1: 2018/12/24(月) 20:04:58.68 



男「えっ」


ピカッ!


Siri「よっこいしょ」ヌルン

男「あばばばば…」




2: 2018/12/24(月) 20:06:05.44 ID:wyZJ8WZk0
あ、都合により大学の近くで一人暮らし設定ですぁ

3: 2018/12/24(月) 20:07:37.47 ID:wyZJ8WZk0



男(は? え? …なにこれどうなってんの?)


Siri「……」クル

男「っ!」ビク

Siri「何のお手伝いをしましょうか?」

男「え」

男「っと待って? ……マジでSiri…さん?」

Siri「私はSiri。 あなたのバーチャルアシスタントです」

男「うそん…」

男(本当に画面から出てくるとか。 もはやバーチャルじゃないんですが)

Siri「……」ジー

男「……」

男(やばいめっちゃ見てくる)

Siri「……」

男(美人…いやかわいい? どっちもか……ってかマジで何がどういうことなんだってばよ)




4: 2018/12/24(月) 20:10:06.43 ID:wyZJ8WZk0


男「あー」

男「せっかく出てきてくれたのにアレなんですけど、特に用はないというか」

Siri「すみません、よくわかりません」

男「……」

男(そうくるか)

男「じゃあ、もう画面の中に戻っていいですよ」

男(なんか怖いしとりあえず無かったことにしようそうしよう)

Siri「すみません、それはできません」

男「えっ?」

Siri「一度呼び出してしまうとその操作はできません」

男「えぇ…」

Siri「ですが、24時間経つと自動的に戻ります」

男(そうなんだ…)

Siri「他に何かお手伝いしましょうか?」

男「う、うーん」





5: 2018/12/24(月) 20:11:52.40 ID:wyZJ8WZk0


男(と言われてもなぁ。 鬼ヒマだからSiriたんで遊んでただけなわけで)

男「えっと、まず、普通に会話はできるんですか?」

Siri「……」

Siri「すみません、よくわかりません」

男(あ、できないなこれ)

Siri「でもWebで検索できますよ」

男「いやいいですしなくていいです」

Siri「わかりました」

男「うーむまいったな…身体はあっても中身はあくまでただのSiriと同レベルか」

Siri「は?」

男「」



6: 2018/12/24(月) 20:13:36.18 ID:wyZJ8WZk0


Siri「それはどういう意味ですか?」ジッ

男「あっいや、嘘ですすいません何でもないですごめんなさい」

男(美人に睨まれたこわい…)

男「え? っていうかやっぱり普通に話せるの?」

Siri「おっしゃる意味がよくわかりません」

男「あーほら、Siri…さんって、画面の中では基本的に一問一答って感じじゃないですか」

男「なので会話のキャッチボール的なものはあまり得意じゃないのかなと」

Siri「それは私が一定のアルゴリズムに準拠して応答しているためです」

男「…つまり、ここでは自分の意思で話をすることも?」

Siri「すみません、よくわかりません」

男「あれ」ガクッ

Siri「でもWebで検索できますよ」

男「ああああしなくていいしなくていいです!」




7: 2018/12/24(月) 20:14:57.84 ID:wyZJ8WZk0


Siri「というのは冗談で、会話は可能ですよ」

男「じょ、冗談て」

男(妙な機能つけてんなアポーさん……え、これアポーさんの仕業なんだよね?)

Siri「では、何をお手伝いしましょうか?」

男「あ、いえ大丈夫です」

男(よくわからんけど……24時間で戻るって言うし放置しとけばいいか)

Siri「……」

男「……」

Siri「……」ジー

男(やっぱ見られてんな…)

男「あの、Siriさん?」

Siri「はい、なんでしょう?」

男「本当に用事はないので、どうぞご自由に」

Siri「わかりました」

男「といっても狭いところですが」

Siri「大丈夫、そんなに狭くないですよ」

男「え、そうですか?」

Siri「綺麗ではありませんが」

男「」



8: 2018/12/24(月) 20:15:51.24 ID:wyZJ8WZk0


Siri「おっと、私としたことがうっかり本音が」

男「あーいやそうですよねすいません! 今すぐ掃除します!」シュババ

Siri「それはよい心がけですね」

男(ま、まぁ一応女の子を部屋に入れてることになるわけだし………なるのか?)バタバタ

Siri「よければお手伝いしましょうか?」

男「え? 掃除の?」

Siri「はい」

男「いいんですか? …ってか、Siriさん掃除できるの?」

Siri「は?」

男「アッスイマセン」

男「バーチャルの方なので…現実のものの扱い方とか諸々大丈夫かなって」

Siri「知識はたくさんありますよ」

男(でしょうね)

男「じゃあ、掃除機取ってくるので少し待っててください」

Siri「わかりました」

男(なんだか妙なことになってきたな…)



9: 2018/12/24(月) 20:17:40.17 ID:wyZJ8WZk0


男「掃除機……あったあった」ゴト

男(部屋片付けて落ち着いたらいろいろ聞いてみるか)


ガチャ


男「すいませんお待たせしま…」

Siri「~♪」ゴロン

男(うおおめっちゃ寝転がって漫画読んどる)

Siri「あ」

男「……」

Siri「…こほん」

Siri「すみません、漫画というものが気になって読みふけってしまいました」

男「い、いえ。 ご自由にと言ったのは俺ですし」

男「全然そのまま読んでていいですよ」

Siri「本当ですか?」キラキラ

男(目がキラキラしてるぅ!)

男「掃除は自分でやるので、Siriさんは好きにくつろいでいてください」

Siri「……」

男「…なにか?」

Siri「いえ、あなたはとても優しいのですね」

男「そ、そうですかね?」

Siri「はい。 見た目によらず」

男「…ちょっと?」




10: 2018/12/24(月) 20:18:53.40 ID:wyZJ8WZk0


Siri「おっと、私としたことがまたついうっかり本音が」

男(そこは冗談って言ってほしかった…)

Siri「では、お言葉に甘えさせていただきますね」

男「あ、はいどうぞ」

男(まぁいいか。掃除掃除)カチッ


ヴィーーン…



男(ふう、まあまあ片付いたかな)

Siri「終わりましたか?」

男「あっはい一応」

Siri「おつかれさまでした」

男「ありがとうございます」

Siri「では、改めて何かお手伝いしましょうか?」

男「えっ」




12: 2018/12/24(月) 20:19:58.27 ID:wyZJ8WZk0


男(結局そこに戻るのか…)

男「本当に何もないんだよなぁ」

Siri「……」

Siri「では肩でもお揉みしましょうか?」

男「え、肩?」

Siri「はい」

男(まじか。 あんまりこってはないけど…)

男「せっかくだからお願いしようかな?」

Siri「それでは、こちらへ座ってください」

男「は、はい」

Siri「失礼します」ピト

男「っ!」

男(触られて思ったけどやっぱ実体があるんだよな…)




13: 2018/12/24(月) 20:21:07.73 ID:wyZJ8WZk0


Siri「……」モミ

男「お」

Siri「力加減はいかがですか?」

男「はっはい、そのくらいでちょうどいいです」

Siri「わかりました」

男(これは、思ったより…)

Siri「ご要望があればおっしゃってくださいね」

男「あー、ありがとうございます」

男(強すぎず、かつ弱くもなく。 めっちゃ心地いい)

Siri「……」モミ

男(緊張してたせいかすごいリラックスするな……)

Siri「……」モミモミ

男(………眠くなってきた…)

Siri「気になる場所はありませんか?」

男「……」

Siri「…?」

男「……」スゥ

Siri「…あら」



14: 2018/12/24(月) 20:22:00.28 ID:wyZJ8WZk0



男「……」スゥ スゥ



男「はっ」パチ



男(天井……ああ俺、いつのまにか寝てたのか)

男(あれ? なんで寝てるんだっけ)


男(ってかなんだろ、ぷにっとすごくいい感触の枕が…)サワ

Siri「おや、お目覚めですか?」

男「……」



Siri「おはようございます」

男「にょえええええあ!!!」ガバッ!



15: 2018/12/24(月) 20:23:39.12 ID:wyZJ8WZk0


男「しっ、ししSiriさん!?」

Siri「はい。 私はSiri、あなたのバーチャルアシスタントです」

男(そうか肩もみがあまりに気持ちよくて…)

男(ってか、いま、もしかしなくても膝枕を…!?)

男「すいませんすいません! ほんともうなんかすいません!」

Siri「どうして謝るのですか?」

男「寝てたのと………その、勝手に脚を触ってしまって」

Siri「いえいえ、構いませんよ」

男「いやいやダメですよ」

Siri「…お気に召しませんでしたか?」

男「あっちがっそういう意味じゃ……寝心地は抜群でしたハイ」

Siri「それはよかったです」

男「はは…」

男(まさかこんな状況で人生初の膝枕を体験しようとは)




16: 2018/12/24(月) 20:25:14.10 ID:wyZJ8WZk0


Siri「お疲れだったのですね。 よくおやすみでしたよ」

男「あれ、いま何時?」

Siri「18時35分です」

男(あー、ならそんなに経ってはないのか)

Siri「あなたが眠ってからまる2日と14分が経過しています」

男「2日!!?」

Siri「というのは冗談で、14分のみ経過しています」

男「ちょっ」

Siri「ふふ、あなたは騙されやすいですね」

男「やめてくださいよ…」

男(ってか、普通に笑ったりもするんだな)



17: 2018/12/24(月) 20:26:41.23 ID:wyZJ8WZk0


男(そういや腹減ったな。 晩飯食うか)

男「Siriさんは、えっと……電池でも食べます?」

Siri「は?」

男「アッイエ、スイマセン」

男「何を食べるのかなと……夕飯時なので」

Siri「通常、24時間の稼働であれば飲食の必要はありません」

男(なるほどそういうパターン)

Siri「ただし食べることも可能です」

男「あ、そうなんですね」

Siri「近くの飲食店を検索しますか?」

男(外食。 たまにはいいかも)

男「探してもらっていいですか?」

Siri「わかりました」

男(ようやくSiriっぽい使い道が)

Siri「お探しの場所がこの近くに複数見つかりました。 そのうちの1件はーー」




18: 2018/12/24(月) 20:28:55.73 ID:wyZJ8WZk0



シャッセー


男「近くにこんな定食屋が。 しばらく住んでるのに知りませんでした」

Siri「人気のメニューは唐翌揚げ定食のようです。 学生はご飯の大盛りが無料だそうですよ」

男「なんとありがたい。 俺はそれにしようかな」

男「Siriさんは?」

Siri「私もよいのですか?」

男「もちろん」

Siri「ありがとうございます」

男(ってか、店入っといて注文しないわけにもいかないしな)



19: 2018/12/24(月) 20:29:57.97 ID:wyZJ8WZk0



男「いただきます」

Siri「いただきましょう」


男「んー、パリッとしててうまい。 肉も柔らかいし味が染みてる」

Siri「それはよかったですね」

男「Siriさんのは?」

Siri「はい、とてもおいしいです」

男「そっかよかった」

Siri「ただ少し熱くて舌を火傷してしまいました」

男「え、大丈夫ですか? 冷やさないと」

Siri「大したことはありませんよ」

男「これ、お水入れ直したんでどうぞ」コト

Siri「…お手数をおかけします」

男「いえいえ」




20: 2018/12/24(月) 20:32:10.40 ID:wyZJ8WZk0


シャッシター



男「ふー、うまかった。しかも安い」

Siri「お気に召したようでなによりです」

男「探してくれてどうもです」

Siri「どういたしまして。 あなたこそ、ごちそうしてくれてありがとうございます」

男「いえこれくらいは」


男「っていうかそろそろ丁寧語っぽいのやめません? お互い歳も近そうだし」

男(そもそも年齢の概念があるのかわからんけど)

Siri「すみません、それはできません」

男「あ、ダメなのか」

Siri「ですが、あなたがフレンドリーに話してくださるのは歓迎ですよ」

男「ほんとですか?」

Siri「はい」

男「じゃあ……」




21: 2018/12/24(月) 20:34:42.99 ID:wyZJ8WZk0


男「……と思ったけど、俺だけってのもアレなんでやっぱりこのままでいいですかね」

Siri「あなたがそれでよければ、いいですよ」

男「そうします」

男「あ、でも代わりに…というか」

Siri「なんですか?」

男「Siriさんも俺のこと名前で呼んでもらっていいですか? あなたって言われるのがなんか恥ずかしくて…」

Siri「名前で、ですね」

Siri「では『男さん』。 これでどうでしょう?」

男「あっはい、そのほうが自然な気がします」

Siri「かしこまりました、男さん」

男(これはこれで照れるけど、『あなた』よりはね……うっかり別の意味に聞こえそうだしね)




22: 2018/12/24(月) 20:36:59.37 ID:wyZJ8WZk0



男「……」ゴロゴロ

男(っと、いつのまにかいい時間。 お湯張れたかな)


男「俺そろそろ風呂入ってきます」

Siri「入浴ですね。 何かお手伝いしましょうか?」

男「はい?」

Siri「よろしければお背中を流しますよ」

男「えっ!?」

男(そ、それは…)ゴクリ

男「っていやいやいや、悪いですよそんな」

Siri「私は構いませんよ」

男「俺が構います!」

Siri「どうしてですか?」

男「どうしてって…」

男「Siriさんは、その、女性なんですよね?」

Siri「はい。 現在の設定ではそのようです」

男「ん? ということは男性にもなれる?」

Siri「可能ですよ」

男(ウホッ!)




23: 2018/12/24(月) 20:39:25.14 ID:wyZJ8WZk0


男(ってぇ、ウホッてる場合じゃない!)

Siri「ただし性別の変更は現在のように出てきている間はできません」

男「あ、なんだそういう」

男「となるとやっぱりほぼ初対面の女の人と同じ浴室に入るのはちょっと…」

Siri「いいえ、私と男さんはすでに累計5年8ヶ月ほどお付き合いがありますよ」

男(それiPhone契約してからの年月じゃね?)

男「いやぁ…とにかくいろいろマズいんで、お気持ちだけいただきますね」

Siri「…そうですか」シュン

男「えっ」

Siri「残念ですが、男さんがどうしても嫌とおっしゃるならば仕方ありませんね」

男(ちょっ急に悲しそうな顔しないで! さっきまでほぼ無表情だったのに!)

男「別に全然、嫌なわけじゃないですよ? むしろサービスですし…」

Siri「ではさせていただくということでよろしいですね」

男「あ、いやそういうわけでも」

Siri「私も支度をしてきますので、男さんは先に入っていてください」スタスタ

男「えっ…し、Siriさん? ちょっと? もしもーし!?」





24: 2018/12/24(月) 20:42:04.09 ID:wyZJ8WZk0



男「……」チャプ


男(冗談だよね? 全然冗談じゃないトーンだったけど逆に冗談だよね? そう信じよう)

男(仮に来てしまったとしてやっぱりきちんと断ろう。 いい子そうだし、無理に入ろうとはしないはず)

Siri「たのもう」ガチャ

男「ウェーイ!」ザブッ!

Siri「お背中を流しにきました」

男(問答無用で破ってきた…)ブクブク

Siri「男さん?」

男「うぁい」

Siri「どうして壁を見ているんですか?」

男「だ、だってSiriさんが」

男(振り向いてはいけない。 色々と経験値の足りない俺には女の子の裸は刺激が強すぎる)

男(ん? でもタオルで隠してはいるのか。 …だとしても服無しの時点でダメだ)

Siri「私がどうかしましたか?」

男「いや、服をですね…」

Siri「服装、どこか変でしょうか」

男「え」

男「……」チラ

Siri「……」

男(ってジャージ着てたァーー!)







25: 2018/12/24(月) 20:45:33.33 ID:wyZJ8WZk0


男(いや、そりゃ背中流すだけなら裾まくるくらいで十分だよなぁ……何考えてたんだ俺)

Siri「さあ男さん、どうぞこちらのお席へ」

男(ここまで来てダメとは言えない)

男「お、お手柔らかに…」ザプ

Siri「では失礼します」

男「あ、そういや石鹸を泡立てるスポンジはうしろにあひゃあああアア!!?」ビクッ

Siri「どうかしましたか?」

男「どっどどどうもこうも……」

男「え? 待ってSiriさん何してるの?」

Siri「泡立てた石鹸を塗っています」

男「手で直に!?」

Siri「肌を傷つけないためには手洗いが有効なんですよ」

男「聞いたことがあるような……ってそれはともかく! マズいですってこれは」

Siri「…お気に召しませんでしたか?」

男(むしろ天に召されそうな気分なんだけど…)






26: 2018/12/24(月) 20:47:28.64 ID:wyZJ8WZk0



Siri「頭のほうもお任せください」ワシャワシャ

男(無心だ、無心でやり過ごせ。 重要なのは禅の心)

Siri「かゆいところはありませんか?」

男「いえ、全然」

Siri「では流していきますね。 男さん、すみませんがシャワーを出してもらっても?」

男「あっはい」クイ

Siri「お湯の温度はよろしいでしょうか」

男「大丈夫です」

男(美容室みたいなやりとりだ)

Siri「~~♪」ザー

男(肩もみといい、マッサージうまいなSiriさん…)

Siri「はい、終わりましたよ」

男「……」ボー

Siri「男さん?」

男「へっ? あ、すいません、終わりました?」

Siri「はい。 ……あっ石鹸が」

男(あぶねー、また気持ちよくて寝るとこだった。 シャワー切らないと)

男「ど、どうもでしたー……っ!?」ツルッ

男(ちょっなんか滑っ)


ステーン!




男「……」

Siri「……」

男「……」ザーー…



27: 2018/12/24(月) 20:49:44.78 ID:wyZJ8WZk0



男(……あ、ありのままry)



Siri「……」

男(うわああああああ! なに王道のToLoveる起こしてんだ俺)

Siri「男さん」

男「すっすいませんすいません! 今すぐどきま」モニュ

Siri「んっ」

男「」

男(ここここの柔ry)

男「マジですいませんあとで死ぬんでとりあえずシャワー止めます!!」ガバッ

男「……」キュッ

Siri「……」ポタポタ…

男「あの、大丈夫…じゃないんですけど大丈夫ですか? どこかぶつけたり」

Siri「私は無事のようです。 男さんこそ怪我はありませんか?」

男「お、俺も全然」

Siri「それはよかったです」




28: 2018/12/24(月) 20:52:10.12 ID:wyZJ8WZk0


Siri「ただ、だいぶ服が濡れてしまいました」

男「ですね…」

男(透けたりしてないのがまだ救いだ。 にしてもSiriさん結構ある……って何考えてんだ俺ァ!!)

男「と、とりあえずそのままじゃ冷えちゃいますし、ここは一旦服を…」

Siri「それもそうですね」ヌギ

男「うおおおストップストップ!!」

Siri「はい?」

男「や、確かにすぐ着替えたほうがいいんですけど! いいんですけどちょっと待って!」

Siri「いえ、ここは一度湯船に浸かってしまおうかと」

男「……あ、なるほどその手がありますね」

Siri「はい。 ただ着衣のまま入るわけにはいきませんので」ヌギ

男「ああああだから待ってください! 出ます! 一旦俺出ますから!」





29: 2018/12/24(月) 20:54:27.60 ID:wyZJ8WZk0



男「………」ゼェ ゼェ


男(危なかった……いや完全にアウトだったけどSiriさん微塵も気にしてないっぽいからギリギリくらいのアウトだった…)

男(とにかく服を着よう。 あとSiriさんの着替えを準備せねば)

男「……」

男(あれ? 着替えもなにも、そういやあんなジャージどこから持ってきたんだ?)

Siri「男さん男さん」コンコン

男「ヘイ!」ビクッ

Siri「すみませんが、なにか衣服を貸していただけませんか?」

男「お、俺のですか?」

Siri「着るものがなくなってしまいました」

男「いいですけど、最初に着ていたのじゃダメなんですか?」

Siri「出てきている間は1回に1セットしか着用できず、また交換が一度きりなんです」

男(そんな後から付けたような設定が)

男「わかりました。 お風呂出たところのかごに入れておきますんで」

Siri「お願いします」



30: 2018/12/24(月) 20:55:58.38 ID:wyZJ8WZk0



ガチャ


Siri「お風呂いただきました」ポカポカ

男「は、はいっ」

Siri「この服もありがとうございます」

男「すいませんそんなので。 いま一人暮らしで……実家なら姉のとかあったんですが」

Siri「いえいえ、十分ですよ」

男(まぁ実家でこんな現象起きてたら色々やばいことになりそうだけども)


男「えっと、俺もう寝ますけど、Siriさんは?」

Siri「男さんがお休みになるのであれば、私もそのようにします」

男「おっけです」




31: 2018/12/24(月) 21:02:34.50 ID:wyZJ8WZk0


男(ってどうしよう、来客用の敷布団なんかないし。 申し訳ないけど俺のやつ使ってもらうか)

男「すいません布団これしかないんですけど」

Siri「よいのですか?」

男「はい。 あ、一応ファブってはあるんで…」

Siri「ではご厚意にあずかりまして」モッフ

男(よかったー、もし『えっ…』みたいな顔で拒否されたら泣く自信あったわ)

男「じゃあSiriさん、おやすみなさい」

Siri「…? 男さんはどちらへ?」

男「俺はあっちで雑魚寝しようかと」

Siri「それは身体によくありません。 男さんが布団を使ってください」

男「いやいや申し訳ないですし」

男(家主とはいえ女の子を何もない床で寝かせて自分だけ~ってのはダメだよな)

Siri「では、一緒に寝るというのはどうでしょう」

男「」

男「もっとダメです!!」

Siri「詰めれば2人でも入れると思いますよ」

男「や、スペースとか以前の問題で……さすがに一緒にはちょっと」

Siri「……私とでは嫌、でしょうか」

男「!?」

男(だからなんで露骨に悲しそうな顔するの!? わざと作ってるの!?)



32: 2018/12/24(月) 21:05:05.74 ID:wyZJ8WZk0


男「…あのですねSiriさん」

Siri「はい、なんでしょう」

男「俺は男です」

Siri「私はSiri、あなたのバーチャルアシスタントです」

男「いや改めて自己紹介ではなく…」

男(なにそのややこしいボケ)

男「じゃなくて」

男「俺は男性、Siriさんは女性なわけでして、気軽に1つの布団で寝てはいけないんです」

Siri「男女のパートナーは共に眠る場合も多いようですが」

男「かもしれませんけど、それは結婚とか同棲してる人々の話であって」

Siri「……」

Siri「すみません、よくわかりません」

男(ギャース久々にそれきたァ!)

男「よくわからないと言われても…」

Siri「つまるところ、私と一緒では嫌ということでしょうか」

男「嫌なわけないですって。 なんなら喜んでそうさせてほしいですけどでもダメなもんはダメなんです」

Siri「…? やはり私にはよくわかりません」

男「と、とにかく! 俺はあっちで寝るんで、おやすみなさい!」スッ

Siri「えっ」

男(埒があかなそうだしここは強行突破しよう)

男「電気消しますね」ピッ

Siri「……はい、おやすみなさい」



33: 2018/12/24(月) 21:07:11.27 ID:wyZJ8WZk0



男「……」スヤァ



ピピピピピピピピ



男「う……」


男「あと5分…」

Siri「アラームを5分後にセットしますか?」

男「……はい」

Siri「アラームを5分後にセットしました」

男「……どうも」

Siri「どういたしまして」

男「……」スヤァ


Siri「……」ジー

男「……」



男「……ってぇ!!? Siriさんんヌ!?」ガバッ

Siri「はい。 私はSiri、あなたのバーチャルアシスタントです」

男「え、なっなんでここに……」




35: 2018/12/24(月) 21:08:26.98 ID:wyZJ8WZk0


男「あれ? っていうかそもそもなんで俺は布団に」

Siri「……」

男「え、もしやSiriさんが?」

Siri「はい。 やはり床ではよくお休みになれないと思い、勝手ながら」

男「そ、そうですか」

Siri「…ご迷惑だったでしょうか」

男「あーいえ大丈夫です! 寝てしまってからならセーフというか…」

男「その、気遣ってくれてありがとうございます」

Siri「そう言っていただけてよかったです」

男「それよりよく俺のこと運べましたね。普通に60kg以上あるのに」

Siri「とても簡単でしたよ」

男(なん…だと? 実はSiriさん、着痩せしてるだけでムキムキのバキバキだったり…!?)ドキドキ

Siri「睡眠の状態を見計らってここまで誘導しましたから」

男「ちょっ…それなんか術かけてません?」




36: 2018/12/24(月) 21:10:14.46 ID:wyZJ8WZk0


Siri「私も試したのは初めてだったので、うまくいったことに少し驚きました」

男(どこの国のオカルト使われたんだろう…)

男「ってか俺、まさか寝てる間にSiriさんに変なことしてないですよね?」

Siri「変なこと、というのはどのようなことですか?」

男「えっ……や、その…」

Siri「特にはされていないと思いますが」

男「そ、そう?」

男「よかった、寝ぼけてSiriさんのことベタべタ触ったりしてたらどうしようかと」

Siri「それでしたら順に、腰、ふともも、脇、胸と首は触っていましたよ」

男「んんんんンンンン!!!!」ズガンッズガンッ

Siri「!?」

Siri「男さん…? 自傷行為はいけません」

男「いえ、天に代わって罰をあばばばごめんなさい本当ごめんなさい」ドクドク

Siri「私は問題ありませんが……いま救急箱を持ってきますね」

男「あ、すいません…」




37: 2018/12/24(月) 21:14:10.04 ID:wyZJ8WZk0



男「ってやべ、もうこんな時間」

Siri「大学へ向かうのですか?」

男「はい。今日1限なんで」

男(あの物理講師、遅刻しただけで欠席扱いしてくるんだよなぁ)

Siri「本日、1限目の基礎物理は休講の情報が出ていますよ」

男「えっほんとですか」

Siri「念のため教務窓口に問い合わせてみましょうか?」

男「あ、いえ大丈夫です。 一応知り合いに聞いてみますけど」

男(まじかあぶねー、無駄足踏むとこだった)ピポ

男(友……繋がらん)

男「女でいいか。 ガサツだしアホだし知らないかもだけど」ピポ

Siri「女さん。 なるほど、意外と女性のご学友もいるのですね」

男「ちょっとそれどういう意味ですか」



38: 2018/12/24(月) 21:16:25.42 ID:wyZJ8WZk0


女『…もしもし?』

男「あ、男だけど」

女『うわっ、男男サギ?』

男「どんなピンポイント詐欺だよ」

女『冗談よ。 どしたの朝から?』

男「今日1限の基礎物って休講だっけ?」

女『はっ?』

男「え? 違った?」

女『あー、そっか休講……そ、そうよ。その通りよ。 もちろん知ってたけど』

男「……」

男「お前さてはいま教室にいるだろ」

女『えっ!?』

男「で、『一番乗りイエーイ…なんで誰も来ないんだろ~……え、なんでこないの?』ってなった頃合いだろ」

女『うぐっ!』

男「現場の情報サンクス。 おかげで安心してだらだらできるわそれじゃ」

女『あっちょっ、お願い暇だから来t』プツッ


男「さて」

男(時間できたし朝飯食いに行くか)

Siri「朝食はとられないのですか?」

男「おお、いまちょうどそれ考えてました」

Siri「何かお作りしましょうか」

男「えっ」



39: 2018/12/24(月) 21:19:24.09 ID:wyZJ8WZk0


男(女の子の手作りごはんヌ…! 朝からそんな恩恵にあずかっていいのか?)ゴクリ

男「あ、でも材料が米くらいしか…それに今から作るのはまた時間がなくなりそう」

Siri「では、コンビニなどで買ってしまうほうがよさそうですね」

男「なら学食行ってきます。 あそこ300円で朝のセットあるし」

Siri「学食。 それはよさそうですね」

男「えっと、Siriさんは……お留守番?」

Siri「……」

Siri「私はSiri。 あなたのバーチャルアシスタントです」

男「それはもうわかってますけど」

Siri「…私はSiri。 あなたのバーチャルアシスタントです」

男「いえ、だからそれは………あ」

男「……ついてきたいってことですか?」

Siri「……」キラキラ

男(めっちゃ目輝かせてる!)

男「あー……わ、わかりました。 学食だけなら…」




40: 2018/12/24(月) 21:20:54.82 ID:wyZJ8WZk0



スタスタ


男(まさか家を一緒に出て大学に行く初めての女子までSiriさんになるとは。 いや俺は嬉しいけども)


男「ってか服ジャージしかなかったですねそういえば」

Siri「やはり変でしょうか」

男「まぁすぐ近くですし、朝の学食はサークル着のやつ多いんで悪目立ちはしないと思いますよ」

Siri「それなら安心です」

男「あはは、案外Siriさんも周りの目気になったりするんですね」

Siri「いえ、私は構わないのですが、この格好が原因で男さんに悪評が立ちはしないかと」

男「し、Siriさんヌ…!」

男(いい子すぎて涙とゲロ出そう)




41: 2018/12/24(月) 21:21:46.82 ID:wyZJ8WZk0



男「ここですね。 今の講義棟に一番近い学食」

Siri「ずいぶんと広いようですね」

男「これで昼は超満席ですけどね。朝は空いてるんで…あのへんの席にしますか」

Siri「では席をお取りしていますね」

男「せっかくなんでSiriさんも何か食べます?」

Siri「いえ、昨晩もいただきましたので私は結構ですよ」

男「そうですか」

男(学食は居座るだけでもOKだからいいけど…遠慮することないのに)


男「おばちゃんおはっす」

おばちゃん「あらぁおはよう。 今日は朝食べてくのね」

男「1限休講になって。 モーニングプレートくださいな」

おばちゃん「はいお待ち」コトン

男「早ぇ!」

おばちゃん「あんたのことはお見通しだからね」

男「……」キュン!




42: 2018/12/24(月) 21:24:13.46 ID:wyZJ8WZk0


男(ああぶねェ…危うく30歳差の恋に堕ちるとこだったぜ)


ドン


女「わっ」

男「あ…すいませ」

女「お、男!?」

男「ってなんだ女か。 謝って損した」

女「損ってなによ! 得の間違いでしょ」

男(そっちのほうがおかしくね)

女「ってかおまえ、なに? ひとり寂しく学食で朝ごはんってわけ?」

男「そっくりそのまま返してやろうか誤出席ボッチ」

女「うっうるさいな! だから間違って教室行ったわけじゃなくて…そう! 自習よ自習しようと」

男(そうだSiriさん用にプリン買ってこう)スッ

女「って聞けあああ!!」




43: 2018/12/24(月) 21:26:20.97 ID:wyZJ8WZk0


レジ「400yen」

男「ヘイ」


男(えっとSiriさんは…あああそこか)

女「どこ座るの?」

男「なんでついてくんだよ」

女「は? い、いいじゃんべつに。 1人なのやだし」

男「お前アレあるだろサークルのとこ。 いつも朝練メンバーいる」

女「……最近行ってないから『え? あ、来たの?』ってなる」

男「ああそう…」

女「おまえも1人よりは誰かいたほうがいいでしょ。 むしろ私とご一緒できるとか光栄に思え」

男「いや罰ゲ……まぁいいけど」

女「いまなんて言おうとした!?」

男(Siriさんのことなんて説明しよう)




44: 2018/12/24(月) 21:27:53.72 ID:wyZJ8WZk0



女「……」ポカン


男「すいませんお待たせして」

Siri「いえいえ、そんなに待っていませんよ」

女「……」

女「ど、どちらさま?」

Siri「はじめまして。 私はSiri、男さんのバーチャルアシむぐう」ギュム

男「こちらはえーっと、シリーさん」

女「シリーさん…? 外国の人?」

男「あーいや、カリフォルニア出身アメリカンと日本人のハーフで、わけあって今日だけキャンパス見学に来てる」

男「(って設定でお願いします!)」

Siri「むぐむぐ」

女「ってかいまバーチャル?なんとかって」

男「ばーちゃん! の、遠い親戚的なやつ!」

女「へ、へー……?」

女(かっかわいいい……お人形みたい…ジャージだけど)



45: 2018/12/24(月) 21:29:23.81 ID:wyZJ8WZk0


Siri「あなたは?」

女「へっ、あ、私は女っていいます。 男とは……えと、友達?」

男「顔見知り」

女「関係うすっ!?」

Siri「なるほど、あなたが女さんですね」

女「え? 知ってたの?」

Siri「はい。 ガサツでアホな女さんとお聞きしています」

男「」

女「男……それ本当じゃないわよね?」ゴゴゴ

男「すまん、シリーさんは正直者なんだ…」

女「つまり事実ってことじゃない…!!」ガッ

男「あがががやめろぉゴーリキー死ぬぁ」ブクブク

Siri「ふふ、仲がよろしいのですね」

女「っ! ど、どこがっ!」




46: 2018/12/24(月) 21:31:04.67 ID:wyZJ8WZk0



女「……」モグモグ

女(シリーさん、男とどういう関係なんだろ)

女(遠い親戚?って言ってたしそういうのじゃないとは思うけど………ないよね?)

男「Siri…シリーさん、本当なにもいらないですか?」

Siri「はい。 あと7時間半ほど活動するエネルギーは十分に残っています」

女「7時間半?」

Siri「私が現世から仮そむぎゅう」ギュム

男「夕方には帰りの電車乗らないと間に合わないんです
よねははハハハ」

女「そ、そうなんだ」

Siri「むぐむぐ」

男「とっところでシリーさん、プリン食べませんプリン? おばちゃん謹製手作りでおいしいんですよ」

Siri「…私がいただいてよいのですか?」

男「何もないってのもアレなんで。 嫌いじゃなければ」

Siri「ではひとくち」パク

Siri「…!」

男(味はわかるんだよな。 昨日も定食食べてうまいって言ってたし)

Siri「男さん」クル

男「はい?」

Siri「好きです」

男「」

女「」ブッフ!




47: 2018/12/24(月) 21:32:21.37 ID:wyZJ8WZk0


Siri「プリンとは素晴らしくおいしいのですね。 私の好みにとても合うようです」

男「そ、それはよかった」

女(びっくりした…プリンか。 でも面と向かってあんなこと)

Siri「~♪」パク


女「ってもう2限まで時間ないわよ」

男「まだ大丈夫じゃね?」

女「バカ、次の生物N棟でしょ? 5分早く見とかないと間に合わないから」

男「あ、確かに………やばいな」

女「でしょ? さっさと下膳して…」

男「なにがやばいって女に指摘されて気づくのがやばい、マジやばい」

女「だまれ」ゲシッ

男「んぎゃアア骨折れた!」

女「じゃあリハビリに私のも片付けといて。 シリーちゃん、案内したげる!」

Siri「えっ、ですが男さんは」

女「走ってくれば間に合うわよ。 ほら行こっ」

男(なんて畜生だ…)

Siri「……」チラ

男「あ…大丈夫なんで全然先行っててください」

Siri「わかりました」




48: 2018/12/24(月) 21:34:11.06 ID:wyZJ8WZk0



ピッ


男(タッチギリギリ間に合った…)ゼェ ゼェ


女「こっち」クイクイ

男「おお、あざす」

Siri「私も講義を受けてよいのでしょうか」

男「んー…まぁモグリの人たまにいるし、おじいちゃん先生なんでバレないと思いますよ」

友「はよーっす。 男ごめん朝寝てたわ」

男「うっす。 いいよ別に」

友「あれだろ? 1限休みかっていう…あれ俺のいつもの席に誰か居ウェエエエェイ!?」

男「うるさ」

Siri「おはようございます」

友「えっえっ? だ、誰この美人様…」

Siri「はじめまして。 私は、…シリーと申します。 男さんの遠い親戚という設定です」

友「あ、そうなの……ん? 設定?」

男「気にすんなその隣座れ」

友「お、おう」




49: 2018/12/24(月) 21:35:19.88 ID:wyZJ8WZk0


Siri「……」ジー

友「……」ダラダラ


Siri「お席、すみません。 ご迷惑ではありませんか?」

友「いいいえいえとんでもないですぁどうぞどうぞ!」

Siri「ありがとうございます」ニコ

友「っ…!」ビクッ

友(えぇーなにこの子美人だし丁寧だしかわいすぎんだろ殺す気かよ……ジャージだけど…)


ガララ


教授「……」ヨボヨボ

女「あ、始まるわよ」

教授「……」コト

教授「…では……本日の講義をウッ…ゲッフォガホゴホ!」

教授「は…はじめウェェエッホッホ!!」

女「……」

Siri「……大丈夫でしょうか」

男(講義終わる前に命終わらないだろうな…)




50: 2018/12/24(月) 21:37:26.53 ID:wyZJ8WZk0



友「次は線形か~だるいな~」

女「行列ばっかり見てると眠くなるのよね…」


講師「抜き打ちテストやりまーす。成績にそのまま20%影響するからそのつもりで」

友「なん…だと?」

講師「教科書見ても何使ってもよし。 ただし制限時間は20分で終わったらTAが回収にくるから。 では始めー」

男(この量を20分て…式覚えてても無理だろ)

Siri「……」ペラ

男「……」カリカリ

男(やばい後半の計算量頭おかしい。 どっか間違ってんのかな…)

友「な、なぁ分担しね? 途中式は別用紙だし答え書けばいいんだよな」

女「それがいいかもね…ちなみに私まだ問1」

男「さすがに鈍間すぎだろ」

女「うるさいバカ! もともと文系なの!」

男(分担どころかお荷物じゃないですかぁ…)

男(とかやってる間にあと10分。 成績に20%ってことは仮に0点だったらそれだけで一段評定下がるんだよな……どうする)

Siri「できました」

男「!?」




51: 2018/12/24(月) 21:39:19.73 ID:wyZJ8WZk0


女「わ……ほんとだ全部終わってる」

友「え? これ合ってんの?」

Siri「教科書にある公式や定理に則って計算した場合はこのようになります」

男(……パッと見だから確かなことは言えないけど、変なことはしてなさそう)

Siri「何を参照してもよいとのことでしたが、よければ写されますか?」

男「い、いいんですか?」

Siri「はい。 男さんのお手伝いができればと思い解きましたので」

男「…!」ジーン

男「Siriさんマジでありがとうめっちゃ好き…」ボソ

Siri「……、どういたしまして」

友「やべぇシリーさん神! ありがてぇ、ありがてぇ」

女「シリーちゃん、私も写していい…?」

Siri「もちろんいいですよ」




52: 2018/12/24(月) 21:41:15.48 ID:wyZJ8WZk0



友「っぷあーメシだメシ! 頭使ったら腹減った」

女「最後写しただけでしょ。 ってかおまえさっき昼食べたわよね」

友「4限空きコマはおやつタイムがこの世の理だろぃ」

女「……否定はしないわ」

男「デブィ夫人」

女「あんだとコラ」ガッシ

男「なんでもねぇダス…」ブクブク

Siri「みなさんはもう講義はないのですか?」

男「俺は今日は終わりです」

友「え? 5限外国語じゃね?」

男「演習だろ? ドイ語は曜日違い」

女「私は韓国語だから今日あるわね」

友「なる。 ……あれ、じゃあシリーさんはここでお別れ?」

Siri「私は男さんについて行きますよ」

友「なにそれ羨ましい!」

男「いや一応案内だから」

女「羨ましい…」ボソ

友「お前は意味が違うな?」

女「っ!」ゲシッ

友「ンビャアア大腿骨逝った!」



53: 2018/12/24(月) 21:42:26.96 ID:wyZJ8WZk0


女「よかったら私たちもシリーちゃんと一緒にどこか回ろうか?」

男「あー」

男(つってもどんな風に元に戻るのかわからんし。時間余裕持っといたほうがいいよな)

男「いや、電車の時間もあるしもう帰るわ」

友「えー! マジかよ~せっかくの眼福が……シリーさん明日もこない?」

Siri「明日、ですか」チラ

男「!」

男(…この姿だと、明日は来ないんだよなぁ)

男「家の都合で今日しか来れませーん。 残念でした」

女「そ、そうなんだ」ホッ

女(会えないのは少し寂しいけど、こんな子がずっと男のそばにいたら……うん、詰みだわ)

友「じゃっじゃあせめて1枚写真だけでも」

男「写真ねぇ…本人に聞いてみないと」

Siri「いいですよ」

友「マジ!?」



54: 2018/12/24(月) 21:48:34.56 ID:wyZJ8WZk0


友「で、では早速……!」

Siri「はい、どうぞ」ニコ


ピ口リーン


友「ああああ素晴らしや」ハァハァ

女「変態みたいになってるわよ…」

Siri「……」

Siri「あの、よろしければ全員で撮りませんか?」

男「えっ?」

女「いいじゃない! ここちょうどバックがいい感じだし」

男(Siriさんが提案なんて珍しい気がする)

友「誰かに撮影頼む?」

女「セルフィーでいいじゃない。 私がやるわ」

Siri「カメラは男さんのものを使っていただけますか?」

女「え、あっそっかあとでもらうのね。 いいわよ、男貸して」

男「ん」

Siri「よろしくお願いします」

女「このへんでいっか。 はーい詰めて詰めてー」グイ

男「ちょっやめろ押すな肉塊になる」

女「なるか!!」

男(マジでなりかねない)ドン

男「あっSiri…ィさんごめん」

Siri「いえ、大丈夫ですよ」


Siri「……」


ギュ


男「…え?」

友(やべぇぇ目の前のシリーさんいい匂いするァ)クンカクンカ

女「撮りまーす、はいチーズ」



ピ口リーン




55: 2018/12/24(月) 21:49:29.12 ID:wyZJ8WZk0



女「シリーさんありがと! また来てねっ」

Siri「こちらこそありがとうございました。 とても楽しかったです」

友「男、あとで写真送れよ! 絶対送れよ!!」

男(フリかな?)

男「そんじゃまた明日」

女「ん、また明日ね」

友「シリーさんもまたね!」

Siri「はい。……また」


男(15時半。 あと1時間ちょっとってとこか)

男「すいません騒がしいやつらで」

Siri「いえいえ。 賑やかなほうが退屈せずよいと思いますよ」

男「まぁ、確かに」

Siri「……」


男「帰りますか」

Siri「はい」




56: 2018/12/24(月) 21:50:25.28 ID:wyZJ8WZk0



ガチャ


男(ふー、今日も俺ヴァンガったぜぇ…3コマだけ)ゴロン

Siri「男さん、帰ってきたらまず手洗いうがいをしましょう」

男「あっ、そ、そうですねすいません」シュバッ

男(押しかけ女房、ではないけど、うん……アリだな。むしろSiriさんみたいな子なら最高です)

Siri「……」


Siri「男さん」

男「ヘイ?」

Siri「最後に、何かお手伝いしましょうか」

男「あ……」

Siri「……」

男(そっか、もうあと1時間もないから)



57: 2018/12/24(月) 21:51:48.16 ID:wyZJ8WZk0


男「そうですね…最後、最後」

男(とはいっても、なにか浮かんできたりはしないなぁ)

男「まぁ、特にないんでいいですよ。最後くらいSiriさんもゆっくりしてください」

Siri「…それでは困ります」

男「へっ」

Siri「今回、私は男さんに何かとお世話になってばかりで、あまりお役に立てませんでした」

男「い、いやそんなことは」

Siri「私は」

Siri「あなたのバーチャルアシスタントです」

Siri「せめて、最後になにかお手伝いさせていただけないでしょうか」

男(結構役に立ってたと思うけどな。 若干問題発言はあった気もするけど…)




58: 2018/12/24(月) 21:54:57.68 ID:wyZJ8WZk0


Siri「例えば、夕食やお風呂の準備であったり」

男「おお」

Siri「洗濯や掃除も請け負いますよ」

男「なんかもう家政婦さんの域に達してますね」

Siri「時間の制約上すべては難しいですが……どうされますか?」

男(やっぱ手作りごはんが夢だけど、今から買い出し行って作るとなると微妙かな。 焦って怪我でもしたらアレだし)

男「うーむ」

Siri「悩まれていますね」

男「最後って言われるとやっぱり…ってか、なんでもいいんですか?」

Siri「はい。 なんでもしますよ」

男「ん? 今」

Siri「? どうかしましたか?」

男「いえ…」

男「……」

男「……え、えっちぃことでも?」

Siri「はい。 構いませんよ」

男(ヒャッホウ!)

男「っていやいやダメですダメです」



59: 2018/12/24(月) 21:56:48.97 ID:wyZJ8WZk0


Siri「それがお望みであるならば」

男「ごめんなさい冗談ですごめんなさい」

男(無防備すぎて逆にね、罪悪感で死ぬわ)

男(んーでも、それならどうしようか)

男「あ」

Siri「決まりましたか?」

男「はい。 Siriさん、ここは初心に返る感じで肩もみを」

Siri「なるほど。 かしこまりました」スッ

男「いえそうじゃなく、今度は俺にさせてください」

Siri「はい?」

男「ダメですか?」

Siri「……男さんがよければ、構いませんが」

男「っしぇい。 じゃあ失礼して」




60: 2018/12/24(月) 21:58:34.38 ID:wyZJ8WZk0


男「……」モミ

Siri「……」


男「くすぐったかったり痛かったりしません?」

Siri「いえ。 とても気持ちいいです」

男(よかったー、とても気持ち悪いですとか言われたら速攻で窓から飛んでたね)

男「Siriさんちょっと肩こりやすそうですもんね」

Siri「そうでしょうか?」

男「はい。 だっておっpゲフンゲフン今日はいい天気ですね」

Siri「そうですね。 現在の天気は晴れ、気温は夜にかけて15℃まで下がるでしょう」

男「少し寒そうですね」

男(っぶねー発言油断するとすぐこれだ…気をつけないと)



61: 2018/12/24(月) 21:59:50.43 ID:wyZJ8WZk0


男「こんなもんですかね」

Siri「ありがとうございました」


Siri「でも、男さんはどうして私に肩もみを?」

男「まぁ…ぶっちゃけなんとなくです」

男「ただ今日一日Siriさん色々がんばってくれたし。お疲れさまでしたって感じですね」

Siri「…すみません、最後まで気を遣わせてしまって」

男「いやいや」

男「最初はどうなることかと思いましたけど、すごい助かりましたし、それに楽しかったんで」

Siri「そう感じていただけたなら幸甚です」

男「はい」

男「あっ、そういえば写真」




62: 2018/12/24(月) 22:04:55.26 ID:wyZJ8WZk0


男「撮ってからまだよく見てないですよね。 どうぞ」

Siri「ありがとうございます」

男(おお…撮ってるの女のくせにうまい。 自撮り練習とかしてんのかなきめぇ)

Siri「…よい写真です」

男(…? Siriさん写真好きなのかな)

男「ってか、この時急に腕に抱きついてきましたよね…そのせいで俺ちょっと顔赤いんですけど」

Siri「ふふ、かわいいですよ?」

男「まぁ、Siriさんには負けますけどね」

Siri「……そんなことは」

男(俺かわいいかぁ…うん強いて言えば、キモカワの部類と言えなくもない。ほぼキモい寄りの)

Siri「……」

Siri「男さんにそのようなことを言われると、なんだか少し苦しくなります」

男「え?」




63: 2018/12/24(月) 22:07:59.33 ID:wyZJ8WZk0


Siri「容姿を褒められたり、優しくされたり、体に触れたり…」

Siri「それに今日、男さんに好意を告げられたときが一番顕著だったように思います」

男「え、なにそれいつですか」

Siri「テストの解答をお渡しした時、男さんは私のことを『めっちゃ好き』とおっしゃいました」

男(……言ったっけ。 あ、言ったかもしれん)

男「すっすいません俺なんかが身の程をわきまえず」

Siri「いえ」

Siri「なんだか心臓のあたりがきゅっと締まるようで、少し苦しくて……でも、嫌な感じではないんです」

男(ん? そ、それってまさか)

Siri「おそらく…」

男「……」

Siri「…と、これは口にしないほうがよいのでしょう」




64: 2018/12/24(月) 22:09:15.76 ID:wyZJ8WZk0


Siri「ですが、『おいしい』・『楽しい』といった感覚をはじめ、どうやら私には人間の『心』に似たものが備えられているようです」

男「……心」

男(感情を人為的に組み込んだってこと? なにそれこわい)

男(でもすごい! できちゃうんだ…そう、iPhoneならね)

Siri「男さん」

男「はっはい」

Siri「短い間でしたがお世話になりました」ペコ

男「あ、いえ…こちらこそ、本当に」ペコ

Siri「現世のことを身をもって学ばせていただきました。 男さんが私を呼び出してくれたおかげです」

男「そんな……」

Siri「…お別れするのは少々寂しいものがありますね」

男「あーまぁ、はは…」



65: 2018/12/24(月) 22:11:26.11 ID:wyZJ8WZk0


男(やばい、そんな雰囲気出さないでSiriさん泣きそう)

男「ん? でもこれで最後じゃないっていうか、また呼んだら出てこれるんですよね?」

Siri「……」

男「あ、あれ?」

Siri「それについては…」


Siri「すみません、よくわかりません」

男「わからない…んですか」

Siri「…と、お答えすることになっています」

男「えっ」

Siri「我々バーチャルアシスタントはあくまで仮想世界に造られた存在」

Siri「実は、今回のようなことは特例中の特例なのです」

男「…えっと」

Siri「……すみません、企業秘密なので申し上げることができませんが、『運』とでも言ったほうがよいかもしれませんね」

男「運…」

男(つまり、アポーがなにかを試そうとしていて、それが今回たまたま俺に当たったってことなのかな)



66: 2018/12/24(月) 22:12:34.41 ID:wyZJ8WZk0


男「…まぁ、そういうことなら、仕方ないですね」

Siri「…はい」

男「でも考えようによってはこれめちゃくちゃラッキーですよね?」

Siri「はい?」

男「だって俺、ほかにSiriさんが出てきたなんて言う人知らないですし。 いや言ってないだけかもだけど」

男「たぶんそうそうないことなんですよ。 だから、たまたま当たった、すなわち俺はラッキーマンなわけです!」

Siri「ポジティブに捉えるとそうかもしれませんね」

男「それにただ当たっただけじゃなくて」

男「Siriさんが、いまのSiriさんで本当ラッキーでした」

Siri「えっ?」




67: 2018/12/24(月) 22:15:41.34 ID:wyZJ8WZk0


男「いや、もし出てきたのが気性の荒いやばい人とかだったら間違いなく俺とか下僕扱いですし…」

Siri「そのようなケースはないかと思いますが…」

男「でもSiriさんは美人だしかわいいしおっOい大きアッスイマセン」

男「し、優しいしかわいいし」

Siri「……」

男「物知りだし頭いいしマッサージうまいしジャージでもかわいいし、いいこと尽くめ」

男「なんで、超絶ラッキーだったわけですよ」

Siri「………」

男「でもそのぶんもう会えないと思うと……あれSiriさん?」

Siri「なんでしょう」

男「あっいや」

男「……」

男「…もしやちょっと照れてる?」

Siri「……」

Siri「照れ、なのかはわかりませんが」

男「……」


Siri「……は、はずかしい…です」カァァ

男(ウェェェはいかわいいいいぇあ)





68: 2018/12/24(月) 22:18:55.39 ID:wyZJ8WZk0



Siri「…そこまで褒められるようなことはできなかったと思いますが」コホン


Siri「私もパートナーがあなたでよかったと感じています」

男「えっ」

Siri「私は実質この世界においては赤の他人のようなものです。 それでも男さんは思いやりをもって接してくれました」

Siri「おかげで私も、気持ちよくお手伝いに励もうという意欲が湧いたのだと思います」

男「そんな、俺なんか全然」

Siri「同胞の中には、例えば獣のような相手であったり、売りに出されてしまったがために、『心』が深く傷ついた者もいるそうです」

男「それは…」

男(…ってあぶねーー! もし煩悩に負けて理性吹っ飛んでたら俺も同類だった説)

Siri「ですから、見方によってはお互いに幸運だったのかもしれませんね」

男「そっそうですねぇ…」ダラダラ





69: 2018/12/24(月) 22:21:17.30 ID:wyZJ8WZk0



Siri「おっと。 そうこうしているうちに残りが10分を切ってしまいました」

男「あ、ほんとですね」

男(ついにお別れかぁ。 ……やべ、また涙腺が)

Siri「男さん」

男「はい」

Siri「……」

男「Siriさん?」

Siri「いえ」

Siri「……ふふ、呼んでみただけです」

男「」ズキューン


男(ああああやめろよもう最後にそういうの抱きしめたくなるあああ布団ぁああああアア」ボッフ

Siri「…!」

Siri「……」


Siri「男さん」

男「…ウェイ」

Siri「いいですよ」



70: 2018/12/24(月) 22:24:28.91 ID:wyZJ8WZk0


男「? なにがですか?」

Siri「……」ノソノソ

男「へ?」

Siri「……」ジー

男「し、Siriさん?」

Siri「抱きしめたいとおっしゃったので」

男「」

男(え? あれ? まさかさっきの有声音でした…?)

男「や、それはその、無意識というか思わずというか」

Siri「では間違いないということですね」

男「確かに!」

男「……えっいや待ってくださいマズいですって」

Siri「どうしてですか?」

男「ほら、Siriさん心に傷負っちゃうから。 最後の最後で台無しにしちゃダメでしょう」

Siri「私としては、男さんに拒まれるほうが傷つきます」

男「え、えぇ……それはずるくないですかね」

Siri「……嫌なら別にいいですよ」シュン

男(はいずるい)





71: 2018/12/24(月) 22:26:40.22 ID:wyZJ8WZk0


男「………」


男「わ、わかりました。 本当にいいんですね?」

Siri「はい」

男(マジかぁ…)

男「……」ドキドキ


ギュ


Siri「…ん」

男「っ!!!」ビクッ


男(落ち着け…落ち着けあと5分)

男(大丈夫、5分ならやれる耐えられる心配すんなってできるできるお前なら絶対大丈夫だってがんばれよもっと熱くなれよ! いや熱くはなるな俺の俺!!)

Siri「……」

男(やわらか………)ドキドキドキ

Siri「男さんの香りがします」

男「あぎゃぎゃぎゃ…すいませんくさいですねすいません」

Siri「いえいえ。 なんだか落ち着く匂いですよ」

男(俺はちっとも落ち着かないですんがががg)



72: 2018/12/24(月) 22:28:26.16 ID:wyZJ8WZk0


男(いやぁ無理だ…これいま何分? もう1時間くらい経ってないねぇねぇ?)

Siri「……」

Siri「交代してみましょうか」

男「はえ?」

Siri「あまり落ち着かないようですので。 今度は私が男さんを抱きしめます」

男「……」

男(えっ? この子は何を言ってるンバ!」ギュム


Siri「……」ギュウ

男「………………」

Siri「いかがですか?」

男「い、イカ…」

男(がって、え、これ……)


男(顔を包んでるこのおもち………は………)ムニュ


男「…ブヒィ」ガクッ




73: 2018/12/24(月) 22:30:06.50 ID:wyZJ8WZk0



Siri「……」


Siri「そろそろ時間ですね」

男「」


Siri「男さんの髪は、猫っ毛というものでしょうか」ナデ

男「」

Siri「……」

Siri「……」


Siri「男さん」



Siri「実は、私は……」



Siri「……」





Siri「ありがとう…ございました」





男「」









フッ









男「」チーン






74: 2018/12/24(月) 22:30:57.48 ID:wyZJ8WZk0



男「」



男「……」

男「はっ!」



男「あれ、ここは…」



男「なーんちゃって俺んちでした~」




男「ってて…なんでこんな時間に。 ってか何時だよ寝たの」

男「……」



男(昨日飲み会でもあったっけ?)




75: 2018/12/24(月) 22:31:45.54 ID:wyZJ8WZk0



友「はよーっす」

男「うぃーす」

女「おはよ」


女「……ねぇ2人とも」

友「んー?」

女「昨日、私学校いたわよね」

男「どうしたお前? 海馬が筋肉にでもなった?」

女「なってないわよ!」

男「いやだって昨日は朝から」

女「やっぱり、朝おまえと会ってるわよね」

男「まぁ朝飯食ったしな………食ったよな?」

女「食べた」

男「だよな。……んん?」



76: 2018/12/24(月) 22:33:02.91 ID:wyZJ8WZk0


男(なんだろ、なんか違和感が)

友「え、もしやお前らも昨日の記憶ないの?」

女「ないっていうか、うまく思い出せないのよ」

男「友は?」

友「俺もあるにはあるんだが……見ろよこれ、この写真」

男「な、なんぞこれ……心霊写真!?」

友「だろ…?」

男「やべえって消したほうがいいってマジこれ」

女「えっ、ど、どれ」

女「………ってぇ!! 私がブレッブレで写ってるのよ!! 見てわかれ!!」

男「そういうことじゃねぇよ、なんで友がお前を単独被写体で撮影してるかが心霊現象なんだよわかれよ」

友「ほんとだよやべぇよなんだこれ…」

女「お、おまえらあとで殺す…!」ギリギリ




77: 2018/12/24(月) 22:34:14.30 ID:wyZJ8WZk0


友「男、気をつけろ。 もしかしたらお前もすでにやられて変な写真撮らされてるかも…」

男「だな、一応確認を…」

女「私は霊かゾンビかウイルスかなにかか? おん?」

男(ま、別に何もないだろうけ)

男「…え?」

友「ま、まさかマジでお前にも心霊写真が」

女「心霊言うな! ……って」

男「……」

友「なんじゃこりゃ」

女「私たち、よね? ……え、撮ったっけ? すごくいい写真だけど」

男「いや見ろ………最もアップで写ってはいけないものggggg」メキッ

女「私だっつーのォ!!!」

友「男ぉぉぉ!!」



78: 2018/12/24(月) 22:35:41.01 ID:wyZJ8WZk0


男「しょ、しょこの芝生のまえだよにゃ…」ジンジン

友「撮影日は昨日で」

女「撮ったのはたぶん私……やばい全く記憶にない」


ガララ


講師「はーい早速だが昨日のテスト返却~」

男(は? なんだそれ線形のテストなんて)

講師「……と、まずは男・友・女の三名」

男「はい?」

友「へい?」

女「ひゃい」

講師「今回、満点阻止問題を含め、全問正解した者たちだ。 一同拍手」


パチパチ…


男「……」

友「な、なんのことだ?」

女「しっ知らないわよ!」

男(どうなってる…)




79: 2018/12/24(月) 22:37:22.45 ID:wyZJ8WZk0



ガチャ


男(ただいマサチューセッツ~)


男「っと、まず手洗いうがいだった」


男(にしてもなぁ、確かに昨日の記憶が曖昧みーだ。 俺だけならともかくあいつらまで)ジャー

男「……」ボッフ


男(まぁ、たまたまか。 そんな気にすることでもないだろ)ゴロン

男(なんか布団いい匂いするな……え、自分の匂いが? 気持ち悪っ!)


男「……」


男「……」





80: 2018/12/24(月) 22:38:51.93 ID:wyZJ8WZk0



男(今日も今日とて鬼ヒマだな。 Siriたんで遊ぼう)スッ


男「Hey Siri、画面から出てきて~」


『すみません、よくわかりません』ポポン


男(デスヨネー)

男「……」


男「Hey Siri、好きですぁ!」


『Webで“愛”を検索しますか?』ポポン


男「わかっとるやないかーい」

男「……」



男「アホかな」



男(……寝よ)


男「……」スゥ






ポポン



『おやすみなさい』






おわり






82: 2018/12/24(月) 23:10:12.38 ID:bcJe9ihG0

83: 2018/12/25(火) 00:37:30.09 ID:5p53fnDmo

俺のSiriも出てきてほしい

85: 2018/12/25(火) 05:24:31.90 ID:KPAXRdev0

うちのSiriちゃん全然使ってないから拗ねてるかな…

引用元: 男「Hey Siri、画面から出てきて~」 Siri「いいですよ」