1: 2012/10/04(木) 12:01:22.85 ID:BpSBk4M40
シンジ「……」ピッ

          10/01THU
          23:36

    着信履歴

01不  10/01 13:52
  ミサトさん

02不  09/30 20:34
  ミサトさん

03不  09/29 19:30
  ミサトさん

04不  09/28 19:26
  ミサトさん

05不  09/27 15:12
  ミサトさん

06    09/27 14:50
  綾波

07不  09/26 18:47
  ミサトさん


シンジ「僕、どうして携帯電話なんて持っているんだろう……」

3: 2012/10/04(木) 12:07:18.81 ID:BpSBk4M40
通学路

ケンスケ「訓練とか大変なんだろ?」

シンジ「最近は慣れてきたし、そうでもないかな」

トウジ「ふーん」

ピリリリ

シンジ「……!」バッ

トウジ「もしもし?なんやー?」

シンジ「……」

トウジ「そうか、わかった。はいはい」

ケンスケ「また委員長ですか」

トウジ「今日は日直だからはよこいって。誰がいくか。けっ」

シンジ「……」

5: 2012/10/04(木) 12:10:10.66 ID:BpSBk4M40
教室

ヒカリ「もう!鈴原!!」

トウジ「へいへい」

ヒカリ「ちゃんとやってよね」

アスカ「ふわぁぁ……」

シンジ「アスカ」

アスカ「なに?」

シンジ「僕の携帯電話の番号、知ってるよね?」

アスカ「ミサトから教えてもらったけど?」

シンジ「そう……」

アスカ「なによ?」

シンジ「いや、アスカから一回もかかってきたことがないから、少し気になってさ」

アスカ「毎日顔合わせるのに、どうして電話しないといけないわけ?あんたバカぁ?」

シンジ「ごめん……」

6: 2012/10/04(木) 12:12:06.94 ID:SPHrNSyv0
ちな俺

お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お母さ
お母




8: 2012/10/04(木) 12:15:14.37 ID:BpSBk4M40
ピリリリ

シンジ「……」バッ

アスカ「はい?」

シンジ「……」

アスカ「あー、それね。はいはい。りょーかい」

シンジ「だ、誰から?」

アスカ「ネルフの知り合いだけど?」

シンジ「アスカって知り合いいるんだ」

アスカ「そりゃいるわよ。なに?バカにしてるわけ?」

シンジ「そんなつもりはないよ。少し意外だったから」

アスカ「はぁ?」

シンジ「ごめん……」トボトボ

アスカ「何よ、アイツ」

シンジ(アスカですら色んな人から電話が……。それなのに僕は……)

9: 2012/10/04(木) 12:19:12.33 ID:BpSBk4M40
レイ「碇くん」

シンジ「なにかな?」

レイ「今日の訓練予定。赤木博士が伝えてって」

シンジ「そうなんだ。ありがとう」

レイ「詳細はこれに書いてあるから」

シンジ「うん。読んでおくよ」

レイ「それじゃあ」

シンジ「……綾波!」

レイ「なに?」

シンジ「えっと……」

レイ「……」

シンジ「今度から連絡事項があるときは、なるべく電話をかけてきてほしいな……なんて……」

レイ「無駄な通話は控えるように言われているから」

シンジ「そうなんだ……ごめん……」

レイ「……でも、碇くんがそう言うなら、なるべくそうしてみるわ」

10: 2012/10/04(木) 12:23:34.42 ID:BpSBk4M40
葛城宅 自室

シンジ「……もうすぐかな」

ピリリリ……ピリリリ……

シンジ「……」バッ

着信中 ミサトさん

シンジ「もういいよ……ミサトさん……」

シンジ「どうせ用事もないくせに……」

シンジ「気を遣わないでよ……余計、惨めになるよ……」

ピリリリ……ピリ……

シンジ「……」

シンジ「携帯電話なんて意味ないかも……」

シンジ「いっそのこと解約しようかな……」

シンジ「でも、綾波がかけてきてくれるって言ってたし……」

シンジ「ああ、でもそれは業務連絡だけか……」

シンジ「……寝よう」

11: 2012/10/04(木) 12:27:32.06 ID:BpSBk4M40
翌日 リビング

シンジ「……」

アスカ「おはよう」

シンジ「……」

アスカ「……いただきまーす」モグモグ

シンジ「……」

アスカ「いってきまーす」

シンジ「待ってよ」

アスカ「なに?」

シンジ「無視しないでよ」

アスカ「なんで私の挨拶を無視したのか言ってみなさいよ」

シンジ「電話をかけてきてくれたら話すよ」

アスカ「嫌よ。電話代の無駄じゃないの」

シンジ「……」

アスカ「で、学校いくの?いかないの?」

12: 2012/10/04(木) 12:30:54.70 ID:BpSBk4M40
シンジ「今日は休もうかな」

アスカ「あっそ。ミサトに言ったらどうなるでしょうね?」

シンジ「別にいいよ。言っても」

アスカ「ふぅん」

シンジ「僕はもう……どこに居ても独りなんだ……」

アスカ「へぇ」

シンジ「だから、部屋に居ても一緒なんだ」

アスカ「……」スタスタ

シンジ「僕は孤独なんだ!!」

アスカ「鍵、しめといてね」

シンジ「くそ!!」

シンジ「どうして……どうして……」

シンジ「僕の電話だけ……鳴らないの……」

シンジ「誰か……教えてよ……」

13: 2012/10/04(木) 12:34:02.26 ID:BpSBk4M40
学校

ヒカリ「あれ、碇くんは?」

アスカ「サボタージュよ」

ヒカリ「珍しいね」

アスカ「一応、保護者には伝えておいたけど」

ヒカリ「なにかあったの?もしかして訓練とかで……」

アスカ「さぁ。バカの考えることはよくわかんないし」

レイ「……おはよう」

ヒカリ「あ、おはよう!!」

アスカ「ふん」

レイ「……」キョロキョロ

アスカ「なによ?」

レイ「碇くんは?」

アスカ「欠席」

レイ「……なにかあったの?」

14: 2012/10/04(木) 12:38:37.98 ID:BpSBk4M40
アスカ「知らないわ。知りたきゃ自分で直接聞いてみたらぁ?」

レイ「……そうね」

ヒカリ「アスカ、そんな言い方しなくても」

アスカ「でも、実際私だってアイツに何があったかなんて知らないし、そもそも興味もないし」

ヒカリ「もう……素直じゃないんだから」

アスカ「はぁ?!どういう意味よ!!」

レイ「……」ピッ

アスカ「……」

レイ「……」プルプル

アスカ「……早くかけなさいよ」

レイ「……どうしてかわからないけど、手が震えて……」

ヒカリ「え?碇くんにかけたことないの?」

レイ「業務連絡以外ではなかったから……」

アスカ「……」

ヒカリ「あるある。プライベートな用件でかけようとすると緊張しちゃうよね」

16: 2012/10/04(木) 12:43:04.52 ID:BpSBk4M40
葛城宅 自室

シンジ「……」

ピリリリ……

シンジ「……」バッ

着信中 ミサトさん

シンジ「……」ポイッ

シンジ「はぁ……やっぱり、電話は鳴らない……」

シンジ「トウジやアスカならきっとたくさん鳴るんだろうな……」

ピリリリ……ピリリリ……

シンジ「もう……放っておいてよ!!」ピッ

シンジ「……」

シンジ「……掃除でもしようかな」

17: 2012/10/04(木) 12:49:07.00 ID:BpSBk4M40
学校 昼休み

レイ「……」プルプル

ヒカリ「まだ、にらめっこしてる」

アスカ「……」モグモグ

ヒカリ「アスカ、心配じゃないの?」

アスカ「あのバカのこと?べっつにぃ。どこかでのたれ死んでようが、私には関係ないもの」

ヒカリ「でも、同じエヴァのパイロットなんだし、少しぐらい……」

アスカ「バカシンジが乗れなくなったら私がエースね。そのほうが何倍もいいかも」

ヒカリ「アスカ……」

レイ「……」ピッ

ヒカリ「あ。かけたんじゃない?」

アスカ「……!」

レイ「もしもし……。あの……葛城三佐……」

ヒカリ「違うみたい」

アスカ「……ふん」

19: 2012/10/04(木) 12:54:30.45 ID:BpSBk4M40
ネルフ本部

ミサト「シンジくん。どうして学校行かなかったの?」

シンジ「……」

ミサト「黙ってたら分からないでしょ?レイとアスカが心配して私に電話までかけてきてくれたのよ?」

シンジ「……僕の電話は鳴りませんでした」

ミサト「シンジくん?」

シンジ「ミサトさんの電話は沢山鳴るんですね。羨ましいです」

ミサト「シンジくん、あのねぇ」

加持「葛城、その辺でいいだろ」

ミサト「関係ないでしょ」

加持「俺たちだって、学生時代はよくサボって1日中部屋にいたこともあったろ?」

ミサト「ば、ばか!!な、なにいってるのよ!!」

加持「シンジくんも部屋にいたいときだってあるさ」

ミサト「ちょっともう!!話に割り込んでこないで!!」

シンジ「僕の電話だけ鳴らないんだ……」

21: 2012/10/04(木) 12:58:50.61 ID:BpSBk4M40
休憩所

シンジ「はぁ……」

レイ「碇くん」

シンジ「綾波……」

レイ「大丈夫?」

シンジ「うん。ありがとう、心配してくれて」

レイ「……なにかあったのね?」

シンジ「違うよ。何もないんだ」

レイ「そう……」

シンジ「僕には何もないんだ。空っぽなんだ」

レイ「……」

シンジ「こんなもの……!!」

ピリリリ……

シンジ「……!!」

レイ「電話、みたいだけど」

23: 2012/10/04(木) 13:02:12.32 ID:BpSBk4M40
シンジ「……」

着信中 父さん

シンジ「父さんからだ……」

レイ「……でないの?」

シンジ「……も、もしもし?」

ゲンドウ『シンジか。私だ』

シンジ「な、なに?」

ゲンドウ『機種変更をする。暫く電話は繋がらない。いいな』

シンジ「う、うん……」

ゲンドウ『よし』

ツー……ツー……

シンジ「父さんからなんてびっくり―――」

ピリリリ……

レイ「はい?」

ゲンドウ『レイ。私だ。機種変更をするから暫く携帯電話は繋がらない。タッチパネルの機種だ。今度、触りにこい』

27: 2012/10/04(木) 13:06:31.99 ID:BpSBk4M40
レイ「分かりました」

ゲンドウ『ああ』

シンジ「……」

レイ「……碇司令、タッチパネルにするって」

シンジ「みんなにかけてるんだ……僕だけじゃないんだ……」

レイ「……」

シンジ「僕はやっぱり……独りぼっちなんだ……」

レイ「あの……」

シンジ「うぅぅ……ぅぅ……」

レイ「碇くん……どうして泣いてるの?」

シンジ「僕は独りなんだ!!!」ダダダッ

アスカ「きゃ!?ちょっと!危ないでしょうが!!」

レイ「……」

アスカ「なによ?なんかあったの?」

レイ「分からないわ」

30: 2012/10/04(木) 13:13:10.85 ID:BpSBk4M40
葛城宅 リビング

アスカ「ただいまー。バカシンジいるー?」

アスカ「お腹すいたー」

アスカ「バカシンジぃー。シンジー。シーンージーごーはーんー」

アスカ「なによ。家事もサボりぃ?いいご身分ね」

アスカ「……」

アスカ「ちょっと、出てきないよ!!私を飢え死にさえたいわけ!?」

アスカ「……」

ミサト「ただいまー」

アスカ「ミサト。今日は遅くなるんじゃなかったの?」

ミサト「シンジくんの様子がちょっち気になって」

アスカ「あ、そ」

ミサト「シンジくんは?」

アスカ「部屋にいるみたいよ?私はお腹空いたからカップラーメンでも食べるわ」

ミサト「シンちゃーん?あけるわよー?」

31: 2012/10/04(木) 13:19:13.97 ID:BpSBk4M40
シンジ「……」

ミサト「シンジくん?どうして私の電話に出てくれないの?」

シンジ「大した用事なんてないくせに」

ミサト「いや……」

シンジ「ミサトさんは僕の電話が鳴らないことを知ってるから、同情してかけてきてるだけなんですよね」

ミサト「それは……あの……」

シンジ「知ってますよ。それぐらい」

ミサト「……」

シンジ「着信履歴の9割9分はミサトさんですよ」

アスカ「……」ズルズル

ミサト「それが嫌なの?」

シンジ「同じ人、それも同居人だけで埋まっている着信履歴なんて恥ずかしいですよ!!」

ミサト「な……」

シンジ「もう……やめてください……」

ミサト「シンジくん……わかったわ……。そこまでいうならもうかけない。それでいいわね?」

35: 2012/10/04(木) 13:23:31.12 ID:BpSBk4M40
ミサト「シンジくん、明日は学校に行きなさい」

シンジ「……」

ミサト「おやすみ」

シンジ「……」ピッ

  着信履歴

01不  10/03 10:25
  ミサトさん

02不  10/03 10:20
  ミサトさん

03不  10/03 10:14
  ミサトさん

04不  10/03 10:05
  ミサトさん

05不  10/03 10:01
  ミサトさん

07不  10/03 09:51
  ミサトさん

シンジ「こんなの……誰にも見せられないよ……」

38: 2012/10/04(木) 13:29:19.85 ID:BpSBk4M40
翌日 リビング

シンジ「……」

アスカ「あら、起きてたの」

シンジ「はい。お弁当」

アスカ「手を抜いてないでしょうね?」

シンジ「うん。大丈夫だよ」

アスカ「本当かしら」

シンジ「……先、行くね」

アスカ「ちょっと。私も行くわよ」

ミサト「二人とも、行ってらっしゃい」

シンジ「……行ってきます」

アスカ「いってきます」

ミサト「……ペンペンからもシンちゃんに電話かける?」

ペンペン「クェ!」

ミサト「そっかぁ。ペンペンのはFX専用だっけ」

41: 2012/10/04(木) 13:33:46.04 ID:BpSBk4M40
通学路

シンジ「……」

アスカ「……ねえ」

シンジ「なに?」

アスカ「ケータイ、見せてみないさよ」

シンジ「嫌だよ」

アスカ「なんで?」

シンジ「他人の携帯電話を見たがるなんて、人間として最低だよ?」

アスカ「ぬぁんですって?!」

シンジ「じゃあアスカは、携帯電話を僕に見せられるの?」

アスカ「はい」スッ

シンジ「え……」

アスカ「別に見てもいいわよ?」

シンジ「……」

アスカ「ほら、あんたのケータイ、見せてよ」

43: 2012/10/04(木) 13:41:08.64 ID:BpSBk4M40
シンジ「メールとか見るかもしれないのに?」

アスカ「別に見てもいいって言ってるでしょ?」

シンジ「僕を馬鹿にしないでよ!!」

アスカ「なにが?」

シンジ「アスカは誰からも電話やメールをもらえるからそうやって自信たっぷりに他人に見せられるんだ!!」

アスカ「……」

シンジ「もう……僕に……僕の電話に構わないでよ……」

アスカ「はいはい。早く、見せる」バッ

シンジ「あ!!やめてよ!!!アスカ!!!」

アスカ「うわ……ミサトばっかりじゃない」

シンジ「ひ、ひどいよ……アスカ……」

アスカ「メールは……一番最近のがメルマガ?」

シンジ「うぅぅ……」

アスカ「中々ね」

シンジ「アスカなんて嫌いだ!!」ダダダッ

44: 2012/10/04(木) 13:46:11.13 ID:BpSBk4M40
学校

シンジ「うぅぅ……ぅぅ……」

トウジ「シンジのやつ、どないしたんや」

ケンスケ「さぁ。学校に来るなり突っ伏したままで……」

ヒカリ「アスカと喧嘩でもしたのかしら?」

トウジ「まーた、夫婦喧嘩か。こりないやっちゃ」

アスカ「誰が夫婦ですって?」

ヒカリ「アスカ!?」

トウジ「おまえ!!シンジを泣かせたやろ!!ゆるさへんで!!」

アスカ「勝手に泣いたのよ。私は悪く―――」

レイ「なにがあったの?碇くん、泣いているけど」

アスカ「え」

レイ「なにがあったの?」

アスカ「いや……」

レイ「あなたが何かしたのね?」

45: 2012/10/04(木) 13:51:12.88 ID:BpSBk4M40
ヒカリ「アスカ、碇くんに謝ったほうが……」

ケンスケ「それが最も手短で確実な方法だね」

トウジ「はよ謝らんかい」

レイ「謝って」

アスカ「あー!!もー!!分かってるわよ!!うっさいわねえ!!!」

レイ「……」

アスカ「謝ればいいんでしょ。謝れば。まったく……」

シンジ「……」

アスカ「バカシンジ」

シンジ「……」

アスカ「これ、返すわ」

シンジ「……」

アスカ「まー、ミサトばっかりになるのも、最近の受信メールがメルマガなのも、よくあることよ。気にすることはないと思うけど」

シンジ「……アスカに僕の気持ちが分かるわけないんだ」

アスカ「あんたねえ……」

48: 2012/10/04(木) 13:57:50.93 ID:BpSBk4M40
シンジ「もう放っておいてよ」

アスカ「どうして鳴らないか考えたことあるわけ?」

シンジ「……僕が誰からも必要とされていないから」

アスカ「そうよ。分かってるじゃない」

シンジ「……」

アスカ「もっと言えば誰とも用事がないからでしょうね」

シンジ「……」

アスカ「誰かと会う予定の一つでもあれば、電話なんてジャンジャン鳴るわよ」

シンジ「どうして?」

アスカ「それは……ほら、細かいことを話し合ったりしたくなりじゃない?」

シンジ「……」

アスカ「まずはあんたから電話かけて、予定作ればミサト一色にはまずならないわよ」

シンジ「……」

アスカ「まぁ手始めに、近くの人間と遊ぶ約束とかしたらいいんじゃない。知らないけど」

シンジ「約束……予定……。そうなんだ……。ううん。そうかもしれない。ありがとう、アスカ」

49: 2012/10/04(木) 14:01:38.01 ID:BpSBk4M40
アスカ「ようやく顔を上げたわね」

シンジ「僕が間違ってたよ。鳴らないのは僕が鳴らさなかったからなんだ」

アスカ「そうよ」

シンジ「……よし」

アスカ「……」

シンジ「……」ピッピッ

アスカ「……」ソワソワ

シンジ「……」

ピリリリ……

レイ「はい?」

シンジ「綾波」

レイ「なに?」

シンジ「話があるんだ」

レイ「ええ」

アスカ「……」

51: 2012/10/04(木) 14:13:56.20 ID:BpSBk4M40
シンジ「お弁当、美味しいかな?」

レイ「ええ」

シンジ「何かリクエストとかあるかな?」

レイ「特にないわ」

シンジ「そう……。あ、じゃあ、何かリクエストしたいものが浮かんだら電話してよ」

レイ「わかったわ」

シンジ「あと別に用事がなくてもかけてきてよ」

レイ「それは……」

シンジ「いつでもいいから。待ってる」

レイ「……分かったわ」

シンジ「うん」

レイ「……」

シンジ「これで綾波からたくさんかかってくるかな……」

アスカ「……」

55: 2012/10/04(木) 14:18:24.61 ID:BpSBk4M40
ネルフ本部

レイ(どうしよう……。碇くん、私からの電話を待ってる……)

レイ(でも……かけようと思うと手が……)プルプル

ゲンドウ「レイ。何をしている?」

レイ「いえ。何も」

ゲンドウ「そうか。レイ、見せたいものがある」

レイ「なんですか?」

ゲンドウ「タッチパネルの携帯電話だ」

レイ「これが……」

ゲンドウ「アプリもある。画面を擦ると……遊べる」

レイ「……」

ゲンドウ「触るか?」

レイ「はい」

ゲンドウ「……楽しいか、レイ?」

レイ「……」スッスッ

56: 2012/10/04(木) 14:22:25.70 ID:BpSBk4M40
葛城宅 自室

シンジ「……」

ピリリ―――

シンジ「きた!?」

着信中 ミサトさん

シンジ「……」ポイッ

シンジ「綾波……約束したのに……」

シンジ「僕を裏切ったんだ……僕を……」

シンジ「綾波ぃ……」

ピリリ……ピリリ……

シンジ「うるさい!!」

シンジ「もういやだ!!こんな着信音ききたくないよ!!」

シンジ「誰か……僕にかけてきてよ……」

シンジ「誰か……」

シンジ「すぅ……すぅ……」

57: 2012/10/04(木) 14:26:11.67 ID:BpSBk4M40
アスカの部屋

アスカ「……」

『自分で鳴らさないと鳴らないんだ』

アスカ「そうよね……」

アスカ「よし……」

アスカ「……」ピッ

トゥルル……トゥルル……トゥルル……

アスカ「……何よ、あいつ。出ないじゃない……」

アスカ「折角、こっちからかけてやったのに……。初めて……」

アスカ「あーもう!!」ピッ

アスカ「……」スタスタ

アスカ「シンジー!!」ガラッ

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「寝てる……」

アスカ「もういいわ……どうでも……。私も寝よっと」

62: 2012/10/04(木) 14:51:58.61 ID:BpSBk4M40
シンジ「ん……。寝ちゃったか」

シンジ「今、何時だろう……。綾波から電話来たかな……」ピッ

 着信履歴

01不  10/05 00:02
  ミサトさん

02不  10/04 22:12
  アスカ様

03不  10/04 22:01
  ミサトさん

04不  10/04 21:13
  ミサトさん

05不  10/04 20:08
  ミサトさん

07不  10/04 18:09
  ミサトさん

シンジ「アスカ……?」

シンジ「……」

シンジ「……」トゥルルル

63: 2012/10/04(木) 14:53:58.36 ID:XkDhmodN0
>アスカ様
アスカに照れ隠しに携帯奪われて無理矢理番号登録させられた過去が見える

65: 2012/10/04(木) 14:58:27.08 ID:BpSBk4M40
アスカ『ふぁい?』

シンジ「もしもし……。ごめん、寝てた?」

アスカ『なんじだとおもってるのよ……あんた、ばかぁ……?』

シンジ「電話、かけてきただろ?何でかなって……」

アスカ『ああ……別に……。掛け間違えただけ』

シンジ「そう……」

アスカ『それだけ?切るわよ?』

シンジ「う、うん……おやすみ……」

アスカ『んー』

ツー……ツー……

シンジ「はぁ……そうだよね。アスカが僕になんて……」

シンジ「綾波からもないし……」

シンジ「やっぱり、解約しようかな……」ウルウル

シンジ「アスカの嘘つき……」

67: 2012/10/04(木) 15:05:43.71 ID:BpSBk4M40
翌朝

シンジ「おはよう……」

アスカ「おはよう」

シンジ「……」

アスカ「……」モグモグ

シンジ「はぁ……」

アスカ「朝からため息とかやめてよね。気が滅入るでしょ?」

シンジ「……かかってこなかったんだ」

アスカ「はぁ?」

シンジ「綾波……僕にかけてくれなかった……」

アスカ「ケータイ握り締めてプルプル震えてたんじゃない?」

シンジ「そんな適当なこと言わないでよ!!」

アスカ「私が間違ってるっていうの?!」

シンジ「綾波がそんな小鹿みたいになるわけないだろ!!」

アスカ「なるかもしれないじゃない!!」

68: 2012/10/04(木) 15:11:23.50 ID:BpSBk4M40
学校

シンジ「……」

アスカ「ふんっ」

トウジ「なんや、また喧嘩かいな」

ケンスケ「今度はどうしたのさ?」

シンジ「綾波が生まれたての小鹿みたいになるなんていうから……」

トウジ「小鹿がなんやて?」

ヒカリ「もう、アスカも懲りないね」

アスカ「全部バカシンジが悪いのよ」

ヒカリ「どっちもどっちだと思うけど」

アスカ「あ?」

ヒカリ「ごめん……」

アスカ「なによ……私よりあんな無表情で陰険な女からの着信を心待ちにするなんて……」

レイ「……」

レイ(結局、碇くんの約束、守れなかった……碇くんに嫌われたかしら……)

76: 2012/10/04(木) 15:54:29.51 ID:BpSBk4M40
葛城宅 リビング

シンジ「……」

アスカ「……」

ミサト「なんかあったの?」

シンジ「別になにもありませんよ」

アスカ「特にないわ」

ミサト「そう。ところでシンちゃん?」

シンジ「なんですか?」

ミサト「そろそろ私が電話したら出てくれない?初めは10秒でも会話してたじゃない」

シンジ「……」

ミサト「アスカも」

アスカ「……」

ミサト「二人とも反抗期?」

ペンペン「クェー」

ミサト「泣きそうだわ」

80: 2012/10/04(木) 15:58:36.79 ID:BpSBk4M40
自室

シンジ「……」ピッ

 着信履歴

01不  10/05 20:45
  ミサトさん

02不  10/05 18:32
  ミサトさん

03不  10/05 17:11
  ミサトさん

04不  10/05 16:26
  ミサトさん

05不  10/05 16:00
  ミサトさん

シンジ「もう……ミサトさんの番号、着信拒否にしようかな……」

ピリッ……

シンジ「ん?」

着信あり 綾波

シンジ「綾波!?でも、一瞬だけ……。間違い……だよね」

83: 2012/10/04(木) 16:06:55.54 ID:BpSBk4M40
シンジ「……」

ピ口リーン♪

シンジ「……」ピッ

0001 
10/05 21:05
アスカ様

起きてる?


シンジ「……なんだろう、これ」

シンジ「えーと……」ピッピッ

0001
10/05 21:07
アスカ様
Re:

うん


シンジ「送信……」ピッ

シンジ「なんだろう……アスカ……。初めてメールなのに絵文字も何もないし……」

シンジ「それより、綾波はなんだったんだろう……。やっぱり確認したほうがいいかな……」

85: 2012/10/04(木) 16:11:43.20 ID:BpSBk4M40
シンジ「でも、もう夜も遅いし……」

シンジ「うーん……」

ピ口リーン♪

0001
10/05 21:08
アスカ様
Re:

ふーん


シンジ「なんだよ。アスカ。意味のないメール……」

シンジ「あ……。アスカも僕に同情して……。ううん。アスカのことだから、これはバカにしてる……」

シンジ「酷いよ……アスカ……」


0001
10/05 21:10
アスカ様
Re:

同情のメールなんていらないよヾ(。`Д´。)ノ彡☆ブーブーッ!!


シンジ「これでよし」

86: 2012/10/04(木) 16:16:22.45 ID:BpSBk4M40
シンジ「綾波……かけてみようかな……」

シンジ「……そうだ。メールにしよう」

シンジ「直接電話はこっちの勘違いだったとき恥ずかしいし……」

シンジ「……」ピッピッ

0001
10/05 21:13
綾波

電話かかってきたけど、何かな?
間違い(゚_。)?


シンジ「……送信」ピッ

シンジ「……」

ピ口リーン♪

シンジ「どっちだろう?」

0001
10/05 21:14
綾波
Re:

(・_;☆\(-_-)ナンデヤネンッ!

89: 2012/10/04(木) 16:20:30.19 ID:BpSBk4M40
シンジ「綾波……」

シンジ「……」トゥルルル

レイ『……はい』

シンジ「あ、もしもし?」

レイ『……もしもし』

シンジ「えっと……なにかな?」

レイ『かけてきてもいいって……言われたから……』

シンジ「う、うん……」

レイ『……おやすみ』

シンジ「ちょっと待ってよ」

レイ『……なに?』

シンジ「えっと……次は僕からかけるよ」

レイ『嬉しい』

シンジ「え……?」

レイ『業務連絡以外で電話がかかってくるの、碇くんだけだから……』

90: 2012/10/04(木) 16:23:56.13 ID:BpSBk4M40
シンジ「そうなの?」

レイ『ええ』

シンジ「じゃあ、綾波の着信履歴って……」

レイ『ネルフ本部だけ。今までは』

シンジ「今までは?」

レイ『今は碇くんの名前、出てくるから』

シンジ「……」

レイ『……おやすみ』

シンジ「ま、まって」

レイ『なに?』

シンジ「僕も同じだった」

レイ『同じ?』

シンジ「僕もミサトさんからしかなかった。今までは」

レイ『碇くん……』

シンジ「綾波……」

94: 2012/10/04(木) 16:34:15.61 ID:BpSBk4M40
レイ『あ、無駄な通話は控えるように言われているから……』

シンジ「う、うん……。明日、この時間に電話するよ」

レイ『待ってる』

シンジ「おやすみ」

レイ『おやすみ、碇くん』

シンジ「……そうか。綾波も僕と同じで鳴らない電話を持ってたんだ」

シンジ「なんだか、嬉しいな……」

ピ口リーン♪

シンジ「アスカからだ……」

0001
10/05 21:23
アスカ様
Re:

ほはもこはでしう ほ ご
しなっれなんんれんめ
いしっかせわじし と ん
なてとらてで と い はね

シンジ「怪文書を送ってくるなんて、アスカどういうつもりだよ……」

95: 2012/10/04(木) 16:35:13.52 ID:LdH0aPYk0
これはメンヘラっぽいなw

97: 2012/10/04(木) 16:38:19.22 ID:KkQOpoU80
アスカ・・・(´;ω;`)ウッ…

99: 2012/10/04(木) 16:39:38.27 ID:BpSBk4M40
翌日

シンジ「おはようございます」

ミサト「おはよう、シンちゃん。なんかあったの?」

シンジ「え?」

ミサト「なんか嬉しそうだけど?」

シンジ「そんな……別になにも……」

ミサト「隠し事はだめよん?」

シンジ「もう……」

アスカ「お、おはよう」

シンジ「……」

ミサト「おはよう、アスカ」

アスカ「……」

シンジ「はい。お弁当」

アスカ「う、うん」

シンジ「先に行くから」

102: 2012/10/04(木) 16:47:04.32 ID:BpSBk4M40
アスカ「ちょっと……」

シンジ「行ってきます」

ミサト「なになに?喧嘩?早く謝ったほうがいいわよ~?」

アスカ「謝ったわよ!!」

ミサト「え?シンちゃんが許してくれないの?」

アスカ「そうよ……」

ミサト「謝りかたを誤ったとか?」

アスカ「……」

ミサト「変な暗号にしちゃったら、かえってややこしくなるわよ?」

アスカ「し、してないわよ……。日本の様式にしただけなんだから」

ミサト「まぁいいわ。とにかく喧嘩は駄目よ?」

アスカ「行ってきます」

ミサト「制服に着替えてから行きなさい」

アスカ「あ……分かってるわよ!!」

103: 2012/10/04(木) 16:51:25.14 ID:BpSBk4M40
教室

レイ「……あ」

シンジ「おはよう」

トウジ「おはようさん」

ケンスケ「おはよう」

レイ「……」

シンジ「おはよう、綾波」

レイ「……」コクッ

シンジ(綾波……。なんだかよそよそしい……)

ピ口リーン♪

シンジ(ん……?)

0001
10/06 08:20
綾波

( 'o')b オッ ( 'O')L ハー♪


シンジ「ふふっ……。綾波って結構、お茶目なんだ」

106: 2012/10/04(木) 16:58:13.67 ID:BpSBk4M40
昼休み

トウジ「それでな、そこで一発ガツーンと―――」

ピ口リーン♪

シンジ「……」ゴソゴソ

ケンスケ「むむ。怪しい……」

シンジ「え……?」

トウジ「今の音は……メールやなぁ……せんせぇ?」

シンジ「いや……これは……」

ケンスケ「親友になら見せられるでしょう?碇ぃ?」

トウジ「そうやな。しんゆう、やもんなぁ?」

シンジ「あの……これは……」

トウジ「ほら、みせてみー!!!」

0001
10/06 13:07
綾波

お弁当アリガトヨーヨー(*≧∇≦)/--------((礼))≧□≦)~☆グハッ

110: 2012/10/04(木) 17:04:19.83 ID:BpSBk4M40
ケンスケ「これは……!!」

トウジ「大事件や……!!綾波と……メール……?!」

シンジ「もう!!やめてよ!!」

ケンスケ「綾波レイの風貌からはとてもこんなメールを打つとは思えない!!!」

トウジ「そや!!もっと淡白やろ!!普通!!!」

シンジ「し、知らないよ……」

ケンスケ「今だって……」

レイ「……」ボォ~

ケンスケ「物憂げに窓の外を眺めているだけなのに……。こんなハイテンションな文章を作るとは到底思えないじゃないか!!!」

トウジ「せや!!こんなんあかん!!みとめへん!!」

シンジ「そんなこといわれても……」

ケンスケ「しかも!!碇のケータイ、すごい!!」

トウジ「なにがや?!」

ケンスケ「ミサトさんとレイとアスカの履歴しかない!!」

トウジ「なんでせんせいばっかりぃ!!」

112: 2012/10/04(木) 17:08:19.75 ID:BpSBk4M40
シンジ「トウジだって、色んな人から着信あるんだろ?」

トウジ「うぐ……」

ケンスケ「あれ、碇は知らないのか?」

シンジ「え?」

ケンスケ「ちょっとごめん」ササッ

トウジ「あ、こらぁ!!なに勝手に人のケータイを!!」

ケンスケ「ほら、着信履歴。殆ど『ひかるん』でしょ?」

シンジ「ひかるん?」

トウジ「あかーん!!!やめろー!!」

ケンスケ「ふふ」

トウジ「この!!どうなるかわかっとるんやろうなぁ!!!」ググッ

ケンスケ「がっ……?!」

シンジ「ひかるん……?だれ……?」

トウジ「誰でもない!!宇宙人や!!」

レイ(あの雲……初号機に似ているわ……)

113: 2012/10/04(木) 17:12:55.94 ID:HY3t8/6O0
ひかるんwwwww

114: 2012/10/04(木) 17:13:51.04 ID:BpSBk4M40
ヒカリ「また鈴原が暴れてる……」

アスカ「男はホント、ガキよね」

ヒカリ「アスカ、碇くんとは仲直りできたの?」

アスカ「べっつにぃ」

ヒカリ「何が原因なの?」

アスカ「……私がシンジの携帯電話を無理やり見て……」

ヒカリ「それは駄目じゃない」

アスカ「でも、そこ件に関しては謝ったし、メールでも……ちゃんと……」

ヒカリ「碇くんにとって見られたくないものを見ちゃったんでしょ?」

アスカ「……まぁ、着信履歴ぐらいだけど」

ヒカリ「はぁ……。そんなの誰だって嫌に決まってるでしょ」

アスカ「ヒカリも?」

ヒカリ「勿論」

アスカ「どうして?もしかしてヒカリも同じ人からしか……」

ヒカリ「……」コクッ

115: 2012/10/04(木) 17:18:49.43 ID:BpSBk4M40
アスカ「そう……」

ヒカリ「……ヒカリもって……アスカも?」

アスカ「あ……」

ヒカリ「見せ合いっこする?」

アスカ「ヒカリが見せてくれるなら、いいけど?」

ヒカリ「うん……。ちょっと恥ずかしいけど。はい」

 着信履歴

01   10/05 16:35
  王子

02   10/05 07:02
  王子

03   10/04 21:51
  王子

アスカ「王子って……誰よ?」

ヒカリ「ひ、秘密……。アスカも葛城さんからばかりなのね」

アスカ「そうよ。ていうか、ミサト以外からかかってきた例がないわ」

ヒカリ「きっと心配してるのね」

117: 2012/10/04(木) 17:24:26.01 ID:BpSBk4M40
アスカ「いらない心配よ」

ヒカリ「……あ。でも、碇くんからの着信もあるね。深夜だけど」

アスカ「それが……初めてだったのに……」

ヒカリ「え……」

アスカ「もういいでしょ」

ヒカリ「ありがとう。なんか、元気出た」

アスカ「ヒカリも私のケータイにかけてきてもいいのよ?」

ヒカリ「いいの?」

アスカ「当たり前じゃない。何のために番号を教えたと思ってるのよ」

ヒカリ「でも、アスカは何かと忙しそうだから……」

アスカ「気にしなくてもいいわよ。時間を見つけて掛け直すぐらいのことはするわ」

ヒカリ「うんっ。じゃあ、これからメールだけじゃなくて電話もする!」

アスカ「そうして」

118: 2012/10/04(木) 17:25:43.09 ID:7GMVFrrN0
イイハナシダナー

120: 2012/10/04(木) 17:34:56.67 ID:BpSBk4M40
葛城宅 自室

シンジ「……」ピッ

トゥルッ

レイ『もしもし』

シンジ「綾波……早いね」

レイ『そう?』

シンジ「1コール分もなかったと思うよ」

レイ『気がつかなかったわ』

シンジ「綾波ってメールが器用なんだね。僕、驚いたよ」

レイ『メールなんて誰からも来たことがなかったら、よく自分に送ってて……』

シンジ「え……」

レイ『……おやすみなさい』

シンジ「待ってよ!!別にいいじゃないか!!むしろメールの練習をするなんてすごいよ!そんな人、中々いないと思う!!」

レイ『そう?』

シンジ「うん」

124: 2012/10/04(木) 17:42:55.88 ID:BpSBk4M40
レイ『じゃあ、これからもメールの練習はするわ』

シンジ「あ、僕でしてくれてもいいよ?」

レイ『碇くんで?』

シンジ「自分に送るより、全然いいと思うから」

レイ『……じゃあ、メールするわ』

シンジ「うん。僕も綾波みたいに堪能になりたいから」

レイ『碇くんはもう相当な技術を持っていると思うけれど』

シンジ「そうかな……。よくわからないや」

レイ『大丈夫。碇くんなら』

シンジ「まぁ、アスカみたいな怪文書を送ったりはしないけど」

レイ『怪文書?』

シンジ「そうなんだ。アスカったら、僕にメールが殆どこないことを知って、からかってるんだ」

レイ『どんな文章だったの?』

シンジ「えーと……ほはもこはでしうほご しなっれなんんれんめ いしっかせわじしとん なてとらてでとはねって書いてた。一応メモしたけど意味はなさそうだよね、こんなの」

レイ『ほはもこは……?』

126: 2012/10/04(木) 17:48:41.79 ID:BpSBk4M40
シンジ「アスカは僕をバカにしてるんだよ。自分は交友関係広いからって……」

レイ『ごめんね……』

シンジ「え?」

レイ『碇くん。電話してあげて』

シンジ「綾波?」

レイ『また、メールするから』

シンジ「待ってよ!誰に電話するの?!」

レイ『その怪文書の人に』

シンジ「アスカ……?」

レイ『おやすみなさい』

シンジ「綾波?!」

ツー……ツー……

シンジ「……」

シンジ「どうしてアスカに……?」

シンジ「……」ピッ

129: 2012/10/04(木) 17:53:40.66 ID:BpSBk4M40
アスカの部屋

アスカ「三分たったわね」

アスカ「いただきま―――」

ピリリリ……ピリリリ……

アスカ「もう……だれよ……。ヒカリ?いや、どーせ、ミサトでしょ」

着信 バカ

アスカ「……」

アスカ「ふー……」

アスカ「……なによ?」

シンジ『今、なにしてたの?』

アスカ「ごはんよ」

シンジ『いるなら言ってよ。作ったのに』

アスカ「私の勝手でしょ?何言ってるのよ。保護者はミサトだけで十分よ」

シンジ『そんなつもりはないけど』

アスカ「じゃあ、どういうつもりなのよ?」

131: 2012/10/04(木) 18:03:04.88 ID:BpSBk4M40
シンジ『なんでそんなに怒ってるんだよ』

アスカ「怒ってないけど?それより、シンジ様は女の子に電話かけるので忙しいんじゃなかったの?」

シンジ『それこそアスカに関係ないだろ』

アスカ「なんですって?」

シンジ『初めてなんだ。電話が鳴って嬉しいって思えたの』

アスカ「……」

シンジ『トウジもケンスケもかけてはこないし、父さんもかけてくることなんてまずないし……ミサトさんは同情からだし……』

シンジ『綾波が初めてだったんだ。普通に話せる相手は』

アスカ「……」

シンジ『色んな人からかかってくるアスカには分からないだろうけど、それが本当に嬉しいんだよ』

アスカ「……私のは嬉しくないってこと?」

シンジ『え……』

アスカ「……よく、わかったわ」

シンジ『アスカ……?』

アスカ「私だって……初めてだったのに……」

135: 2012/10/04(木) 18:09:45.28 ID:BpSBk4M40
シンジ『アスカ……?』

アスカ「ちょっと待ってなさい」

シンジ『え……?!』

アスカ「……」スタスタ

アスカ「……」ガラッ

シンジ「うわ?!」

アスカ「ほら」

シンジ「え……?」

アスカ「全部……ミサトでしょ」

シンジ「でも……ネルフの知り合いって……」

アスカ「ミサトもネルフの知り合いでしょ」

シンジ「見栄を張ったの!?」

アスカ「うっさいわね!!シンジまで私と同じとは思わなかったの……」

シンジ「アスカ……ごめん……」

アスカ「ふん……バカシンジ……」

137: 2012/10/04(木) 18:15:04.37 ID:BpSBk4M40
シンジ「アスカも鳴らない電話だったんだ……」

アスカ「そーよ。……だから、シンジも同じって知って、ちょっと嬉しくなって」

シンジ「どうして?」

アスカ「……気軽に電話……できるじゃない……」

シンジ「でも、毎日顔合わせてるからって……アスカが……」

アスカ「顔見て話せないこととか、あるでしょ」

シンジ「あるの?」

アスカ「時々、あるわよ」

シンジ「そうなんだ」

アスカ「ええ……」

シンジ「……」

アスカ「……」

ピリリリ……

シンジ「……もしもし?」

アスカ『お腹すいた』

139: 2012/10/04(木) 18:19:34.13 ID:BpSBk4M40
リビング

アスカ「腕がにぶったんじゃないの?」モグモグ

シンジ「そんなことないと思うけど」

ミサト「ただいまー」

アスカ「遅いわよ」

シンジ「お帰りなさい」

ミサト「あら?仲直りしたの?」

アスカ「ごちそうさま。部屋に戻るわ」

シンジ「あ、うん……」

ミサト「まだなのね。シンちゃんも強情よねー」

シンジ「あはは。……お酒、出しましょうか?」

ミサト「うん。ありがとー」

ピリリリリ……

シンジ「あ……。はい。もしもし?」

ミサト(珍しい。シンちゃんの携帯電話が鳴った……レイ、かしら?)

141: 2012/10/04(木) 18:23:42.75 ID:BpSBk4M40
シンジ「うん……うん……いいよ。わかった」

ミサト「レイ?」

シンジ「違います」

ミサト「ありゃ?じゃあ、クラスメイト?」

シンジ「はい」

ミサト「ふーん」

シンジ「どうぞ」

ミサト「ごっつぁっんです」

シンジ「えーと……」ゴソゴソ

ミサト「なにしてるのー?」

シンジ「あった」

アスカ「シンジ?」スタスタ

シンジ「はい、これ」

アスカ「ん」

ミサト「え?!」

144: 2012/10/04(木) 18:30:01.47 ID:BpSBk4M40
ミサト「なに?!シンジくん?!どうしてアスカの求めてるものがわかったの?!」

シンジ「えっと……まぁ……」

アスカ「おやすみ」

ミサト「仲がいいとかの話じゃないわね……」

ピ口リーン♪

シンジ「……」ピッ

ミサト(メールまで……)

0001
10/06 22:24
綾波

どうだった?(-"-;A ...アセアセ

0001
10/06 22:25
綾波
Re:

∑d(≧▽≦*)OK!!

シンジ「ふふ……」

ミサト「なんだか、シンちゃんがどんどん遠くに行っている気がするわ……」

146: 2012/10/04(木) 18:37:00.15 ID:BpSBk4M40
綾波宅

10/06 22:32
シンジ
Re:

わぁいヽ(ω・ヽ)(ノ・ω)ノ わぁい♪

レイ「よかった……」

レイ「でも……。碇くん、私とメールしてくれる……?」

レイ「もし……」

10/06 22:35
シンジ
Re:

これからは毎日、メールのやり取りしよう。絶対に。

レイ「碇くん……」

レイ「……」ピッ

10/06 22:37
シンジ
Re:

ヾ(*´(     )ツ彡☆ ムリヤリチュウゥゥ~~~~~♪

148: 2012/10/04(木) 18:41:07.73 ID:BpSBk4M40
シンジの部屋

シンジ「綾波の顔文字、ちょっと理解できなくなってきた。まあ、練習って言ってたし、いいかな」

ピリリリ……

シンジ「はい?」

アスカ『さっきはありがとう』

シンジ「あれぐらいなら直接言っても……」

アスカ『携帯電話の有効活用よ』

シンジ「無駄遣いじゃないかな?」

アスカ『うっさいわね。ミサトが家にいるときはこうして会話するの。いい?』

シンジ「じゃあ、着信履歴はアスカでいっぱいになっちゃうね」

アスカ『なんか文句あるの?』

シンジ「な、ないけど……」

アスカ『ふん……。じゃあ、おやすみ』

シンジ「おやすみ」

シンジ(受信ボックスは綾波で埋まりそう……。でも、鳴らない電話じゃなくなって……嬉しいな……)

150: 2012/10/04(木) 18:44:39.85 ID:BpSBk4M40
ネルフ本部

ミサト「……」トゥルルル

『お掛けになった電話番号は都合によりお繋ぎできません』

ミサト「……」

リツコ「……どうしたの?」

ミサト「別に」

リツコ「そう」

ミサト「あの」

リツコ「なに?」

ミサト「……最近、電話しなくなったわねー、私たち……」

リツコ「電話するほどの緊急事態が起きていない、という証明ではなくて?」

ミサト「あ、そっか。そうよね」

リツコ「そうよ」

ミサト「はは……は……」

ミサト(最後の着信……二ヶ月前か……解約しようかな……)

152: 2012/10/04(木) 18:56:19.70 ID:BpSBk4M40
司令室

ゲンドウ「……冬月」

冬月「どうした?」

ゲンドウ「機種変更してから……まだ、一度も鳴っていない……」

冬月「……そうか」

ゲンドウ「あれだけ告知したというのに……何故だ……。レイもシンジも……使い勝手の良さぐらい聞いてくると思ったのだが……」

冬月「……」

ゲンドウ「何故だ……」

冬月「お前に電話をかけようと思うなら、内線を使うからじゃないかな?」

ゲンドウ「プライベートなことも聞くぞ、私は」

冬月「お前に相談しようなどど思う酔狂はおらんだろう」

ゲンドウ「……」

冬月「鳴らない電話に価値はないな」

ゲンドウ「……冬月先生、解約に出かけてきます」

冬月「ああ……」
             お終い

153: 2012/10/04(木) 18:58:02.58 ID:mXDaaNRF0
乙!

156: 2012/10/04(木) 19:13:17.89 ID:GXqhBdUh0
乙であった!!

162: 2012/10/04(木) 19:34:11.91 ID:FmpIkFP60
大人って悲しい乙

引用元: シンジ「鳴らない電話……」