1:2019/10/18(金) 20:03:20.428 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂弟「おに……」

戸愚呂兄「?」

戸愚呂弟「おに……おに……」

戸愚呂兄「?」

戸愚呂弟「おに……おに……おに……」

戸愚呂兄「?」

戸愚呂弟「……兄者」

戸愚呂兄「なんだ? オレに用か?」

戸愚呂弟「いや……何でもない。すまないねェ」

戸愚呂兄「???」
2:2019/10/18(金) 20:04:06.946 ID:F/UypX/+0.net
この後死んだんだよね…
3:2019/10/18(金) 20:07:06.432 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「……?」

戸愚呂兄(なんだったんだ、さっきのは)

戸愚呂兄(オレを見つめながら、おに……って呟いてやがった)

戸愚呂兄(“おに”ってなんだ?)

戸愚呂兄「まさか……鬼!?」
5:2019/10/18(金) 20:09:30.111 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「アイツはオレに“鬼”と言いたかったのかァ!?」

戸愚呂兄「つまり、鬼畜と……!」

戸愚呂兄「バカなッ! このオレの一体どこが鬼畜だってんだァ!?」

戸愚呂兄(ちょっと振り返ってみるか……)
6:2019/10/18(金) 20:11:56.757 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄『ヒヒヒ、動けないヤツにトドメを刺す瞬間がたまらねェ!』

戸愚呂兄『特別サービスでお前の仲間の死に様を人形劇で再現してやるよォ!』

戸愚呂兄『ククク、オレを倒したと思ったか? 残念ながら分身みたいなもんだァ!』



戸愚呂兄「……」

戸愚呂兄「鬼畜だわ」
7:2019/10/18(金) 20:14:21.134 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「つまりアイツはこう言いたかったのか!?」



戸愚呂弟『兄者……アンタは鬼だ』

戸愚呂弟『品性もないし、小さいし、悪趣味だし、気持ち悪いし、小さいし、もうついていけないねェ』



戸愚呂兄「ううう……なんてことだ」

戸愚呂兄「たった一人の弟に……見放されたくない!」

戸愚呂兄「弟に……見直されたいッ!」
9:2019/10/18(金) 20:17:20.251 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「……」サッサッ

戸愚呂兄「……」サッサッ

通行人「おや、缶拾いですかな?」

戸愚呂兄「ええ、この辺は汚れてますから」

通行人「精が出ますねえ」

戸愚呂兄「これも弟に見直されるためですよ」サッサッ
12:2019/10/18(金) 20:21:07.622 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「はい、赤信号ー!」ピッピーッ

戸愚呂兄「はい、青信号! みんな渡ってーっ!」ピーッ

小学生A「おはようございまーす!」

小学生B「おはようございます」

小学生C「いつもありがとうございまーす!」

戸愚呂兄「しっかり勉強するんだぞー!」
13:2019/10/18(金) 20:24:06.253 ID:Da0rednI0.net
老婆「あいたたた……」

戸愚呂兄「大丈夫ですか、おばあさん」

老婆「あ、これはどうも」

戸愚呂兄「よかったら荷物をお持ちしましょうか?」

老婆「だけどあんた持てるかい?」

戸愚呂兄「これでも妖怪なんで、お安いご用ですよ」ヒョイッ

老婆「まぁっ、手が縄みたいになって」
14:2019/10/18(金) 20:24:34.174 ID:LfgL+Zcdr.net
キレイな兄者
16:2019/10/18(金) 20:26:17.538 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「……」

戸愚呂兄「数々のボランティアで“心”は鍛えることができた……」

戸愚呂兄「だが、まだ強さの面では不安が残る」

戸愚呂兄「オレを鍛えてくれそうなヤツとなると……アイツしかいねェか」
18:2019/10/18(金) 20:31:07.105 ID:Da0rednI0.net
幻海「なんの用だい」

戸愚呂兄「オレを……鍛えてくれ」

幻海「なんであたしがアンタにそんなことしなくちゃならない?」

戸愚呂兄「弟が……オレを見捨てようとしている」

戸愚呂兄「お前はオレの下心を知ってたろう……内心オレを相当軽蔑してたはずだ」

戸愚呂兄「いや、おそらく眼中にすらなかったかもしれねェ」

幻海「……」

戸愚呂兄「こんなオレだが……弟にだけは見直されてェんだ! 実の兄として!」

戸愚呂兄「だから頼む、オレを鍛え直してくれッ!」

幻海「どうやら本気みたいだね」

幻海「ただし、やるからには容赦しないよ」

戸愚呂兄「ありがとう……!」
19:2019/10/18(金) 20:34:46.098 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「キエエエエエッ!」

幻海「甘いッ!」

ドゴォッ!

戸愚呂兄「うぐっ……」

幻海「その変幻自在の体に頼りきりじゃ一流にはなれないよ。技と肉体を磨かなきゃね」

戸愚呂兄「くっ……まだまだァ!」

幻海「だいぶ根性はついてきたじゃないか」
20:2019/10/18(金) 20:38:26.090 ID:Da0rednI0.net
妖怪「なっ、なんの用だ! 戸愚呂!」

妖怪「オレはかつてお前と戦って、遊び半分でこんな体にされちまった……トドメでも刺しにきたか!?」

戸愚呂兄「その節は本当にすまなかった」

妖怪「!?」

戸愚呂兄「これは……せめてもの詫びの品だ」

戸愚呂兄「それとオレにできることがあったら何でもいってくれ」

妖怪(どういう風の吹き回しだ……!?)
21:2019/10/18(金) 20:40:22.817 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄(他にオレができることといったら……)

グニュグニュグニュ…

戸愚呂兄「……」

戸愚呂兄(オレは体を極限まで細くできるし、どこにでも目を生やすこともできる)

戸愚呂兄(これを応用すれば……!)
22:2019/10/18(金) 20:43:16.502 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「では、お尻から入れますねー」ズボッ

患者「うっ!」

ズリュリュ…

戸愚呂兄「ポリープがありましたので、このまま切っちゃいまーす」

チョキンッ

患者「ありがとうございます……」
24:2019/10/18(金) 20:44:09.200 ID:LfgL+Zcdr.net
やるねぇ
26:2019/10/18(金) 20:47:03.782 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「さてと、新聞配達に行くか。その後は川のゴミ拾い……」

戸愚呂弟「兄者……」

戸愚呂兄「おお弟よ、どうした?」

戸愚呂弟「どうしたはこっちのセリフだ」

戸愚呂弟「体を鍛え直し、ボランティアや健全な仕事に精を出し、最近の兄者はまるで人が変わったようだ」

戸愚呂弟「一体何があったというんだ? まさか誰かに乗っ取られてるんじゃないだろうねェ」

戸愚呂兄「そんなんじゃねェ……全てはお前のためだ」

戸愚呂弟「どういうことだ?」
28:2019/10/18(金) 20:50:05.751 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「いつだったかお前はオレに“鬼”だといったろう?」

戸愚呂兄「あれでオレは目覚めたんだ、このままじゃいけない……ってな」

戸愚呂弟「いや、そんなこといった覚えは……」

戸愚呂弟「あ」

戸愚呂弟「あれは違う! あれは違うのだ!」

戸愚呂兄「違う? どういうことだ?」

戸愚呂弟「あれは……あれは……」
29:2019/10/18(金) 20:53:17.378 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂弟「一度でいい……たった一度でいいから……」

戸愚呂兄「?」

戸愚呂弟「兄者のことを……おに……おに……」

戸愚呂兄「どうした、はっきり言え!」

戸愚呂弟「“お兄ちゃん”……って呼びたかったのだ」

戸愚呂兄「!!!」
30:2019/10/18(金) 20:53:57.302 ID:ulnCJpTh0.net
かわいい
31:2019/10/18(金) 20:56:22.737 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂兄「呼んでみろ……」

戸愚呂弟「いいのか?」

戸愚呂兄「一度だけといわず……好きなだけ呼べ!」

戸愚呂弟「兄者……!」

戸愚呂兄「兄者じゃないだろ?」

戸愚呂弟「お、お兄ちゃん……」ボソッ

戸愚呂兄「もう一回!」

戸愚呂弟「お兄ちゃん!」

戸愚呂兄「弟よ!」
32:2019/10/18(金) 20:59:27.098 ID:Da0rednI0.net
戸愚呂弟「お兄ちゃん!!!」

戸愚呂兄「弟よ!!!」

戸愚呂弟「お兄ちゃあああああん!!!」

戸愚呂兄「弟よォォォォォ!!!」

グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


たまたま通りがかった妖駄「し、信じられん……! 二人とも妖力値10万Pを越えておる……!」ピピピ





おわり
33:2019/10/18(金) 20:59:53.899 ID:ulnCJpTh0.net
オチが思い浮かばない
34:2019/10/18(金) 21:00:16.562 ID:ulnCJpTh0.net
Q.作者の心情を述べよ

A.オチが思い浮かばない
36:2019/10/18(金) 21:03:17.186 ID:eXGHrse7r.net
妖駄wwwww
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1571396600