1: 2013/01/13(日) 09:12:44.73 ID:Muoeewb20
春香「そう?」

千早「そう思うわ」

春香「そうかなぁ……」

千早「適度に甘えるくらいならいいけど、やっぱり何事にも限度があると思うの」

春香「確かに、そう言われてみると最近のみんな、プロデューサーさんに甘えすぎかも」

千早「さすが春香ね、わかってくれると思ったわ」

春香「それより、千早ちゃん」

千早「何?」

春香「そろそろプロデューサーさんのマフラーを一旦置こうか」

千早「いや」 モフモフ

春香「嫌かぁ」

3: 2013/01/13(日) 09:15:27.80 ID:Muoeewb20
千早「私、思ったの」

春香「何を?」

千早「プロデューサーも一人の人間だもの、12人……律子も含めれば13人、小鳥さんも入れれば14人」

春香「うんうん」

千早「そんなにたくさんの人に甘えられたら、プロデューサーも大変じゃないかしら」

春香「確かにそうかも」

千早「さすが春香ね、わかってくれると思ったわ」

春香「えへへ」

千早「だから、私がみんなを代表して甘えようと思うの」

春香「ごめん、それはちょっとわからないかな」

4: 2013/01/13(日) 09:18:21.39 ID:Muoeewb20
千早「わからない?」

春香「うん、ちょっとわからないよ」

千早「そう……困ったわね、どうすれば伝わるかしら」

春香(どうして私の理解力が足りないような流れになってるんだろう……)

千早「つまり、私が」

春香「うん」

千早「765プロを代表して、プロデューサーに甘えるの」

春香「ごめん、もうわからないよ」

千早「そう、困ったわね……」

春香(困ってるのはこっちなんだけどなぁ)

7: 2013/01/13(日) 09:21:27.11 ID:Muoeewb20
千早「14人を相手にするのと、1人を相手にするのだったら」

春香「1人の方が負担が減るってこと?」

千早「そうよ、まさにそれだわ」

春香「なるほど、一理あるかも」

千早「ふふっ」

春香「千早ちゃんの本音は?」

千早「プロデューサーを独り占めしたいの」

春香「千早ちゃんは正直者だね」

千早「急に褒めないで、恥ずかしいじゃない」 クスクス

春香「しかもポジティブだね、私なんか足元にも及ばないくらい」

9: 2013/01/13(日) 09:25:34.63 ID:Muoeewb20
千早「だから私に任せてほしいの」

春香「具体的にはどうするの?」

千早「最近、特にプロデューサーへの甘えが激しいのは……美希、亜美と真美、それに四条さんかしら」

春香「美希たちはわかるけど、貴音さんも?」

千早「ロケや収録のたびに、一緒にラーメンを食べに行こうとせがんでいるわ」

春香「そっかぁ……ラーメンとプロデューサーさん、どっちが目当てなんだろうね」

千早「そして、この4人に共通していることがあるの」

春香「共通点? 何かあるかな?」

千早「プロデューサーへの呼び方ね」

春香「あぁ……」

10: 2013/01/13(日) 09:29:09.32 ID:Muoeewb20
千早「美希はハニー、亜美と真美は兄ちゃん、四条さんは……」

春香「仕事中は呼ばないようにしてても、結構ダダ漏れだよね」

千早「ええ、もうみんなわかってるのに」

春香「じゃあ千早ちゃんも、ハニーとかあなた様とか、そういう呼び方をするの?」

千早「……それも考えてみたけれど」

春香「考えたんだ」

千早「は、ハニー、とか……あなた様、とか……私には、ハードルが高すぎるわ」

春香「そっかぁ」

千早「…………」

春香(ふふっ、恥ずかしがってる千早ちゃん、可愛いなぁ)

千早「だから、ここは妥協して」

春香「うん?」

千早「プロデューサーに、ちーちゃんって呼んでもらうわ」

春香「それって余計にハードルが上がってないかな」

12: 2013/01/13(日) 09:31:47.72 ID:Muoeewb20
千早「そうかしら」

春香「だって、プロデューサーさんだよ?」

千早「ええ」

春香「みんなにあだ名で呼ばれても、プロデューサーさんは誰かを特定のあだ名で呼んだりしないし……」

千早「そうね」

春香「うん」

千早「なおさら特別扱いされているみたいで素敵だと思うの」 フンス

春香「千早ちゃん、ちょっと鼻息が……」

千早「あ、ごめんなさい」

14: 2013/01/13(日) 09:37:03.17 ID:Muoeewb20
春香「ねえ、千早ちゃん」

千早「何?」

春香「プロデューサーさん、びっくりしちゃうんじゃないかなぁ」

千早「びっくり?」

春香「だって、急に千早ちゃんに、『私がみんなを代表して甘えます』って言われたら」

千早「…………」

春香「プロデューサーさんはどう思うかな?」

千早「きっと、『千早は良い子だな、えらいえらい』と褒めてくれるんじゃないかしら」 ワクワク

春香「最近の千早ちゃん、本当にポジティブだね」

20: 2013/01/13(日) 09:43:34.33 ID:Muoeewb20
千早「そうと決まれば、さっそく明日から実行しないと」

春香「えっ、もう決まったの?」

千早「ああ……プロデューサー、喜んでくれるかしら……ふふっ、ふふふっ」

春香「千早ちゃん、戻ってきて」

千早「どうしたの?」

春香「……あっ、予想以上に早く戻ってきてくれて逆にびっくりした」

千早「ふふっ、春香ったらおかしなことを言うのね」

春香「ねえねえ、千早ちゃん」

千早「?」

22: 2013/01/13(日) 09:46:34.74 ID:Muoeewb20
春香「……今度、またプロデューサーさんに、お菓子作ってこようね」

千早「ええ、また一緒に作りましょう」

春香「うんっ」

千早「ふふっ、プロデューサーは喜んでくれるかしら……」


春香(止めた方がいいのかとも思ったけど……)

春香(歌が全てだった千早ちゃんに、甘える相手ができたことはとても良いと思うし)

春香(それに、こんなに嬉しそうな千早ちゃんを見たら……やめておこうなんて言えないなぁ)


春香「でもね、千早ちゃん」

千早「なに?」

春香「マフラーは、置いてこようか」

千早「いや」 クンカクンカ

25: 2013/01/13(日) 09:51:46.26 ID:Muoeewb20
 
 【 翌日 】


春香「うぅ、今日も寒かったなぁ……」

P「お? 春香か、事務所の前で会うなんて珍しいな」

春香「あっ、プロデューサーさん! お疲れ様です!」

P「おう、お疲れ。そっか、もうレッスンが終わる時間か」

春香「えへへ、実はボーカルレッスンで居残りを……」

P「熱心なのはいいけど、あんまり詰めすぎないようにな?」

春香「はい!」


春香(今日は朝から千早ちゃんと別行動だったけど)

春香(この様子だと、何も無かったのかな?)


P「とりあえず、冷えるから中に入るか」

春香「プロデューサーさん、どこかに行くところだったんじゃ?」

P「いや、俺も営業から戻ってきたとこなんだ」

26: 2013/01/13(日) 09:55:02.29 ID:Muoeewb20
 
ガチャッ


P「ただいま戻りました」

春香「ただいま戻りましたー!」

小鳥「おかえりなさい、お疲れ様です」

P「あれ? 音無さんだけですか?」

小鳥「はい、社長も律子さんも外出中です」

P「そうですか」

春香「……あの、プロデューサーさん?」

P「ん?」

春香(うーん……早ちゃんのこと、聞いてもいいのかな)

P「なんだ、なにか相談事か?」

小鳥「私、席を外してもいいわよ?」

春香「い、いえいえ、そんな大袈裟なことじゃないです!」

27: 2013/01/13(日) 09:57:56.66 ID:Muoeewb20
P「そうか? まあ、とりあえず……音無さん、応接室借りますね」

小鳥「はい、落ち着いたらお茶でも持っていきますね」

春香「そ、そんなに気を使われちゃうと緊張しちゃいますよ」







P「それで、何かあったのか?」

春香「そ、そんなに大袈裟な話じゃないんですけど」

P「おう」

春香「えーっと……最近、千早ちゃんとどうですか? なーんて……」

P「千早?」

春香(どうしよう、どう聞けばいいのかわからないよぉ……)

28: 2013/01/13(日) 10:02:04.13 ID:Muoeewb20
P「まあ、普通に仲良くやってるぞ?」

春香「そ、そうですか、普通にですか」

P「千早も以前と比べると、だいぶ社交的に……おっと」


 メトメガアウ~♪


P「ははっ、言ったそばからメールだ」

春香「千早ちゃんからですか?」

P「ああ、今から事務所に戻るってさ」

春香「へぇー、結構頻繁にメールとかするんですか?」

P「うーん、今日はむしろ少ないくらいだな」

春香「そうなんですか」

P「ああ、今日はまだ60通くらいだ」

春香「えっ」

P「ん?」

春香「ああ……えっ」

34: 2013/01/13(日) 10:05:53.83 ID:Muoeewb20
P「どうした春香、鳩が撃たれたような顔になってるぞ」

春香「それ死んじゃってるんじゃ……いえ、それよりも」

P「?」

春香「きょ、今日で60通目ってことですか?」

P「おはようございますのメールから数えると、大体そのくらいだな」

春香「それって少ないんですか?」

P「このペースでいくと、おやすみのメールで3桁いくかいかないかくらいだからなー」

春香「つまり、普段は三桁いくんですか」

P「平均するとな、オフの時にに比べれば当然少なくなるし……」

春香(オフの日はどんなことになるのか、聞くのが怖い……)

38: 2013/01/13(日) 10:11:26.97 ID:Muoeewb20
P「悪い春香、ちょっとメールの返信だけさせてくれ」

春香「あ、どうぞ……あの、プロデューサーさん」

P「ん?」

春香「あ、メール打ちながらでも大丈夫ですから」

P「そっか、ごめんな」 ポチポチ

春香「えーっと、他のみんなとも、そんなにメールを?」

P「いや、数は断トツで千早が多いかな」

春香(そうだよね、みんなが同じくらいだったら一日4桁いっちゃうもんね……)

P「以前の千早ってさ」

春香「は、はい?」

P「歌が全てって言うか、何でも一人で抱え込むって言うか……わりと、自分の中に溜め込むタイプだったから」

P「なんだか、そんな千早に少しでも頼ってもらえると」

P「やっぱりプロデューサーとして嬉しいんだよな、うん」

春香「…………」


春香(……後光が差して見える……)

44: 2013/01/13(日) 10:15:41.61 ID:Muoeewb20
P「それで春香、話って……」

春香「いえいえ、もう大丈夫です」

P「大丈夫って、ちょっと雑談しただけのように思えるんだけど」

春香「それでも大丈夫ですよ、プロデューサーさんなら!」

P「お、おう? よくわからんけど、ありがとうでいいのかな」

春香「はい!」

P「それじゃ、とりあえず戻ってお茶でも飲むか……まあ、仕事はまだ残ってるんだけど」

春香「私がお茶、淹れましょうか?」

P「それはありがたいな、うん」


ガチャッ


響「あっ、プロデューサー! はいさーい!」 ガナハー

P「おう響、戻ってたのか」

45: 2013/01/13(日) 10:20:38.97 ID:Muoeewb20
響「うわっとと……えっと、プロデューサー! お疲れ様です!」

P「響はいつも元気だなぁ」

響「うん! ねえねえプロデューサー、ちゃんとお疲れ様って言ったぞ!」 ワクワク

P「うんうん」

響「いっつもハイサイじゃ駄目だって言われたから、ちゃんとお疲れ様って言った!」

P「ああ、ちゃんと守ってるな」

響「ねえねえプロデューサー、自分えらい?えらいでしょ!」

P「うん、響は偉いなぁ」

響「えへへっ」

P「よしよし、響は偉いなー、良い子だ良い子だ」 ワシャワシャ

響「うんっ、自分は完璧な良い子なんだぞー……えへっ、にへ、えへへへ……」 





春香(……これを12人分……!?)

50: 2013/01/13(日) 10:25:50.05 ID:Muoeewb20
ガチャッ


千早「ふふっ、我那覇さんったら甘えん坊ね」

響「頑張った子はちゃんと褒めなきゃ駄目なんだぞ!」 ニコニコ

P「千早も戻ってたのか、お疲れさん」

千早「はい、お疲れ様です」

春香「……ち、千早ちゃん、お疲れ様」

千早「ええ、お疲れ様。どうかしたの?」

春香「えっとね、どうかしたっていうか、その」

P「ん? おいおい千早」

千早「はい?」

P「マフラーは体じゃなくて首に巻くものだぞ?」

千早「ええ、そうですね」

P「ははっ、千早は面白いなぁ」

千早「そうですか?……ふふっ」

春香「」

52: 2013/01/13(日) 10:30:00.68 ID:Muoeewb20
響「ねえプロデューサー、もっとワシャワシャしても良いんだぞ?」

P「とはいえ、まだ仕事があるからなぁ」

響「えぇー、もっと褒めて欲しいのに!」

千早「我那覇さん、プロデューサーを困らせたら駄目よ?」

響「うっ……プロデューサー、困るの?」

P「まあ、仕事は進めなきゃだからな」

響「うー……じゃあ自分、良い子だから我慢するぞ」

P「よしよし、響は良い子だな」 ワシャワシャ

響「えへへー」

千早「ふふっ、プロデューサーは甘いんですから」




春香(……これが本妻の余裕……!?)

54: 2013/01/13(日) 10:33:55.66 ID:Muoeewb20
響「じゃあ自分、向こうでぴよ子の手伝いしてこようっと」

千早「プロデューサー、お仕事頑張ってくださいね」

P「おう、ありがとう」

千早「では、私も向こうで……」

P「そうだ、千早」

千早「はい?」

P「千早は良い子だな、いつも助かるよ」 ナデナデ

千早「…………」

P「よしよし」 ナデナデ

千早「……ふふっ、ありがとうございます」

P「ところで、俺のマフラーなんだけど」

千早「私が貰ったんですから、返してあげませんよ?」

P「まさか四六時中身につけるとは思わなかったんだよ」




春香(多分寝るときも巻いてるんだろうなぁ……)

56: 2013/01/13(日) 10:38:26.31 ID:Muoeewb20
P「さて、さっさと仕事を片付けないとな」

千早「いつも大変ですね」

P「好きなことを仕事にできたんだ、文句なんか無いけどな」

千早「……あの、プロデューサー」

P「うん?」

千早「私も、頑張りますから」

P「ああ、千早はいつも頑張ってるよ」

千早「ちゃんと、見ていてくださいね?」

P「もちろんだ、ちゃんと見てるよ」

千早「約束ですよ?」

P「おう、約束だ」




春香(軽いやりとりに見えるけど、プロデューサーさんの人生の針路が今まさに決まろうとしているような……)

59: 2013/01/13(日) 10:41:55.21 ID:Muoeewb20
 
 
 
 
 

 
春香「……ねえ、千早ちゃん」

千早「何?」

春香「幸せそうだね」

千早「……ええ、そうね」

春香「最近の千早ちゃん、すっごくギラギラ……じゃなくて、キラキラしてるよ」

千早「ふふっ」

春香「でも、いいの? 独り占めしなくて」

千早「いいの」

春香「いいの?」

60: 2013/01/13(日) 10:46:25.60 ID:Muoeewb20
千早「私、考えたの」

春香「うん」

千早「プロデューサーは、みんなのプロデューサーだから」

春香「だから、我慢する?

千早「……いいえ、我慢じゃないわ」

千早「みんなをプロデュースしている時のあの人は、とても幸せそうだから」

千早「プロデューサーにとっての仕事は、私にとっての歌なの」

千早「それを奪ってまで独り占めをしたって、誰も幸せになんてなれないから」

春香「そっか」

千早「ええ」

春香「……千早ちゃんは、本当に良い子だね」

千早「ふふっ……春香ったら、からかわないで」

67: 2013/01/13(日) 10:50:37.87 ID:Muoeewb20
千早「だから、仕事ではみんなのプロデューサーでいてもらって」

春香「うんうん!」

千早「プライベートでは私だけを見てくれれば、全て解決だと思うの」

春香「うんうん!……うん?」

千早「ひとまず、家具を買い揃えるところから始めたほうがいいかしら?」

春香「ちょっと待って、千早ちゃんちょっと待って」

千早「?」

春香「結構良い話で締められそうだったんだけど」

千早「ええ、後はこのままハッピーエンドね」

春香「……ああ、千早ちゃんがすごくギラギラしてる」

千早「ふふっ」

73: 2013/01/13(日) 10:55:42.06 ID:Muoeewb20
P「千早ー、次の仕事の件なんだが」

千早「はい!」

春香「……プロデューサーさん」

P「ん?」

春香「何と言うか……頑張ってください」

P「お、おう? ありがとう」

千早「プロデューサー?」

P「ああ、そうそう次の収録が……その前に、千早」

千早「はい?」









P「いったん、マフラーは置こうか」

千早「いやです」 モフモフ

74: 2013/01/13(日) 10:56:27.17 ID:Muoeewb20

引用元: 千早「最近のみんなはプロデューサーに依存しすぎよ」