1: 2013/09/06(金) 18:46:39.82 

黒の騎士団でギアス嚮団を壊滅し、思考エレベーターに皇帝を閉じ込め、斑鳩に帰還した後……

ジェレ「ルルーシュ様」

通信か。

ルル「ジェレミアか。どうした」

ジェレミアによると二人だけで話があるという。
皆には内緒の話か。なんだろうか。

ジェレミアは普段使われてない部屋に来てほしいと言う。
自室を出て指定された場所へ。

部屋の前まで行くとジャレミアが待っていた。
ジェレミアは無言で一礼し、そのまま部屋の扉を開けて俺を促した。

……?この部屋に何があると言うのか。




4: 2013/09/06(金) 18:52:22.40 ID:+UNJb7fj0

部屋に入るとそこにはコーネリアがいた。

ジェレミアの説明によると、破損し落下してきたジークフリートからコーネリアを救い出したらしい。
その後ジェレミアはサザーランドのコックピットに彼女を入れて斑鳩に帰還、その後この部屋に監禁したということだった。

ネリ「ルルーシュ、お前はその呪われた力で何を求める」


ふん、知れたことを。

ルル「姉上、俺はささやかな幸せがほしいだけですよ」

ネリ「ささやなか、幸せ……だと?」

ルル「ええ、そうですよ。考えてもみて下さい。俺は9歳の時にシャルルに捨てられた。
   だから親の愛情なんて知らずにここまで来ました。
   だからこそ欲しい。
   家族が、家庭が、愛が」

ネリ「だから…そんなことのためにこんな戦争を始めたと言うのか!!」

5: 2013/09/06(金) 18:57:58.28 ID:+UNJb7fj0

ルル「仕方なかったんです。俺とナナリーは素性を隠して生きてきました。
   俺たちが先のエリア11とブリタニアとの戦争を生き残っていたと知られると、またブリタニアに利用されるだけでしたからね。
   だから、俺とナナリーが普通に生きていくためにはブリタニアを潰すしかない」


ネリ「そんなことはない!昔は幼かったが……私やシュナイゼル兄様だって国の中枢に食い込んでいる。
   私達に相談してくれれば父上だって説得することができたはずだ!」


ルル「相談?どうやって。手紙でですか?死んだはずのルルーシュの名を騙る者の手紙を誰が信じると。
   それに姉上、シュナイゼルになんて相談できるはずがない。姉上はあいつの本質を見誤ってる。
   意見の相違ですね。俺はこの方法しか俺達の幸せを守る方法がないと思っています。
   それよりジェレミア」


ジェレ「は」



6: 2013/09/06(金) 19:03:20.49 ID:+UNJb7fj0

ルル「姉上を縛ったのはお前か」

コーネリアは今、右腕は天井から吊るされたロープに繋がれ、左手は胴体と密着して拘束されている。

ジェレ「は。勝手なことをして申し訳ありません。
    ですが、皇女殿下は武術も心得ています。
    脱走の防止やルルーシュ様の安全を守るためにはこうするしかありませんでした」

ルル「いや、よくやった。いい眺めだ」


コーネリアの身体を凝視する。


ネリ「くっ!!私を侮辱するのか!」

ルル「侮辱?姉上、俺が敬愛する姉上にそんな無礼を働くはずがないではありませんか。
   ですが姉上、今はメイクをしていないんですね」


7: 2013/09/06(金) 19:18:21.64 ID:+UNJb7fj0

ネリ「私は総督位を返上して各地を流浪する身。
   その日の衣食住さえままならないのに化粧などにかまけている余裕はない」

ルル「以前は紫の口紅をひいていましたが、今は紅もなく、髪も編み込みのハーフアップにしており前に比べて可愛いですよ」

ネリ「か、かわっ…!!愚弄するな!」

ルル「俺が初恋の姉上を愚弄するなどと……そんなことはしませんよ」

ネリ「初…恋、だと?」

ルル「ええ、そうですよ。厳密には初かは分かりませんが。
   俺は幼き頃に姉上とユフィ、二人に恋心を抱いていたのですよ」

ネリ「そ、そうか///」

ルル「ところで姉上。お願いがあります」

ネリ「お願いだと?…ふん、私を拘束していながらお願いなどとよく言えたものだな。
   何をさせるつもりだ。人質か?奴隷か?スパイか?」


8: 2013/09/06(金) 19:29:44.32 ID:+UNJb7fj0

ルル「まさか、愛しい姉上にはそんなことはしませんよ。
   もちろん、諸々の用意ができれば拘束も解かせていただきます。
   そうではありません。俺の願いとは、姉上



   俺を甘えさせてください」




ネリ「甘え…させる?」


ルル「ええ、そうです。先ほども言いましたが俺たち兄妹は親の愛を知らない。
   しかし俺は幼いながらにナナリーを守らねばならなかった。
   だからそんなものを気にする余裕もなかった。
   だが、今やナナリーはエリア11の総督。傍にはスザクもいる。
   ならナナリーは最も安全な場所にいると言えましょう。
   そして最近ふと思うのです。自分の幸せについても考えるべきでは…と」


9: 2013/09/06(金) 19:39:27.31 ID:+UNJb7fj0

ネリ「それで私に甘えさせろと」

ルル「ええ、そうです」

ネリ「ふざけるな!!お前はユフィの仇だ!そんな奴に与える愛情など何一つない!」

ルル「……あれは俺のミスです。あんなことをするつもりはなかった」

ネリ「誰がそんな言葉を信じるか!」


ルル「そうでしょうね。
   ですが今や初恋のユフィもいない。
   最愛のナナリーとも会えない。
   そんな状況で姉上に会えたのは僥倖でした。
   俺に愛情を与えて下さるのは姉上、この世において最早あなたしかいないのですよ」

ネリ「くどい!お前には憎しみしかない!」


10: 2013/09/06(金) 19:48:04.30 ID:+UNJb7fj0

ルル「そうですか……悲しいですが、ジェレミア」

ジェレ「は」

ルル「ギアスキャンセラーを」

ジェレ「は、承知しました」

ネリ「ま、待て!何をするつもりだ」


ルル「大丈夫ですよ、姉上。
   危害を加えるつもりはありません。
   ただ、以前あなたに行使したギアスを解くだけです」


ネリ「ギアスを…解く?もしやお前…!!」

ルル「ええ、ブラックリベリオンのときに『問に答えよ』とギアスをかけていますから。
   それを解かせてもらいます」

ネリ「待て!」

ジェレ「コーネリア様、無礼をお許しください」キュイーン キュイーン キュイーン


11: 2013/09/06(金) 19:57:17.77 ID:+UNJb7fj0

ネリ「………!!
   ルルーシュ、お前はマリアンヌ様の」


ルル「ええ、犯人を捜しています。姉上なら何か知っているかと思ってギアスをかけたのですが。
   …ジェレミア」


ジェレ「なんでございましょう」


ルル「姉上をこんな物置みたいな部屋には置いておけない。
   拘束なしでも戒護上問題のない部屋を用意し、そこで姉上には生活してもらう。
   お前には部屋の用意を、秘密裡に」


ジェレ「畏まりました。忠義の男、このジェレミア・ゴットバルトにお任せを」スタスタ プシュー パタン

ルル「姉上、もう少しだけ辛抱を」

ネリ「言ったはずだ。私はお前を憎みこそすれど愛することはない」

ルル「それでもかまいませんよ。
   とりあえずジェレミアの用意が終わるまではやれることもないですし、俺も仕事に戻ります。
   姉上、ではまた」


プシュー パタン


―――――――――――――――
―――――――――――――

13: 2013/09/06(金) 20:05:58.69 ID:+UNJb7fj0

~翌日 夜~


ルル「失礼しますよ、姉上」プシュー パタン

ネリ「……何の用だ」

ルル「黒の騎士団の制服は着て頂けませんでしたか」

ネリ「当然だ、これは敵軍の服だ」

ルル「なら早急に着替えを用意させましょう。姉上に似合うドレスをね」

ネリ「何のつもりだ。拘束も解き、食事も風呂も用意して……」

ルル「だから昨日言ったではありませんか。姉上は捕虜などではなく俺の家族です。
   それに見合う待遇を用意するのは当然ですよ」

ネリ「ふん、物で釣るつもりか。そんなものでお前に対する憎しみは消えないぞ」


14: 2013/09/06(金) 20:12:39.30 ID:+UNJb7fj0

ルル「釣る?姉上は何か勘違いをしていませんか?」

ネリ「何?」

ルル「そんなことをしなくても俺にはこれがある」

ネリ「っ!ギアス…!」

ルル「ええ。出来れば姉上には自発的に愛してもらいたかったのですがね」

ネリ「……」

ルル「仕方ないですね。
   では、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!
   『優しいお姉ちゃんになれ』!!」キュイーン


15: 2013/09/06(金) 20:27:29.33 ID:+UNJb7fj0

ネリ「……………………。
   おい!ルルーシュどうした!?そんなに痩せてしまって」


ルル「姉上、これは元からですよ」

ネリ「馬鹿者!!人間、健康が一番大事なんだぞ!」

ルル「わかりました。それでは今後は姉上の言う通りもうちょっと体重が増える食事を心がけましょう」

ネリ「うむ、あと!」

ルル「はい?」


ネリ「その呼び方はなんだ!私はお姉ちゃんだぞ!」

ルル「ええ、ですから姉上と」


ネリ「呼び方はお姉ちゃん。もしくはネリ姉だ」



ルル「……」

ネリ「ほら、どうした。呼んでみろ」

16: 2013/09/06(金) 20:35:48.18 ID:+UNJb7fj0

ルル「お、お姉ちゃん」

ネリ「ああ、それでいい」ダキッ ナデナデ

ルル「あ、姉上」

ネリ「お姉ちゃん」

ルル「お、お姉ちゃん。抱き付かれるのはちょっと…」

ネリ「嫌なのか…?」ウルウル

ルル「あ…いえ」

ネリ「そっか。それにしてもルルも大きくなったものだ」ナデナデ

ルル(むぅ…姉上の胸がバインバイン顔に当たる)ポニョポニョ

18: 2013/09/06(金) 20:43:43.50 ID:+UNJb7fj0

ネリ「それよりルル。お姉ちゃんになんかしてほしいことはないか?」


ルル(姉上が斑鳩にいることは黒の騎士団には内緒だ。
   だから無暗に出歩くことはできないな…)


ルル「お姉ちゃん、耳かきをしてください」

ネリ「耳かきか、お姉ちゃんに任せろ。
   じゃあ耳かきを……この部屋にはないな」


ルル「じゃあ取ってくるからちょっと待っててください」

ネリ「ああ」


~数分後~


ルル「お待たせしました」

ネリ「ああ、じゃあ膝の上に」

ルル(姉上の膝枕……柔らかいな)

ネリ「どうだ?私の膝枕は」


ルル「柔らかくて気持ちいいです」
  (それに下からは姉上の丸いおっぱいが……いい感じだ)


19: 2013/09/06(金) 21:04:13.63 ID:+UNJb7fj0

ネリ「じゃあ始めるぞ。痛かったら言ってくれ」

ルル「はい」

ネリ「~♪」

ルル(今まで耳かきなど一人でしかやったことがなかったが…
  いいものだな、人にやってもらうと言うのも。
  それに、膝枕は温かくて柔らかい。これは病み付きになりそうだ)スリスリ


ネリ「こらルル。頭を動かしたら危ないだろ。
   じっとしていろ」


ルル「すいません」


ネリ「よし、ルルはいい子だな。~♪
   よし、こっち側は終わったぞ。次は反対だ」


ルル(面倒だ、このまま反対を向けばいいか…
  む、目の前に姉上のお腹……どんな感触なんだろう。
  気になるな…)プニプニ


ネリ「きゃっ!
   ちょ、ちょっとルルーシュ!」


20: 2013/09/06(金) 21:12:37.54 ID:+UNJb7fj0

ルル「ん?」

ネリ「そこは女性のデリケートな場所だ!
   無暗に触っちゃダメだ!」

ルル「ですがお姉ちゃんはスマートですし」

ネリ「出てる出てないの問題じゃない!恥ずかしいんだ!」

ルル「そうでしたか。それはすいません」


ネリ「そ、そう。分かればよいのだ。
   ではこちら側も耳掃除をするからおとなしくしているのだぞ」


ルル「分かりました」


ネリ「~~~~~~~~~♪
   よし、きれいなったぞ」


ルル「ありがとうございます」コロコロ

ネリ「もう耳かきは終わったぞ?」

ルル「もうちょっと膝枕を」

ネリ「はいはい。まったく…ルルーシュは甘えん坊だな」ナデナデ

23: 2013/09/06(金) 21:18:53.76 ID:+UNJb7fj0

ルル「…………」ギュ

ネリ「こ、こら。さっきお腹は触るなと言っただろう」

ルル「触っていませんよ。腰に抱き付いているだけです」プニプニ


ネリ「こら、顔全体で私のもちもちを楽しむな!
   それに、それは腰に抱き付いてるんじゃなくてお腹に顔を埋めてると言うんだ!」


ルル「見解の相違ですね」プニプニ

ネリ「お前が屁理屈を言っているだけだ」

ルル「なら姉上」

ネリ「ん?」

ルル「膝抱っこをしてください」

ネリ「膝抱っこって…乗るのか?お前が」

ルル「はい」

ネリ「私の膝の上に?」

ルル「ええ、そうです」

ネリ「ふつう逆じゃないか?男が女を乗せるものだろう」

ルル「恋人同士ならそうでしょうね。ただ、姉は弟を乗せるものです」


24: 2013/09/06(金) 21:24:35.39 ID:+UNJb7fj0

ネリ「そうなのか」

ルル「そうなんですよ」

ネリ「なら…よし、来い」

ルル「では失礼します」

ネリ「おっと」ギュ


ルル(全身が姉上に包まれている……これを幸せというのか。
   それに、胸がふかふかだ)


ネリ「お前は見た目通り軽いな」ギュ~


ルル「ならずっと抱っこできますね」

ネリ「いや、尻が骨張ってて痛い」ギュッ!


ルル「そうですか、って姉上」

ネリ「なんだ?」ムギュ~

ルル「なんで抱きしめに強弱をつけるんですか?」

ネリ「いや、どうすれば気持ちいいかと実験を」

ルル「そうでしたか。それで最適の抱き付き方は見つかりましたか」


26: 2013/09/06(金) 21:30:17.29 ID:+UNJb7fj0

ネリ「うむ」ギュ~ 


ネリ「お前も身長が高いから前が見えないな」スリスリ


ルル「背中を頬ずりされることがあるとは重いませんでした」

ネリ「仕方ない。目の前に背中があるのだからな」

ルル「そうなんですか」

ネリ「そうだ」スリスリ


ルル「……」キュルルル~

ネリ「…お腹が減ったのか?」

ルル「ええ。そう言えば夕食がまだでしたから」

ネリ「そう言えば、私もまだだったな」


29: 2013/09/06(金) 21:38:49.68 ID:+UNJb7fj0

ルル「なら、お姉ちゃんの手料理が食べたいです」

ネリ「なに?料理だと?」

ルル「はい。もしかして料理はできないですか?」

ネリ「いや、料理はできる。できるがここには機材がないではないか」

ルル「なら用意させましょう」



~20分後~


ルル「ゼエ…ハア…お、遅くなりました。お姉ちゃん」プシュー パタン

ネリ「うむ、遅かったな」

ルル「運ぶものが…多くて…ゼエ」

ネリ「ルル、お前はもっと体力をつけた方がいいぞ」

ルル「そうですね、気を付けます」

ネリ「用意したものは…ガスコンロと調理器具か。食材がないが?」

ルル「色々持ってくるのも無理ですから。お姉ちゃんが作る物を聞いて取って来ますよ」

30: 2013/09/06(金) 21:45:17.50 ID:+UNJb7fj0

ネリ「ふむ。ルル、何が食べたい?」

ルル「お姉ちゃんの手料理ならなんでも。得意料理とかはありますか?」

ネリ「料理なら一通りは…あ、だがニッポン料理は無理だな。
   ならオムライスとかはどうだ?」

ルル「オムライス?しばらく食べてないからそれでお願いします」


ネリ「ならオムライスとそれに合う物を作るとしよう。
   必要な材料は……
   ほら、メモをしたからこれを持ってきてくれ。
   できるな?」


ルル「俺は今年で18だからこのくらいできますよ、お姉ちゃん」

ネリ「よしよし、えらいな」ナデナデ

ルル「じゃあ行ってきます」プシュー パタン


~10分後~


ルル「ただいま戻りました」プシュー パタン カラカラカラ

ネリ「お、今度は早かったな…ルル、その量でサービスワゴンを使うのはどうかと思うぞ」

ルル「あるものは使わないと勿体ないですから」


31: 2013/09/06(金) 21:50:05.93 ID:+UNJb7fj0

ネリ「ふむ……この様子だとルルは一人で買い物にも行けないな。
   今度からはお姉ちゃんが付いて行ってやろう」


ルル「いや、俺は買い物とか行かないし、他の者に任せてるから大丈夫ですよ。
   それよりお姉ちゃん、あと他に必要な物とかはありませんか?」


ネリ「いや、水道も通っているし、火もある。こんだけあれば十分だ。
   なら今から調理するから少し待っていてくれ」ナデナデ


ルル「分かりました」


ルル(姉上が俺のためだけに料理を作ってくれている……夢のようだ。
  最近は黒の騎士団と行動を共にしていたせいで和食ばかりだった。
  洋食は久しぶりだな…楽しみだ)


ルル(姉上が料理をしている後姿……いい。女性らしい。
  かと言って見てるだけでは暇だな。
  でも手伝いはしたくない。それだと甘えた感が減少してしまう。
  何をしようか……そうだ) スク ギューー

32: 2013/09/06(金) 21:59:20.71 ID:+UNJb7fj0

ネリ「どうした?ルルーシュ……急に抱き付いてどうしたのだ?」

ルル「なんとなくしたかっただけ」

ネリ「そうか。まったく、甘えん坊だな」


ルル(後ろから抱き付いてみたが、怒られないな。
  姉上の髪はいい匂いがする…)


ネリ「だが今は包丁や火を使っているからな。
   抱き付いてたりしたら危ないから今後はダメだぞ」ナデナデ


ルル「すいません」

ネリ「ではもう少しかかるから待っていてくれ」


~1時間後~


ネリ「待たせて済まなかった。どれだけ急いでもお米を炊くのに時間がかかってしまって」

ルル「大丈夫ですよ、お姉ちゃん」

ネリ「そうか。じゃあご飯にしようか」


34: 2013/09/06(金) 22:03:22.65 ID:+UNJb7fj0

ルル(ふむ。姉上が作ってくれたのは旗が刺されたオムライスにホワイトシチュー。
   それにカプレーゼにハンバーグ、エビフライ、グラタンに人参のグラッセに…)


ルル「というかこんなに食べられませんよ」

ネリ「なに、ルルは育ち盛りだ。頑張って食べて大きくならなきゃな」

ルル「育ち盛りは終わった気がするけど…」


ネリ「身長は高いが体重がな。
   それよりオムライスにはケチャップでいいか?」


ルル「ええ」

ネリ「なら……よし、これで完成だ」


ルル(…いくら優しい姉でも弟と相合傘はないだろ)

39: 2013/09/07(土) 00:50:44.33 ID:6xBZS7yB0

ネリ「じゃあ食べるか。ほれ、あーん」

ルル「…………………」

ネリ「どうした?呆けた顔をして。早く口を開けなさい」


ルル(あのコーネリアが『あーん』だと…!?
  いや、優しい姉になるよう命じたのは俺だ。
  いつもは俺がナナリーにしていること、偶には俺がしてもらう側になるのも悪くない)


ルル「あ、あーん」

ネリ「はい、あーん。……どうだ?」


ルル「モグモグ……ええ、美味しいですよ。
   お姉ちゃんは料理もできるんですね」


ネリ「ああ、料理や掃除洗濯、裁縫などは一通りな」

ルル「お姉ちゃんは食べないのですか?」

ネリ「一緒に食べていいのか?」

ルル「ええ、もちろん。お姉ちゃんと一緒に食べたいですから」


ネリ「そうか、ならばルルと一緒に食べるとしよう。
   モグモグ……うむ、不味くはないな」


ルル「十分美味しいですよ」


40: 2013/09/07(土) 00:55:59.06 ID:6xBZS7yB0

ネリ「いや、まだまだ修行が足りないな…と、こら何勝手に食べようとしている」

ルル「え?」

ネリ「お前には私が食べさせる。次は何が欲しい?」

ルル「じゃあハンバーグを」

ネリ「じゃあちょっと待ってくれ…はい、あーん」

ルル「あーん」
  

ルル(このペースでいくと食事が終わるまでに何時間かかるんだ。
   まあいいか。こんな甘やかされるのは久しぶりだ)



―――――――――――――――
―――――――――――――


41: 2013/09/07(土) 01:03:57.18 ID:6xBZS7yB0

ルル「お、お姉ぢゃん……も゛う゛食べられません」


ネリ「なに!?こんなに残っているではないか!
   食べ物を粗末にしちゃお化けがでるんだぞ!」


ルル(そんなのに騙されるほど姉上には俺が幼く見えてるのか?)


ルル「あ、明日食べますから保冷しておきます」

ネリ「まったく……そんなんだからルルは痩せっぽっちの小枝のような体なんだ」


ルル(そこまで言わなくても)ズーン


ネリ「なら片づけをするか」

ルル「あ、それはやらせましょう。貸してください」

ネリ「お?そうか。なら使った調理器具とかも全部サービスワゴンに乗せておくぞ?」

ルル「はい……では返してきます」


42: 2013/09/07(土) 01:10:49.65 ID:6xBZS7yB0

ネリ「ああ。それよりまたここに戻って来るのか?」

ルル「え?はい。そのつもりですけど」

ネリ「そうか。では待っている」

ルル「?行ってきます」



~10分後~


ルル「戻りました」

ネリ「む?帰って来たか。じゃあお風呂に入ろうか」

ルル「オフロ?」

ネリ「ああ、久しぶりに姉弟水入らずで裸の付き合いだ」

ルル「いや、お姉ちゃん。さすがにそれは……二人ともいい年ですし」

ネリ「ならタオルを巻こう」


43: 2013/09/07(土) 01:17:35.30 ID:6xBZS7yB0

ルル(タオルを巻いて解決できる問題なのか?
   姉上は今ギアスにかかっていて弟に対しては自由意思がほとんどない。
   そんな状態で姉上の肌を見ていいのか?それはあまりにも卑劣すぎる)


ルル「お姉ちゃん。さすがにお風呂は別々の方がいいかと」


ネリ「私とお風呂は……嫌か」ウルウル


ルル(く!ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア!自分を強く持て!)

  「嫌なわけではなくて……そうだ、なら明日。明日一緒に入りましょう」


ネリ「本当か?」パァァー


ルル「え、ええ」
  (明日ジェレミアのギアスキャンセラーを使ってなしにすればいいだけだ)


ネリ「わかった…じゃあ今日は別々に入ろう。ただし」

ルル「?」

ネリ「今日は一緒に寝るぞ」

ルル「そのくらいなら」


46: 2013/09/07(土) 01:26:31.95 ID:6xBZS7yB0

ネリ「ならお風呂は先に入らせてもらってもいいか」

ルル「どうぞ」

ネリ「じゃあちょっと待っててくれ」


~40分後~


ネリ「上がったぞ~」

ルル「お姉ちゃんは長風呂ですね」

ネリ「女だったら普通だ。髪が長いとどうしてもな。それよりルルも早く入ってこい。そして早く上がれ」

ルル「努力しましょう」


~30分後~


ルル「上がりました」

ネリ「遅い!男のくせに長風呂か!」


47: 2013/09/07(土) 01:37:03.56 ID:6xBZS7yB0

ルル「……頭と体を洗って、トリートメントと洗顔をしてたらこのくらいかかりますよ」

ネリ「とりあえず早くこっちに来い」

ルル「?」スタスタ


ネリ「ほら、ドライヤ-をしてやるからここに座れ」


ルル「え、あ……ありがと」ストン

ネリ「ルルの髪は綺麗だな。それにマリアンヌ様と同じ綺麗な黒だ」ブオーン


ルル「……」

ネリ「マリアンヌ様は私にとって憧れだ。それは今も変わらない」ブオーン

ルル「……」

ネリ「よし、乾いたぞ」

ルル「ありがとう、お姉ちゃん」


48: 2013/09/07(土) 01:49:56.55 ID:6xBZS7yB0

ネリ「よし、じゃあ寝るか」

ルル「……同じベッドでですか?」

ネリ「ああ」

ルル「そうですか。では失礼します」モゾモゾ

ネリ「おい、そんなに端っこで寝てたら落ちてしまうぞ。もっとこっちに来い」ダキッ グイ

ルル(背中に二つの柔らかな物質が……ダークマターか?)


ネリ「じゃあルル。おやすみ」


ルル「はい、おやすみなさい」

  (『おやすみ』―。
   ナナリーが攫われてから久しく言っていなかったな)



―――――――――――――――
―――――――――――――


49: 2013/09/07(土) 02:01:50.21 ID:6xBZS7yB0

~翌朝~

ルル(今は……まだ6時か。昨日は早くに寝たからな。
   姉上は……まだ寝ているな。起こさないように静かに出よう)  プシュー パタン


ルル(とりあえず昨日の入浴の件をなかったことにしなければ。ジェレミアに連絡するか)

Prrrrr


ジェレ『忠義の男、ジェレミアです』


ルル「ジェレミアか。
   今日、時間が空いたらコーネリアに再度ギアスキャンセラーをかけておけ」


ジェレ『畏まりました』

ルル「では」 プチ



ルル(これで入浴の件は無効だ。
  今日はとりあえず溜まった仕事を片付けるか)



―――――――――――――――
―――――――――――――

50: 2013/09/07(土) 02:16:45.42 ID:6xBZS7yB0

~夜~


ルル「失礼します、姉上」プシュー パタン

ネリ「……その段ボールはなんだ」

ルル「姉上の着替えとかですね。
   下着も…あ、下着は俺が選んだわけではないので安心をしてください」


ネリ「…礼は言わぬぞ」

ルル「いいですよ。黒の騎士団が監禁している以上、当然のことをしているだけですから」

ネリ「それで、私はいつになったら出られるんだ?」

ルル「姉上はここを出るつもりだったのですか?」

ネリ「当然だ。こんな敵の軍艦の中で一生を終えるつもりはない」

ルル「なら外に出て何をするんですか?」

ネリ「何って…」

51: 2013/09/07(土) 02:30:54.79 ID:6xBZS7yB0

ルル「ギアス嚮団は俺が潰しました。だからユフィの仇はもうとる必要はありません。
   …まあ、直接の原因である俺が生きていますがね。
   それで、外に出てまた皇帝の手足となってブリタニアの支配に組するのですか?」


ネリ「当然だ。ブリタニア皇族には統治者として果たすべき義務がある」


ルル「それは欺瞞だ。あなたの考えは善意の押しつけにすぎない。
   そんなものは悪意でしかない」


ネリ「強き者が弱き者を守るのは当然だ」


ルル「あなた方のしていることは保護ではなく簒奪ですよ……
   まあ、あなたと統治議論をするつもりは毛頭ない。
   俺はあなたから愛情が欲しいだけだ」


ネリ「なに!?また…私にギアスをかけるつもりか!」

ルル「ええ、10年近く愛されなかった俺の渇きは昨日だけでは満たされていませんよ」


52: 2013/09/07(土) 02:51:41.16 ID:6xBZS7yB0

ネリ「また……昨日のように…」

ルル(ふむ、ギアスを解いて昨日のことを思い出したか)
  
ルル「姉上、自発的に愛して下さればギアスはかけませんよ」

ネリ「断ると言っているだろ!」

ルル「なら仕方ないですね」

ルル(昨日は姉萌えを堪能させてもらった。
   少しは愛情を感じられたが、まだ心に穴が開いたような感じだ)


ルル(やはり俺には今、ナナリーから得られていた妹成分が圧倒的に足りない。
   なら今日は趣向を変えて妹萌えにするか?
   だが相手は姉上だ。自分より年上の妹……
   

   ありだな。
   まあとりあえずやってみればいい)


ルル「では……ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!
   『お兄ちゃん大好きの妹キャラになれ』!!」キュイーン


62: 2013/09/07(土) 17:34:19.98 ID:6xBZS7yB0

ネリ「やめろーーー!!
   ………………………………………。
   兄上、今日は何をして遊びましょうか?」ニコ


ルル(兄上……シュナイゼルを呼ぶ時と同じだな。気にくわん)


ルル「姉う…コーネリア、俺のことはお兄様と呼んでくれ」

ネリ「お兄様……ですか?」

ルル「ああ」

ネリ「分かりました、お兄様」

ルル「よし、ではネリ。何か俺としたいことはないか?」

ネリ「お兄様と、ですか……あ、チェスをしてみたいです」パアア

ルル「チェスか?」

ネリ「はい!」


63: 2013/09/07(土) 17:46:21.79 ID:6xBZS7yB0

ルル「ふむ、では用意するとしよう。ちょっと待っててくれ」

ネリ「分かりました」


~20分後~


ルル「チェック」

ネリ「う…」

ルル(次の手でクイーンを動かしてキングをとることができる。
   だがしかし王を逃がせばルークを取ることができる。
   他に逃げ道はないぞ)

ネリ「う」ポロポロ

ルル「お、おい!どうしたというのだ!」

ネリ「だ、だって…お兄様が私をいじめる…」ポロポロ

ルル「い、いじめてなどいないぞ?な?」

ネリ「だ、だって…ひっく、キングを逃がせば、私のルークがとられる」ポロポロ

ルル(どういうことだ!?あのコーネリアが泣くなどと!
   妹を命じたことで精神年齢も幼くなってしまっているのか?
   いや、この際原因はどうでもいい。とりあえずなんとかせねば)

64: 2013/09/07(土) 17:55:59.74 ID:6xBZS7yB0

ルル「コーネリア、さっきの一手、間違えてしまったからここに打ち直してもいいか?」コンコン
   (こんなところにクイーンを動かしても意味はない。だが、だがしかし!)

ネリ「そこ、に?」ヒック

ルル「ああ」

ネリ「ん~そこ、グス…ならいいよ?」

ルル「そうか、ありがとうコーネリア。ネリは優しいね」
   (くそ!こうなれば徹底的に接待チェスをするしかない!)



―――――――――――――――
―――――――――――――

ネリ「チェックメイトです」

ルル「……負けたよ、コーネリア」
  (駒をキング以外全部とられた…わざととは言え屈辱だ!)


65: 2013/09/07(土) 18:03:40.88 ID:6xBZS7yB0

ネリ「ふふ、ありがとうございますお兄様」ギュー

ルル「ネ、ネリ!?」
   (雰囲気は幼くなってるが身体はコーネリアそのものだ!
   む、胸が!)


ネリ「私を勝たせてくださってありがとうございます。
   お兄様とチェスができた嬉しかったです」


ルル「そうか。なら俺も嬉しいよ。
   それよりネリ、他にしたいことはないか?」


ネリ「ん……それではお兄様」

ルル「なんだ?」

ネリ「髪を結わいてくれませんか?」

ルル「髪を?今だって綺麗に結ってるじゃないか」

ネリ「ええ、ですがお兄様好みの私になりたいんです」フンス!


66: 2013/09/07(土) 18:11:16.67 ID:6xBZS7yB0

ルル「そうか、じゃあ髪を結わいてあげるからこっちにおいで」

ネリ「はーい」ストン

ルル「……ネリ、なんで俺の膝の上に座る」

ネリ「髪を結わくのにはこちらの方がよいかと」

ルル「まあそうか。ならゴムとピンを取るぞ?」

ネリ「ええ、どうぞ」ファサ

ルル「んー、だが髪型か…考えたこともないな」

ネリ「ツインテールとかですか?」ピョコ

ルル「…ネリはもっと上品なのがいいと思う」

ネリ「ポニーテールとか?あとは普通にバレッタで留めるとか」

ルル「ネリの髪は長いから、もっとアレンジしたいな。というか元のハーフアップが似合っていたぞ?」

ネリ「それではお兄様が考えたことになりません!」


67: 2013/09/07(土) 18:19:38.77 ID:6xBZS7yB0

ルル「じゃあ……11でニッポン人が浴衣を着ているときにするやつとか」

ネリ「こういう……アップですか?」

ルル「そうそう」

ネリ「なら簡単ですよ。編み込みとかはしないんですよね」

ルル「ああ」

ネリ「なら長いので、少し捩じって髪の先をバレッタでとめていただければいいので。
   はい、バレッタです」

ルル「…俺がするのか?」

ネリ「ええ、でないなら私はなぜお兄様の上に座っているのでしょう」

ルル「それは勝手にネリが座っただけで…まあいい、じゃあやってみるぞ」

ネリ「はい!」

ルル「…ネリの髪はサラサラだな」


68: 2013/09/07(土) 18:26:24.36 ID:6xBZS7yB0

ネリ「そうですか?髪に気を遣う余裕がなくて痛んでいると思いますが」

ルル「毛先はちょっと痛んでるけど、でも綺麗だよ」

ネリ「お兄様に髪を触ってもらうのは気持ちいいです」

ルル「……よし、出来た。鏡で確認してくれ」

ネリ「はい!……あ、上手にできています!お兄様は器用ですね」

ルル「普通にまとめて留めただけだがな」

ネリ「どうですか?」スクッ クル

ルル「ああ、うなじが見えて色っぽいぞ」

ネリ「い、色っぽい…///」


ルル「髪の次は何をしてほしい?」


69: 2013/09/07(土) 18:32:20.57 ID:6xBZS7yB0

ネリ「じゃあ、このあと一緒にお風呂に入っていただけませんか?」

ルル(ま た ふ ろ か !!
   どうなっている!?姉上の中では兄弟とは一緒に風呂を入るものと決まっているのか?
   ならコーネリアとユフィも……!!ぶはっ駄目だ!それ以上具体的に想像するな!)


ルル「ネリ、それよりも先にご飯にしようか」

ネリ「あ、そうですね」

ルル「じゃあ俺が作るよ」

ネリ「お兄様が?」

ルル「ああ、何が食べたい?」

ネリ「お兄様が作るものでしたらなんでも」

ルル(そういうのが一番困るんだけどな)
  「わかった、じゃあネリが喜びぶように頑張ってくるよ」

ネリ「はい、お願いしますお兄様」ニコ


70: 2013/09/07(土) 18:40:13.21 ID:6xBZS7yB0

~30分後~

ルル「お待たせ」

ネリ「いいえ、予想よりも早かったです」

ルル「人に手伝ってもらったからね」

ネリ「何を食べさせてくれるんですか?」

ルル「エビとホタテのシーフードスープ、鯛のカルパッチョ、牡蠣のコンフィ、あとは鴨肉のラズベリーソース添え、最後に牛肉の赤ワイン煮」

ネリ「おしゃれですね」

ルル「ネリはこういう料理が好きかと思って」


ネリ「ええ、上品で見た目も綺麗ですから。
   ではお兄様。食べさせてくださいますか?」


ルル「あ、ああ。じゃあ、あーん」

ネリ「あーん…もぐもぐ。あ、美味しいです!お兄様は料理もお上手なのですね」

ルル「まあ生きてく上で必要だから。ほら次だよ」

ネリ「あ~ん」

ルル(今日も食事だけで1時間経ちそうだ。
   でも、人に食事を食べさせるなんて久しぶりだな)



71: 2013/09/07(土) 18:47:42.67 ID:6xBZS7yB0

~1時間後~


ネリ「御馳走様でした。美味しかったです、お兄様」

ルル「それは何よりで。それよりネリ」

ネリ「はい?」キョトン

ルル「俺は今から食器とか片づけなきゃいかけないから。だからお風呂は先に入っててくれないか?」

ネリ「え?」ジワ

ルル「お風呂は明日一緒に入ろう。ネリはいい子だから言うこと聞いてくれるよな?」

ネリ「……はい」

ルル「よし、ネリはいい子だな」ナデナデ
  「じゃあ俺はこれを片付けてくるから」

ネリ「はい。その代わりお兄様。今日は一緒に寝たいです」

ルル「分かったよ。じゃあ片づけが終わったらまたここに来る」

ネリ「はい!」

ルル「じゃあお風呂に入っていい子にしてるんだよ」プシュー パタン


ルル(アラサーを捕まえて『いい子』とか……
   だが姉上は特に疑問に思っていなかったな。一体何歳の設定なんだろうか。
   そんなことより、またお風呂の約束をしてしまった。
   また明日にはジェレミアに消してもらわねば)


72: 2013/09/07(土) 18:58:04.32 ID:6xBZS7yB0

~30分後~


ルル「ネリ」      プシュー パタン
  「……はまだ風呂か」

ネリ「あ、お兄様。お戻りになっていたのですね」

ルル「ネ、ネリ!ちゃんと服を着て出てきなさい!タオルだけだなんてはしたないぞ!」

ネリ「それなんですが…お兄様。どの下着が好みですか?」

ルル「下着を見せるな!ネリが一番いいと思う物を付ければいいから!」

ネリ「そうですか。ならこのヒモTバックのを」

ルル「普通のを履きなさい」

ネリ「お兄様は我が儘ですね。ならこの普通のにしておきます。パジャマはどれがいいですか?」

ルル「どれだって好きなものを…待て、そのベビードール以外のにしなさい」


73: 2013/09/07(土) 19:10:11.40 ID:6xBZS7yB0

ネリ「はーい。それでお兄様。私はもう寝る準備ができましたよ。
   お兄様も早くお風呂に入ってください」

ルル「…わかったよ」
  (これじゃ妹と言うより娘だな)


~30分後~


ルル「上がったよ、ネリ」

ネリ「あ、お兄様。早くご自分の髪を乾かせてください。
   そして私の髪をしてください」

ルル「ネリはわがままだな」ブオーン

ネリ「わがままではありません。お兄様が暇をしないようにお仕事をあげているだけです」

ルル「はいはい。じゃあちょっと待っててくれ」ブオーン

ネリ「……」ジー

ルル「…」ブオーン

ネリ「…」ジー

74: 2013/09/07(土) 19:18:23.41 ID:6xBZS7yB0

ルル「もういい!ネリ、先にやってあげるからこっちにおいで」

ネリ「ありがとうございます」ペタ

ルル(う!また膝の上か…
   動きは幼いくせに体は大人だから無防備だ。
   落ち着け、相手は妹だ。姉上で妹で年上の年下だ)
  

ルル「じゃあ梳くから大人しくな」ブオーン

ネリ「お兄様、髪を梳くのお上手ですね」

ルル「まあナナリーの髪をずっとしていたから」ブオーン

ネリ「ナナリーが羨ましいです。お兄様とずっと一緒に暮らせて」

ルル「……」ブオーン

ネリ「私もお兄様といっぱい遊びたかったです」

ルル「じゃあまた明日にでも」ブオーン
  (明日にはジェレミアに消されているが、な)

ネリ「はい!約束です」

ルル「はい、終わったよ」

ネリ「ありがとうございした。お兄様」ギュ

75: 2013/09/07(土) 19:19:02.99 ID:6xBZS7yB0

ルル「もういい!ネリ、先にやってあげるからこっちにおいで」

ネリ「ありがとうございます」ペタ

ルル(う!また膝の上か…
   動きは幼いくせに体は大人だから無防備だ。
   落ち着け、相手は妹だ。姉上で妹で年上の年下だ)
  

ルル「じゃあ梳くから大人しくな」ブオーン

ネリ「お兄様、髪を梳くのお上手ですね」

ルル「まあナナリーの髪をずっとしていたから」ブオーン

ネリ「ナナリーが羨ましいです。お兄様とずっと一緒に暮らせて」

ルル「……」ブオーン

ネリ「私もお兄様といっぱい遊びたかったです」

ルル「じゃあまた明日にでも」ブオーン
  (明日にはジェレミアに消されているが、な)

ネリ「はい!約束です」

ルル「はい、終わったよ」

ネリ「ありがとうございした。お兄様」ギュ

76: 2013/09/07(土) 19:28:56.23 ID:6xBZS7yB0

ルル「どういたしまして。じゃあベッドに入ろうか」

ネリ「お兄様の髪は?」

ルル「ネリのを乾かしてる間に乾いたよ」

ネリ「ならベッドに入りましょう」モゾモゾ

ルル「じゃあおやすみ。ネリ」

ネリ「お兄様」

ルル「なんだ?」

ネリ「ギュッとしてください」

ルル(これは妹これは妹これは妹これは妹これは妹これは妹…)
  「わかったよ、ほら」ギュ

ネリ「ありがとうございます。これで安心して寝られます」

ルル「そうか。なら、お休み。ネリ」

ネリ「はい。おやすみなさい。お兄様」




―――――――――――――――
―――――――――――――


77: 2013/09/07(土) 19:43:05.82 ID:6xBZS7yB0

~翌日 夜~

ルル(今日の仕事はこれで終わった。
   姉上には今日の朝にジェレミアにお願いしてギアスキャンセルさせてある。
   また様子を見に行くか)

ルル「失礼しますよ、姉上」プシュー パタン

ネリ「……」ジロ

ルル「無言で睨まないでくださいよ」

ネリ「……殺せ」

ルル「はい?」

ネリ「殺せ!もういっそのこと殺してくれ!」

ルル「どうしたんです?何か嫌なことでもあったんですか?」

ネリ「お前のせいだ!」ギュ!

ルル「ちょ!姉上…く、首は!首をしめないで!」


78: 2013/09/07(土) 19:52:07.57 ID:6xBZS7yB0

ネリ「チェスに負けて泣くなどと…そんなものは私ではない!!」ギュー


ルル(やばい、かなり興奮している。
   なら今日もとっととギアスをかけるか。
   妹キャラはないな。俺の妹はナナリーだけだ。
   それにコーネリアが妹って……書いてて誰かよくわからんことになるからな。
   書く?なんだそれは、話してて、だな。
   それに、そもそも俺は親の愛情に飢えていたはずだ。
   なら今日は)


ルル「ぐ、ルルーシュ・ヴィ・…おえ、ブリタニアが命じる!
   『優しいお母さんになれ』!!」キュイーン

ネリ「……」パッ

ルル「ゲホッ、ゲホ」


79: 2013/09/07(土) 19:57:26.34 ID:6xBZS7yB0

ネリ「あらルルーシュ。どうしたの?」

ルル「いや、ゴホゴホ…なんでもないですよ」

ネリ「そう、何かあったらママに相談してね」

ルル「……」

ネリ「ん?どうしたの?」

ルル「母さ」

ネリ「ママ」

ルル「か」

ネリ「マーマ」ニコ

ルル「マ、ママ」

ネリ「はい、なんですか?」


81: 2013/09/07(土) 20:19:38.62 ID:6xBZS7yB0

ルル「あ、いえ…呼んでみただけです」

ネリ「ふふ、おかしなルルーシュね」ニコニコ

ルル(姉上が母親になるとこうなるのか……。なんていうか…笑顔が柔らかいな)

ネリ「それよりルルーシュ」

ルル「なんでしょうか」

ネリ「こちらへ来なさい」ギュ

ルル「か、母さん!?」

ネリ「大きくなったわね。」

ルル「っ!」

82: 2013/09/07(土) 20:28:10.52 ID:6xBZS7yB0

ネリ「マリアンヌ様の愛情はもらえなかったけど、ルルーシュもこんなに大きくなって…
   それにナナリーもあんなに大きく…美しく成長して。
   ママは嬉しいわ。
   よく頑張ったわね」

ルル「っ」ポロ
  (抱きしめられていてよかった。泣き顔を見られずに済む)ギュッ

ネリ「あらあら。子供帰りかしら。よしよし」ナデナデ

ルル(涙が止まるまではしばらくこのままだな)



―――――――――――――――
―――――――――――――


83: 2013/09/07(土) 20:36:12.56 ID:6xBZS7yB0

ルル「母さん、もういいよ」スッ

ネリ「あら?もういいの?」

ルル「はい、十分です」

ネリ「それより、呼び方が戻ってるわよ」

ルル「母マリアンヌに対しても母さんでしたから。
   こちらの方でよろしいですか?」

ネリ「マリアンヌ様と同じならいいかな。
   ところでルルーシュ。お腹は減ってないの?」

ルル「そういえば夕食がまだでしたね」

ネリ「そう、なら何を作りましょうか」

90: 2013/09/08(日) 06:40:29.07 ID:7RunJxJn0

ルル「それなんですが」

ネリ「ん?なーに?」

ルル「俺と一緒に作りませんか?」

ネリ「ルルーシュと?料理もできるの?」

ルル「ええ」

ネリ「ルルーシュは立派に育ったわね。料理ができる男の子はモテるわよ」


ルル「披露する機会はないですけどね。料理は…」
  (またここまで料理器具や食材を持ってくるのは骨だな)

ルル「少し待っていてください」プシュー

ネリ「? ええ」

ルル「…」prrrrr


91: 2013/09/08(日) 06:59:44.62 ID:7RunJxJn0

ジェレ「いぶし銀、ジェレミア・ゴットバルトです」

ルル「ジェレミアか。今から姉上と厨房を使う。人払いを頼む」

ジェレ「分かりました。このジェレミア!必ずやルルーシュ様のごきた」プチ

ルル「よし」プシュー

ネリ「どうしたの?」

ルル「ここでは料理ができないですから。厨房を借りることにしました。では行きましょうか」

ネリ「ええ」



―――――――――――――――
―――――――――――――

92: 2013/09/08(日) 07:24:09.66 ID:7RunJxJn0

ネリ「それで、今日は何を作ろうかしら?」

ルル「それなんですが。母さんにはブリタニア料理(※地図的に現実でのアメリカ料理)を作ってもらいたいのですが」

ネリ「いいわよ。じゃあルルーシュは?」

ルル「お口に合うかは分かりませんが…エリア11、ニッポン料理を」

ネリ「あら、それは楽しそうね。じゃあそうしましょうか」


~1時間後~


ネリ「ここはレンジもオーブンもあるし、コンロも1口じゃないから早いわね」

ルル「ええ、そうですね。ところで母さんは何を作ったんですか?」

ネリ「チャウダーにフライドポテトにフライドチキン、あとはステーキにミートローフよ」

ルル(ふむ…見事に肉まみれだな。そりゃこんなのばかり食ってたらピザが出来上がるわけだ)


93: 2013/09/08(日) 07:38:36.47 ID:7RunJxJn0

ネリ「ルルーシュは?」

ルル「母さんが…外国人が食べても違和感がないものをと思って。
   肉じゃがと天ぷら、茶わん蒸しに鰤大根、ほうれん草のおひたしです」

ネリ「あら、美味しそうね」

ルル「ですが母さん、ニッポン料理には魚介類を生で食べる風習があるんですよ。
   お寿司に刺身、それに酢の物とかですね」

ネリ「それも気になるわね」

ルル「初めはびっくりすると思いますよ。では、また今度作りますね」

ネリ「ええ、楽しみにしているわね。じゃあ、いただきましょうか」

ルル「はい」



―――――――――――――――
―――――――――――――

94: 2013/09/08(日) 07:55:40.83 ID:7RunJxJn0

ルル「母さんはもう終わりですか?」

ネリ「ええ、もうお腹いっぱいよ」ニコニコ

ルル「実は、俺ももう一杯なんですが」

ネリ「あら、いっぱい残っちゃったわね」

ルル「まあ二人とも1、2品じゃなかったですからね。無理に食べても仕方ないので保冷しておきます」

ネリ「あ、なら」

ルル「なんですか?」

ネリ「ルルーシュが作ってくれたニッポン料理、私の明日のお昼にしてくれないかしら」

ルル「姉う…母さんのですか?」

ネリ「ええ。せっかくルルーシュが作ったんですもの。また明日も食べたいわ」

ルル「分かりました。ならそうするように伝えておきます」


95: 2013/09/08(日) 08:13:00.81 ID:7RunJxJn0

ネリ「ええ。ところでルルーシュ、今日は久しぶりに一緒に寝ましょうか」


ルル「一緒にですか?」
   (まあ、もう2日寝ているしな。今さらなんてことない)


ルル「ええ、いいですよ」

ネリ「そう、嬉しいわ。ならお風呂は…先に入ってきたら?」

ルル「え?」

ネリ「え?私が先の方がいい?」


ルル「あ、いえ……」
   (てっきり一緒かと。姉上も親子になると一緒じゃなくなるのか…よく分からんな)


ルル「では俺は自分の部屋のシャワーを使いますから、母さんはあの部屋のシャワーを使ってください」

ネリ「そうね、そっちの方が早いし。じゃあお風呂を上がったらまたこっちに来てね」

ルル「わかりました。ではまた後で」



―――――――――――――――
―――――――――――――


96: 2013/09/08(日) 08:36:51.87 ID:7RunJxJn0

ルル「母さん」プシュー

ネリ「あら、遅かったわね」

ルル「用意に手間取って。もう母さんは寝る準備ができているのですか?」

ネリ「ええ、大丈夫よ」

ルル「そうですか、なら電気を消しますよ」

ネリ「ええ」

ルル「では、おやすみなさい」モゾモゾ

ネリ「ええ、おやすみ」

ルル(親子だと抱き付かないのか…それはそれで寂しいな)



―――――――――――――――
―――――――――――――




109: 2013/09/08(日) 19:04:42.54 ID:7RunJxJn0

~翌朝~


ルル(昨日は今までのような取り消すべき約束はない。
   だからギアスキャンセルをする必要はない…が、
   キャラがブレブレだ。
  自分で何を言っているか分からないが、とりあえずやりにくい。
  やはり姉上は姉萌えが至高だ。
  そんなことにも気づかないとは俺もまだまだだな。
  というわけで原点回帰をするためにもキャンセルする必要があるな)


ルル「…」prrrrr

ジェレ「心憎い男、ジェ」

ルル「今日も姉上のギアスキャンセルを頼む」プチ



―――――――――――――――
―――――――――――――

110: 2013/09/08(日) 19:12:37.13 ID:7RunJxJn0

~夜~


ルル「姉上」プシュー

ネリ「…またお前か」ジロ

ルル「この部屋に来るのはジェレミアか咲世子、それに俺くらいしかいませんからね」

ネリ「毎日毎日来て暇なのか?黒の騎士団も終わりだな」


ルル「俺がやることは組織の舵きりですから計画を立てれば後は団員に実行させるだけです。
   心配していただきありがとうございます」


ネリ「誰が心配などするか!」

ルル「そうですか…おや?この食器は、昨日俺が作ったニッポン料理に使ったお皿ですね」

ネリ「そうだ」

ルル「食べて下さったんですね」


111: 2013/09/08(日) 19:21:48.55 ID:7RunJxJn0

ネリ「メイドがこれしかないって言うもんだからな。それに昨日、私自身が食べるといった記憶もある。
   自分の言葉には責任を持たねばならんからな」

ルル「ギアスにかかっていたから無効だと言ってもよかったのですよ」

ネリ「もう食べた後だ。今後はそうする。……それより、ルルーシュ」

ルル「はい?」

ネリ「お前は、その…辛かったのか?」

ルル「何がです?急に」

ネリ「昨日の私はギアスにかかって母親になっていたが…そのときに言ったな。
   『よく頑張った』と…」

ルル「ええ」

ネリ「……お前に久しぶりにあったのはブラックリベリオンのときだったな、ゼロとしてはもっと前だったが。
   そのときにはお前がユフィの仇と知ってそんなこと考えもしなかったが…
   お前も腹違いではあるが私の弟だ」

ルル「おっしゃりたいことがよく分からないのですが」


112: 2013/09/08(日) 19:30:33.59 ID:7RunJxJn0

ネリ「だから!…ナナリーと二人で辛くなかったのか?」

ルル「辛かったですよ」

ネリ「…そうか」

ルル「母さんを守らず、俺とナナリーを政治の道具にしたシャルルを殺したいと思うほどにね」

ネリ「……」


ルル「子供二人だけで見たことも聞いたこともない国に飛ばされて辛くない子供なんていないでしょう。
   頼れるのは自分だけ。
   用意されていたのは土蔵…物置ですよ?
   皇族として何不自由なく暮らしていた子供が頼れるものもなく物置で生活を送るはめに…
   歪むには十分な理由でしょう」


ネリ「…そうだったのか」

ルル「昔話はもういいでしょう。不幸自慢をしても意味がない」

ネリ「……またギアスをかけるのか?
   今日はなんだ?娘か?孫か?犬猫などのペットにでもするか?」

ルル「いいえ、姉上はやはり姉であってこそ輝く。
   だから、今日は姉になっていただきます」


113: 2013/09/08(日) 19:37:17.10 ID:7RunJxJn0

ネリ「なんだ、また『優しい姉』にでもするのか?
   芸のない奴だ」

ルル「いいえ、今日は違いますよ。それでは今日も一応確認します。
   自由意思で俺を甘えさせてはくれませんか?」

ネリ「…断る」

ルル「なら仕方ないですね。
   ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!
   『今日より過去2年間の俺に関する記憶を忘れろ』!!」キュイーン

ネリ「待て!やめろ!…………………」

ルル「姉上?」

ネリ「…?
   っ!?ル、ルルーシュ?ルルーシュなのか?」

ルル「はい、そうですよ姉上」

ネリ「お前は…エリア11との戦争で死んだはずでは!?」

ルル「あれは工作ですよ。生きていたとなれば、また侵略地に人質として差し出されかねなかったので」

ネリ「そうか…そうだったのか」ポロポロ


114: 2013/09/08(日) 19:46:01.48 ID:7RunJxJn0

ルル「姉上!?」

ネリ「本当に良かった。ユフィは本当にお前の死を悔やんで……」

ルル「姉上は…どうだったんですか」

ネリ「私だって辛かった。お前が死んだと聞いて」

ルル「そうでしたか」

ネリ「もっと顔を見せてくれ」

ルル(顔に当てられた手が震えているな…)

ネリ「ルルーシュがこんなに大きく…」

ルル「姉上とは9年ぶりの再会ですから」

ネリ「そうか、そんなに月日が経っていたのか」


115: 2013/09/08(日) 19:54:13.20 ID:7RunJxJn0

ルル「姉上もお綺麗になられましたね」

ネリ「お世辞はよせ。それにルルーシュ、女性に年齢の話はタブーだ」ギュー


ルル「あねふへ、とひのはなひはひてまへん。ほっふぇをひっはらないで」
  (姉上、年の話はしてません。ほっぺを引っ張らないで)


ネリ「文脈で年を取ったと暗に言っている様だぞ」パ

ルル「そんなこと思ってないですよ」

ネリ「それよりなぜお前がここに?」

ルル「姉上同様、捕えられたようです」


ネリ「そうか、だが黒の騎士団は私達をどうにかするつもりはないようだな。
   捕えられて何日か経つが、食べ物に部屋、衣類も用意されている。
   外には出られないが命は保証されているとみていいだろう」


ルル「そうですか、それはよかった」

ネリ「だがやはり捕らわれの身。部屋を自由に出ることはできない。
   やることもないから会話に付き合ってくれないか」

ルル「ええ、いいですよ」


116: 2013/09/08(日) 20:03:51.56 ID:7RunJxJn0

ルル「俺のことですか?」

ネリ「ああ、お前が王位継承権を放棄したこと、11に送られたことは知っている。
   だが、なぜそうなったのかすら知らされていないんだよ」


ルル「そうですね…
   母マリアンヌが亡くなってシャルルに謁見をしてその場で聞いたんですよ。
   『なぜ母を守らなかったのか』『なぜ入院しているナナリーのところに顔を出さないのか』って。
   それであいつはこう言ったんですよ…『弱者に用はない』、とね。
   それで、俺は嫌になったんですよ…強者であり続けることに。
   皇族が強者でなければならないのなら俺は皇族をやめたかった。
   だから放棄したんですよ。
   11には外交手段の一つとして人質として差し出されただけですよ」


ネリ「父上が…そんなことを」

ルル「そんなこと?姉上はあいつに幻想を抱いておられる。
   あの下種なら当然ですよ」


ネリ「下種などと、実の父親に向かって」


ルル「実の子を取引材料に使う者を親とは言わない。
   仮に親だとしてもそんな奴を尊敬することなどできない」


117: 2013/09/08(日) 20:12:03.60 ID:7RunJxJn0

ネリ「…そうだな。お前にはそう思うだけの理由がある。
   それで?11に行ってからは何をしていたんだ」


ルル「人質として当時の首相だった枢木ゲンブ…スザクの父親に匿われていました…蔵でね」

ネリ「…その後は」


ルル「その後はブリタニアが11を侵略し、その戦争で俺は死んだこととしました、公的書類上で。
   その後はアッシュフォード家を頼りながら、普通の高校生として偽名を用いて生活をしていました」


ネリ「そうか、過酷な幼少期だったな」

ルル「もう過ぎたことですよ」

ネリ「いい!強がらなくても…姉の前でくらい弱音をみせてもいいんだ」ギュ

ルル(姉上は…俺がユフィの仇でなかったのならこうやってくれていたのか)

ルル「そういう姉上はどうしていたのですか?」


ネリ「私は父上の命令通り、各エリアの副総督として統治や政治の勉強をしたりしていたな。
   その後、実際に総督になったり戦争に従事していた」


ルル「とても皇女とは思えないですね」


118: 2013/09/08(日) 20:19:59.89 ID:7RunJxJn0

ネリ「確かにな。だがブリタニア皇族ならば仕方ない。
   それでその後エリア11の総督となった」

ルル「それは知ってます」

ネリ「だが……ユフィが殺された。それも知っているだろ」

ルル「…ええ」

ネリ「だが私は信じられなかった。ユフィが11を撃ち殺したなど。
   映像は確かに残っていた。だが、行政特区ニッポンを本気で作ろうとしていた…あの優しいユフィが人を打ち殺すなど…
   とてもじゃないが信じられなかった。だから私は総督位を返上して調査をしていた」

ルル「なぜユフィが撃ったかですか?」

ネリ「ああ、それで突き止めたのがギアス」

ルル「ギアス?」

ネリ「ああ、私も詳しくは知らない。だが、特殊な力らしい。
   それで、私はそのギアスでユフィが操られていたのではないかと睨んでいる」


119: 2013/09/08(日) 20:27:32.90 ID:7RunJxJn0

ルル「ユフィの汚名を雪ぐためですか」

ネリ「ああ、あんなに優しかったユフィが虐殺皇女などと呼ばれるのは我慢ならん」

ルル「そうでしたか」

ネリ「ルルーシュ、ブリタニアに戻ってくる気はないか?」

ルル「ブリタニアに?」

ネリ「ああ、お前ももう大人だ。昔のように政治の道具に使われることもないだろう」


ルル「人質としてはそうでしょうね。ですが結局は同じですよ。
   姉上のようにブリタニアによる支配の駒とされる。俺は嫌ですよ、そんなことをするのは」


ネリ「なぜだ?強者が統治し弱者に平和と安寧を与える。それのどこが悪い」


ルル「姉上、その話は辞めましょう。俺は何を言われてもブリタニアに戻るつもりはありません」

ネリ「そうか…ユフィも、それにクロヴィスも死んだ。他にもたくさん…お前までも死んでしまっては!」


ルル「それを進めたのはシャルルでしょう。競争原理によって強者を次の王にする…
   まるで剣闘士を見ている気分なんでしょう、あいつにとっては。
   それに俺は普通の生活が身の丈に合っています。危ないことをするつもりはないので早々死んだりしませんよ」


120: 2013/09/08(日) 20:35:47.27 ID:7RunJxJn0

ネリ「そうか、寂しいな。お前が帰ってこないのは」

ルル「なら姉上、あなたが俺の傍にいてくださいよ」

ネリ「私が、か?」

ルル「ええ、そうすれば一緒にいられるでしょう」


ネリ「無理だ。私はユフィの仇を討つという目的があったから単独行動をしていたが、それも終わった。
   なら元通りにブリタニア皇族としての責務を全うせねばならん」


ルル「そうですか…なら仕方ないですね」


ネリ「ああ、だがルルーシュ。お前が生きていると分かったのだ。
   今後は通信手段を用いて連絡することもできるし、時間ができれば会いにこよう」

ルル「それは楽しみですね。ありがとうございます。
   それと姉上、俺が生きていることは内密にしてください」


ネリ「お前がそういうのならそうしよう」


121: 2013/09/08(日) 20:44:13.67 ID:7RunJxJn0

その後は姉上と一緒に食事をし、別々にお風呂に入った。
俺に関する記憶を消しただけだから、さすがに一緒に入ろうとは言ってこなかった。

その後は一つしかないベッドで一緒に寝たが、やはり抱き締めてはくれなかった。

俺がユフィの仇でないなら、姉上は今日のような態度だったんだな。
因果応報だが、やはり悔やまれる。
ミスでユフィにギアスをかけなければ……考えても仕方ないことだが考えずにはいられない。

姉上の寝顔を見ながら、そんな妄想じみた考えが頭から離れなかった。



―――――――――――――――
―――――――――――――


122: 2013/09/08(日) 20:50:44.23 ID:7RunJxJn0

~翌日 昼~


ルル「失礼します」プシュー パタン

ネリ「…こんな昼間から何の用だ」

ルル「ちゃんとギアスは解かれているようですね。姉上、外に出ませんか」

ネリ「なに!?」

ルル「もちろん、姉上を逃がすためではありませんよ」

ネリ「ッチ」


ルル「姉上はここ1週間ほど外に出ていませんから。それだとさすがに健康に影響があるでしょう。
   だから、今日は一緒に中華連邦の町でデートをしませんか?」


ネリ「断ると言ってもギアスで強制するのだろ」

ルル「いいえ、姉上が出たくないと言うのなら無理強いはしませんよ」


ネリ「…そうだな、久しぶりの外の空気が吸いたい。
   だがその場合にもギアスをかけるのだろ」


ルル「ええ、外には凶器となる物もありますから身の安全を守るためにも。
   あと、逃亡されても困りますから」


123: 2013/09/08(日) 20:59:25.78 ID:7RunJxJn0

ネリ「その場合、なんとギアスをかけるんだ?」

ルル「そうですね……『俺を愛する姉になれ』ですかね」

ネリ「そうすれば逃げないし危害も加えない…か」

ルル「それでよろしかったですか?」

ネリ「嫌だと言ってもかけるのだろう?」

ルル「先ほど言ったではないですか。無理強いはしないと。
   ギアスをかけて外に出るか、ギアスをかけずにここに籠るか…
   それは姉上の判断に任せますよ」


ネリ「……わかった、外に出よう」

ルル「ならギアスをかけさせていただきます。
   
   ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!
   『俺を愛する姉になれ』!!」キュイーン


124: 2013/09/08(日) 21:03:18.84 ID:7RunJxJn0

ネリ「………………………………。
   ルルーシュ、今日は私とずっと一緒にいてくれるのか?」

ルル「ええ、今日は中華連邦でデートをしませんか?」

ネリ「デート……。ふふ、いい響きだな。
   よし、ならデートに行こう」


ルル「ええ」

ネリ「あ、その前に。ルルーシュ、この服の中から今日着る服を選んでくれないか?」

ルルーシュ「今着ている服でいいじゃないですか」


ネリ「ダメだ。せっかくのルルーシュとのデートなんだぞ。
   私だって女だ。できるだけ綺麗な格好で行きたいんだ」


ルル「そうですか。なら…俺としてはこれかこれがいいですね」

ネリ「ならこちらの黒のワンピースにしよう」

ルル「ええ、パイピングで綺麗ですよ」


125: 2013/09/08(日) 21:10:23.80 ID:7RunJxJn0

ネリ「なら…よいしょっと」ヌギヌギ

ルル「ちょ!姉上!俺の目の前で脱がないでください!」

ネリ「なぜだ?」キョトン

ルル「止まらないで!着るか隠すかしてください!」

ネリ「まったく…ルルーシュは初心だな。今さら下着くらいで騒いで。
   …よし、着れたぞ」

ルル「はあ、では行きましょうか」

ネリ「待て、せっかくだ。化粧もちゃんとして行きたい」

ルル「分かりました。では待っているので早く用意をしてください」

ネリ「ああ、急ぐとしよう」


126: 2013/09/08(日) 21:16:00.14 ID:7RunJxJn0

~30分後~


ネリ「おい、ルルーシュ。おい!」

ルル「zzzz」

ネリ「おい、起きろ!」ユサユサ

ルル「zzz……姉上?」

ネリ「ああ、そうだ。お前の愛しの姉上だ。
   待ってる間に寝る奴があるか」

ルル「すいません。この部屋には暇を潰せるものがなかったもので」

ネリ「もしかして…疲れているのか?」

ルル「いいえ、大丈夫ですよ。心配ありがとうございます」

ネリ「だ、誰が心配などするか!せっかく化粧までしたのに無駄になるのが嫌だっただけだ!」

ルル「そうですか、ならさっそく行きましょうか」

ネリ「……ああ」

ルル「?  それと姉上、今日もお綺麗ですよ」


ネリ「う、うるさいっ!!」



―――――――――――――――
―――――――――――――


127: 2013/09/08(日) 21:23:44.87 ID:7RunJxJn0

ネリ「おいルルーシュ!あれはなんだ?」

ルル「あれは小龍包ですね」

ネリ「ほぉ、他にもいろんな店がある。活気があるな」

ルル「中華連邦には人が多いですから。
   それに中華料理は世界三大料理の一つに数えられるほどですから、食に関しては抜きんでたものがあるでしょう」

ネリ「美味しそう…美味しそうだな!」キラキラ

ルル「せっかくですからどこかに入りましょうか」

ネリ「そうだな」キョロキョロ

ルル「姉上、せっかくですから茶楼に行きませんか?」

ネリ「茶楼?」

ルル「お茶を楽しみながら点心も一緒に頂けるところです」

ネリ「ほう、楽しそうだな。よし!そこへ行こう」

ルル「はい、では案内しますね」
  (中華ウォーカーで調べといてよかった)


128: 2013/09/08(日) 21:32:21.25 ID:7RunJxJn0

~10分後~


ルル「姉上、着きました」

ネリ「ほう、ここか。早速行こう」ギュッ

ルル「あ、姉上。手を引っ張らないでください」ズルズル

ネリ「ほう、中はこうなっているのか?」

店員「2名様ですか」

ネリ「ああ」

店員「ではご案内いたします。……こちらの御席へどうぞ」

ネリ「ああ」

店員「お茶はどうなさいますか?」

ネリ「お茶?」

ルル「姉上、こちらにメニューが」

ネリ「何!?こんなに種類があるのか…ルルーシュ、どうしようか」

129: 2013/09/08(日) 21:39:35.65 ID:7RunJxJn0

ルル「さすがに俺も門外漢ですからね。店員に要望を言って選んでもらった方が早いでしょう」

ネリ「そうだな」

ルル「すいません。では私は緑茶を。できるだけ香ばしくて飲みやすいものを」

ネリ「なら私は黄茶を」

店員「かしこまりました」

ネリ「……。すごいな、こんなにお茶の種類があるとは」

ルル「そうですね。この中から一番自分の好みを探すとなるとすごく時間が掛かりそうですね」

ネリ「ああ、食べ物の方もいっぱいあるな」

ルル「姉上は食べたいものがありますか」

ネリ「ああ」

ルル「なら姉上にオーダーはまかせるとしましょう」

店員「お待たせいたしました」

ネリ「ほう、ここで淹れてもらえるのか」

ルル「目でも楽しませてくれますね」

130: 2013/09/08(日) 21:46:19.51 ID:7RunJxJn0

ネリ「ああ」

店員「こちらは緑茶の西湖龍井茶となります
   こちらが黄茶の霍山黄芽となります。
   食べ物のご注文はよろしかったでしょうか」

ネリ「ああ、ならこれとこれとこれ。あとここからここまでを」

店員「かしこまりました」

ルル(ここからここまで?)

ネリ「なら早速お茶をいただいてみよう」

ルル「そうですね…ゴク。
   ほう、日本のお茶よりも香ばしい。茶葉が煎られた香りがすごい」

ネリ「こちらは…なんというか後味が甘いな。果物のようなフルーティーさがある。
   そちらも一口くれ」

ルル「どうぞ」


131: 2013/09/08(日) 21:54:26.60 ID:7RunJxJn0

ルル「どうぞ」

ネリ「ゴク……ふむ、やはり違うな。ルルーシュもこちらを飲んでみろ」

ルル「頂きます。ゴクゴク……ええ、違いますね。そちらの方が上品で甘さがある」

ネリ「茶葉一つでこんなにも違うのか」

店員「お待たせいたしました……ごゆっくりどうぞ」

ルル「姉上、頼み過ぎでは」

ネリ「せっかく来たのだ。色々と食べてみたくてな」

ルル「ゴマ団子に杏仁豆腐、揚げ花巻も…甘い物が多いですね」

ネリ「甘い物には目がないんだ」

ルル「姉上も女の子ですね」

ネリ「年上をつかまえて女の子などと!…ふん」

ルル「姉上、せっかくですから温かいうちに食べましょう」

ネリ「おぉ、そうだな。では頂きます」

ルル「頂きます」



―――――――――――――――
―――――――――――――


132: 2013/09/08(日) 22:00:25.19 ID:7RunJxJn0

ルル「姉上……よくそれだけ食べれますね」

ネリ「甘い物は別腹だ」

ルル(別腹にしても甘い物だけで俺より食べてるじゃないか)

ネリ「よし、食べ終わったしお茶も楽しんだ。そろそろ行こうか」スク

ルル「ええ」スク

店員「ありがとうございました」

ネリ「もう払ってくれていたのか。御馳走様」

ルル「どういたしまして。それでは今からはどこに行きましょうか」

ネリ「ブラブラしているだけでも楽しいぞ」

ルル「ならウインドウショッピングをしましょうか」

ネリ「ああ、そうしよう」ギュッ

ルル(右腕がまたダークマターに侵食されている……)


133: 2013/09/08(日) 22:05:25.98 ID:7RunJxJn0

ネリ「おい、ルルーシュ見てみろ。色々な茶器があるぞ」グイグイ

ルル「ええ、そうですね」

ネリ「お?あっちの方には何があるんだ?」グイグイ

ルル(姉上がはしゃいでいるな…ここ1週間近く軟禁されていれば当然か。
   それに、もし姉上が皇女などではなく普通の女性だったのなら、こんな感じだったのだろうな)

ネリ「おい、ルルーシュ。見慣れないものがたくさんあるぞ」

ルル「ええ、そうですね」

ネリ「やはり文化とはすごい。国が異なるだけでこんなにも違うのだからな」トコトコ

ルル「ええ、そうですね。……っ!!!!!!!!!!!!!?」

ネリ「? おい、どうしたのだ。そんなに驚いた顔をして」



134: 2013/09/08(日) 22:11:06.43 ID:7RunJxJn0

ルル(これは………なぜ俺はこれを見落としていた!
   こんなものを失念していたとは…俺もまだまだだな)


ネリ「おい、大丈夫か」

ルル「ええ、大丈夫ですよ。それより姉上、一つプレゼントをしたいのですが」

ネリ「なに?本当か?
   それでなにをプレゼントしてくれるのだ?」

ルル「ではこちらのお店へ」ズルズル

ネリ「あ、ああ」

ルル「これです」

ネリ「……服?」

ルル「ええ、チャイナドレスです」

ネリ「これを私にか?」

ルル「はい、ぜひとも姉上にプレゼントがしたいのです」

135: 2013/09/08(日) 22:22:10.30 ID:7RunJxJn0

ネリ「なるほど、光沢感があって豪奢だな。ならルルーシュに選んでもらうとするか」

ルル「ええ、分かりました……なら姉上。これを試着していただけますか?」

ネリ「赤色か」

ルル「ええ、姉上には派手な赤がよく映えるかと」

ネリ「わかった、では試着してみよう」


~5分後~


ネリ「どうだろうか」カシャー

ルル「………………………………」

ネリ「? ルルーシュ?」

ルル「はっ!!すいません、ちょっと意識が飛んでました。
   ……姉上、そのまま帰りましょう、早く帰りましょう」

ネリ「え?この格好でか?さすがにそれは恥ずかしいが」


136: 2013/09/08(日) 22:29:33.44 ID:7RunJxJn0

ルル「なにをおっしゃる!こんなに綺麗な姉上を恥ずかしがる必要はありません。
   むしろ誇ったっていいほどだ!」

ネリ「いや、だってスリットが結構際どいぞ」

ルル「それもまた姉上の魅力を引き立てていますね、ええ。
   では会計をして来ますのでそのままお待ちください」ダッダッダ

ネリ「ルルーシュが走るなどなかなかレアな映像だな」

ルル「ただ今戻りました。袋を貰ったので元着ていた服はこちらへ入れてください」

ネリ「あ、ああ」

ルル「なら行きましょうか」ギュッ グイグイ

ネリ「まったく、強引だな」

ルル「姉上、他に寄りたい所はありますか?」

ネリ「特に欲しい物もないし、やりたいこともない。息抜きは十分にできたしな。
   と言うかこの格好で出歩くのは恥ずかしい」モジモジ

ルル「なら茶葉を買って斑鳩に戻りませんか」


137: 2013/09/08(日) 22:36:10.45 ID:7RunJxJn0

ネリ「茶葉?それはいいかもしれないな。
   今日、中国茶を初めて飲んだがあれはいい。
   香ばしい物から渋い物、それに清かな物やフルーティーな物まで種類が豊富だ。
   はまってしまいそうだ」

ルル「なら茶葉を数種類買って斑鳩に戻りましょう」

ネリ「ああ、そうしよう」


―――――――――――――――
―――――――――――――

~斑鳩~

ルル「姉上、茶器を持ってきました」

ネリ「それで、部屋に戻ってきたが早速お茶にするのか?」

ルル「ええ、歩いて疲れたのでお茶にしませんか」

ネリ「賛成だな」


138: 2013/09/08(日) 22:42:24.94 ID:7RunJxJn0

ルル「なら姉上、淹れてください」

ネリ「は?私がか?」

ルル「ええ、チャイナドレスの美女にお茶を淹れてもらう。
   夢のような一時ですよ」

ネリ「美女などと…/// だが中国茶の淹れ方は知らないぞ」

ルル「今のご時世、ネットでそれなりの情報は手に入りますよ。
   まずは茶壺…その急須のようなものに熱湯を入れるそうです」

ネリ「ふむふむ…それで?」

ルル「茶壺に入れたお湯をそのまま茶海…淹れたお茶を保存するピッチャーに注いで、次に茶海から茶杯に注いでください。
   あ、茶杯に入れたお湯はそのままでいいですから」

ネリ「ふむ、道具を温めるのは紅茶と同じだな」


139: 2013/09/08(日) 22:48:11.10 ID:7RunJxJn0

ルル「温度が高いとそれだけ味覚を豊かに感じますからね。
   で、次に茶葉を入れるんですが初めてなので色々試してみましょう。
   とりあえずは茶壺の底が隠れる程度で。
   それで茶壺を軽く、脇からコンコンと叩いてください」

ネリ「これには何の意味があるのだ?」

ルル「細かい茶葉が下に沈んで、上には浮かないようにしてるんだそうです。
   その結果、お茶を注いでも茶葉が出てこないらしいです」

ネリ「なるほど、色々考えられてるんだな」

ルル「その後は茶壺に熱湯を一杯一杯まで入れて、泡をきるように蓋をします。
   更に茶壺に熱湯をかけて外からも温めてください」

ネリ「ふむ。どれくらい蒸せばいいんだ」

ルル「とりあえずは40秒ほどで飲んでみましょうか。洗茶はどうしますか?」

ネリ「洗茶?」

ルル「ええ、茶葉についた汚れを落とすために1杯目は捨てることもありますが。
   ですが1杯目は2杯目とは違ってやはり味がしっかりしてますよ」

ネリ「せっかくだ。とりあえず1杯目から飲んでみるか」

ルル「なら40秒待ちましょう」


140: 2013/09/08(日) 22:54:28.65 ID:7RunJxJn0

ネリ「……………………」ワクワク チラ ワクワク チラ

ルル「……40秒経ちました。では茶海に移してください。
   香りを逃がさないように低い位置から。
   で、茶杯に入っていたお湯を捨てて茶海から注いで完成です」

ネリ「…………………………」イソイソ
  「よし、できたぞ」

ルル「頂いてよろしいですか?」

ネリ「ああ」

ルル「では頂きます。…ゴク。
   ふむ、美味しいですね」

ネリ「では私もいただこう…ゴクゴク。
   むう、わたしはもっと渋くてもいいと思うが」

ルル「そうですか、なら次はもうちょっと蒸らしてみましょう。
   ですが十分美味しいですよ。これで姉上も中国茶が淹れられるようになりましたね」

ネリ「ああ、そうだな」


141: 2013/09/08(日) 23:01:14.40 ID:7RunJxJn0

ルル(胸も大きく、スリットから覗く白くスラっとした足も美しい。
   顔も美女といって差し支えない、いやそれでも不足するほどの端正のとれた顔立ち。
   そんな美女にお茶を淹れてもらえるなんて……
   ゼロ専属のお茶汲みとして働いてくれないだろうか)

ネリ「ど、どうした?そんないジロジロとこちらを見て」モジモジ

ルル「いえ、こんな美女にお茶を淹れてもらえるなんて俺は幸せものだなと思いまして」

ネリ「なっ!……姉を褒めても何もでないぞ」

ルル「何か欲しくて言ってるんじゃありませんよ。
   ただそう思ったから言っただけです」

ネリ「そ、そうか」モジモジ

ルル(ふむ、恥らって裾を引っ張る仕草も可愛い。
   見えそうで見えない三角地帯…探究心をそそられるチラリズム。
   やはり姉上は心得ているな)

ネリ「と、ところでルルーシュ」モジモジ

ルル「はい?なんですか」ジー

ネリ「しゃべるときはちゃんと相手の顔を見ろ!
   あ、やっぱりいい。今は見るな」


142: 2013/09/08(日) 23:05:21.18 ID:7RunJxJn0

ルル「どっちなんですか」

ネリ「そ、それで聞きたいことがあるのだが」

ルル「何でしょうか」

ネリ「お前はさっきから…その、私のことを綺麗だとか美女などと言って褒めているが……
   付き合っている者はいないのか?」

ルル「はい?突然ですね」

ネリ「だって、付き合っている者がいるのに姉にそのようなことを言うのは恋人に失礼であろう」

ルル「大丈夫ですよ。俺に恋人はいません。
   だから、姉上が気に病むことは何一つないですよ」

ネリ「恋人はいないのか?なら、好きな奴の一人や二人くらいはいるのだろう?」

ルル「好きな人ですか……あまり考えたことはないですね。
   自分やナナリーのことで一杯でしたから」

ネリ「そ、そうか。だがお前は若いんだ。
   恋の1とや2つは経験しておくべきだぞ」

ルル「なるほど。では姉上はどのような経験をお持ちなのですか?」


143: 2013/09/08(日) 23:11:51.39 ID:7RunJxJn0

ネリ「わ、私か!?」

ルル「ええ、姉上も恋の1つや2つを経験なさっているのでしょう?
   後学のためにも是非教えていただきたいのですが」

ネリ「そ、そうか。私も昔は色々と恋をしたものだぞ?」

ルル「ほう、そうなのですか」

ネリ「あ、ああ。学生時代には色々な男から告白を受けたし、軍に参加するようになってからも色々と声はかけられているぞ。
   それに貴族などからも縁談があったりするしな」

ルル「そうなのですか。姉上は美しいからさぞやおもてになられたのでしょうね」

ネリ「あ、ああ!そうだとも!」

ルル「それで、実際にどのくらいの方とお付き合いをなされたのですか?」

ネリ「ん?そ、それはだな…両手では数えきれないほどだな!」


144: 2013/09/08(日) 23:15:08.42 ID:7RunJxJn0

ルル「なるほど。姉上は10人以上もの方とお付き合いをしたと…
   それはいささか多すぎませんか?
   何か問題があるのでは?男性の見る目がないとか、姉上に難があったとか」

ネリ「い、いや…そういう、わけではなくて…そう!価値観の不一致だ!」

ルル「そうですか。それは付き合ってみないと分からない部分もありますね」

ネリ「ああそうだとも!実際に付き合って、やっとわかったのだ!」

ルル「それで姉上は、今は恋人や意中の方はおられるのですか?」

ネリ「い、今はいない」

ルル「ですが姉上もそろそろ結婚を考える頃では?」

ネリ「結婚か。今は仕事が忙しいからな」

ルル「そうですか。だが姉上が男性経験豊富だったとは…少しショックです」

ネリ「え!?」


145: 2013/09/08(日) 23:22:01.50 ID:7RunJxJn0

ルル「下品ですが、やはりお付き合いされていたのなら体の関係もあったのでしょう。
   俺はショックです、姉上が汚れてしまった気がして……」

ネリ「そ、そんなことはない!私は誰1人としてこの体を許してはいない!」

ルル「本当ですか?」

ネリ「ああ、誓って」

ルル「そうですか。それはよかったです」

ネリ「よかった、のか?」

ルル「俺は嬉しいですよ。姉上が綺麗なままということが」

ネリ「そ、そうか…そうなのか。そ、それより夕食はまだか?」

ルル「そうですね。では用意させましょう」

そのあと俺は、咲世子に用意してもらった夕食をコーネリアと二人で食べ、
風呂を一緒に入ろうと言われたがそれは明日にしようと逃げ、別々にシャワーを浴びたのち一緒のベッドで眠った。

今日は「愛する」せいか「姉」のせいかは分からないが、ギュッと抱きしめられながら眠りに落ちた。


―――――――――――――――
―――――――――――――


151: 2013/09/09(月) 00:43:40.27 ID:r8WQyZGw0

~翌日 昼~


ルル「姉上、お元気ですか?」プシュー パタン

ネリ「……体調に変わりはない」

ルル「そうですか、ならよかったです」

ネリ「なんだ、昼間っから。今日もデートに連れて行くのか」

ルル「いいえ、今日は忙しいのでこの時間にしか来られないので顔を出しに来ました」

ネリ「そう…なのか…」

ルル「それで姉上、お茶を今日も淹れて頂きたいのですが」

ネリ「お茶か、なら…いや、お前に淹れてやるお茶など、ない…」

ルル「ギアスは解かれているようですね。どうしても入れて頂けないのですか」

ネリ「…ああ、ユフィの仇である、お前などに…」

ルル「そうですか、なら今日も。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!
   『チャイナドレスを着てお茶を淹れろ』!!」キュイーン


152: 2013/09/09(月) 00:51:23.49 ID:r8WQyZGw0

ネリ「………………………………。
   そうだ、お茶を淹れなきゃ。その前にチャイナドレスに着替えなくては」ヌギヌギ

ルル「……着替え終わるまで出ておくか」プシュー パタン

ルル「………………もういいか?」プシュー パタン

ネリ「茶壺にお湯を入れて…」

ルル「着替えは完了しているようだな」

ネリ「昨日は40秒で薄かったから、1分待って………よし、できた。
   これを、茶壺から茶海にいれて、茶杯へ。
   ルルーシュ、待たせたな」

ルル「いいえ、時間を忘れて姉上がチャイナドレス姿で給仕してくださる姿を見ていましたよ。
   ありがとうございます」

ネリ「……………………………………。
   はっ!私は何を……
   ルルーシュ!」ギリ

ルル「仕事で疲れていてどうしても姉上にお茶を淹れてほしかったので」

ネリ「私はお前のお茶汲みではない!」


153: 2013/09/09(月) 00:58:08.27 ID:r8WQyZGw0

ルル「ゴクゴク…当然です。お茶汲みぐらいなら咲世子にさせますよ。
   俺は姉上に甘えたかっただけです」

ネリ「甘えた…こんなことでか?」

ルル「どうされましたか?」

ネリ「いや、なんでもない。今日はお茶を飲みに来ただけなのだろう」

ルル「ええ、飲み終ればまた仕事に戻りますよ」

ネリ「ならとっとと飲んで出ていけ」

ルル「お茶くらいゆっくり飲ませてくださいよ。
   姉上も一緒にいかがですか?」

ネリ「誰がお前などと」

ルル「昨日よりしっかりと味がでていておいしいですよ」


154: 2013/09/09(月) 01:08:18.33 ID:r8WQyZGw0

ネリ「……おいしいお茶の淹れ方を研究するためだ。仕方なく飲むだけだぞ。
   決してお前と一緒にお茶をしているわけではない。これは一人で飲んでいるのだからな」

ルル「ええ、それで結構ですよ」

ネリ「なら…ゴク。お、昨日よりも味が濃いな、私好みだ」

ルル「なら明日は更に時間を延ばして渋すぎないか試さないといけませんね」

ネリ「……別に明日でなくても、夜にでも一人でやればいい」

ルル「姉上は中国茶に大層はまったようですね」

ネリ「ああ。コーヒーや紅茶と違って重くないからな。飲んでいてもたれない」


ルル「ではまた新しい茶葉を持って来るとしましょう。
   御馳走様でした。では俺はこれで仕事に戻ります」

ネリ「そうか…」

ルル「では姉上、またお会いできる時を楽しみにしていますよ」プシュー パタン


―――――――――――――――
―――――――――――――


155: 2013/09/09(月) 01:14:52.41 ID:r8WQyZGw0

~翌日 昼~


ルル「姉上」プシュー パタン

ネリ「なんだ、今日もお茶汲みをさせるつもりか」

ルル「いいえ、今日は昨日頑張った分時間が空いているのでゆっくりして行きますよ」

ネリ「ちっ!とっとと出ていけ」

ルル「そうおっしゃらないでください。俺がルルーシュとしていられる数少ないチャンスなんですから」

ネリ「ゼロをやめればいいだろう」

ルル「そうは行きませんよ。黒の騎士団に所属している者達の願いや希望を背負っているのです。
   簡単には辞められませんよ」

ネリ「そのために人殺しをするのか」

ルル「これはブリタニアが先に仕掛けた戦争ですよ。それに今でもブリタニアも11を殺しているじゃないですか。
   ニッポン人からすれば正当防衛です」


158: 2013/09/09(月) 01:23:35.04 ID:r8WQyZGw0

ネリ「統治国家は今やブリタニアだ。国に対する正当防衛などあるものか」

ルル「国民は現政府に対して抵抗権を持っていますからね。現政府に不満があれば抵抗するのは当然の権利ですよ」

ネリ「ならばブリタニアはその抵抗を排除しよう」

ルル「今や囚われの身の姉上に何ができるんですか」

ネリ「くっ!」ギリ

ルル「今姉上にできることは、そう…俺に愛情を向けることくらいですよ。
   恒例となりましたが一応。
   姉上、自由意思で俺を愛してはくださいませんか」

ネリ「……無理だ」

ルル「ならば、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!
   『俺に優しくしろ』!!」キュイーン

ネリ「………。
   ルルーシュ、お茶を淹れてやろうか?」

ルル「ええ、お願いできますか?」


159: 2013/09/09(月) 01:32:08.73 ID:r8WQyZGw0

ネリ「ああ、任せろ。そ、それと……チャイナドレスはどうする?」

ルル「出来れば着ていただきたいですね」

ネリ「そ、そうか……ならちょっと着替えてくる」カチャン

ルル(風呂場で着替えるのか……)

ネリ「ま、待たせたな。なら今から淹れるからちょっと待っててくれ」

ルル「ええ、分かりました」

ネリ「なら…………。
   よし、後は蒸らすだけだな」

ルル「上手になりましたね」

ネリ「こう何度も淹れているとな」

ルル「今日は何分、蒸らしますか?」

ネリ「1分10秒だ」


160: 2013/09/09(月) 01:45:15.27 ID:r8WQyZGw0

ルル「昨日、試されたのですか?」

ネリ「ああ。私はその時間が一番いいと思った。
   か、勘違いするなよ!?
   お前のためじゃないんだからな!私が美味しいお茶を飲みたくて研究したんだからな」

ルル「そうですか」
   (なんで今日はツンデレ風なんだ?)

ネリ「……っと、時間だな。…ほら、飲んでもいいぞ」

ルル「ええ、いただきます。
   ゴク……ああ、お茶の香りが十分に出ていますね」

ネリ「ああ、私はそれ以上は渋みが出ると思った」

ルル「ならこの茶葉は1分10秒ですね。あ、っと姉上。
   出すのが遅れましたが、昨日言っていた新しい茶葉です。
   姉上がご執心のようでしたので、結構値の張るものを入手してきました」

ネリ「なに?もうか。昨日の今日だと言うのに……
   そ、その……ありがとう」ナデナデ

ルル「い、いえ」
  (ふむ、控えめな姉上もこれはこれで。
   これがギャップ萌というやつか)


161: 2013/09/09(月) 01:52:43.21 ID:r8WQyZGw0

ネリ「ならこの新しい茶葉も研究しなければな」

ルル「ええ、また飲ませてくださいね」

ネリ「ああ、美味しく淹れて見せよう」

ルル「楽しみにしていますよ」

ネリ「そ、それでだな……ルルーシュ。他にしてほしいことはないか?」

ルル「そうですね……ならば姉上、チェスを1局どうですか?」

ネリ「チェス?そんなことでいいのか?
   もっとこう……だ、抱き締めてほしいだとかナデナデしてほしいだとかでもいいのだぞ?」

ルル「それはまた後にでもお願いしましょう。今はせっかく姉上が淹れて下さったお茶があるのです。
   それなのに姉上に抱き締められていてはお茶を飲めませんからね。
   それに、お茶を飲みながらチェスを楽しむだなんて優雅ではありませんか」

ネリ「そうか、ならばチェスをするとしよう。前にお前が持ってきたのが……お、あった」

ルル「ならば1局お願いします」

ネリ「ああ、お前に勝ってみせよう」



―――――――――――――――
―――――――――――――


162: 2013/09/09(月) 01:58:03.28 ID:r8WQyZGw0

ルル「チェックメイト」

ネリ「……ふぅ、参った」

ルル「対局ありがとうございました」

ネリ「こちらこそ。しかしやはりチェスでは勝てそうにもないな」

ルル「姉上は正直すぎるのですよ」

ネリ「姑息な手段は好かん。それでは相手にも失礼だ」

ルル「勝たなければ意味はないですよ。
そのためならば俺は姑息だろうと何だろうと躊躇わずに最適な手段を選びます」

ネリ「そうか……っと、お茶がなくなったな。新しいのを淹れるか」

ルル「ならせっかくですから今日持ってきた新しい茶葉を淹れて見ませんか?」

ネリ「だが……蒸らしの時間が何秒が最適かは分かってないんだぞ?」

ルル「いいじゃないですか、二人で一緒に見つければ」

ネリ「ふ、二人で……そうだな、何事も一人よりも二人の方が楽しいしな」

ルル「ええ」

163: 2013/09/09(月) 02:07:43.49 ID:r8WQyZGw0

ネリ「ならお湯を沸かしてくるか。
ガスコンロがあっちの部屋だからちょっと待っててくれ」パタパタ カチャン

ルル(チャイナドレスで小走りに走る姉上……萌死ぬ)

ジェレ「失礼します……おや?ルルーシュ様、ここにおられたのですか」プシュー パタン

ルル「ジェレミアか。俺を探していたのか」

ジェレ「いえ、そうではなく今日の朝頼まれていたギアスキャンセルがまだだったのでキャンセルしに参りました」

ルル「そうか、ご苦労……待て」

ジェレ「なんでございましょう」

ルル「ギアスキャンセルがまだ、だと?」

ジェレ「すいません、あれから少し用事が立て込んでいたので。
    ルルーシュ様の命令とは言え優先度はそちらの方が高いと判断してそちらを処理していました」


165: 2013/09/09(月) 02:18:07.05 ID:r8WQyZGw0

ルル(ギアスキャンセルがされていない、だと!?
   なら、昨日の『チャイナドレスを着てお茶を淹れろ』と言うギアスが残っているはず。
  『お茶を淹れ続けろ』ではなく、『お茶を淹れろ』と言っただけだ。
 ならその効果は単発、つまり昨日限りのはず。
  そして俺のギアスは同一人物に二度はかけられない。
  と、いうことは……)

ネリ「ルルーシュ、お湯が沸いたぞ」

ルル(このコーネリアは『俺に優しくしろ』とのギアスにはかかっていないことになる)

ネリ「ジェレミアか」

ジェレ「失礼しています。コーネリア皇女殿下。早速ですが今日もギアスキャンセルを」

ルル「姉上」

ネリ「なんだ?」

ルル「俺のギアスは重ねて同一人物にかけることはできません」

ネリ「………………………………………………」


166: 2013/09/09(月) 02:25:29.97 ID:r8WQyZGw0

ルル「そして昨日かけたギアスは解かれていない。
   つまりは、姉上」

ネリ「……」ワナワナ

ルル「今日のギアスは姉上には効いていない」

ネリ「……ち、違う。
   違うぞ!そ、そうだ!これはバーナム効果のせいだ」

ルル「百歩譲って何らかの効果があったとしたら、それはプラシーボ効果です」

ネリ「そ、そうだ!私は一種の催眠状態にあってあのようなことを……!」

ルル「姉上、その催眠状態はいつ解けましたか?今ですか?それは都合がよすぎでしょう」

ネリ「………」ブチン

ネリ「え~~~い!!うるさいうるさい!出ていけ!!」ポイ ポイ ポイ

ルル「あ、姉上!物を投げつけないでください!ああ、机はやばい、やばいですから!」


167: 2013/09/09(月) 02:31:07.65 ID:r8WQyZGw0

ジェレ「ルルーシュ様、ここはこのジェレミアにお任せを。とりあえずルルーシュ様は一時退却を」

ルル「わ、分かった!」

ネリ「出てけ~!!」ポイ ポイ

ジェレ「コーネリア皇女殿下とは言え我が主に危害を加えるのは見過ごせない。
    この頼れる男、ジェレミア・ゴットバルトが全て叩き切ってみせる!」シャキーン

ジェレ「退路は私が守りますからルルーシュ様は早く退出を」

ルル「すまないジェレミア!後は任せたぞ」ダダダ

ネリ「二度と来るな~!!」



―――――――――――――――
―――――――――――――


169: 2013/09/09(月) 02:39:43.09 ID:r8WQyZGw0

~翌日 夕方~

昨日は昼過ぎから一気に仕事を片付けたせいか、今日は早くも夕方にはやることがなくなった。
いや、あると言えばあるが別に急いで片づける必要もない。

だから今日も姉上の顔を見に行く。
人間、孤独で暇なら心が病んでしまう。
ジェレミアと咲世子にしか姉上のことは知らせておらず、この二人も仕事があるから話し相手にはなれない。
それに、戒護上の問題から携帯やPCは与えられない。
そうとなれば姉上がやれることは少なく、心の均衡を保つためにもできるだけ姉上の話し相手になりたかった。

それに俺自身も姉上に会いたいと思っている。

愛―。
俺が今まで感じることができなかったものを与えてくれる。

確かに俺の心は満たされていた。

だが………

それは無味乾燥とした水の様な物で無理矢理心の穴を埋めたに等しかった。


171: 2013/09/09(月) 02:49:03.28 ID:r8WQyZGw0

考えれば当然だ。
俺はギアスをかけて強制的に姉上にしてもらいたいことをしてもらっただけだ。

そこには一片たりとも思いやりや、優しさはなく、本当の愛もなかった。

俺はこの年になって一人でお人形遊びをしていただけなのだ。
その事実が俺に虚無感を与える。

違う、俺が欲しかったのはこんな形ばかりの愛情ではなかったはずだ。
甘い果汁のような、あるいは酔ってしまいそうな酒のような愛でこの体を、この心を満たしたかったはずだ。

しかし俺はユフィを殺した張本人。
姉上から愛情を貰えることは期待できない。
だからギアスに頼らざるを得なかった。


172: 2013/09/09(月) 02:57:34.85 ID:r8WQyZGw0

しかし昨日の態度―。

姉上はギアスによらずに俺に優しく接してくれた。
もちろん、姉上がギアスにかかったと思い込んでそういう行動をとったとも考えられる。

しかし俺のギアス、絶対遵守のギアスがなくとも姉上は優しくして下さった。
これは、ギアスによらずとも姉上から愛情を注いでもらえる可能性を示唆するものではないか?

それに気づいてしまった今、また姉上にギアスをかけて一人遊びをする気にはなれない。

ならやることは一つ。

ギアスがなくとも、一人の人間として姉上に愛してもらう。

そのためには対話が必要だ。
俺にはユフィを殺したという拭えない罪がある。

これを消すことはできないだろう。
だから、どれだけ謝ったとしても意味はない。


173: 2013/09/09(月) 03:03:13.13 ID:r8WQyZGw0

だが、姉上との関係を再度、構築することは可能なはずだ。

もちろん、姉上が俺を許さないことも十分考えられる。
だがその場合には仕方ない。あきらめるしかないのだ。
俺にはそれだけの罪が、理由があるのだから。

だがもし、姉上が俺を許してくれるのならば、俺との関係を望むのであればそれは本望だ。

ギアスがなくとも愛し愛される関係―それが俺の望む未来だ。

やることが決まったのならそのために必要なことをしよう。
姉上と話し合うため、俺は姉上の下を訪れた。


174: 2013/09/09(月) 03:09:39.93 ID:r8WQyZGw0

ルル「姉上、お元気ですか」

ネリ「……なんだ、私を嘲りにきたのか?」

ルル「そんなことはしませんよ」


ネリ「はっ、どうだかな。ギアスなしでもお前の思い通りになったんだ。
   まるでピ工口ではないか」


ルル「俺は姉上に対してそのようなことは思っていません。
   むしろ嬉しかったです」


ネリ「なに?」


ルル「ギアスがなくとも姉上は優しくして下さった。
   思い込みの可能性も否定できませんが、ギアスなしでも愛して下さる可能性は0じゃないと分かりました」


ネリ「……それがどうした」

ルル「だから俺は姉上と話しに来ました」

ネリ「何を?」

ルル「俺を許して下さるか、をです」

ネリ「許す?ユフィのことか……私がお前を許すなどありえん」


175: 2013/09/09(月) 03:14:49.08 ID:r8WQyZGw0

ルル「それでも俺はあなたの愛がほしい。それは今までのようなギアスによるものではない。
   姉上自身の愛情が欲しいのです」

ネリ「何度も言わせるな。お前はユフィの仇だ」

ルル「そうです。俺はあなたの最愛の妹、ユーフェミアを殺した張本人です。
   ……姉上、本当に申し訳ありませんでした」

ネリ「……頭を下げて、一体どういうつもりだ」

ルル「よく考えれば俺はまだ、一度たりともあなたに謝罪をしていなかった。
   だから、これは謝罪です」

ネリ「……ユフィを殺したこととのか?」

ルル「はい」

ネリ「ふざけるな!!お前がいくら謝ろうと…いくら頭を下げようともうあの子は戻ってこない!
   戻ってこないんだぞ!!」

ルル「そうです。もうユフィは戻ってきません」

ネリ「あんな優しかった子が……あんな可愛かった妹が、もう戻ってこないんだぞ!」ポロポロ

ルル「そうです。それは俺のせいです」

ネリ「っ!」パシン


176: 2013/09/09(月) 03:19:24.18 ID:r8WQyZGw0

ルル「……叩いて気が済むのなら、どうぞ気の済むまで叩いてください。
   俺にはそれだけの罪があり、姉上にはそれだけの恨みがある」

ネリ「なぜだ!なぜ…なぜユフィが死ななければならなかったんだ!!」

ルル「それは、俺がギアスをかけたからです」

ネリ「……ユフィになんと命令したんだ」

ルル「『ニッポン人を殺せ』、と」

ネリ「なぜそんなギアスをかけた!お前はゼロで…黒の騎士団として11の解放を目指していたんじゃないのか!」

ルル「ええ、そうです。だからあの時、俺はユフィの提案した行政特区ニッポンの計画に賛成しました。
   信じてはもらえないでしょうが。
   俺がユフィにギアスをかけたのは故意じゃない、過失でそうなってしまったんです」

ネリ「誰がそんな嘘を信じるか!」

ルル「姉上」ピッ

ネリ「お、お前……」

ルル「そうです。今の俺は常時ギアスが発動している状態です。
   だから普段は特殊なコンタクトでギアスの発動を防いでいます」


177: 2013/09/09(月) 03:25:33.07 ID:r8WQyZGw0

ネリ「……だから何だと言うんだ」

ルル「前はそうじゃなかった。発動させたい時だけにこのように目に不死鳥のような紋様が浮かんでいたんです。
   ですがある時……行政特区ニッポン開設式典でユフィと会話しているときに切り替えができなくなったんです」

ネリ「………………」

ルル「俺は始め、ユフィにゼロを撃たせて行政特区ニッポンを失敗に終わらせるつもりだった。だからユフィに銃を渡し俺を撃てと言ったんです。
   だがユフィと話をしていて気が変わった。俺は彼女の提案する行政特区ニッポンに協力しようと思いました。
   それをユフィに伝えた。
   その時、彼女はこう言ったんです。
   『脅されたからと言って私がルルーシュを撃つと思ったのか』と。
   だから俺は言ったんです。
   『俺が命令したら誰も逆らえない』。
    『例えば、ニッポン人を殺せと言ったら君も逆らえない』と」

ネリ「それで……ユフィにギアスがかかったと」

ルル「そうです。……信じてもらえないでしょうね、こんな荒唐無稽なこと。
   自分で言っててなんですが、とても信じられない」

ネリ「そんな話……信じられん…」


178: 2013/09/09(月) 03:32:25.36 ID:r8WQyZGw0

ルル「そうでしょうね。ですがこれが事実としか言えません」

ネリ「それを私に言ってどうする」

ルル「理由はどうあれ俺がユフィを殺したことには変わりありません。
   ですが姉上には真相を伝えておきたかったのです」

ネリ「伝えて…どうするんだ」

ルル「姉上ともう一度関係を築き直したいのです」

ネリ「もう一度だと?」

ルル「はい」

ネリ「くっ!!ふざけるな!ユフィを殺した張本人が……!」

ルル「では姉上、姉上は何をすれば満足するのですか?
   ギアス嚮団は潰した。それと同じく俺のことも殺すのですか?」

ネリ「それは……」



179: 2013/09/09(月) 03:38:01.72 ID:r8WQyZGw0

ルル「姉上が俺を殺したいと思うのは当然です。最愛の妹を殺されたのですから。
   ですが姉上、俺を殺したところでユフィは帰ってはきません。
   それに姉上も戦闘行為以外での人殺しで罪に問われますよ」

ネリ「ならばお前を裁判にかける」

ルル「裁判で?まずユフィを殺したのはゼロであって俺ではありません。
   俺がゼロであることの証明が難しいでしょう。
   それにあれは客観的にはユフィが11を殺したから正当防衛としてなしたこと。
   違法性がありません。
   更に正当防衛を崩すにはギアスの存在が証明されなければなりませんが、誰がギアスなどと信じるでしょうか」

ネリ「……」ギリ

ルル「反論してすいません。ですが姉上、裁判では俺は裁けません」


180: 2013/09/09(月) 03:41:52.56 ID:r8WQyZGw0

ネリ「なら、ならどうしろと言うのだ!」

ルル「それは姉上が決めることです。
   姉上が俺を許せないと言うのならばそれは仕方ないことです。もうあなたからの愛は諦めましょう。
   ですが仮に、姉上が何らかのチャンスを下さるのなら俺はそれに全力で応えたい」

ネリ「………」

ルル「姉上も急には気持ちの整理がつかないでしょう。
   時間を置いて答えを聞きに来ます」

ネリ「………」

ルル「それでは姉上、また」プシュー パタン


―――――――――――――――
―――――――――――――


187: 2013/09/09(月) 12:26:00.28 ID:r8WQyZGw0

~1週間後 夜~

この前の話し合いから1週間が経った。
その間、俺は一度も姉上とは会ってない。

姉上の世話は咲世子とジェレミアに任せてある。
報告は受けており、健康状態に変化はないらしい。

だがしかし、精神の― 心の方までは分からない。
表面上は普通に生活を送っているが、彼女の内では自問自答、葛藤が繰り広げられていることだろう。

そろそろ様子を見に行こう。
もしかしたら彼女の中で答えが出ているかもしれない。


ルル「姉上、お久しぶりです」プシュー パタン

ネリ「……ルルーシュか」

ルル「ご機嫌はいかがですか?」

ネリ「大丈夫だ」


顔色も悪くない。

大丈夫なようだな。

188: 2013/09/09(月) 12:37:20.51 ID:r8WQyZGw0

ルル「それで姉上、結論はでましたか?」

ネリ「………………………。正直に言おう、迷っている」

ルル「迷っている?お聞きしてよろしいですか?」


ネリ「……お前が前に言ったように裁判でお前の罪を裁くのは難しいだろう。それに私自身も別にそれを望んでいない。だから裁判にかけるという   ことはしない。
   それとお前を殺すのも無意味だと悟った。
   お前を殺したところでユフィは帰ってはこないし、私も弟殺しの罪を背負わねばならん。
   そんなのは御免だ」


ルル「では姉上、俺を許して下さるのですか?」

ネリ「……っ!本当はっ!本当は私だってお前を憎しみたくはない!」

ルル「……ええ」

ネリ「いつだってお前を見てきた!
   憧れのマリアンヌ様の御子息であり、ユフィの大切な遊び友達だったお前……
   お前とは年が離れているが、それでもお前に惹かれていた!」

ルル「…それは光栄ですね」

ネリ「私だってお前を許してやりたい!
   私の大切な弟なんだから……
   だが…だが!私の心の中で『いいのか』という自問が止まらないんだ!」


189: 2013/09/09(月) 12:51:51.77 ID:r8WQyZGw0

ルル「……そう思っていただけているだけで俺は十分幸せ者です。
   姉上、なぜ姉上は俺を許すことを躊躇っているのでしょうか」

ネリ「……それは…」

ルル「ユフィでしょう」

ネリ「……ああ、そうだ」

ルル「ユフィが亡くなったのに無条件で俺を許したのでは、ユフィの死が無意味なものになる。
   姉上はそう考えておられるのでしょう」

ネリ「…ああ」

ルル「ならば姉上、俺はユフィの死を無駄にしません」

ネリ「…どういうことだ?」


190: 2013/09/09(月) 13:04:29.17 ID:r8WQyZGw0

ルル「姉上、ユフィのしたかったことを二人でしませんか?」

ネリ「したかったこと?二人で?」

ルル「行政特区ニッポン」

ネリ「!?」


ネリ「ユフィはナナリーのために行政特区ニッポンを計画したと言っていました。
   ですがナナリーの願い― 俺と一緒に居続けるだけならそんな大がかりなことはする必要はなかった。
   資金援助だけでも俺たちは世界を転々としてブリタニアの監視を掻い潜ることができますからね。
   だがユフィはそうしなかった。
   そうではなく行政特区という壮大な計画を打ち出した。
   それは」


ネリ「11のため」

ルル「ええ、おそらくそうでしょう」


191: 2013/09/09(月) 13:15:09.13 ID:r8WQyZGw0

ネリ「ユフィは11に対する差別に対して心を痛めていた。
   だからブリタニアと…ニッポン人が平等でいられる行政特区を構想したのだろう」

ルル「俺もそう思います。
   では姉上、その想いを俺たちが引き継ごうではありませんか」

ネリ「なに?」


ルル「11…ニッポンに関してはナナリーがユフィの想いを継いで行政特区を完成させました。
   ですが他のエリアは未だにブリタニアとナンバーズの差別が残存しています。
   ユフィが生きていたのなら心を痛めていることでしょう」


ネリ「ああ……そうだろうな。ユフィは、そういう子だった」


ルル「姉上、俺はユフィの死を無駄にはしない。彼女が目指した優しい世界。
   俺はそのためにもこれから先も戦います」

ネリ「私は……………」


192: 2013/09/09(月) 13:27:20.43 ID:r8WQyZGw0

ルル「姉上はどうしますか?
   これからもユフィが嫌っていたブリタニアとナンバーズの差別する帝国支配を推進なされるのですか?
   そのときは姉上、あなたは俺とユフィの敵だ」


ネリ「!!」


ルル「どうされますか?」

ネリ「ルルーシュ…私は、お前まで失いたくない」

ルル「そう言っていただけて光栄です」

ネリ「だが…私は今までこの生き方に疑問を感じたことはない。
   寧ろ誇りに思っていたほどだ。
   父上が治めるブリタニア帝国のために身を粉にする……
   それが正しいと思っていた」


193: 2013/09/09(月) 13:41:48.44 ID:r8WQyZGw0

ルル「今はどうなのですか?」

ネリ「分からない……父上が言うように競争原理による進歩も間違いではないと思う。
   しかし一方でお前が言ったように我々がやっていることは簒奪とも言える。
   それにユフィはこのようなことを良しとはしないだろう。
   しかし……」

ルル「踏ん切りがつきませんか?」

ネリ「……今までの私が否定されるようでな」


194: 2013/09/09(月) 14:01:26.96 ID:r8WQyZGw0

ルル「なら姉上、俺がそのきっかけを与えましょう
  



 『コーネリア、俺のものとなれ!!』」




ネリ「っ!!……それはギアスか?」


ルル「いいえ、もう姉上にはギアスは使いません。
   これは単なる俺の願いです」

ネリ「……願い」

ルル「ええ、そうです」


195: 2013/09/09(月) 14:22:39.31 ID:iPIU5azT0

ネリ「…………………………ふぅ。
   いいや、ルルーシュ。やはりお前の言葉はギアス―絶対遵守の力が籠っている。
   私には抗えそうもない」

ルル「っ!なら姉上」

ネリ「ああ、やろう。ユフィが目指した優しい世界を、二人で」

ルル「姉上、ありがとうございます」

ネリ「礼などいらぬ。これは私自身の選択だ」

ルル「ですが姉上が俺と同じ道を歩んでくれることが俺は嬉しい」

ネリ「ああ、私もだ。ルルーシュ。
   そ、それで、だな。ルルルルーシュ」

ルル「ルルーシュです。なんですか?」


196: 2013/09/09(月) 14:40:12.88 ID:iPIU5azT0

ネリ「その……さっき、『俺のものとなれ』と言ったが」

ルル「ええ、そう言いましたね」

ネリ「それは……どういう意味なんだ?」

ルル「どういう?言葉通りの意味ですが」

ネリ「そ、そうか……な、なら私の身も心も最早ルルーシュのものだということだなっ!」


ルル「いえ、さすがの俺でもそこまでは要求しませんよ。
   ユフィのために優しい世界を作ることに協力して頂けるだけでいいですよ」

ネリ「だ、だがそのためには公私ともに私がパートナーとなって私がお前を支えていく必要があるよな!?」

ルル「そこまで姉上に甘えることはできません。
   作戦に協力してくだされば十分ですよ」


197: 2013/09/09(月) 14:52:12.38 ID:iPIU5azT0

ネリ「………」ブチン

ルル「姉上?どうなさったのですか?」

ネリ「お前はーーー!お前はーーーー!!」ウガー

ルル「そんな熊みたいに両手を上げられても…どうなさってんですか?」

ネリ「私はお前の初恋なのだろう!?」ウル

ルル「ええ、そうです。姉上は俺の初恋相手です」

ネリ「そ、そうか」テレテレ

ルル「それがどうかしたのですか?」

ネリ「はっ!ゴホン。そ、それでだな、わ…私もお前が幼少のころ惹かれていた」

ルル「先程そう言っていましたね」


198: 2013/09/09(月) 15:10:03.01 ID:iPIU5azT0

ネリ「それでだ、ルルーシュ」

ルル「はい」

ネリ「あ、あい…愛し合う二人はどうなると思う?」


ルル「どうなる?……抽象的ですね。
   ですが、推測するに気持ちが通じ合えば付き合ったりするのではないでしょうか」


ネリ「そ、そうだろう?」

ルル「ええ」キョトン



ネリ「う、うがーーーーー!!」

ルル「先程からどうしたのですか?」

ネリ「だ、だって、通じ合ったんだろう?私と…そ、その…ルルーシュは?」

ルル「え?」

ネリ「え?」



199: 2013/09/09(月) 15:25:41.81 ID:iPIU5azT0

ネリ「……お前は私のことが好きなのだろう?」

ルル「はい、姉上のことは好きですよ?」

ネリ「そうか」テレテレ

ネリ「じゃなくて!そ、それは姉としてか?」

ルル「はい」


ネリ「はいって……はいって…」orz

ネリ「お、女としてはどうだ?」

ルル「姉上は女性としても素晴らしいと思います。
  顔も美人ですしスタイルもいい。
   性格は少し強すぎる気もしますがそれもしっかりしているといえば長所ですし、しっかり者の姉さん女房に向いているかと思います。
  それに責任感も強く」

ネリ「いい!もういい!恥ずかしい!
   そ、そういうことじゃなくて、お前は…女として私が好きじゃないのか?」


200: 2013/09/09(月) 15:39:46.34 ID:iPIU5azT0

ルル「女性としてですか……正直、分からないと言うのが本音ですね。
   姉上とは長年お会いしていませんでしたし、再会したのは敵としてですから。
   ですがこの1週間、姉上と接していてやはり姉上は素晴らしい女性だと思いました。
   主観的にも」


ネリ「はぁ……なんともはっきりしない答えだな。だがいい、望みがないわけではない。
   お前はどうやら唐変木の様だからはっきり言っておこう。
   ルルーシュ、私はお前が好きだ。無論、一人の男としてな」


ルル「それは光栄です。ですが姉上、問題があります」

ネリ「問題?」

ルル「姉上と俺とは異母兄弟です。だから恋人同士にはなれても結婚は無理です」

ネリ「……ルルーシュ、私達がしようとしていることはなんだ」


201: 2013/09/09(月) 15:51:52.27 ID:iPIU5azT0

ルル「ユフィの願った優しい世界、平等な社会を作ることです」

ネリ「そのためには何をしなければならない?」

ルル「既存の社会制度、国家間の軋轢を崩壊させねばなりませんね」


ネリ「そうだ、ブリタニアも、中華連邦もE.U.も潰す。
   なら法律はまた新たに必要となるだろう。
   そのときに異母兄弟であれば結婚できることにしてしまえばいい」


ルル「それは……反発が強そうですね」


ネリ「知ったことか!私達は優しい世界を作ろうとしているんだ!
   自分が満たされていない者が他人に優しくなれるものか!
   優しい世界を作るには、まず私自身が幸せにならねばならん!」


ルル「筋が通っているようで通っていないですが、まあいいでしょう。
   ですが結婚の前にまずは恋人になることが必要ですよ」


ネリ「大丈夫だ。その点に関しては心配していない」


202: 2013/09/09(月) 16:04:55.48 ID:iPIU5azT0

ルル「その根拠は?」

ネリ「ルルーシュが靡くまで諦めるつもりはないからな」

ルル「やれやれ、持久戦ですか。効率が悪い」

ネリ「ならここでお前の童Oを奪ってもいいのだぞ?」

ルル「な、なぜそれを!?」

ネリ「お?お前は童Oだったのか。それはいいことを聞いた」

ルル「…く、ハッタリだったんですね」

ネリ「お前が童Oかどうかなんて知るはずがないだろう。それで、どうだ?
   今ここで奪ってやろうか?力尽くで」

ルル「いいえ、遠慮しておきますよ」

ネリ「なら今は許してやろう。だがいずれお前の童Oは私が頂くからな。
   先は長いんだ。焦らず着実にお前を落としてやろう」

ルル「お手柔らかにお願いしますよ、コーネリア」

ネリ「っ! バカ!」



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210: 2013/09/09(月) 22:00:06.45 ID:iPIU5azT0

コーネリアが黒の騎士団に参加してからは世界が一変した。

まず、黒の騎士団はコーネリアの加入に腰を抜かした。
当然だ、潰そうとしている敵国の第2皇女であり、かつては11の総督まで勤めていたのだからな。

しかし、彼女がブリタニアの支配に反対であること、
ゼロの思想に賛成していることを真摯に説明し、
黒の騎士団総司令であるゼロから彼女が信頼に値する人物であることが説明されれば表だって反対する者はいなくなった。

コーネリアの加入は何も黒の騎士団だけに影響したわけではない。
彼女の加入を有効に活用するため、その事実をTV・インターネットで配信した。

その事実はブリタニアに大きな動揺が引き起こした。
そして、ギルフォードを始めとした彼女に賛同する者がブリタニアから離反し、黒の騎士団に加入するという謀反が起こった。

その結果、彼我の戦力差は見る見る縮まり、遂には均衡・逆転するまでに至った。


211: 2013/09/09(月) 22:09:24.50 ID:iPIU5azT0

そして世界は二極対立の様相を呈するようになった。
E.U.はブリタニア帝国に、中華連邦は黒の騎士団にそれぞれ付き、世界の帰趨を左右する戦争が開始された。

黒の騎士団は圧倒的な戦力・物資、及び中華連邦に重要拠点が集中していたことによる前線の間延びを回避したことにより戦局を有利に進めた。
一方でE.U.とブリタニアとは地理的に地続きでないために連携が取れないでいた。

それに着目して黒の騎士団は二面戦争を回避し、ブリタニア側には最低限度の防衛力のみを残し、まずはE.U.攻略に乗り出した。

結果は黒の騎士団の圧勝。損耗少なく戦いを終え、ブリタニアとの戦闘が始まる。

圧倒的なナイトメアフレームの数をもって黒の騎士団がブリタニアを押し始め、遂にはブリタニア本土に上陸した。
そのまま黒の騎士団が押し込むかと思われたそのとき……


212: 2013/09/09(月) 22:16:22.81 ID:iPIU5azT0

1発のミサイルが戦局をひっくり返した。
いや、あれはミサイルなどと呼称していい物かも分からない。

フレイヤ―。
辺り一帯の物質を消失させる兵器。

出鱈目だ。こちらのナイトメアフレームが掃除機に吸われる埃のように次々と消失していった。

あちらはスザク操るランスロットにナイトブラウンズ、それにフレイヤ。

こちらはE.U.と中華連邦を吸収した戦力。

戦局は膠着状態に陥った。

こうなっては黒の騎士団を動かしても犬死にだ。
だから俺は作戦を変更し、ギアスによる侵略を試みた。


213: 2013/09/09(月) 22:24:00.12 ID:iPIU5azT0

ブリタニア兵を捕獲し、ギアスをかけたのち解放していった。
かけたギアスは「3日後にフレイヤ発射台を破壊せよ」。

もちろん、これによって直接破壊できるとは思っていない。
だが、反乱が起こることによってブリタニア軍は疑心暗鬼となり、指揮系統にも乱れが生じるし、士気も下がる。
それにフレイヤとて無限ではない。撃たせ続けて枯渇させるのが目的だった。


反乱は何日も続き、遂にはフレイヤ発射台は放棄されてブリタニアは籠城作戦に出た。
その後は持久戦にもつれ込み、出てくる敵を叩いては長距離兵器で本拠地を攻撃し続けた。

そして、ブリタニアの降伏が発表された。

しかし降伏勧告状に署名したのも、携えて持ってきたのもシャルルではなくシュナイゼルではあった。
これではブリタニア帝国の有効な降伏があったとは言えない。
シュナイゼル曰く、シャルルは神根島に向かって以来、連絡が取れないらしい。


214: 2013/09/09(月) 22:31:55.34 ID:iPIU5azT0

神根島……例の遺跡にいるのか。
シャルルは今やC.C.と同じ不老不死の体を持っている。
単純な軍事力を率いても意味はない。

だから俺はC.C.だけを連れて神根島へと向かった。
思考エレベーターではシャルルと母マリアンヌがラグナレクの接続などというふざけた計画を実行していた。

だが俺はそれに賛同はできなかった。
そう、俺にはナナリーと、コーネリアと過ごす明日が欲しい。

よって俺は絶対遵守の力によってCの世界に干渉し、ラグナレクの接続を失敗に終わらせた。
そして、父シャルルと母マリアンヌも同時に消えた。

これでシャルルは消え、俺と世界の戦争は終結を迎えた―。




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216: 2013/09/09(月) 22:44:44.43 ID:iPIU5azT0

ナナ「お兄様、用意が出来ました」

ナナリーは黒の騎士団とブリタニアが戦争を始めたときにブリタニア本国に戻っていた。
その後、戦争終結とともに俺はナナリーを迎えに行き、またナナリーとの生活を開始した。

俺たちはアッシュフォード学園へと戻り、クラブハウスでの生活を送っている。
そこは俺が守りたかった場所であり、守りたかった人達がいる大切な場所だ。
ここに戻ってこられて本当に良かった。

ナナリーはと言えば、シャルルが死んでギアスが解けたのか、
それともナナリーがギアスに打ち勝ったのかは分からないが視力を取り戻した。

これでナナリーも俺の保護がいらなくなると思うと寂しく思うが仕方ない。
だが、兄としてはやはり妹を気遣う心に変わりはない。
これからも俺は兄として彼女を守り、幸せにしていく義務が

ナナ「お兄様、今日はお仕事はよろしいのですか?」


217: 2013/09/09(月) 22:52:57.18 ID:iPIU5azT0

ルル「ああ、今日のために片づけてきたよ」


仕事とは黒の騎士団のことだ。
彼女には戦争が終わって全てを話した。彼女に隠し事を続けるのが嫌になったからだ。


もちろん、ナナリーと喧嘩にもなったが今や黒の騎士団が世界にとって必要になったから彼女も一応納得はしてくれた。


現在、世界は混乱の真っただ中にいる。
戦争によって黒の騎士団は日本解放のみならず、全世界を手中に収めた。
しかし、目的は日本解放であり植民地拡大ではない。

よって民族自決の原理に基づいて各国を分割し、広域連合、全世界連合という重層制の議会を設置した。
そして黒の騎士団は全世界連合による武力介入の際に行使される軍隊となった。
多くの団員はニッポン―今はもう日本人だったな。
多くの団員が日本人だったから戦争終結とともに脱退し、各国から人員を補充したため全く新しい組織になったと言っても過言ではなく、
名前のみが残る形となった。
しかし俺はゼロとして世界を破壊した罪がある。


よって未だに黒の騎士団総司令官と言う役職に就いたままだ。
いずれはこの役職も他の者に任せて俺としては普通の人間に戻りたいと考えているが……
それは世界が落ち着いてからになるだろう。


218: 2013/09/09(月) 23:07:46.26 ID:iPIU5azT0

ナナ「それにしてコーネリア姉さま遅いですね」

ルル「あの人も忙しいからね」


戦争は終わったがブリタニアも独立国として存続している。
よって姉上は依然として王族の一員であり、公務に従事すべき立場にある。
しかし姉上は「そんなことなど知らん!」と言ってそれを一蹴した。
今まで何も考えずシャルルの言いなりになっていた反発からか、彼女は自由奔放を体現している。

その結果、彼女は日本でブリタニア大使として在留している。
過去の日本とブリタニアとの遺恨を拭い去ること……それがユフィの願った優しい世界を作るのに必要と考えたからだろう。

219: 2013/09/09(月) 23:15:01.46 ID:iPIU5azT0

ネリ「済まない、少し遅れてしまったか」ブロロロ ガチャン

ルル「いえ、俺たちも今用意が終わったところですから」

ナナ「お待ちしていました、コーネリア姉さま」

ネリ「ああ!ナナリー久しぶりだな」ギュ!

ナナ「きゃっ、もうお姉さまったら…昨日お会いしたではありませんか」キャッキャ

ネリ「む?そうだったか?
   しかしナナリーと離れている時間は1時間だって私にとっては苦痛なのだ」ギュ~


ルル(くそ!苛つくな…だが俺は何に苛ついているんだ?
   ナナリーを独り占めにできないことにか?)

ネリ「ルルーシュも久しぶりだな」ギュ

ルル「姉上、俺も昨日会いましたよ」


220: 2013/09/09(月) 23:26:17.35 ID:iPIU5azT0

ネリ「離れてる時間は永遠にも感じられるんだよ。昨日泊まっていけばよかった」

ルル「それはダメですよ。
   クラブハウスは学校の施設なんですから、関係者以外は本来立ち入り禁止ですよ」

ネリ「ふむ……ならブリタニアが買い取ろう」

ルル「無駄な支出は後で責任問題になりますよ。それに姉上の家だってここからすぐじゃないですか」

ネリ「そうだな、ならお前が卒業するまで我慢してやろう」

ルル「卒業?」

ネリ「卒業したらアッシュフォード学園にはいられないだろ?
   そうなったらお前は住む場所がない。よって私の家に来ればいい」

ルル「姉上、アッシュフォードは全寮制です。
   来年になったら俺は卒業なのにナナリーだけ学校に残すことはできません。
   だから全寮制でない高校にナナリーを行かせるために引っ越すつもりです」


225: 2013/09/10(火) 00:29:00.00 ID:c8ZvfKpx0

ネリ「なっ!!お前!なぜ私が大使になったと思ってる!」

ルル「それは、ユフィの願った優しい…」

ネリ「お前たちがここにいるからだろ!」

ルル「…………」

ネリ「それなのに引っ越すなど…許さん!」

ルル「許さんと言われましても……
   ですが姉上もナナリーを寮におくのは不安でしょう」

ネリ「当然だ」

ルル「ならやはり全寮制でない高校に通わなければなりませんね」

ネリ「……大使館が東京にあるから東京からは出られん。
   なら何になろうか、帰化してその地の知事か議員になってやろうか。
   それともナナリーのいる学校の教師、はたまたベンチャー企業の独立…」ブツブツ

ルル(駄目だ、姉上は何としても付いてくる気だ。
   そうなったらブリタニア大使が空席になってしまう。
   仕方ない)


226: 2013/09/10(火) 00:31:12.56 ID:c8ZvfKpx0

ルル「姉上、なら姉上が現在住んでおられる家から通える高校を探しますよ」

ネリ「それは……プロポー

ルル「ちがいます」

ネリ「………」ブゥ

ルル「不貞腐れてもだめです」

ナナ「相変わらずお兄さまとお姉さまは仲がよろしいのですね」

ネリ「ああ、もちろんナナリーとも仲が良いがルルーシュは別格だ。
   何てったって私の夫なのだからな」

ルル「夫の前に恋人でもありませんよ」

ネリ「まだ粘るか、無駄な足掻きを」


227: 2013/09/10(火) 00:33:21.45 ID:c8ZvfKpx0

ナナ「あらお姉さま、お兄さまは私とずっと一緒に暮らして一生添い遂げるのですよ?」

ネリ「ああ、もちろん結婚してルルーシュと同居となった際にはナナリーも一緒だ」

ナナ「お兄さまは結婚はしません。だって私がいるのですから」

ネリ「おいおいナナリー、今はまだいいがいずれは独り立ちしないといけないのだぞ?」

ナナ「独り立ちはしますがお兄さまとは一生一緒にいますわ、男女として」

ネリ「兄妹では結婚できないんだぞ?」

ナナ「それを言ったらお姉さまだって同じじゃないですか」

ネリ「私はいいんだ、異母兄弟だからな」

ナナ「………………」バチバチ

ネリ「………………」バチバチ

ルル(またこの展開か。しょうがない…)

ルル「姉上、ナナリー、そのくらいにしたらどうですか?
   今日は皆でピクニックに行くのでしょう?時間がなくなってしまいますよ」

ネリ「おお、そうだった。ならこの話は車の中ででも決着をつけるか」


228: 2013/09/10(火) 00:34:23.25 ID:c8ZvfKpx0

ルル「ならナナリー、抱っこするからつかまって」

ナナ「はい」 チラ

ネリ「………」ブゥ

ネリ「なあルルーシュ、わたしもお姫様抱っこして運転席まで連れてってくれ」

ルル「姉上は自分で歩いてください」スタスタ

ネリ「まったく、お前は思いやりが足らんな」スタスタ ガシャン

ネリ「シートベルトは締めたな?」

ルル「ええ」

ナナ「はい」

ネリ「よし、なら行くぞ」ブロロロロ


229: 2013/09/10(火) 00:35:40.15 ID:c8ZvfKpx0

ここにたどり着くまでに多くの物を失った。
両親、生まれ育った祖国、シャーリー…他にも色々と。

だが一番大事だったナナリーとの平穏な生活は手に入れることができた。
大好きだったアッシュフォード学園にも、生徒会にも帰ってこられた。

それに、ずっと欲しかった家族が二人もいる。

しかも家族でピクニックだなんて、とても普通ではないか。

そうだ、俺はやっと手に入れたのだ。普通を、平穏を―。

ネリ「ルルーシュ、結婚式のことなんだが」

ルル「結婚の話が進行中のように言わないでください。
   そんな話はありません」

ナナ「お兄さま、新居には天蓋付きのダブルベッドが欲しいです」

ルル「ナナリー、張り合わなくていいんだよ?」

兄弟で愛し合うのは少し普通ではないが、そんなものは些細なことだ。
俺が愛する人が傍にいてくれる。

俺の望んで手に入れた明日が、未来がここにはある。
それを守り続けていきたい。

ルル「愛しているよ、コーネリア、ナナリー」




終わり

231: 2013/09/10(火) 00:40:39.75 ID:FnZl70guo


232: 2013/09/10(火) 00:41:01.22 ID:QPdvOofuo
完走おつん

引用元: ルルーシュ 「コーネリア、俺のものとなれ!」