1:2016/06/21(火)23:12:46 7AV
男「家が没落して家財も処分、身軽な一人暮らしのはずが…」
男「こいつが居なけりゃ完璧だったんだがなあ」
メイド「私が居なければすぐにこの綺麗な新居をゴミ屋敷にしてしまいます」
男「そうなっても咎める人間がいないから理想郷に成るはずだったんだぞ」
メイド「無精に亘るべからず、が旦那様の口癖でしたのよ…」
男「あーあ」
2:2016/06/21(火)23:13:13 7AV
メイド「坊っちゃま、家具の運び入れがしたいのです、もう男の使用人はいないんですから手伝ってくださいまし」
男「はいはい。よいしょと」
メイド「…」
男「…」
メイド「ふふ、こうして二人で重いものを運ぶなんて私たちが子供だった頃以来ですね、あの頃は坊っちゃまの方から積極的に手伝ってくださって…」
男「その呼び方やめろ」
男「はいはい。よいしょと」
メイド「…」
男「…」
メイド「ふふ、こうして二人で重いものを運ぶなんて私たちが子供だった頃以来ですね、あの頃は坊っちゃまの方から積極的に手伝ってくださって…」
男「その呼び方やめろ」
3:2016/06/21(火)23:13:27 7AV
メイド「ふんふんふーん?ふんふふーん?」
男「自分の部屋の掃除くらい俺がやるよ」
メイド「あら、私はメイドですもの。これが仕事です」
男「これじゃ屋敷にいる頃と変わらないな」
メイド「ご不満ですか?坊っちゃま」
男「大いに」
男「自分の部屋の掃除くらい俺がやるよ」
メイド「あら、私はメイドですもの。これが仕事です」
男「これじゃ屋敷にいる頃と変わらないな」
メイド「ご不満ですか?坊っちゃま」
男「大いに」
4:2016/06/21(火)23:13:46 7AV
メイド「できあがりです、坊っちゃま」
男「美味いよ」
メイド「ありがとうございます」
男「…………なあ、座って一緒に食べないか?落ち着かないんだよな。前から思ってたけど」
メイド「メイドは後ろで控えているものですわ」
男「そうしてくれって言ってるの」
メイド「嫌ですわ、それではまるで私が奥さんみたいじゃありませんか」
男「…………」
メイド「どうかされました?坊っちゃま」
男「……いや、その呼び方やめろ……」
男「美味いよ」
メイド「ありがとうございます」
男「…………なあ、座って一緒に食べないか?落ち着かないんだよな。前から思ってたけど」
メイド「メイドは後ろで控えているものですわ」
男「そうしてくれって言ってるの」
メイド「嫌ですわ、それではまるで私が奥さんみたいじゃありませんか」
男「…………」
メイド「どうかされました?坊っちゃま」
男「……いや、その呼び方やめろ……」
5:2016/06/21(火)23:14:00 7AV
メイド「ふふーん?ふふふーん?」ジャブ、ジャブ
男「おい、パンツくらい俺が洗うって」
メイド「坊ちゃま、メイドの仕事を取り上げるものではございませんよ」
男「一人暮らしするつもりだったんだからそれくらいやるっての」
メイド「もしかして…恥ずかしいのですか!」
男「うっ……」
メイド「ふふ、安心してください。屋敷にいたころからやっていましたから」
男「そ、それはそうかもしれないが……」
メイド「カピカピになったパンツもきれいにして差し上げたりしましたのよ」
男「やめてくれ……」
男「おい、パンツくらい俺が洗うって」
メイド「坊ちゃま、メイドの仕事を取り上げるものではございませんよ」
男「一人暮らしするつもりだったんだからそれくらいやるっての」
メイド「もしかして…恥ずかしいのですか!」
男「うっ……」
メイド「ふふ、安心してください。屋敷にいたころからやっていましたから」
男「そ、それはそうかもしれないが……」
メイド「カピカピになったパンツもきれいにして差し上げたりしましたのよ」
男「やめてくれ……」
6:2016/06/21(火)23:14:18 7AV
男「買い物行ってたのか」
メイド「はい」
男「あれ、なんだ、俺が好きなものばっか……よく覚えてるな、こんなに」
メイド「覚えてるのは好きな食べ物だけじゃありませんよ、今日が何の日かって」
男「え?何の日?」
メイド「いやですわ、からかって。坊ちゃまのお誕生日じゃありませんか」
男「あ……そうだっけ?」
メイド「あら……本当に忘れておりましたの?」
男「お、おう」
メイド「ふむぅ……」
メイド「はい」
男「あれ、なんだ、俺が好きなものばっか……よく覚えてるな、こんなに」
メイド「覚えてるのは好きな食べ物だけじゃありませんよ、今日が何の日かって」
男「え?何の日?」
メイド「いやですわ、からかって。坊ちゃまのお誕生日じゃありませんか」
男「あ……そうだっけ?」
メイド「あら……本当に忘れておりましたの?」
男「お、おう」
メイド「ふむぅ……」
7:2016/06/21(火)23:14:34 7AV
男「そういえばあいつの誕生日っていつなんだ?直接聞くわけにもいかないし……」
男「そうだ、プレゼント渡しちまってから訊こう」
メイド「ふんふんふーん♪坊ちゃまのスーツは戦闘服~♪」
男「な、なあ、ちょっといいか?」
メイド「なんでしょう、坊ちゃま」
男「その呼び方は……いや、いいんだ、その、これ…」
メイド「まあ!なんでしょう、まさかプレゼントですか?こんな高価そうな…」
男「その、お前の誕生日、知らなかったからさ、それで、その…」
メイド「ふう、そうですか。坊ちゃま、お気持ちはうれしいのですが…受け取れません、これは高価過ぎて」
男「なぜだい?俺のプレゼントが受け取れないってのか?」
メイド「これは、一介のメイドに与えるプレゼントではありませんわ、坊ちゃま」
男「……そうかい。わかったよ」
男「そうだ、プレゼント渡しちまってから訊こう」
メイド「ふんふんふーん♪坊ちゃまのスーツは戦闘服~♪」
男「な、なあ、ちょっといいか?」
メイド「なんでしょう、坊ちゃま」
男「その呼び方は……いや、いいんだ、その、これ…」
メイド「まあ!なんでしょう、まさかプレゼントですか?こんな高価そうな…」
男「その、お前の誕生日、知らなかったからさ、それで、その…」
メイド「ふう、そうですか。坊ちゃま、お気持ちはうれしいのですが…受け取れません、これは高価過ぎて」
男「なぜだい?俺のプレゼントが受け取れないってのか?」
メイド「これは、一介のメイドに与えるプレゼントではありませんわ、坊ちゃま」
男「……そうかい。わかったよ」
8:2016/06/21(火)23:14:52 7AV
メイド「……」
男「なあ」
メイド「はぁい」
男「好きだって言ったらどうする?」
メイド「坊っちゃまがそう思ってるのは重々…」
末男「黙れ!その呼び方やめろ」
メイド「…いけませんわ、坊ちゃま。私たちは主人とメイド…」
末男「…………今すぐ押し倒したっていいんだぞ?」
メイド「…………そろそろ食事の準備がありますので、これで。失礼します」
男「…はあ…やっちまった」
男「なあ」
メイド「はぁい」
男「好きだって言ったらどうする?」
メイド「坊っちゃまがそう思ってるのは重々…」
末男「黙れ!その呼び方やめろ」
メイド「…いけませんわ、坊ちゃま。私たちは主人とメイド…」
末男「…………今すぐ押し倒したっていいんだぞ?」
メイド「…………そろそろ食事の準備がありますので、これで。失礼します」
男「…はあ…やっちまった」
9:2016/06/21(火)23:15:07 7AV
メイド「坊っちゃま、食事の時間ですが…」
男「今忙しい」
メイド「…………少しお話をさせていただいてもいいですか?」
男「…………」
メイド「私たちの関係、不満ですか?」
男「わかってるだろ?不満だよ。歩み寄れないか?俺たち」
メイド「そうですか……男女の関係をお望みですか?良いですよ?今宵は臥所を共に…こんなこと、女に言わせないでくださ……」
男「そうじゃない、そうじゃないんだ。さっきは心にもないことを言った。すまない」
メイド「いえ……坊ちゃま。私をあなたのメイドでいさせてください。恋愛対象でなく。私はそれで十分なのです」
男「…ああ」
男「今忙しい」
メイド「…………少しお話をさせていただいてもいいですか?」
男「…………」
メイド「私たちの関係、不満ですか?」
男「わかってるだろ?不満だよ。歩み寄れないか?俺たち」
メイド「そうですか……男女の関係をお望みですか?良いですよ?今宵は臥所を共に…こんなこと、女に言わせないでくださ……」
男「そうじゃない、そうじゃないんだ。さっきは心にもないことを言った。すまない」
メイド「いえ……坊ちゃま。私をあなたのメイドでいさせてください。恋愛対象でなく。私はそれで十分なのです」
男「…ああ」
10:2016/06/21(火)23:15:30 7AV
メイド「ふんふんふーん♪やっぱり踏み台に登らないとダメですねえ、高いところに埃が」
男「よいしょっと。これ、ここに置いておくな」
メイド「はあい、ありがとうございます、坊ちゃま」
男(あれ以来そういう話は話題に上らない。平穏な日々だ)
男(これでいいんだ、これが彼女の望むことなら…)
メイド「あっ」グラッ
男「あぶねえ!」
ドターン!
メイド「…っ!」
男「いつつ、怪我はないか?」
メイド「え、ええ。それより、どいてくださいませんか?立てません」
男「……」
メイド「……」
ちゅ…
メイド「!」
男「あ、すまん、そんなつもりじゃ…」
メイド「いえ」
男「よいしょっと。これ、ここに置いておくな」
メイド「はあい、ありがとうございます、坊ちゃま」
男(あれ以来そういう話は話題に上らない。平穏な日々だ)
男(これでいいんだ、これが彼女の望むことなら…)
メイド「あっ」グラッ
男「あぶねえ!」
ドターン!
メイド「…っ!」
男「いつつ、怪我はないか?」
メイド「え、ええ。それより、どいてくださいませんか?立てません」
男「……」
メイド「……」
ちゅ…
メイド「!」
男「あ、すまん、そんなつもりじゃ…」
メイド「いえ」
11:2016/06/21(火)23:15:45 7AV
男「どうもあれ以来気まずい」
メイド「坊ちゃま、コーヒー淹れました」
男「ああ(スズ…)おいしいよ」
メイド「ふふ、よかったです」
男「なあ、お前にとって、俺のメイドであることってどのくらい大切な事なんだ?」
メイド「私のすべてです!これが私の、私と坊ちゃまの関係の証明なんです」
男「そっか。それって歩み寄ったらかき消えちゃうのかな?」
メイド「……もしかりに、私たちが男女の仲になって、普通のカップルの様になったら、すぐに関係は壊れてしまうかも…」
男「そんなことないさ」
メイド「いえ、メイドと主人の関係から比べたら吹けば飛ぶようなものですわ」
男「だからお前はメイドに固執するんだな」
メイド「坊ちゃま、コーヒー淹れました」
男「ああ(スズ…)おいしいよ」
メイド「ふふ、よかったです」
男「なあ、お前にとって、俺のメイドであることってどのくらい大切な事なんだ?」
メイド「私のすべてです!これが私の、私と坊ちゃまの関係の証明なんです」
男「そっか。それって歩み寄ったらかき消えちゃうのかな?」
メイド「……もしかりに、私たちが男女の仲になって、普通のカップルの様になったら、すぐに関係は壊れてしまうかも…」
男「そんなことないさ」
メイド「いえ、メイドと主人の関係から比べたら吹けば飛ぶようなものですわ」
男「だからお前はメイドに固執するんだな」
46:2016/06/22(水)00:35:03 yJF
男「よっと、あいつ宛の荷物で重い物はなるべく運んでやらないとな。勝手に部屋に入っちゃったけど構わないだろ」
男「これは机の上にっと。あ…あいつの日記」
男「……まずいよな?読んじゃ」
男「でも…」
男「……」パラ
「今日はとてもおいしそうに食べてくれた。やはりあの料理が一番口に合うらしい」
男「フフッ、あいつめ。俺のことばかり…」
「この気持ちはメイドとして不誠実だろうか」
男「!」
「あの人に微笑みかけられると心が躍る。あの人に触れたいと思う。あの人に名前を呼ばれるたびに喜びを感じる」
男「これって……」
男「これは机の上にっと。あ…あいつの日記」
男「……まずいよな?読んじゃ」
男「でも…」
男「……」パラ
「今日はとてもおいしそうに食べてくれた。やはりあの料理が一番口に合うらしい」
男「フフッ、あいつめ。俺のことばかり…」
「この気持ちはメイドとして不誠実だろうか」
男「!」
「あの人に微笑みかけられると心が躍る。あの人に触れたいと思う。あの人に名前を呼ばれるたびに喜びを感じる」
男「これって……」
47:2016/06/22(水)00:35:39 yJF
男「なあ、お前、無理してないか?」
メイド「え?日々の雑事ならこれしきのこと……」
男「そうじゃない。内面の話さ。お前は本当にメイドであることに無理を感じないのか?」
メイド「感じるはずありませんわ。前も言った通り、私があなたのメイドであることが私のすべてなんです」
男「本当に?」
メイド「……坊ちゃま?恋愛感情に比べて、主従関係って劣るものでしょうか?」
男「どういうことだ?」
メイド「主従関係でも、人と人とのつながりとしては恋愛関係に引けを取るものではありませんわ。この関係を大事にしたいんです」
男「それが永遠に続くと思っているのか?」
メイド「…!」
男「俺だって他の女と結婚するだろう。そうなったらお前は、お前の本当の気持ちはどうなるんだ?」
メイド「……」
ダッ
男「あっ! おい! どこへ行く!?」
メイド「え?日々の雑事ならこれしきのこと……」
男「そうじゃない。内面の話さ。お前は本当にメイドであることに無理を感じないのか?」
メイド「感じるはずありませんわ。前も言った通り、私があなたのメイドであることが私のすべてなんです」
男「本当に?」
メイド「……坊ちゃま?恋愛感情に比べて、主従関係って劣るものでしょうか?」
男「どういうことだ?」
メイド「主従関係でも、人と人とのつながりとしては恋愛関係に引けを取るものではありませんわ。この関係を大事にしたいんです」
男「それが永遠に続くと思っているのか?」
メイド「…!」
男「俺だって他の女と結婚するだろう。そうなったらお前は、お前の本当の気持ちはどうなるんだ?」
メイド「……」
ダッ
男「あっ! おい! どこへ行く!?」
48:2016/06/22(水)00:35:56 yJF
メイド「……」
男「ハア、ハア、こんなところにいたのか、随分探したぞ」
メイド「わかってはいたんです」
男「……」
メイド「この関係は永遠じゃないって。いつか終わらせなきゃいけない、自分の思いにケリをつけなきゃいけないって」
男「俺をあきらめるという形で?」
メイド(コクッ)
男「なら言わせてくれ。お前が好きだ。絶対にお前に俺をあきらめさせたりしない。俺たちは永遠に一緒だ」
メイド「やめて、怖いです。これまで通り、メイドと坊ちゃまでいて……他の関係だと何が起こるかわからないじゃないですか」
男「そうさ、わかりゃしない。でもそんな無限の可能性をみんな受け入れて生きているんだ。前に踏み出さなきゃいけない、一緒に」
メイド「坊ちゃまとなら……」
男「うん」
メイド「坊ちゃまとなら…それでも怖くないかもしれません」
男「うん、ありがとう」
男「ハア、ハア、こんなところにいたのか、随分探したぞ」
メイド「わかってはいたんです」
男「……」
メイド「この関係は永遠じゃないって。いつか終わらせなきゃいけない、自分の思いにケリをつけなきゃいけないって」
男「俺をあきらめるという形で?」
メイド(コクッ)
男「なら言わせてくれ。お前が好きだ。絶対にお前に俺をあきらめさせたりしない。俺たちは永遠に一緒だ」
メイド「やめて、怖いです。これまで通り、メイドと坊ちゃまでいて……他の関係だと何が起こるかわからないじゃないですか」
男「そうさ、わかりゃしない。でもそんな無限の可能性をみんな受け入れて生きているんだ。前に踏み出さなきゃいけない、一緒に」
メイド「坊ちゃまとなら……」
男「うん」
メイド「坊ちゃまとなら…それでも怖くないかもしれません」
男「うん、ありがとう」
49:2016/06/22(水)00:36:10 yJF
メイド「ごめんなさい、素直になれなくて。もっと早くこうしていればよかった」
男「俺も、自分の心に嘘をついてたんだ。お前を自分のモノにしたい気持ちをもっと押し出せばよかったんだ。お前の躊躇を払拭できるくらいに」
メイド「……うれしいです、坊ちゃま」
男「その呼び方やめてくれ」
メイド「では何とお呼びすれば?」
男「その、あなた、って」
メイド「ふふ、嬉しゅうございます、あなた」
終
男「俺も、自分の心に嘘をついてたんだ。お前を自分のモノにしたい気持ちをもっと押し出せばよかったんだ。お前の躊躇を払拭できるくらいに」
メイド「……うれしいです、坊ちゃま」
男「その呼び方やめてくれ」
メイド「では何とお呼びすれば?」
男「その、あなた、って」
メイド「ふふ、嬉しゅうございます、あなた」
終
50:2016/06/22(水)00:36:34 yJF
ありがとう
完結させられたよ
みんなのおかげだ
完結させられたよ
みんなのおかげだ
51:2016/06/22(水)00:40:07 3QX
乙
引用元:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1466518366
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