1: 2010/02/14(日) 13:28:37.04 ID:PxJSDl2H0
アスカ「はぁ?あいつはがおかしいのはいつものことじゃない」
シンジ「そ、そんなことないと思うけど……」
アスカ「で、具体的にどうおかしいってのよ?」
シンジ「心ここにあらずっていうか、ぼーっとしてるっていうか」
アスカ「それこそいつものことじゃない」
シンジ「で、でも……ほら、綾波を見てみなよ」
アスカ「ファーストを?」
レイ「…………」
ヒカリ「あ、綾波さん?その、濡れていない雑巾を絞っても意味無いと思うんだけど……」
レイ「……そうね」
シンジ「ね?」
アスカ「…………」
2: 2010/02/14(日) 13:32:19.98 ID:PxJSDl2H0
シンジ「綾波、どうかしたのかなぁ」
アスカ「どうせ放課後のことを考えて緊張してるんじゃない?」
シンジ「そっか、緊張かぁ……最近の綾波って、年頃の女の子らしくて可愛いよね」
アスカ「ふんぬっ!!」
シンジ「あだっ!な、なんで脛を蹴るのさ!!」
アスカ「教室でニタニタ気持ち悪く笑ってるからよ!」
シンジ「うう……それにしても、放課後に何かあるのかな」
アスカ「……はぁ?」
シンジ「緊張するってことは、放課後に何かあるってことじゃないか。アスカ、何か知ってる?」
アスカ「本気で言ってるわけ?」
シンジ「本気も何も、放課後はシンクロテストがあるってことくらいしか」
アスカ「…………」
シンジ「起動実験ならともかく、シンクロテストにそこまで緊張することも無いと思うし」
5: 2010/02/14(日) 13:36:29.14 ID:PxJSDl2H0
アスカ「はぁーあ……」
シンジ「どうしたの?」
アスカ「こんのトーヘンボク!!あんた、まさか本気でわかってないわけ!?」
シンジ「な、何を怒ってるのさ」
アスカ「もう知らない!先にNERVに行ってるから!」
シンジ「あ、うん……」
アスカ「あんたなんて、食べ過ぎて鼻血出して出血多量でブッ倒れちゃえばいいのよ!!ふん!!」
バタン!!
シンジ「……あ、アスカ……」
シンジ「…………」
シンジ「…………」
シンジ「節分なら、もう終わったのになぁ」
6: 2010/02/14(日) 13:40:25.55 ID:PxJSDl2H0
レイ「…………碇くん」
シンジ「うわあっ!?」
レイ「……どうしたの」
シンジ「う、ううん何でも……掃除は終わったの?」
レイ「ええ、終わったわ」
シンジ「そっか。それじゃ、僕たちもNERVに行こう」
レイ「……一緒に行くの?」
シンジ「え……」
レイ「…………」
シンジ「も、もしかして、嫌なの?」
レイ「……?どうして、そういうこと言うの」
シンジ「い、いや、だって」
レイ「……別に、嫌じゃないわ」
シンジ「そ、そう……」
9: 2010/02/14(日) 13:43:30.99 ID:PxJSDl2H0
レイ「行きましょう」
シンジ「あ、うん」
レイ「…………」
トウジ「お?なんや二人して帰りかいな」
シンジ「うん、今日はNERVでシンクロテストがあるんだ」
トウジ「そいつはご苦労さん。二人とも気ぃつけてな」
レイ「ええ、また明日」
トウジ「…………」
シンジ「…………」
レイ「……どうしたの?」
トウジ「い、いやあ、綾波がわいに挨拶してくれるなんて珍しい思ってな」
シンジ「そ、そうだね」
10: 2010/02/14(日) 13:45:32.94 ID:PxJSDl2H0
トウジ「なんや綾波、何か良いことでもあったんかいな」
シンジ「そうだね、なんだか浮かれてるように見えるし」
レイ「……別に、何も無いわ」
トウジ「さよか?ほな、また明日な」
シンジ「うん、じゃあね」
レイ「…………」
シンジ「でもびっくりしたなぁ、綾波が普通に挨拶するなんて」
レイ「……何か、おかしかったかしら」
シンジ「ううん、すごく良いことだと思うよ」
レイ「そう」
13: 2010/02/14(日) 13:48:48.18 ID:PxJSDl2H0
シンジ「…………」
レイ「…………」
シンジ「綾波、そのカバンに何か入れてるの?」
レイ「…………!」 ピクッ
シンジ「なんだか、さっきから大事そうに抱えてるけど」
レイ「……何も無いわ」
シンジ「そう?あ、バスが来たよ」
レイ「そうね」
シンジ「…………」
レイ(もしかして、今のがチャンスというものだったの)
シンジ「このバス、NERV本部で降りるのって僕たちくらいなんだよねー」
レイ(それを活かせなかったとは、不覚……いえ、まだ時間はあるもの。大丈夫)
シンジ「もしかして、運転手さんもNERV関係者なのかな」
レイ「大丈夫。いけるわ」
シンジ「え?何が?」
15: 2010/02/14(日) 13:52:18.62 ID:PxJSDl2H0
冬月「……碇」
ゲンドウ「なんだ」
冬月「チルドレンは全員、本部に到着したそうだ」
ゲンドウ「そうか」
冬月「……だから、そろそろ落ち着け」
ゲンドウ「何のことだ、冬月。ついにボケたか」
冬月「先ほどからウロウロウロウロと、職員が青ざめていたではないか」
ゲンドウ「……問題無い」
冬月「大有りだ」
ゲンドウ「間もなくシンクロテストが始まる。我々も立ち会うぞ」
冬月「ああ、頼むから研究棟では黙って座っていてくれ」
19: 2010/02/14(日) 13:56:16.54 ID:PxJSDl2H0
ミサト「はいはーい、三人とも揃ったことだし」
リツコ「本日のシンクロテストは1600から1730までの予定よ。マヤ、準備はぬかりないわね」
マヤ「はい先輩!」
ミサト「と、こ、ろ、でぇー」
シンジ「な、なんですか」
ミサト「なんでアンタたち、そんなにピリピリしてるわけ?」
シンジ「知りませんよ、僕が知りたいくらいです」
ミサト「ふーん……あー、なるほどねぇ」
シンジ「?」
ミサト「くっふっふー……シンちゃんも隅に置けないわねぇー、くのっくのっ」
シンジ「え、ええ?」
リツコ「ミサト、雑談はそこまでにして頂戴。極力スケジュールに狂いは出したくないの」
ミサト「へいへい。そんじゃ三人とも、準備して」
21: 2010/02/14(日) 13:59:20.58 ID:PxJSDl2H0
アスカ「…………」 プシュッ
レイ「…………」
アスカ「ちょっと」
レイ「…………」
アスカ「ちょっと!いつまでカバン抱きしめたままつっ立ってるつもりよ!」
レイ「……弐号機パイロット」
アスカ「いいからちゃっちゃと着替えなさい!またリツコにぐちぐちねちっこく怒られるわよ!!」
ピーーッ
リツコ『……聞こえてるわよ、アスカ』
アスカ「げっ」
レイ「…………」 ヌギヌギ
22: 2010/02/14(日) 14:02:59.24 ID:PxJSDl2H0
シンジ「あ、二人とも遅かったね」
アスカ「あたしのしじゃないわよ!」
レイ「……ごめんなさい」
シンジ「あ、綾波を責めてるわけじゃないよ!」
アスカ「なーによ、いじらしくフォローしちゃったりしてさ」
シンジ「そ、そんなんじゃないってば!」
リツコ「全員、揃ったわね。マヤ、いける?」
マヤ「はい!」
レイ「…………」 ソワソワ
リツコ「あらレイ、どうかしたの?」
レイ「……いえ、何でもありません」
リツコ「そう?それじゃ、全員プラグに向かってちょうだい」
レイ(……早く終わらせて帰りたい……)
24: 2010/02/14(日) 14:07:52.72 ID:PxJSDl2H0
リツコ「シンジくん、もう0.8下げられるわね。マヤ、お願い」
マヤ「はい!」
ミサト「シンちゃん、調子いいわね」
リツコ「そうね。レイとアスカは?」
マヤ「どちらも安定しません。汚染区域までは、まだ若干の余裕がありますが」
ミサト「あのアスカならともかく、レイのシンクロが不安定になるなんて珍しいんじゃない?」
リツコ「そうね。感情の起伏が激しいアスカならともかく、レイが……」
ミサト「んまーあ、今日はあの日だしねー。レイもちょっと浮かれちゃってるんじゃないの?へっへっへ」
リツコ「ミサト、テスト中よ。あまり無駄口を叩かないで」
ミサト「へーいへい、悪かったわよ」
リツコ「それと司令、あまりうろちょろしないでください。職員が困っています」
ゲンドウ「……問題ない」
26: 2010/02/14(日) 14:12:24.77 ID:PxJSDl2H0
リツコ「お疲れ様。三人とも、あがっていいわよ」
レイ(後は渡すだけ、でも……気に入ってくれるかしら)
シンジ「このLCLから出る瞬間って、どうしても慣れないんだよねー」
アスカ「相変わらずお子様ねー、こんなのザバッと上がってウゲッと吐き出すだけじゃない」
レイ(もし渡して、嫌な顔をされたら……)
シンジ「う、ウゲッって……女の子がそういうこと言っていいのかな」
アスカ「だって本当のことだしぃー」
レイ(きっと、とても哀しい気持ちになる……そう、これが哀しいということなのね)
リツコ「……ちょっと、レイ」
レイ「……はい、赤木博士」
リツコ「あなた、そのままそこに住むつもり?」
レイ「…………」
リツコ「…………」
レイ「……今、上がります」
27: 2010/02/14(日) 14:16:24.24 ID:PxJSDl2H0
リツコ「はい、これが今回のテストの結果よ」
ミサト「シンちゃん、結構良くなってきてるじゃない……アスカは今回、ちょーっち調子が悪かったみたいね」
アスカ「う、うっさいわね……ちょっとムカムカしてただけよ」
シンジ「あ、あはは……ありがとうございます」
リツコ「これは単純にグラフ化したものだから。分析結果が出るまでもう少し待っていてちょうだい」
アスカ「ええー?いつもはこれで終わりじゃない」
リツコ「司令がね、数値以外も詳細に結果として残すようにって」
アスカ「またあのヒゲ眼鏡、余計なことばっかり言ってくるんだから」
リツコ「それとアスカ」
アスカ「何よ?……うげっ」
ゲンドウ「…………」
リツコ「発言する前に、よく周囲のことを確認するべきね」
28: 2010/02/14(日) 14:19:31.20 ID:PxJSDl2H0
レイ(こういう時のために予備は用意してある。ぬかりないわ)
ミサト「そんじゃ、結果が出たら呼ぶから。適当に休んでて」
シンジ「はい、僕は休憩所の辺りにいると思います」
アスカ「それじゃあたしも。ファーストは?」
レイ「……先に行ってて」
シンジ「う、うん……それじゃ、また後でね」
レイ「…………」
冬月「……あー、レイ」
レイ「副司令」
冬月「碇のやつは司令室にいるぞ」
レイ「……それが何か?」
冬月「いや、伝えるように頼まれてな」
レイ「……そうですか」
29: 2010/02/14(日) 14:25:20.07 ID:PxJSDl2H0
レイ「……司令」
ゲンドウ「なんだ、レイ。私は忙しい」
レイ「ではどうしてコーヒーメーカーの前から動かないのですか」
ゲンドウ「…………」
レイ「これを」
ゲンドウ「私にくれるのか」
レイ「はい」
ゲンドウ「……冬月」
冬月「ああ、なんだ」
ゲンドウ「デジカメをよこせ」
冬月「嬉しいなら嬉しいと言え」
ゲンドウ(この、ラッピングも飾りつけもしていない無骨なチョコレート……フッ、レイらしいな)
レイ「早く食べてください」
ゲンドウ「ああ」
30: 2010/02/14(日) 14:28:34.59 ID:PxJSDl2H0
冬月「しかし、いいのかね」
レイ「問題ありません。それは予備」
冬月「予備?」
レイ「はい。もし碇くんが普通ではないものを望んだ場合は、そちらを……」
冬月「……おい碇、食べるのはもう少し待て」
ゲンドウ「…………」
冬月「……遅かったか」
ゲンドウ「…………ふっ、問題なコフッ」
レイ「……そう。これは駄目なのね」
冬月「ああ、私だ。医療班を呼んでくれんか。ああ、碇の奴がな」
ゲンドウ「…………」 ダラダラ
冬月「鼻血どころか耳血まで出ている有り様だ。ああ、頼む」
33: 2010/02/14(日) 14:33:28.07 ID:PxJSDl2H0
冬月「……しかし、あのチョコは一体」
レイ「……碇くんは、甘いものが好きだと言っていました」
冬月「それで、何を入れたのかね?」
レイ「精白糖と練乳とサッカリンナトリウムを」
冬月「家庭料理にサッカリンとは、あまり感心せんな」
レイ「なかなか溶解しませんでした」
冬月「それで、どうするのかね」
レイ「問題ありません。碇くんに渡すものは普通のもの」
冬月「……綺麗なラッピングだな。おまけにメッセージカード付きか」
レイ「……はい」
冬月「それは碇には見せない方がいいだろう。もう行きなさい」
レイ「はい」
冬月「頑張るんだぞ」
レイ「……はい」
36: 2010/02/14(日) 14:35:53.77 ID:PxJSDl2H0
レイ(……やはり、普通のものの方が良かったのね)
レイ(…………)
レイ(でも、これだけで良いのかしら)
レイ(普通ということは、ありふれているということ)
レイ(インパクトが足りないかもしれない)
レイ「……こういうことは、年長者に聞くべきね」
プシュッ
ミサト「あら?レイじゃない」
レイ「……葛城三佐、赤木博士は」
ミサト「ああ、リツコならデータを取りに行ってるわよん」
レイ「……そうですか」
39: 2010/02/14(日) 14:41:01.58 ID:PxJSDl2H0
ミサト「んっふっふー、ねえレイ」
レイ「……はい?」
ミサト「そのチョコ、シンちゃんにあげるんでしょぉー」 ニヤニヤ
レイ「…………」
ミサト「んもうっ!レイがこんなに愛くるしい女の子になるなんて、お姉さんも予想外だわ!」 ムギュウ
レイ「……葛城三佐、苦しい」
ミサト「シンちゃんなら休憩所にいるわよ」
レイ「……そのことで、赤木博士に相談が」
ミサト「うん?リツコは今いないけど、あたしなら相談にのれるわよん」
レイ「葛城三佐に相談すべきではないと私の心が」
ミサト「ぬがっ、失礼ねー……あたしだって年長者、伊達に長生きしてないわよ!」
レイ「……長生き」
ミサト「そうよ!」
レイ(……危ない、今ばーさんと言いそうになった。この人にその発言は危険すぎる)
50: 2010/02/14(日) 15:11:30.13 ID:PxJSDl2H0
ミサト「それで、何を相談しに来たのかしらん?」
レイ「……碇くんは」
ミサト「シンちゃん?」
レイ「…………どうしたら、喜んでくれますか」
ミサト「んん?」
レイ「これ……とても、普通だから」
ミサト「シンちゃんが喜ばないかもしれない、って?」
レイ「…………」 コクリ
ミサト「だぁーいじょーぶよ、レイがくれたものなら何だって大喜びするわ」
レイ「でも……」
ミサト「大事なのはハートよ、ハート!ぐわーんといっちゃいなさい!」
レイ「…………」
53: 2010/02/14(日) 15:14:19.44 ID:PxJSDl2H0
ミサト「んー、でもそうねぇ」
レイ「?」
ミサト「これだけじゃ、ちょっちインパクトが足りないかもしれないわねー」
レイ「そう……駄目なのね、これでは」
ミサト「諦めるにはまだ早いわ!足りないのなら付け足すまでよ!」
レイ「……付け足す?」
ミサト「そうそう、ちょっち待っててねーっと……」 ガサゴソ
レイ「…………」
ミサト「えーっと……お、あったあった」
レイ「……リボン?」
ミサト「そっ!」
レイ「でも、ラッピングはもう」
ミサト「んっふっふー……これはね、チョコにつけるものじゃあないわ」
レイ「?」
56: 2010/02/14(日) 15:17:23.85 ID:PxJSDl2H0
ミサト「レイ、両手を出してくれる?」
レイ「はい」
ミサト「そんで、こうして両方の手首を結んでー、っと」
レイ「……手錠?」
ミサト「そんで、その手を胸の前に持っていくの」
レイ「……こうですか」
ミサト「そうそう!そんで、上目遣いでこう言うのよ!」
レイ「…………」
ミサト「シンちゃ……碇くん、チョコレートだけじゃなく私も食べて……」
レイ「…………」
ミサト「これならシンちゃんもイチコロよん!むしろ、これで落ちない男は存在しないわ!」
スッパァン!!
ミサト「あだっ!!」
リツコ「人がいない間に何をしてるのかしら」
61: 2010/02/14(日) 15:23:18.62 ID:PxJSDl2H0
リツコ「ああ、もう……レイ、今のアドバイスは忘れていいわよ」
レイ「?」
リツコ「そういうのはね、もっと親しくなってからやりなさい。いきなりやっては逆効果の可能性もあるから」
レイ「……わかりました」
ミサト「ちぇー、いい作戦だと思ったんだけどなー」
リツコ「そんなことよりレイ、今日はもう帰っていいわよ」
レイ「?」
ミサト「テスト結果の詳細を知らせるんじゃなかったの?」
リツコ「そのつもりだったのだけれど、司令があれではね」
ミサト「ああー、回覧の先頭って司令だものね」
リツコ「司令の許可無しに機密書類を回覧するわけにはいかないわ。ということで、今日はもうお開きというわけ」
ミサト「これだけ待たせてそれー?勘弁してよ、もう」
レイ「…………」
64: 2010/02/14(日) 15:27:26.18 ID:PxJSDl2H0
シンジ「それにしても、綾波はどうしたのかなぁ」
アスカ「あんた、まだ気になってるわけ?」
シンジ「そりゃ気になるよ」
アスカ「だったら本人に直接聞けばいいじゃない」
シンジ「それは……その、気が引けるっていうか」
アスカ「はぁ……あんた、今日が何の日か本当にわかんないわけ?」
シンジ「え?今日って、バレンタインじゃないか」
アスカ「……何よ、わかってるんじゃない」
シンジ「それがどうかしたの?」
アスカ「あんた、本気で言ってるわけ?」
シンジ「バレンタイン、いつもと違う綾波、何だか浮かれてるような……あ」
アスカ「そこまで考えたらわかるでしょ、普通」
シンジ「ああ、そっか、なるほど」
アスカ「どこまで鈍いのかしらね、こいつの頭は」
65: 2010/02/14(日) 15:30:16.45 ID:PxJSDl2H0
シンジ「そっかぁー……うーん」
アスカ「何よ、難しい顔しちゃって」
シンジ「綾波、誰かにチョコあげるのかなぁ……いいなぁ」
アスカ「」
シンジ「いいなぁ、僕にもくれないかなぁ」
アスカ「ここまで鈍いと、怒りを通り越して呆れるしかないわね」
シンジ「え?何か言った?」
アスカ「べっつにー?ってことで、ハイこれ」
シンジ「え?何これ」
アスカ「見てわかんないわけ?チョコレートよ、チョコレート」
シンジ「これをどうすればいいの?」
アスカ「あんたにやるっつってんのよ!どこまで鈍くなりゃ気が済むわけ!?」
68: 2010/02/14(日) 15:35:11.15 ID:PxJSDl2H0
シンジ「え、いいの!?」
アスカ「言っとくけど、義理よ義理」
シンジ「わかってるよ、ありがとう!」
アスカ(さらっと『わかってる』って言われるのも、なんだか腹立つわね)
シンジ「うわぁ、本当に嬉しいなぁ」
アスカ「な、何よ、そんなに嬉しいわけ?」
シンジ「うん!」
アスカ「そ、そう……まあアンタみたいなモテない男は、そんな義理チョコでも嬉しいわよね!」
レイ「…………」
シンジ「ああ、綾波。どこ行ってた……の……」
アスカ「遅かったじゃないファースト、結果はまだ……出て……」
レイ「…………」
シンジ「あ、綾波?」
レイ「……なに」
73: 2010/02/14(日) 15:38:13.60 ID:PxJSDl2H0
シンジ「な、なんで怒ってるの?」
レイ「……何を言うの。怒ってなんかいないわ」
シンジ「そ、そう……」
アスカ「そ、それよりファースト!テストの結果はまだ出ないわけ!?」
レイ「……司令の都合により延期。後日改めて結果が出るわ」
アスカ「はぁー?まったくあのヒゲ、肝心な時に駄目なんだから」
シンジ「あの、一応息子の前でそういうことは……」
アスカ「それじゃ、あたし帰る!」 ガタッ
シンジ「え?あ、じゃあ……」
レイ「待って」
シンジ「え?」
レイ「……碇くんは、まだ帰っては駄目」
74: 2010/02/14(日) 15:42:22.42 ID:PxJSDl2H0
リツコ「それにしても、あのレイがバレンタインとはね」
ミサト「あの表情、まるで恋する乙女だもの。可愛かったわー」
リツコ「そうね……そんな乙女に、あなたはどんな知識を植え付けようとしていたのかしら」
ミサト「あ、あはは……さすがのレイも本気にゃしないわよー」
リツコ「甘いわね。あの子、年長者に言われたことと本に書いてあることはすぐ真に受けるのよ」
ミサト「……マジで?」
リツコ「ええ」
ミサト「な、なはは……ってことはー、その」
リツコ「なに?」
ミサト「冗談半分で、出て行くときにリボン押し付けちゃったんだけど……」
リツコ「…………」
ミサト「まずったかしら?」
リツコ「ええ、まずったわね」
75: 2010/02/14(日) 15:44:54.71 ID:PxJSDl2H0
レイ(すでに碇くんは弐号機パイロットからチョコレートを受け取った)
レイ(……このままでは私は二番。インパクトで負けてしまう)
レイ(作戦甲は中止。作戦乙に以降する)
シンジ「あ、綾波……?」
レイ「碇くん」
シンジ「う、うん」
レイ「…………」
シンジ「…………?」
レイ「……その」
シンジ「う、うん?」
レイ「…………」
シンジ「…………」
レイ(……何を言えばいいの……)
77: 2010/02/14(日) 15:46:56.22 ID:PxJSDl2H0
レイ(シミュレートは完璧なはずなのに……)
レイ(言葉が出てこない。心臓が鳴りっぱなし。とても変)
レイ(なんだか顔が熱い気がする……どうすればいいの)
シンジ「……あ、綾波?」
レイ「……碇、くん」
シンジ「は、はいっ」
レイ「……あの」
シンジ「…………」
レイ「……これ」
シンジ「え」
78: 2010/02/14(日) 15:48:48.61 ID:PxJSDl2H0
レイ「…………」
シンジ「こ、これ……僕に?」
レイ「……碇くんに」
シンジ「あ、綾波が?」
レイ「……私が」
シンジ「く、くれるの?」
レイ「……あげたいの。碇くんに」
シンジ「…………」
レイ「…………」 フルフル
シンジ「……あ、ありがとう!」
レイ「…………」
シンジ「あ、綾波に貰えるとは思ってなかったから……本当に嬉しいよ、ありがとう!」
79: 2010/02/14(日) 15:51:05.72 ID:PxJSDl2H0
レイ「嬉しいの?」
シンジ「うん、すごく嬉しいよ」
レイ「そう……碇くん、嬉しいのね」
シンジ「うん!」
レイ「そう……良かった」
シンジ「お返し、期待しててね」
レイ「……ええ」
シンジ「うわぁ、嬉しいなぁ……」
レイ「でも、駄目なの」
シンジ「え?」
レイ「このままでは、私はただの二番煎じ。インパクトが足りないわ」
シンジ「え?え?」
81: 2010/02/14(日) 15:53:06.59 ID:PxJSDl2H0
レイ「ちょっと待って……」
シンジ「う、うん……?」
レイ「……困ったわ。一人では結べないのね」
マヤ「あら二人とも、まだ残ってたの?」
レイ「ちょうどいい……これ、結んでください」
マヤ「このリボンを……レイちゃんの手に結べばいいの?」
レイ「はい」
マヤ「よくわからないけど……はい、これでいいかしら?」
レイ「どうも」
マヤ「どういたしまして。それで、どうするの?」
レイ「…………」 ジッ
シンジ「えっ」
83: 2010/02/14(日) 15:55:00.57 ID:PxJSDl2H0
レイ「碇くん」
シンジ「は、はいっ?」
レイ「その……チョコレートと、一緒に」
シンジ「い、一緒に?」
レイ「……わ……私も、食べてほしいの」
シンジ「…………」
レイ「…………食べて、ほしいの」 モジモジ
シンジ「ブハッ!!」
89: 2010/02/14(日) 15:57:55.44 ID:PxJSDl2H0
レイ「碇くん……!?」
シンジ「あ、あやな、綾波、そんなことど、どこ、どこで覚えたの」
レイ「葛城三佐に……碇くん、出血がひどいわ」
シンジ「だ、大丈夫、すぐに止まるから……それよりもね」
レイ「…………?」
シンジ「そ、その、そういうことは……」
マヤ「…………」
シンジ「もう少し、その、時と場所と言うか、特に人前では言うべきじゃないよ」
マヤ「…………」
レイ「そうなの?」
マヤ「…………」
シンジ「そうだよ!こんな場所だと、誰が聞いてても……」
マヤ「…………」
92: 2010/02/14(日) 16:00:46.66 ID:PxJSDl2H0
シンジ「あ、あの」
マヤ「そう。二人っきりならいいの。へえ。そう」
レイ「伊吹二尉?」
マヤ「あ、私急がないと。先輩に書類届けなきゃ」
シンジ「は、話を聞いてください!」
マヤ「ねえ、シンジくん」
シンジ「えっ」
マヤ「…………不潔」 ボソッ
バタバタバタ……
シンジ「ちょっと、待ってください!!」
レイ「…………?」
94: 2010/02/14(日) 16:04:37.22 ID:PxJSDl2H0
次の日、NERV内では碇シンジと綾波レイの話でもちきりだったとか
嫉妬のあまり暴走しかけた碇ゲンドウを、冬月の叱責と赤木リツコの謎の薬で鎮圧したとか
何故かアスカは終始機嫌が悪かったとか
碇シンジは、メッセージカードに書かれた
「碇くん、いつもありがとう」
の一言に、思わず頬を弛ませたとか
色々なことはあったけれど、今、この世界は概ね平和であったとか
おしまい
97: 2010/02/14(日) 16:05:49.36 ID:PxJSDl2H0
聖バレンタインに、祝福を
お菓子メーカーに、利益を
そして、全てのチルドレンに
ハッピーバレンタイン
ケンスケ「バレンタインなんて無くなればいいのに」
99: 2010/02/14(日) 16:06:46.40
乙
優しい視線の話で良かった
優しい視線の話で良かった
104: 2010/02/14(日) 16:08:19.18 ID:PxJSDl2H0
>>99
やっぱり原作がああだとね、やっぱりみんなには幸せになってほしいし
エヴァSSはいつか書いてみたいと思ったから、良い経験になった
やっぱり原作がああだとね、やっぱりみんなには幸せになってほしいし
エヴァSSはいつか書いてみたいと思ったから、良い経験になった
106: 2010/02/14(日) 16:09:48.62 ID:PxJSDl2H0
もう15年も前の作品なんだよなぁ……
用語とか設定とか口調とか、うろ覚えの部分もあったから違和感があったらごめんね
用語とか設定とか口調とか、うろ覚えの部分もあったから違和感があったらごめんね
109: 2010/02/14(日) 16:12:50.80 ID:PxJSDl2H0
>>107
そうです、昨日の今日でエヴァSS書いちゃいました
>>108
和んだ
そうです、昨日の今日でエヴァSS書いちゃいました
>>108
和んだ
114: 2010/02/14(日) 16:22:46.88 ID:PxJSDl2H0
>>113
そうだね、いつかまた
LRSとかLASって最近の人には通じないのかな
そうだね、いつかまた
LRSとかLASって最近の人には通じないのかな
引用元: シンジ「綾波の様子がおかしいんだ」
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