1: 2009/05/01(金) 00:29:01.87 ID:3qkvpVnX0
女「やってしまった・・・・・」
女「やってしまったよ・・・・・」
女「・・・・・・」
女「どうしようか・・・・」
女「・・・・・・・」
3: 2009/05/01(金) 00:31:37.69 ID:3qkvpVnX0
木々に囲まれた林の中で
私は1人呟いた
女「・・・・・・」
女「・・・・まさか」
女「・・・・・」
女「・・・こんなとこで」
女「迷うなんて・・・・」
私は1人呟いた
女「・・・・・・」
女「・・・・まさか」
女「・・・・・」
女「・・・こんなとこで」
女「迷うなんて・・・・」
5: 2009/05/01(金) 00:34:11.99 ID:3qkvpVnX0
女「こうなったのも・・・・」
女「あんな事考えたからだ・・・・」
女「・・・・・・」
女「気まぐれで・・・・」
女「・・・・・・・」
7: 2009/05/01(金) 00:37:17.48 ID:3qkvpVnX0
事の発端は
さっきの思いつき
発端っていう程、大事ではないけど
休日の昼
そんな時間から塾にいた私は
無事勉強を終えて
家に帰ることにした
9: 2009/05/01(金) 00:40:45.10 ID:3qkvpVnX0
私の通っている塾は
家から自転車で数十分くらいの
まぁなんともいえない距離
ちなみにこの塾を選んだのは
他に近場の塾が無かったからで
別に有名なとこだからとかで選んだわけじゃないわけで
そんでもって
問題はそこじゃないわけで
家から自転車で数十分くらいの
まぁなんともいえない距離
ちなみにこの塾を選んだのは
他に近場の塾が無かったからで
別に有名なとこだからとかで選んだわけじゃないわけで
そんでもって
問題はそこじゃないわけで
10: 2009/05/01(金) 00:44:08.23 ID:3qkvpVnX0
塾 帰り道途中
女「はぁ・・・・」
女「なんで休みの昼から塾に行かなきゃ・・・・」
自転車をこいでいた私は
女「でも帰ったらどうしよう・・・・」
女「いつもと違って時間もあるし・・・・」
ふと思いついた
女「・・・そうだ」
女「いつもと違う道で帰ってみようかな・・・・・」
女「はぁ・・・・」
女「なんで休みの昼から塾に行かなきゃ・・・・」
自転車をこいでいた私は
女「でも帰ったらどうしよう・・・・」
女「いつもと違って時間もあるし・・・・」
ふと思いついた
女「・・・そうだ」
女「いつもと違う道で帰ってみようかな・・・・・」
13: 2009/05/01(金) 00:48:35.49 ID:3qkvpVnX0
時間も有り余っていた私は
普通に帰るのもつまらないと思い
違う道を通ってみる事にした
女「どうせ家に帰っても暇だし・・・・」
女「それにいくらなんでも」
女「迷うなんてないだろうし・・・・」
そう
油断してた
14: 2009/05/01(金) 00:51:11.88 ID:3qkvpVnX0
そして今現在
女「・・・・それにしても」
女「ここはどこなんだろう・・・」
女「見たことも無い場所だよ・・・・」
女「・・・まぁいつも通らない道だから当たり前なんだけど」
初の試みを試した私は
案の定迷っていた
15: 2009/05/01(金) 00:55:45.42 ID:3qkvpVnX0
まさか迷うなんて思ってなかった
そして
それだけならよかった
だが私は
よりにもよってなぜか
林の中で迷っていた
女「・・・まさか公道だと思ってたあの林道が」
女「まんま林に続いてるなんて・・・・・」
そして
それだけならよかった
だが私は
よりにもよってなぜか
林の中で迷っていた
女「・・・まさか公道だと思ってたあの林道が」
女「まんま林に続いてるなんて・・・・・」
16: 2009/05/01(金) 00:58:22.50 ID:3qkvpVnX0
女「周り木ばっかだし・・・・・」
女「足場も悪くて自転車こぎにくい・・・・・」
女「ホントどうしよう・・・・」
女「・・・・・・」
こういうのを方向音痴っていうのかな
自覚がなかった
女「・・・う~ん」
女「足場も悪くて自転車こぎにくい・・・・・」
女「ホントどうしよう・・・・」
女「・・・・・・」
こういうのを方向音痴っていうのかな
自覚がなかった
女「・・・う~ん」
19: 2009/05/01(金) 01:02:16.69 ID:3qkvpVnX0
とりあえず辺りを見てはみるが、
やはり何度見ても周りは木ばかり
女「近くに木しか見当たらない・・・・」
どう見ても
やっぱり木ばかり・・・・
女「んん?」
・・・よく見ると
木と木の間から何かが見える
やはり何度見ても周りは木ばかり
女「近くに木しか見当たらない・・・・」
どう見ても
やっぱり木ばかり・・・・
女「んん?」
・・・よく見ると
木と木の間から何かが見える
20: 2009/05/01(金) 01:06:59.21 ID:3qkvpVnX0
女「なんだろうあれ・・・・」
目を細める
女「あれは・・・・・」
首を左右に動かす
女「・・・・・・・」
女「・・・・家?」
目を細める
女「あれは・・・・・」
首を左右に動かす
女「・・・・・・・」
女「・・・・家?」
21: 2009/05/01(金) 01:09:39.46 ID:3qkvpVnX0
いや
家というにはやけに大きく見える
こんな遠く且つ一部だけ見て
大きいと分かるくらい
女「なんだろうあれ・・・・」
女「なんていうか」
女「館みたいな・・・・」
家というにはやけに大きく見える
こんな遠く且つ一部だけ見て
大きいと分かるくらい
女「なんだろうあれ・・・・」
女「なんていうか」
女「館みたいな・・・・」
23: 2009/05/01(金) 01:12:23.19 ID:3qkvpVnX0
女「・・・・・・」
私はまたまた
思いついてしまった
女「・・・・どうせだし」
女「見に行ってみようかな・・・・」
24: 2009/05/01(金) 01:15:42.65 ID:3qkvpVnX0
焦っているようにこそ見えるけど
正直さほど危機感は無かった
いくら林に迷ったとしても
まだまだ明るい昼間の時間
それに
いざとなればなんとかなるだろう
その程度くらいしか思ってなかったはず
だからこそ
私は好奇心に負けたんだと思う
正直さほど危機感は無かった
いくら林に迷ったとしても
まだまだ明るい昼間の時間
それに
いざとなればなんとかなるだろう
その程度くらいしか思ってなかったはず
だからこそ
私は好奇心に負けたんだと思う
25: 2009/05/01(金) 01:18:48.52 ID:3qkvpVnX0
女「・・・・・・」
女「凄い・・・」
私は
好奇心の元に着いた
これは・・・・
女「これは・・・・」
女「洋館、かな・・・・?」
26: 2009/05/01(金) 01:22:27.72 ID:3qkvpVnX0
林の中で私が見つけたのは
洋館らしき建物
周りの木々に負けないほどの
大きさと存在感がある建物
女「凄い・・・・」
改めて呆然とする
女「・・・・あれ」
洋館らしき建物
周りの木々に負けないほどの
大きさと存在感がある建物
女「凄い・・・・」
改めて呆然とする
女「・・・・あれ」
27: 2009/05/01(金) 01:25:12.61 ID:3qkvpVnX0
私は洋館の前に
看板らしき物を見つけた
女「これは」
女「洋館の看板・・・?」
書かれている文字を見た
女「えっと・・・・」
女「・・・・『図書館』?」
看板らしき物を見つけた
女「これは」
女「洋館の看板・・・?」
書かれている文字を見た
女「えっと・・・・」
女「・・・・『図書館』?」
29: 2009/05/01(金) 01:29:57.57 ID:3qkvpVnX0
女「これ・・・・」
女「図書館、なんだ・・・・・」
そうはとても見えない
でも図書館なら
女「・・・・・・」
女「・・・・入りたい」
女「もの凄く入りたい・・・・」
30: 2009/05/01(金) 01:33:27.51 ID:3qkvpVnX0
無類の本好きの私にとっては
とても興味を惹かれる
図書館に見えない外見
こんな林の中に孤立している建物
むちゃくっちゃ惹かれる
女「・・・・如何わしい店とかじゃないよね」
女「よし、入ろう」
女「入ってしまおう」
とても興味を惹かれる
図書館に見えない外見
こんな林の中に孤立している建物
むちゃくっちゃ惹かれる
女「・・・・如何わしい店とかじゃないよね」
女「よし、入ろう」
女「入ってしまおう」
31: 2009/05/01(金) 01:37:40.14 ID:3qkvpVnX0
洋館の前まで近づいてみた
扉まで大きい
女「ノックとかは・・・いらないよね」
女「一応図書館なんだし」
ガチャ
私は迷子の事を少し気にかけながらも
ほとんどの意識を洋館に向けて
中に入った
32: 2009/05/01(金) 01:41:19.79 ID:3qkvpVnX0
洋館 中
女「うわぁ・・・・・・・」
女「やっぱり広い・・・・・」
女「しかも・・・・・」
女「本がいっぱい・・・・」
女「でも・・・・」
女「やけに暗い・・・・・・」
33: 2009/05/01(金) 01:45:13.07 ID:3qkvpVnX0
日中の真昼間とは思えないほど
光の入らない洋館
けれど
それは決して陰湿な暗さではなく
独特な静けさという感じ
なにより
暗くても分かる空気の広さは
幻想的な何かがある
35: 2009/05/01(金) 01:47:50.59 ID:3qkvpVnX0
暗くて奥のほうこそ見えないが
とにかくたくさんの本棚と
その本棚にしきつめられた本達
それらはしっかり確認できる
そして確認した時には
女「最近の図書館って小綺麗な感じがあったけど・・・・」
女「なんかここは変わってるなぁ・・・・・・」
私はとっくに
本達と洋館の虜になっていた
とにかくたくさんの本棚と
その本棚にしきつめられた本達
それらはしっかり確認できる
そして確認した時には
女「最近の図書館って小綺麗な感じがあったけど・・・・」
女「なんかここは変わってるなぁ・・・・・・」
私はとっくに
本達と洋館の虜になっていた
37: 2009/05/01(金) 01:51:35.68 ID:3qkvpVnX0
「・・・・お客様ですか?」
虜になっていた私の耳に
声が聞こえた
女「?」
声は
暗い奥のほうから聞こえる
「ああ、失敬失敬」
「今そちらに行きますんで」
虜になっていた私の耳に
声が聞こえた
女「?」
声は
暗い奥のほうから聞こえる
「ああ、失敬失敬」
「今そちらに行きますんで」
39: 2009/05/01(金) 01:54:15.61 ID:3qkvpVnX0
奥から出てきたのは
スーツとネクタイを見事に着こなす
紳士みたいなおじいさん
女「もしかして」
女「ここの管理人の方ですか?」
管理人「ええ、その通りです」
管理人「私、ここの本の管理をしております」
女「そうでしたか・・・・」
女「すいません、勝手に入っちゃって・・・・」
スーツとネクタイを見事に着こなす
紳士みたいなおじいさん
女「もしかして」
女「ここの管理人の方ですか?」
管理人「ええ、その通りです」
管理人「私、ここの本の管理をしております」
女「そうでしたか・・・・」
女「すいません、勝手に入っちゃって・・・・」
40: 2009/05/01(金) 01:58:10.18 ID:3qkvpVnX0
女「料金とかっていくらですか?」
女「もし足りなかったら家に取りに帰りますんで・・・・」
管理人「いえいえ」
管理人「お金取りませんよ」
女「え?」
管理人「私」
管理人「正直、本の為になる物以外はさほど興味が無いんですよ」
管理人「かといってお金で本を買うというのも好きではなくて」
女「い、いいんですか?」
管理人「ええ」
41: 2009/05/01(金) 02:01:19.93 ID:3qkvpVnX0
まさか
タダでこんなにもたくさんの本を・・・・
罪悪感すら感じる・・・
でも
女「・・・・じゃあ」
女「お言葉に甘えて・・・・」
またしても
好奇心と使命感に負けた
なんて弱いんだ私は
タダでこんなにもたくさんの本を・・・・
罪悪感すら感じる・・・
でも
女「・・・・じゃあ」
女「お言葉に甘えて・・・・」
またしても
好奇心と使命感に負けた
なんて弱いんだ私は
42: 2009/05/01(金) 02:04:35.07 ID:3qkvpVnX0
とりあえず
手身近な本棚の本を取ってみた
記念すべき最初の本のタイトルは
女「『科学者の思い出』・・・・」
女「・・・・・・」
女「凄い面白そう・・・・」
私は
その本を読み始めた
44: 2009/05/01(金) 02:07:19.83 ID:3qkvpVnX0
--------------------------
ある所に科学者がいました
その科学者はいつも発明と研究につきっきりでした
家族を顧みる事もせず、ひたすら没頭しました
しかしある日
科学者はある所で、家族の大切さを知りました
そして科学者は
家族思いのいいお父さんになりました
しかし
科学者としての才能は無くなってしまいました
---------------------------
ある所に科学者がいました
その科学者はいつも発明と研究につきっきりでした
家族を顧みる事もせず、ひたすら没頭しました
しかしある日
科学者はある所で、家族の大切さを知りました
そして科学者は
家族思いのいいお父さんになりました
しかし
科学者としての才能は無くなってしまいました
---------------------------
45: 2009/05/01(金) 02:11:16.38 ID:3qkvpVnX0
私は本を閉じた
女「ふぅ」
女「読み終わった・・・・」
女「さて次はっと・・・・・」
次の本を取る
今度のタイトルは
女「『記者の思い出』・・・・・」
女「・・・・・・」
女「同じシリーズ物なのかな?」
46: 2009/05/01(金) 02:14:49.77 ID:3qkvpVnX0
--------------------------
ある所に記者がいました
その記者は、どんな記事でも書く曲者でした
書かれた他人の気持ちなど知らずに
しかしある日
記者はある所で、心の大切さを知りました
そして記者は
ボランティアをするようになりました
しかし
記者としての才能は無くなってしまいました
----------------------------
ある所に記者がいました
その記者は、どんな記事でも書く曲者でした
書かれた他人の気持ちなど知らずに
しかしある日
記者はある所で、心の大切さを知りました
そして記者は
ボランティアをするようになりました
しかし
記者としての才能は無くなってしまいました
----------------------------
47: 2009/05/01(金) 02:18:13.57 ID:3qkvpVnX0
私は本を閉じた
女「なんか・・・・」
女「どっちも切ないお話だったなぁ・・・」
管理人「おや」
管理人「もう2冊ですか」
管理人「読み終わるの早いですねぇ」
女「?そうですか?」
管理人「もしかして、本がお好きとか?」
女「・・・・ばれましたか」
女「なんか・・・・」
女「どっちも切ないお話だったなぁ・・・」
管理人「おや」
管理人「もう2冊ですか」
管理人「読み終わるの早いですねぇ」
女「?そうですか?」
管理人「もしかして、本がお好きとか?」
女「・・・・ばれましたか」
49: 2009/05/01(金) 02:22:38.74 ID:3qkvpVnX0
管理人「こんな辺鄙なところまで来て下さるくらいですからね」
管理人「きっとそうだと思いましたよ」
女「えへへ・・・・」
管理人「やはり同じ趣向をお持ちの方と出会えると」
管理人「嬉しい物ですね」
女「いえいえ・・・・」
女「管理人さんには敵いませんよ・・・・」
管理人「きっとそうだと思いましたよ」
女「えへへ・・・・」
管理人「やはり同じ趣向をお持ちの方と出会えると」
管理人「嬉しい物ですね」
女「いえいえ・・・・」
女「管理人さんには敵いませんよ・・・・」
50: 2009/05/01(金) 02:26:59.07 ID:3qkvpVnX0
管理人「そうだ」
管理人「最近入った新しい本があるんですよ」
女「そうなんですか?」
管理人「はい」
管理人「ぜひとも同士のアナタにも」
そう言って管理人さんは
さっきワタシが本を取った場所の
近くの本を取りだした
そしてその手のまま
私は本を差し出された
管理人「最近入った新しい本があるんですよ」
女「そうなんですか?」
管理人「はい」
管理人「ぜひとも同士のアナタにも」
そう言って管理人さんは
さっきワタシが本を取った場所の
近くの本を取りだした
そしてその手のまま
私は本を差し出された
51: 2009/05/01(金) 02:31:42.53 ID:3qkvpVnX0
女「これですか?」
管理人「はい」
管理人「別に無理して読んでくださらなくても大丈夫ですよ」
女「いえ」
女「せっかく勧めてくださったんですし」
女「ありがたく読ませていただきますよ」
私は
本を開いた
管理人「はい」
管理人「別に無理して読んでくださらなくても大丈夫ですよ」
女「いえ」
女「せっかく勧めてくださったんですし」
女「ありがたく読ませていただきますよ」
私は
本を開いた
52: 2009/05/01(金) 02:33:49.82 ID:3qkvpVnX0
その刹那
突然閃光が襲った
私は
本に吸い込まれたような気がした
突然閃光が襲った
私は
本に吸い込まれたような気がした
55: 2009/05/01(金) 02:37:28.13 ID:3qkvpVnX0
壁も何もない空間
今多分
そんなところにいる
奥行きも隔たりもないばかりか
私はどこにも足を置いていない
なのに私は落ちることも無く
一定の位置を保っている
女「なに・・・・これ・・・・?」
56: 2009/05/01(金) 02:42:20.69 ID:3qkvpVnX0
女「さっきの図書館は・・・・?」
女「ここはどこ・・・・・?」
女「なんで・・・・・?」
女「何があったの・・・・・?」
女「私はどうなったの・・・・・?」
女「ここはどこ・・・・・?」
女「なんで・・・・・?」
女「何があったの・・・・・?」
女「私はどうなったの・・・・・?」
58: 2009/05/01(金) 02:47:44.00 ID:3qkvpVnX0
管理人「・・・・ぶですか?!」
管理人「大丈夫ですか?!」
女「え・・・・?」
気付いたら
私は長椅子に横になっていた
管理人「ああ良かった!目覚めた!」
管理人「びっくりしましたよ、急に倒れるもんですから」
女「あれ・・・・・」
管理人「大丈夫ですか?!」
女「え・・・・?」
気付いたら
私は長椅子に横になっていた
管理人「ああ良かった!目覚めた!」
管理人「びっくりしましたよ、急に倒れるもんですから」
女「あれ・・・・・」
59: 2009/05/01(金) 02:52:19.78 ID:3qkvpVnX0
管理人さんによると
どうやら私は
本を開いた瞬間に気を失ったらしい
なんでだろう
女「じゃああれは・・・・」
女「夢、かぁ・・・・・・」
管理人「大丈夫ですか?立てます?」
女「はい大丈夫です・・・」
女「なんとか・・・」
どうやら私は
本を開いた瞬間に気を失ったらしい
なんでだろう
女「じゃああれは・・・・」
女「夢、かぁ・・・・・・」
管理人「大丈夫ですか?立てます?」
女「はい大丈夫です・・・」
女「なんとか・・・」
60: 2009/05/01(金) 02:55:11.74 ID:3qkvpVnX0
まだ少しクラクラする
管理人「・・・まだその様子だと」
管理人「ちょっときつそうですね」
女「ごめんなさい・・・・」
管理人「親御さんに迎えに来てもらった方がよさそうですね」
管理人「電話しますので電話番号教えてもらえます?」
女「はい・・・・」
管理人「・・・まだその様子だと」
管理人「ちょっときつそうですね」
女「ごめんなさい・・・・」
管理人「親御さんに迎えに来てもらった方がよさそうですね」
管理人「電話しますので電話番号教えてもらえます?」
女「はい・・・・」
62: 2009/05/01(金) 02:59:05.09 ID:3qkvpVnX0
女「電話番号は・・・」
女「・・・・・・」
あれ
女「・・・えーっと」
おかしい
女「・・・・・・」
女「・・・・いくつだっけ」
電話番号が出てこない
女「・・・・・・」
あれ
女「・・・えーっと」
おかしい
女「・・・・・・」
女「・・・・いくつだっけ」
電話番号が出てこない
63: 2009/05/01(金) 03:03:08.12 ID:3qkvpVnX0
女「すいません・・・」
女「電話番号が頭に出てこなくて・・・・」
管理人「無理も無いですよその様子じゃあ」
管理人「きっとショックでド忘れちゃったんでしょう」
管理人「とりあえず」
管理人「鞄の中見せてもらってもいいですか?」
管理人「多分何かしらに電話番号が書いてあると思うので」
女「お願いします・・・」
女「電話番号が頭に出てこなくて・・・・」
管理人「無理も無いですよその様子じゃあ」
管理人「きっとショックでド忘れちゃったんでしょう」
管理人「とりあえず」
管理人「鞄の中見せてもらってもいいですか?」
管理人「多分何かしらに電話番号が書いてあると思うので」
女「お願いします・・・」
64: 2009/05/01(金) 03:07:43.83 ID:3qkvpVnX0
その後なんとか番号も分かり
管理人さんに電話してもらった
管理人さんが
親に電話で場所の説明やらしている時も
私は
電話番号を思い出せなかった
管理人さんに教えてもらえば
済む話だったのだが
管理人さんに電話してもらった
管理人さんが
親に電話で場所の説明やらしている時も
私は
電話番号を思い出せなかった
管理人さんに教えてもらえば
済む話だったのだが
65: 2009/05/01(金) 03:11:35.55 ID:3qkvpVnX0
バタン
扉を開く音
母「女!大丈夫?!」
1人の女性が
飛び込んできた
管理人「この方がお母さんですか?」
女「・・・・・・」
管理人「まだ喋るのは少し厳しいですか・・・」
扉を開く音
母「女!大丈夫?!」
1人の女性が
飛び込んできた
管理人「この方がお母さんですか?」
女「・・・・・・」
管理人「まだ喋るのは少し厳しいですか・・・」
68: 2009/05/01(金) 03:15:32.35 ID:3qkvpVnX0
管理人さんは
女性に事情を説明した
管理人「先ほどよりは落ち着きましたが・・・」
管理人「まだつらそうですね・・・」
母「・・・そうですか」
母「本当にすいませんご迷惑をおかけして」
管理人「いえいえ」
母「女、立てる?」
女「・・・・・・」
管理人「私が外まで肩を貸しますよ」
女性に事情を説明した
管理人「先ほどよりは落ち着きましたが・・・」
管理人「まだつらそうですね・・・」
母「・・・そうですか」
母「本当にすいませんご迷惑をおかけして」
管理人「いえいえ」
母「女、立てる?」
女「・・・・・・」
管理人「私が外まで肩を貸しますよ」
70: 2009/05/01(金) 03:19:49.30 ID:3qkvpVnX0
肩を貸してもらった私は
なんとか外まで連れていってもらい
女性が乗ってきたらしい車に乗り込んだ
母「どうもありがとうございました」
管理人「いえいえ」
管理人「一応病院に行ったほうがいいかもしれません」
管理人「それではお大事に」
女性は軽く会釈をすると
車を走らせた
なんとか外まで連れていってもらい
女性が乗ってきたらしい車に乗り込んだ
母「どうもありがとうございました」
管理人「いえいえ」
管理人「一応病院に行ったほうがいいかもしれません」
管理人「それではお大事に」
女性は軽く会釈をすると
車を走らせた
71: 2009/05/01(金) 03:22:34.06 ID:3qkvpVnX0
車の中
母「女、大丈夫?」
女「・・・・・はい」
女「なんとか・・・」
母「良かったぁ」
母「いきなり知らない人から倒れたって電話が来て」
母「お母さん焦っちゃったわよ」
女「・・・・・・」
母「女、大丈夫?」
女「・・・・・はい」
女「なんとか・・・」
母「良かったぁ」
母「いきなり知らない人から倒れたって電話が来て」
母「お母さん焦っちゃったわよ」
女「・・・・・・」
72: 2009/05/01(金) 03:26:23.51 ID:3qkvpVnX0
母「でもその様子なら」
母「病院に行かなくても大丈夫そうね」
女性は
車の進行方向を変えた
女「・・・・・・」
女「あの・・・・」
母「どうしたの?」
母「そういえば今日はやけに他人行儀だけど」
女「その・・・・・」
母「病院に行かなくても大丈夫そうね」
女性は
車の進行方向を変えた
女「・・・・・・」
女「あの・・・・」
母「どうしたの?」
母「そういえば今日はやけに他人行儀だけど」
女「その・・・・・」
74: 2009/05/01(金) 03:30:35.29 ID:3qkvpVnX0
女「一つ・・・・・」
女「聞いてもいいですか・・・・?」
私は
恐る恐る聞いた
母「あれ」
母「やっぱりまだ体調悪い?」
女「いや・・・・」
女「そうじゃないんですが・・・・」
女「聞いてもいいですか・・・・?」
私は
恐る恐る聞いた
母「あれ」
母「やっぱりまだ体調悪い?」
女「いや・・・・」
女「そうじゃないんですが・・・・」
75: 2009/05/01(金) 03:35:33.67 ID:3qkvpVnX0
女「あなたは・・・・・」
女「どなたですか?」
女「どなたですか?」
76: 2009/05/01(金) 03:40:14.28 ID:3qkvpVnX0
私は不思議だった
なんでこの女性が迎えに来たのか
私のお母さんでもないのに
あれ
そういえば
私のお母さんってどんな人だっけ
顔どころか何もでてこない
やっぱり体調が悪いせいだろうか
なんでこの女性が迎えに来たのか
私のお母さんでもないのに
あれ
そういえば
私のお母さんってどんな人だっけ
顔どころか何もでてこない
やっぱり体調が悪いせいだろうか
78: 2009/05/01(金) 03:44:56.12 ID:3qkvpVnX0
私がその言葉を告げた瞬間
その女性は目を見開き
唇を少しばかり振るわせた後
なぜか急カーブをし
車の進行方向を戻した
その女性は目を見開き
唇を少しばかり振るわせた後
なぜか急カーブをし
車の進行方向を戻した
80: 2009/05/01(金) 03:49:32.44 ID:3qkvpVnX0
病院
その女性は車を駐車場に止め
私を引っ張り出した
女「な、なにを・・・・」
女「もう体調は大分良くなりましたけど・・・・」
母「いいから来なさい!」
何を怒っているのだろうか
私は
何か怒らせるような事をしたのだろうか
その女性は車を駐車場に止め
私を引っ張り出した
女「な、なにを・・・・」
女「もう体調は大分良くなりましたけど・・・・」
母「いいから来なさい!」
何を怒っているのだろうか
私は
何か怒らせるような事をしたのだろうか
82: 2009/05/01(金) 03:54:27.16 ID:3qkvpVnX0
それから私は
名も知らない女性に手を引かれ
病院に入った
何度も大丈夫ですと言ったけれど
その女性は聞く耳を持たず
更に
女性の青ざめた顔を見て
私は
随分心配性な人だなぁとか思った
名も知らない女性に手を引かれ
病院に入った
何度も大丈夫ですと言ったけれど
その女性は聞く耳を持たず
更に
女性の青ざめた顔を見て
私は
随分心配性な人だなぁとか思った
84: 2009/05/01(金) 03:59:25.93 ID:3qkvpVnX0
診察室
看護婦さんに呼ばれ
私たちは入った
医者「今日はどうされました?」
母「大変なんです!」
母「娘が・・・娘が・・・・・」
・・・娘?
医者「えっと」
医者「そこにいらっしゃるのが娘さんで?」
・・・え?
看護婦さんに呼ばれ
私たちは入った
医者「今日はどうされました?」
母「大変なんです!」
母「娘が・・・娘が・・・・・」
・・・娘?
医者「えっと」
医者「そこにいらっしゃるのが娘さんで?」
・・・え?
87: 2009/05/01(金) 04:04:51.40 ID:3qkvpVnX0
母「はい、そうなんです」
母「この子が・・・・・」
母「記憶喪失になっちゃったかもしれないんです」
・・・これって
医者「・・・・事情はよく分かりませんが」
医者「一体どういう経緯で?」
母「はい、実はかくかくじかじかで・・・・」
・・・・もしかして私の話?
母「この子が・・・・・」
母「記憶喪失になっちゃったかもしれないんです」
・・・これって
医者「・・・・事情はよく分かりませんが」
医者「一体どういう経緯で?」
母「はい、実はかくかくじかじかで・・・・」
・・・・もしかして私の話?
89: 2009/05/01(金) 04:09:34.68 ID:3qkvpVnX0
医者「なるほど・・・・」
医者「あなたの事をまったく覚えてない、と」
どういうこと?
母「はい多分・・・・・」
母「きっとショックで倒れたのも何か関係が・・・・」
まさか
医者「とりあえず検査してみましょうか」
医者「そうすれば恐らく分かります」
母「お願いします・・・・」
医者「あなたの事をまったく覚えてない、と」
どういうこと?
母「はい多分・・・・・」
母「きっとショックで倒れたのも何か関係が・・・・」
まさか
医者「とりあえず検査してみましょうか」
医者「そうすれば恐らく分かります」
母「お願いします・・・・」
91: 2009/05/01(金) 04:13:39.87 ID:3qkvpVnX0
涙ぐむ女性
おかしい
他人の為にここまでするどころか
泣くなんて
それに記憶喪失がどうとかって
なにより
車の中でお母さんって言ってた
じゃあもしかしてこの人・・・・
私のお母さんなの?
おかしい
他人の為にここまでするどころか
泣くなんて
それに記憶喪失がどうとかって
なにより
車の中でお母さんって言ってた
じゃあもしかしてこの人・・・・
私のお母さんなの?
92: 2009/05/01(金) 04:17:55.32 ID:3qkvpVnX0
脳波測定スキャン血液検査etc
全ての検査を終えた私は
診察室に戻った
医者「検査は無事終わりました」
医者「もうすぐ結果がでるでしょう」
母「うう・・・うう・・・・」
まだ泣いている
女「・・・・・・・」
全ての検査を終えた私は
診察室に戻った
医者「検査は無事終わりました」
医者「もうすぐ結果がでるでしょう」
母「うう・・・うう・・・・」
まだ泣いている
女「・・・・・・・」
93: 2009/05/01(金) 04:22:03.48 ID:3qkvpVnX0
もしも私がこの人の子供だったら
例え覚えていなくても
私はきっと反省しなくてはならない
車の中で
私が告げた一言
『どなたですか?』
あれはきっと
この人を・・・・・・
例え覚えていなくても
私はきっと反省しなくてはならない
車の中で
私が告げた一言
『どなたですか?』
あれはきっと
この人を・・・・・・
96: 2009/05/01(金) 04:26:32.89 ID:3qkvpVnX0
数分後
検査結果らしき紙を
看護婦さんが届けてきた
医者はそれを受け取り
その内容を見た後
医者「・・・・・・・」
医者「う~ん・・・・・?」
困惑したような
そんな表情を浮かべた
検査結果らしき紙を
看護婦さんが届けてきた
医者はそれを受け取り
その内容を見た後
医者「・・・・・・・」
医者「う~ん・・・・・?」
困惑したような
そんな表情を浮かべた
97: 2009/05/01(金) 04:30:54.11 ID:3qkvpVnX0
母「どうでしたか・・・?」
自然と眉間に皺が寄る
医者「・・・・・・」
医者「・・・特に」
医者「特に異常は無いですねぇ・・・・・」
母「・・・・・・」
母「・・・・え?」
自然と眉間に皺が寄る
医者「・・・・・・」
医者「・・・特に」
医者「特に異常は無いですねぇ・・・・・」
母「・・・・・・」
母「・・・・え?」
99: 2009/05/01(金) 04:34:55.56 ID:3qkvpVnX0
医者「脳内の伝達神経等に特に傷も見当たりませんし」
医者「血液内にも酸反応は無いですし」
医者「脳の大きさ形等も普通の人と大差ないです」
母「それじゃあ・・・・・」
医者「そうですねぇ」
医者「少なくとも医学的には何の問題もないはずなんですが」
母「そ、そんな・・・・・」
女「・・・・・・」
医者「血液内にも酸反応は無いですし」
医者「脳の大きさ形等も普通の人と大差ないです」
母「それじゃあ・・・・・」
医者「そうですねぇ」
医者「少なくとも医学的には何の問題もないはずなんですが」
母「そ、そんな・・・・・」
女「・・・・・・」
100: 2009/05/01(金) 04:37:24.70 ID:3qkvpVnX0
母「それじゃあ・・・・」
母「治療は・・・・・」
医者「残念ながら」
医者「“病気自体発症してない”という結論に行かざるを得ません」
医者「つまり」
医者「治療のしようが無いという・・・・・」
母「で、でも・・・・」
母「この子は実際に記憶が・・・・」
102: 2009/05/01(金) 04:43:39.45 ID:3qkvpVnX0
医者「こう言うのは非常にあれなのですが」
医者「それは、いくらでも説明が出来ます」
医者「例えばそう」
医者「そちらの娘さんが嘘をついていらっしゃるとか」
母「な・・・・」
医者「心苦しい上に申し訳ないのですが」
医者「こちらではそういう判断をせざるをえないんですよ」
母「・・・・・」
医者「それは、いくらでも説明が出来ます」
医者「例えばそう」
医者「そちらの娘さんが嘘をついていらっしゃるとか」
母「な・・・・」
医者「心苦しい上に申し訳ないのですが」
医者「こちらではそういう判断をせざるをえないんですよ」
母「・・・・・」
106: 2009/05/01(金) 04:48:48.69 ID:3qkvpVnX0
結局
入院どころか薬の処方すらしてもらえず
そのまま帰らされる事になった
女性はまた涙を浮かべながら
そっと
「信じてるからね私は」
そう呟き
私は表情に迷った
109: 2009/05/01(金) 04:51:45.68 ID:3qkvpVnX0
その後
病院を後にし
車にしばらく乗り続けた後
母「・・・・・女」
母「着いたよ」
ある場所に到着した
女「ここは・・・・・?」
母「ここはね」
111: 2009/05/01(金) 04:55:44.50 ID:3qkvpVnX0
母「あなたが一番長い時間いた場所で」
母「あなたが多分大好きだった場所で」
母「私も大好きな場所で」
母「何よりも最も大切な場所」
女「?」
母「・・・・・・・」
母「・・・おかえり、女」
母「ここがあなたのお家よ」
母「あなたが多分大好きだった場所で」
母「私も大好きな場所で」
母「何よりも最も大切な場所」
女「?」
母「・・・・・・・」
母「・・・おかえり、女」
母「ここがあなたのお家よ」
113: 2009/05/01(金) 05:00:52.90 ID:3qkvpVnX0
その女性はそう言った
ここがあなたの家なのよと
女「ここが・・・・・」
まったく思い出せないけど
微かな覚えすらないんだけれど
私は、信じる
女「ここが、私の家」
私のお母さんを
ここがあなたの家なのよと
女「ここが・・・・・」
まったく思い出せないけど
微かな覚えすらないんだけれど
私は、信じる
女「ここが、私の家」
私のお母さんを
141: 2009/05/01(金) 13:25:52.94 ID:3qkvpVnX0
家の中
母「ここがリビングで、こっちが居間」
母「トイレはすぐ横で、個人の部屋は全部2階よ」
母は
家の中を案内してくれた
そして私も
必死に聞いたり見たい
でも
母「・・・・やっぱり思い出せない?」
142: 2009/05/01(金) 13:31:20.23 ID:3qkvpVnX0
やっぱり何も
思い出す事はなかった
女「・・・・ごめんなさい」
母「いいのよいいのよそんな」
母「ゆっくり思い出していきましょ」
母は微笑む
凄く薄く
母「それより」
母「今日は早いけどもう寝ましょう」
思い出す事はなかった
女「・・・・ごめんなさい」
母「いいのよいいのよそんな」
母「ゆっくり思い出していきましょ」
母は微笑む
凄く薄く
母「それより」
母「今日は早いけどもう寝ましょう」
143: 2009/05/01(金) 13:36:31.55 ID:3qkvpVnX0
母「お風呂の入り方とかは分かる?」
コクリ
母「そう、良かった」
母「じゃあ夜ご飯作っとくね」
母「女が大好きだったものいっぱい作るから」
母「それに明日」
母「自転車も取りに行かなきゃね」
女「・・・・・うん」
コクリ
母「そう、良かった」
母「じゃあ夜ご飯作っとくね」
母「女が大好きだったものいっぱい作るから」
母「それに明日」
母「自転車も取りに行かなきゃね」
女「・・・・・うん」
145: 2009/05/01(金) 13:42:12.97 ID:3qkvpVnX0
食後
母「女の部屋はこの中ね」
女「ここが・・・・・」
母「そうそう」
母「あなた昔っから本が大好きでね」
母「部屋の中に多分たくさん本があるから」
母「もし読みたい本とかあったら読んでみるといいかも」
女「・・・・・・」
女「・・・・ありがとうございます」
母「女の部屋はこの中ね」
女「ここが・・・・・」
母「そうそう」
母「あなた昔っから本が大好きでね」
母「部屋の中に多分たくさん本があるから」
母「もし読みたい本とかあったら読んでみるといいかも」
女「・・・・・・」
女「・・・・ありがとうございます」
146: 2009/05/01(金) 13:46:50.91 ID:3qkvpVnX0
部屋
女の子の部屋には見えないほどの
たくさんの本
もうこれは
部屋というより書斎に近い
しかもぬいぐるみどころか
可愛いものと印象を受けるものが何も無い
女「・・・・私って」
女「変わってたんだなぁ・・・・・」
女「まぁ本好きの私なら分からなくもないけど」
148: 2009/05/01(金) 13:51:29.77 ID:3qkvpVnX0
女「あれ」
女「でも何で私、自分が本好きって事は覚えてるんだろう」
女「記憶喪失って」
女「そういう記憶は残るのかな・・・」
少し不思議に思う
何故か私は、所々覚えている事がある
本好きな事とか
自転車をあの図書館に忘れた事とか
女「・・・・・・う~ん」
女「でも何で私、自分が本好きって事は覚えてるんだろう」
女「記憶喪失って」
女「そういう記憶は残るのかな・・・」
少し不思議に思う
何故か私は、所々覚えている事がある
本好きな事とか
自転車をあの図書館に忘れた事とか
女「・・・・・・う~ん」
150: 2009/05/01(金) 13:56:18.62 ID:3qkvpVnX0
女「とりあえず」
女「もう寝させてもらおう・・・・」
私は端にあるベッドに入った
女「なんか・・・」
女「人の部屋で寝てるみたい」
スヤスヤ
女「もう寝させてもらおう・・・・」
私は端にあるベッドに入った
女「なんか・・・」
女「人の部屋で寝てるみたい」
スヤスヤ
151: 2009/05/01(金) 14:01:15.58 ID:3qkvpVnX0
翌日
お母さんと私は
出かける支度をした
お母さんは仕事を休み
私も学校はしばらく休む事になったらしい
学校の事も何も覚えていないけど
母「じゃあまずは」
母「自転車を取りに行きましょ」
お母さんと私は
出かける支度をした
お母さんは仕事を休み
私も学校はしばらく休む事になったらしい
学校の事も何も覚えていないけど
母「じゃあまずは」
母「自転車を取りに行きましょ」
153: 2009/05/01(金) 14:06:17.08 ID:3qkvpVnX0
女「歩きで・・・・・?」
母「うん」
母「ついでに町の風景も見て行きたいなって」
母「もちろん女の体調によるけど」
母「まだ歩くのはきつい?」
女「・・・・・いや」
女「大丈夫です」
女「それに」
女「私も自分の町が見てみたいです」
母「うん」
母「ついでに町の風景も見て行きたいなって」
母「もちろん女の体調によるけど」
母「まだ歩くのはきつい?」
女「・・・・・いや」
女「大丈夫です」
女「それに」
女「私も自分の町が見てみたいです」
156: 2009/05/01(金) 14:10:13.63 ID:3qkvpVnX0
外
私たちは
色んなところを回った
母「ここが公園」
母「あなた昔はここの常連だったのよ」
母「ここがケーキ屋」
母「あなた本だけじゃなくて甘い物も好きだったのよ」
母「あなたの学校や塾は」
母「遠いから今度行きましょうか」
私たちは
色んなところを回った
母「ここが公園」
母「あなた昔はここの常連だったのよ」
母「ここがケーキ屋」
母「あなた本だけじゃなくて甘い物も好きだったのよ」
母「あなたの学校や塾は」
母「遠いから今度行きましょうか」
157: 2009/05/01(金) 14:15:12.58 ID:3qkvpVnX0
知らない人間から受ける
知らない町の知らない思い出
女「・・・・・・」
何も分からない私は
当然口から言葉なんか出ず
静かに眺めるだけだった
そして、そうしているうちに
何も感じないまま図書館に着いてしまった
知らない町の知らない思い出
女「・・・・・・」
何も分からない私は
当然口から言葉なんか出ず
静かに眺めるだけだった
そして、そうしているうちに
何も感じないまま図書館に着いてしまった
159: 2009/05/01(金) 14:20:19.66 ID:3qkvpVnX0
自転車は外には無かった
母「あれ・・・・」
母「確か、ここだったわよね?」
私は頷く
母「預かってくれてるのかな・・・?」
母「・・・っていうかやっぱり大きいわね」
母「まるでお屋敷みたい」
母は
私と似たような事を言った
母「まぁとりあえず入りましょうか」
母「あれ・・・・」
母「確か、ここだったわよね?」
私は頷く
母「預かってくれてるのかな・・・?」
母「・・・っていうかやっぱり大きいわね」
母「まるでお屋敷みたい」
母は
私と似たような事を言った
母「まぁとりあえず入りましょうか」
163: 2009/05/01(金) 14:27:55.56 ID:3qkvpVnX0
図書館 中
母「やっぱり広い・・・・・」
母「でもこの時間でも薄暗いのね・・・・」
母「この雰囲気タバコが吸いたくなる・・・・」
母「家に置いてきちゃったけど」
管理人「おや」
管理人「あなた方でしたか」
母「あ」
母「やっぱり広い・・・・・」
母「でもこの時間でも薄暗いのね・・・・」
母「この雰囲気タバコが吸いたくなる・・・・」
母「家に置いてきちゃったけど」
管理人「おや」
管理人「あなた方でしたか」
母「あ」
164: 2009/05/01(金) 14:32:28.57 ID:3qkvpVnX0
昨日と何一つ変わらない雰囲気
変わらない容姿
母「すいません勝手に入っちゃって」
管理人「いえいえ」
管理人「いつもの事ですよ」
管理人「それより、その後娘さんは・・・?」
母「それが変わらずで・・・・」
母「しかも病院も相手にしてくれなくて・・・」
変わらない容姿
母「すいません勝手に入っちゃって」
管理人「いえいえ」
管理人「いつもの事ですよ」
管理人「それより、その後娘さんは・・・?」
母「それが変わらずで・・・・」
母「しかも病院も相手にしてくれなくて・・・」
166: 2009/05/01(金) 14:36:15.86 ID:3qkvpVnX0
管理人「そうですか・・・・」
管理人「それはお気の毒に・・・・」
母「それで」
母「とりあえず町を見せながらここまで来たんです」
母「何か思い出してくれるかなって思って」
母「あとついでに自転車も」
管理人「ああ」
管理人「自転車でしたら裏の方に止めてあります」
母「そうですか」
母「ありがとうございます」
168: 2009/05/01(金) 14:40:17.49 ID:3qkvpVnX0
やっぱり変だ
町も風景も覚えていないのに
なんで私はこのおじさんを覚えているんだろう
母「ではお邪魔になってしまっても悪いので」
母「帰りますね」
母「自転車の事といい娘の事といい」
母「本当にありがとうございます」
管理人「気にしないで下さい」
管理人「それより」
町も風景も覚えていないのに
なんで私はこのおじさんを覚えているんだろう
母「ではお邪魔になってしまっても悪いので」
母「帰りますね」
母「自転車の事といい娘の事といい」
母「本当にありがとうございます」
管理人「気にしないで下さい」
管理人「それより」
169: 2009/05/01(金) 14:44:46.15 ID:3qkvpVnX0
おじさんは言った
管理人「せっかくですし」
管理人「本を読んでいきませんか?」
母「え?」
管理人「悪くは無い本が揃っている自信はありますよ」
管理人「それに
管理人「娘さんも何かを思い出すかもしれませんし」
母「・・・・・・」
管理人「せっかくですし」
管理人「本を読んでいきませんか?」
母「え?」
管理人「悪くは無い本が揃っている自信はありますよ」
管理人「それに
管理人「娘さんも何かを思い出すかもしれませんし」
母「・・・・・・」
171: 2009/05/01(金) 15:00:24.99 ID:3qkvpVnX0
確かにそうだ
娘は多分、この図書館で記憶を失ったらしかった
ならもしかして
ここにいれば何かのきっかけで思い出すかも
母「・・・そうですね」
母「本好きな娘なら、ここは絶好の場所ですし」
母「もしかしたら何か思い出すかも」
母「・・・よろしかったら」
母「しばらくいさせてもらってもよろしいでしょうか?」
管理人「はい、全然大丈夫ですよ」
娘は多分、この図書館で記憶を失ったらしかった
ならもしかして
ここにいれば何かのきっかけで思い出すかも
母「・・・そうですね」
母「本好きな娘なら、ここは絶好の場所ですし」
母「もしかしたら何か思い出すかも」
母「・・・よろしかったら」
母「しばらくいさせてもらってもよろしいでしょうか?」
管理人「はい、全然大丈夫ですよ」
172: 2009/05/01(金) 15:03:08.96 ID:3qkvpVnX0
記憶喪失なのに
ところどころ残る記憶
そして
他にも残っているものがある
それは確か
私が倒れた時の事
174: 2009/05/01(金) 15:07:14.65 ID:3qkvpVnX0
母「ところで料金は・・・・?」
管理人「お代はいりません」
管理人「ご自由にどうぞ」
母「え・・・・・?」
母「無料、ですか・・・・?」
管理人「はい」
母「・・・こんなにもたくさんの本があるのに?」
管理人「お代はいりません」
管理人「ご自由にどうぞ」
母「え・・・・・?」
母「無料、ですか・・・・?」
管理人「はい」
母「・・・こんなにもたくさんの本があるのに?」
175: 2009/05/01(金) 15:11:54.33 ID:3qkvpVnX0
管理人「はいそうですよ」
管理人「私、本の為になるもの以外は興味が沸かないんですよ」
管理人「かといってお金で本を買うのも好きじゃなくて」
母「そうなんですか・・・」
母「それじゃあ」
母「お言葉に甘えて・・・・」
母「女、管理人さんが好きな本読んでいいって」
女「・・・・・・・」
管理人「私、本の為になるもの以外は興味が沸かないんですよ」
管理人「かといってお金で本を買うのも好きじゃなくて」
母「そうなんですか・・・」
母「それじゃあ」
母「お言葉に甘えて・・・・」
母「女、管理人さんが好きな本読んでいいって」
女「・・・・・・・」
176: 2009/05/01(金) 15:15:32.77 ID:3qkvpVnX0
この会話も覚えている
このやりとりは前も聞いた
どういうことなんだろう
記憶が残ってたら
記憶喪失じゃないと思うんだけど
そしてなにより
私が倒れた時
178: 2009/05/01(金) 15:19:31.81 ID:3qkvpVnX0
管理人「そうだ」
管理人「新しく入った本があるんですよ」
管理人「この本なんですが」
そう言って管理人さんは
本を差し出してきた
母「これですか?」
母「・・・・・でもなんで私に?」
何故か娘じゃなくて
私に
管理人「新しく入った本があるんですよ」
管理人「この本なんですが」
そう言って管理人さんは
本を差し出してきた
母「これですか?」
母「・・・・・でもなんで私に?」
何故か娘じゃなくて
私に
179: 2009/05/01(金) 15:24:31.86 ID:3qkvpVnX0
管理人「いや、娘さんには一回勧めたので」
管理人「それに」
管理人「お母さんもずっと待ってるだけじゃあ暇でしょうから」
母「・・・・・・」
母「・・いいんですか?私まで」
管理人「ええ、どうぞどうぞ」
母「それじゃあ・・・・・」
母「読ませてもらっちゃおうかな・・・・」
母は本を受け取った
管理人「それに」
管理人「お母さんもずっと待ってるだけじゃあ暇でしょうから」
母「・・・・・・」
母「・・いいんですか?私まで」
管理人「ええ、どうぞどうぞ」
母「それじゃあ・・・・・」
母「読ませてもらっちゃおうかな・・・・」
母は本を受け取った
180: 2009/05/01(金) 15:28:15.49 ID:3qkvpVnX0
完全に思い出した
私は倒れる前に
勧められた一冊の本を開いた
その瞬間に、その本に吸い込まれたような
そんな感じがして
そうして気付けば倒れてて
大体の記憶を失ってた
大声で叫んだ
私は倒れる前に
勧められた一冊の本を開いた
その瞬間に、その本に吸い込まれたような
そんな感じがして
そうして気付けば倒れてて
大体の記憶を失ってた
大声で叫んだ
181: 2009/05/01(金) 15:29:46.86 ID:3qkvpVnX0
女「・・・・・だめ」
女「その本を開いちゃだめ!」
女「その本を開いちゃだめ!」
183: 2009/05/01(金) 15:34:31.09 ID:3qkvpVnX0
そうだ
私があの時読んだ二つの本の話
そのどちらもが
一部の記憶だけ失った人のお話だった
そして私も
一部の記憶は残っている
じゃああの本は
私が開いたあの本は
母が開こうとしたあの本は
私があの時読んだ二つの本の話
そのどちらもが
一部の記憶だけ失った人のお話だった
そして私も
一部の記憶は残っている
じゃああの本は
私が開いたあの本は
母が開こうとしたあの本は
187: 2009/05/01(金) 16:00:20.88 ID:3qkvpVnX0
『私、本のためになるもの以外興味が無いんですよ』
じゃあ
本の為になるものには興味があるって事?
『こんな辺鄙なところまで』
それは
周りに気づかれない様にしてるって事?
『お金取りませんよ』
なら
別の何かは徴収するってこと・・・・?
じゃあ
本の為になるものには興味があるって事?
『こんな辺鄙なところまで』
それは
周りに気づかれない様にしてるって事?
『お金取りませんよ』
なら
別の何かは徴収するってこと・・・・?
188: 2009/05/01(金) 16:05:38.80 ID:3qkvpVnX0
私は驚いた
ずっと静かだった娘が
急に大声で叫ぶから
母「ど、どうしたのよ急に・・・」
母「もしかしてこれ読みたかった?」
女「・・・違うの」
女「その本は・・・・・」
女「・・・記憶を奪う本なの!」
ずっと静かだった娘が
急に大声で叫ぶから
母「ど、どうしたのよ急に・・・」
母「もしかしてこれ読みたかった?」
女「・・・違うの」
女「その本は・・・・・」
女「・・・記憶を奪う本なの!」
189: 2009/05/01(金) 16:08:34.55 ID:3qkvpVnX0
管理人「・・・・・・」
母「い、いきなりどうしたのよ・・・・?」
母「よく意味が・・・・・」
女「私・・・・・」
女「私、覚えてる事があるの・・・」
母「覚えてる事?」
母「い、いきなりどうしたのよ・・・・?」
母「よく意味が・・・・・」
女「私・・・・・」
女「私、覚えてる事があるの・・・」
母「覚えてる事?」
192: 2009/05/01(金) 16:12:24.49 ID:3qkvpVnX0
女「私も」
女「昨日お母さんと同じ様に本を勧められた」
女「それで」
女「そのとき本に吸い込まれるような感じがして」
女「その後気づいたら記憶が無くなってた」
女「だからきっとその本は・・・・」
母「・・・・・・」
管理人「・・・・・」
彼は無表情のまま
何も言わない
女「昨日お母さんと同じ様に本を勧められた」
女「それで」
女「そのとき本に吸い込まれるような感じがして」
女「その後気づいたら記憶が無くなってた」
女「だからきっとその本は・・・・」
母「・・・・・・」
管理人「・・・・・」
彼は無表情のまま
何も言わない
193: 2009/05/01(金) 16:16:01.87 ID:3qkvpVnX0
母「でもいくらなんでもそんな話・・・・」
母「それこそ小説じゃないんだから・・・・」
女「・・・・・・」
女「・・・・でも」
女「多分証拠もある」
194: 2009/05/01(金) 16:19:55.57 ID:3qkvpVnX0
そう言うと彼女は
いきなり本棚を探り始めた
あの例の2冊の本があった本棚を
管理人「・・・・・・」
彼は口を開かない
女「・・・・・・・」
女「・・・あった!」
女「これ!」
いきなり本棚を探り始めた
あの例の2冊の本があった本棚を
管理人「・・・・・・」
彼は口を開かない
女「・・・・・・・」
女「・・・あった!」
女「これ!」
196: 2009/05/01(金) 16:23:15.32 ID:3qkvpVnX0
女「この本」
母「これ・・・・?」
娘が差し出した本
タイトルは
母「『女の子の思い出』・・・・・」
女「多分これだと思うんです」
女「読んでみてください」
母「・・・・うん」
何も理解できないながらも
とりあえず本を開いた
母「これ・・・・?」
娘が差し出した本
タイトルは
母「『女の子の思い出』・・・・・」
女「多分これだと思うんです」
女「読んでみてください」
母「・・・・うん」
何も理解できないながらも
とりあえず本を開いた
197: 2009/05/01(金) 16:29:08.21 ID:3qkvpVnX0
--------------------------
ある所に女の子がいました
その女の子はとにかく本が大好きでした
本の事になると他が見えなくなるくらい本好きでした
そんなある日
女の子はある所で、不思議な本を読みました
そして女の子は
その本の素晴らしさに虜になりました
しかし
女の子は、代わりに大事な事を忘れてしまいました
---------------------------
ある所に女の子がいました
その女の子はとにかく本が大好きでした
本の事になると他が見えなくなるくらい本好きでした
そんなある日
女の子はある所で、不思議な本を読みました
そして女の子は
その本の素晴らしさに虜になりました
しかし
女の子は、代わりに大事な事を忘れてしまいました
---------------------------
218: 2009/05/01(金) 19:17:29.68 ID:3qkvpVnX0
母「あ・・・・あ・・・・・・」
母「これ・・・・・・」
母「このお話・・・・・・」
女「多分」
女「・・・・私のお話」
女「きっとあの本は、開いた人の記憶とか思い出を奪って」
女「そのお話を本にする・・・・とか」
女「だからきっと私は記憶喪失なのに」
女「本の事とかは覚えてた」
219: 2009/05/01(金) 19:22:18.71 ID:3qkvpVnX0
女「昨日見た時はこの本は多分無かったですし」
女「今日入荷したにしても」
女「こんな古ぼけてるわけないです」
女「・・・・・・」
女「・・・・・管理人さん」
管理人「・・・・・・」
まだ口を開かない
女「今日入荷したにしても」
女「こんな古ぼけてるわけないです」
女「・・・・・・」
女「・・・・・管理人さん」
管理人「・・・・・・」
まだ口を開かない
221: 2009/05/01(金) 19:28:00.35 ID:3qkvpVnX0
長い沈黙
広い静寂
その静かさは
洋館の元々の暗さも合わさって
より一層不気味な時間になった
そして
管理人「・・・・・・フフ」
彼は口を開いた
広い静寂
その静かさは
洋館の元々の暗さも合わさって
より一層不気味な時間になった
そして
管理人「・・・・・・フフ」
彼は口を開いた
223: 2009/05/01(金) 19:33:13.18 ID:3qkvpVnX0
管理人「・・・・素晴らしい」
管理人「実に素晴らしい!」
先ほどとは打って変わっての
響く大声
女「・・・・・・」
管理人「まるでそう!」
管理人「推理小説の犯人役にでもなったみたいに!」
管理人「追い詰められる緊張と興奮」
管理人「たとえ擬似でもこの年で味わえるとは」
管理人「本好きの私にはたまりません」
管理人「実に素晴らしい!」
先ほどとは打って変わっての
響く大声
女「・・・・・・」
管理人「まるでそう!」
管理人「推理小説の犯人役にでもなったみたいに!」
管理人「追い詰められる緊張と興奮」
管理人「たとえ擬似でもこの年で味わえるとは」
管理人「本好きの私にはたまりません」
225: 2009/05/01(金) 19:37:47.23 ID:3qkvpVnX0
母「じゃあ・・・・・」
母「本当にそんな事が・・・・・」
管理人「ええそうです」
管理人「まさにその通りですよ」
管理人「そうだ」
管理人「説明も含めまして」
管理人「私のお気に入りの昔話を話しましょうか」
管理人「きっと本好きのあなたなら」
管理人「気に入るはずですよ」
女「・・・・・・」
226: 2009/05/01(金) 19:41:53.61 ID:3qkvpVnX0
--------------------------
昔、まだ若い青年がおりました
その青年は無類の本好きで
希少な本があると聞けば、辺境にまで赴く変わり者でした
そんな青年でしたから
当然の如く本の情報や噂には詳しく
本への欲求へ向かう内に
ふと気づけば
図書館を開館できるくらいまで本を持っていました
---------------------------
昔、まだ若い青年がおりました
その青年は無類の本好きで
希少な本があると聞けば、辺境にまで赴く変わり者でした
そんな青年でしたから
当然の如く本の情報や噂には詳しく
本への欲求へ向かう内に
ふと気づけば
図書館を開館できるくらいまで本を持っていました
---------------------------
227: 2009/05/01(金) 19:45:27.17 ID:3qkvpVnX0
---------------------------
そんな青年がある日
とても興味をそそられる情報を手にいれました
『人の思い出をお話にする本』
青年はとても惹かれました
その情報を元に長年の苦労を費やし
青年は遂に
その本を手に入れました
そして
青年は、その本を開きました
----------------------------
そんな青年がある日
とても興味をそそられる情報を手にいれました
『人の思い出をお話にする本』
青年はとても惹かれました
その情報を元に長年の苦労を費やし
青年は遂に
その本を手に入れました
そして
青年は、その本を開きました
----------------------------
228: 2009/05/01(金) 19:49:28.61 ID:3qkvpVnX0
母「じゃああなたも・・・・・」
管理人「ええ、開いてしまいましたよ」
管理人「おかげで今の私に残っている記憶は」
管理人「この洋館内の本の内容だけ」
管理人「あと、来たお客様を少々くらいですか」
管理人「・・・・でも私は」
管理人「あなたとは違う道を進んだんですよ」
女「違う道・・・・?」
229: 2009/05/01(金) 19:54:17.71 ID:3qkvpVnX0
管理人「そう」
管理人「私は昔の記憶を探そうだなんて考えなかった!」
管理人「終わった事などどうでもいい!」
管理人「いやむしろ!」
管理人「足枷が無くなってせいせいしました!」
女「そんな・・・・・」
管理人「あなたにも分かりませんか?」
管理人「何にも邪魔されずに、一つに熱中したいこの気持ちが」
「本好きの、あなたなら」
管理人「私は昔の記憶を探そうだなんて考えなかった!」
管理人「終わった事などどうでもいい!」
管理人「いやむしろ!」
管理人「足枷が無くなってせいせいしました!」
女「そんな・・・・・」
管理人「あなたにも分かりませんか?」
管理人「何にも邪魔されずに、一つに熱中したいこの気持ちが」
「本好きの、あなたなら」
232: 2009/05/01(金) 19:57:42.64 ID:3qkvpVnX0
もしこの人が
冗談で言っているのなら
私はよくそんな悪い冗談が言えるものだと
軽蔑します
もしこの人が
本気で言っているのなら
私はなんでそうなってしまったのかと
憐れみを感じます
そう
つまりは
冗談で言っているのなら
私はよくそんな悪い冗談が言えるものだと
軽蔑します
もしこの人が
本気で言っているのなら
私はなんでそうなってしまったのかと
憐れみを感じます
そう
つまりは
233: 2009/05/01(金) 20:01:44.15 ID:3qkvpVnX0
女「・・・・・分かりません」
女「そんなの、理解できません」
管理人「・・・・・・・」
彼は首を傾げる
管理人「・・・・なぜ」
管理人「なぜなんです?」
管理人「本が好きなのに?」
女「・・・確かに」
女「確かに本は好きです・・・・・」
女「そんなの、理解できません」
管理人「・・・・・・・」
彼は首を傾げる
管理人「・・・・なぜ」
管理人「なぜなんです?」
管理人「本が好きなのに?」
女「・・・確かに」
女「確かに本は好きです・・・・・」
234: 2009/05/01(金) 20:05:14.68 ID:3qkvpVnX0
私の隣に立っている女性
女「でも・・・・・・」
不安でいっぱいだった私を
女「私には・・・・・」
ひたすら引っ張ってくれた女性
笑いかけてくれた
お母さん
女「本よりも」
女「ずっと大事な物があるんです」
女「でも・・・・・・」
不安でいっぱいだった私を
女「私には・・・・・」
ひたすら引っ張ってくれた女性
笑いかけてくれた
お母さん
女「本よりも」
女「ずっと大事な物があるんです」
235: 2009/05/01(金) 20:09:27.56 ID:3qkvpVnX0
言い終えた私は
お母さんに笑いかけた
母「女・・・・・・」
管理人「・・・・そうですか」
管理人「やはり」
管理人「私ほどの本好きは早々いないものですね・・・」
管理人「・・・まぁいいでしょう」
管理人「別に同士がいなくとも、本は読めます」
管理人「それより」
お母さんに笑いかけた
母「女・・・・・・」
管理人「・・・・そうですか」
管理人「やはり」
管理人「私ほどの本好きは早々いないものですね・・・」
管理人「・・・まぁいいでしょう」
管理人「別に同士がいなくとも、本は読めます」
管理人「それより」
237: 2009/05/01(金) 20:13:41.63 ID:3qkvpVnX0
管理人「残念ながら」
管理人「このお話は、ハッピーエンドにはなりえませんよ」
女「・・・・・」
管理人「一旦本になった記憶を取り戻す方法は」
管理人「持ち主の私にも分かりませんからねぇ」
母「・・・・・・」
管理人「それに私がたとえ知っていたとしても」
管理人「私は、円満で解決するお話が大嫌いでしてね」
238: 2009/05/01(金) 20:16:41.53 ID:3qkvpVnX0
管理人「都合の良い設定で都合よくみんな幸せ」
管理人「ああそんなのは反吐が出る!」
管理人「真に美しいのは」
管理人「敗北と支配に満ちたバッドエンド!」
管理人「それこそ小説!」
管理人「それこそが本当のお話!」
管理人「あなたの記憶は戻らない!」
管理人「それが現実!」
管理人「ああそんなのは反吐が出る!」
管理人「真に美しいのは」
管理人「敗北と支配に満ちたバッドエンド!」
管理人「それこそ小説!」
管理人「それこそが本当のお話!」
管理人「あなたの記憶は戻らない!」
管理人「それが現実!」
240: 2009/05/01(金) 20:22:05.77 ID:3qkvpVnX0
荒んだ声
引きつった形相
もうそこに紳士のおじさんの面影は無く
ただの狂人にしか見えない
もうこの人は
救いようが無い
本という呪いにかかり
抜け出せなくなった人
そんな彼を救うには
こうするしかない
引きつった形相
もうそこに紳士のおじさんの面影は無く
ただの狂人にしか見えない
もうこの人は
救いようが無い
本という呪いにかかり
抜け出せなくなった人
そんな彼を救うには
こうするしかない
242: 2009/05/01(金) 20:26:06.05 ID:3qkvpVnX0
母「・・・・あなたがおっしゃりたい事は」
母「よく分かりました」
管理人「それはそれは」
管理人「人に理解してもらえるのは嬉しい事です」
管理人「たとえ、それが上辺だけの理解でも」
母「・・・・・・そうですね」
母「きっと、上辺だけの理解でしょうね」
母「なので私は」
母「こういう選択を取ります」
244: 2009/05/01(金) 20:28:50.85 ID:3qkvpVnX0
母は
ポケットからライターを取り出した
ポケットからライターを取り出した
248: 2009/05/01(金) 20:33:16.17 ID:3qkvpVnX0
母が持っているのは
きっとタバコを吸うためのライター
母「タバコは置いてきちゃったけど・・・・」
母「まさか、こんなとこで役に立つなんてね」
彼の顔が
みるみる青ざめる
管理人「な、な、な・・・・・・・」
管理人「な、なにをす、する気ですか・・・?」
きっとタバコを吸うためのライター
母「タバコは置いてきちゃったけど・・・・」
母「まさか、こんなとこで役に立つなんてね」
彼の顔が
みるみる青ざめる
管理人「な、な、な・・・・・・・」
管理人「な、なにをす、する気ですか・・・?」
251: 2009/05/01(金) 20:38:05.30 ID:3qkvpVnX0
母「そんなの決まっています」
母「こうするんです」
母は
手に持っていた本とライターを掲げ
管理人「ま、まさか・・・・・」
管理人「や、やめてくれ・・・・・・」
シュボ
本に火をつけた
母「こうするんです」
母は
手に持っていた本とライターを掲げ
管理人「ま、まさか・・・・・」
管理人「や、やめてくれ・・・・・・」
シュボ
本に火をつけた
255: 2009/05/01(金) 20:52:12.84 ID:3qkvpVnX0
母はすぐに本を投げ捨てた
暗い館内を照らす火
本はみるみる燃えて行く
管理人「あああ・・・・・あ・あ・あ・あ・・・・」
管理人「なんてことを・・・・」
彼は
本に近寄った
管理人「早く・・・・消さないと・・・・」
管理人「早く・・・・・」
256: 2009/05/01(金) 20:55:21.74 ID:3qkvpVnX0
彼は本に手を伸ばした
すると火は
彼の服に燃え移った
管理人「ひ、ひゃああ・・・・・」
管理人「水・・・・水・・・・・・」
見るからに動揺している
管理人「燃える・・・燃えてしまう・・・!」
管理人「本も・・・・私も・・・・・!」
すると火は
彼の服に燃え移った
管理人「ひ、ひゃああ・・・・・」
管理人「水・・・・水・・・・・・」
見るからに動揺している
管理人「燃える・・・燃えてしまう・・・!」
管理人「本も・・・・私も・・・・・!」
258: 2009/05/01(金) 20:59:22.63 ID:3qkvpVnX0
火の恐怖におびえたのか
はたまた焦りで何も見えていないのか
彼は突如走り回り始めた
そして当たり前のように
火は回りの本にも燃え移り
あんなに暗かった館内に
赤と黄色の照明が
ひたすら点滅を繰り返した
はたまた焦りで何も見えていないのか
彼は突如走り回り始めた
そして当たり前のように
火は回りの本にも燃え移り
あんなに暗かった館内に
赤と黄色の照明が
ひたすら点滅を繰り返した
262: 2009/05/01(金) 21:04:47.02 ID:3qkvpVnX0
その後私たちは無事に逃げのび
この事は忘れる事にした
後日に人づてに聞いた話だと
あの図書館は一晩中燃え続けたらしく
周りの木々に飛び火してたら
近所まで危なかったと聞いた
それを聞いて少しばかり罪悪感を感じたものの
私達は
ほぼハッピーエンドの結末を喜んだ
264: 2009/05/01(金) 21:09:32.31 ID:3qkvpVnX0
とある日
受付「先生」
医者「ん?どうしたんだい?」
受付「実は」
受付「雑誌の記者の方がお見えになっていまして」
医者「ああ、そうだったね」
医者「ちゃんと事前に連絡もらってるから通してもらって」
受付「分かりました」
受付「先生」
医者「ん?どうしたんだい?」
受付「実は」
受付「雑誌の記者の方がお見えになっていまして」
医者「ああ、そうだったね」
医者「ちゃんと事前に連絡もらってるから通してもらって」
受付「分かりました」
266: 2009/05/01(金) 21:13:26.68 ID:3qkvpVnX0
記者「どうもすいません」
記者「忙しいところをお時間を頂いて」
医者「いえいえ、構いませんよ」
記者「それじゃあさっそく、時間も限られていますので」
記者「実は今度」
記者「ちょっと変わった患者さん特集というのをやろうと思いまして」
医者「ほう」
記者「それで、是非現役のお医者様にお話を聞きたいなと」
記者「そんな考えで赴いた次第です」
記者「忙しいところをお時間を頂いて」
医者「いえいえ、構いませんよ」
記者「それじゃあさっそく、時間も限られていますので」
記者「実は今度」
記者「ちょっと変わった患者さん特集というのをやろうと思いまして」
医者「ほう」
記者「それで、是非現役のお医者様にお話を聞きたいなと」
記者「そんな考えで赴いた次第です」
267: 2009/05/01(金) 21:17:23.45 ID:3qkvpVnX0
記者「もちろん個人情報は聞きませんし書きません」
記者「出来れば程度で結構です」
医者「・・・・・・」
医者「・・・・なるほど」
記者「それで、何かありませんか?」
医者「うーん・・・・・」
医者「あ」
医者「そういえば、この前に記憶喪失の変わった患者さんが・・・・」
記者「出来れば程度で結構です」
医者「・・・・・・」
医者「・・・・なるほど」
記者「それで、何かありませんか?」
医者「うーん・・・・・」
医者「あ」
医者「そういえば、この前に記憶喪失の変わった患者さんが・・・・」
269: 2009/05/01(金) 21:21:11.55 ID:3qkvpVnX0
それから数十分に及ぶインタビューを終えた私は
帰る記者を見送った
だが
医者「・・・・おかしいなぁ」
首を傾げる
受付「?どうしたのですか?」
医者「いや」
医者「あの記者は敏腕で有名な人だったはずなんだが・・・・」
医者「なんだかあっけなく終わってしまったよ・・・・」
受付「・・・そうなのですか」
帰る記者を見送った
だが
医者「・・・・おかしいなぁ」
首を傾げる
受付「?どうしたのですか?」
医者「いや」
医者「あの記者は敏腕で有名な人だったはずなんだが・・・・」
医者「なんだかあっけなく終わってしまったよ・・・・」
受付「・・・そうなのですか」
271: 2009/05/01(金) 21:24:18.08 ID:3qkvpVnX0
頭を掻きながら
メモを取った手帳を見る
記者「・・・・・・」
記者「・・・・だめだ」
記者「こんなんじゃ、話にならない」
そう一言呟くと
記者は
手帳を投げ捨て
どこかに向かって歩いていった
メモを取った手帳を見る
記者「・・・・・・」
記者「・・・・だめだ」
記者「こんなんじゃ、話にならない」
そう一言呟くと
記者は
手帳を投げ捨て
どこかに向かって歩いていった
273: 2009/05/01(金) 21:26:25.08 ID:3qkvpVnX0
そう
物語は
常に繋がっている
あらぬところから
一本の線を見せながら
そして
その線を辿った先に
何かしらの結末がある
fin
物語は
常に繋がっている
あらぬところから
一本の線を見せながら
そして
その線を辿った先に
何かしらの結末がある
fin
274: 2009/05/01(金) 21:27:12.34
乙
不思議な感覚です・・
不思議な感覚です・・
275: 2009/05/01(金) 21:27:55.16
乙
分かったような分からんような
分かったような分からんような
278: 2009/05/01(金) 21:29:07.19
おつ!
不思議な話だった
不思議な話だった
283: 2009/05/01(金) 21:33:21.17 ID:3qkvpVnX0
>>280そうです、本の被害者達は実は繋がっているっていう感じにしました
皆様支援保守等ありがとうございました
次もしまた会いましたら是非宜しくお願いいたします
皆様支援保守等ありがとうございました
次もしまた会いましたら是非宜しくお願いいたします
引用元: 女「やってしまった・・・」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります