231: 2012/06/11(月) 01:23:31.38 ID:XNk/ZdDc0

杏子「巻きますか、巻きませんか」【前編】の続き

ほむら「変ね……。昨日はそんな兆候全くなかったのに……」

さやか「体調なんていつ崩れるかわからないもんね」

先生「暁美さん、志筑さん、美樹さん。ちょっといいかしら」

三人「あ、はい」

先生「あのね、落ち着いて聞いてくれる?」

仁美「何でしょうか……」

先生「今朝、鹿目さんが病院へ搬送されたわ」

ほむら「え……?まどかが……病院……?」


239: 2012/06/11(月) 08:56:56.64 ID:XNk/ZdDc0
先生「……ええ、あなた達三人はいつも一緒にいるから言っておこうかと」

先生「今朝から何やら様子が変みたいで……」

さやか「…………そうですか」

先生「いつも一緒にいるから、あなた達に話しておいたんだけど……昨日何かあったりとか……ない?」

仁美「何か……?」

先生「頭を打ったとか、ショックになるようなこととか……」

さやか「いえ、全く……」

仁美「あの、先生。鹿目さんは……」

先生「安静にしているみたい……。私も詳しいことは聞いてないから何とも言えなくて」

ほむら「…………」

ほむら(まどか……ずっと、あの時のことを気にしてたけど……)

ほむら(まさか……夢の中で雪華綺晶と……)

240: 2012/06/11(月) 08:58:11.60 ID:XNk/ZdDc0
――休み時間

ほむら「私、早退するわ」

さやか「え……まさかあんた」

ほむら「大丈夫。顔色の悪さには自信があるわ」

マミ「血色いいじゃない」

ほむら(くっ、水銀燈へのエネルギー対策のほむ弁の弊害か……)

仁美「……何とか言いくるめますわ」

ほむら「ええ。ありがとう。では早速」タタッ

マミ「ええ、気をつけて」

さやか「……仁美から言いくるめるという言葉を聞くとは思わなんだ」

241: 2012/06/11(月) 08:58:46.72 ID:XNk/ZdDc0
マミ「真紅ちゃん達に報告しなくちゃ……あ、でも佐倉さんは今見滝原にはいないのよね」

QB「なら僕が報告に行こう」

さやか「あ、キュゥべえ」

マミ「最近見なかったわね……」

QB「僕にも色々あるんだよ」

QB「それよりもまどかが倒れただなんて大変だ」

QB「ほむらはまどかの所へ行ったらしいけど、君達はどうするんだい」

マミ「放課後に病院へ行くわ」

さやか「……ほむらがバックれてまで行ったら、あたし達も今行かないといけない気がしますね」

マミ「暁美さんが特別なのよ。こんなに大事に思っているだなんて……」

マミ「とにかく、佐倉さんへの報告。お願いするわ」

QB「うん」ヒョーイ

仁美(何かしらこの疎外感)

242: 2012/06/11(月) 08:59:20.02 ID:XNk/ZdDc0


――病院

ほむら「到着したわ」


ほむら「……まどか」ガチャ

詢子「お?」

ほむら「あ……」

詢子「ほむらちゃん……かい?」

ほむら「は、はい……(まどかのお母さん……)」

詢子「いつもまどかから聞いてるよ。かわいくてかっこいい友達だって。……ほほーう?」ミサダメ

ほむら「……は、はあ……。あの、まどかは……」

詢子「ん、この通りさ」


まどか「………スー………スー」

243: 2012/06/11(月) 09:01:34.12 ID:XNk/ZdDc0
ほむら「まどか……」

ほむら「あの……何があったんですか?頭を打ったとか……」

詢子「今朝、起こそうとしたんだけど、どうにも起きないもんだからさ……」

ほむら「急に、ですか」

詢子「ああ。本当に何をやっても起きなかったんだ。つねっても、大声で呼んでも。……それで、何かヤバイと思ってね……」

詢子「脳波とか何とかを調べても何の異常もなく、最終的な診断は『眠っているだけ』……だとさ。でも何をやっても起きやしない」

ほむら「…………」

詢子「眠ってるだけでも体力は消費するから点滴はしてるけど……、とにもかくにも、起きるのを待つしかないってさ」

詢子「嘘みたいだろ……?寝てるんだぜ?これ……。寝言も言うし寝汗もかくし寝返りだってうつ」

ほむら「そう……ですか」

244: 2012/06/11(月) 09:02:02.53 ID:XNk/ZdDc0
詢子「……さて!息子を旦那に押しつけて仕事放っぽって来たけど、頼れるお友達が来たならもう大丈夫かなっ」

詢子「いや、待てよ?学校を放っぽってまで来る不良に娘を任せて大丈夫だろうか……」

ほむら「……」

詢子「いや、冗談だ。寝言に出る程の子だ……。まあ、後は任せる」ヒラヒラ

ほむら「え?……あ、はい」

詢子「叩き起こそうと乱暴するなよ?」

ほむら「あ、当たり前です」

詢子「もうやったからさ」

ほむら「…………」

ガラッ

245: 2012/06/11(月) 09:02:33.04 ID:XNk/ZdDc0


ほむら「……強い人ね」

ほむら「…………まどか」

まどか「……スー……ホム……チャ……」

ほむら「……なぁに?まどか?」

まどか「…………スゥ」

ほむら「……あ」

ほむら「まどかにデコピンされた跡が……」

246: 2012/06/11(月) 09:03:15.22 ID:XNk/ZdDc0
真紅「第三回薔薇乙女緊急会議プラス杏子なのだわ」

杏子「急いで帰ってきたぜ……疲れた……」

金糸雀「お疲れさまかしら」

QB「僕もいるよ」

真紅「まどかはどう?」

蒼星石「……翠星石と病院に行ってみて夢の扉を開こうとしたけど……ダメだった」

真紅「そう……。今回のまどかの件、雪華綺晶が絡んでいると見て考えすぎということはないでしょうね」

翠星石「ヒッキー魔女以来ですぅ」

杏子「そんなまどかが欲しいかね」

QB「まどかは素質が――」

真紅「さて、これからの私達の行動を説明するのだわ」

247: 2012/06/11(月) 09:04:04.30 ID:XNk/ZdDc0
真紅「まず翠星石と蒼星石は引き続き二人でnのフィールド探索、もといまどかの捜索を続けて頂戴」

翠星石「承知ですぅ」

真紅「水銀燈はまあ余計なことしない限りはテキトーに」

金糸雀「えぇー……水銀燈のはずいぶんアバウトかしら」

真紅「どうせ水銀燈が私の指示を素直に聞くわけないわ。ただ、言うなら今、ほむらは結構精神的に弱っているはず。なのでせめて力は使わないことよ」

水銀燈「はいはぁい」

杏子「あたしは?」

真紅「金糸雀と私はマスターと共に行動すること。つまり杏子は私と魔女狩りなのだわ」

真紅「ほむらにはまどかの看病に徹底してもらいましょう」

杏子「それがいいな。あたし『は』ってーと……マミは?」

金糸雀「マミは――」

248: 2012/06/11(月) 09:04:37.79 ID:XNk/ZdDc0
杏子「それよりも、だ。朝からずっとここにいるらしいな」

ほむら「いるわ。朝からこの通りよ」

杏子「……まあ、なんだ。雪華綺晶の影響かも、ということだ」

ほむら「でしょうね。それかもしれないわね。でも……それなら今の私には干渉できない」

杏子「真紅達が何とかするさ。……それよか伝言な」

ほむら「何かしら」

杏子「まずはあたしから」

杏子「まどかが目ぇ覚ますまで、魔女はあたしと真紅が請け負うから、気にするなってなこった」

ほむら「……そう。ありがとう」

杏子「いいっていいって」

249: 2012/06/11(月) 09:05:15.29 ID:XNk/ZdDc0
杏子「次は水銀燈から」

杏子「どうせ勝手に私の分の食事作るんでしょうね。でも今夜はいらないわぁ~~(裏声)」

ほむら「…………」

杏子「……わり」

ほむら「まどかの看病に徹しろってことね……。水銀燈……根は優しい子……」


ほむら「それで、魔女はあなたが請け負うそうだけど、マミはどうするの?」

杏子「んー、どうせここに来るだろうからそん時にな。それじゃ、あたしはもう帰るよ」ヒラヒラ

ほむら「え、ええ……」

杏子「おっと噂をすれば……って違ったよ」

250: 2012/06/11(月) 09:05:47.70 ID:XNk/ZdDc0

さやか「可愛い女の子と思った?」

さやか「残念!さやかちゃーんでーしたー」

杏子「はぁ……」

さやか「溜め息つくな!軽くショックだわ!……って、杏子じゃん。おっす」

仁美「おっすですわ」

杏子「おっす。そしてもう帰るぜあばよ」スタスタ

さやか「えぇー……」

仁美「ごきげんようですわ」

ほむら「二人とも……授業は?」

さやか「もう放課後だよ?」

ほむら「え……?あ、本当……もうこんな時間……」

さやか「時間を忘れるほどに!?……お腹減ってない?」

ほむら「問題ないわ」

仁美「……あの、何か飲物をお持ちしますわ」トテテ

さやか「まどかのお見舞いのついでに恭介にも会っておくかねー……っと」

さやか「まーどかー。昨夜の夜十時に寝たとすれば一日の2/3以上寝てるぞこらー羨ましいぞー」プニプニ

251: 2012/06/11(月) 09:06:28.64 ID:XNk/ZdDc0
まどか「…………ンゥ」

さやか「寝てる間にほむらに襲われるぞー」ツンツン

まどか「ムゥ……」

ほむら「まどか」ナデ

まどか「ティヒィ……」

さやか「可愛い寝顔だなぁ。あたしがチューしちゃうぞー」

まどか「…………」

ほむら「…………」

さやか「…………起きてないですよね」

ほむら「でも、そんな感じに多少の反応はあるし、頭を撫でると微笑んだりとするのよ」ナデ

まどか「…………ティヒィ」ニヘラ

さやか(ちょっと楽しそう……)

252: 2012/06/11(月) 09:06:58.72 ID:XNk/ZdDc0
さやか「うーん……雪華綺晶め……」ブツブツ

QB「さやか。僕と契約すればまどかを目覚めさせることもできるよ」ヒョイ

さやか「あんたね……」

QB「急ぐべきだよ。まどかが雪華綺晶の手に落ちてしまえば、大きな損失だ」

さやか「あたしはねぇ、蒼星石達が何とかしてくれるって信じてるんだよ」

さやか「それに、あんたと契約はしないって決めたんだ」

ほむら「さやか……」

QB「どんな願いだって叶うんだよ。そんなチャンスを無下にしてはいけないと思うな」

さやか「後悔なんてあるわけない」グリグリ

QB「靴を押しつけないでおくれよ」


仁美「暁美さん。飲物をお持ちしましたわ」

ほむら「仁美……ありがとう」

仁美「顔色が悪いですわよ……今朝は良さそうでしたのに」

仁美「美樹さん。焦るお気持ちはわかりますが地団駄を踏むのははしたないですわ」

さやか「お、おう……そだね」ゲシゲシ

QB「やめてよー」

253: 2012/06/11(月) 09:07:34.35 ID:XNk/ZdDc0
――――。

さやか「それじゃあ、ほむら、あたし達はこれで」

仁美「あの……無理をなさらずに」

ほむら「ええ。二人とも。また明日」

ガチャ

ほむら「…………」

ほむら「……まどか」

ほむら「…………起きてよぉ」



「ほらっ、いつまでもションボリしてないの」

ほむら「あっ」

254: 2012/06/11(月) 09:08:37.24 ID:XNk/ZdDc0
マミ「お待たせ。暁美さん」

ほむら「……別に待ってないわよ」

マミ「目が赤いわよ」

ほむら「赤くないわ。カマかけないで」ファサ

マミ「う……」

ほむら「それで、何か用?」

マミ「用も何も……お見舞いよ」

ほむら「金糸雀を連れて?」

マミ「えぇ。カナちゃんを連れてきて夕食の食材を用意してたら美樹さん達とすれ違う形になったわ。残念」

金糸雀「ところで、まどかの精神はnのフィールドを迷子になってるのかしら」ガチャリ

ほむら「迷子?」

金糸雀「そこでカナ達が迎えに行くのかしら。マミも行くわ。媒介がそばにいた方がいい」

マミ「佐倉さんと真紅ちゃんは魔女を任せてるし、銀ちゃんには暁美さんの力を使わせたくない」

金糸雀「だからかしら。翠星石蒼星石もずっと探索しっぱなしでお疲れムードかしら」

ほむら「nのフィールドに……行くのね」

金糸雀「かしら」

255: 2012/06/11(月) 09:09:08.27 ID:XNk/ZdDc0
ほむら「なら私も行くわ」

マミ「だめよ」

ほむら「どうして」

マミ「あなたが離れたら誰が鹿目さんを見てるのよ。どうせ寝てるからいいか……って?」

ほむら「そ、そんなことは」

金糸雀「ほむらは今精神的に弱っているかしら。雪華綺晶にそこをつけ込まれたりでもしたら大変よ」

マミ「鹿目さんが寝ている間に雪華綺晶が現れないとは限らないものね」

ほむら「う……。ふ、不安だわ」ソワソワ

256: 2012/06/11(月) 09:09:41.36 ID:XNk/ZdDc0
マミ「暁美さん。あなたはローゼンメイデンの力を見下しているのかしら?」フフンッ

ほむら「金糸雀のはちょっと……」

金糸雀「ひどいかしら!」

金糸雀「とっ、とにかくほむら!アレを出すかしら!」

マミ「あれ?」

金糸雀「真紅からのおつかいの品かしら」

ほむら「……仁美から粗大ゴミにする予定だった物をいただいたわ」スッ

トン

マミ「盾から姿見鏡を……色んなもの入れているのね」

金糸雀「上等上等♪」

金糸雀「それじゃあ、行ってくるかしらー」

マミ「鏡の中に入るなんて……す、すごいドキドキするわ!」

マミ(絶対に鹿目さんを救ってみせるわ!私に任せて!)

ほむら「……考えてることを言ってることが逆になってる気がするけど……任せるわ」

シュゥ…

ほむら「…………お願い。まどかを助けて」

268: 2012/06/11(月) 22:55:13.73 ID:XNk/ZdDc0

――nのフィールド

マミ「ここが鏡の世界?思ったよりも地味ね……」

金糸雀「……コホン、ここがnのフィールドよ」

マミ「そ、そう……ってあれ?私、いつのまに魔法少女の姿に?」

金糸雀「nのフィールドはその人の心のイメージが投影されるわ。マミにとっては魔法少女の巴マミがマミという人間なのよ」

マミ「……よくわからないけどイカしてるわ。何か自分がハッキリしてる!って感じね」

マミ「それで金糸雀ちゃん。どこへ行くの? あ、ちゃんとリボンも出せるわ」シュルッ

金糸雀「翠星石と蒼星石がまどかの意識の手がかりを見つけたかしら」

マミ「鹿目さんの!」

金糸雀「白薔薇の花びらを発見したかしら。だけど……」

マミ「だけど?」

金糸雀「……キュゥべえもいたかしら」

269: 2012/06/11(月) 22:57:00.43 ID:XNk/ZdDc0

マミ「えぇ!?」

金糸雀「どこから来たのかわからないけど……。万が一魔法少女が関わっているのなら一般人をマスターとする二人よりも、私達が適任ということよ」

マミ「おかしいわね……ついさっき会ったはずなのに……キュゥべえは自由に入れるのかしら……」

金糸雀「自由に?それはないかしら……。でも、私もさっき会ったし……っていうかここにいるし」

QB「呼んだかい?」

マミ「キュゥべえ!どうしてここにいるの!?」

QB「それは僕が聞きたいよ。迎えに来てくれたんじゃないのかい?」

金糸雀「どういうことかしら……」

マミ「キュゥべえも雪華綺晶に捕らわれたか、ただの迷子だったってことのようね」

QB「うーん。そういうことになるのかな。僕もよくわからない内にここにいたんだ」

金糸雀「とにかくまどかを迎えにいくかしらー」

270: 2012/06/11(月) 23:00:55.86 ID:XNk/ZdDc0

――
――――


「あの……まだ歩くんですか?」

「ええ、左様でございます」

「もう今朝からずっと歩いてるのに……」

「そうですね」

「パパにもママにもみんなにも心配させちゃってるよ……」

「それはそれは」

「どれだけ広いんですか?この世界は……」

「世界の果ては果てしないものです」

272: 2012/06/11(月) 23:02:04.03 ID:XNk/ZdDc0

「ハァ……。ラプラスさん、この世界の果てっていうのはまだなんですか?」

ラプラスの魔「もう少し、ですよ」ピョン

まどか「ずっと前も同じこと言って……」

ラプラスの魔「退屈ですか?」

まどか「退屈というより……」

ラプラスの魔「お嬢さん。それではお伽噺でも……」

まどか「もうお腹一杯聞きました……」

ラプラスの魔「それは残念」

まどか「……あっ」

まどか「誰かに頭撫でられた……きっとほむらちゃんだ……///」マドマド

273: 2012/06/11(月) 23:03:35.87 ID:XNk/ZdDc0

ラプラスの魔「さ、辿り着きましたよ」

まどか「え!?ほ、本当にもう少しだった……」

ラプラスの魔「お疲れさまです」

まどか「疲れた~」ハフー

まどか「それで……ここはどこですか?」

ラプラスの魔「この世界と別の世界の境目とでも言いましょうか」

まどか「……?よくわからないけど、何でここにわたしを?」

ラプラスの魔「坊ちゃんからのお届け物を直接渡そうかと」

まどか「坊ちゃん?……もしかして真紅ちゃん達の内の誰かの元マスター?」

ラプラスの魔「元という表現とは少し異なりますが……その通りです」

ラプラスの魔「こちらになります」スッ

まどか「あ、あれ?……これって……」

274: 2012/06/11(月) 23:08:25.98 ID:XNk/ZdDc0

まどか「このお届け物……わたしはこれをどうすればいいんですか?」

ラプラスの魔「時が来ればわかるかと」

まどか「そうは言っても……」

ラプラスの魔「さあ、帰りましょうか。元の世界へ……」

まどか「は、はい……」

パァッ…

まどか「あ、あれ?こんな所に扉なんて……。ラプラスさんの能力ですか」

ラプラスの魔「そのようなものです。さ、ちゃんとついてきてくださいね」ガチャリ

まどか「あ、はい」

ピシッ……

275: 2012/06/11(月) 23:09:53.53 ID:XNk/ZdDc0

まどか「ピシ……?」

パリンッ

まどか「……パリン?」

ガシャンッ

まどか「うわっ!?ゆ、床が抜け……」

ズルッ

まどか「わひゃああああああああああっ!?」ヒュー


ラプラスの魔「やれやれ、ちゃんとついてきてくださいと言ったのに落下してしまうだなんて」

ラプラスの魔「ふむ。これはやっかい。いつから気付かれていたのやら」

276: 2012/06/11(月) 23:10:31.11 ID:XNk/ZdDc0
「……」

まどか「う~ん……」

まどか「あれ……?」キョロキョロ

まどか「ここはどこだろう……」

まどか「わたし、もしかしてこんな所で迷子に……?」

まどか「どうしよう……うぅ」ジワッ

まどか「……ぐすっ。ほむらちゃぁん……」


「……泣かないで」

まどか「……ん?誰?」

「泣かないで、マスター」

まどか「マス……え?」

「マスター……。私の仮世界へようこそ」

277: 2012/06/11(月) 23:12:14.45 ID:XNk/ZdDc0
まどか「きっ、きらっ……!」


雪華綺晶「折角私を迎えに来ていらしてくれたのに……私、出かけなくちゃ……」スッ…

まどか「ひっ……!」

雪華綺晶「少し、お待ち下さい。お食事の時間ですので……」ナデッ

まどか「あっ……また……茨……が……」シュルッ

雪華綺晶「帰ったら……」

まどか「あ……」

雪華綺晶「私と契約してくださいまし」

まどか「…………」

まどか「………………うん」

雪華綺晶「右手にお持ちの『鞄』は、適当な場所に置いていてください」

まどか「うん……」

コトン

雪華綺晶「それでは、行ってきます」

まどか「うん……」

278: 2012/06/11(月) 23:14:12.47 ID:XNk/ZdDc0

――魔女の結界


真紅「まどかが心配?」

杏子「そりゃあな」

真紅「でも、貴女は貴女がやることをやるのよ。金糸雀達を信じなさい」

杏子「信じてても心配するもんはすんだよ……っと」ベシッ

杏子「ほれ、魔女がお目見えだ」

真紅「油断してはだめよ」

杏子「それは勿論。だけど……さっきから何か妙な違和感があるんだが……」ポリポリ

真紅「違和感?」

杏子「うーん……。まあ行くか」

杏子(……あ、そういやほむらもいつぞやの薔薇推し魔女の時に違和感があったって言ってたな)


279: 2012/06/11(月) 23:15:16.76 ID:XNk/ZdDc0

『――! ――! ――!』

杏子「なんだ……この声。魔女の声か?」

真紅「不愉快な声ね」

杏子「そうだな~。お、あいつかな……」

魔女「――!~~~~っ! ――――!」バタバタ

杏子「え!?あ、あれが魔女か!?だ、だよなっ……」

真紅「……何よこれ。暴れて……いえ、悶えているわ」

杏子「……この声は……断末魔か?」

ビシッ…

280: 2012/06/11(月) 23:17:02.59 ID:XNk/ZdDc0

魔女「」ブシッ

ブチャッ ズチュ


杏子「ひぃっ!魔女の体内から何か出た!」

真紅「魔女の体内から……白い触手?いえ、これは……茨!」

真紅(また雪華綺晶……!?)

魔女「!……!……!」ウジュルウジュル

ブシュッグチャリ

杏子「茨が……魔女を……襲ってる?」

雪華綺晶「…………」ポケーッ

真紅「雪華綺晶!」

雪華綺晶「……あら、お姉さま。ご機嫌はいかが」クルッ

雪華綺晶「ところで、ごめんなさい。今、私、食事中ですの」

真紅「しょ、食事……!?」

281: 2012/06/11(月) 23:18:45.95 ID:XNk/ZdDc0

魔女「」ギリッ…

ポロッ

杏子「ま、魔女が……頭と思われる部分が……」クラッ

真紅「杏子!しっかりなさい!」

杏子「う、うえぇ……き、気持ちわりぃよぉ……」ヘタッ

雪華綺晶「ご馳走様……」フラフラ

真紅「雪華綺晶!待ちなさい!」ダッ

真紅「……ダメだわ。また、忽然といなくなっ……

「――ッ!」

真紅「ど、どうしたの?ホーリエ?ベリーベル?」

ホーリエ「――!」クルクル

ベリーベル「――!」ピュン

真紅「ちょ、ちょっと!待って!」

真紅(ついてこいと言うのね……!)

真紅「杏子!早くついてきなさ――


グニャッ……

282: 2012/06/11(月) 23:20:16.49 ID:XNk/ZdDc0

杏子「はぁ……はぁ……。ま、魔女の結界が……う、うっぷす」


杏子「あれは……グロかったわ……茨なのか魔女なのかどろどろぐしゃぐしゃでわけがわからんことに……」

杏子「……あれ、真紅はどこ行ったんだ?」

杏子「魔女の結界はもう解けたし……その前にどっか走ってったよな……?」

杏子「……まさか、結界に取り残されたのか」

杏子「おいおい……まじかよ……。結界に取り残されるなんて聞いたことねーぞ……」

杏子「どうしろってんだよ……ほむらに聞いてみるか……?」

杏子「……ダメだ。ひとまず、帰ろう……。何つーか、疲れた……」

杏子「…………ハァ。こりゃしばらくは何も食えねぇな……」

QB「お疲れさま」ヒョイ

杏子「あ?今は、話しかけないでくれよ」

QB「ひどいな。……ところで、マミはnのフィールドとやらに行ってるんだよね」

杏子「ああ……」

QB「僕も行ってみたいなぁ。興味深いよ」

283: 2012/06/11(月) 23:21:30.06 ID:XNk/ZdDc0
――雪華綺晶の世界


雪華綺晶「お待たせしましたわ……」フラッ

まどか「うん……」

雪華綺晶「お友達のシャルロッテやエリーがいなくなって、私、心とお腹がペコペコでしたの」

まどか「うん……」

雪華綺晶「私からお友達を奪ったのは誰ですか?」

まどか「ほむらちゃん……」

雪華綺晶「酷いですわ」

まどか「ほむらちゃん……酷い……」

雪華綺晶「貴女は指輪が欲しかったはずですわ」

まどか「うん……」

雪華綺晶「貴女のお友達は、あなたに偽物で満足しろと仰いましたわよね」

まどか「うん……」

雪華綺晶「酷いですわ」

まどか「ほむらちゃん……酷い……」

284: 2012/06/11(月) 23:22:12.80 ID:XNk/ZdDc0

雪華綺晶「貴女が欲しいのは、誰からも認められる本物……。本当の力……」

まどか「うん……」

雪華綺晶「貴女が欲しいのは、中指?薬指?」

まどか「薬指……」

雪華綺晶「貴女が欲しいのは、本物?偽物?」

まどか「本物……」

雪華綺晶「貴女が欲しいのは、人形?人間?」

まどか「人形……」

雪華綺晶「貴女が欲しいのは、私?酷い人?」

まどか「きらきーちゃん……」

285: 2012/06/11(月) 23:23:00.79 ID:XNk/ZdDc0

雪華綺晶「さあ、これは、私の指輪です」

まどか「うん……」

雪華綺晶「どうですか?」

まどか「うん……綺麗……」

雪華綺晶「貴女が欲しいのは、これ?別の?」

まどか「それ……」

雪華綺晶「では、私と契約してくれますか?」

まどか「うん……」

雪華綺晶「それでは、私の指輪を授けます」スッ

まどか「うん……」スッ

雪華綺晶「さあ、手に取って、左手の薬指に嵌めてください……」

まどか「うん……」

286: 2012/06/11(月) 23:23:40.15 ID:XNk/ZdDc0

雪華綺晶「さあ、早く……」

まどか「…………」ジーッ

雪華綺晶「……どうしたのですか?」

まどか「開かない……」グッ

雪華綺晶「……何ですって?」

まどか「開かないの……左手が」グッグッ

雪華綺晶「どうして……?」

まどか「左手が開かないから、指輪、嵌められないよ……」

雪華綺晶「どうして……?」

まどか「どうして……?」

雪華綺晶「どうして……?」


シャッ

287: 2012/06/11(月) 23:24:26.56 ID:XNk/ZdDc0

「鹿目さんッ!!」

シュルルッ  バシィッ

まどか「あっ……」パシッ

雪華綺晶「!」

まどか「リボン……指輪が……」

マミ「鹿目さん!ハァ……大丈夫!?……ハァ」シュルッ

雪華綺晶「マスター……私の指輪を落とさないでください……」

まどか「……指輪……わたしの……」ポケーッ

まどか「どこ……?」キョロキョロ

金糸雀「雪華綺晶!いい加減しつこいかしら!!」

288: 2012/06/11(月) 23:25:27.14 ID:XNk/ZdDc0

雪華綺晶「……また、私のマスターを奪いに来たのですね」

マミ「鹿目さんはあなたのマスターなんかじゃないわ!」カチャリ

マミ「食らいなさい!」ダンッ

金糸雀「追撃のカノン!」

雪華綺晶「…………」

ズアッ

バシッ

マミ「な、何よ……茨で壁を作ったわ……!」

マミ「それに……私のマスケット銃の弾が通り抜けたわ……」

雪華綺晶「食後の運動ですわ」クイッ

グオッ ドガッ

マミ「ゲフゥッ!?」ドンッ

金糸雀「あ!マ、マミが茨の束に殴られたかしら!」

マミ「ぐ……く……」ググッ

金糸雀「マミ!」

マミ「この程度……平気よ」

雪華綺晶「指輪……私の指輪……」キョロキョロ

マミ「ふふ……」

289: 2012/06/11(月) 23:26:10.31 ID:XNk/ZdDc0
マミ「失せ物は、こちらかしら?」ヒョイ

雪華綺晶「!」

マミ「アストラル体のあなたに干渉できるのはローゼンメイデンだけ……暁美さんからの情報よ」フラッ

金糸雀「い、いつのまに雪華綺晶の指輪を……!」

マミ「私は鹿目さんが指輪を持っているとこを見て、そのまま鹿目さんからリボンで指輪を奪うことにしたわ」キリッ

雪華綺晶「返して!」

金糸雀「不意打ちで攻撃するよりはまだ良い方かしらっ」

マミ「全力投擲!!」ブンッ

雪華綺晶「私の指輪ー」フラフラ

まどか「私のー」モゾモゾ

マミ「キュゥべえ!」

QB「何だい?」

290: 2012/06/11(月) 23:27:05.17 ID:XNk/ZdDc0

マミ「失せ物は、こちらかしら?」ヒョイ

雪華綺晶「!」

マミ「アストラル体のあなたに干渉できるのはローゼンメイデンだけ……暁美さんからの情報よ」フラッ

金糸雀「い、いつのまに雪華綺晶の指輪を……!」

マミ「私は鹿目さんが指輪を持っているとこを見て、そのまま鹿目さんからリボンで指輪を奪うことにしたわ」キリッ

雪華綺晶「返して!」

金糸雀「不意打ちで攻撃するよりはまだ良い方かしらっ」

マミ「全力投擲!!」ブンッ

雪華綺晶「私の指輪ー」フラフラ

まどか「私のー」モゾモゾ

マミ「キュゥべえ!」

QB「何だい?」

291: 2012/06/11(月) 23:30:16.54 ID:XNk/ZdDc0

マミ「雪華綺晶を追って!それで時間を稼いで!」

QB「えっ、そんなこと言われても……」

マミ「お願い!私は鹿目さんを!」タッ

QB「要領を得ないなあ。説得でもしろと言うのかい」

QB「もう。どうしろというんだい」トテトテ

QB「しかし……まどかを助けるためだ。仕方ない。……ただ、どうすればいいんだい」トコトコ

QB(まどかを狙われては困るんだよね。折角素質があるのに……)

QB(何故か今は契約させられない、こんな所に迷子になる、雪華綺晶を何とかする……)

QB「今日は厄日ってやつなのかな」キュップイ

292: 2012/06/11(月) 23:30:46.93 ID:XNk/ZdDc0

雪華綺晶「……私の指輪をこんなとこまで……。何て酷いの」ヒョイ

QB「やあ、雪華綺晶」

雪華綺晶「…………」

QB「えっと……僕と契約しようよ!」

雪華綺晶「…………マスター」スッ

QB「無視しないでよ。困ったな」ヒョイ

雪華綺晶「どいてくださる?」

QB「宇宙についてどう思う?」

雪華綺晶「…………」

QB「ああもう、待ってってば」ヒョイ

QB「仕方ないな。参ったな……話を聞いてよ」

QB「君にとってもいい話だと思うんだけど」

雪華綺晶「…………」

QB「あのだね……」

293: 2012/06/11(月) 23:32:11.25 ID:XNk/ZdDc0

マミ「鹿目さん!鹿目さん!」ユサユサ

まどか「わたしの指輪……」

マミ「か、鹿目さん……雪華綺晶に操られているの?!

金糸雀「目にハイライトがないかしら……」

マミ「そういうのいいから」

金糸雀「この茨が原因かしら!?」

まどか「ほむらちゃん……酷い人……わたしも指輪……欲しい……」ブツブツ

マミ「ゆ、指輪?何を言って……と、とにかく目を覚まして!」

金糸雀「今茨を解くかしら」プチプチ

まどか「わたし、本物、ほむらちゃん、偽物、中指、薬指……」ブツブツ

金糸雀「解いたわ!しっかりするのかしら!」

マミ「鹿目さん!」ユサユサ

まどか「ほむほむほむ……」ブツブツ

真紅「私に任せるのだわ」

294: 2012/06/11(月) 23:33:15.25 ID:XNk/ZdDc0

マミ「え!?」

金糸雀「真紅!?杏子と一緒にいたはずじゃあ……!」

真紅「話は後よ。……ねえ、まどか」

まどか「指輪……」

真紅「真紅が問うわ。貴女はほむらをどう思って?」

まどか「酷い人……」

真紅「何故?」

まどか「ほむらちゃん、きらきーちゃんのお友達殺した……。きらきーちゃん可哀想」

まどか「それに、わたし指輪欲しい。なのに……。ほむらちゃんはわたしには偽物がお似合いよって……」

真紅「絆ビンタッ!」ブンッ

バシィッ

まどか「マドッ?!」

マミ「殴っ――!?」

まどか「…………い」

295: 2012/06/11(月) 23:33:47.62 ID:XNk/ZdDc0

まどか「いったぁ~い!酷いよ真紅ちゃん!」スクッ

まどか「そんなのってないよ!!どうしてそんなこと…………って、あれ?」

まどか「え!?え!?何!?わたし何を……?どうしてみんながここに!?」

真紅「まどか、真紅が問うわ」

真紅「貴女が欲しい指輪は、薔薇の指輪?魔法少女の指輪?」

まどか「え……?」

真紅「それとも慰めか何かで渡される貴女の言う偽物?苗床にされるための罠?」

まどか「わたしは……」

真紅「まどかが欲しい指輪は?」

まどか「……ほむらちゃんがくれる指輪がいいっ!」

まどか「ほむらちゃんがくれるなら、偽物だろうと、玩具でも構わないよっ!」

真紅「よろしい」

マミ「貰えるんだったら薬指よね」ニヤニヤ

まどか「///」

296: 2012/06/11(月) 23:35:23.33 ID:XNk/ZdDc0

金糸雀「あの……真紅。どうしてここに?」

マミ「あ、そうよ……確か佐倉さんと魔女を……」

真紅「そうなのよ。確かに魔女の結界にいたのだけど、雪華綺晶と人工精霊を追ってたらここに来たの」

ベリーベル「!」クルクル

金糸雀「魔女の結界……?ここはnのフィールドよ?」

真紅「……どうやらそのようね。どうやら魔女の結界とnのフィールドは繋がってるみたいだわ」

マミ「そ、そういうものなの?それで、佐倉さんは?」

真紅「はぐれたわ。多分杏子からすれば私は結界に閉じこめられたように見えたでしょう」

まどか「そ、それなら早く帰ってあげないとね!」

真紅「そうね……。それよりもまどか。さっきからずっと気になっていたのだけれど……」

真紅「その鞄は……何?」

金糸雀「こ、これって……やっぱり……」

マミ「……あ!そ、その前に雪華綺晶を何とかしなきゃ!」


QB「雪華綺晶なら帰ったよ」

297: 2012/06/11(月) 23:35:55.45 ID:XNk/ZdDc0

マミ「キュゥべえ!」

真紅「!」

QB「なかなか話せる相手だったようで、今は分が悪いという旨を話したら帰っていったよ」

真紅「……た、たまには役にたつじゃない」

QB「それほどでも。まどかが無事で何よりだよ」

まどか「キュゥべえ……。ありがとう」

QB「いいよ。それで、何を話してたんだい?」

まどか「う、うん。この鞄なんだけど……わたしもよくわからないんだ……」

まどか「わたしね、夢でラプラスの魔って人に会ったの。そしたらその人が付いてこいって言うから……」

真紅「ラプラスの魔……!」

QB(ああ、いつだかに僕に似ていると言ってた……)

298: 2012/06/11(月) 23:36:24.19 ID:XNk/ZdDc0
まどか「その時は気付かなかったんだけど、あの時からずっとわたしは現実世界?では眠っていたみたいで……」

マミ「そうよ。夜十時に寝てたとすればもう……二十時間近くは寝てたことになるかしら」

まどか「そ、そんなに寝てたんですかわたし……。え、えっと、話を続けると」

まどか「ラプラスさんが、届け物があるからって言ってついてったの。それで、この鞄を……」

まどか「その後何故だか地面が抜けて、ここ、雪華綺晶の仮世界ってとこに来てたの」

真紅「……まどか。落ち着いて聞いて頂戴」

まどか「うん?」

真紅「この鞄は……私達ローゼンメイデンの鞄よ」

まどか「えぇっ!?」

金糸雀「……しかも、この刻印は」

真紅「……」コクッ

299: 2012/06/11(月) 23:36:59.72 ID:XNk/ZdDc0

マミ「…………開けましょう」

まどか「う、うん……あ、ごめんなさい。代わりに開けてくれますか」

マミ「え?どうして?」

まどか「あの……何でかわからないんですけど、左手が開かないんです」ググッ

マミ「……?まあ、とにかく開けるわね」カチャリ

まどか「……!」

真紅「……そ、そんなことって……」

マミ「これは……ローゼンメイデン?」

金糸雀「そ、そんな、考えられないかしら……!」

マミ「……もしかして、この子が……」

まどか「第六ドールちゃん……?」

QB「へぇ」

300: 2012/06/11(月) 23:37:28.31 ID:XNk/ZdDc0

真紅「そうよ……この子は、第六ドール。雛苺。紛れもなく、雛苺よ……」

マミ「可愛いわぁ……。あれ、でも、第六ドールって……」

金糸雀「そう。雪華綺晶にボディを奪われているから……」

まどか「……取り返したの?」

金糸雀「無理よ。私達は何も……」

真紅(雪華綺晶はボディを元の世界に置いてこの世界に来ている……。だから、これは……)

QB「レプリカってことかい?」

まどか「レプリカ?」

真紅「えぇ。そうだわ……。このボディには本物の刻印がないわ。鞄は本物のようだけど」

金糸雀「発見!スカートの裏地に"JUN"って刺繍が入ってるかしら!」

マミ「じゅん?」

真紅「私の下僕だわ。つまりこれは……ジュンからの届け物……!」

301: 2012/06/11(月) 23:39:24.53 ID:XNk/ZdDc0

ベリーベル「――!――!」クルクル

真紅「ベリーベルが喜んでいるわ。そうね……わざわざ送られてきたからには、目覚めさせろということに違いないわ」

QB「どうやってだい?」

真紅「私の体には、私の物と、雛苺の物の、二つのローザミスティカがあるのだわ」スッ

ポゥ…

QB「この小さい欠片がローザミスティカ……君達の動力源かい?」

真紅「そうよ。今からこのローザミスティカを本来の持ち主へと返還するのだわ」

まどか「あ……これ……!見たことある気がする」

真紅「何ですって?」

まどか「そっか……いつか夢で真紅ちゃんを見た気がするけど……雛苺ちゃんのこれのことだったんだね」

真紅「……? まあ、とにかく入れるわよ」

QB(あんな小さな欠片で魔女を取り押さえたりできるような力、が……)

スッ

QB「あっ、もうちょっとよく見せ……」

302: 2012/06/11(月) 23:39:52.33 ID:XNk/ZdDc0

パァッ

ベリーベル「~~!~~!」ヒュンヒュン

雛苺「……………ぅぃ」

金糸雀「ヒナ!」

雛苺「……カナ?……それに真紅?」ムクリ

マミ「う、動いたわ……」

雛苺「うゆ……?だぁれ?どこぉ?」キョロキョロ

まどか「あ、わたしはまどか」

マミ「私はマミよ」

雛苺「まどか……マミ……」

真紅「ねえ、雛苺。貴女は……」

雛苺「…………」

真紅「雛苺?」

303: 2012/06/11(月) 23:40:19.99 ID:XNk/ZdDc0

雛苺「…………眠いの」コックリ

まどか「あっ、寝ちゃった……」

真紅「……取りあえず、帰りましょう」パタン

金糸雀「そ、そうね……」

マミ「……どうやって帰るの?」

真紅「何とでもなるのだわ」

真紅「マミ。雛苺……もとい、鞄をお願いするわ」

マミ「えぇ」ヒョイ


まどか「あ、マミさん。わたしが持ちますよっ」

マミ「まだ左手は開かない?」

まどか「……はい」

マミ「なら私が持つわ」

まどか「でもマミさんケガして……」

マミ「ふふ、大丈夫よ。ありがとう」

まどか「す、すみません」

マミ「いいのよそれくらい……あら?キュゥべえは?」

まどか「あれ……?」

真紅「とにかく行くのだわ」

304: 2012/06/11(月) 23:41:05.18 ID:XNk/ZdDc0
――――。

QB「よかった、君に会えて。雪華綺晶の後を追えば会えると思ったよ」

「ようこそ。鏡の世界へ」

QB「早速だけど君は何者だい?」

ラプラスの魔「名前とはモノの本質を示すに至らぬ些細なモノ……ですが、薔薇の少女達からは親しみを持ってラプラスの魔と呼ばれております」

QB「やっぱり君がそうかい。君と僕は似ているらしいから、会ってみたかったんだ」

ラプラスの魔「それは嬉しい。会いたいと思う客人の前に現れないなんて誰ができましょうか」

QB「まずここはどこなんだい。僕は魔女の結界にいたはずなんだ。そのままこんなとこにいた。それはどういうことなんだい」

ラプラスの魔「この世界はnのフィールド。それは、海より深く、海より広い……。この世のどこでもあり、どこでもない」

ラプラスの魔「nのフィールドは偶然にも、魔女の結界と似ている……いや、繋がっているようです。nのフィールドは人の精神と深い関わりがあるともないとも……」

ラプラスの魔「魔女の結界と人の精神……何か似ている。あなたはご存じないでしょうか」

QB「……そうだね。魔女はまだ人の部分があるのかもしれないね」


QB「ところで、僕達は少なくともこの星をこの星の誰より知っているつもりだった。けれど、ローゼンメイデンとは何者だい?彼女達は、ほむらが小さく見える程のイレギュラーだ」

ラプラスの魔「nのフィールドには数えることも諦める程の扉があります。そんな世界のある扉からこの場所に、私達はあなた達の知らない世界からの迷い人……」

ラプラスの魔「あなたはご存じでなかったようでしたが……あなたの世界は私や薔薇乙女達からしても特異に写っております。エッシャーの滝の水流が如く『繰り返して』おりました」

QB「……繰り返す?」

ラプラスの魔「好奇心の旺盛な白薔薇の少女はとの流れに飛び込んで、彼女達は末妹を追って、私は手荷物抱えて彼女達を追い、巻き込まれてしまった」

ラプラスの魔「兎を追う少女が異世界に巻き込まれるのでなく、少女を追って兎が……、ククッ、これではお伽噺とあべこべ……」

305: 2012/06/11(月) 23:43:20.45 ID:XNk/ZdDc0

ラプラスの魔「その環の中心にいる時を統べる少女、さてさて一体どれだけの同じ世界を見たのでしょうか」

QB「時を……もしかして、ほむらのことかい?」

ラプラスの魔「さあどうでしょう」

QB「ほむら……繰り返す……。なるほど、時間遡行者か。同じ時間を繰り返していたというのであれば、ある程度辻褄が合う」

ラプラスの魔「時の少女が自ら水門と閉じる時、晴れて私達は元の世界に戻れるという物語。いやはや参ったものです」

ラプラスの魔「……物語繋がりでどうです?お伽噺でもお聞かせしましょうか」

QB「生憎僕にも仕事があるからね。それにフィクションには興味はない。とにかくここから出してほしいな」

ラプラスの魔「それは残念。それでは、お出口はこちらから……」カチャリ

QB「キュップィ」


――病院

スタッ

QB「おや?ここは病院じゃないか。それに……まどかにほむら」

QB「今はいつだろう。僕は一体……」

「どこへ行っていたんだい?」

306: 2012/06/11(月) 23:43:53.62 ID:XNk/ZdDc0

QB「うん?」

「僕と同じ姿をしたものがいるってのは、実に奇妙だ」ヒョイ

QB「やあ。僕じゃないか」

QB「魔女を倒して帰る時、杏子と途中までだからと寄ってみれば……」

QB「それはご苦労様」

QB「鏡から出てきた僕。君は行方不明になって死んだと判断されたはずだ」

QB「そうかい。じゃあ僕は随分と長い迷子をしていたようだね。じゃ、僕はさしずめ旧べえだね」

QB「それで僕。どこへ行っていたんだい」

307: 2012/06/11(月) 23:45:01.07 ID:XNk/ZdDc0

旧B「僕はハコの魔女の結界にいたら、何故だかそのままnのフィールドに迷い込んでしまってね」

QB「そっか。それであの魔女以来連絡が途絶えたわけだ」

旧B「向こうではラプラスの魔と話をしたり、ローザミスティカを直で見たり、まどかが雪華綺晶に襲われてたりね」

QB「ラプラスの魔とまどかの意識がなくなったことは知ってるよ。でもローザミスティカとは何かな」

旧B「それなら僕を食べるついでに記憶を同期するといい。僕は僕と違ってハコの魔女以降、こっちの世界での記憶は持ってないからね」

QB「それもそうだね。じゃ、いただくよ」

旧B「うん」

ムシャ

QB「ふぅん……ローゼンメイデンはそんな小さい欠片で動いているんだね。驚きだ」モッシャモッシャ

旧B「僕も驚いたよ。もしかしたら、新たなエネルギー資源に――」ブチッ

QB「なるほどね。僕も見てみたい……いや、見たね。もう一度よく見たいよ」クチャクチャ

旧B「そ――ほむ――しゃ――」ポリポリ

QB「なるほどね。へえ」ガツガツ

モグモグ ムシャムシャ ペロッ

308: 2012/06/11(月) 23:45:46.69 ID:XNk/ZdDc0
「…………」

QB「キューップイ。僕を躍り食いするなんて初めてだよ」

QB「しかしローザミスティカか……」

QB「あんな小さい欠片があのローゼンメイデンを動かしていたんだね。ましてや魔女を取り込む雪華綺晶も同じ物を持っている……」

QB「何て燃費が良いんだ。素晴らしいよ」

QB「ローザミスティカ、もっとよく見てみたいな……。あの力なら、強大なエネルギーを作れるかも……」

「…………」

QB「おや……水銀燈。いたんだね。そしてそんな害虫の交尾でも見ているような目で見ないでくれるかい」

水銀燈「…………」ピクピク

QB「君達は人形だ。筋肉なんかないはずなのにどうして瞼を痙攣させられるんだい?」

QB「そんなことより、ローザミスティカのことだけど……僕は非常に関心がある。是非まじまじと見たいんだ」

水銀燈「…………見たいの?」

QB「うん。何とかしてくれないかな。新たなエネルギー開発のヒントになるかもしれない」

水銀燈「エネルギー?」

QB「お願いだ。じっくりと見せておくれ」

水銀と「…………まあいいわ。考えておく」

QB「保留って所かい。……いい答えを期待するよ」

309: 2012/06/11(月) 23:46:27.43 ID:XNk/ZdDc0
QB「ところで、nのフィールドでラプラスの魔という君達の知り合いに会ったんだけどさ」

QB「……驚きだったよ。ほむらが時間遡行者だなんて。知ってしまえばなるほど道理でって感じだね」

水銀燈「ッ!」

QB「この世界は時間のループが起きていて……ってそれは君達は既に知っていたんだね」

QB「そのループの中心がほむらだってのも知っていたのかい?」

水銀燈「……チッ」ブアッ

QB「にわかには信じがたいけd――」ブシャッ


QB「やめてくれないか。勿体な――」ヒョイ

ガシッ

QB「翼で僕を掴んでどうするんだい?」

水銀燈「あんたには少し黙っててもらうわ」

QB「ふーん。どこへ連れて行くんだい?」

水銀燈「黙ってなさい」

バサッ

310: 2012/06/11(月) 23:47:03.81 ID:XNk/ZdDc0



――。

マミ「痛っ、鏡の枠に胸がつっかかったわ……」ヒョイ

真紅「やっと戻れたわ」

金糸雀「もうこんな時間なのかしら……」

マミ「大変。佐倉さんお腹空かせているに違いないわ。こんな遅くなるなんて……持たせててよかった合い鍵」

ほむら「……スー」

マミ「あら……暁美さん。ずっといたのね。面会時間はもう終わってるのに……」

真紅「一旦追い出された後に侵入したのね」

マミ「……あらあら、暁美さんったら」クスッ

311: 2012/06/11(月) 23:47:34.61 ID:XNk/ZdDc0

まどか「うぅ~ん……」モゾモゾ

マミ「あ、鹿目さん。起きた?」

まどか「はい……。あ……病院にいたの?わたし……」

ほむら「…………」

まどか「あっ、ほむらちゃん……。ずっと私を看てくれてたんだ……」

マミ「鹿目さん。左手は動く?」

まどか「……え?」

ほむら「スゥ……スゥ……」

まどか「あっ……?!」

312: 2012/06/11(月) 23:48:10.78 ID:XNk/ZdDc0

まどか「ほ、ほむらちゃんがわたしの手握ってる……!///」

金糸雀「ずっと握ってたのかしら」

マミ「だから左手が動かなくて契約を防げたわけね」

真紅「ほむらは貴女を夢の中でも守ろうとしていたのね」

まどか「はぅ……///」マドマド

真紅「起こしてあげましょう」

まどか「うん」

まどか「ほむらちゃん」プニプニ

まどか(ほっぺつついちゃったりして///)

ほむら「……んぅ」

マミ「あ、起きた」

ほむら「……っ!」

313: 2012/06/11(月) 23:49:19.01 ID:XNk/ZdDc0
ほむら「まどか!」パアッ

まどか「え、えっと……/// し、心配かけて、ごめんね///」

ほむら「よかった……。もう、心配したんんだから」

まどか「あの……それで……私の手……///」

ほむら「あっ……こ、これはね……違うのよ……」パッ

ほむら「その……まどかが寝言で……私のこと……酷いって言ってたから……」

まどか「ええっ!?そ、そんな!」

ほむら「私……無自覚にまどかを傷つけてたんだと思ったら……不安になって、つい……」シュン

まどか「ほむらちゃん……!わたしはほむらちゃんをそんな風に思ってなんかないよ!」

まどか「雪華綺晶に操られてたところを……ほむらちゃんは助けてくれたんだもん!」

まどか「ありがとう。ほむらちゃん!」

ほむら「まどか……!」

ほむら「……あら?マミ達は?」

まどか「あれ?」

314: 2012/06/11(月) 23:50:13.74 ID:XNk/ZdDc0

――マミハウス

マミ「空気を読んで帰ってきたわ」

杏子「独りぼっちは寂しいんだぞぉ……」ションボリ

マミ「あーもう。今からご飯用意するからっ」

杏子「食欲はなくても腹は減るんだぞぉ……」クー

杏子「ずっと待ってたんだぞぉ……」キュルル

真紅「あの時私についてきていればよかったものを……」

杏子「う~……」

杏子「それにしても、雛苺……、かあ……。なあ、鞄の中身見てみていい?」

金糸雀「よ、夜這いかしら~~~っ!」

杏子「ちげぇよ!こんちきしょ!」ペチン

金糸雀「痛っ!デコピンはダメかしら~!」

315: 2012/06/11(月) 23:51:03.97 ID:XNk/ZdDc0

――翌日(病院)


雛苺「まどかのぼりー!」ヨジヨジ

まどか「ウェヒヒ、くすぐったいよヒナちゃん」

杏子「想像以上に子ども子どもしてんな」

仁美「鹿目さん。調子はいかがですか?」

まどか「うん。検査の結果何ともなかったから、明日から学校に行けるよ!」

マミ「それはよかったわ」ソワソワ

マミ「う~……」ソワソワ

マミ「ヒナちゃん!抱っこさせて!」

316: 2012/06/11(月) 23:51:36.32 ID:XNk/ZdDc0
雛苺「抱っこ大好きなのー!」ギュゥ

マミ「あぁん!可愛いわー!」スリスリ

仁美「あらあら、まるで親子ですわね」

蒼星石「仲がよさそうで何よりだね」

翠星石「それにしても……どうしt……

蒼星石「今は何も言わないで。翠星石。今度の会議で話し合うんだから」ヒソヒソ

翠星石「ですぅ」

金糸雀「ほむらはどうしたのかしら?」

真紅「昨日付きっきりでまどかを看ていた疲労が祟って学校で寝ぼすけ+前日のサボタージュ疑惑により居残りの刑を受けている所だわ」

仁美「授業中は五分たりとも起きてませんでしたわ」

さやか「親友の見舞いとは言えサボりはいかんよね。サボりは」ヒョッコリ

杏子「さやかも遅刻だな」

さやか「まどか優先で病院来てるってなったら恭介が拗ねちゃうからね」

仁美「爆発してください」

さやか「!?」

317: 2012/06/11(月) 23:52:33.12 ID:XNk/ZdDc0

マミ「鹿目さんへのお土産に、ヒナちゃんの大好物を持ってきたわ~」スッ

雛苺「ッ!うにゅー!?うにゅー!?」キラキラ

マミ「そうよ。うにゅーよ」

まどか「うにゅー?」

マミ「そこで問題!」

杏子「うおっ、急に叫ぶなよここは病室だぞ」

マミ「うにゅーとは何でしょう。ドールのみんなは言わないでね」

翠星石「めんどくさいですぅ」

雛苺「食べたいの~」

マミ「ちょっとだけ待っててね」

さやか「うにゅーって言われても何のことやら」

マミ「ヒントは?ヒナちゃん」

雛苺「あのね、うにゅーはね、白くて、黒くて、赤くてうにゅーってしてるの!」

318: 2012/06/11(月) 23:53:09.93 ID:XNk/ZdDc0
仁美「…………のし梅を包んだ磯辺焼き?」

さやか「どういうチョイスだよ」

まどか「白黒赤……イクラのお寿司?」

金糸雀「うにゅーってしてないかしら」

杏子「まあ子どもの好物ったら、間違いなくお菓子だろう……。鯛焼き」

真紅「それは貴女が食べたいだけでしょ」

杏子「そんなことないぞ!白い鯛焼きってのはうにゅってるし、あんこは黒いし、赤は知らね」

翠星石「発言が浅はかですぅ」

雛苺「鯛焼きも甘くて美味しいの~」

仁美「兎の眼球?」

蒼星石「せめて食べ物で考えよう」

さやか「紅白饅頭!」

仁美「爆発してください」

さやけ「!?」

さやか「え、え~っと……そうだ!マグロの巻き寿司のあれ!」

319: 2012/06/11(月) 23:54:56.16 ID:XNk/ZdDc0
ほむら「美樹さやか あなたはどうして 愚かなの」ヒョッコリ

さやか「575でなじるな!っていうか何であたしだけ!?まどかも寿司だったのに!」

まどか「あ、ほむらちゃん。いらっしゃい」

ほむら「来たわ。まどか」

金糸雀「テンションが低いかしら」

翠星石「いつもこんな感じじゃないですか?」

ほむら「やっと解放されたわ……。反省文書かされることになったわ」ゲンナリ

ほむら「で、何をやってたのみんな」

さやか「何をしてたか知らないのにあたしのマグロをバカにされたの!?」

まどか「うにゅーって何だろうなって」

ほむら「え?」

320: 2012/06/11(月) 23:55:33.20 ID:XNk/ZdDc0

マミ「白くて黒くて赤いうにゅーってしたお菓子は何でしょう?」

ほむら「何?クイズ?」

さやか「雛苺の好物を当てようって話でさ、今のはそのヒント」

杏子「子どもの言うことだ。そう簡単にはわかるまい……!」

ほむら「苺大福?」

雛苺「!そうなの!それなの!」

仁美「そ、即答!?」

雛苺「いちごだいふくって巴が言ってたの!」

まどか「マミさん?」

真紅「雛苺の元マスターのことよ」

321: 2012/06/11(月) 23:56:43.77 ID:XNk/ZdDc0

さやか「それにしてもほむら、よく苺大福ってわかったね。うにゅーで苺大福ってどうよ?ねえまどか」

まどか「うーん。言われてみれば、あぁ~ってなるかな?」

ほむら「簡単よ。うにゅーってしてて、白くて黒いで大福がとわかるわ。その後に赤と言えば」

ほむら「え、でも大福ってうにゅーってしてるじゃない」

ほむら「後は簡単。黒は餡で赤が苺という簡単な……」

さやか「ん?何だって」

ほむら「いや、だから、大福はうにゅーって……」

さやか「もう一回」

ほむら「うにゅぅ……」

さやか「もう一声」

ほむら「うにゅ……///」

さやか「もう一発」

ほむら「うにゅ///」

まどか「ウェヒ……ほむらちゃんかわいい///」

322: 2012/06/11(月) 23:58:20.19 ID:XNk/ZdDc0

――ほむホーム

ほむら「……と、いうようなことがあって、楽しかったわ」

ほむら「しかし苺大福の粉がついてるとさやかに指摘されて笑われたのは不覚だったわ」


ほむら「それにしても、雛苺……。何故か指輪がないローゼンメイデン。それもレプリカ……」

ほむら「ほむ……謎は深まるばかりね」

ほむら「そういれば水銀燈が帰ってこないわ……。何をしてるのかしら」

ほむら「……………」

トンッ

ほむら「…………あら」

323: 2012/06/11(月) 23:59:03.12 ID:XNk/ZdDc0
ほむら「……こうやって会うのは久しぶりね。真紅」

真紅「そうね。再び洗面台の鏡から失礼するわ」トスン

ほむら「何の用かしら。雛苺の件?」

真紅「ねえほむら。聞いてもいいかしら」

ほむら「……何?」

真紅「問題。雪華綺晶は……実体を持たない雪華綺晶はどうやって動いていると思う?」

ほむら「……?さあ。衛星か何かから受信してるのかしら」

真紅「人間が食物を食べるように、私や水銀燈が食事をするように、実体のない雪華綺晶も……食べるのよ」


真紅「人の心を」


324: 2012/06/12(火) 00:00:11.79 ID:MJqWQkXj0

ほむら「……そう。水銀燈は雪華綺晶を悪霊と表現をしたけど、まさに……ね」

真紅「ほむら。そこで、尋ねるわ」

真紅「人の心を糧にする雪華綺晶が、何故魔女を糧にできるの」

ほむら「……ッ!!」

真紅「私は見たわ。雪華綺晶が魔女を食べている所を。茨で魔女の体を突き破ってしまったわ」

真紅「彼女は魔女を人形にも食料にもできるみたいなの。……魔女って何なの?」

真紅「まさか魔女は、人間だと言うの?それとも、人の心と似ているだけなの?貴女は……知らないの?」

ほむら「………………」

ほむら「魔女は……人間で、ない……わ」プルプル

325: 2012/06/12(火) 00:02:16.65 ID:MJqWQkXj0

真紅「ほむら。貴女、未来から来たんですってね」

ほむら「なっ!?」

真紅「キュゥべえに知られてしまったようなのだわ。余計なことばかり言う兎のせいで」

真紅「そいつから余計なことを言われる前に、貴女の口から皆に言ってあげるべきだと思うわ」

真紅「貴女が未来から来た目的と、魔女のこと」

ほむら「……あなたはどこまで知っているの?」

真紅「この世界がループしていること。そのループの中心にいるのが貴女であること」

真紅「それだけ。特に後者はキュゥべえの発言からわかったことよ」

ほむら「…………ごめんなさい。どうしても言い出せずにいたわ」

ほむら「ローゼンメイデンというイレギュラーを理由にして……後伸ばししてわ」

ほむら「どうしても……怖くて、あなた達を、言い訳にしてた」ギュッ

真紅「ワルプルギスの夜までもうそう遠くないわ。秘密があるなら、言うべきよ」

ほむら「ええ……。そうね。…………まず、貴女に全てを話すわ」

真紅「ええ、言って頂戴」

ほむら「まず、私は――」

326: 2012/06/12(火) 00:03:07.69 ID:MJqWQkXj0

――後日


まどか「ほむらちゃんちにお呼ばれっ♪それはっ、とっても嬉しいなって♪」

さやか「のんきだなぁ」

マミ(テレパシー)『暁美さんから話があるなんて、何かあるわね……』

杏子(テレパシー)『そうだな。仁美はいないと言うことは魔法少女関連だろう』


ほむら「いらっしゃい。あがって」ガチャ

まどか「おじゃましまーす」

さやか「おじゃ……あれ?蒼星石?それに真紅達も」

真紅「いらっしゃいなのだわ」

ほむら「……実はみんなに、話さなければならないことがあるの」

マミ「……とても重要なことなのね」

ほむら「……」コク

まどか「あ、あれ?空気が……」

327: 2012/06/12(火) 00:03:44.70 ID:MJqWQkXj0
真紅「これから話すことは、雛苺を除くローゼンメイデン全員が理解していることよ」

真紅「水銀燈は野暮用でいない、雛苺は話が難しいだろうから留守番させてるわ」

金糸雀/翠星石/蒼星石「……」

真紅「まずその前に、私達がこの世界にやって来た理由を話すわ」

さやか「この世界……?nのフィールドとかそういう次元の話?」

真紅「そうね。簡潔に説明するわ」

真紅「まず、私達は別の世界からやってきた……異世界から来たと言いましょう」

杏子「正直、そんな気はしてたよ……」

真紅「私達はそれこそ単純な理由……雪華綺晶を追って来たの」

まどか「雪華綺晶を……」

真紅「雪華綺晶は、この世界に興味を抱いた……。その理由は」

真紅「この世界が同じ時を繰り返しているという異質さからよ」

マミ「え……?繰り返……?どういうこと?」

328: 2012/06/12(火) 00:04:19.67 ID:MJqWQkXj0

真紅「この世界は、ある少女が病院で目を覚ましてから、ワルプルギスの夜までの間を何度もやり直されているの。ループというものね」

真紅「時間が繰り返していることは、その少女以外全員知らない。その少女は気が遠くなる程、この一ヶ月をやり直していることを」

杏子「何を言ってんだよ……ファンタジーの話か?」

真紅「その少女は、強大なワルプルギスに何度も挑んだ。時には独りで。時には仲間を失いながら。何度も何度も何度も試行錯誤をしながら絶望に立ち向かった」

真紅「その少女こそが、ほむら。つまり彼女は……貴女達から見れば、未来から来た、ということ」

四人「!?」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん……?ど、どういうことなの……?」

ほむら「……みんな、黙っててごめんなさい。全てその通り。私の能力は時間遡行。ワルプルギスを倒すため、そして、まどかを救うために何度もこの期間を繰り返している……」

まどか「わ、私?」

杏子「ますます意味がわかんねえ……どういうことなんだよおい……」

ほむら「順を追って話すわ。私の願い、魔法少女になった理由は、まどかとの出会いをやり直すこと――」

329: 2012/06/12(火) 00:05:12.25 ID:MJqWQkXj0
ほむら「――だから私は、まどかを守るためだけに生きている」

まどか「そ、そんな……ほむらちゃん……私なんかのために……!」プルプル

さやか「……ほむら」

マミ「……その……暁美さん。あなたの目的はわかったわ。とても、辛かったでしょう……。いえ、辛いなんてものじゃないでしょうね……」

杏子「ああ……!ほむら、お前が憧れたまどかとの約束を果たすためにも絶対に――」

真紅「話はまだ終わってないわ。ほむらが今話したことは、全てあることを伏せてある」

マミ「え?」

杏子「あること……?」

真紅「それは、言うほむらにとっても、聞く貴女達にとっても辛いことよ。私だって辛かったわ。……聞く覚悟はあるかしら?それを聞いて、ほむらの覚悟をより深く理解してほしいのだわ」

マミ「…………」

杏子「……言えよ。辛いことには慣れっこなんだよ。あたしは」

マミ「……そうね」

330: 2012/06/12(火) 00:05:50.12 ID:MJqWQkXj0

ほむら「………………」

ほむら(……いつかは言わないといけないことだけど、何度の時間軸を経ても……胸が潰れそうになる)フルフル

ほむら(不安だわ。杏子はともかく、マミは錯乱しないかしら。それに、まどかに伝えるだけでも、いつだって不安なのに……全員まとめてだなんて、私の目的を話した直後でなんて……)ソワソワ

真紅「ほむら。このことを言うのは、この時間軸では二回目なのよ。無茶だとは思うけど、落ち着きなさい」

ほむら「……そ、……そうね……えぇ……」

マミ(あの暁美さんが……血の気の引いた真っ青な顔を……。一体、何を話すつもりなの?)

まどか「ほむらちゃん。……大丈夫だよ。みんな、ほむらちゃんのこと信用している。ほむらちゃんの言うことなら、どんなことでも……きっと受け入れてくれるよ」

ほむら「まどか……」

さやか「そうだよ。ほむら……。だよね。杏子。マミさん」

杏子「あ、当たり前だっつーの……」

マミ「……話して。暁美さん」

ほむら「……」コクッ

ほむら「……実は、魔法少女は――」

331: 2012/06/12(火) 00:06:59.18 ID:MJqWQkXj0

まどか「う、うぅ……あんまりだよ……そんなの……ほ、ほむらちゃん……」ポロポロ

翠星石「……くぅ」

マミ「魔女が……魔法……少女……?………………え?」ポカーン

金糸雀「……」

杏子「何だよそれ……あたし達は……ゾンビか何かだっつぅのかよ……!」ギリッ

真紅「……」

さやか「…………それって、ほ、本当なの……?」プルプル

蒼星石「……」

332: 2012/06/12(火) 00:07:36.33 ID:MJqWQkXj0
水銀燈「事実よ」ポイッ

ガシャン

杏子「水銀燈!?」

マミ「それにそのゲージは……キュゥべぇ!?」

QB「乱暴じゃないか……。誰か開けてくれないかい?」

マミ「キュゥべえ……?どうしてそんなゲージの中に……?」

QB「まどかが昏睡状態になってた夜、水銀燈に拉致されたんだ。とにかく開けてよ」

杏子「ちょっと待ちな。水銀燈が事実って言ってたけど……」

QB「うん?ああ。そうだね。ほむらが言ったことに訂正することは一つもないよ。だから開けてよ」

杏子「……ッ!」

マミ「……う、嘘……でしょ?……ねぇ、キュゥべえまで……そんな、手の込んだ……ドッキリ……」

QB「事実を言っているのに何をそんなに戸惑っているんだい?嫌なのかい?その体は便利だろう?」

杏子「てめぇ!」

QB「わけがわからないよ」

マミ「う、嘘よ!嘘に決まってる!決まってるわ!」

ほむら「本当よ」

マミ「そ、そんな、魔法少女が魔女になるなら……み、みんな……死ぬしか……!」ワナワナ

333: 2012/06/12(火) 00:09:47.45 ID:MJqWQkXj0

真紅「マミ、取り乱さないのッ!」

マミ「ッ!」

マミ「……うっ、うぅ」プルプル

マミ「……ごめ……なさい。私……帰るわ……」スクッ

金糸雀「あっ……マミ……」

杏子「悪ぃ……あたしも帰るわ。少し、考えさせてくれ……」

ほむら「……ええ」

真紅「それじゃ……今日は解散ね」

杏子「……鞄なんか持たねぇぞ」

真紅「一緒に歩いてあげるわ」

杏子「……ああ」

パタン…


334: 2012/06/12(火) 00:10:16.16 ID:MJqWQkXj0
蒼星石「……さやかは、どうする?」

さやか「そうだね……。あたしも……帰るよ」

翠星石「翠星石もお暇するですぅ」

水銀燈「ちょっと川かどっかに捨ててくる」

QB「最初からゲージを開ける気はなかったんだね。そうなんだね」

まどか「…………」

ほむら「…………まどか」

まどか「……うん」

335: 2012/06/12(火) 00:10:47.04 ID:MJqWQkXj0

ほむら「……ごめんなさい。黙ってて。それに、私の家に来るの折角楽しみにしてくれてたのに」

まどか「ううん……いいんだよ。ほむらちゃん。ほむらちゃんは……私の恩人だもん」

ほむら「私は……そんなんじゃないわ。他の時間軸で、みんなを見捨てたことも多々あるし、魔女になったみんなを殺したこともある。まどか、魔女になったあなたを殺したことだってあるわ」

ほむら「お菓子の魔女の時だって、マミが死んでたら死んでたで仕方ないという意識だった。私は一つの目的のために全てを捨てられる冷酷な魔法少女」

まどか「そんなことない……ないよ」

ギュッ

ほむら「まどか……?」

まどか「ほむらちゃんは……私の……っ」

まどか「私の大切な……っ」ポロポロ

ほむら「……泣かないで、まどか」

ほむら「絶対に、あなたを守るから」キュッ

まそか「うん。ありがとう……」

ほむら「私……とても不安だわ」

まどか「大丈夫だよ。だって……みんな、強いもん」

ほむら「強い……そうね。強いわね」

336: 2012/06/12(火) 00:11:28.72 ID:MJqWQkXj0

金糸雀「マミ……」

マミ「うっ…うぅ……。ひぐっえぐっ……」

金糸雀「泣かないで。マミ。泣いてなんかいられないでしょ?」

マミ「そうね……。……そうよね……泣いてなんて……いられないわよね」

マミ「ワルプルギスが控えているんだもの……今、絶望なんかしてらんないもの……」

マミ「今魔女何かになっちゃったら……世話ないわ。わざわざ助けて貰ったことあるんだし」

マミ「それに、金糸雀ちゃん達も、姉妹で闘っているのよね。その運命と比べたら……」

金糸雀「……いつか言ったかもしれないけど、私達はその運命を辛いだなんて思ったことはないわ」

金糸雀「生きているもの。闘っているから。……それがローゼンメイデンの誇り」

マミ「…………」

337: 2012/06/12(火) 00:11:54.69 ID:MJqWQkXj0

マミ「……そうね。私だって、ゾンビのような存在だから厳密にはもう生きてないのかもしれないけど――私も、戦っているわ」

マミ「私も、いつか魔女になるかもしれない。私の全てが無になるかもしれない。それでも、立ち向かわないとね……」

マミ「だって、それが……それが……」

マミ「それが私の……魔法少女としての誇りなんだもの」

マミ「そうよ!私はみんなの先輩なのよ!みんなにカッコ悪いとこ見せられないわ!」グッ

金糸雀「かしらー!」

杏子「じゃあかわいいかわいい後輩のために何か食べさせてくれよーおーやーつー」グデー

真紅「元気が出たところで紅茶を淹れるのだわ。アールグレイでいいわ」

マミ「…………はいはい」

338: 2012/06/12(火) 00:12:22.69 ID:MJqWQkXj0

マミ「佐倉さんは平気なの?あんなこと聞かされて……」

杏子「いやー……なんつーか……そんな気はしてたんだよ。実は……」

マミ「え?」

杏子「雪華綺晶に食われた魔女の話したじゃん?あたし、あれ見たとき……同情しちまったんだよ」

杏子「今なら元々魔法少女だったからって思えば同情したのもわかるかもだけど、そん時は、このあたしが?って思ったよ」

杏子「で、その後さ、その結界とnのフィールド……まどかの夢の中と繋がっててさ……」

杏子「魔女の結界と人間の精神……何か共通してるような気がしたんだよ。それで、何となく……」

マミ「そう……」

杏子「だが、そんなことはもういいのさ!」

杏子「魔法少女にならなかったらならなかったでどうせ悪路まっしぐらだったろーし、それたら……なっちまったもんは受け入れるしかねえよ!」

339: 2012/06/12(火) 00:12:55.23 ID:MJqWQkXj0

杏子「後悔なんてあるわけない!うまいもん食えればそれであたしゃ幸せだ!」

マミ「……フフッ。何だか、もう死ぬしかないとか考えてた私が馬鹿みたい」

金糸雀「二人とも、思ったより平気そうね」

杏子「と、いうことでおやつくれよ」

マミ「これから夕飯なんだから我慢しなさい。ほら、手伝って。雛苺ちゃんの大好物を作るわよ」

杏子「やったーハンバーグだー」

真紅「ええ……。ほむらから別の時間軸の話を聞いていたからどうなることかと思ったけど……」

マミ「ところで新しい技を考えたわ。佐倉さんを加えた合体技なんだけど」

杏子「は?」

真紅「魔法少女って、本当に強いわね」

340: 2012/06/12(火) 00:13:33.56 ID:MJqWQkXj0

真紅「第四回薔薇乙女会議インマミ宅を始めるのだわ」

真紅「今日はマミ達を出払ってローゼンメイデンだけで話すのだわ」

真紅「今回の議題は、何故ジュンは雛苺のレプリカを送ったのか、よ」

蒼星石「何かしら理由はあるはずだよね。ローゼンメイデンのレプリカなんてそうそうできるものじゃあない」

金糸雀「ヒナは何か知らないかしら?」

雛苺「うゅ~……わかんないの」

翠星石「チビ苺は指輪もないですし、囮くらいしか使い道はないですぅ」

雛苺「ひ、ひどいの~!」

水銀燈「何なら本人に聞いてみるぅ?」

蒼星石「本人?」

341: 2012/06/12(火) 00:14:00.29 ID:MJqWQkXj0

水銀燈「私達がこの世界に閉じこめられた理由はほむらにある。だったらほむらが魔女になるなり死ぬなりすれば元の世界に戻れるわよ」

真紅「冗談でも暴力行為も辞さないのだわ」

水銀燈「何よ。数日後のワルプルギスの夜を待って倒すよりも手っ取り早い意見じゃない」

真紅「とにかく、ワルプルギスの夜は必ずや倒すわよ。そして雪華綺晶も……」

翠星石「そうですね。ワル夜と雪華綺晶が手を組むことだってありえますからね」

金糸雀「ヒナが送られてきたのは、ワルプーを倒す手がかりなのかしら」

蒼星石「あるいは単純に、元の世界に帰るための鍵なのかもしれないね」

水銀燈「どうせ指輪がないから契約もできないし、今の雛苺じゃなんの戦力にもならないわ」

水銀燈「真紅。雛苺のローザミスティカを自分に入れ直したら?合理的でないわ」

雛苺「うゅぅ……」

真紅「雛苺のローザミスティカの現持ち主は私でもあり雛苺でもあるのよ。どうするかは私の勝手なのだわ」

翠星石「保留ってことにするです。もしかしたらまたジュンが何か寄越すかもしれないですし」

真紅「……そうね。雛苺の件は保留ということで」

342: 2012/06/12(火) 00:14:30.77 ID:MJqWQkXj0

蒼星石「そう言えばさやか達はみんなで遊びに行ってるんだよね」

金糸雀「それじゃあカナ達も遊ぼうかしら!」

水銀燈「は?」

真紅「これから大共闘をするのだから乙女親睦会をするのだわ」

雛苺「わーい。みんなで遊ぶのー!」

翠星石「マミは一人暮らしなのに何でパーティゲームが置いてあるのですぅ?」ガサゴソ

蒼星石「……部屋を漁るのはよくないよ。翠星石」

真紅「マミ達も三時頃には帰ってお茶会をするから、私達でクッキーでも焼きましょう」

雛苺「クッキー!」

水銀燈「はぁ?」

343: 2012/06/12(火) 00:15:23.65 ID:MJqWQkXj0

真紅「金糸雀。アニm……コホン。いつぞや私のクッキーをまずいと言ったことを見返してやるわ」

金糸雀「う……」

翠星石「お菓子作りの達人である翠星石がいれば真紅でも人並みのを作れるようにレクチャーするで……おぉう、そんな目で睨んじゃいやですぅ」

水銀燈「……」

蒼星石「マミは普段からお菓子作ってるから材料はたくさんあるね。僕たちでも用意はしてるけど」

翠星石「さあさあ山ほど作るですぅ~お砂糖薄力粉チョコチップ~」

雛苺「イッチゴジャム~イッチゴジャム~」

真紅「さあ水銀燈。いえ、銀ちゃん。エプロンを着けるのだわ」

水銀燈「……何よ。……何なのよ」

雛苺「すいぎんとーもお菓子づくりなの~ネコさんエプロンなの~」

水銀燈「何なのよ!」

真紅「ほら銀ちゃん。長女なのだから我が侭言わないの」

水銀燈「何なのよォーーッ!!」

344: 2012/06/12(火) 00:21:09.24 ID:MJqWQkXj0

――ショッピングモール


まどか「みんなでお出かけ♪ほむらちゃんとお出かけ♪」

ほむら「……ワルプルギスの夜まで残るところ後少しだってのに、遊んでていいのかしら……」

マミ「こういう時だからこそ遊ぶのよ!」

ほむら「塩かけた青菜みたいにしおしおになっていると思ったら……全く」

マミ「うふふっ」

杏子「マミはともかくあたしのメンタルを見くびってもらっちゃ困るぜ」

マミ「確かに動揺したけども……」

仁美「休日にお友達とお出かけなんていつ以来かしら……」

杏子「で、どこ行くんだ」

さやか「まどかが買い物に行きたいって」

まどか「お買い物とかしてー、お昼にみんなでご飯食べてー、マミさんの家でお茶会してー……」


345: 2012/06/12(火) 00:22:12.57 ID:MJqWQkXj0

仁美「私も色々買いたいですわ」

ほむら「あら、何か欲しいものでも?」

仁美「如雨露とか新しいタオルとか買いたいのですわ」

さやか「そういえば仁美、翠星石の影響で庭いじりに目覚めたんだっけ」

仁美「ガーデニングですわ。百合が綺麗ですわ」

マミ「百合って綺麗よね」

さやか「そうだね綺麗だね」

まどか「百合~♪」

マミ「さあ、今日は楽しむわよー」

杏子「おー」

まどか「楽しも!ほむらちゃん!」

ほむら「…………えぇ、そうね」クス

346: 2012/06/12(火) 00:22:50.62 ID:MJqWQkXj0

――衣料店

マミ「さあ暁美さん、観念しなさい」

仁美「このフリフリした花柄お召し物」

さやか「このスクール水着」

杏子「この生足前提ホットパンツと何か変な柄の上着」

まどか「このよくわからないメーカーのお洋服」

マミ「そしてこの何かカッコイイ外国語が書かれた服……」

まどか「どれを着る!?」

ほむら「」

347: 2012/06/12(火) 00:23:21.20 ID:MJqWQkXj0

ほむら「どうして私に似合いそうな服を探す選手権が開催されたの」

まどか「えへへ……やってみたくて」

ほむら「参ったわ……ど、どれも着るとなると……は、恥ずかしいわ……///」

まどか「仁美ちゃんのは、一見するとほむらちゃんに似合わなそうだけど実は逆に似合いそうな絶妙なチョイスだよ……!」

マミ「暁美さんはいつもタイツ履いてるから生足晒させたいわ。佐倉さんとおそろだしね」

仁美「巴さん……その文章は日本語に訳すとゲリラ豪雨ですわ」

杏子「まどかのはいかにも女の子っぽいな。子どもっぽいというか、まどからしいというか」

ほむら「難しいわね……」

さやか「ねえあたしにも触れてよ」

348: 2012/06/12(火) 00:24:02.79 ID:MJqWQkXj0

まどか「さぁ!これだという物を試着してください!」

ほむら「……選ばないと、やっぱり?」

仁美「いけませんわ☆」

ほむら「…………(回避不可)」

ほむら「う、うぅ~……ん」

五人「……」wktk

ほむら「…………じゃ、じゃあこれ///」

さやか「あっ、さやかちゃん眼中にいない」

349: 2012/06/12(火) 00:25:20.20 ID:MJqWQkXj0

――試着

ほむら「こんな格好、似合うわけないじゃない……///」モジモジ

まどか「すごく、似合うよ……お人形さんみたいだよ、かわいいよほむらちゃん!」ギュー

ほむら「そ、そんな……/// だっ、抱きつかないでまどか……///」

まどか(顔真っ赤にするほむらちゃんなまらかわいい///)

さやか「ってことでお買いあげー!店員さーん!」

ほむら「ちょっと!」

仁美「……」ニヨニヨ

マミ「……」ニコニコ

ほむら「ちょっと!!」

杏子「ぷくく……ぐふっ……うっふふふ」プルプル

ほむら「ちょっとぉ!!」

店員「店内ではお静かに……」

ほむら「あ、すいません……」

350: 2012/06/12(火) 00:26:54.99 ID:MJqWQkXj0

さやか「着て帰るので袋は要りません」キリッ

ほむら「!?」

マミ「ちょっと値段は張るけど、可愛いんだから仕方ないわよね」

まどか「可愛いから仕方ないよ。みんなからのプレゼントだよ」ウンウン

仁美「ですわですわー♪」

杏子「そうそう。かわ……コポォwww」

ほむら「杏子。後で覚えてなさい。必ずやあなたにはゴス口リを着せてやるわ」

杏子「ゴス……ってなんだ?」

さやか「水銀燈みたいな服のことだね」

杏子「ゲッ……勘弁してくれ」

ほむら「もう遅い」

杏子「助けてマミィーーー!!」

マミ「案外似合うかもね」

杏子「ドリル根元から切ってやる!」

352: 2012/06/12(火) 00:28:04.54 ID:MJqWQkXj0

まどか「えへへ……ほむらちゃんかわいい~よ~」ギュ-

ほむら「~~~~!///」プルプル

マミ「さて、ショッピングの続きをしましょうか」トコトコ

ほむら「み、見られてるわ……///」ソワソワ

杏子「全員マミの乳を見てるに違いない。そう思え。自意識過剰だったと」

マミ「ちょっと」

ほむら「や、やっぱ無理よ!こんな格好で出歩けないわ!着替えさせてっ!」ブンブン

まどか(真っ赤な顔を押さえて首をブンブン振るほむらちゃんホントほむほむ)

さやか「おいおいおい、落ちつけって。大丈夫だよ。みんな変とは思ってないから」

仁美「お似合いですわ」コクコク

ほむら「ほむ……///」

353: 2012/06/12(火) 00:28:57.94 ID:MJqWQkXj0

ほむら「……///」プルプル

ほむら「まどかァッ!私の服ー!」

まどか「も~、しょうがないなあ。折角かわいいのに……ウェヒヒ///」ドウゾ

ほむら「もう……!みんなったら」ドウモ

ほむら(やっぱり私にこういう服は……。そうね、こういうのはまどかのが似合うわ……。……そうだ!)

ほむら(いつかまどかにこれを着せてやるわ。杏子はゴス口リ、マミはメイド服、仁美はツナギ服、さやかはスク水エプロン+ニーソ姿にしてくれるわ!覚悟なさい!)

ほむら(……ふふ。……なんか、すごく楽しいわ)

ほむら(ワルプルギスの夜まであと数日……。こんな気持ちで迎えられるなんて……。水銀燈と出会ったおかげね。こんなに孤独感のない時間軸は……)

ほむら(今なら何だって超えられそうな気がするわ。絶対に幸せになれる気がする)

ほむら(もう何も怖く――ッ!? ……こ、この感覚は!)ピキーン

354: 2012/06/12(火) 00:29:48.43 ID:MJqWQkXj0

杏子「チッ……こんな時に魔女かよ。空気読めねえなほんと」

マミ「ごめんなさい。みんな。ちょっと行ってくるわね」

まどか「う、うん!」

仁美「何だかよくわかりませんが、お気をつけて!」

ほむら「私も着替えたらすぐ行くわ!……試着室はどこかしら?」

さやか「あ、着替えるんだ」

ほむら「変身解除したらこの格好は恥ずかしいわ」

ほむら(こんな時期に魔女なんて出たかしら……。まあ、使い魔が逃げてたってとこかしら)

355: 2012/06/12(火) 00:30:12.62 ID:MJqWQkXj0

試着室

ほむら(……こんな時だけど、この姿をもう一度よく見てみましょう)ヒラリ

ほむら(……恥ずかしい。でも……好きだわ。この格好)

ほむら(何より、まどかが私のために考えて選んでくれた。それだけで十分嬉しい……)

ほむら(エヘ☆)ビシッ

ほむら(……って決めポーズしてないでさっさと着替えて加勢しなくちゃ!)

カタッ

ほむら(ん?何かしら今の音……?)



ほむら「あ」



356: 2012/06/12(火) 00:31:28.34 ID:MJqWQkXj0

さやか「ワルプルギスまであと少しだってのに……大変だね」

まどか「そうだね……」

さやか「何か小腹が空いたなぁ……お昼にはまだ早いかな」

仁美「家庭菜園をするのもありですわね」

さやか「え?ああ、まあ、いいんじゃない?……何故そこで家庭菜園」

まどか「魔女を倒したらお昼ご飯食べようね!ほむらちゃん!」

さやか「…………ん?」

まどか「…………ほむらちゃーん?」

仁美「…………?」

まどか「……………ほむらちゃん?」

357: 2012/06/12(火) 00:32:51.44 ID:MJqWQkXj0

――魔女の結界

マミ「随分近場に現れたわね……」

杏子「こいつは……見たことあるぞ……!」

マミ「えっ!?」

QB「これは杏子が逃がした使い魔が成長したものだ」

マミ「キュゥべえ!」

杏子「どの面下げて出てきやがったてめぇ!」

QB「やれやれ、嫌われちゃったね」

QB「とにかく、その使い魔が魔女に成長したのは、他でもない」

QB「雪華綺晶の力だよ」

杏子「!」

QB「雪華綺晶がこの間の魔女から吸い取った養分で、同時に拉致した使い魔を成長させたんだろう」


358: 2012/06/12(火) 00:35:50.30 ID:MJqWQkXj0

マミ「何ですって!?」

杏子「っていうかまた雪華綺晶かよ……しっこいやつだなチキショウッ!」

QB「全身が白い茨に巻かれた……茨の魔女とでも言おうかな」

マミ「そのまんまね」

QB「養殖物の魔女とはやっかいだ」

QB「本当にローゼンメイデンというものは何があるか見当もつかない」

QB「とは言え無理矢理育てられた魔女だからね。天然と違って不完全だ」

杏子(天然だの養殖だのこの畜生が……ッ!)ギリッ

QB「結界はあれど使い魔はいないようだからね。使い魔を作る器官が未成熟というか」

マミ「佐倉さん!」

杏子「速攻で倒すッ!!」

359: 2012/06/12(火) 00:37:05.94 ID:MJqWQkXj0


マミ「佐倉さん!あの時話した合体技をするわよ!」

杏子「はぁ?んな遊んでる場合じゃ……」

マミ「遊びなんかじゃないッ!!」

杏子「!」

マミ「実戦で使ってみないとワルプルギスでも使えないわよ!」

杏子「あ、あんな技やだよ!」

マミ「確かに金糸雀ちゃんがいないから不完全かもしれないわ、でも……!」シュル

杏子「お、おい!こら!こんな時に縛るな!拒否権なしかチクショー!」

QB「おや?マミのマスケット銃が様子が……」

マミ「行くわよ!」

杏子「え、ええい!ままよ!」

360: 2012/06/12(火) 00:38:45.70 ID:MJqWQkXj0

――――。

杏子「……まさかこんな楽勝とは思わなかった」

マミ「でしょ?あの技は大当たりよ!」

QB「魔女の実力は未知数だけど、あの技には僕もびっくりだよ」

杏子「当たりはずれがあってたまっかよあんな技……しかし、ほむらが来るまでもなかったな」

マミ「そうね。さ、お出かけの続きをするわよ~♪」

マミ「……それにしても、雪華綺晶は何のために魔女を作ったのかしら?」

杏子「そうだよなぁ……意味ないよな。今更あんな雑魚魔女出しても」

QB「それはほむらと君達を引き離すためだよ」

杏子「は?」

361: 2012/06/12(火) 00:40:41.92 ID:MJqWQkXj0

マミ「……え?」

杏子「……な、何を言ってんだテメェッ!!」

QB「何をもなんも、聞かれたから答えたんじゃないか」

QB「ショッピングという娯楽に行ってたんだろう?」

QB「服を売っているということは聞いているよ。なら鏡の一つや二つ、見るんじゃないかい」

マミ「……ッ!さ、佐倉さん!」ダッ

杏子「ああッ!」ダダッ


QB「……やれやれ」ヒョイ

362: 2012/06/12(火) 00:41:20.92 ID:MJqWQkXj0
――――。

仁美「それで……あの、暁美さんが試着室からいなくなってしまったのですわ」

さやか「nのフィールドは映る物が入り口……。ほむらは試着室の姿見から……きっと雪華綺晶に誘拐されたんです……」

マミ「……そう」

杏子「くそっ……ほむら……!」ギリッ

まどか「…………私のせいだよ」

さやか「まどか……」

まどか「……私ってほんとバカ……。私がほむらちゃんを試着室に行かせなければ……、ほむらちゃんのお洋服選びなんて提案しなきゃ……」

杏子「お、おいまどか……」

まどか「試着室に鏡があるなんて当たり前なのに……私がショッピングに行きたいなんて言わなければ……」ポロポロ

まどか「私のせいでほむらちゃんがぁ……うえぇぇん」メソメソ

さやか「いや、それは……」

杏子「まどかのせいなんかじゃねーって。だから泣くな。な?」ポンポン

仁美「……暁美さんを攫うだなんて、鹿目さんと契約するための、人質、なのでしょうか……」

マミ「……考えられるわね。……なんて卑劣な」

363: 2012/06/12(火) 00:44:28.56 ID:MJqWQkXj0
QB「ほむらを取り戻したいかい?」ヒョイ

杏子「ッ!て、てめぇ……!」

QB「ほむらがどこにいるのかわからないけど、僕の契約の力なら絶対だ」

まどか「……」

QB「まどか、君の力なら何だって叶えられる。もし責任を感じているっていうなら……」

さやか「いい加減にしなさいよ!」ガッ

マミ「帰って。……いえ、消えて。キュゥべえ」

QB「マミにそんなことを言われるなんてね。残念だよ」

364: 2012/06/12(火) 00:45:10.72 ID:MJqWQkXj0
QB「契約するなら、別にさやかでもいいよ」

さやか「何か妥協されたんだけど」

QB「妥協も何も。人質を取り返すなら君でもできるという意味さ」

杏子「失せろ」ゲシッ

QB「おっと……わかったよ。そこまで言うなら……」キュップイ

仁美(きっとキュゥべえさんとやらがいらっしゃるんですね……)

QB「でもね、これだけは言えるよ。ワルプルギスの夜までにほむらを取り返さないと非常に厳しいことに相違ない」

QB「だから、君達の住む街のことも考えておくんだ。まどか。あとさやか」ヒョイ

365: 2012/06/12(火) 00:46:10.01 ID:MJqWQkXj0

さやか「くそっ……あいつ……!」ギリッ

マミ「……とにかく、今日の所はそのまま私の家に行きましょう」

杏子「そうだな。真紅達が集まっている。そこでほむらが攫われたことを話して……」

仁美「nのフィールドの探索を依頼しましょう。暁美さんならきっと大丈夫ですわ。鹿目さん……」

まどか「うん……」

仁美(鹿目さんがここまで落ち込んだ姿は初見ですわ……。鹿目さん、暁美さんのこと……)

マミ「はぁ、今頃金糸雀ちゃん達がみんなでお菓子作りしてるってのに……台無しだわ」

366: 2012/06/12(火) 00:47:09.42 ID:MJqWQkXj0

QB「……」トコトコ

QB「……どうやら雪華綺晶は僕のアドバイスを採用してくれたみたいだね」

QB「『ほむらを攫ってまどかを誘えば、必ず乗ってくるだろう』……ってね」

QB「ほむらが窮地に陥った所を助けるためにまどかに契約を、と思ったのに」

QB「好意持っているほむらが攫われたのだから、まどかは二つ返事だと思ったんだけどな。不思議なものだね、人間の価値観ってのは」

QB「しかしローゼンメイデンを含めても……ほむら抜きならワルプルギスへの勝算は多く見積もっても数%程度だ」

QB「ワルプルギスを倒せるのはまどかだけ。それも、一撃で倒せるんだ」

QB「それなら、まどかも契約しない訳がない」キュップイ

QB「さやかがほむらを取り戻して、まどかはワルプルギスの夜を倒す。これで契約が一度に二つとれるってのがベストなんだけどな」

367: 2012/06/12(火) 00:48:10.04 ID:MJqWQkXj0

――ワルプルギスの前夜

まどか(結局、ほむらちゃんはワルプルギスの夜前日まで、見つからなかった……)

まどか(ローゼンメイデン総出でnのフィールドの探索が行われた。魔女の結界も探した)

まどか(だけど……。……ほむらちゃん)


マミ「さて、運命の時……対ワルプルギスの夜対策会議……イン私の家。を開催します」キリリッ

仁美「お茶ですわー」コト

マミ「おさらいするけど、ワルプルギスの夜は言わずもがな強力な魔女」

仁美「お茶ですわー」コト

マミ「あの暁美さんが気が遠くなるほど何度も挑んでも、一度も満足のいく勝利をつかめなかった」

まどか「ほむらちゃん……」

仁美「お茶ですわー」コト

368: 2012/06/12(火) 00:49:05.48 ID:MJqWQkXj0

仁美「お茶ですわー」コト

マミ「暁美さんの消息は未だにわかっていない。……経験者がいないことには不安があるけど、とにかく今ある戦力で戦わなければならない」

まどか「ほむらちゃん……」

仁美「お茶ですわー」コト

マミ「暁美さんの言う『この時間軸』こそ……ローゼンメイデンの協力がある『この時間軸』こそ……」

仁美「お茶ですわー」コト

マミ「絶対にチャルプルデスを超えるのよ!!」グッ

真紅「仁美のセリフと混ざってるわよ」

マミ「……///」

杏子(ガッツポーズで照れるマミマジマミマミ)

369: 2012/06/12(火) 00:50:05.88 ID:MJqWQkXj0
仁美「お茶ですわー」コト

マミ「……っと、配膳ありがとう。ごめんなさいね、わざわざ……」

仁美「ですわ~」

さやか「はい、マミさん。質問」

マミ「何かしら。美樹さん」

さやか「あー……その……何で仁美がいるんですか?」

仁美「…………」

さやか「い、いやいやいや、そ、そういう意味で言ったんじゃないって!ほら、その……魔法少女のことだから……あたしは素質があるけど……」

翠星石「男を取り合ったから気まずいのですね」

さやか「ちがわぁい!仁美は今もこれからも親友じゃい!」

仁美「美樹さん……」ジーン

370: 2012/06/12(火) 00:51:14.23 ID:MJqWQkXj0
マミ「親友である私をハブいて皆でお茶会なんてズルい!って、キレられちゃって……先輩なのに……」

さやか「うはぁ……」

仁美「そ、その、つい……///」

蒼星石「厳密に言えばお茶会ではないけどね」

マミ「……確かにこういった会議、今までの時間軸なら魔法少女だけ……今はいないけど暁美さんが中心になって、……今回で言えば私と佐倉さんの三人で行われてのかしらね。でも……」

まどか「ほむらちゃん……」

真紅「今回はローゼンメイデンがいる。つまり仁美もマスターという戦力ということね」

マミ「ええ。誘おうと話しかけたら、集会のことをどこで聞いていたのか……騒ぎに騒いで大変だったわ」

仁美「て、てへぺろですわ///」

金糸雀「問題があるとすれば仁美は魔法少女の素質がないから肝心のワルプルギスが見えないってことかしら」

仁美「……」

翠星石「仁美は翠星石の力の媒介になればそれでいいのですから、別に気にしなくてもいいのですよ」

371: 2012/06/12(火) 00:51:49.10 ID:MJqWQkXj0

水銀燈「……何にしてもまどかは要らないんじゃなぁい?」

翠星石「確かにチビ苺も戦力外通告ですぅ」

まどか&雛苺「うゅ……」

マミ「何を言ってるの。鹿目さんも私達の仲間なのよ。それに暁美さんは、鹿目さんは最高な存在だと語っていたじゃない。ある意味一番の当事者なのよ」

まどか「……ほむらちゃん」

さやか「まどか。ほむらの名を聞く度に反射的にナーバスになっちゃいけないよ」ポン

雛苺「ヒナはっ?ヒナはっ?」

マミ「鹿目さんと一緒にいてあげるという精神的支持という重要ポジね」

雛苺「重要……責任重大なのぉ……!」

翠星石「子守りをされるのが仕事だなんて、良いご身分ですぅ」

マミ「コホン……さて、そろそろ初めてもいいかしら?まず、出没する場所は、地図でいうとこの辺りのようね」

さやか「ああ、あの資料持ってきてたんですね……」

水銀燈「勝手に持ち出したわ」

372: 2012/06/12(火) 00:52:39.02 ID:MJqWQkXj0

マミ「時間軸がどうこうの概念は私の専門でないから何とも言えないけど、ローゼンメイデン……雪華綺晶の因果が影響して出没場所がズレる蓋然性、あると思うの」

マミ「だから当日は暁美さんが指定している場所と時間から少し余裕を持って……この辺りに三〇分ほど早く集合しましょう。勿論鹿目さん、美樹さん、志筑さん、雛苺ちゃんは避難しているのよ」

マミ「それで、ワルプルギスとの戦いについてだけど、暁美さんがいないし、私達はこの貴重な前情報はしっかり頭に叩き込む必要があるわ」

マミ「わかる情報の内、目に付くのは結界が不要な程強力ってことくらい……。ワルプルギスが出現したらまずは様子を見たいところね」

マミ「こんなことになるなら、三人で集まった時にちゃんと話しておくべきだったわね……不覚だったわね。……それから」

杏子「な~な~マ~ミ~。ワルプルギスも大事だけどさー。腹減ったよー。難しい話は飯食ってからにしようぜ」

真紅「雰囲気がぶちこわしね」

マミ「……佐倉さん食べたらすぐ眠くなるでしょう。我慢して。それで作戦の話なのだけど……」

まどか「…………(ほむらちゃん……)」

さやか「まどか……。あのさ、今は落ち込んでいる場合じゃないと思うよ」

まどか「さやかちゃん……」

仁美「鹿目さん……銀さんの契約は解けていませんようですし、暁美さんはきっとどこかで……」

まどか「……うん。そうだよね」

380: 2012/06/12(火) 23:03:34.35 ID:MJqWQkXj0



ワルプルギスの夜当日

――避難所


まどか「…………」

さやか「まどか、隣いい?」

まどか「うん……」

さやか「よっこいしょういち」

まどか「……落ち着かないね」

さやか「そうだね。……まどかはさ、どうしたい?」

まどか「どう……って?」

さやか「まどかの性格からすると、避難所を飛び出していきそうな気がしてさ」

まどか「よくわかってるね。流石さやかちゃん……」

さやか「そりゃあ、あたしの親友だもん。わからないはずがない」

まどか「…………」ギュッ

雛苺「…………」

雛苺(人前では人形のフリに徹するの……!)

さやか(何か不意にツッコミ入れたくなった)


381: 2012/06/12(火) 23:04:39.52 ID:MJqWQkXj0

さやか「あたしだって、飛び出してってしまいたいよ。マミさん、杏子、蒼星石達が戦っているんだもん」

まどか「……」

さやか「でもさ……待ってろって言われたからさ、そうするしかないんだよ」

さやか「あたしらはさ、何つーか、中途半端なんだよね」

さやか「あたしと仁美、まどかには直接魔女に立ち向かえる力なんてない。間接的にしか力になれない」

まどか「うん……」

さやか「あるとすれば……契約。だけど……」

まどか「そうだね……」

さやか「……魔法少女にはならないよ。あたし達は」

382: 2012/06/12(火) 23:05:36.22 ID:MJqWQkXj0

まどか「ほむらちゃんと約束、したもんね」

さやか「うん。……だからさ」

さやか「……待ってようよ」

まどか「……そうだね」

さやか「…………」

まどか「…………」

スック

さやか「まどか、急に立ち上がって、どこへ行くの?」

まどか「外の様子が見たくて……。それと、ヒナちゃんとも話したいから」トコトコ

さやか「そう……」

さやか「…………」

さやか「…………ごめん。まどか」スクッ


さやか「あたし……嫌な奴だよね」

さやか「待っててね。まどか」

スタスタ

383: 2012/06/12(火) 23:07:05.45 ID:MJqWQkXj0

さやか「今、行くよ。蒼星石……みんな」

「待って」


さやか「!」

仁美「……」スッ

さやか「……仁美」

仁美「……どこへ行くつもりですか?美樹さん」

さやか「あたしが行かなきゃいけないとこだよ」

仁美「巴さんから避難しているよう言われたじゃありませんか」

さやか「……そうだね」

仁美「鹿目さんに釘を刺しておいて、美樹さんは行くんですか?」

さやか「……聞いてたんだね。そうだよ。あたし、マスターだから。まどかと違うから」

仁美「……美樹さんに、もしものことがあったら」

仁美「誰が上条君を支えるのですか」

さやか「……恭介公認で、行くんだよ」

384: 2012/06/12(火) 23:08:08.18 ID:MJqWQkXj0

仁美「……!」

さやか「恭介は、あたしが何をしようとも戻ってくると信じてくれている。あたしも無事に戻れると信じてる」

さやか「だって、マミさんや杏子。ローゼンメイデンのみんながいる」

さやか「ほむらはあたしの親友なんだ。ほむらの敵はあたしの敵。蒼星石のマスターという戦力して、座っているだけじゃだめなんだ」

さやか「まどかも、あたしの親友なんだ。マスターでも魔法少女でもないまどかには、精神的にしか協力はできない」

さやか「あたしなら蒼星石の力になれる。……仁美はどうなの?」

仁美「……」

さやか「仁美は、どうなのさ」

仁美「……言うまでも」

さやか「だよね。こんなでっかいバッグこさえてさ。行く気満々だもんね」

385: 2012/06/12(火) 23:08:45.57 ID:MJqWQkXj0
――外

仁美「……か、風が嘆いてますわ」

さやか「何を言ってんの?……それより、そのバッグは……」

仁美「お父様の物を拝借しましたの。中には非常食や水筒にタオル。救急セット。護身用にスタンガンとメリケンサック。瓦礫対策にジャッキとハンマー。後は防犯ベルと十徳ナイフとトランシーバーに……」

さやか「仁美って何だったっけ」

仁美「さあ!急ぎましょう!」

さやか「あたしさ……まだ、恭介に……その、『好き』って言ってないんだ」

仁美「はい?」

さやか「恭介からは、言われたけど……あたし……実は、い、言えてなくて……///」

さやか「だ、だから、無事に戻ってきたら……言ってやるんだ!///」

仁美「何でここで俗に言う死亡フラグをお建てになるのですか!?」

仁美「……というか惚気ですか!?」

さやか「露骨な死亡フラグを建てることで逆に生存するというパターンなのだ!」サヤァ

仁美「な……なるほど!じゃあ私も……私、家に帰って……」

仁美「えーっと……うーんと……家に帰ったら…………薔薇を植えたいですわ!」

さやか「微妙!まあいいや!さあ!行こう!」


386: 2012/06/12(火) 23:09:52.60 ID:MJqWQkXj0



杏子「……くぅ!」


杏子「ワルプルギスの夜……!馬鹿みたいな強さだぜ……ちっきしょう!」

杏子「くそっ。瓦礫が足に……」グッグッ

杏子「マミ達はマミ達で戦っているのに……くそっ、抜けないっ!」グヌヌ


「お任せください!」


杏子「!?」

仁美「こんな瓦礫、持ち上げてやりますわー!」サッ

杏子「ひ、仁美っ!?どうしてここにっ……って何てもん持ってんだお前!」

仁美「ジャッキだけにジャッキーン!」ゴソゴソ

杏子「何キャラだよ!」

仁美「ですわぁぁぁぁぁぁ!!」キコキコキコキコキコキコ

さやか「杏子!今引っ張るよ!」グイッズリズリ

杏子「さ、さやか!?お、お前ら……!」

387: 2012/06/12(火) 23:10:28.27 ID:MJqWQkXj0

杏子「足は抜けたのはいいけど、お前ら……避難してろって言っただろ!無茶苦茶なやつだな!」

さやか「死線、くぐり抜けてますから」

仁美「お稽古、してますから」

杏子「何の稽古だよ」

杏子「まあいいや。どうせ帰れっつっても聞かないだろ」

仁美「ですわ」

杏子「とにかく合流すっぞ。こっちだ」

さやか「うん!」

杏子「思ったんだけどさ、さやかがあたしを引っ張る必要別になかったんじゃね?」

さやか「う……」

杏子「ありがとな!助かったぜ仁美!」

仁美「ええ!」

さやか「あたしも!」

388: 2012/06/12(火) 23:11:11.09 ID:MJqWQkXj0


――合流


マミ「あなた達!どうして……っ!」

さやか「あたし達も、マスターという戦力です!」

杏子「来ちまったもんは仕方ねえからよ」

翠星石「仁美……!えぇい、足手まといですぅ!」

仁美「むぅ……」

蒼星石「僕は……嬉しいな。やっぱり、マスターが近くにいてくれると、力が沸くよ」

さやか「蒼星石はいいこだなぁ~」ナデナデ

翠星石「ふ……ふんっ!蒼星石はこう見えて甘えんぼさんですからね!仕方ないです」

翠星石「す、翠星石は大人ですから~?ひ、仁美がいて心強いだなんて……!」ツーン

仁美「……ふふっ」

水銀燈「……チッ」

金糸雀「それじゃあ……まどかは?」

さやか「ちゃんと待機してるよう釘刺したよっ」

真紅「……ん?」

389: 2012/06/12(火) 23:12:21.52 ID:MJqWQkXj0

真紅「……ッ!」ピキーン


杏子「……ど、どうした、真紅」

真紅「雛苺が……nのフィールドに入ったわ」

さやか「ッ?!」

仁美「ええっ!?」

金糸雀「ヒナが!?」

マミ「何ですって!?」

翠星石「チビ苺が……!む、無謀ですぅ!」

390: 2012/06/12(火) 23:13:06.76 ID:MJqWQkXj0


真紅「あの子が、ということはまどかも……!」

さやか(そ、そんな……!まどか……!ど、どうして……ッ!!)クッ

QB「まどかが……?道理でどこを探してもいなかったわけだ。困ったことになったよ」ヒョイ

QB「まどかが契約をすれば、ワルプルギスを倒すのが容易になるというのに……」

QB(誤算だったな……。まどかの性格から、さやか達と一緒にここに来て……契約してくれる予定だったのに……)

真紅「杏子!貴女の力を使わせてもらうわ!」

杏子「お、おう?」

真紅「私を介して雛苺には仮契約という形になって、どこかが繋がっている……。私の力を彼女に与えるわ。その分杏子の体力は激しく消耗するけれども……」

杏子「構わねぇよ。使いな!」

391: 2012/06/12(火) 23:13:36.03 ID:MJqWQkXj0


翠星石「全く、二人が来たものだから翠星石が二人の護衛を任されちまったですぅ」

仁美「翠星石さんは優しいですから、遠慮して私の力をある程度までしか使ってくれなかったからわざわざ来たのですわ!」

翠星石「べ、別に気遣ってやったわけじゃないです!仁美が倒れちまったら胸くそ悪いだけです!」

仁美「私のこの有り余る元気が余裕の証拠ですわ!私はここにいます!さあ!だから遠慮なく使ってください!」

翠星石「ふ、ふーんだ!ですぅ!そこまで言うなら翠星石のやりたいことやってやるですぅ!」

仁美「どうぞ!」

翠星石「スィドリィィィィィィィムッ!!どおありゃぁっーー!!ですぅ!」

ズッ…ズオォォッ!!

さやか「わっ!夥しい程の蔦がっ!」

マミ「……っ!こ、これは……!」

仁美「うっ!し、静まって……私の薬指!薬指が……うずきますわっ!」

さやか「何言ってんの?」

392: 2012/06/12(火) 23:14:11.42 ID:MJqWQkXj0

ワルプルギス「アハハハハハハハハハハハハハハハ」

シュルッ ガシッ

蒼星石「翠星石の蔦でワルプルギスの首を掴んだ!」

マミ「……みんな!作戦通り一斉攻撃を仕掛けるわよ!タイミングは今!翠星石ちゃんが作ってくれたチャンスよ!」

蒼星石「……と、いうわけで近接専門の杏子と僕は魔女が一時的に動きを固定されている内に直接攻撃を仕掛けよう」

杏子「おう。あたしの背中に乗りな」

真紅「貴女は雛苺の分も力を使っているのよ。無茶しないようにね」

杏子「言うまでもないな。それよか、援護頼む」

さやか「杏子!気をつけて!」

杏子「おう!」


393: 2012/06/12(火) 23:14:59.39 ID:MJqWQkXj0

使い魔「~~~」

さやか「うおっ!危ない!」

ズシャッ

真紅「ローズテイル……。翠星石。二人を守ることにも集中して!」

翠星石「ぐ……情けないとこ見せちまったですね」

翠星石「魔女の固定と仁美とさやかの護衛は翠星石の領分、責任は取るですよ!」

水銀燈「行ってきまぁす」バサッ

真紅「貴女も力量は程々にするのよ」

水銀燈「フン」プイッ

394: 2012/06/12(火) 23:15:49.29 ID:MJqWQkXj0


杏子「――よしっ!ワルプルギスに一点集中!」

杏子「オラァッ!」ザンッ

蒼星石「シャルフェ・シェーレン!(要するに連続斬り)」ズシャシャッ

杏子「マミの悪い影響を受けちまったな」

蒼星石(ゲ、ゲームでの技名なのに……。あ、もちろんアリスゲームという意味だよ。……あれ?僕は何を言っているんだ)

水銀燈「退きなさぁい!」

杏子「おっと、蒼星石っ」ガッシ

蒼星石「うん」ガシッ

水銀燈「羽攻撃」ズアッ

杏子「うわっ、それはそれで無いわ」

真紅「ローズテイル!」バッシィ

蒼星石「真紅はブレないね」


395: 2012/06/12(火) 23:16:27.49 ID:MJqWQkXj0

マミ「佐倉さんと蒼星石ちゃんの二人が攻撃して、真紅ちゃんと銀ちゃんの遠距離攻撃をした後に……私達が……」

パアッ

さやか「わー何だー。マミさんのマスケット銃の銃口が大きくなったー。これはまるで、キャノン砲だー(棒読み)」

マミ「行くわよ!『カノン・ザ・カノン』ッ!」

金糸雀「説明しよう!カノン・ザ・カノン(KTK)とは、マミのマスケット中の巨大化と、カナの技『追撃のカノン』とのコラボ技!」

金糸雀「ピチカートによる音波がマミの砲弾……いいえ、銃弾に纏わることで弾丸をカバーするできるのかしら!」

金糸雀「そうすることで音波と銃弾の一発で二度おいしい二段攻撃が可能!弾道の付近にいる使い魔を吹き飛ばしながら突っ込むわ!」

金糸雀「ちなみにカノンは英語だと"canon"という綴りだけどドイツ語表記"kanon"の方を採用したため略称はKTKになるかしら!」

396: 2012/06/12(火) 23:17:05.95 ID:MJqWQkXj0

マミ「追走曲と言う意味のカノンとカノン砲をかけてみました!」

金糸雀「本当はもっとわけのわからない名前だったけどカナが舌を噛んで言えないものだからシンプルな名前にしてもらったかしら!」

マミ「わけのわからないって……そんなぁ……」


ドッガァァァァン.....


仁美「な、何だかよくわかりませんが、やったのですか!?」

さやか「やったか!?はやってないフラグだ!」

ワルプルギス「アハハハハハハハ」

ピキッ

397: 2012/06/12(火) 23:17:51.21 ID:MJqWQkXj0

マミ「そんな……嘘でしょ?」

マミ「全員の全力の一撃を同じ場所に受けて……魔女には無傷……」ワナワナ

仁美「双眼鏡がありますわ」サッ

マミ「……」スッ

マミ「……ヒビがたった一つだけついただけだなんて!」ワナワナ


杏子「――戻ったぜ……どうやら手応えはなしってとこか……」トンッ

水銀燈「やってらんないわぁ」ファサ

蒼星石「そ、そんな……」

金糸雀「あのKTKが効かないだなんて……!」

翠星石「うぅ、魔女の首に巻いた蔦が解けるですぅ……」

仁美「は、はふぅ……」ヘタッ

真紅「……待って、魔女の様子がおかしいわ」

さやか「え?」

ワルプルギス「アハハハハハ…ハハ……フ……ウフ……」

398: 2012/06/12(火) 23:19:00.21 ID:MJqWQkXj0

ワルプルギス「ウフフフフフ…ウフフフフフフフフフ」

蒼星石「魔女の鳴き声が変わった……?それにこの声……!」

さやか「雪華綺晶の声が合成されたような声色だ……」

杏子「また雪華綺晶か」

真紅「雪華綺晶のワルプルギスへの侵食が進んでいるわ」

さやか「し、侵食ゥ!?」

真紅「雪華綺晶は、魔女を取り込める。でもまさか……こんな強力な魔女まで……」

水銀燈「ワルプスギルは既に雪華綺晶の物となった。ということかしらね」

QB「もしそうならほむらも雪華綺晶、あるいはワルプルギスに取り込まれたのかもしれないね。もしくは魔女に――」

マミ「不吉なこと言わないで!」

さやか「急に喋ったと思ったらなに言ってやがんだ!キック!キック!」ゲシゲシ

QB「やめてよ」

水銀燈「私はほむらと契約しているのよ。契約主が死ねば契約生死くらいわかるわ。つまり、少なくともほむらは生きているわ」

399: 2012/06/12(火) 23:23:00.56 ID:MJqWQkXj0


――避難所

まどか「……」

雛苺「すごい強風なの……」

まどか「ヒナちゃん」

雛苺「なぁに?」

まどか「わたし……どうすればいいのかな」

雛苺「……う?」

まどか「いてもたっても、いられないよ……」

雛苺「みんなを信じて待つ。それが一番だと思うのよぉ」

まどか「……うん。でも……」


400: 2012/06/12(火) 23:23:33.42 ID:MJqWQkXj0


詢子「はぁ、こんなとこにいたか」

まどか「あ、ママ」

詢子「ヒナちゃん……だっけ?この子」

まどか「うん」

詢子「お友達からの預かり物なんだってね。それを持って、何やってんだい」

まどか「……ボーっとしてた」

詢子「そうか。なら、よし」

401: 2012/06/12(火) 23:24:10.61 ID:MJqWQkXj0


まどか「ねえ……ママ」

まどか「もし、何の力を持たないドジでのろまな女の子に、特別な力を持ってるお友達がいるとして」

まどか「その友達が世界を脅かす悪い敵と戦ってる間、戦いのことを知っていて、待機してるその女の子は……どうすればいいと思う?」

詢子「なんだそれ?なんかのアニメ?」

まどか「……」

詢子「……そうだな。何もできないのに何かデタラメに理由付けて無鉄砲に突っ込み、襲われそうになった所をその友達に庇われるって……のがそういう筋ではお約束の展開だな」

まどか「……だね」

詢子「だが、気持ちはわかるよ」

まどか「……」


402: 2012/06/12(火) 23:24:48.47 ID:MJqWQkXj0


詢子「さ、こんなとこにいたって体が冷えるよ。さっさと戻んな」

まどか「……もう少し」

詢子「そうかい……」

まどか「…………ハァ」

詢子「……ん?何か落ちてる」

詢子「……花びらか?何でこんなとこに」

まどか「……花びら?」

詢子「こりゃ、薔薇の花びらだな。白薔薇」

まどか「ッ!」

403: 2012/06/12(火) 23:25:42.58 ID:MJqWQkXj0

まどか「白薔薇……」

まどか「わたしを、誘っているの?雪華綺晶……あれ?」

ユラ…

まどか「……?」

まどか「ま、窓が……?」

雛苺「ま、まどか……?」

まどか「これは……nのフィールド……」

雛苺「!」

まどか「…………ヒナちゃん」

404: 2012/06/12(火) 23:26:35.20 ID:MJqWQkXj0


雛苺「あ!危ないのよっ!」

まどか「……ダメ。我慢……できないよ。お願いヒナちゃん……!わたしに力を貸して……!」

雛苺「で、でもぉ」

まどか「お願い……!」

雛苺「うゅ……ほむほむ……」

雛苺「……わかったの!」

まどか「ヒナちゃん!」

雛苺「これがヒナの役目なの」

まどか「え?」

雛苺「何でもないの。さっ、行こっ!」

ズ…

405: 2012/06/12(火) 23:27:15.30 ID:MJqWQkXj0

――nのフィールド


まどか「窓からも入れるんだね……」

雛苺「うい。nのフィールドの入り口はね、映る物なのよ。鏡、水面、瞳、そして……窓」

「その通り」

雛苺「ラプラスの魔!」

まどか「あ……」

ラプラスの魔「また会いましたね。失せ物ですか?お嬢さん」

まどか「えっと……人を捜してるんです……」

ラプラスの魔「今度は迷い人ですか」

まどか「は、はい……」

雛苺「……ヒナ、ラプラスの魔は苦手なの」

ラプラスの魔「おやおやおや、第六ドール。無事に届いていたのですね。よかった、よかった」

まどか「……おかげさまで」


406: 2012/06/12(火) 23:29:56.53 ID:MJqWQkXj0


ラプラスの魔「また会ったのも何がのご縁。またお伽噺でも」

まどか「いえ、結構です。もうたくさん聞きましたから」

ラプラスの魔「おやおやおや、また振られてしまった。四回中三名。この世界に入っただけで三人に断られましたよ」

まどか「四回中三人……?」

ラプラスの魔「ええ。白いお方と、お嬢さんが二回目、そして時の少女……」

まどか「時……ほ、ほむらちゃんが!?」

雛苺「案内して!」

ラプラスの魔「ええ」


407: 2012/06/12(火) 23:30:32.68 ID:MJqWQkXj0

――雪華綺晶の世界


ラプラスの魔「こちらです。では、私はこれにて……」ヒョイ

まどか「えっ」

雛苺「うゅ……消えちゃったの」

まどか「……こ、ここが、雪華綺晶の……世界……?」

まどか「もしそうなら、ここにほむらちゃんがいる、誘い込まれたはず……」

雛苺「うぃ、雪華綺晶の世界……緊張するの!」

まどか「ん?」コツン

まどか「あれ……何か落ちてる……」チラッ


まどか「え!?こ、これって……グリーフシード?!」

雛苺「ぐりぃふ……?」

まどか「……まさか!」ダッ

雛苺「ああっ!待って!一人で行っちゃ危ないのぉ!」トテテ


408: 2012/06/12(火) 23:34:17.73 ID:MJqWQkXj0

まどか「あそこにも真っ黒なグリーフシードが……!」

まどか「ハァ……ハァ……」タッタッタッ

まどか「……あ!」

まどか「あそこにいるのは……!?」

雛苺「うぃ!」

まどか「ほむらちゃん……だよね?」テクテク

まどか「間違いない……ほむらちゃんだ」フラフラ


ほむら「…………」

まどか「ほむらちゃんが……あの茨に巻き付かれてる……」

まどか「だけど……いつものほむらちゃんじゃない……」

409: 2012/06/12(火) 23:35:18.17 ID:MJqWQkXj0

まどか「メガネをかけてるし、おさげだよ……?どうして?」

ほむら「…………」


雛苺「この姿は、きっとほむほむの、ほむほむ自身のイメージなの」

雛苺「nのフィールドでは人の姿はその人自身の、心のイメージがとーえー(投影)されるのよ」

まどか「ほむらちゃんの……イメージ……?」

雛苺「ほむほむの心の中では、ほむほむという人間はこういう姿をしているということなの」

まどか(もしかして……このほむらちゃんが、最初の時間軸の、魔法少女の私と出会ったほむらちゃん……ってことなのかな)


410: 2012/06/12(火) 23:35:49.91 ID:MJqWQkXj0

まどか「あっ!?」

ほむら「」

まどか「よ、よく見たらほむらちゃんの周りにも使用済みのグリーフシードがごろごろ転がってる……」

まどか「ま、まさか……!」

まどか「ほむらちゃん!!」バッ

ほむら「…………スゥ」

まどか「……すう?」


411: 2012/06/12(火) 23:36:35.90 ID:MJqWQkXj0


まどか「な、なんだ。よかった……寝てるだけみたい」

まどか「うぅ……でもほむらちゃんのほっぺにこんなに涙の跡が……」ジワッ

雛苺「きっとずっと独りぼっちでここにいたのよぅ……」

まどか「そう……ほむらちゃん。ここで、ずっと一人で戦ってたんだね……」

まどか「雪華綺晶の茨がからみついて……痛かっただろうね。寂しかったんだろうねほむらちゃん……」

まどか「今、茨を解いて……」ソッ

チクッ

『――――!』


まどか「ヒッ!?」ゾワッ


412: 2012/06/12(火) 23:37:53.78 ID:MJqWQkXj0

雛苺「?!」


まどか「え……なに?今の……」ソッ

チクッ

『~~!~~!~~!~~!』

まどか「――っ!?」ゾクッ


まどか「い、いやぁッ!」バッ

雛苺「!?」

まどか「はあ……はあ……」

雛苺「ど、どうしたの……?」

まどか「…………」

413: 2012/06/12(火) 23:38:26.24 ID:MJqWQkXj0

まどか「おめかし、武旦、人魚、針……」ブツブツ


雛苺「ま、まどか?」

まどか「今のってもしかして……わたし達……?……そうだ。今のは、わたしの知らないわたし達……」ブツブツ

雛苺「ねえどうしたの?」

まどか「茨に触れたら……何か、映像のようなものが頭に流れ込んだの……」

雛苺「うぃ……?」

まどか「もしかしたら……ううん。これは、間違いなくほむらちゃんの記憶……!」

まどか「ほむらちゃんがこれまでの時間軸で見てきた……辛い、記憶……!」ジワッ

まどか「きっと、この茨は……ほむらちゃんの記憶を……呼び起こす……!」

雛苺「あ、あう……」

414: 2012/06/12(火) 23:43:00.05 ID:MJqWQkXj0

雛苺(えっと……雪華綺晶は、ほむほむを捕らえて、苛めて、何をしてたの……?)

雛苺(ほむほむを泣かせる意味はあったの?どうして?)

雛苺(水銀燈が言ってたけど……雪華綺晶は、この世界のループを解除するためにほむほむを……)

まどか「ほむらちゃんは、ずっと、こんなに怖い目に遭いながら……辛い目に遭いながら……わたしを守ろうと……」プルプル

まどか「それに……ず、ずっとここにいて、辛い思い出とずっと一人で戦ってたんだよね……!ほむらちゃん……グス」ポロポロ

まどか「絶望するとソウルジェムが濁る……こんなにたくさんの澱んだグリーフシードが転がってるんだもん!そうなんだよね!」シクシク

雛苺「まどかっ!落ち着いてっ」

まどか「今助けるから!待ってて!今!茨を解くからね!!」ガバッ!

ブチッ

まどか「うぅっ……!」ゾワッ

雛苺(そんなの……許せないの……!)グッ

415: 2012/06/12(火) 23:43:48.70 ID:MJqWQkXj0

――――。

 ほむら『鹿目さん……!!うぅっ……!』

まどか「わたしのソウルジェムを……撃って……うぅ」ブチッ

 マミ『ソウルジェムが魔女を産むなら、みんな死ぬしかないじゃない!』

まどか「マ、マミさん……!そんな自暴自棄になっちゃ……!」ブチッブチッ…

 まどか『ほむらちゃんがさやかちゃんの代わりに死んじゃえばよかったのに……』

まどか「これはいつの時間軸のわたしなの……?何でこんなひどいこと……!」ブチブチッ

 杏子『あたし、魔女になるわ……。悪ぃな……最期まで迷惑かけちまって』

まどか「杏子ちゃん……!そんなのって……!」ギゥ…

 仁美『この増えるワカメ一袋、丸飲みしたら許してさしあげますわ。暁美さん?』

まどか「そんな……!仁美ちゃんまで……!!」ブチチッ

 さやか『バストがアップした!』

まどか「やっちゃったねさやかちゃん」プチッ


416: 2012/06/12(火) 23:44:50.59 ID:MJqWQkXj0

雛苺「まどかぁ……」オロオロ

まどか「はぁ……はぁ……ち、血が……」ポタポタ

雛苺「まどかぁっ!もうやめてぇっ!」ポロポロ

まどか「う、ううぅ……涙が……止まんないよぉ……」ポロポロ

雛苺「これ以上は……ダメなの。まどか……。まどかが壊れちゃうわ……」

まどか「ひぐっ、えぐっ……ヒナちゃぁん……」

まどか「ごめんね……でも、わたしが……うぐっ……ほむらちゃんを救わないと……」ブチッ…ブチッ…

まどか「今度は私が……ほむらちゃんを……ほむらちゃぁん」バリバリ


417: 2012/06/12(火) 23:45:43.07 ID:MJqWQkXj0

まどか「ごめんね……ほむらちゃん……私なんかのせいで……こんな辛い思いを……うぅ……」ギリッ…

雛苺「うぅ……ヒ、ヒナも切るのっ!」

雛苺「……うゆッ?!」ゾクッ

バッ

雛苺「う、うぅ」キッ

まどか「……ヒナちゃん?」クルッ

まどか「……ッ!?」

 「嬉しいわ……」

雛苺「う……ぅ……!」タジッ


418: 2012/06/12(火) 23:47:44.54 ID:MJqWQkXj0

雪華綺晶「マスター……私を迎えに来てくださったのですね……嬉しい」

まどか「き、きらき……!」

雛苺「まどか!茨を解いてて!ヒナが雪華綺晶を止めるの!」

まどか「ヒ、ヒナちゃ……」

雛苺「早く!」グッ

雪華綺晶「私が逃がして自由となったヒバリが……再び蜘蛛の巣に墜ちてしまったのね」

雪華綺晶「貴女の……いえ、私の体は……この世界にはないのですよ……。何が故に戦おうとおっしゃるの?」

雛苺「ヒナはヒナの体を取り戻したくて戦うんじゃないのよ!それは、あなたにはわからないわ!」

雛苺「ヒナは……私は、気高く誇り咲く第六ドール、雛苺!大切な人の、絆のために……っ!」

雛苺「戦うのよッ!ベリーベルッ!」バッ

ズオッ

雪華綺晶「苺轍……あぁ、嘆かわしいわ……今にも枯れてしまいそう」シュルッ

419: 2012/06/12(火) 23:48:30.83 ID:MJqWQkXj0

雛苺「ええい!やあ!」

雪華綺晶「…………」スッ

雛苺「きゃあ!」ギュウッ

雛苺「うゅ……締め付けられる……!」ギリリ


まどか「はぁ……はぁ……やっと……ほどけた……うぅ」メソメソ

まどか「ほむらちゃん……ほむらちゃぁん……」エグエグ


雪華綺晶「雛苺……私をマスターの所へ行かせて……」ギリリ

雛苺「ぐ、ぐるぢ……」プルプル

420: 2012/06/12(火) 23:49:15.80 ID:MJqWQkXj0


雛苺(……だ、だめ!ヒナの力じゃ……雪華綺晶には……)

雪華綺晶「どいてください」

バシィッ

雛苺「きゃあッ!」ドガッ

ズサッ

雛苺「くぅ……」

雛苺(し、真紅から力を貰っても……これじゃあ……!)

まどか「ほむらちゃん……起きてよぉ……このままだとヒナちゃんが……!」ユサユサ

ほむら「……」

シュルッ

421: 2012/06/12(火) 23:50:23.96 ID:MJqWQkXj0

ギュッ

まどか「あっ!」ギギゥ…

雪華綺晶「捕まえましたわ。マスター……」

まどか「う、うぅ……!」ギリリ…

雪華綺晶「さあ、私のもとへ……」チョイ

まどか「やぁっ!う、腕に茨が!」

まどか「ほ、ほむらちゃ……!」ググッ

まどか「だ、ダメっ……引きずられる……っ!」ズズッ

雪華綺晶「……さあ、私と契約しましょう……マスター」

雛苺「う……だ、だめな……のぉ!」シュルル

ギュッ グイッ

422: 2012/06/12(火) 23:50:55.07 ID:MJqWQkXj0


雪華綺晶「離して。苺轍……」

グイグイ

雛苺「嫌なのぉ……!」

グイグイ

まどか「ひ、引っ張られるぅ……!」ギュー


雪華綺晶「翠のお姉様が話してたわ……こういう時は……互いに引っ張り合って……」

雪華綺晶「左腕を引きちぎった方が勝ち……!」

まどか「ひぃっ?!」

雛苺「う、うゅぃ……ま、まどかを……助け……るの……!」フラフラ

雛苺「絶対に……」クラッ

雛苺「――絶対に守るんだからあッ!!」グッ




ほむら「…………マモ……ル」


423: 2012/06/12(火) 23:51:27.64 ID:MJqWQkXj0

雪華綺晶「離して……。マスターが痛がっていらっしゃる」

雛苺「いや……な……の……!」グググッ

雪華綺晶「いけませんわ」ブァッ

バシィッ

雛苺「うにゃあ――――ッ!」

雪華綺晶「捕まえましたわ。茨を全身に巻き付けちゃいましょう。逃げられないように……」シュルッ

まどか「ひ、ヒナ……ちゃ……!ほむ……らちゃ……!」ギリギリギリ

雛苺「あ、あうぅ……!」バタッ



ほむら「鹿目さんに……守られる……私じゃ……なくて……」ポツリ


424: 2012/06/12(火) 23:52:12.22 ID:MJqWQkXj0

まどか「うっ、くぅ……!」

雪華綺晶「さあ、マスター……口づけを……」ペロッ

まどか「く、口の中から指輪を……!」

雪華綺晶「いつかの夢のように、今度は私がさせてあげますわ」

雪華綺晶「私と、契約して、私の物になって下さい……」スッ

まどか「……ッ!」ゾッ

まどか(そ、そんな……まさか、キ、キスするつもり!?指輪と唇に触れさせるために……!色んな意味で嫌……!)

雛苺「だめ……なの……だめぇ……よぉ……ヒナが……まどかを守るのぉ……」プルプル



ほむら「鹿目さん……を……守る……私……」

パチッ

425: 2012/06/12(火) 23:52:58.82 ID:MJqWQkXj0


ほむら「ハッ……!?……こ、ここは?」

ほむら「……私、眠っていたの?……どうして?」

ほむら「……そ、そうだ!ここは雪華綺晶の世界で、私は……」


まどか「やめてェッ!!」


ほむら「ッ?!」

ほむら「か、鹿目さんっ!?」スクッ

ほむら「あ、あれ……?あの茨が、解けてる……?」

ほむら「鹿目さん……?雛苺ちゃん……?」フラッ

ほむら「それに……あの夢は……なんだったんだろ……」

426: 2012/06/12(火) 23:53:34.42 ID:MJqWQkXj0


雪華綺晶「さあマスター……私と契約してください」ソッ…

まどか「いやっ!!離して!!やめてぇっ!!」ジタバタ

ほむら「か、鹿目さん……!た、助けくちゃ……!」

雪華綺晶「……貴女の力があれば……私はアリスになれる……本物になれる……」

まどか「ぐっ……くっ……う……」ギリギリ…

雛苺「ハァ……ハァ……あうぅ……!」シュル…

雪華綺晶「……嗚呼、可哀想な雛苺。こんなに力弱く私を縛るなんて……愛おしささえ感じてしまいますわ」


427: 2012/06/12(火) 23:54:11.56 ID:MJqWQkXj0


ほむら「鹿目さん……いえ、まどか……!」フラ…フラ…

ほむら(この眼鏡は……今はいらない……!)カチャ

ほむら(おさげも……解けていい)バサッ

ほむら(そう……)

ほむら(私は……!)


ほむら「私は……!」


カチッ

ほむら(私は、まどかを守る私!)


428: 2012/06/12(火) 23:54:40.95 ID:MJqWQkXj0

雪華綺晶「……?……マス……タァ……?……消え……た?」

まどか「……ハッ!?」

ほむら「…………」

まどか「ほ、ほむらちゃんッ!」

雛苺「ほむほむぅっ!」

ほむら「ただいま。……まどか。雛苺」ギュッ

雪華綺晶「!」

まどか「ほむらちゃん……!」

429: 2012/06/12(火) 23:56:49.52 ID:MJqWQkXj0


まどか「……あれ?メガネとおさげじゃ、なくなってるんだね」

ほむら「そうよ。これが……まどかを守るために幾多の時間を過ごした私」

ほむら「強くなった私」

ほむら「……心が今に追いついたとでも言おうかしら」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「ありがとう……茨を……私の悪夢を取り払ってくれて……」

ほむら「手が……こんな傷だらけになるほどに……辛かったでしょう……?」ジワッ

まどか「ウェヒヒ……これくらいの傷。なんてことないよ。ほむらちゃんこそ……あんなに辛い思いしてたんだもの」

まどか「ほむらちゃんへの恩返しだよ……でも私には、もっともっと、もっともっとっ。全然返しきれないくらいの恩があるけどね」ニコ

ほむら「まどか……っ」

430: 2012/06/12(火) 23:57:27.58 ID:MJqWQkXj0

雪華綺晶「マスター……行かないで……マスターを返してください……!」フラフラ

雛苺「ダメなの!通さないのー!」シュルシュル

雪華綺晶「やめて、雛苺……!」ギリギリ

雛苺「ほむほむっ。ヒ、ヒナの……ヒナのはっ……?」

ほむら「ええ。大丈夫よ。雛苺」

まどか「?」

ほむら「……まどか!」ギュッ

まどか「ほ、ほむらちゃん……?わたしの手を握って……何を……?」マドマド

ほむら「契約して!」

まどか「えっ?」


――外

QB「」ガタッ

さやか「なにしてんの?」

QB「いや、何かに突き動かされた気がして」

431: 2012/06/12(火) 23:59:14.72 ID:MJqWQkXj0

まどか「けい、やく……?」

雪華綺晶「…………まあ」

雪華綺晶「嬉しいですわ……私との契約を祝福してくださるのね」

ほむら「…………これよ」スッ

まどか「え……これって、ゆ、指輪?」

ほむら「そう。これは……『雛苺の指輪』よ」

雪華綺晶「!?」

まどか「ええッ!?な、何で……?ヒ、ヒナちゃんは……」

雪華綺晶「ダメ!やめて!私のマスターを取らないで!」ブアッ

バシィ

雛苺「雪華綺晶!二人のとこへ行っちゃだめなの!ヒナが相手なのよォォ!ぐぬぬぅ……!」プルプル

432: 2012/06/12(火) 23:59:51.81 ID:MJqWQkXj0


ほむら「まどか!説明してる暇はないわ!さあ、嵌めて」サッ

まどか「……あ、あのね?」

ほむら「何!?まどか!まさかケガが……」

まどか「ほ、ほむらちゃんに嵌めてもらえたら、嬉しいなって……///」ポリポリ

ほむら「まどか!遊んでる場合ではないわ!雛苺が……!急がなきゃ!」

まどか「だ、だよね……ごめん。何でもないよ」シュン

ほむら「……もうっ。仕方ないわね。ほら、手を」

ギュッ

まどか「あっ///」

カチッ

433: 2012/06/13(水) 00:00:32.73 ID:nSencqOu0

ほむら「私とまどか以外が止まった世界」

まどか「あ、ありがと……。ごめんね。こんな時にわがまま言って」

ほむら「いいわよ。あなたのおかげで緊張が解けたわ。……それじゃあ、嵌めるわよ」

まどか「ウェヒヒ……何だか、結婚指輪みたいだな……って///」

ほむら「ふふ。そうね……。それじゃ……コホン」

ほむら「健やかなる時も、病める時も……この命ある限り、私、暁美ほむらはあなたを守ります」

まどか「」ドキッ

ほむら「どんな壁があっても……どんな辛いことがあっても……。暁美ほむらはいつまでも、鹿目まどかの最高の友達でいることを誓います」

スッ…

まどか「うん……!」コクッ

まどか(……友達、なんだね)

…………。

434: 2012/06/13(水) 00:01:32.53 ID:nSencqOu0

――外


杏子「」アーメン

翠星石「お祈りみたいなポーズして何をしてるですか?」

杏子「あれ?いつの間に……。何かしなきゃいけない気がして」

マミ「そうね……三人の無事を祈りましょう。それよりも今は……」

杏子「ああ……ワルプルギス、いや、雪華綺晶の様子がおかしいしな……」

ワルプルギス「………………」

杏子「急に黙り込みやがって……何があったってんだよ」

蒼星石「使い魔も出てこないし……」

真紅「……雪華綺晶が立て込んでいるようね」

仁美「動きがあるまで休憩ですわね」

さやか「当の魔女が見えないもんだから仁美の緊張感がやばい」

水銀燈「…………」

435: 2012/06/13(水) 00:02:44.08 ID:nSencqOu0

――雪華綺晶の世界

雪華綺晶「……あ、ああ……あああ……!マスター……!その指輪は……!」

雛苺「……まどか」

雪華綺晶「ひどい……ひどいわ。マスター……。私のマスター……。どうしてそんなひどいことを……」メソメソ

雪華綺晶「貴女は私の指輪を嵌めるべきなのです!考え直してください!」ポロポロ

まどか「……わたしは、あなたのマスターじゃないよ!」

ほむら「まどか!」

雛苺「まどか!」

まどか「うん!」ソッ

雪華綺晶「やめて――!」


チュッ

436: 2012/06/13(水) 00:03:38.30 ID:nSencqOu0

カッ!


まどか「わっ、ゆ、指輪が光って……!」

雛苺「う……うゅ……うゅ~……!」プルプル

ほむら「ひ、雛苺……?」

雪華綺晶「口惜しい。口惜しい。口惜しいぃ――っ!!」ブアッ

まどか「茨!」

雛苺「う……うにゅ――――――――ッ!!」

バシュゥ――!


437: 2012/06/13(水) 00:04:12.37 ID:nSencqOu0


ズオッ

ほむら「な……何なの!?この夥しい程の……苺轍……!」

雪華綺晶「!?――私の茨が圧倒され――」

シュルシュルシュルシュルシュル

まどか(あ、熱い……!指輪が……!こ、これが、これがマスターの力っ――!?)

ほむら「すごい……!雪華綺晶の世界が一瞬でこんな……苺畑のようっ……!」

雪華綺晶「いやっ――!やめて――!私の友達まで奪わないで――!」

ほむら(――友達?)

雛苺「気が高まるぅ……溢れるぅ……」プルプル

まどか「ひ、ヒナちゃんちょっと怖い……」


438: 2012/06/13(水) 00:04:58.43 ID:nSencqOu0

――外


ワルプルギス「………………イヤッ………………ヤメテ」

マミ「ワルプルギスが喋ったわ!?」

翠星石「あの声は……雪華綺晶です!」

真紅「……契約したわ」

蒼星石「え!?」

真紅「雛苺が……まどかと契約したのだわ……!」

QB「!」

ワルプルギス「イヤァァァァァァァァ……!!」

ボコォッ!

シュシュルシルシルシルシル

439: 2012/06/13(水) 00:05:55.42 ID:nSencqOu0


さやか「な……なんだありゃあ!?ワルプスギルから何か出てきたよ!?」

蒼星石「集中攻撃をした所が割れた……!」

真紅「あれは苺轍だわ!」

金糸雀「苺轍が……あの大きなワルプルギス全体にまとわりついてるかしら!!」

杏子(う……魔女から植物、デジャブじゃねぇか……)

マミ「それじゃあ……鹿目さんと雛苺ちゃんは……魔女の体内にいるということ!?」

QB「……そうなるね」

マミ「ということは、きっと暁美さんも……!」

440: 2012/06/13(水) 00:06:27.14 ID:nSencqOu0


水銀燈「それよりも真紅!契約したってどういうことよ!雛苺の指輪はないんじゃなかったの!?」

真紅「私がわかるわけないでしょう!?とにかく、そういうことなのよ……!」

真紅「何故か、ないはずの雛苺の指輪があって、事実契約されたのよ!」

水銀燈「……何てこと。でも、雛苺にこんな力がある訳がない。限度ってもんがあるわ」

QB「まどかの因果の力を考慮すれば妥当じゃないかな」

真紅「因果?」

QB「まどかには、ほむらの度重なるループの影響で幾多に飛散する運命、因果が集約している」


441: 2012/06/13(水) 00:07:47.42 ID:nSencqOu0


QB「ほむらが何度も繰り返した時間軸での全ての出来事が記憶として蓄積しているように、まどかにも因果が蓄積されていて……それはワルプルギスを一撃で倒せるだけでなく、どんな途方もない願いも叶えることができるのさ」

QB「だからまどかには素質があると言ったんだ。僕はその力で魔法少女になってほしかったんだ」

QB「でもまさか、まどかまで行方不明になるなんて……ましてやワルプルギスの中に行くだなんて思わなかったよ」

さやか「……ワルプルギスを理由にしてまどかと契約させるつもりだったってことなのね」

翠星石「つくづく反吐が出るです」

QB「それがローゼンメイデンにも適応されるとは一ミリも想像しなかったけどね」

水銀燈(まどかにそんな力があったのね……。だから末妹は……)

真紅(……そういうことなのね)


442: 2012/06/13(水) 00:08:55.24 ID:nSencqOu0


水銀燈「真紅。わかったわ……。雪華綺晶がボディを捨ててここに来た理由」ヒソヒソ

真紅「奇遇ね。私も雛苺がこの世界に送られてきた理由がわかったわ」ヒソ

真紅「互いの意見を合わせましょう。今は二人だけの内緒よ」

水銀燈「そうね。じゃ、私から」


水銀燈「雪華綺晶は、何らかの偶然でこの世界を発見して、まどかのエネルギーに注目した」

水銀燈「しかしその力は見ての通り余りにも強力で『本物のローゼンメイデンのボディを持ってしても耐えられない』と、末妹は踏んだ」

水銀燈「だからアストラル体でこの世界にやってきたのよ。実体がなければ、エネルギーが飽和しないから。そして、そのまま元の世界に持ち帰るつもりだった」

水銀燈「元の世界、雪華綺晶の本拠地でなら何とでも料理できるからね」

水銀燈「ほむらを餌にして、まどかを誘い込み、その後ほむらを魔女にするなりして世界のループを解除したい。ということ」

真紅「……成る程。それじゃ、それを踏まえて私の意見」

443: 2012/06/13(水) 00:09:46.00 ID:nSencqOu0


真紅「ジュン達が何らかの方法でそのことを突き止めた。恐らく強大な敵――魔女のことも。だから雛苺のレプリカを送ったのよ」

真紅「雛苺にまどかと契約させることで、ワルプルギスに立ち向かう力を託したのだわ」

真紅「仮に私達の誰がまどかと契約しても、力量を誤れば私達のボディも破損してしまう。……だから」


水銀燈「雛苺のレプリカは使い捨てってことね」

真紅「言い方を……考えなさい。……そうよ。レプリカのボディは破損前提なのよ……ワルプルギスを倒す、ために……」クッ

真紅「背に腹は変えられないのだわ……。この世界から抜け出すための門番を倒すためには……」

水銀燈「そうね。超えてやりましょう。……でも、もしもダメだったら私はほむらを見捨ててでも元の世界に帰るから」

真紅「もしも、なんてありえないわ」

444: 2012/06/13(水) 00:10:50.09 ID:nSencqOu0

仁美「あ、あ、あわわ……」ガクガク

マミ「あ……志筑さんには魔女が見えないから苺轍の塊が何かに巻き付いて浮いてるように見えているのよね……」

仁美「芸術的ですわ……」ウットリ

杏子「あっそう……」

翠星石「これで中にいるであろう雪華綺晶も見えれば儲けもんだったですがねぇ」

蒼星石「仕方ないよ」


QB(まどかに集約された時間軸の因果、強力なエネルギーが雛苺に流れ込んでしまっているということかい……?)

QB(折角のエネルギーが、苺轍なんかに消化されているとでも言うのかい?)

QB(何ということをしてくれるんだい……。全く。迷惑もいいとこだよ)キュップイ

QB(まどかならワルプルギスを一撃で倒せる。……そう見込んだだけあって、ものすごい力を苺轍から感じ取れるよ。流石はまどか)

QB「何にしても、ワルプルギスを倒せさえすればまずよしとしよう」


445: 2012/06/13(水) 00:11:50.20 ID:nSencqOu0


使い魔「ウフ…フフフ」


蒼星石「使い魔がまた出てきたよ!」

マミ「さっきと違って少し動きがぎこちないわね」

杏子「弱っているんだな。だが、何故ここで使い魔を……」


水銀燈「これはチャンスよ……!」

仁美「え?」

水銀燈「苺轍が魔女の中からということは……外から魔女の体内に入ることができるということ。しかも今は苺轍によって魔女が固定されているわ」

金糸雀「じゃあ、使い魔がまた現れたのは……」

真紅「外敵の侵入を防ぎたい、ということね」


446: 2012/06/13(水) 00:12:20.11 ID:nSencqOu0

マミ「体内……確かに、あれだけ攻めても傷一つだったくらいの頑丈っぷりだったけど……内部からならダメージを与えられるかもしれないわね」

さやか「それになにより!まどか達と合流できるってこと!」

真紅「魔女の体内に入って雪華綺晶を倒せれば……!」

翠星石「取り入れられた魔女も同時に倒せる。あるいは……」

蒼星石「無力化ができるのかもしれないね」

金糸雀「雪華綺晶を相手にするなら、真紅が行くべきかしら。そして、そのマスターの杏子」

杏子「それは……ちょいとキツイかな」

真紅「杏子……?」


447: 2012/06/13(水) 00:13:10.15 ID:nSencqOu0

杏子「くっ……」ガクッ

さやか「杏子っ!」

マミ「さ、佐倉さんのソウルジェムがひどく穢れているわ!」

杏子「雛苺の分を補うのに魔力が……」

真紅「無理しないでって言ったでしょ!」

真紅「その雛苺も契約をしたからその必要はなくなったけれど……」

杏子「悪ぃ……」

マミ「佐倉さん。確か一つ余ってたわよね。それを……」

杏子「駄目だ。この一個は……ほむらと合流できた時に、そのためにとっておいたんだ……!」


448: 2012/06/13(水) 00:13:45.43 ID:nSencqOu0

杏子「ほむらは魔女の中にいる。ほむらだって、グリーフシードの貯蓄はあるが、何に遭っているかわからねえ以上、持っておかねぇわけにはいかねえだろ……」

さやか「杏子……!」

水銀燈「もう、情けないわねぇ。ほむらが向こうでくたばらないよう配慮して力を抑えてる私を見習いなさぁい」

真紅「貴女、杏子達からこっそり力奪ってないでしょうね」

水銀燈「」ギクッ

水銀燈「し、仕方ないわねぇ!こ、これあげるわぁ~!」ゴソゴソ

ポイッ

杏子「な、こ、これは……」パシッ

マミ「グリーフシード!?」

449: 2012/06/13(水) 00:14:28.98 ID:nSencqOu0


杏子「お、おいおいおいおい、どうしてお前が持ってるんだよ!お前が持ってたって……!」

水銀燈「……忘れちゃったの?私との出会いを。信じらんなぁい」

杏子「……は!」


~~回想~~

水銀燈「なんだか綺麗な物、拾っちゃったぁ」

杏子「……あっ?!それはグリーフシード!てめぇ!それはあたしんだ!返せ!」

水銀燈「やぁよ……これは私のよ……だって綺麗なんだもの」

~~~~~~


真紅「あの時の……」

杏子「な、何で黙ってたんだよ……!」

水銀燈「フン、私の物なんだから私がいつ出そうが私の勝手よ」

杏子「ま、まあ……とにかく助かった……ありがとよ!水銀燈!」

水銀燈「フ、フ~ン」ツーン

450: 2012/06/13(水) 00:15:01.40 ID:nSencqOu0


ワルプルギス「」

シルシルシル

翠星石「あっ!苺轍が弱々しくなっているです!しかも、穴を茨が覆い始めているです!」

蒼星石「流石に長時間は持たないんだ。早くあの中に突入しないと……」

金糸雀「水銀燈は蒼星石を連れて先にあの穴へ向かうかしら。たどり着いたら蒼星石は茨を切り落とす!」

金糸雀「そして私達が杏子と真紅をそこへ向かわせる!水銀燈は援護、翠星石は引き続きさやかと仁美、そして私達を防御するかしら!」

水銀燈「何仕切ってんのよ」

金糸雀「雪華綺晶の力が消耗しているのは事実。雪華綺晶の使い魔の勢いも減衰しているかしら。だから翠星石一人で十分!」

金糸雀「さやかと仁美は応援かしら!」

仁美「こんなこともあろうかとお守りを用意してきたので美樹さん、祈りましょう」

さやか「何でそんなのを……しかも家内安全て」

仁美「大切なのは気持ちですわー」

さやか「お、おう……」

451: 2012/06/13(水) 00:15:29.93 ID:nSencqOu0

蒼星石「そういうわけで、水銀燈。よろしく頼むよ」

水銀燈「……もしやとは思うけど、貴女を私の背中に乗せるとかするわけ?杏子におぶられた時のように」

蒼星石「じゃあ、鞄で飛ぶよ。ただ細かい小回りが苦手でね。無事にたどり着けるように助けてね」

水銀燈「……わかったわ。さっさと行くわよ」バサッ

蒼星石「うん」ガチャ


杏子「よし、浄化も完璧。忘れ物なし。いつでもいけるぜ!」

真紅「水銀燈と蒼星石がそろそろ入り口にたどり着くわ。……それで、どうやって行くの。策はあるのでしょうね?」

金糸雀「ふっふっふ……マミがいるわ」

マミ「うっふふー」

翠星石「仁美が十秒エネルギーチャージをし始めたから力を使い尽くさないためにもさっさとするです」

仁美「乙な味ですわ」ゴクゴク

さやか「あたしの仁美のイメージが壊れ始めたのはいつからだろう」

452: 2012/06/13(水) 00:16:14.13 ID:nSencqOu0

マミ「さあ!入って!」ドサッ

真紅「……え?入るってマスケット銃……いえ、キャノン砲に?」

マミ「さあ!あなた達が弾よ!」

真紅「は?私達が……弾?」

金糸雀「弾かしら」

杏子「あの技だな……なるほど」ニヤリ

真紅「いや、あの、二人とも?まさかとは思うけど」

杏子「いいだろ別にお前は鞄の中なんだから」

真紅「……人間大砲?」

金糸雀「そうね」

真紅「……代わりに金糸雀が行くといいわ」

マミ「ほら、早く!」

真紅「…………………………」

453: 2012/06/13(水) 00:17:13.28 ID:nSencqOu0



真紅(in鞄)「マミを信頼するのよ私。怖くないわ。怖くない。鞄の中だから揺れるだけ。怖くないわ」プルプル

杏子「いつでもいけるぜ!」スポン

マミ「行くわよ……!」

金糸雀「ええ!」

マミ「『カノン・ザ・カノン』のグレードアップ技……!」

杏子「不完全の状態であったにも関わらず茨の魔女を一発で倒した、合体技……!」

真紅(怖くない怖くない怖くない!人間大砲の荷物にされるなんて別に怖くなんかない!)


454: 2012/06/13(水) 00:18:32.69 ID:nSencqOu0


マミ「ティロ!」

杏子「ファンタズマ!」

金糸雀「シンフォニー!」


ドォ――z___ ンッ


真紅(いやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!)


杏子「説明しよう!『ティロ・ファンタズマ・シンフォニー』とは、先のKTKの発射される弾丸をあたしに置き換えたマミ考案の技としては、かなりのワイルド技!」

杏子「金糸雀による音波に守られた空飛ぶあたしが……、空気抵抗?って奴のせいで弾丸と同速とまではいかないけれど、高速で突っ込む!」

杏子「ただの人間大砲じゃないか、だって?……否!飛んでいるあたしが、任意のタイミングでロッソ・ファンタズマ(命名:マミ)を発動するッ!そうすることで勢いそのままで複数のあたしが相手を襲うってわけさ!」

杏子「人間大砲とは違う……。そう、これは……人間散弾銃!KTKにしかり、マミにしてはシンプルな名前だって?」

杏子「あの名前はないわ……。流石に無理だから、合体技ということもあってこれで妥協してもらった!」


杏子「で、私は今、右手に槍。左手に真紅の鞄を持った状態で飛んでいる!」


455: 2012/06/13(水) 00:19:14.25 ID:nSencqOu0



使い魔s「「「――!」」」ワーワー

杏子「ワルプルギス……いや、雪華綺晶の使い魔が、入り口を防ごうと現れるが……」

杏子s「「「「ロッソ・ファンタズマが発動する!」」」

杏子1「あたしは真紅と行く!あたし以外のあたしは使い魔を攻撃して道を切り開くんだ!」

杏子2「鞄持ちのあたしを何としてもワルプルギスにブチ開いた穴に行かせるぞッ!」

杏子s「「「よっしゃあああああ」」」ワーワー


456: 2012/06/13(水) 00:20:57.55 ID:nSencqOu0

蒼星石「水銀燈!杏子が増えたよ!……うわっ!」チョキチョキ

水銀燈「見りゃわかるわよ。ほら、うっかりしてると使い魔に襲われるわよ」バサッ

蒼星石「あ、うん。ごめんよ……」ジョキジョキ

蒼星石「水銀燈。僕を守ってくれるのはありがたいけど、こっちに向かってくる杏子もカバーしてあげてよ」

水銀燈「その必要はないわ。金糸雀の音波を纏っているから」

杏子「うおぉぉぉぉぉ!耳がキーンってするけど魔法の力で何とでもなるぜぇぇぇぇ」

蒼星石「杏子がすごい勢いで飛んで来たよ!?」チョキチョキ

水銀燈「茨と苺轍の処理はこんなもんでいいわ」


杏子「おおおおおおおうぅぅぅぅぅ」

ボスンッ

水銀燈「ナイスショットォ」

蒼星石「ファ~~ッ」

水銀燈「それ遅い」

蒼星石「え?」

457: 2012/06/13(水) 00:21:59.09 ID:nSencqOu0

――ワルプルギスの体内

杏子「魔女の、それもワルプルギスの体内に入った魔法少女と歴史に名を刻むな」ヒョイ

真紅「ぜー…はー……し、心臓に悪いわ……」

杏子「心臓ないだろ」

真紅「……に、人間大砲だなんて乱暴すぎるわよ!」

杏子「成功じゃん?過ぎたことは気にしない気にしない」ケタケタ

真紅「もう……」

真紅「しかし、ここは……魔女の体内と言うより雪華綺晶の世界と言えるわね」

杏子「ふーん。……なぁ、ほむら達はどこにいる?」

458: 2012/06/13(水) 00:23:08.52 ID:nSencqOu0


「――!」フラフラ

杏子「あ、人工精霊!」

真紅「ベリーベルだわ。と、いうことは……雛苺はあっちにいる!」

杏子「ああ」

真紅「行くわよ!鞄をちゃんと持ってなさいよ!」タッ

杏子「わ、わかったよちきしょ!」ダッ

459: 2012/06/13(水) 00:23:53.93 ID:nSencqOu0

――雪華綺晶の世界

ほむら「……これからどうしましょうか。まどか」

まどか「うーん……。雪華綺晶は音沙汰ないし、ヒナちゃんは苺轍を出すのに忙しそうだし……」

雛苺「…………」

ほむら「ここがどこなのかわからない以上、下手に動けないわ」


「――!」

ほむら「……あら、何か聞こえるわね……」

まどか「この声……」

杏子「ほむら!まどか!」バッ

真紅「雛苺!」バッ

460: 2012/06/13(水) 00:24:53.72 ID:nSencqOu0

ほむら「杏子!真紅!」

まどか「杏子ちゃんと真紅ちゃん!」

雛苺「う……ゅ。しん、く……」

杏子「よかった!無事だったか……!」

ほむら「杏子!よくここがわかったわね……」

杏子「ベリーベルが案内したんだよ。それより、ほれ」ポイッ

ほむら「あら、グリーフシード……」

杏子「使いな。水銀燈からの手土産さ」

ほむら「水銀燈が……。……ありがとう。丁度ストックがなくなってたとこだったの」

まどか(ずっと辛い思いしてたんだもんね……)


461: 2012/06/13(水) 00:26:26.72 ID:nSencqOu0


真紅「……雛苺」

雛苺「……ぅぃ」

真紅「貴女、私達に隠し事してたのね」

雛苺「……ごめんね」

ピシッ

真紅「よくてよ」フッ

真紅「さあ、この鞄に入りなさい」カチャ

雛苺「うん。おやすみなさい、なの……」

真紅「ええ。おやすみ」パタム

462: 2012/06/13(水) 00:32:15.64 ID:nSencqOu0


真紅「……ねえ、ほむら。説明して頂戴。どうして雛苺の指輪が……」

ほむら「私……、そこで気を失っていたの。そこでは、怖い夢みたいなものばかりみていた」

ほむら「でも……まどかがその原因を払ってくれた。そして、悪夢から解放された後、別の夢を見たわ」

真紅「夢……?」

ほむら「私は檻というか篭の中にいた。そして檻の外に大学生くらいの青年と、私達と同じくらいの眼鏡をかけた少年の兄弟。……兄弟と言ったのは雰囲気が似ていたからよ」

ほむら「大学生の方が、檻の隙間に腕を突っ込んで、何かを渡そうとして……。私はそれを受け取った」

ほむら「二人とも、何を言っていたのかは覚えてない」

杏子「上条ん時と同じようなもんかな」

真紅(大学生と眼鏡をかけた中学生……!)

ほむら「でも、私が目を覚ますと、手には雛苺の指輪があった……。あの二人が何を言っていたかは覚えてないけど、やらなきゃいけないこと、雛苺との契約をさせなければならないとことは、理解していたわ」

463: 2012/06/13(水) 00:32:47.30 ID:nSencqOu0


ほむら「……皮肉なものね。私がまどかに契約をさせるって」

まどか「ほむらちゃん……」

真紅(二つの世界のジュンが……!)

ほむら「真紅……その二人に心当たりはあるかしら」

真紅「…………そうね」

真紅「向こうの世界の下僕だわ。気がきくでしょう」

ほむら「そうね……本当に……。元の世界に戻ったら、礼を言っていたと伝えて」

真紅「ええ。……ちなみに、兄弟ではないわ」

ほむら「そう」

真紅(同一人物だなんて言ったら、話がこじれるだけだ)


464: 2012/06/13(水) 00:33:52.57 ID:nSencqOu0

杏子「それよりも、ここから出ようぜ」

真紅「そうね」

ほむら「私、あんまり記憶がないのだけど、ここは雪華綺晶の世界なのよね」

杏子「ああ。それでいてワルプルギスの体内だ」

まどか「……え?」

杏子「ワルプルギスの体内」

ほむら「わ、ワルプルギス!?しかも……た、体内ですって!?」

ほむら「って言うか今日はワルプルギスの日だったのね!?」

ほむら「じゃあ、あなた達だけで……!」

杏子「ああ」

ほむら「何てこと……ああ、もう、混乱してしまうわ……」


465: 2012/06/13(水) 00:35:31.29 ID:nSencqOu0


ほむら「よりによって、ワルプルギスの体内だなんて、正気の沙汰じゃないわ」

ほむら「私ってば、そんな長いとこここにいたのね」

杏子「私にはここで何があったかわからんけどな」

ほむら「……私以外みんなが戦っていたってのに」

まどか「ほむらちゃんだって、戦ってたよ」

ほむら「……そう言ってくれると救われるわ」

真紅「とにかく、ここから出ましょう」

まどか「真紅ちゃ……あれ、ヒナちゃんは?」

真紅「力を使いすぎたから、鞄の中で眠っているわ」


466: 2012/06/13(水) 00:36:05.02 ID:nSencqOu0


ほむら「そうね。出ましょう。まどか、おんぶするわ。さあ」スッ

まどか「ええっ、そんな悪いよ……」

ほむら「いいから。雛苺に力を使って疲れているでしょ?私はどうせ寝てただけだったし」

まどか「そ、そんなこと……でも、うん……ありがと」スッ

ほむら「まどかってとても軽いのね」ヒョイ

まどか(は、はぅ……ほむらちゃんの背中……うなじ……///)マドマド

真紅「杏子。鞄を持ちなさい」

杏子「え?また?あたしが?」

真紅「ほむらはまどかを抱えるからよ」

杏子「真紅が持てよ」

真紅「私は杏子に抱っこしてもらわないと」

杏子「ブレねぇな……」

467: 2012/06/13(水) 00:36:54.11 ID:nSencqOu0

「――ダメ、です」


ほむら「!?」

真紅「雪華綺晶……!」

雪華綺晶「ダメですわ……。私のマスターを寝取るだなんて……不潔……不純……」

雪華綺晶「返して――!」

ブアッ

まどか「ま、また茨が!」

真紅「最後の力を振り絞るってところね。ほむら!急いで逃げるわよ!」

ほむら「みんな。私に捕まって」

杏子「え?」

ほむら「これが、正真正銘。最後の時間停止よ」


カチッ

468: 2012/06/13(水) 00:38:22.56 ID:nSencqOu0

ほむら「……と、いうわけでここはワルプルギスの体内なのよね。全く、ほんと正気の沙汰じゃあないわ」

真紅「そうね」

ほむら「じゃあ盾からありったけの爆薬とかを置きみやげするわ」ポイポイ

ほむら「手作り爆弾と手榴弾と爆薬と……あ、ダンプカーも置いてこう」

真紅「」

まどか「色々あるってレベルじゃないよね……」

ほむら「杏子……。ありがとう。このグリーフシードのおかげで、こんなに余裕があるわ」ポイポイ

杏子「あ、ああ……うん」


469: 2012/06/13(水) 00:39:28.08 ID:nSencqOu0

――外

マミ「出てきたわ!」

翠星石「どっせい!蔦キャッチ!」シュルルッ

翠星石「あんどりりーす」シュッ


ほむら「ふぅ……。みんな。ただいま」

蒼星石「おかえり、みんな」

まどか「また迷惑かけちゃったね……」

QB「全くだよ。心配したよ」

マミ「もう……。美樹さんといい志筑さんといい鹿目さんといい……みんな避難なんてする気ないじゃない。無事でなによりだけどね」

まどか「あれ?何でさやかちゃんと仁美ちゃんが?避難してたんじゃ……」

さやか「あ、あはは……」

仁美「う、うふふふ……」


470: 2012/06/13(水) 00:40:18.33 ID:nSencqOu0

真紅「心配したかしら?」

翠星石「全くですよ。真紅なら平気だって信じてたです」

金糸雀「かしらかしら」

水銀燈「フン」


蒼星石「その鞄……雛苺かい?」

真紅「ええ。力を使いすぎたから……眠ってしまったわ」

水銀燈「…………」


杏子「さ、ほむら。まだやることが残ってるぜ」

ほむら「ええ……」ファサ


471: 2012/06/13(水) 00:40:52.57 ID:nSencqOu0


ほむら「……爆破まで、3……2……1……」

――――――
――――
――


水銀燈「……」

金糸雀「……」

翠星石「……」

蒼星石「……」

真紅「……」

ほむら「……」

マミ「……」

仁美「……」

さやか「……」

杏子「……」

まどか「……」

QB「……」



まどか「空が……晴れたね…………」

472: 2012/06/13(水) 00:41:37.82 ID:nSencqOu0

ほむら「みんな……。この空を見て……。ワルプルギスが、消滅したわ……!」

まどか「うん……!」

ほむら「ついに……あのワルプルギスを倒したわ……!」

まどか「うん……!」

ほむら「杏子。マミ。さやか。仁美。水銀燈。真紅。金糸雀。翠星石。蒼星石。雛苺。そして……まどか」

ほむら「みんな。お疲れさま。……そして、ありがとう……!」ニコ

まどか「うん……!」

まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「……何かしら?」


473: 2012/06/13(水) 00:42:34.19 ID:nSencqOu0


まどか「……もう我慢なんかしなくていいんだよ」

ほむら「……えぇ」

まどか「おいで、ほむらちゃん!」

ほむら「……うん!」ダッ

ギュッ

まどか「ほむらちゃん……!」ギゥ…

ほむら「まどかぁ……私、えぐっ、やっと……やっと……グス、みんなの……おかげ、でぇ……ヒック、ありがとう……みんなぁ……ありがとう……まどかぁ……」キュッ


474: 2012/06/13(水) 00:43:26.39 ID:nSencqOu0



翠星石「おろろ~ん、いい話なのですぅ~」グシグシ

仁美「きましたわね……!」

さやか「何が?」

マミ「これで……やっと、暁美さんは救われたのよ」

ほむら「まどかぁ……」ポロポロ

真紅「思う存分、泣かせてあげましょう。今まで泣くことを耐えてきたのだから」

マミ「ええ……」


476: 2012/06/13(水) 00:45:11.11 ID:nSencqOu0


――翌日



マミ「……そう。もう、帰ってしまうのね。残念だわ。最後くらいみんなでお茶会したかったのに」

金糸雀「ごめんなさいかしらマミ。でも、カナ達はカナ達の世界がある。急いで帰らなくちゃ」

真紅「ええ。それにワルプルギスの後、nのフィールドを探索したのだけど、雪華綺晶の行方はわからなかったのだわ。つまり、雪華綺晶は既に逃げたということ」

真紅「服がボロボロだからいい加減ジュンに直して貰わないと」

蒼星石「僕達には僕達の本来のマスターがいるからね」

水銀燈「…………」

まどか「……ねぇ、ヒナちゃんは?」

真紅「雛苺は……」

翠星石「昨日の戦いで疲労困憊が続いてて、寝足りないようですぅ」

まどか「そっか……。大変だったもんね。ヒナちゃんが起きたら、伝えて?ありがとう、楽しかったって」

翠星石「ですぅ」


477: 2012/06/13(水) 00:46:26.41 ID:nSencqOu0

真紅「杏子。私のレディーの掟、忘れないように」

杏子「……あ、ああ。わかってるよ」

真紅「元気でやるのよ」

杏子「真紅も元の世界で元気にしてろよ!せめて猫には慣れるとかしとけよ!」

真紅「善処するわ」

真紅「貴女は、これからも皆と仲良くね」

杏子「おうよ」

真紅「それからまどか、雛苺から貴女へ……」サッ

まどか「これは?」

真紅「これは雛苺のリボンよ。忘れないようにって」

まそか「わぁ……!可愛いリボン……!ありがとう!ってヒナちゃんに伝えておいてね!」

真紅「えぇ」

まどか「えへへ……。わたしもみんなのこと忘れないよ!」

真紅「……そうね」ニコ

478: 2012/06/13(水) 00:47:09.93 ID:nSencqOu0

ほむら「……また会えるかしら、私達」

水銀燈「期待はしないことね。元々会うはずのない存在なのだから」

ほむら「そう……よね。寂しくなるわ」

水銀燈「…………ふん」

ほむら「そうだわ……。水銀燈手作りのクッキー、冷蔵庫に入れてあった物をいただいたわ」

水銀燈「別にあんたのためじゃないわよ。無理矢理作らされただけなんだから」

ほむら「隠すように入れちゃって……。とても美味しかったわ。……ありがとう。水銀燈」

水銀燈「…………」ツーン

ほむら「元気でね」

水銀燈「……ま、ほむらもせいぜい長生きすることね」

ほむら「ええ……いつまでも元気でやってやるわ」


479: 2012/06/13(水) 00:47:42.33 ID:nSencqOu0


さやか「蒼星石、翠星石……。あたし、二人には特に感謝しなくちゃいけないよね。……本当にありがとう」

翠星石「きっかけを与えたのは翠星石達ですけど、感謝される程ではないですぅ」

蒼星石「そうだね。……さやか。これからも上条君と仲良くしてね」

さやか「うん……!」

さやか「蒼星石はあたしの嫁になるのだー!」ギュー

蒼星石「え?僕は人形である上に同性だから無理だよ」

さやか「いいからいいから!」ナデナデ

蒼星石「うん。……ありがとう。さやか」


480: 2012/06/13(水) 00:48:23.74 ID:nSencqOu0

仁美「私からも感謝致しますわ。何だか私、変われた気がします」

さやか(そうだね。何というかお淑やかキャラからおてんば姫キャラにね……)

翠星石「いいですか?仁美。翠星石が教えた庭師の掟、肝に銘じやがるですぅ」

仁美「もちろんですわ!志筑家の庭に薔薇園を造ってちょっとした名所にするつもりでいます!」

翠星石「その調子です!これからも頑張るのですよ!」

仁美「はい!」

翠星石「握手ですぅ」キュ

仁美「握手ですわ」キュ


481: 2012/06/13(水) 00:48:59.59 ID:nSencqOu0


マミ「うぅ~、寂しくなるわぁ」ギュー

金糸雀「マミィ……く、苦しいかしら。胸で圧迫祭りかしら」

金糸雀「マミにはもうたくさんの仲間がいるかしら。寂しくなんかないかしら」

マミ「……そうね。もう、独りぼっちじゃないもの……!」

金糸雀「マミのご飯は美味しかったかしら。お世話になりましたかしら」

マミ「うん。ありがとね……。元気でね、カナちゃん。みっちゃんさんにもよろしく」

金糸雀「かしらー」

マミ「うふふっ」

金糸雀「うふふっ」


482: 2012/06/13(水) 00:49:30.92 ID:nSencqOu0


真紅「さて……まどかはもう済んでるけど、最後にやることがあるわ」


蒼星石「名残惜しいけれど……」

金糸雀「それじゃ……」

翠星石「私達は……」


水銀燈「貴女達の薔薇の誓いを解くわ」


483: 2012/06/13(水) 00:51:37.24 ID:nSencqOu0

――nのフィールド(見滝原)

真紅「さあ、帰りましょうか」

翠星石「…………」

翠星石「チビ苺……やっぱり最後くらい自分からお別れを言った方がよかったんじゃ……」

雛苺『いいのよ……翠星石。だって、こんなボロボロになったヒナの体なんて見せられないし、そうなったなんて教えられないわ』

雛苺『みんなとは笑顔で別れられたんだもの。それが一番ヒナは嬉しいの!』

雛苺『それと……こんな形でだけど、またみんなとお話ができて、ヒナ、とっても嬉しかった!』

金糸雀「ヒナ……」

雛苺『それじゃあ、真紅……。ヒナのローザミスティカ。真紅に返すね……』

雛苺『ありがとうなの……みんな……!』

スッ

真紅「ええ……」

484: 2012/06/13(水) 00:52:16.23 ID:nSencqOu0

蒼星石「……それじゃあ、帰ろうか」

水銀燈「お先にぃ~♪」

真紅「あっ、水銀燈!」

水銀燈「いつまでもここに留まってても仕方ないわ~。雪華綺晶が元の世界に先に帰って好き勝手やってるかもしれないでしょ~?」

水銀燈「じゃぁね~」ピュー

翠星石「ああっ!水銀燈!しんみりとした空気を!このKYドール!」バタバタ

金糸雀「みっちゃんに早く会いたいかしらー!」ピュー

翠星石「ああっ!金糸雀まで!長女と二女の抜け駆けです!追うですよみんな!」ピュー

蒼星石「う、うん。」ピュー

真紅「……もうっ、慌ただしい姉達ね」

真紅「確かに、一ヶ月も向こうに居なかったのだもの。ジュンものりも巴もみっちゃんさんも水銀燈のマスターも、みんな心配しているわね」

真紅「さ、行くわよ。ホーリエ。ベリーベル」ピュー


水銀燈「…………」

485: 2012/06/13(水) 00:53:02.83 ID:nSencqOu0
――nのフィールド(見滝原)

水銀燈「……出てきなさい。インキュベーター」

QB「……君が僕を呼び出すだなんて、考えてくれたんだね」

QB「いいのかい?まだ帰らなくて」

水銀燈「あんたに会うために進路をずらして来てやったわ。感謝なさい」

QB「……それで、あの時の病室で話した僕の『ローザミスティカを見たい』というお願いを聞いてくれるのかな?」

水銀燈「ええ、そうよ。しかも特に関心を抱いていた『雪華綺晶のローザミスティカ』よ」

QB「雪華綺晶だって?彼女はワルプルギスの夜の消滅と共に逃げ出したんじゃなかったのかい?」

水銀燈「他の姉妹にはそう見えたでしょうね。でも、実際、私はあの後全員の目を盗んでnのフィールドに行ってきたのよ」


486: 2012/06/13(水) 00:53:54.37 ID:nSencqOu0


水銀燈「そこで魔女の体内から帰りはしたけどギリギリのとこでくたばった末妹のローザミスティカを持ってきた。ただそれだけのこと」

QB「そうかい。……ところで、もし差し支えなければ、研究素材の一つとして、君が左手に持っているローゼンメイデンのレプリカも見せてくれないかい?」

水銀燈「言うと思った。このレプリカ、あんたにあげるてもいいわよ?」

QB「くれるのかい?それは嬉しいな」

水銀燈「ただし取引よ。ただでローザミスティカを見て、あろうことかローザミスティカに適合する数奇なるレプリカをただで貰えるだなんて思って?」

QB「取引?」


QB「……まさか全ての魔法少女のソウルジェムを魂に変換し直せとでも言うのかい」


487: 2012/06/13(水) 00:55:05.70 ID:nSencqOu0

水銀燈「……別にそういうことでいいわ。できなくてもできるようになさい」

QB「…………」

水銀燈「私達とはもう二度と会えないのよ?最初で最後のチャンスよ?」

水銀燈「見たいでしょ?欲しいんでしょう?ほら、どうして欲しいか言ってみなさぁい」

QB「…………わかったよ」

QB「ローザミスティカを見せておくれ」

水銀燈「無論、願い事がなかったことになったからマミはお陀仏だなんてないように」

QB「勿論。約束する」

水銀燈「宜しい。一つ目の取引成立よ。ローザミスティカを見せてあげる」


488: 2012/06/13(水) 00:56:42.40 ID:nSencqOu0


パァッ…

QB「これが……。ありがとう。もっとよく見せておくれ」マジマジ

QB「そうかい。……へぇ……ふぅーん。やっぱり不思議だね。こんな小さい欠片が、あのワルプルギスの夜さえも取り入れた雪華綺晶の動力源だなんて」マジマジ

QB「しかも雪華綺晶だからと特異というわけでない。人の体感的な疲労と引き替えに、あんな小さい体で魔女や使い魔を倒したり巨大な蔦を生やせたりする力……全く不思議だ。燃費が良すぎる」ジロジロ

水銀燈「……ねぇ、これで本当に強大なエネルギーとやらが出来るわけ?」

QB「僕の立場では断定はできないけど、これは可能性が高いね。魔法少女や魔女の制度以上の効率も十分にありえる」ジー

水銀燈「そう。……それで」

QB「わかっているよ。ローザミスティカを参考にして新エネルギーを開発、それに成功した暁には、魔法少女を普通の人間に戻す。それが取引だ」フムフム


489: 2012/06/13(水) 00:57:30.70 ID:nSencqOu0


水銀燈「ええ」

QB「だけどあの三人が存命している間に完成するとは限らないよ」

水銀燈「完成する可能性はあるのでしょ?ならそれでいいわ」

QB「……やれやれ。努力はするさ」

QB「それで……?レプリカの方の代償は何だい?」

水銀燈「魔法少女が全て人間に戻る際に、その旨を説明した上できっちり使い魔と魔女の処理をすること、よ」

水銀燈「あんたが相手だとわざわざ言わないと、勝手なことしそうだもの。元々はあんたが撒いた種なのに」

QB「……信用がないね。うん。いいよ。約束する」

水銀燈「成立ね」ポイッ


490: 2012/06/13(水) 00:58:16.81 ID:nSencqOu0

QB「……これで感情を超えるエネルギーを得ることができれば、魔法少女はまさしくなかったことになるわけだ」

QB「それにしても、ローゼンという人間よりも君がわざわざ僕にそういう取引を持ちかけるということのが不思議に思えてくる」

水銀燈「そうね……。私そういうキャラじゃないものね」

水銀燈「……ほむらとの取引なのよ」スッ

QB「おや……それはグリーフシードだね。何で君がそれを持っているんだい」

QB「それに取引だって?ほむらと……?」

水銀燈「……」

QB「…………ああ、そうか。なるほどね」

491: 2012/06/13(水) 00:59:05.21 ID:nSencqOu0

QB「わかったよ。その土産物の代わりに僕とこういう交渉をさせたんだ。合ってるかい?」

水銀燈「…………そうね。大体合ってるわ」

QB「ほむららしいや」キュップイ

QB「さて、ローザミスティカの観察もこんなものかな。眼福だよ。ところでそのローザミスティカは……」

水銀燈「そうね。元の世界に帰ったら、放置する」

QB「何だって?」

水銀燈「そうすればこの子も勝手に元通りになるでしょ」

QB「どうしてそんなことをするんだい?君達はこれを奪い合っているんだろう?」

水銀燈「お馬鹿さんね。末妹は、アリスゲームに既に敗退している上にレプリカである雛苺が倒した」

水銀燈「そんなローザミスティカ、横取りできないわよ。私のプライドが許せない。アリスゲームとはもっと神聖なものなの」

QB「僕には理解できないな。まあいいや。それじゃ、水銀燈。レプリカの部品は貰っていく。良い取引だったよ」ヒョイ

QB「さようなら。水銀燈」トコトコ

水銀燈「…………」スッ (グリーフシードを見つめる)

492: 2012/06/13(水) 01:01:26.95 ID:nSencqOu0

~~~回想(昨夜)~~~

ほむら「水銀燈……。明日、とうとう帰ってしまうのね。……寂しくなるわ」

水銀燈「そんな面には見えないのだけど」

ほむら「本当にありがとう。あなたのおかげもあって、私は救われたわ」

水銀燈「やめなさいよ気持ち悪い」

ほむら「これをあげるわ。お土産よ」スッ

水銀燈「これは……グリーフシード?」

ほむら「杏子と出会った時、これを綺麗だって言ってたそうじゃない。向こうの世界では何の役にも立たないでしょうけど、持っていって」

水銀燈「……真紅のマスターのようだったから盗っただけよ」

ほむら「その割にはワルプルギスの時まで携帯していたみたいじゃない」

水銀燈「……フン。勘違いも甚だしいわ。…………でも」

ヒョイ

水銀燈「…………貰っといたげる」プイッ

水銀燈「勘違いしないでよ。あの時くれてやったのは……あれよ、私の食事の、妥当な報酬なんだから」

ほむら「……そう。じゃああの貸しはなしだったのね」クス


493: 2012/06/13(水) 01:03:34.39 ID:nSencqOu0

ほむら「それじゃ、クッキーのお礼……だけってのも新品のグリーフシードをお土産にするに割が合わないから、もう一つこれで取引しない?」

水銀燈「はァ?取引ぃ?」

ほむら「貴女なりにでいいから、最後くらい素直になってほしいの」

水銀燈「は?」

ほむら「あなた、何も言わずにたった今から帰ろうとしてたでしょう」

水銀燈「まあね。長居する必要はないもの」

ほむら「ちゃんとみんなに顔を見せてから帰りなさい。いいわね」

水銀燈「……性格のひん曲がった貴女が普通に渡すはずないと思ったわよ」

ほむら「素直の度合いはあなた次第でいいわ。さっきみたいのでいいから」

水銀燈「べ、別に素直になったわけじゃないわよ!」

ほむら「ふふ、そうね」

~~~~~~~~~~~


水銀燈「貴女の意見は別に聞いてないけれど」

水銀燈「私は魔法少女の制度が不快なのよね」

水銀燈「……勝手かしら?でも私は、自分に素直になってやった……。だからこれの取引は成立よ」キュッ

バサッ

494: 2012/06/13(水) 01:08:06.55 ID:nSencqOu0





QB「特定の年齢の少女の感情はそれはそれは良いエネルギーだ。感情の研究も波に乗ってきてはいた」

QB「けれど、もしローザミスティカを参考にした新たなエネルギー資源を開発すれば……契約さえすれば老若男女問わずエネルギーを採れるかもしれない」

QB「そう思えば、それはとても素晴らしい進歩だ」

QB「僕と契約してマスターになってよ!なんてね」

QB「とは言え、それができるまではまだ感情のエネルギーに頼らせてもらうし、まどかとの契約も諦めないよ」

QB「待っててよまどか。君にはまだ因果のエネルギーがたくさん内包されている。必ずや契約させてみせるからね」キュップイ


495: 2012/06/13(水) 01:09:55.70 ID:nSencqOu0

QB「さて、戻ったよ。ラプラスの魔」ピョン

ラプラスの魔「魔法少女は、まるで美しい装飾を施されたパンドラの箱。見た目の美しさにあどけない少女は見惚れ……。開けてみれば魔女という悪夢と命をかけた戦いと、絶望の真実……。しかし、希望は残されていた」

ラプラスの魔「少女の涙は昔から大衆の心を動かす魔法の雫。ましてや未成熟な心身で絶望に抗い打ち勝ったその姿の美しさと言ったら……」

ラプラスの魔「貴方でも、それには舌を巻いたのでは?」

QB「生憎、僕には感情がないからね、君の言うことは全くわからないよ」

ラプラスの魔「それはそれは失礼しました。感情がない……ああ、何と勿体ないことでしょう」

QB「邪魔なだけだと思うけどな」

ラプラスの魔「これは手厳しい。……おっと、もう時間です。私も急がねば」

ラプラスの魔「それでは……、こちらが出口になります。もうあなたと会うことがないと思うと口惜しい。口惜しい……」サッ

QB「そうかい。それじゃ、さようなら」ピョイ

ラプラスの魔「さようなら。インキュベーター……」



ラプラスの魔「……さてさて、究極の少女と普通の少女。どちらが先に生まれるのやら」

496: 2012/06/13(水) 01:13:33.85 ID:nSencqOu0


――数日後(見滝原)

マミ「……ローゼンメイデンのみんなが行ってから……何だか物静かに感じるわね」

仁美「今ここには六人もいる。……ですのに、奇妙な話ですわ」

さやか「いやー、それにしても大変でしたねー。あの一ヶ月」

杏子「そうだなー。テーブルマナーを叩き込まれたり魔女の体内に入ったり」

マミ「鏡の中に入ったり絶望しかけたり」

さやか「腰抜けたり告られたり」

仁美「病院で寝てたり瓦礫の上でゼリー飲んだり」

まどか「でも、一番大変だったのは、ほむらちゃんだもんね!」モゾモゾ

まどか「改めて、お疲れさま!ほむらちゃん」キュッ

ほむら「ふふ、ありがとうまどか」

497: 2012/06/13(水) 01:21:42.15 ID:nSencqOu0

ほむら「ところでまどかはさっきから私の髪に何をしているのかしら」

まどか「えへへ……」

まどか「……じゃーん!ほむらちゃんにヒナちゃんのリボンを着けてみました!」

仁美「まあ、あらあら」

さやか「わ~、すっごいかわ……ブフォwwww」

ほむら「さやか、もっと可愛い衣装をコーディネートしてあげる」ニッコリ

さやか「……?」

ほむら「スク水エプロンニーソ……+ランドセル」ボソ

さやか「ひぃ!」

マミ「え、えっと……暁美さん、可愛いわよ」

まどか「うん!とってもとっても可愛いよ!」ナデナデ

ほむら「ほむぅ……///」

498: 2012/06/13(水) 01:23:29.09 ID:nSencqOu0

仁美「う~ん……とは言え、少しアンバランスですわ。……でも」

マミ「……えぇ。鹿目さんが選んだ『あの服』なら……それはとっても似合うかもしれないわね」

ほむら「えっ」

杏子「ああ、絶対に似合……ンフハハwww」

ほむら「今想像したわね杏子。いつか必ずゴス口リの刑に処してやるわ」

杏子「……う」

ほむら「吉川線みたいなチョーカーを着けてやるわ」

杏子「……すいませんっしたぁ!」

まどか「こ、今度あの服を着ようね!ほむらちゃん」

ほむら「……う。……も、もうっ」

ほむら「……し、仕方ないわね///」テレテレ

さやか(何だかんだであの服気に入ってるんだ……)


499: 2012/06/13(水) 01:24:19.31 ID:nSencqOu0

仁美「ところで美樹さんは上条君にすk…… モガッ

さやか「わ、わーわーわー!///」

まどか「えっ!?ど、どうしたのさやかちゃん!」

さやか「なっななな、何でもありませーん!」アタフタ

マミ「何でもあるわよその動揺っぷりは……」

さやか(仁美ぃ!言っちゃダメでしょそういうのはっ!)ヒソヒソ

仁美(ダメって……何を言うことがですの?)ヒソリ

さやか(ふぐぅっ……!あ、あの……恭介に……言うこと///)ヒッソー

ほむら「何か隠しているわね」ニヤリ

杏子「何だ何だー?」

500: 2012/06/13(水) 01:26:37.35 ID:nSencqOu0


まどか「顔が赤い……。上条君関連だね!」

さやか「ぐ、ぐぅ……///」

仁美「私だって、宣言通り薔薇を植えましたのよ。緑色の薔薇がないのが悔やまれますが」

マミ「緑色の薔薇……すごい光合成しそうね」

仁美「ワル何とかの戦いが終わったらすることをお互いに話したのですわ。私は薔薇を植えることでしたの」

さやか「言うなーっ!」

杏子「で、さやかは何をするって宣言したんだ?」

ほむら「どうせ、あの戦いが終わったら接吻をするんだ、とか何とかそういうことを言ったんでしょ」

さやか「んなっ……///」

まどか「///」マドマド

さやか「も、もう!そ、その話はおしまいっ!!それよりも!それよりも!」アタフタ


501: 2012/06/13(水) 01:32:16.86 ID:nSencqOu0

さやか「今度みんなで打ち上げやらない?!」

マミ「あら、いいわね!真紅ちゃんの指導の結果の紅茶を、改めてお披露目するわ!」

杏子「ご馳走食べたりお菓子食べたり紅茶飲んだり……」

仁美「こないだのお出かけも、暁美さんが攫われて中断したからその続きもするべきですわね」

まどか「えへへ。今から楽しみだね!」

ほむら「ふふ、そうね」

仁美「でも、その前に……」ボソッ



杏子「ほむら、ちょっといいかい」グイグイ

ほむら「な、何かしら?」

杏子「あのだな……」チラッ


502: 2012/06/13(水) 01:33:49.10 ID:nSencqOu0

マミ「………ふふ」グッ

マミ「……鹿目さん」ポン

まどか「はい?」

さやか「ほむらに言いたいこと、あるんじゃな~いの?」ヒソヒソ

まどか「えっ!?そ、それは……///」

仁美「お二方の用が済んでから打ち上げをしますわ」

まどか「う、うぅ……///そ、そんな、悪いよ。みんなで遊んでから……」

マミ「いいのいいの。ちゃんと誘えるかしら?」

さやか「まどかは変なところで大胆で妙なところで引っ込み思案だしなぁ」

仁美「心配ですわー」

まどか「う……。そ、そんなことないもんっ」プクー

まどか「ほ、ほむらちゃんとお出かけ、誘えるもんっ」

さやか「よし、その意気だ。デートのお誘い頑張りな」

まどか「デ、デートだなんて……///」


マミ「で、それらが終わったら美樹さんは恋人と接吻ね」

さやか「だ、だからそんなんじゃありませんってば……///」

503: 2012/06/13(水) 01:36:39.21 ID:nSencqOu0

杏子「――そういうわけで茶葉を抽出するにはなぁ」

ほむら「ちょっと待って。なんで杏子に紅茶談義をされなければならないの」

杏子「真紅の受け売りかしらー」

ほむら「若干ウザいわ」

杏子「それよりもまどかが話があるってよ」

ほむら「え、そうなの」

杏子「そうだよ。それとほむら。……頑張れよ」グッ

ほむら「何がよ」

杏子「最初に『ま』がつく……」

ほむら「ああ、魔女なら以後も変わらずよ。ワルプルギスを超えたからって気が抜けたりなんかしないわ」ファサ

ほむら「長生きするって水銀燈とも約束したもの。頑張らない理由がない」

杏子「お、おう……。……頑張ろうぜ」ポン

ほむら「な、何よ……その哀れみを込めた表情は……」

504: 2012/06/13(水) 01:42:16.56 ID:nSencqOu0

まどか「あの……いいかな?」コソコソ

ほむら「ええ」

まどか「ねえ……ほむらちゃん」

ほむら「どうしたの?まどか」

まどか「あのね……わたしが寝ちゃった少し前に、指輪のこと話したよね?」

ほむら「ああ……あの時の」

ほむら「あの時はあなたを無自覚に傷つけてたのよね……本当に悪かったわ」

まどか「い、いいんだよ別に……。それはわたしが勝手に……」

505: 2012/06/13(水) 01:43:18.01 ID:nSencqOu0

まどか「……で、でもね?」

ほむら「何かしら」

まどか「その……」モジモジ

まどか「あ、あの時はやっぱいらないって言ったけど……わたし、やっぱ、欲しいな、って……」

ほむら「そうなの?」

まどか「うん……」

ほむら「それってやっぱり……」

まどか「……///」モジモジ

ほむら「薬指に?」

まどか「ぅん……///」


506: 2012/06/13(水) 01:45:57.87 ID:nSencqOu0

ほむら「ふふ、そうね。喜んでプレゼントするわ」

まどか「ウェヒヒ、嬉しいっ!」

ほむら「頑張って選ぶわ」ニコ

まどか「うん!そ、それで……その、一緒に、お出かけ……」マドマド

ほむら「そうね。それじゃ今度みんなで出かけた時にでm……」

マミ「……」ジー

杏子「……」ジー

仁美「……」ジー

さやか「……」ジー

まどか「……」ジー

ほむら「……」


507: 2012/06/13(水) 01:47:28.38 ID:nSencqOu0


ほむら「二人で出かけましょう」

まどか「うん!」

ほむら「二人でアクセサリー店を見て回ったり、お昼ご飯を食べたり……」

まどか「今からものスゴイ楽しみだよ!」

ほむら「ふふ、そうね……。楽しみね」


ほむら「それじゃ、今度の休日に――」




終わり


510: 2012/06/13(水) 01:51:15.52 ID:h594qinpo
おつ!
すごく面白かったよ!

引用元: 杏子「巻きますか、巻きませんか」