1: 2009/02/28(土) 00:09:12.40 ID:0p6v37tU0

ロボ「あー、もう無理」

少女「なにが?」

ロボ「超死にたい」

少女「それは無理」

ロボ「何故」

少女「だってアンタ、ロボだし」

3: 2009/02/28(土) 00:10:26.13 ID:0p6v37tU0

ロボ「ロボじゃねーよ」

少女「ロボじゃん」

ロボ「ア・ン・ド・ロ・イ・ド!そこ、重要よ?」

少女「どっちも一緒だって」

ロボ「違う。かっこよさが、ダンチ」

少女「実際呼びづらい」

ロボ「それお前の都合じゃん」

4: 2009/02/28(土) 00:11:48.69 ID:0p6v37tU0

少女「いちいち『アンドロイドー』、なんて呼んでらんない」

ロボ「マジかよ」

少女「マジマジ」

ロボ「人間は勝手だよなー」

少女「人間は勝手なんだよ」

ロボ「あーもーマジやだ、死にたい」

少女「死ねないー」

5: 2009/02/28(土) 00:13:03.77 ID:0p6v37tU0

ロボ「あ」

少女「ん?」

ロボ「閃いた」

少女「なにを?」

ロボ「お前が工夫しろよ、工夫」

少女「え?」

ロボ「アンドロイドってさ、言い辛らければ略せよ」

少女「略・・・」

8: 2009/02/28(土) 00:14:26.82 ID:0p6v37tU0

ロボ「一昔前に、超流行ってたらしーじゃん」

少女「らしいね」

ロボ「『ブクロ』、『アキバ』」

少女「どこから得て来るのその知識」

ロボ「驚くなよ?このへんてこな名前、昔の街の名前らしい!」

少女「知ってるよ」

ロボ「ああ、そう」

少女「うん」

10: 2009/02/28(土) 00:15:46.15 ID:0p6v37tU0

ロボ「クールだよな、オシャレだよな、略って」

少女「そうかな?」

ロボ「さぁ。略せよ略せよ」

少女「うーん・・・」

ロボ「わくわく」


少女「・・・アドン」

ロボ「・・・アドンかぁー」

11: 2009/02/28(土) 00:16:59.84 ID:0p6v37tU0

少女「不満?」

ロボ「そりゃ、不満だよ。全然クールじゃねーもん」

少女「自信あったんだけどな」

ロボ「そりゃ悪いことをした。でも、変えてくれ」

少女「次点では・・・、ドイド」

ロボ「あー駄目だ、お前センスねーわ」

13: 2009/02/28(土) 00:18:45.64 ID:0p6v37tU0


少女「大体、アンドロイドって略しようが無いよ」

ロボ「あーもーなんなんだよ超死にてーよ」

少女「いいじゃん、ロボで」

ロボ「ロボじゃないのに?」

少女「ロボット。略して、ロボ」

ロボ「アンドロイドだって!」

14: 2009/02/28(土) 00:20:01.11 ID:0p6v37tU0

少女「ロボー」

ロボ「うわー、呼ぶなよ。超死にたい」

少女「ロボに『死ぬ』なんて概念、無いんだってば」

ロボ「はぁ、信じらんねぇ・・・」

少女「ロボって、いいじゃん。超クール」

ロボ「マジで?」

少女「マジマジ」

15: 2009/02/28(土) 00:21:15.45 ID:0p6v37tU0

ロボ「じゃあ少しだけ、ロボでいいわ」

少女「ありがと、ロボ」

ロボ「人間は勝手だよなー」

少女「人間は勝手なんだよ」

ロボ「なんで俺アンドロイドなんだろ、死にてぇ」

少女「死ねないー」

16: 2009/02/28(土) 00:22:29.80 ID:0p6v37tU0

ロボ「んじゃ、疲れたし寝るわ」

少女「嘘を付け」

ロボ「なんだよ、嘘なんか付いてねーよ」

少女「ロボは寝れないでしょ。必要ないじゃん」

ロボ「うるせーなー、寝るんだよ」

少女「分かった分かった」

ロボ「あーもーマジなんなの!ニヤニヤすんなよ!」

少女「別にー」

17: 2009/02/28(土) 00:23:44.22 ID:0p6v37tU0

ロボ「・・・zzz」

少女「・・・・・・・・・」

ロボ「・・・zzz」

少女「・・・2分経過ー」ボソッ

ロボ「あのな!」ガバッ

少女「おはようございます」

ロボ「おはようございます」

少女「すっごい早く起きたね」

ロボ「なんなの?嫌がらせかなにか?」

18: 2009/02/28(土) 00:25:00.76 ID:0p6v37tU0

少女「寝れないくせに寝たふりするからでしょ」

ロボ「はぁ。マジ信じらんねぇ・・・、死にてぇ・・・」ゴロン

少女「死ねないって。なに、寝たいの?」

ロボ「寝たいんだよ、俺は」

少女「寝る必要なんて無いのに?」

ロボ「必要ないからだよ」

少女「それって、意味あるの?」

ロボ「超あるよ、お前にはわかんねーんだよ」

20: 2009/02/28(土) 00:26:14.55 ID:0p6v37tU0

少女「ふぅん」ゴロン

ロボ「なんだよ、くっつくなよ」

少女「そんなにいいものかな」

ロボ「いいもんなんだよ、昼寝ってのは」

少女「あ、ちょっと腕貸して」

ロボ「はぁ?なにお前、そりゃねーよ」

少女「頭痛いじゃん。ほら、枕」

ロボ「うわー、信じらんねぇ!」

22: 2009/02/28(土) 00:28:22.86 ID:0p6v37tU0

少女「おー、これは楽チン」

ロボ「頭痛くない?」

少女「うん、痛くない」

ロボ「お前の頭が痛くなくてもさ、俺の腕は痛いじゃん」

少女「え?」

ロボ「そういう考え方、出来ない訳?」

少女「ロボに『痛い』って、無いじゃん」

ロボ「まぁそうだけどさ、そうじゃねーよ」

23: 2009/02/28(土) 00:29:36.56 ID:0p6v37tU0

少女「かたいこと言わないでよ」

ロボ「邪魔しないでよマジで」

少女「あー・・・。確かにいいかも、こうしてると」

ロボ「だろ?だろ?」

少女「昼寝とか、最近してなかったな」

ロボ「いいか、こうやって目を閉じるじゃん?」

少女「うん」

24: 2009/02/28(土) 00:30:50.69 ID:0p6v37tU0

ロボ「そのまま力を抜いてー」

ロボ「スーっと、体が溶けてく感じでー」

ロボ「空気に体を預ける感じでー・・・」

少女「・・・・・・・・・」

ロボ「なぁ、おい。聞いてる?」


少女「・・・zzz」スースー

ロボ「・・・あーもー、マジ信じらんねぇ」

25: 2009/02/28(土) 00:32:23.75 ID:0p6v37tU0

少女「・・・zzz」

ロボ「・・・・・・・・・」

少女「・・・zzz」

ロボ「・・・お」

・・・チュドーン バババババ

ロボ「・・・人間は勝手だよなー」

少女「・・・zzz」

ドーン ドーン バババババ・・・

26: 2009/02/28(土) 00:33:37.98 ID:0p6v37tU0

少女「・・・ん」

ロボ「お、やっと起きた」

少女「・・・おはようございます」

ロボ「おはようございます」

少女「あれ?・・・始まったの?」

ロボ「いや、終わったんじゃねーの」

少女「ふーん・・・」

27: 2009/02/28(土) 00:35:09.51 ID:0p6v37tU0

ロボ「ま、すぐにまた始まるんだろーけどな」

少女「・・・・・・・・・」

ロボ「あーくだらねー、くだらねー」

少女「そうだね」

ロボ「クールじゃねーな、ありゃ」

少女「・・・・・・・・・」

28: 2009/02/28(土) 00:36:48.52 ID:0p6v37tU0

ロボ「少し、羨ましーけど」

少女「え?」

ロボ「死ねるんだから、羨ましいわ」

少女「そんなに死にたいんだ?」

ロボ「死にたいね。俺は殺せても、死ねないから」

少女「もう殺さなくていいんだよ」

ロボ「マジで?」

少女「マジマジ」

29: 2009/02/28(土) 00:38:05.85 ID:0p6v37tU0

ロボ「あー、そーか。じゃ、ちょっと安心だわ」

少女「そうでしょ」

ロボ「でも死にてーなぁ」

少女「駄目」

ロボ「駄目?」

少女「うん」

ロボ「死ねないのに?」

30: 2009/02/28(土) 00:40:17.34 ID:0p6v37tU0

少女「うん、まぁそうなんだけど」

ロボ「やっぱ死ねないんじゃねーか」

少女「仮に」

ロボ「お、仮定の話だ」

少女「そう。仮に、ロボが死ねるとするでしょ?」

ロボ「うん」

少女「そうなったら、どうなるでしょーうか」

31: 2009/02/28(土) 00:42:24.11 ID:0p6v37tU0

ロボ「えー、意味わからん」

少女「考えて考えて」

ロボ「うーん・・・、俺が死ねるとしたら・・・」

少女「そうそう」

ロボ「あ」

少女「なに?」

ロボ「俺は死ねたら、死ぬわ」

少女「うーん、おしい」

33: 2009/02/28(土) 00:44:32.98 ID:0p6v37tU0

ロボ「おしい?なんで?」

少女「あってるけど、そうじゃない」

ロボ「そうじゃない?」

少女「うん」

ロボ「ってことは、答えは一つじゃない?」

少女「そう」

ロボ「なんだよ、早く言えよー」

少女「ごめんね」

34: 2009/02/28(土) 00:46:05.04 ID:0p6v37tU0


少女「正解は・・・」

ロボ「もう一つの正解は?」

少女「私が、ひとりになる」

ロボ「お前が、ひとりになる?」

少女「うん、そう」

ロボ「俺が死ねたら、俺は死ぬ。俺が死んだら、お前はひとりになる」

少女「その通り」

ロボ「なるほど」

35: 2009/02/28(土) 00:47:30.34 ID:0p6v37tU0

少女「ロボが死ねたら、ロボは死んで、私はひとりになる」

ロボ「ふーん。それがなんで、『駄目』?」

少女「私が寂しいから」

ロボ「それお前の都合じゃん」

少女「そう。勝手でしょ?」

ロボ「うん、勝手だ。人間は勝手だよなー」

少女「そういうもんだよ」

36: 2009/02/28(土) 00:48:49.46 ID:0p6v37tU0

ロボ「あ」

少女「ん?」

ロボ「閃いた」

少女「なにを?」

ロボ「人間が勝手なんじゃなくてさ」

少女「うん」

ロボ「お前が勝手なんじゃねーの?」

少女「バレたか」

37: 2009/02/28(土) 00:50:22.33 ID:0p6v37tU0

ロボ「お、当たり?当たった?」

少女「よく分かったね」

ロボ「そりゃーな。俺、学習するタイプだから」

少女「そうだね。ロボはちゃんと、学習するタイプ」

ロボ「そうそう」

少女「ふふ」

38: 2009/02/28(土) 00:52:17.73 ID:0p6v37tU0

ロボ「あ、じゃーさ」

少女「ん?」

ロボ「今まで勝手だ、と思ってた人間達はさ」

少女「うん」

ロボ「実は勝手じゃない?」

少女「うーん・・・、そうでもないかな」

ロボ「そーか、じゃあやっぱり人間は勝手か」

少女「そう。人間は勝手なんだよ」

39: 2009/02/28(土) 00:54:20.80 ID:0p6v37tU0

ロボ「・・・はぁ。でもやっぱり俺、死にてーな」

少女「死ねないー」

ロボ「そうだけど・・・。仮に、だ」

少女「お、仮定の話だ」

ロボ「そうそう。仮に死ねたら、やっぱ死にてーよ」

少女「それだと私が寂しいじゃん」

ロボ「そーだ。どうすっかな」

少女「考えて考えて」

40: 2009/02/28(土) 00:55:36.95 ID:0p6v37tU0

ロボ「うーん・・・」

少女「思いついた?」

ロボ「駄目だ、難しいわ」

少女「じゃあ、教えてあげようか」

ロボ「なにを?」

少女「答え」

ロボ「知ってんの?」

少女「知ってるよ」

42: 2009/02/28(土) 00:56:59.86 ID:0p6v37tU0

ロボ「なんだよー」

少女「ごめんね」

ロボ「わかんねーから、聞いてんのかと思った」

少女「わかんなくないよ」

ロボ「マジかよ」

少女「マジマジ。私超頭いいんだよ、知らなかった?」

ロボ「知ってたよ」

43: 2009/02/28(土) 00:58:19.12 ID:0p6v37tU0

少女「答えはね・・・」

ロボ「うん」

少女「一つ目は、ロボが我慢する」

ロボ「我慢?」

少女「そう、死ぬのを、我慢する」

ロボ「死ねないのに?」

少女「これは、仮定の話だって」

ロボ「ああそーか。忘れてたわ」

44: 2009/02/28(土) 01:00:05.83 ID:0p6v37tU0

少女「二つ目は・・・」

ロボ「また、答えは一つじゃない?」

少女「そう。なんにでも答えが一つとは、限らない」

ロボ「なるほど」

少女「二つ目は、ロボも私も、死ぬ」

ロボ「俺も、お前も、死ぬ?」

少女「そうそう」

45: 2009/02/28(土) 01:02:01.31 ID:0p6v37tU0

ロボ「どういうこと?」

少女「ロボと一緒に死ねば、私は一人じゃないよね?」

ロボ「うん」

少女「で、ロボも死ねるじゃん」

ロボ「あー、そーか」

少女「そうそう」

ロボ「お前、やっぱ頭いーなー」

少女「そうでしょ」

46: 2009/02/28(土) 01:03:15.19 ID:0p6v37tU0

ロボ「俺が死ぬのを我慢するか」

少女「うん」

ロボ「俺とお前が一緒に死ぬか」

少女「そう」

ロボ「あー、どっちがいいかなー・・・」


少女「でもこれは、仮定の話」

ロボ「あ、そーか。忘れてたわ」

48: 2009/02/28(土) 01:05:22.30 ID:0p6v37tU0

少女「まずは、死ぬ方法を考えなきゃね」

ロボ「そーか、死ぬ方法か」

少女「やっぱいいよ、考えないで」

ロボ「は?なんで?」

少女「ロボに死んで欲しく無いから」

ロボ「お前は勝手だよなー」

少女「私は勝手なんだよ」

50: 2009/02/28(土) 01:07:28.72 ID:0p6v37tU0

ドーン ドーン・・・

ロボ「お」

パラパラパラ チュドーン・・・

少女「・・・始まった」

ロボ「勝手な人間が、勝手に争って」

ロボ「勝手に死んでく」

少女「・・・・・・・・・」

ロボ「・・・ん?勝手な人間は争ってっけど」

ロボ「勝手なお前は、争わねーの?」

少女「・・・ううん、私も争ってる」

51: 2009/02/28(土) 01:08:51.83 ID:0p6v37tU0

ロボ「マジで?」

少女「マジマジ」

ロボ「でもお前、ここにいるじゃん」

少女「ここに居ながら、争ってる」

ロボ「え?それってすごくね?」

少女「すごいって言われるけど、全然すごくない」

ロボ「ふーん?よくわかんねーな」

52: 2009/02/28(土) 01:11:39.01 ID:0p6v37tU0

少女「あそこで爆発したのは、私の開発した奴」

ロボ「へー」

少女「今飛んでったのは、改良したやつかな」

ロボ「へー」

少女「私は争って無くても、この爆発も、爆発させた機械も全部」

少女「・・・この争いは、私が作ったんだよ」

ロボ「・・・・・・・・・」

53: 2009/02/28(土) 01:13:02.05 ID:0p6v37tU0

少女「ロボのことも、そうやって作ったんだ」

ロボ「マジで?」

少女「マジマジ」

ロボ「えー。でも俺、もう人間殺さなくていーんだろ?」

少女「うん。もう殺さなくていいんだよ」

ロボ「そーか」

少女「うん」

54: 2009/02/28(土) 01:14:20.80 ID:0p6v37tU0

ロボ「ん?」

少女「え?」

ロボ「おかしくね?」

少女「なにが?」

ロボ「コレで使われてんの、お前が作ったんだよな?」

少女「うん」

ロボ「でもお前が使ってる訳じゃねーよな?」

少女「・・・・・・・・・」

ロボ「お前、使って欲しくて作ったの?」

56: 2009/02/28(土) 01:15:47.59 ID:0p6v37tU0

少女「最初は、そうだったかも」

ロボ「最初は?」

少女「うん。前は、ね」

ロボ「今は?」

少女「今は・・・」

ロボ「うん」

少女「・・・使って欲しく、ないかな」

ロボ「じゃあ、おかしーじゃねーか」

少女「・・・え?」

57: 2009/02/28(土) 01:17:49.74 ID:0p6v37tU0

ロボ「お前が作ったのを使って、こいつらが争ってる」

少女「うん」

ロボ「じゃあ、お前は関係ねーじゃん」

少女「関係なくはないでしょ」

ロボ「関係なくはないか。でもさ」

少女「うん」

ロボ「お前が使って争ってねーなら、お前は関係ねーよ」

少女「・・・・・・・・・」


少女「・・・マジ、で?」

ロボ「マジマジ」

58: 2009/02/28(土) 01:19:25.17 ID:0p6v37tU0

ロボ「俺も争ってないし、関係ないわ」

少女「・・・・・・・・・」

ロボ「勝手だよなー、こいつらは」

少女「・・・・・・・・・」

ロボ「勝手に争ってろよ。俺たち関係ねーから」

少女「・・・・・・・・・」

ロボ「・・・は?」

ロボ「なに、お前」


ロボ「泣いてんの?」

61: 2009/02/28(土) 01:23:31.46 ID:0p6v37tU0

―――少女は嗚咽をあげるでもなく、顔を隠すでもなく、涙を流した。

     溢れ出した涙を止めようともせず、ただひたすら、涙を流していた。

     泣けないロボは、意味も分からずおろおろするばかりで、

     しかしその場からは動かず、ただ少女の隣で座っていた。

63: 2009/02/28(土) 01:24:47.34 ID:0p6v37tU0

ロボ「な、なぁ。泣くって、どーいう感じ?」

少女「・・・うーん、どうだろ」ズッ

ロボ「すっきりすんの?」

少女「する人も、いる」

ロボ「じゃあ、お前はしないんだ」

少女「うん」

ロボ「ふーん」

少女「・・・うん」

65: 2009/02/28(土) 01:26:27.06 ID:0p6v37tU0

ロボ「でもさ、アレだな」

少女「何?」

ロボ「お前が泣いてんの見てんのは、なんか落ち着かねーな」

少女「嘘を付け」

ロボ「なんだよ、嘘なんか付いてねーよ」

少女「ロボに『落ち着かない』とか、そういうのないから」

ロボ「マジだって、マジで落ち着かなかったんだって!」

少女「・・・ふふ」

67: 2009/02/28(土) 01:27:44.38 ID:0p6v37tU0

ロボ「あ」

少女「ん?」

ロボ「閃いた」

少女「なにを?」

ロボ「もしかして人間も、落ち着かねーんじゃね?」

少女「どういうこと?」

ロボ「人間も誰かが泣いてんの見ると、落ち着かねーんだろ?」

68: 2009/02/28(土) 01:30:13.42 ID:0p6v37tU0

少女「うーん、どうだろ」

ロボ「違うの?」

少女「たぶん、違くないと思う」

ロボ「だろ?じゃあ、正解じゃん」

少女「でも、ロボにはそんなことないよ」

ロボ「なんだよ、決め付けんなよ」

少女「私が作ったんだから、そうなんだよ」

ロボ「なんにでも答えが一つとは、限らない」

少女「ロボに関してはそーでもないよ」

70: 2009/02/28(土) 01:31:30.35 ID:0p6v37tU0

ロボ「お前の思い違いかも知んねーじゃん」

少女「私が頭良いって、知らないの?」

ロボ「知ってるけど」

少女「けど?」

ロボ「お前、結構馬鹿じゃん」

少女「マジで?」

ロボ「マジマジ」

72: 2009/02/28(土) 01:33:05.64 ID:0p6v37tU0

少女「あー・・・、そーか」

ロボ「そーだそーだ」

少女「うん、そうかも知れない」

ロボ「お前は馬鹿だよ」

少女「そうだ、私は馬鹿だ」

ロボ「俺を作るときにも、失敗くらいし兼ねねーよ」

少女「そーかそーか」

74: 2009/02/28(土) 01:34:19.10 ID:0p6v37tU0

ロボ「じゃ、俺も案外死ぬかも知んねーな」

少女「それは無理」

ロボ「マジで?」

少女「マジマジ」

ロボ「お前の間違いかも知んねーじゃん」

少女「ロボに『死ぬ』なんて概念、無いんだってば」

ロボ「はー、超死にてぇ・・・」

少女「駄目だって」

75: 2009/02/28(土) 01:36:22.77 ID:0p6v37tU0

ロボ「お前が一人になるから?」

少女「私が一人になるから」

ロボ「じゃあ、仮に」

少女「お、仮定の話だ」

ロボ「そう。仮に、お前が死んだらどうすんだよ」

少女「え?」

ロボ「お前が死んだら、俺が一人になるじゃねーか」

少女「そーだ。どうしよう」

ロボ「考えて考えて」

76: 2009/02/28(土) 01:38:01.79 ID:0p6v37tU0

少女「・・・うーん。じゃあ、仕方ない」

ロボ「なに?」

少女「その時は一緒に死のう、それしかないよ」

ロボ「俺とお前で?」

少女「そうそう」

ロボ「そんなこと出来んの?」

少女「そういうふうに改造すれば、出来るかな」

ロボ「なるほど」

78: 2009/02/28(土) 01:39:20.01 ID:0p6v37tU0

少女「私が死なない、って選択肢は絶対無理だし」

ロボ「そりゃそーだ。人間は絶対死ぬ」

少女「そう。だから、ロボを殺すしかない」

ロボ「俺、死ねんの?」

少女「厳密には違うんだけど、そういうことには出来る」

ロボ「そーか。お前やっぱ頭いーな!」

81: 2009/02/28(土) 01:40:45.86 ID:0p6v37tU0

少女「でも」

ロボ「なに?」

少女「私、まだ死にたくないからもうちょい待って」

ロボ「えー、なんでだよ」

少女「なんとなく」

ロボ「お前は本当に勝手だよな」

少女「私は本当に勝手なんだよ」

83: 2009/02/28(土) 01:41:59.02 ID:0p6v37tU0

ロボ「さっさと殺してくれればいーのに」

少女「駄目駄目」

ロボ「えー」

少女「もうちょっとしたら、一緒に死のう」

ロボ「マジで?」

少女「マジマジ」

ロボ「じゃあ少しだけ、死なないでいーわ」

少女「ありがと」

84: 2009/02/28(土) 01:43:37.29 ID:0p6v37tU0

―――少女とロボは、生きていく。

     世界で一番高いとこから、お互いの世界を焼き合う人間を見ながら。

     楽しいお喋りを続けて、そのお喋りがどちらからともなくやむまで。

     二人っきりで、生きていく。


ロボ「あ」

少女「ん?」

ロボ「閃いた」

少女「なにを?」

ロボ「お前、一人になりたくねーんだよな?」

少女「うん」

86: 2009/02/28(土) 01:44:57.16 ID:0p6v37tU0

ロボ「ってことは、俺と一緒に居たいってことだよな?」

少女「そうだよ」

ロボ「それってさ」

少女「うん」

ロボ「お前が俺の事、好きだってことじゃねーの?」

少女「バレたか」

ロボ「人間は勝手だよなー」

少女「人間は勝手なんだよ」

チュドーン ドーン ドーン・・・



fin...

87: 2009/02/28(土) 01:45:31.82
おつだぜ

89: 2009/02/28(土) 01:46:42.53
素晴らしい。乙

引用元: 少女「人間は勝手なんだよ」