1: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 02:24:46.74 ID:qK5DdFEl0
アスカ「……はぁ?」

シンジ「なんだか事情があるらしくて。…とは言っても3日間だけなんだけど…いいかな」

アスカ「…それをなんで私に言うわけ?ミサトに言いなさいよ」

シンジ「うん、もうミサトさんの許可は取ってあるんだ。そしたら“アスカも同居人なんだから一応アスカにも許可取ってくるように”って言われて」

アスカ「あっそ。好きにすればいいじゃない。…私の部屋には絶対入んないでよね」

シンジ「うん、ありがとうアスカ」

アスカ「………」



2: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 02:27:28.71 ID:qK5DdFEl0
―翌日


ミサト「カヲルくんいらっしゃーい。ゆっくりしてってねー」

カヲル「お世話になります」

シンジ「カヲルくん、いらっしゃい」

カヲル「やあ、シンジくん」

アスカ「……ふん」

ミサト「部屋に余裕無いから、悪いんだけど相部屋でお願いするわね」

カヲル「はい」

シンジ「えっと…」

アスカ「なんで私を見るのよ。バカシンジと同じ部屋に決まってんでしょ」

ミサト「そうねぇ。中学生とはいえ男女が同じ部屋に寝泊まりするってのはちょっち問題アリかなぁ」

カヲル「そうですね。それじゃあシンジくん、よろしく」

シンジ「うん。よろしく、カヲルくん」

カヲル「嬉しいよ。シンジくんと同じ部屋なんて」

シンジ「え! …う、うん、僕も嬉しいよ。とっても!」

アスカ「…なに顔赤らめてんのよ…気持ち悪い」

3: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 02:30:11.29 ID:qK5DdFEl0

―夜。台所


アスカ「バカシンジー。今日の晩ごはn……」

カヲル「ご飯、いつも君がひとりで作ってるのかい?」

シンジ「うーん…そういう日が多い、かなあ」

カヲル「そうなんだ…大変なんだね」

シンジ「うん、でも、料理するのは嫌いじゃないから大丈夫だよ。それに、喜んでもらえるとすごく嬉しいし」

カヲル「…そっか。優しいね。シンジくんは」

シンジ「え、…い、いや、別にそんなこと」

カヲル「僕にも手伝えること、ある?」

シンジ「そんな…いいよ、カヲルくんはお客さんなんだから」

カヲル「ううん。なんでも言ってよ」

シンジ「本当にいいの? …えっと…、それじゃあ、その鍋に入ってる野菜を―――……」

アスカ「…………」

4: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 02:36:31.22 ID:qK5DdFEl0
―夕飯

ミサト「んーっ、やっぱり美味しいわねぇシンジくんのご飯♪」

シンジ「こっちの野菜炒め、カヲルくんも手伝ってくれたんです」

ミサト「へぇ、そうなの?美味しいわこれ」

カヲル「いや、僕は炒めただけですから。…それにしてもシンジくんの味付けは良いね、すごく美味しいよ」

シンジ「そ、そうかなあ…。なんか照れるよ」

アスカ「…」モグモグ

ミサト「ん?なんだか今日は妙に大人しいわね、アスカ」

アスカ「…別に」モグモグ

シンジ「あ、アスカの好きな番組やってるよ。えっと、リモコンは…」

カヲル「これかな」

シンジ「ありがとう。はい、アスカ」

アスカ「いらない」

シンジ「へ?」

アスカ「観たくないからいいって言ってんの!…お風呂入ってくる!」ガタン



シンジ(…? どうしたんだろ、アスカ…)

5: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 02:42:55.11 ID:qK5DdFEl0

―夜中。シンジの部屋


シンジ(…そういえば、誰かと一緒に寝るのって久しぶりだなぁ。やっぱりちょっと緊張するっていうか…)

カヲル「…シンジくん、まだ起きてる?」

シンジ「あ。うん、起きてるよ」

カヲル「少し話そうよ」

シンジ「え?…うん、いいけど…何を?」

カヲル「なんでもいいよ。聞きたいんだ、君の話」

シンジ「僕の?でも僕、面白い話なんて…」

カヲル「君の話す事ならなんでもいいさ」

シンジ「そう言われても…」

カヲル「うーん…そうだな………。…例えば今、悩んでることとか、シンジくんにはある?」

シンジ「悩み…?」

カヲル「そう。悩み事って、誰かに話してみると案外良い結果に繋がることもあるんだよ。

カヲル「例えそうならなくても、ひとりで抱えているより気が楽になる事もある。

カヲル「…なんだか、シンジくんはそういうことを抱え込んでしまいそうに見えてさ」

シンジ「………」

6: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 02:46:43.45 ID:qK5DdFEl0

―同時刻。シンジの部屋前


ミサト「ふわぁああ…さっすがにちょっち飲みすぎたかしらね…。……ん?」

アスカ「…………………」

ミサト「アスカ? …シンジくんの部屋のドアに耳なんてくっつけて何やってんのよ」

アスカ「っ!! ミ、ミミミサト…っ」

ミサト「何か聞こえるの?」

アスカ「…べ、…別に何でもっ… トイレに起きただけよ!もう寝る!」


(バタバタバタッ …バタン!)


ミサト「?」

7: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 02:49:59.25 ID:qK5DdFEl0
―シンジの部屋


シンジ「…。悩み、って言ってもいいのかわからないんだけど…」

カヲル「うん?」

シンジ「ちょっと気になってる、っていうか…不安なことがあるんだ。…アスカのことで」

カヲル「…うん」

シンジ「アスカに、僕、毎日ご飯とかお弁当とか作るんだ。…でも、あんまり満足してもらえてないみたいで」

カヲル「どうしてそう思うんだい?」

シンジ「……なかなか、美味しいって言ってもらえない、から」

カヲル「そっか。シンジくんはそれが悲しいんだね」

シンジ「悲しい…、うん、…そうなのかもしれない」

シンジ「僕もアスカの好きなものや嫌いなもの、毎日ちゃんと考えながら作ってるつもりだから…」

シンジ「アスカに喜んでもらえないのは、やっぱりさみしいよ」

カヲル「………」

カヲル「そうだね。いつまでもこのままじゃシンジくんは幸せな気持ちにはなれない」

シンジ「ごめん、こんな下らないことでうじうじ悩んで愚痴っちゃって…」

カヲル「…いや、少しでもシンジくんの心が知れて、むしろ嬉しいくらいだよ。話してくれてありがとう」

カオル「君の悩みについて僕にもなにか協力出来ることがないか、考えてみるよ」

シンジ「カヲルくん…ありがとう。おやすみ」

15: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 13:13:08.93 ID:qK5DdFEl0

―翌朝。


アスカ「…」

シンジ「アスカ、おはよう」

アスカ「何よこれ?今日の朝ごはん、パンだけなわけ?」

シンジ「あ、…うん。ごめん」

アスカ「……へーえ。夜中アイツと話し込んでたせいで寝坊でもしたの?」

シンジ「そんなんじゃないよ。朝はちゃんと起きたんだけど、ちょっとお弁当の準備に時間掛かっちゃって。アスカのお弁当、テーブルに置いてあるから」

アスカ「…テーブル」チラッ

カヲル「やあ、おはよう」

アスカ「なんかお弁当一個多いみたいだけど?」

カヲル「シンジくんが僕の分まで作ってくれたんだ」

アスカ「あっそ、良かったわねぇ」ガタッ

シンジ「あれ?もう学校行くの、アスカ?」

アスカ「それが何。なんか文句あんの?」

シンジ「いや別に文句なんて…。そうだ、もし良かったら綾波にこのお弁当持っていっt「(アスカ)イ・ヤ!」


ガチャッ
―――バタン!


シンジ(…アスカ、なんか機嫌悪いなぁ…)

16: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 13:15:48.76 ID:qK5DdFEl0

―同日。夜


カヲル「…ん、美味しい」

ミサト「ほんと、おいしー♪いつもありがとね、シンちゃん♪」

シンジ「いえいえ、そんな」

アスカ「(もぐもぐもぐもぐ)ごちそーさまっ」ガタン

ミサト「あら、もういいの?アスカ」

アスカ「いーの!さーてお風呂入ってこよ!」


パタパタパタ
ガチャッ バタン!


シンジ「………はぁ」

17: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 13:22:08.86 ID:qK5DdFEl0

ミサト「どうしちゃったのかしらねー、アスカ様は」

シンジ「やっぱり様子が変ですよね、何かずっと怒ってるみたいで…」



アスカ \バカシンジー!そういえば私タオル持ってきてないからさっさと持ってきて脱衣所に置いといて!!/


シンジ「…えっ?」


アスカ \はーやーく!/


ミサト「まったく…アスカったら。いいのよシンちゃん、私が持っていくから」

シンジ「あ…いえ、大丈夫です。僕持っていきます」


コンコン


シンジ「脱衣所入るよ、アスカ」


ガラガラガラ
…パタン


ミサト「はぁ…、あれじゃまるで召し使いだわ」

カヲル「…………」

ミサト「…カヲルくん?」

カヲル「…いえ、何でもありません。食器は僕が片付けますね」

ミサト「あらほんと?ごめんねー、どうもありがと!」

18: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 13:25:27.75 ID:qK5DdFEl0

―脱衣所


シンジ「アスカ、タオル。ここに置いとくから」

(浴室) アスカ「………」

シンジ「それじゃ、」

アスカ「…待ちなさいよバカシンジ。聞きたいことがあるんだけど」

シンジ「? なに?」

アスカ「あのさ、……あんたって、そのぉ………」

シンジ「?」

アスカ「…………あー、…うー……えっとぉ…… …やっぱなんでもない」

シンジ「へ?」

アスカ「だからもういいって言ってんの!もうじき上がるからとっととそこから出てって工口シンジ!」

シンジ「わっ…わかったよ」


ガラガラガラ
―ピシャッ


アスカ「………………」

アスカ「…っあぁー… ……もう…」ポチャン

19: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 13:28:51.61 ID:qK5DdFEl0

―リビング


カヲル「~♪」

アスカ「…ちょっと」

カヲル「~♪~♪」

アスカ「…ねえ」

カヲル「♪~♪」

アスカ「………………」

カヲル「♪~」

アスカ「… 渚 カ ヲ ル !」ドスッ

カヲル「おっと。いきなり殴るなんて酷いなあ」

アスカ「この私が呼んでるっつーのにいつまでも歌ってんのが悪いのよ!!」

カヲル「それはごめんね、気がつかなかったよ」

アスカ「…あんたに聞きたいことがあるんだけど」

カヲル「シンジくんと葛城一佐なら自室だと思うよ?」

アスカ「そうじゃないわよ! …その、………バカシンジの…ことで」

カヲル「…。…なに、かな」

20: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 13:33:16.32 ID:qK5DdFEl0

アスカ「………単刀直入に聞くわ」

カヲル「どうぞ」

アスカ「あんたとバカシンジってどういう関係なわけ?」

カヲル「? …どういう、とは?」

アスカ「妙に仲は良いしあんたが何かクサイ台詞喋る度にバカシンジは顔赤らめてるし、…なーんか引っ掛かるってゆーか」

カヲル「気になるかい?」

アスカ「…あ、あんたバカァ?別にそんな、わ、私はバカシンジのことになんか構ってる余裕ないし」

アスカ「でもそうね、ただちょっと…そう、ヒカリたちとの話のネタにくらいはなるかと思って聞いたただけよ!」

カヲル「……」

アスカ「…………」

カヲル「―多分、君が思ってるカンケイ。その答えで当たってるよ」

アスカ「…っ?!」

21: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 13:39:31.66 ID:qK5DdFEl0

カヲル「シンジくんのこと、誰よりも考えて誰よりも理解しようとしているのは僕なんだ。シンジくんが君より僕を選ぶのも、まあ、当然さ」

アスカ「…………誰よりもあのバカの事を考えてるのがあんた? …笑わせないで」

カヲル「でも、本当のことだろう?君はいつもシンジくんを突き放しすぎなんだよ」

アスカ「…」

カヲル「いくら好意を持って接しようとしてもあんな態度を取られれば…いくらシンジくんでも愛想は尽きるさ」

アスカ「… … ……」ポロッ

カヲル「あっ」

アスカ「………っ…」くるっ スタスタスタ

カヲル「ちょっと待って」ガシッ

アスカ「…! ……っぐす、……見るな!!さわるな!!…このっ…変態ホモナルシスト!!!! ………ひっく、…」

カヲル「ごめんごめん、さっき言ったことは全部冗談だよ」

アスカ「…ぐすっ……、………はぁ…?」

カヲル「少しからかいすぎたかな」

アスカ「なに、……なんなのよ…」

カヲル「君の気持ちが知りたかったんだ。あまり君とふたりで会話する機会はないから、少々強引な手を使わせてもらったよ」

22: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 13:54:55.47 ID:qK5DdFEl0

アスカ「だから…なんなのよ…!なんであんたが私の気持ちなんか知る必要があるわけ!」

カヲル「シンジくんのためさ」

アスカ「…! バカシンジの…ため?」

カヲル「君とシンジくんは似てる。お互いとても不器用で繊細で、少しだけ臆病だ」

アスカ「この私とバカシンジが似てる? …ばっかじゃないの。だーれがあんなひ弱なウルトラバカと」

カヲル「そう。君はいつもそういう調子だからわからなかったんだ。シンジくんの望む幸せを叶えてあげられるか、少し自信がなかった」

アスカ「はぁ?」

カヲル「…でも杞憂だったよ。君たちが心の底で願っていることは、きっとほとんど同じことだったんだ」

アスカ「…………。あんたが何を言ってるのか、私には意味不明なんだけど」

カヲル「うん、それでいいんだ。…僕はただシンジくんが幸せになってくれればそれでいい。シンジくんの幸せは僕の幸せでもあるからね」

アスカ(……。…やっぱこいつキモチワルイんだけど…)

カヲル「さて。そこで君にひとつ、報告と提案がある。聞いてくれるかな」

アスカ「…聞くぐらいなら。湯冷めしちゃうから手短にしなさいよね」

23: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 14:09:07.14 ID:qK5DdFEl0

―同日夜中。シンジの部屋


シンジ(カヲルくん、先に寝ててって言ってたけど、どうしたんだろ…。電気切っちゃって良かったのかな)


――ガラッ


シンジ「…あ。カヲルく…」


(ドカッ バシッ)


シンジ「痛っ!?」

アスカ「…振り向いたら許さないわよ」

シンジ「その声…アスカ?!なんで…」

アスカ「あんたのだーいすきな渚カヲルに頼まれて、今夜だけ寝る部屋を交換してやったのよ」

シンジ「えっ」

アスカ「あんたの寝言がうるさくて寝れないって」

シンジ「ええっ?!」

アスカ「…いちいちウルサイ。冗談よ」(ごろん

シンジ「!……ほんとにここで寝るんだ」

アスカ「…何よ、文句あんの?」

シンジ「えっ、いや、そんなこと。アスカがいいなら僕も、いいよ」

アスカ「………こっち向いたら承知しないから」

シンジ「わ、わかってるよ」

24: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 14:14:49.31 ID:qK5DdFEl0
アスカ「………」

シンジ「………」

アスカ「………」

シンジ「………」

アスカ「…バカシンジ、まだ起きてる?」

シンジ「え! …う、うん。起きてるよ」

アスカ「あんた、私に不満なとこ、あるんでしょ」

シンジ「へっ?」

アスカ「あるでしょ。男ならハッキリ言いなさいよ。陰でうじうじ思われてるだけってイライラするのよ」

シンジ「べ…別に、僕は、そんな…」

アスカ「嘘つき」

シンジ「う、嘘じゃないy「(アスカ)…私がお弁当や料理の評価しないこと、不満に思ってるくせに」

シンジ「!?」

25: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 14:18:08.16 ID:qK5DdFEl0
アスカ「…ほんっと、私に隠し事なんていい度胸してるわよね。バカシンジのくせに」

シンジ「いや、その、それは…っ!ち、ちがうよ、そういうわけじゃ、」

アスカ「今更言い訳したって遅い」

シンジ「……う…。…ごめん」

アスカ「………ふん」

シンジ「………」

アスカ「………」

シンジ「………」

アスカ「…これは独り言だけど、」

シンジ「え」

アスカ「独り言だから何度も言わないし、誰かに聞かせるわけじゃないけど、」

シンジ「…?」

アスカ「…シンジのつくる料理って好き」

シンジ「!」

アスカ「…おいしいし、それに、…」

シンジ「……」

アスカ「うまく言えないけど、なんか優しい感じがする。…バカシンジらしい料理だなって、いつも思う」

シンジ「…アスカ…」

アスカ「………」

シンジ「………」

アスカ「………」

26: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 14:20:30.92 ID:qK5DdFEl0
シンジ「…アスカ」

アスカ「………」

シンジ「…寝ちゃった?」

アスカ「………」

シンジ「…。…アスカ、ありがとう。ほんとに嬉しいよ」

アスカ「………」

シンジ「…おやすみ」

アスカ「………」

アスカ(…ばか。こっちの台詞よ。このお人好し)

27: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 14:35:13.09 ID:qK5DdFEl0

―翌朝


カヲル「二人とも、おはよう」

シンジ「おはよう」

アスカ「…おはよう」

シンジ「はいこれ、カヲルくんのお弁当」

カヲル「ありがとう」

シンジ「こっちはアスカの分ね。僕今日日直だから、学校早めに行くよ」

カヲル「うん、それじゃあまた後で」

シンジ「うん。行ってきます」

28: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 14:40:44.53 ID:qK5DdFEl0
カヲル「…さて、じゃあそろそろ僕たちも学校に行こうか」

アスカ「言っとくけどあんたと一緒になんて行かないわよ」

カヲル「はは。わかってるよ」

アスカ「…ねぇ、ちょっと」

カヲル「ん?」

アスカ「………昨日は、……その、」

カヲル「大丈夫だよ。君の部屋は一切荒らしていないから」

アスカ「あっそ。…って。じゃなくて!私が言いたいのは…っ」

カヲル「うん、言いたいことはわかってる。例え言葉にならなくても、君の気持ちは伝わるよ」

アスカ「…。…そ、そう」

カヲル「その言葉は、僕よりもっと頻繁にシンジくんに言ってあげて欲しいな。感謝の心はいくらでも言葉にするべきだ」

アスカ「い…いちいちうるさいわね。そんなの私の勝手でしょ」

カヲル「でも、君からの言葉ならきっとシンジくんも喜ぶはずさ」

カヲル「…特に彼は、誰かに気持ちをきちんと言葉で伝えてもらわないと不安になってしまうから」

アスカ「…、そう、…鈍感なのよね。あいつ」

カヲル「繊細なんだよ。君もね」

アスカ「…るさい。さっさとそこ退きなさいよ、先に行くから」

カヲル「ふふ」

アスカ「っ…! …ひ、人の顔みて笑うなっ!」バシッ

29: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 14:48:40.64 ID:qK5DdFEl0

―同日夕方。台所


シンジ「ちょっと味付け間違えたかな…」

カヲル「いや、平気だよ。おいしいよ」

アスカ「バカシンジ」ひょこっ

シンジ「あれ?エプロンなんてしちゃって、どうしたの?」

アスカ「決まってるでしょ、このアスカ様があんたを手伝ってやるのよ」

シンジ「!」

アスカ「何?その間抜け面」

シンジ「だって、でも、…アスカ……いいの?」

アスカ「ふん。…まぁ、暇だしね。で、私は何すりゃいいわけ」

シンジ「えっと…それじゃあこれを―――」

30: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 14:51:28.99 ID:qK5DdFEl0

―夕食


ミサト「ん…? ………、ねぇちょっとシンちゃん、このハンバーグ…」

アスカ「な、何よミサト。…まさか、美味しくない?」

ミサト「違うのよ、めちゃめちゃ美味しいの!!ビール何杯でもいけそうだわ!」

シンジ「ミサトさん、それ、アスカが手伝ってくれたんです」

ミサト「アスカが?!へー、アスカったらなかなかやるわねぇ」

アスカ「……! と…当然でしょ?天才アスカ様に出来ないことなんてないのよ」

カヲル「焼き加減もいい感じだね」

シンジ「うん、ほんとに。ほんとに美味しい」

アスカ「…ふふん♪ この私の手料理、しーっかり味わって残さず食べなさいよね、あんたたち!」

31: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 14:57:23.89 ID:qK5DdFEl0

―同日夜中。シンジの部屋


シンジ「カヲルくん、うちにいるのは確か今日までなんだよね」

カヲル「うん。明日は土曜日だから、お昼前に帰る予定だよ」

シンジ「…なんだか寂しいな…」

カヲル「僕もさ。…だけど、心配しないで。また学校で会えるよ」

シンジ「…そうだよね」

カヲル「僕はいつでも君のことだけ考えてる。だから例え何度離れ離れになったって―――」


ガラッ


アスカ「まーたホOやってる。いい加減にしなさいよあんたたち」

シンジ「あれ。アスカ?どうしたの?」

アスカ「…なーんか寒いから、一緒に寝てあげようかと思って。はい、詰めて詰めて」

シンジ「ミサトさんのとこじゃなくていいの?」

アスカ「いーの!ミサト、寝相酷いんだもん。不本意だけどまだあんたたちの方がマシ」ごろん

32: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:00:00.19 ID:qK5DdFEl0

カヲル「…ちょっと待って」

アスカ「ちょっ…こっち向かないでよ」

カヲル「そこに寝るの?」

アスカ「…そうだけど?悪い?」

カヲル「シンジくん、僕と代わろう」

シンジ「へ?」

アスカ「バカシンジが真ん中ぁ?」

カヲル「だって、寒いなら君もシンジくんの隣の方がいいだろ?」

アスカ・シンジ「………。ええ!?」

カヲル「多分僕よりシンジくんの方が体温が高いし」

アスカ「あっ…あ ん た バ カ ァ !?寒いっていうのは…なんていうかその…絵面!絵面的な問題よ!」

アスカ「っていうかこのご時世眠れないほど寒い夜なんてあるわけないでしょ!」

シンジ「そ…そうだよカヲルくん、アスカが好き好んで僕の隣なんて…」

カヲル「…本当にいいのかい?」

アスカ「………っ! し、仕方ないわね。そこまで言うなら 特 別 に 場所変わる許可出してやるわよ。感謝しなさいよバカシンジ」

シンジ「ええっ?!いや、別に僕は、そんな…」

カヲル「さぁ、代わろうシンジくん」

シンジ「………、う、うん」

33: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:07:46.20 ID:qK5DdFEl0
アスカ「………」

シンジ「………」

カヲル「………」

アスカ「…狭い」

シンジ「仕方ないよ、それにアスカがちょっとくっつきすぎなんじゃないの?」

アスカ「な…何ですってぇ!?冗談も大概にしなさいよっ」バシバシ

シンジ「いたっ 痛いよアスカ!」

カヲル「はは」

アスカ「~~~笑うなっ!」ゲシッ

シンジ「あいたっ!な、なんで僕を蹴るのさ…っ」

アスカ「うるさい。連帯責任よ」

シンジ(なんだよ、それ…)

34: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:08:41.10 ID:qK5DdFEl0
アスカ「………」

シンジ「………」

カヲル「………」

アスカ「…。今日の晩ごはん」

シンジ「?」

アスカ「…美味しかったわね」

カヲル「そうだね」

シンジ「…うん。アスカのおかげだよ」

アスカ「……知らなかった」

シンジ「?」

アスカ「誰かに自分の作ったもの、美味しいって言ってもらえるのって…思ったよりずっと嬉しい」

シンジ「!! …アスカ…」

アスカ「…。もう寝る」

シンジ「うん…おやすみ」

カヲル「おやすみ」

アスカ「…おや、すみ」

35: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:14:19.38 ID:qK5DdFEl0
アスカ「……」

アスカ「………」

アスカ「… ねぇ、バカシンジ。あんたこそちょっとこっちに寄りすぎよ。暑いんだけど」

シンジ「……すー すー」

アスカ「…バカシンジ?」

カヲル「寝ちゃったみたいだね」

アスカ「…ふん。この私が添い寝してるっていうのにソッコーで寝るなんて、やっぱりバカシンジはバカシンジね…」

36: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:23:11.58 ID:qK5DdFEl0
シンジ「…すーすー…」

アスカ((チラッ) … …さっすがバカシンジ。…間抜けな寝顔…)

カヲル「…式波・アスカ・ラングレー」

アスカ「!! ―――な、なに?」

カヲル「君にひとつ頼みがあるんだ」

アスカ「…はぁ?いきなり何言い出すわけ」

カヲル「君と二人で会話する機会は滅多に無いからね」

アスカ「あんた昨日も同じようなこと言ってなかった?」

カヲル「聞いてくれるかな」

アスカ「…。はぁ…今度は何よ。聞くぐらいなら聞いてやるわ」

カヲル「……」

アスカ「ちょっと、話があるならさっさと言わないと―――」

カヲル「ずっとシンジくんを見ていてあげて欲しい」

アスカ「……」

カヲル「…この先何が起こっても、一番近くでシンジくんを支えていてあげてほしい」

アスカ「…? …!? ……はああああ!?あんたなんなのいきなりくぁwwせdrftgyふじこlp;」

カヲル「あんまり大声で騒ぐとシンジくんが起きるよ」

アスカ「……っ」

カヲル「君にしか頼めないんだよ」

37: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:27:22.57 ID:qK5DdFEl0
アスカ「…、わっけわかんない。あんた、バカシンジの友達なんでしょ。私に押し付けないであんたが勝手に見守ってればいいじゃない」

カヲル「…僕もそうしたいのは山々なんだけどね」

アスカ「何? …あんたバカシンジの前から居なくなる予定でもあるわけ?」

カヲル「…いや…、…そういうわけじゃないよ」

アスカ「ああ〜もう…ほんっと、わけわかんない男ね。あんたみたいな奴と話すのって疲れる」

カヲル「確かに、君と僕では波長が合わないような気はするね」

アスカ「…大体ね、私は前から気に入らなかったのよ。エコヒイキもバカシンジもあんたも、エヴァパイロットとしての自覚ってもんが足りなさすぎ」

アスカ「“エヴァに乗るのが怖い”だの“私が死んでも代わりはいる”だの、挙げ句の果てには“仲間といつ離れるかわからないから後は頼んだ!”…だの」

カヲル「…ひょっとして最後のは僕の真似かい?」

アスカ「当ったり前でしょ。ついさっきあんたが言ったこと、私にはそうとしか聞こえなかった」

38: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:33:36.20 ID:qK5DdFEl0
アスカ「…あのね、良く覚えときなさい。誰か一人でも欠けたら他のパイロットが迷惑被るのよ。だから私は絶対負けないし死なない」

アスカ「それはあんたたちがいくらバカでグズで役立たずでも同じ。だから私は、エコヒイキもコネメガネもあんたも… 当然バカシンジも、絶対に守りきってみせるわ」

アスカ「死なせない。…勝手に居なくなるなんて許さない」

カヲル「……」

アスカ「…ふん」

カヲル「…驚いたよ。君は僕が思っていたよりずっと―――」

アスカ「勘違いしないで。あんたたちの為なんかじゃない」

アスカ「あんたたちに迷惑かけられるなんてまっぴらだから、死なないように援護するってだけ。…それだけよ」

アスカ「あーあ、無駄な夜更かししちゃった。もう寝る」

カヲル「おやすみ」

アスカ「…はいはい。オヤスミ」

39: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:36:51.76 ID:qK5DdFEl0
カヲル(…………)

カヲル(式波・アスカ・ラングレー… …彼女も不可思議だな)

カヲル(自分本意な考え方ばかりしているように見せかけて、実は常に回りの事にも目を向けている)

カヲル(…そのくせ、それをわざと周囲に…特に、シンジくんには絶対に悟らせないような振る舞い方をしている)

カヲル(リリンというものは本当に興味深い。関われば関わるほど新しい発見があるのに、同じようにわからないことも増えていく)

カヲル(…… 例えば)

カヲル(…例えば僕がリリンだったら、多少は彼らの考えていることも―――…)

カヲル(…………。いや。有りもしないことを考えても無駄だ)

カヲル(…僕はシンジくんの幸せだけ考えていればいい)

40: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:40:39.38 ID:qK5DdFEl0

―翌朝


シンジ「……ん…」

カヲル「やあ。おはよう、シンジくん」

シンジ「…あ、カヲルくん…、もう起きてたんだ。おはよう」

アスカ「ううー…あと1時間…」

シンジ「だめだよアスカ、ちゃんと起きなきゃ」

アスカ「………うう… …っ!? ちょ…なんであんた、わ、私の隣に寝てるわけえ!?変態っ不潔っド工口!」バシッバシッ

シンジ「うわっ、ちょ、ちょっと!寝ぼけすぎだよアスカ!」

カヲル「シンジくんは土曜日でも早起きなんだね」

シンジ「うん、朝ごはんの用意しなくちゃいけないから」

アスカ「…今日の朝ごはん何?」

シンジ「まだ考えてないんだ」

アスカ「えー!?」

シンジ「ちょっと待ってて、すぐ作るよ」


ガラッ
―――パタン

41: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:43:12.97 ID:qK5DdFEl0
アスカ「…」

カヲル「…」

アスカ「ねぇ」

カヲル「うん?」

アスカ「あんた、今日帰るんだっけ」

カヲル「そうだよ」

アスカ「ふん。やーっといつも通りの生活が出来るってわけね、せいせいするわ!」

カヲル「うん。お世話になったね」

アスカ「ほんとよ! …ま、あんたの世話してたのほとんどバカシンジだけどね」

42: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:44:45.23 ID:qK5DdFEl0
アスカ「…バカシンジのことだから、あんたが帰ったあとしばらくはうじうじしてそうだわ」

カヲル「? どうしてだい?」

アスカ「…寂しいからに決まってんでしょ」

カヲル「寂しい?」

アスカ「そりゃ、あんたがだーい好きなバカシンジなら絶対―――…」

カヲル「もし本当にそうなら嬉しいけど…多分、それはないよ」

アスカ「はぁ?」

カヲル「だって、シンジくんには君がいるから」

アスカ「っ…――― はああああ!?」

43: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:47:14.05 ID:qK5DdFEl0
アスカ「な、何言ってんのよあんた、私はあんたとバカシンジの話をしてただけで、私は、そんな、っ」

カヲル「君と話してるときのシンジくんはとても楽しそうだよ」

アスカ「は、え、な、なな、何…っ」


ガラッ


シンジ「ふたりとも、朝ごはん出来… …あれ?アスカ、顔赤いけど熱でもあるの?」

アスカ「〜〜〜っ!こっち見ないでよ変態ド工口ウジウジバカシンジ!」ボスッ!

シンジ「うわっ、な、なんで枕なんか投げるのさ!?」

アスカ「す…すぐ行くから黙って待ってなさいよ!」

シンジ「? わ…わかったよ…」


…パタン


アスカ「………っ」

カヲル「君はとてもわかりやすいんだね」

アスカ「黙れ変態ホO!」

カヲル「根拠のない言い掛かりだなぁ」

アスカ「…とっととご飯食べに行くわよ!!あんたと話してると無駄に疲れるのよ!」

カヲル「そうだね、行こうか。シンジくんを待たせるのは悪いからね」

44: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:49:31.72 ID:qK5DdFEl0
アスカ「………」ピタッ

カヲル「どうしたんだい?」

アスカ「…あんたが帰る前に、あんたにちゃんと聞いておきたいことがもう一つあるんだけど」

カヲル「ん?」

アスカ「…。これも単刀直入に聞くわ」

アスカ「あんたってシンジのことそういうアレな意味で、」

カヲル「好きだよ?」

アスカ「」

カヲル「ん?」

アスカ「…ん? …じゃないっての!!やっぱりホOなんじゃないのあんた!」

カヲル「はは、女の子が胸ぐらなんか掴むものじゃないよ」

カヲル「まあ、僕がどういう気持ちであれ、シンジくんの幸せはシンジくん自身が決めるものさ」

アスカ「……」

カヲル「ずいぶん怖い顔をしてるね?」

アスカ「…朝ごはん食べたらさっさと出ていきなさいよ。危険人物」

45: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:51:25.11 ID:qK5DdFEl0
―朝食後


カヲル「ふたりとも、3日間どうもありがとう。とても楽しかったよ」

シンジ「うん、僕の方こそ。楽しかったよ」

アスカ「…」

カヲル「葛城一佐によろしくね」

シンジ「うん」

アスカ「…あーもう、いいからとっとと帰りなさいよ」

シンジ「アスカ、そんな言い方…」

カヲル「いいんだ、シンジくん。…それじゃあまた学校で」

シンジ「うん、またね」

アスカ「…ふん」

カヲル「あ。そうそう」

アスカ「…何よ。まだ何かあるわけ?」

カヲル「ライバルは多いだろうけれど、…僕個人としては、君を応援しているよ」

アスカ「…!」

46: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:52:36.99 ID:qK5DdFEl0
シンジ「行っちゃった…か。やっぱり、寂しくなるなぁ」

アスカ「…ふん、バッカみたい。わざわざ応援されなくたって、このアスカ様にできないことなんかないのよ」

シンジ「さっきからやけに嬉しそうだけど、何かいいことあったの?」

アスカ「…べっつにい? ふふん♪」

47: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 15:54:17.07 ID:qK5DdFEl0
シンジ「アスカ、朝カヲルくんと応援がどうとかって話してたよね。誰かと何か勝負してるの?」

アスカ「バカシンジには関係なーい」

シンジ(はぁ…相変わらずアスカは冷たいや…)


同日昼


アスカ「今日のお昼…」

シンジ「あ、そうだね。何にしようか」

アスカ「…、…私が作ろっか」

シンジ「え」

アスカ「なによその顔」

シンジ「…いいの?」

アスカ「………ま、まぁ…ね。後片付けは手伝ってよね」

シンジ「…うん。ありがと、アスカ」

アスカ「…♪」

シンジ(なんか、アスカ今日は機嫌いいみたいだ)

49: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 16:05:59.78 ID:qK5DdFEl0
♪ぴんぽーん


シンジ「あれ、お客さんかな」

アスカ「バカシンジ。ミサトは留守だし私は料理中」

シンジ「うん。わかってる、僕が出るよ」


パタパタパタ…


シンジ「…はーい… ………… ?!」

50: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 16:11:17.10 ID:qK5DdFEl0
―同日。ミサトの車内


カヲル「一体僕をどこへ連れていくおつもりですか、葛城一佐?」

ミサト「だからね、えーっと…また数日うちに泊まりにきて欲しいのよ」

カヲル「…何故?僕は構いませんが、ご迷惑になるでしょう」

ミサト「いーいーの!…てゆーかむしろ、お願いします」

カヲル「何か理由がありそうですね」

ミサト「うーん、…ま、大した理由じゃないんだけどね?」

カヲル「?」

ミサト「さすがに周りがあんなに女の子だらけじゃシンジくんも息が詰まっちゃうだろーし、話し相手くらい居なきゃね」

ミサト「…それに、なーんかあの面子じゃそのうちシンジくんがグレちゃいそうってゆーか…」

カヲル「…? あの…それはどういう」


キキーッ!


ミサト「はい、着いた♪」ガチャ、バンッ

カヲル「………?」

ミサト「とにかく、降りて!」ガチャッ

カヲル「葛城一佐、」

ミサト「説明は後! …とゆーより、説明するより今の状況を一目見てもらった方が早いわ」

51: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 16:13:37.79 ID:qK5DdFEl0

―ミサトの自宅前


(ギャーギャー)
(がしゃーん)
(ワーワーワー)


ミサト「…」

カヲル「…」

ミサト「…開けるわよ」




アスカ「…いーかげんにしなさいよコネメガネェ!!私の部屋を汚すなっ!荒らすなっ!散らかすなぁっ!」

マリ「やだにゃー、姫ってばちょっとカリカリしすぎだって」

アスカ「こっの………」

シンジ「あ、あの、二人ともそろそろやめてよ!このままじゃ壁に穴が…っ」

アスカ「うるっさい!戦えもしない軟弱根暗は黙ってて!」

シンジ「で、でも、」

バキッ

シンジ「うわあっ!?」

マリ「ありゃ、めんご!威嚇キックわんこ君に当たっちった」

52: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 16:16:43.08 ID:qK5DdFEl0
シンジ「いたた………、… 、……わっ!あ、綾波!」

レイ「……」

シンジ「ごめん、ぶつかっちゃって…!大丈夫?!」

レイ「平気」

アスカ「なぁにが『諸事情で数日泊めて欲しいんだにゃん♪』よ!ぜええええったいお断り!」

マリ「もうふたりの保護者さんには許可とってるもーん」

アスカ「大体なんでエコヒイキまで!」

マリ「んふふー。お泊まり会って大人数のが楽しいじゃん?」

シンジ「無理矢理連れてこられたんだね、綾波…」

レイ「…碇司令からの命令だって言われたから」

マリ「それより姫ぇー。姫の部屋に私の荷物入りきらないよー?」


ガチャンッ
…ガラガラガラ


レイ「…」

シンジ「数日の滞在にしてはちょっと荷物が多すぎなんじゃ…」

アスカ「ちょっとなんてもんじゃないわ!こんな状態じゃ部屋に入れない!どこで寝るのよ!」

マリ「えー?これでも減らした方なのにぃ」

53: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 16:20:08.41 ID:qK5DdFEl0
アスカ「あんたバカァ?!ほんっとどういう感覚してんのよ、頭のネジ飛んでるんじゃないの?!」

マリ「わんこくーん、姫がひどいよ~」ガバッ

シンジ「え!ちょ、…わ!あ、あんまりくっつかないでよ!」

マリ「わんこくんはかーわいいにゃー♪」

アスカ「…っ………なんっなのよ…あんたはさっきから!」

アスカ「居候ならちょっとはお・と・な・し・く・し・ろ!!!!」ブンッ

マリ「やーん、姫ってばいけずぅー」サッ


バキッ


アスカ「あ」

レイ「…碇くん」

シンジ「ぐはっ」

カヲル「…だ、大丈夫かい?シンジくん」

シンジ「うう…なんで僕がこんな目に… …あ、あれっ?カヲルくん?」

54: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 16:22:41.24 ID:qK5DdFEl0
アスカ「あああああもう邪魔者ばっかり…!」

マリ「わあ、これおいし!ほら食べてみ!」

レイ「え…」

マリ「ほらほら口開けて!!」

レイ「(もぐ) ! …おいしい」

アスカ「あっ、ちょ、まだ作ってる途中なのにあんたたち何勝手に…っ!」

ミサト「うんうん、賑やかなのはいいことよねー。でも部屋は壊さないようにねー」

アスカ「ミ・サ・ト!大体ミサトもミサトよ!なんで私やシンジに相談もなく勝手に泊まる許可を…っ」

マリ「まーまー難しい話は後にしてお昼を食べましょ食べましょ」

アスカ「居候の分際であんたが仕切ってんじゃないわよ!」

シンジ(僕らも一応居候みたいなものだと思うんだけどな…)

55: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 16:26:24.01 ID:qK5DdFEl0
マリ「おかず、早いもの勝ちね!これはもーらいっ」

カヲル「はい、シンジくんの分」

シンジ「ありがとう。…あ。綾波の分も取り分けるね」

レイ「…ありがとう」

アスカ「むううう………あんたたち!ちょっとは遠慮ってもんを」

シンジ「これ、アスカが作ったんだよ」

カヲル「へぇ。美味しいね」

アスカ「へ?」

マリ「だよね!姫ってけっこー家庭的?」

アスカ「は…はぁ?」

レイ「…本当。美味しいわ」

アスカ「…!!」

シンジ「良かったね、大好評だよアスカ!」

アスカ「…あ、あんたたちバカァ?おだてようったってそうはいかないんだから」

シンジ「ほら、ブツブツ言ってないで早くアスカもこっちにおいでよ」

マリ「そーそ、無くなっちゃうよ!はい姫、あーん♪」

アスカ「…はぁ…。…ったく、しょうがないわね、付き合ってやるわよ、仲良しごっこ」



アスカ(…ま、…たまーになら、悪くないかもね。こういう賑やかなのも)


終劇

56: ◆pywaH362ebkU 2013/03/10(日) 16:28:23.84 ID:qK5DdFEl0
本当はラストの方みたいに本編も5人全員でワイワイやりたかったけどそうすると終わりが見えない気がしたので逃げた。
なんとなくアスカとカヲルを恋愛的な意味でなく絡ませてみたかったのと、中学生らしいとりとめも無い日常みたいなものが書きたかったはずだったが俺には少々荷が重かったようだ。

思ってたより随分長くなってしまいましたが
読んでくれてた人いらっしゃいましたら、ありがとうございました。

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 16:29:05.46 ID:3ZkT4F4r0
乙でした

やっぱパイロットが仲いいとポカポカしていいね

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 16:36:39.44 ID:un9YbkCpo
楽しかったよ

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 17:56:27.42 ID:tHqeOv1tO
ほのぼのしてていいねぇ

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 22:52:40.26 ID:QaD8uZ6Xo
カヲル君マジイケメン

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/11(月) 22:07:08.16 ID:V8FoUAypo

引用元: シンジ「アスカ、明日からカヲルくんも一緒に暮らすことになったんだ」