ハルヒは親戚が集まっている家を出て、おばあちゃんの家の近くにある河川敷で、
その便箋を開いた。
48:2010/07/11(日) 03:09:26.58 ID:+Yu7d9+X0
ハルヒちゃんへ
ハルヒちゃんがこの手紙を読む時には、おばあちゃんはもう死んじゃってるんでしょうね。
おばあちゃんは、今まで人生で最高に幸せだと感じたことが3つあります。
ひとつは亡くなったおじいちゃんと結婚をしたこと。
もうひとつは、ハルヒちゃんのお母さんを生んだこと。
そして最後のひとつは、ハルヒちゃんが私の孫としてこの世に生まれてきたことです。
ハルヒちゃんは優しいから、私が死ぬことを悲しがるかもしれません。
でも、こんなに幸せな人生だったから、おばあちゃんは死んでも後悔はありません。
だからハルヒちゃんも後悔のないように、たくさん恋や仕事をしてください。
おばあちゃんより
ハルヒ「うっうぅ、おばあちゃん、おばあちゃん」
便箋の底には、あの杖の鈴が入っていて、ハルヒが手の平に取り出すと。
小さく音がした。
50:2010/07/11(日) 03:19:32.13 ID:+Yu7d9+X0
通夜、葬式と慌ただしい時間は過ぎていき、ハルヒは今日飛行機に乗って、
大分を発つことになっていた。
ハルヒ「おばあちゃん。お盆にまた来るね」
ハルヒはおばあちゃんの遺影の横に、そっとあの時の写真を置いた。
そして、キョンにメールを打った。
to キョン
夕方頃にアンタの家に行くから!
田舎土産もってってあげるから感謝しなさい。
まもなく返事が来た。
from キョン
ああ、待ってるよ。
俺もお前に渡したいものがあるんだ。
51:2010/07/11(日) 03:25:15.12 ID:+Yu7d9+X0
ピンポーン
キョン「よう、あの、この度はおばあちゃんのこと、残念だったな」
ハルヒ「岡部が話したのね、まったくプライバシーもあったもんじゃないわね」
キョン「まぁ上がれよ」
ハルヒ「うん…おじゃまします」
~キョンの部屋~
キョン「…」
ハルヒ「何かいうことないの?」
キョン「お前がそんなワンピース着るなんて珍しいな」
ハルヒ「珍しいだけ?」
キョン「いや、似合ってるぞ」
54:2010/07/11(日) 03:31:42.74 ID:+Yu7d9+X0
ハルヒは決意をしたように大きく息を吸い込んだ。
ハルヒ「こんなこと、葬式帰りに言うのは不謹慎かもしれないけど言うわよ」
キョン「なんだよいきなり?」
ハルヒ「そりゃアンタはみくるちゃんと付き合ってるかもしれないけど、
ただそれを言っとかないと後悔しそうだからいうわ」
キョン「おい、お前」
ハルヒ「アタシ、あんたのことが好きよ!ただそれだけ」
キョン「…」
ハルヒ「はぁ~すっきりしたわ。じゃあ帰るわね」
キョン「ちょっと待てよ!お前に渡すもんがあるって言っただろ」
55:2010/07/11(日) 03:42:36.70 ID:+Yu7d9+X0
ハルヒ「なによ」
キョン「ほら、これをやろうと思ってたんだよ」
キョンはハルヒの手の平に、蝶々の飾りがついた髪留めを渡した。
ハルヒ「これ…欲しかったやつ」
キョン「そうなのか?あとお前、何か勘違いしてるようだから言うけどな。
お前が不機嫌そうだから、プレゼントでも渡そうと思ってたんだぞ。
でもどんなのがいいか分からないから、朝比奈さんに頼んで買い物についてきて
貰ったんだ!…お前のプレゼントのために」
ハルヒ「なによ、プレゼントくらい一人で選びなさいよ」ポロポロ
キョン「あと俺も後悔したくないから言っておく。俺もお前が好きだ!」
ハルヒ「…キョン」
キョンが強引にハルヒを抱き寄せた。
その勢いで、ハルヒの携帯についていたおばあちゃんの鈴が、楽しそうにシャリンと鳴った。
完
56:2010/07/11(日) 03:43:20.00 ID:S26kul+60
乙
57:2010/07/11(日) 03:52:40.12 ID:4VSjsF7eO
乙
素直なハルヒが良かった
ただ優しいおばあちゃん=死亡というのが短絡的過ぎたのと、
夢の中でキョンが殴り飛ばされる場面が意味不明だった
58:2010/07/11(日) 04:11:08.94 ID:QyG4NYk7Q
最後はしょりすぎだろwww
いきなり早送りになったな
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります