1: 2013/03/09(土) 21:23:54.82 ID:oeFfzOXm0
勇者「なにぃ!?」

魔王「座して死を待て。出でよ破壊神!!」カッ

破壊神「我が名は破壊神……全てを破壊し混沌へと導く者」

勇者「くそ……!」

僧侶「姿だけなら女の子ですが……」

魔法「この威圧感……こんな」

魔王「ふはははは! 全てを、この世界を破壊せよ!」

破壊神「お腹空いた」

勇者「えっ」

魔王「えっ」

3: 2013/03/09(土) 21:26:37.69 ID:oeFfzOXm0
破壊神「いえ、降臨するのにはエネルギー使うので」

魔法「素になった……?」

僧侶「……可愛いかも」

勇者「火のジンと風のジン一体ずつで召喚できそうな女神だしな……」

魔王「ええい! 飯ならいくらでもくれてやる! まずは手始めに目の前の勇者達を殺せ!」

破壊神「え……血を見るとか無理なんで……」

魔王「えっ」

4: 2013/03/09(土) 21:29:25.77 ID:oeFfzOXm0
勇者「破壊神……だよな?」

破壊神「世界創造時、破壊神としてこの世界を破壊しつくしました」

魔法「やばい」

魔王「それが何故、血を見るのが無理などと!」

破壊神「当時は空間と空間が重なりあっただけの、世界と呼べない状況でした」

破壊神「それを私が粉々に破壊し、他の神々が地を作り天を作り、命を作り世界を作ったのです」

破壊神「あ、今世界を壊すとか他の神々に怒られるので無しの方向で」

魔王「えー?!」

6: 2013/03/09(土) 21:31:22.76 ID:oeFfzOXm0
魔王「! 小規模でその世界を壊す力を使えば!」

破壊神「それなら血を見なくて済みますね」

勇者「!」ビクッ

破壊神「但し力の加減があまりできないので、最小規模で世界の八分の一が壊れますがよろしいですか?」

魔王「えっ」

7: 2013/03/09(土) 21:33:46.43 ID:oeFfzOXm0
勇者(これは破壊神の力を使えないんじゃないか?)ヒソッ

魔法(いっそ今のうちに魔王を倒しては)

僧侶(隙だらけですね)

破壊神「とにもかくにもまずはご飯です!」

魔王「うぐぐ……しかし、神々は一体何を食らうというのだ」

破壊神「貴方方と同じと見て頂ければ」

魔王「良し、ならばドラゴンだ! 極上のドラゴン肉を使え!」

破壊神「あ、ドラゴンとか普通の食材なんで」

魔王「えっ」

勇魔僧「えっ」

9: 2013/03/09(土) 21:36:56.25 ID:oeFfzOXm0
破壊神「むしろ上位のドラゴンほど天界には多いですからね」

破壊神「サウザンドドラゴンはそこそこ珍しいですが、月に一回は食べますよ」

魔王「千年竜が月一で食われるだと?!」

勇者「天界やべぇ」

魔法「流石は天界ね」

僧侶「これ……私達でお食事を提供すれば、こちらについてくれるのでは?」

勇者「だが俺達が持っている食材なんて、近くで獲れたヒグマの肉ぐらいだぞ」

破壊神「ヒグマ! 食べた事が無い! 食べたい!!」クワッ

魔王「えっ!?」

12: 2013/03/09(土) 21:41:00.82 ID:oeFfzOXm0
破壊神「ヒグマ♪ ヒグマ♪」

魔王「ま、待て考え直せ! そ、そうだ。世界樹の実なんてのはどうだ」

破壊神「何時でも食べられる」

魔王「ぬ、主だ! 山の主の肉ならどうだ!」

破壊神「主の世代交代時、先代主はその血肉を神に捧げるものです」

破壊神「第一、主を殺めてもらっても困ります。彼らは山の安寧を司る者達ですよ」

魔王「ぐぬぬ」

勇者「すげースケールでかい話をしているな……」

魔法「クマ肉鍋できましたよー」

魔王「あっ」

14: 2013/03/09(土) 21:46:29.39 ID:/lN+7wKY0
シドーじゃないのか

15: 2013/03/09(土) 21:46:31.39 ID:oeFfzOXm0
破壊神「おいひい!」モッギュモッギュ

魔王「……え、と。まさかそちらにつくのか」

破壊神「ふぅ……ご馳走様でした。そうだね。ご飯くれたしね」

魔法「それはそれで困る」

僧侶「どうしましょう……勇者様」

勇者「それじゃあ繰り越しってできます?」

勇者「何らかのアイテムで儀式無し召喚、でお食事を用意した上で何か願いを聞いてもらう」

破壊神「そうですね……では貴方の血に印をつけておきます。貴方のみ祈る事で私の召喚を行えるものとしましょう」

破壊神「亡くなられた場合その血を引く者、最もその血が濃い子孫にこの権利が移行、あたりでよろしいでしょうか?」

勇者「それでお願いします。これでいざとなったら世界の八分の一と引き換えに魔王軍を消滅させられますので」

魔王「えっ」

17: 2013/03/09(土) 21:49:07.90 ID:oeFfzOXm0
破壊神「では私はこれで。皆さんお元気で」フリフリ

魔法「さようならー」フリフリ

僧侶「曲りなりにも神にお会いできた今日の日、一生忘れません」フリフリ

勇者「……」フリフリ

魔王「……」

勇者「どうする? 諦めてくれる?」

魔王「あ、はい。魔族魔物共々引きこもって生活させて頂きます」


こうして魔王軍は鎮圧され、世界に平和が訪れたという。めでためでたし

23: 2013/03/09(土) 21:58:14.27 ID:oeFfzOXm0
数百年後
魔王「かつて、先祖は過ちを犯し人間達に降伏した」

魔王「破壊神降臨の儀式の手順も失われた」

魔王「しかぁし! 今その儀式を復活させ、奴ら人間には破壊神に関する知識を失った今!」

魔王「最早、我を止める術も無い! 破壊神を降し、世界全てを破壊し尽くしてくれよう!!」


勇者「そこまでだ魔王! 貴様を倒す!」

魔王「ふっ……果たして我が降臨の儀式を止められるか!!」

24: 2013/03/09(土) 22:02:13.73 ID:oeFfzOXm0
戦士「とりゃあ!」

賢者「くらええ!」

勇者「止めだ!!」

魔王「ぐああああ!!!」

勇者「魔王、お前の目論見はここまでだ!」

魔王「ぐ、ぐふふ……負けたのはお前だ……」

勇者「なに?!」

賢者「この魔力は……この部屋全体に魔法陣が?!」

魔王「我が命と引き換えに……全てを滅ぼせ! 破壊神よ!!」カッ

破壊神「我が名は破壊神……全てを破壊し混沌へと導く者」

戦士「くそ……こいつ、自分が負ける事で!」

25: 2013/03/09(土) 22:06:38.52 ID:oeFfzOXm0
破壊神「お前達は何者だ」

賢者「なんて威圧感だ……! こんな……止める事など!」

戦士「こうなったら四の五は無しだ! 全力で止め」

勇者「俺達は貴女様を召喚した者でございます!」

戦士「お、おい勇者! 何を!!」

破壊神「……そこに転がっている者はなんだ?」

勇者「生贄です!!」

賢者(なるほど、その手があったか!)

破壊神(あれ? ただの供物だけで良かったはずなのに、一体どう曲解されているのだろう)

26: 2013/03/09(土) 22:11:23.47 ID:oeFfzOXm0
破壊神「よろしい、我の力で叶えられる願いであれば一つ聞き届けよう」

破壊神「しかし条件があります。降臨において多大なるエネルギーを使ってしまう為」

破壊神「お前達に夕餉を賄ってもらう」クワッ

破壊神(と言っておけば、人間界の食材が食べられる!)カッ

戦士「ゆ、夕餉?!」

賢者「しかし我々に神々に捧げられる物など……手持ちも猪肉しか」

破壊神「猪! 猪肉! 猪鍋! 食べたい!」クワッ

戦賢「えっ?!」

27: 2013/03/09(土) 22:11:38.87 ID:KVK6Ogti0
勇者機転利くなw

29: 2013/03/09(土) 22:13:47.69 ID:oeFfzOXm0
破壊神「ああ……美味しかった」

賢者「しかし願いはどうすのです?」ヒソヒソ

勇者「魔王城消し飛ばしてもらおう。新しい魔王ってここに現れるんだろう?」ヒソヒソ

戦士「お、そりゃあいいな」

勇者「破壊神よ、我らの願いを聞き届けよ」

破壊神「はい、なんでしょう」

戦士「口調が……」

賢者「これが素なのですか」

31: 2013/03/09(土) 22:17:07.89 ID:oeFfzOXm0
破壊神「なるほど……ここを」

破壊神「私はかつて世界創造時に世界を破壊した者として破壊神と名乗っています」

破壊神「物理的な破壊というよりも、世界のその空間の存在の破壊……」

破壊神「破壊した空間は捻じ曲がり、その場所には到底行き着く事はできないでしょう」

賢者「……何と」

戦士「よく分かんねーが流石神様って事か?」

勇者「俺たちに人間の理解では到底計り知れない事だな」

32: 2013/03/09(土) 22:19:37.50 ID:oeFfzOXm0
破壊神「しかし私は成長しました。今ならば最小規模で半径2kmほどの範囲を物理的な更地にする事が可能!」

勇者「小規模で?」

破壊神「昔の私は剣一振りで世界の八分の一が消し飛びます」

戦士「やべぇ」

賢者「名に相応しい力ですね」

破壊神「では城から避難しましょうか」


そうして魔王城は消し飛んだ。
しかしその跡地に近づこうとも、時に近づけず、時に気づいた時には通り過ぎていた。
これが空間が捻じ曲がるという事なのだろう。

破壊神はてへぺろと言いつつ姿を消し、世界に平和が訪れた。めでたしめでたし

33: 2013/03/09(土) 22:24:20.42 ID:oeFfzOXm0
数百年後
神官「この世界は狂っている……だからこそ、私は調べつくした!」

神官「この世界を壊すべく! 破壊神を降臨させる儀式を!!」

勇者「そこまでだ!!」

剣士「見損ないましたよ! 大聖堂に仕える貴方がこのような事!」

騎士「貴様を生かすわけにはいかない!」

神官「無駄だ! 既に降臨の儀式は終わった! 出でよ、破壊神!!」

破壊神「我が名は破壊神……全てを破壊し混沌へと導く者」

騎士「く……この威圧感!」

剣士「どうする……勇者様! このままでは!」

勇者「……」ギリッ

35: 2013/03/09(土) 22:26:44.72 ID:oeFfzOXm0
剣士「……あどけない少女のような姿をした者が……破壊神だなんて」

騎士「せめて神官だけでも!」バッ

破壊神「我の力で叶えられる願いであれば一つ聞き届けよう」

神官「これでお前達も終わりだぁ!!」

神官「神よ! この世界全てを壊」

勇者「破壊神さまのスパッツおくれ!!」

神官「えっ」

剣騎「えっ」

破壊神「えっ」

39: 2013/03/09(土) 22:30:16.56 ID:oeFfzOXm0
         嫌な事
破壊神(羞恥心   労働)ファイ

破壊神(……)

破壊神(羞恥心 < 労働)カァンカァンカァン

破壊神「わ、分かった……その願い聞き届けよう」0.5sec

勇者「ひゃっふぅぅぅい!!」

神剣騎(えーーー!!)

40: 2013/03/09(土) 22:33:06.23 ID:oeFfzOXm0
破壊神「ね、願いを聞き届ける代わりに、降臨時に消耗したエネルギー回収の為」

破壊神「夕餉を賄ってもらおう」クワッ

破壊神(せめて食事だけは!!)カッ

剣士「え?!」

騎士「神に捧げる食事など……」

勇者「鹿肉料理でよろしいでしょうか?」

破壊神(!)

破壊神「ああ、それで構わない」ニマニマ

破壊神(鹿! 鹿! しーかにく!)

剣騎(凄い嬉しそうだ……)

41: 2013/03/09(土) 22:36:24.93 ID:oeFfzOXm0
破壊神「で、では、向こうを向いていてくれ」

勇者「え? なんでです? 見ない上で着替えなんて願いにいれてませんよ」

破壊神「な、生着替えを願われた訳ではないぞ!」

勇者「その通り! つまりこの二択は自由意志によって選択できるのだ!!」カッ

勇者「さあ早く! ス・パッ・ツ! ス・パッ・ツ!」

破壊神「ぐぬぬ」

43: 2013/03/09(土) 22:44:10.49 ID:oeFfzOXm0
勇者「フハー! フハー!」クンカクンカ

破壊神(食事してから脱げば良かったぁ!)カァァ

勇者「ではこちらの鹿肉のラザーニャでございます」

剣士「どうやって作った」

騎士「今までの我々の食事はなんだったのか」


剣士と騎士が神官は倒しているところを尻目に、破壊神は勇者の媚薬入りラザーニャを堪能した。
勇者はここぞとばかりに破壊神をペロペロし、天罰として落とされた雷で炭と化したがその顔は大層満足そうであったと言う。

そうして世界に平和が訪れた。おしまい

44: 2013/03/09(土) 22:45:40.11 ID:6oKwbjDO0
勇者料理得意なんだなwww

引用元: 勇者「魔王覚悟!!」魔王「破壊神降臨の儀式は既に終わっておる!」