7:2019/07/27(土) 21:37:42.401 ID:O15RNGpX0.net
梓「本当に抱きつきますよ、ギュッってしてやりますよ!」
唯「かもん!」
梓「……本当の本当ですよ! 唯先輩がどぎまぎしちゃう位強烈なのを」
唯「えい」ギュッ
梓「!? な、何するんですか唯先輩!?!?」
唯「えー、だってあずにゃんが焦らすんだもん」
10:2019/07/27(土) 21:48:17.157 ID:O15RNGpX0.net
唯「100数えるまでにしてくれるなら離したげる」
梓「約束します! しますから離してぇ//」
唯「はいっ」パッ
梓「ふぅ、いきなりは心臓に悪いです……//」
唯「いーち、にーい」
梓(ひとまず、一旦心を落ち着けて……)
唯「さんからひゃく!」
梓「うにゃあっ!?!?」
11:2019/07/27(土) 21:57:32.938 ID:O15RNGpX0.net
唯「おあずけなんて酷いよあずにゃん……」
梓「約束を破る方が悪いんです、今日はもう店じまいです」
唯「そんなぁ。しくしくしく......」
梓「泣いたってダメです。唯先輩が悪いんですから」
14:2019/07/27(土) 22:12:46.939 ID:O15RNGpX0.net
よくじつ!
唯「あっずーにゃん!」
梓「ストップです唯先輩!」
唯「人は急には止まれないっ」ドサッ
梓「あっ、ごめんなさい……」
15:2019/07/27(土) 22:15:35.670 ID:O15RNGpX0.net
唯「急にどうしたのあずにゃん」
梓「あれから唯先輩を困らせる方法を寝ずに考えてきたのです」
唯「しっかり寝なくちゃ身体壊しちゃうよ」
梓「そして、一晩考えた末に辿り着いた結論。それは……」

梓「単純な攻めではダメだということです!」
16:2019/07/27(土) 22:25:43.553 ID:O15RNGpX0.net
梓「手を繋ぐとかハグするとか、その程度の単純な攻めでは唯先輩の心を動かせないのです!」
唯「ほうほう」
梓「なんでそんな他人事なんですか……。だから手の込んだアプローチで、唯先輩をぎゃふんと言わせてやるのです!」
唯「単純なアプローチも出来なかったのに?」
梓「そ、それとこれとは話が別です!」
17:2019/07/27(土) 22:30:35.255 ID:O15RNGpX0.net
梓「とにかく、何がなんでも唯先輩を困らせてやるです!」
唯「ばっちこいです!」フンス
唯「ところで、今から何をするの?」
梓「ちょっと待ってください、カバンに作戦ノートがあるので」
唯「りちぎだねえ」
20:2019/07/27(土) 22:50:13.308 ID:O15RNGpX0.net

梓「作戦その1『無反応』!」
梓「唯先輩に何をされても一切反応しない作戦です!」
唯「えー、無視は悲しいよお」
梓「じゃあおしゃべりはありとします」
唯「よかったあ」
22:2019/07/27(土) 22:55:47.345 ID:O15RNGpX0.net
唯「じゃあ早速、ぎゅー」ダキッ
梓「……」
唯「あったかあったか」ナデナデ
梓「…………」
唯「あったか~あったか~、って夏なのにここまでしちゃ溶けちゃうよっ!」
梓(セルフツッコミ……でもこれは中々良い兆候じゃ?)
23:2019/07/27(土) 23:04:11.324 ID:O15RNGpX0.net
唯「……」
梓(唯先輩の動きが固まってる……! やることがなくてどうしたらいいか困ってるんだ!)
唯「あずにゃん、ノーリアクションじゃ寂しいよ。何か言ってよ~」
梓「ダメです。思わず反応してしまうようなことでもしなきゃ動きません」
梓(何が来ても良いように心構えしてるから、そんなことないだろうけど)
唯「あっムギちゃん。今日のおやつはたい焼き?」
梓「そんな罠には引っかかりません!」
唯「むぅ……」
24:2019/07/27(土) 23:13:04.899 ID:O15RNGpX0.net
唯「うーん……」
梓(唯先輩が考えてる……! 初めの作戦がこんなにも上手くいくなんて!)
唯「……」
梓「もう打つ手はありませんよ。何があっても動じませんから!」
唯「……」
梓「だから唯先輩、降参は早めに……」
唯「…………」コテッ
梓(ね、寝てる!?)
25:2019/07/27(土) 23:19:14.364 ID:O15RNGpX0.net
唯「すぅ、すぅ……」
梓(ゆ、唯先輩の吐息が、髪の毛がうなじをくすぐって……!)
梓(お、落ち着け私。当の唯先輩は寝てるんだから、冷静に脱出すれば……)
梓「……普段と違って腕も挟まれるから、出られない」
梓(ど、どうしたら……!)
ガチャ
律「ういっす~」
澪「あ、開いてる。唯か梓、先に来てたの……っ!?」
26:2019/07/27(土) 23:23:14.789 ID:O15RNGpX0.net
梓「せ、先輩方!?」
澪「あ、ご、ごめん梓っ!? こういうデリカシーの無いことをするつもりは……!」
梓「ちが、そういうんじゃありませんからっ!?」
律「そうだぞ澪。大方いつもみたいに、唯が強引に抱きついてただけだろ」
澪「な、なんだそれだけか......」
梓(あぁ、律先輩が冷静でよかった……)
紬「それは違うわ二人とも!」
澪、律、梓「!?」
27:2019/07/27(土) 23:27:48.154 ID:O15RNGpX0.net
紬「梓ちゃんの腕の収まり具合を見て頂戴。綺麗に唯ちゃんの腕の中に入ってる」
紬「強引に抱きついたなら腕が外に出てたり、収まりが悪くなってるはず!」
紬「唯ちゃんが眠っているこの状況を鑑みるに……」

梓『いつもつっけんとしちゃってすみません。皆の前じゃ素直になれなくて……』
唯『良いんだよ。それがあずにゃんの可愛いところなんだから』
梓『……せめて、誰もいない今くらいは、私の身体でよかったら好きに使ってください』
唯『ふふ、ありがとう、あずにゃん』

紬「……という優しい時間が流れていたに違いないわ!」
梓「違いしかありませんよ!?!?!?」
28:2019/07/27(土) 23:36:19.415 ID:O15RNGpX0.net
律「そ、そうだったのか……。何か悪いことしちゃったな……」
澪「素直になれないのは辛いもんな……ごめん」
梓「二人ともなんで丸め込まれちゃってるんですか!? 誤解です! 最早誤解を飛び出して六階です!?」
紬「今日はおいとましましょう。二人の時間は誰にも邪魔させちゃいけないわ」
澪「そうだな。じゃ、また明日」
律「唯が起きたらよろしく行っといてくれ」
梓「あっ、そんな、待ってください! 誤解なんです、誤解なんですってばぁ~!!」
29:2019/07/27(土) 23:41:38.448 ID:O15RNGpX0.net
梓「作戦その2『ロマンチックな台詞』です!」
梓「唯先輩だって女の子なんですから、心がキュンとくるような言葉を囁かれたら、まごついてしまうにきまってます!」
梓「さぁやってやるです! 私と同じ位恥ずかしい目に合わせてやるです!」
唯(起きたら趣旨とあずにゃんの余裕とが変わってた……)
30:2019/07/27(土) 23:46:49.041 ID:O15RNGpX0.net
梓「はい、唯先輩」
唯「何これ、ノート?」
梓「ロマンチックな台詞はシチュエーションが大事なんです。だから唯先輩にも一役してもらいます」
唯「おぉ、文字がびっしり……」
31:2019/07/27(土) 23:55:04.316 ID:O15RNGpX0.net
梓『……この列車を乗れば、もう二度と会えないのですね』
唯『……私、あずにゃんのこと毎日思い出すよ。たとえこれから他の誰かを好きになったって……』
梓『ごめんなさい、唯先輩。私のことは、もう思い出さないでほしいのです』
梓『思い出されるためには、忘れられなくてはならないことが、私には悲しいのです』
唯『……あずにゃん』
梓『さようなら。もう二度と、お目にかかることはないでしょう』
梓『……でも、少しだけ、あなたのものになれて、幸せでした』
……
唯「いやだぁ、あずにゃんどこにも行かないでぇ~!!」
梓「ただのお芝居になんでそこまで感情移入するんですか!?」
32:2019/07/28(日) 00:03:54.922 ID:Nc4VkAbL0.net
唯『お義母さん、私が娘さんを貰うこと、おうちでは反対なのですか?』
梓(裏声)『いいえ。私たちはただあなたおひとり、愛情さえお持ちならば、それで結構でございます』
唯『……! ありがとうございます!』

梓『……そうですか、母も心憎いことをおっしゃりますね』
唯『どうです、もう少し交際してみますか?』
梓『……ふふっ。いいえ、もう、たくさん、知りましたから』
……
唯「あずにゃん、これってどこから引用してきたの?」
梓「家にあった文学全集ですけど」
唯「だからちょっと古臭かったんだ……」
33:2019/07/28(日) 00:14:34.366 ID:Nc4VkAbL0.net
梓「うぅ、ロマンチックな台詞作戦もダメでしたか……」
唯「ダメって言うか、チョイスが悪かったっていうか……」
梓「じゃあ唯先輩はどんな台詞が言われたかったんですか?」
唯「えーっとねぇ」
34:2019/07/28(日) 00:21:37.441 ID:Nc4VkAbL0.net
唯「シンプルに『唯先輩大好きだニャン♡』かなっ! 勿論ネコミミ猫手つきで!」
梓「そんな恥ずかしいこと絶対やりませんよ!? っていうかそれのどこがいいんですか!?」
唯「えー、絶対イチコロなのに……こうやってちょっと手を絡める感じにして」
唯『あずにゃん、大好きっ♡』
梓「っ……///」
梓(か、可愛い……!/// 心臓がキュンキュン、って止まらない……!)
梓(で、でもここでそれを認めるのは……)
唯「……あずにゃん、ダメ?」チラッ
梓「」ボフッ
35:2019/07/28(日) 00:25:27.692 ID:Nc4VkAbL0.net

梓(唯先輩、可愛かったなぁ……)ポーー
梓「って、ほんとは違うんです!」
梓「うぅ、私が唯先輩を困らせたいのに……」
梓「こうなったら、今日も夜通しで作戦を考えてやるです!」
36:2019/07/28(日) 00:27:52.576 ID:Nc4VkAbL0.net
梓(ダメだ、どの作戦も上手くいきそうにない……)
梓(こんなに時間をかけたのに、何もアイデアが浮かばない……)
梓「んん……」ゴシゴシ
梓(ダメ、まだ眠る訳には……)
38:2019/07/28(日) 00:30:25.973 ID:Nc4VkAbL0.net
ピピピピッ
梓(37.2℃……。大分熱は引いてきた方、だよね)
梓(流石に二日続けて徹夜は身体壊しちゃうよね)
梓(バカなことしたなぁ……)
ピーンポーン
梓(誰か来たみたい)
39:2019/07/28(日) 00:34:26.686 ID:Nc4VkAbL0.net
唯「あずにゃん、大丈夫!?」
梓「唯先輩……そんなに慌てふためかなくても」
唯「だってだって、昨日まであんなに元気だったのにいきなり休んじゃうんだもん!」
唯「大変なことになっちゃったかと思って心配したよ……」
梓(……唯先輩、スゴく困った顔してる……)
梓(……私、意地になってやりすぎちゃったんだな)
40:2019/07/28(日) 00:42:38.566 ID:Nc4VkAbL0.net
梓「唯先輩……ごめんなさい」
唯「唯先輩が許すには条件があります」
梓「なんですか?」
唯「今日私が帰るまで、ずっと素直になってください」
梓「……困りますよぉ」
唯「じゃあ、これでおあいこだね」
梓「……ふふ。ありがとうございます、唯先輩」
41:2019/07/28(日) 00:48:23.827 ID:Nc4VkAbL0.net
唯「ささ、あずにゃんや。ここにおいで。私のおなか枕は柔らかいよ」
梓「はい。お邪魔します……」ポフッ
唯「あったか~あったか~」ナデナデ
梓(唯先輩のお腹、あったかくて良い匂いがする……)
梓(……)ギュッ
唯「わふっ、あ、あずにゃん?」
梓「素直になってって、言われましたから……」
梓(紅潮していく顔を見せないよう、私は一層唯先輩の懐に潜りこんだ)
唯「……あずにゃん」
梓(唯先輩が、ちょっと困ったようなトーンで笑った)

おしまい
42:2019/07/28(日) 00:49:16.215 ID:Nc4VkAbL0.net
即興なので描写不足が多々あると思うけど申し訳ない……
でも書いててスゴく楽しかったです。スレ主さんありがとうございました!!
44:2019/07/28(日) 01:02:26.270 ID:tMWUEvy9a.net

あずにゃん成分を久しぶりに補給できてよかた
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1564230193