1:2018/08/12(日) 06:24:57.379
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
郡司雄一(42) ピン芸人
【有名人になりたい男】
ホーッホッホッホ……。」
ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。
さて、今日のお客様は……。
郡司雄一(42) ピン芸人
【有名人になりたい男】
ホーッホッホッホ……。」
2:2018/08/12(日) 06:27:16.734
ある地方都市。駅の近くの大型パチンコ店。店の前には、「郡司雄一さん来店!!」と書かれた立て札がある。
パチンコ店の特設ステージに立ち、大がかりな身振り手振りでギャグを演じる一人の芸人。
彼は、濃い目鼻立ちの四角い顔でジャージを着た男だ。
テロップ「郡司雄一(42) ピン芸人・YouTuber」
郡司を見つめる客たち。店内にいる底辺層の客たちでさえ、憐みの表情で郡司を見つめている。
客たちの声「あいつ、パチンコ屋のドサ回りしてたのか」「ブレイクしないままこれじゃあ、終わってるな」
1か月後。あるショッピングモール。この日は休日であり、店内は家族連れの買い物客でにぎわっている。
店内の特設ステージ。壇上では、ジャージ姿の郡司雄一がいつもの持ちネタを演じている。
ステージの周りにいる客たちは、郡司のギャグを見て大笑いしている。
店内の遠くの方から、ステージにいる郡司を一人の男が見ている。その男は、そう――。喪黒福造だ。
パチンコ店の特設ステージに立ち、大がかりな身振り手振りでギャグを演じる一人の芸人。
彼は、濃い目鼻立ちの四角い顔でジャージを着た男だ。
テロップ「郡司雄一(42) ピン芸人・YouTuber」
郡司を見つめる客たち。店内にいる底辺層の客たちでさえ、憐みの表情で郡司を見つめている。
客たちの声「あいつ、パチンコ屋のドサ回りしてたのか」「ブレイクしないままこれじゃあ、終わってるな」
1か月後。あるショッピングモール。この日は休日であり、店内は家族連れの買い物客でにぎわっている。
店内の特設ステージ。壇上では、ジャージ姿の郡司雄一がいつもの持ちネタを演じている。
ステージの周りにいる客たちは、郡司のギャグを見て大笑いしている。
店内の遠くの方から、ステージにいる郡司を一人の男が見ている。その男は、そう――。喪黒福造だ。
3:2018/08/12(日) 06:29:16.135
数日後。東京、上野公園。
公園の広場で、普段着姿の郡司が何かのアイドルソングに合わせながら踊っている。
彼の側には、ビデオカメラを乗せた三脚と、音楽を流しているノートパソコンがある。
郡司は、音楽を踊る姿を公園で自ら撮影しているようだ。
公園にいる喪黒福造が、遠くの方で踊っている郡司雄一の姿を見つける。
郡司の方へと近づく喪黒。踊りに夢中になっている郡司は、喪黒の存在にまだ気づいていない。
喪黒は郡司の踊りを眺めている。
音楽の再生が完了するとともに、踊りを終える郡司。喪黒は郡司に拍手をする。
喪黒「いやぁ、動きにキレがあっていい踊りっぷりでしたねぇ。郡司雄一さん」
郡司「あ、あなた……。俺が郡司雄一やと知っとるんですか!?」
喪黒「この間ショッピングモールにいた芸人さんと、あなたの顔がなぜか一致していたので……」
「まさかと思って声をかけてみたら……というわけですよ」
郡司「そ、そうですか……」
公園の広場で、普段着姿の郡司が何かのアイドルソングに合わせながら踊っている。
彼の側には、ビデオカメラを乗せた三脚と、音楽を流しているノートパソコンがある。
郡司は、音楽を踊る姿を公園で自ら撮影しているようだ。
公園にいる喪黒福造が、遠くの方で踊っている郡司雄一の姿を見つける。
郡司の方へと近づく喪黒。踊りに夢中になっている郡司は、喪黒の存在にまだ気づいていない。
喪黒は郡司の踊りを眺めている。
音楽の再生が完了するとともに、踊りを終える郡司。喪黒は郡司に拍手をする。
喪黒「いやぁ、動きにキレがあっていい踊りっぷりでしたねぇ。郡司雄一さん」
郡司「あ、あなた……。俺が郡司雄一やと知っとるんですか!?」
喪黒「この間ショッピングモールにいた芸人さんと、あなたの顔がなぜか一致していたので……」
「まさかと思って声をかけてみたら……というわけですよ」
郡司「そ、そうですか……」
5:2018/08/12(日) 06:30:38.653 ID:J4LFlqlAr.net
江頭2:50「ドーン!!」
6:2018/08/12(日) 06:31:14.928
喪黒「さっきのダンスは、今流行りの『踊ってみた』の動画の作成ですか?」
郡司「え、ええ……。そやけど……」
喪黒「もしかすると……。あなたYouTuberなんですか!?」
郡司「はい……。とは言っても、まだ駆け出しで動画のアクセス数も低いですけどね……」
喪黒「あなたもどうやら……、いろいろ悩みがあるようですねぇ」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
郡司「……ココロのスキマ、お埋めします?」
喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」
郡司「ふうん……。おもろいおっさんやなぁ……」
BAR「魔の巣」。喪黒と群司が席に腰掛けている。
喪黒「郡司さんは大阪で生まれ育ったのですか……。道理で、標準語のアクセントに訛りがありますねぇ」
郡司「まあ……。東京に住むようになってから、いつもこう言われるんですよね。俺……」
郡司「え、ええ……。そやけど……」
喪黒「もしかすると……。あなたYouTuberなんですか!?」
郡司「はい……。とは言っても、まだ駆け出しで動画のアクセス数も低いですけどね……」
喪黒「あなたもどうやら……、いろいろ悩みがあるようですねぇ」
喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。
郡司「……ココロのスキマ、お埋めします?」
喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」
郡司「ふうん……。おもろいおっさんやなぁ……」
BAR「魔の巣」。喪黒と群司が席に腰掛けている。
喪黒「郡司さんは大阪で生まれ育ったのですか……。道理で、標準語のアクセントに訛りがありますねぇ」
郡司「まあ……。東京に住むようになってから、いつもこう言われるんですよね。俺……」
7:2018/08/12(日) 06:33:12.238
喪黒「あなたは、東京暮らしに慣れていないようですねぇ。東京の価値観に対する違和感……」
「それだけでなしに、大阪での価値観や流儀が通用しないことに対するもどかしさ……」
郡司「ええ、全く……。日ごろからそれ、ごっつう感じてますよ」
「それよりむしろね……。大阪でのお笑いの価値観ややり方が、東京では受け入れてもろへん……」
「このことが何よりも歯がゆいし……。辛いんですわ……」
喪黒「確か郡司さんは……。大阪の吉崎興業での活動を経て、東京に拠点を移したんですよねぇ」
郡司「はい。2010年代初頭にP-1ぐらんぷりで優勝し、意気揚々と東京に進出してきたんですけどね……」
喪黒「でも……。東京に来てからは全く鳴かず飛ばずの状態が続いて、今に至っている……と」
郡司「そうですよ……。テレビとかメディア関係の仕事は、ほとんどと言っていいほどなく……」
「その代わり、ショッピングモールやパチンコ屋のドサ回りで食いつなぐ有様……」
喪黒「……とはいえ。この間、ショッピングモールで漫才をしているあなたは生き生きしていましたよ」
「さすが、芸人さんですよねぇ。人を楽しませることを仕事としているだけあって……」
郡司「そりゃあ……。一瞬でも俺の芸が誰かに注目され、認められたらうれしいですよ」
「俺はガキのころから、人前で目立つのが好きでしたし……」
「学校でも俺は、一発芸とかやって同級生や担任をよく笑わしてましたよ」
「それだけでなしに、大阪での価値観や流儀が通用しないことに対するもどかしさ……」
郡司「ええ、全く……。日ごろからそれ、ごっつう感じてますよ」
「それよりむしろね……。大阪でのお笑いの価値観ややり方が、東京では受け入れてもろへん……」
「このことが何よりも歯がゆいし……。辛いんですわ……」
喪黒「確か郡司さんは……。大阪の吉崎興業での活動を経て、東京に拠点を移したんですよねぇ」
郡司「はい。2010年代初頭にP-1ぐらんぷりで優勝し、意気揚々と東京に進出してきたんですけどね……」
喪黒「でも……。東京に来てからは全く鳴かず飛ばずの状態が続いて、今に至っている……と」
郡司「そうですよ……。テレビとかメディア関係の仕事は、ほとんどと言っていいほどなく……」
「その代わり、ショッピングモールやパチンコ屋のドサ回りで食いつなぐ有様……」
喪黒「……とはいえ。この間、ショッピングモールで漫才をしているあなたは生き生きしていましたよ」
「さすが、芸人さんですよねぇ。人を楽しませることを仕事としているだけあって……」
郡司「そりゃあ……。一瞬でも俺の芸が誰かに注目され、認められたらうれしいですよ」
「俺はガキのころから、人前で目立つのが好きでしたし……」
「学校でも俺は、一発芸とかやって同級生や担任をよく笑わしてましたよ」
8:2018/08/12(日) 06:35:33.904
喪黒「当然、郡司さんは小さいころからお笑い芸人になることを夢見ていたでしょう」
郡司「そうですよ。高校卒業後、俺は吉崎興業に入門し、プロのお笑い芸人になることを目指してきました」
喪黒「そういった努力のかいもあってか……。あなたは関西のメディアで様々な番組に出演するようになり……」
「ピン芸人のコンテストでも優勝することができましたねぇ」
郡司「今思えば……。P-1ぐらんぷりの優勝が俺の人生のピークでしたよ」
喪黒「でも、このまま芸人として終わりたくないでしょう!?」
郡司「もちろんですよ!!このまま埋もれていくのは嫌ですよ!!」
「誰よりも目立ちたい、おもろいと言われたい、それが俺の願いですよ!!」
喪黒「なるほど。……だとすると、あなたがYouTuberとして活動を始めたのも、芸人として注目されるためですか!?」
郡司「まあ、そやけど……。俺がYouTuberになったんは……、ある人に勧められたのがきっかけなんです」
喪黒「……というのは?」
郡司「道を歩いていた時、たまたま売れっ子のYouTuberに声をかけられたんですわ」
「『YouTuberは儲かる』『これからはYouTuberの時代や』『ネットで天下を取れれば、メディアも注目してくれる』と」
「それ聞いて、よっしゃ俺もやったろかと思いましたよ。YouTuberとして成功すれば、俺は東京で一花咲かせられる……」
「それどころか……。メディアに注目されて、全国区で俺はスターになれる……と」
郡司「そうですよ。高校卒業後、俺は吉崎興業に入門し、プロのお笑い芸人になることを目指してきました」
喪黒「そういった努力のかいもあってか……。あなたは関西のメディアで様々な番組に出演するようになり……」
「ピン芸人のコンテストでも優勝することができましたねぇ」
郡司「今思えば……。P-1ぐらんぷりの優勝が俺の人生のピークでしたよ」
喪黒「でも、このまま芸人として終わりたくないでしょう!?」
郡司「もちろんですよ!!このまま埋もれていくのは嫌ですよ!!」
「誰よりも目立ちたい、おもろいと言われたい、それが俺の願いですよ!!」
喪黒「なるほど。……だとすると、あなたがYouTuberとして活動を始めたのも、芸人として注目されるためですか!?」
郡司「まあ、そやけど……。俺がYouTuberになったんは……、ある人に勧められたのがきっかけなんです」
喪黒「……というのは?」
郡司「道を歩いていた時、たまたま売れっ子のYouTuberに声をかけられたんですわ」
「『YouTuberは儲かる』『これからはYouTuberの時代や』『ネットで天下を取れれば、メディアも注目してくれる』と」
「それ聞いて、よっしゃ俺もやったろかと思いましたよ。YouTuberとして成功すれば、俺は東京で一花咲かせられる……」
「それどころか……。メディアに注目されて、全国区で俺はスターになれる……と」
9:2018/08/12(日) 06:37:55.255
喪黒「これは、まさしく大胆な賭けでしょうなぁ」
郡司「そうですよ!!YouTuberになることは、俺が芸人として全国区でブレイクするための大博打ですよ!!」
喪黒「あなたはYouTuberとして有名人になりたいでしょう?」
郡司「俺には、もうそれしかありません!!」
「今はまだ、俺が作った動画の再生回数は少ないけど……。これから、ぎょうさん増やして見せますさかい!!」
「楽しみにしといてください!!」
喪黒「気に入りました……!どんなことがあっても諦めず、夢を持ち続ける気持ち……」
「そんなあなたを私が手助けしましょう!!」
郡司「え!?その話、ホンマですか!?」
喪黒「本当ですよ。詳しい話は明日です。明日、必ず会いましょう」
翌日。ビル街。喪黒と郡司は建物の中のある部屋にいる。部屋の中には、業務用のライトとカメラがいくつも並んでいる。
喪黒「ここはレンタルルームです。YouTubeの動画撮影のためのスタジオとして使います」
郡司「広くて綺麗な部屋ですね……。それに、動画撮影のための機材が多く揃っている……」
喪黒「この部屋は、あなた専用の部屋として用意しておきました」
郡司「そうですよ!!YouTuberになることは、俺が芸人として全国区でブレイクするための大博打ですよ!!」
喪黒「あなたはYouTuberとして有名人になりたいでしょう?」
郡司「俺には、もうそれしかありません!!」
「今はまだ、俺が作った動画の再生回数は少ないけど……。これから、ぎょうさん増やして見せますさかい!!」
「楽しみにしといてください!!」
喪黒「気に入りました……!どんなことがあっても諦めず、夢を持ち続ける気持ち……」
「そんなあなたを私が手助けしましょう!!」
郡司「え!?その話、ホンマですか!?」
喪黒「本当ですよ。詳しい話は明日です。明日、必ず会いましょう」
翌日。ビル街。喪黒と郡司は建物の中のある部屋にいる。部屋の中には、業務用のライトとカメラがいくつも並んでいる。
喪黒「ここはレンタルルームです。YouTubeの動画撮影のためのスタジオとして使います」
郡司「広くて綺麗な部屋ですね……。それに、動画撮影のための機材が多く揃っている……」
喪黒「この部屋は、あなた専用の部屋として用意しておきました」
10:2018/08/12(日) 06:40:12.715
郡司「いやぁ、俺のためにわざわざここまでしてくれるなんて……」
喪黒「これは、あなたが芸人としてブレイクすることを願う私の気持ちです」
「あと……。あなたのために、ちょうどいいものがありますよ」
喪黒が鞄から取り出したものは、透明な瓶の中に詰まった黄色の錠剤だ。
郡司「これは……!?」
喪黒「特殊な薬ですよ。名前は『スポットライト錠』です」
郡司「スポットライト錠!?」
喪黒「そうです。名前の通り、この錠剤を飲むと、周りにいる人たちから注目される効果が発揮されます」
「『スポットライト錠』には、他人や周囲の人間を自分に引きつける作用があるのです」
郡司「変わった薬ですねぇ……。でも、依存性とか大丈夫なんですか?」
喪黒「大丈夫です。覚醒剤や麻薬なんかと違って、依存性は一切ありません」
郡司「この薬の効き目が本物なら……。俺はYouTuberとしても芸人としても……」
喪黒「間違いなく有名になれます」
「その代わり……、服用の際は約束を守ってください。この錠剤の服用は1日に1錠が限度です」
郡司「わ、分かりました……」
喪黒「これは、あなたが芸人としてブレイクすることを願う私の気持ちです」
「あと……。あなたのために、ちょうどいいものがありますよ」
喪黒が鞄から取り出したものは、透明な瓶の中に詰まった黄色の錠剤だ。
郡司「これは……!?」
喪黒「特殊な薬ですよ。名前は『スポットライト錠』です」
郡司「スポットライト錠!?」
喪黒「そうです。名前の通り、この錠剤を飲むと、周りにいる人たちから注目される効果が発揮されます」
「『スポットライト錠』には、他人や周囲の人間を自分に引きつける作用があるのです」
郡司「変わった薬ですねぇ……。でも、依存性とか大丈夫なんですか?」
喪黒「大丈夫です。覚醒剤や麻薬なんかと違って、依存性は一切ありません」
郡司「この薬の効き目が本物なら……。俺はYouTuberとしても芸人としても……」
喪黒「間違いなく有名になれます」
「その代わり……、服用の際は約束を守ってください。この錠剤の服用は1日に1錠が限度です」
郡司「わ、分かりました……」
11:2018/08/12(日) 06:42:19.431
喪黒「まずは、手始めに『スポットライト錠』を服用してください」
「それから……、スタジオでピン芸人としてのいつもの芸を撮影するのです」
郡司「それだけでええんですか!?」
喪黒「はい。簡単なやり方ですよ」
郡司「よーし!じゃあ、さっそく……」
喪黒「水も用意しておきましょう」
鞄からミネラルウォーターのペットボトルを出し、郡司の前に用意する喪黒。
郡司は『スポットライト錠』を水とともに飲み干す。
スタジオ内で身振り手振りを交え、ピン芸人としての持ちネタを演じる郡司。
いつものジャージ姿とは違い、普段着で郡司はギャグを演じている。そんな郡司を見守る喪黒。
芸を終えた郡司に、喪黒は拍手する。
喪黒「面白かったですよ」
郡司「ど、どうも……」
「それから……、スタジオでピン芸人としてのいつもの芸を撮影するのです」
郡司「それだけでええんですか!?」
喪黒「はい。簡単なやり方ですよ」
郡司「よーし!じゃあ、さっそく……」
喪黒「水も用意しておきましょう」
鞄からミネラルウォーターのペットボトルを出し、郡司の前に用意する喪黒。
郡司は『スポットライト錠』を水とともに飲み干す。
スタジオ内で身振り手振りを交え、ピン芸人としての持ちネタを演じる郡司。
いつものジャージ姿とは違い、普段着で郡司はギャグを演じている。そんな郡司を見守る喪黒。
芸を終えた郡司に、喪黒は拍手する。
喪黒「面白かったですよ」
郡司「ど、どうも……」
12:2018/08/12(日) 06:44:28.959
スタジオを出て街を歩く郡司。
歩道を歩いている人たちが、チラリチラリと郡司の方を見つめる。
郡司(ひょっとして、俺……。通行人から注目されているんか……!?)
若い女性の歩行者が郡司を一瞥する。
郡司(おおっ、これは……。この雰囲気……)
(若い女が俺のところへ寄ってきて、『郡司さん、私、あなたのファンです』と言いそうな感じ……)
(……な、わけないやろ!!俺、長い間テレビに出とらんさかい……。一般人は、俺が芸人だなんて知らんやろが!!)
その次の日。郡司が住むアパート。机の上にあるノートパソコンの画面を見つめる郡司。
郡司「さてと……。昨日、例のスタジオで撮影した俺の動画の撮影回数は……。ろ、66万回を超えとるっ……!!」
喪黒が保有するレンタルスタジオで撮影したあの映像――。動画のコメント欄には、郡司を称賛する書き込みがいくつもある。
コメント欄「面白かった!!!」「これを見ると、嫌なこと忘れそう」「グンさん、頑張ってください!応援してます!」
郡司「お、俺が注目されとる……!!みんなから、おもろいと言われとる……!!」
「ひょっとすると……。お、俺にも運が回ってきたのかもしれんな……!!」
歩道を歩いている人たちが、チラリチラリと郡司の方を見つめる。
郡司(ひょっとして、俺……。通行人から注目されているんか……!?)
若い女性の歩行者が郡司を一瞥する。
郡司(おおっ、これは……。この雰囲気……)
(若い女が俺のところへ寄ってきて、『郡司さん、私、あなたのファンです』と言いそうな感じ……)
(……な、わけないやろ!!俺、長い間テレビに出とらんさかい……。一般人は、俺が芸人だなんて知らんやろが!!)
その次の日。郡司が住むアパート。机の上にあるノートパソコンの画面を見つめる郡司。
郡司「さてと……。昨日、例のスタジオで撮影した俺の動画の撮影回数は……。ろ、66万回を超えとるっ……!!」
喪黒が保有するレンタルスタジオで撮影したあの映像――。動画のコメント欄には、郡司を称賛する書き込みがいくつもある。
コメント欄「面白かった!!!」「これを見ると、嫌なこと忘れそう」「グンさん、頑張ってください!応援してます!」
郡司「お、俺が注目されとる……!!みんなから、おもろいと言われとる……!!」
「ひょっとすると……。お、俺にも運が回ってきたのかもしれんな……!!」
13:2018/08/12(日) 06:48:24.251
その後、調子に乗って数々の自作動画をYouTubeにUPする郡司。
1990年代に流行ったテレビゲームの実況動画……。知り合いの芸人たちとのおにぎりの早食い動画……。
ロボットのプラモを組み立てる実況動画……。有名なアニメの主人公のコスプレを披露する動画……。
彼が作成した動画はどれも再生回数が100万回を超えている。
当然、喪黒が用意したレンタルスタジオで、『スポットライト錠』を使用してから動画撮影に臨んでいる。
アパート。部屋でノートパソコンの画面を見つめる郡司。
郡司「よし……、俺はYouTuberとして着々と有名になりつつあるな!!」
「じゃあ……、今度は野外で手の込んだ動画を作ってみるか!!」
郡司があげた新しい動画――。タイトルは「ソロキャンプやってみた」だ。
動画には、山の中で郡司がカレーライスを作る映像が映っている。
コメント欄「グンさん、料理上手だな」「マニアックでおもしれーw」
BAR「魔の巣」。喪黒と郡司が席に腰掛けている。
喪黒「どうです、郡司さん。YouTuberの仕事はうまくいっているでしょう!?」
1990年代に流行ったテレビゲームの実況動画……。知り合いの芸人たちとのおにぎりの早食い動画……。
ロボットのプラモを組み立てる実況動画……。有名なアニメの主人公のコスプレを披露する動画……。
彼が作成した動画はどれも再生回数が100万回を超えている。
当然、喪黒が用意したレンタルスタジオで、『スポットライト錠』を使用してから動画撮影に臨んでいる。
アパート。部屋でノートパソコンの画面を見つめる郡司。
郡司「よし……、俺はYouTuberとして着々と有名になりつつあるな!!」
「じゃあ……、今度は野外で手の込んだ動画を作ってみるか!!」
郡司があげた新しい動画――。タイトルは「ソロキャンプやってみた」だ。
動画には、山の中で郡司がカレーライスを作る映像が映っている。
コメント欄「グンさん、料理上手だな」「マニアックでおもしれーw」
BAR「魔の巣」。喪黒と郡司が席に腰掛けている。
喪黒「どうです、郡司さん。YouTuberの仕事はうまくいっているでしょう!?」
15:2018/08/12(日) 06:50:39.433
郡司「ええ、予想以上の成功ですよ!!この間、撮影した動画は再生回数が300万回を超えました!!」
喪黒「よかったですなぁ、郡司さん」
郡司「喪黒さんと出会っていなかったら……。俺は今も、うだつの上がらないピン芸人のままでした」
「でも……、今はYouTuberとして売れっ子となり……。動画の収入のおかげで食っていくことができます!!」
喪黒「『スポットライト錠』の効果は本物でしょう!?」
郡司「そりゃあ、もう……。この間、街の中を歩いていた時……、大学生が俺に声をかけてくれたんです」
「『ファンです。郡司さんの動画、毎日見ています』……と」
喪黒「あなたにとっては、さぞかしうれしかったでしょうなぁ……」
郡司「もちろんですよ……!」
喪黒「何しろ、あなたは誰よりも目立つことが大好きなお方ですからねぇ……」
「ですがね……。あまり注目されすぎると普段通りの生活がし辛くなりますから」
「目立つのは、ほどほどにしておいた方がいいですよ」
郡司「そうは言ってはいられないですよ。もっともっと目立って……。動画で日本一の再生回数を目指しますから!!」
喪黒「よかったですなぁ、郡司さん」
郡司「喪黒さんと出会っていなかったら……。俺は今も、うだつの上がらないピン芸人のままでした」
「でも……、今はYouTuberとして売れっ子となり……。動画の収入のおかげで食っていくことができます!!」
喪黒「『スポットライト錠』の効果は本物でしょう!?」
郡司「そりゃあ、もう……。この間、街の中を歩いていた時……、大学生が俺に声をかけてくれたんです」
「『ファンです。郡司さんの動画、毎日見ています』……と」
喪黒「あなたにとっては、さぞかしうれしかったでしょうなぁ……」
郡司「もちろんですよ……!」
喪黒「何しろ、あなたは誰よりも目立つことが大好きなお方ですからねぇ……」
「ですがね……。あまり注目されすぎると普段通りの生活がし辛くなりますから」
「目立つのは、ほどほどにしておいた方がいいですよ」
郡司「そうは言ってはいられないですよ。もっともっと目立って……。動画で日本一の再生回数を目指しますから!!」
16:2018/08/12(日) 06:52:50.800
新宿区。吉崎興業東京本社(東京吉崎)。マネージャーと郡司が会話している。
マネージャー「グンさん。最近のお前、ネットではかなり人気があるようやな……」
郡司「いやぁ、それほどでも……」
マネージャー「そんなグンさんに朗報や。東京各地での劇場の仕事と、テレビの出演の依頼も入っておる……」
郡司「ほ、ホンマですか……」
マネージャー「ああ……。YouTuberとして着実に人気を積み重ねたおかげで……」
「どうやら、お前は本格的に東京でメディアデビューできそうやなぁ」
お台場。ワシテレビ。控室の中にいる郡司。
番組撮影を控えた郡司は、ピン芸人としての服装であるジャージ姿に着替えている。
郡司「うーーっ、緊張するなぁ……」
郡司はズボンのポケットから、『スポットライト錠』が入った瓶を取り出す。
郡司「これはさっき1回飲んでいるけど……。景気づけや!もう1錠いくか!」
郡司は、スポットライト錠をさらに1錠服用する。
マネージャー「グンさん。最近のお前、ネットではかなり人気があるようやな……」
郡司「いやぁ、それほどでも……」
マネージャー「そんなグンさんに朗報や。東京各地での劇場の仕事と、テレビの出演の依頼も入っておる……」
郡司「ほ、ホンマですか……」
マネージャー「ああ……。YouTuberとして着実に人気を積み重ねたおかげで……」
「どうやら、お前は本格的に東京でメディアデビューできそうやなぁ」
お台場。ワシテレビ。控室の中にいる郡司。
番組撮影を控えた郡司は、ピン芸人としての服装であるジャージ姿に着替えている。
郡司「うーーっ、緊張するなぁ……」
郡司はズボンのポケットから、『スポットライト錠』が入った瓶を取り出す。
郡司「これはさっき1回飲んでいるけど……。景気づけや!もう1錠いくか!」
郡司は、スポットライト錠をさらに1錠服用する。
17:2018/08/12(日) 06:55:22.080
バラエティー番組の撮影。番組の特集コーナーで、売れっ子YouTuberとなった郡司雄一のことが扱われる。
撮影でインタビューに応じる郡司。彼の姿は、売れなかったころと違い貫禄のあるものだ。
さらに、ひな壇でピン芸人として一発芸を行う郡司。郡司の芸を見て、出演者たちが爆笑する。
番組撮影を終え、普段着になった郡司。彼は、帰り道で今まで以上の注目を受ける。
歩道で通行人からサインをせがまれる郡司。電車の中で、女子高生から握手攻めにあう郡司。
そして、郡司がアパートの側に近づいたその時……。彼のジャケットの中のスマホが鳴る。
郡司「もしもし、郡司です」
スマホ「あのー、すみません。実は私、『週刊文隆』の者なんですけど……」
週刊誌の記者から話を聞くうちに、郡司の顔色はみるみる青ざめていく。通話を終え、スマホを握りしめる郡司。
郡司「明日の『週刊文隆』に……。俺の過去のことが載るんか……!?」
再び郡司のスマホが鳴る。
スマホ「郡司さんですか?あのー、私……。『週刊新春』の者ですが……」
撮影でインタビューに応じる郡司。彼の姿は、売れなかったころと違い貫禄のあるものだ。
さらに、ひな壇でピン芸人として一発芸を行う郡司。郡司の芸を見て、出演者たちが爆笑する。
番組撮影を終え、普段着になった郡司。彼は、帰り道で今まで以上の注目を受ける。
歩道で通行人からサインをせがまれる郡司。電車の中で、女子高生から握手攻めにあう郡司。
そして、郡司がアパートの側に近づいたその時……。彼のジャケットの中のスマホが鳴る。
郡司「もしもし、郡司です」
スマホ「あのー、すみません。実は私、『週刊文隆』の者なんですけど……」
週刊誌の記者から話を聞くうちに、郡司の顔色はみるみる青ざめていく。通話を終え、スマホを握りしめる郡司。
郡司「明日の『週刊文隆』に……。俺の過去のことが載るんか……!?」
再び郡司のスマホが鳴る。
スマホ「郡司さんですか?あのー、私……。『週刊新春』の者ですが……」
19:2018/08/12(日) 06:57:35.406
数日後。外で、テレビ局の記者たちやカメラマンたちに追いかけられる郡司。
記者たち「郡司さん!!郡司さん!!待ってください!!」 郡司「か……、勘弁してえや!!」
街の中を必死で逃げ惑う郡司。彼が道の角を曲がると、そこには喪黒福造がいる。
喪黒「郡司さん、こっちです!!」 喪黒に言われるまま、郡司は後をついていく。無我夢中で走る郡司。
気がつくと、2人は河原の砂利の上に立っているようだ。 郡司「ハアッ、ハアッ」
喪黒「何とか、マスコミの人たちを撤くことができましたよ」
郡司「も、喪黒さん……」
喪黒「どうです、有名人になった感想は……!?」
郡司「あんまりうれしくないですよ……。週刊誌が俺の過去についてあることないこと書いて以来……」
「俺の平穏な日常はすっかり失われました……。そのせいで、雑誌には俺のバッシング記事も目立ち始めましたし……」
「それどころか……。アパートの前に週刊誌やテレビの人間が張り付いていて……、俺は夜もろくに眠れないし……」
「おまけに、飯を食いに行く際も、風呂屋に行く際も、何かとマスコミの連中が取材攻めをしてくるんです……」
喪黒「郡司雄一さん……。あなた約束を破りましたね」
郡司「お、俺は……!!」
喪黒「私は言ったはずです。『スポットライト錠』の服用は1日に1錠が限度だと……」
「にも関わらずあなたは……、1日の服用の限度を超えてこの錠剤を飲みましたよねぇ!」
記者たち「郡司さん!!郡司さん!!待ってください!!」 郡司「か……、勘弁してえや!!」
街の中を必死で逃げ惑う郡司。彼が道の角を曲がると、そこには喪黒福造がいる。
喪黒「郡司さん、こっちです!!」 喪黒に言われるまま、郡司は後をついていく。無我夢中で走る郡司。
気がつくと、2人は河原の砂利の上に立っているようだ。 郡司「ハアッ、ハアッ」
喪黒「何とか、マスコミの人たちを撤くことができましたよ」
郡司「も、喪黒さん……」
喪黒「どうです、有名人になった感想は……!?」
郡司「あんまりうれしくないですよ……。週刊誌が俺の過去についてあることないこと書いて以来……」
「俺の平穏な日常はすっかり失われました……。そのせいで、雑誌には俺のバッシング記事も目立ち始めましたし……」
「それどころか……。アパートの前に週刊誌やテレビの人間が張り付いていて……、俺は夜もろくに眠れないし……」
「おまけに、飯を食いに行く際も、風呂屋に行く際も、何かとマスコミの連中が取材攻めをしてくるんです……」
喪黒「郡司雄一さん……。あなた約束を破りましたね」
郡司「お、俺は……!!」
喪黒「私は言ったはずです。『スポットライト錠』の服用は1日に1錠が限度だと……」
「にも関わらずあなたは……、1日の服用の限度を超えてこの錠剤を飲みましたよねぇ!」
22:2018/08/12(日) 07:00:14.998
郡司「だ、だって……。慣れないテレビ撮影を控えて緊張したから……!!どうしても……」
喪黒「残念ながら、もう手遅れです。『スポットライト錠』の効き目は強力ですよ」
「だから、この薬の効果があなたの身体から抜けることは2度とあり得ません」
郡司「そ、そんな……!!俺はもうこれ以上目立ちたくないし、有名になりたくないんや!!」
喪黒「まあまあ、郡司さん……。動画で日本一の再生回数を目指すという目標がまだ残っていますよ……」
喪黒は郡司に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
郡司「ギャアアアアアアアアア!!!」
喪黒のドーンを受けて疲労困憊した郡司。しばらくして彼が気がつくと、周りには若い男が何人かいる。
男たちのや服装はヒップホップ風のものだ。どうやら、彼らはカタギの人間ではなく半グレのようだ。
郡司「き、君たちは俺のファンなのか……!?」
半グレA「残念ながら……。そうじゃねぇんだよなぁ……」
半グレAが、郡司の頭に岩をぶつける。頭から血を流す郡司。
半グレB「グンさん、目立ちすぎ……。だからあんた……。ライバルのYouTuberたちや、事務所から妬まれてんだよ」
半グレBが、郡司の腹にパンチを加える。郡司はうめき声を上げる。
喪黒「残念ながら、もう手遅れです。『スポットライト錠』の効き目は強力ですよ」
「だから、この薬の効果があなたの身体から抜けることは2度とあり得ません」
郡司「そ、そんな……!!俺はもうこれ以上目立ちたくないし、有名になりたくないんや!!」
喪黒「まあまあ、郡司さん……。動画で日本一の再生回数を目指すという目標がまだ残っていますよ……」
喪黒は郡司に右手の人差し指を向ける。
喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」
郡司「ギャアアアアアアアアア!!!」
喪黒のドーンを受けて疲労困憊した郡司。しばらくして彼が気がつくと、周りには若い男が何人かいる。
男たちのや服装はヒップホップ風のものだ。どうやら、彼らはカタギの人間ではなく半グレのようだ。
郡司「き、君たちは俺のファンなのか……!?」
半グレA「残念ながら……。そうじゃねぇんだよなぁ……」
半グレAが、郡司の頭に岩をぶつける。頭から血を流す郡司。
半グレB「グンさん、目立ちすぎ……。だからあんた……。ライバルのYouTuberたちや、事務所から妬まれてんだよ」
半グレBが、郡司の腹にパンチを加える。郡司はうめき声を上げる。
23:2018/08/12(日) 07:02:48.733
半グレC「YouTuberたちにもケツ持ちがあるんだよ。だって、あいつらもシノギでやってるんだしぃ」
半グレD「俺たちは、お前が消えてほしいと思ってる事務所から雇われただけ。出る杭は打たれるんだよ、おっさん」
半グレたちは、倒れた郡司の身体に次々と蹴りを入れる。
河原で半グレたちにリンチされる郡司。彼の元へ、多くのやじ馬が詰め寄る。
さらに、テレビ局の記者たちやカメラマンたちも集まり、郡司が半グレにリンチされる様子をそのまま中継し始める。
ヤジ馬たちも、メディア関係者たちも、郡司を助けに動こうとしない。衆人環視の元、暴行を受けてボロボロになる郡司。
1週間後――。インターネット上にあるいくつかのニュースサイトの見出し。
ニュースサイト「郡司雄一さんの集団リンチ映像、YouTubeアクセス数が日本国内1位に」
「郡司さんのリンチ殺人動画、複製や拡散相次ぐ」「YouTube日本、郡司さんリンチ動画の削除を検討へ」
吉崎興業東京本社の前にいる喪黒。
喪黒「今の時代は……。インターネットが発達したおかげで、誰でも手軽に動画を投稿できるようになりました」
「動画サイトが発達したことにより、表現欲求や承認欲求を果たすべく現れた職業……。それがYouTuberなのでしょう」
「とはいえ……。YouTuberもまた、芸能を職業としている人間と同じく、自分を切り売りすることで成り立っています」
「有名人になるということは、自分を評価する人物が現れる一方で、批判する人物や敵になる人物も多数現れるものです」
「だから要するに……。有名人として生活をしていくというのは、一方で大きなリスクを背負うことでもあるのですよねぇ」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
半グレD「俺たちは、お前が消えてほしいと思ってる事務所から雇われただけ。出る杭は打たれるんだよ、おっさん」
半グレたちは、倒れた郡司の身体に次々と蹴りを入れる。
河原で半グレたちにリンチされる郡司。彼の元へ、多くのやじ馬が詰め寄る。
さらに、テレビ局の記者たちやカメラマンたちも集まり、郡司が半グレにリンチされる様子をそのまま中継し始める。
ヤジ馬たちも、メディア関係者たちも、郡司を助けに動こうとしない。衆人環視の元、暴行を受けてボロボロになる郡司。
1週間後――。インターネット上にあるいくつかのニュースサイトの見出し。
ニュースサイト「郡司雄一さんの集団リンチ映像、YouTubeアクセス数が日本国内1位に」
「郡司さんのリンチ殺人動画、複製や拡散相次ぐ」「YouTube日本、郡司さんリンチ動画の削除を検討へ」
吉崎興業東京本社の前にいる喪黒。
喪黒「今の時代は……。インターネットが発達したおかげで、誰でも手軽に動画を投稿できるようになりました」
「動画サイトが発達したことにより、表現欲求や承認欲求を果たすべく現れた職業……。それがYouTuberなのでしょう」
「とはいえ……。YouTuberもまた、芸能を職業としている人間と同じく、自分を切り売りすることで成り立っています」
「有名人になるということは、自分を評価する人物が現れる一方で、批判する人物や敵になる人物も多数現れるものです」
「だから要するに……。有名人として生活をしていくというのは、一方で大きなリスクを背負うことでもあるのですよねぇ」
「オーホッホッホッホッホッホッホ……」
―完―
25:2018/08/12(日) 07:16:29.103 ID:tFpWZIlop.net
乙
面白かった
面白かった
20:2018/08/12(日) 06:58:27.356 ID:GSTQuQZzr.net
一般的なイメージ
喪黒の提示するルールを守る正直者は救われるが欲をかいて破る奴は破滅する
実際
喪黒は甘言を駆使して誘い込み相手の落ち度に関わらず理不尽に罠にかけて破滅させる
喪黒の提示するルールを守る正直者は救われるが欲をかいて破る奴は破滅する
実際
喪黒は甘言を駆使して誘い込み相手の落ち度に関わらず理不尽に罠にかけて破滅させる
21:2018/08/12(日) 07:00:12.315 ID:eKrmU87I0.net
喪黒福造は悪魔の化身だからな
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります