2: 2016/04/06(水) 22:06:55.13 ID:Hk1w5i/90

春香「えーと、急にどうしたの?」ハテナ

千早「そうね、簡単に、分かりやすく言うなら……歌のためよ」

春香「ごめんね千早ちゃん、私、全然分からないや」

千早「そう……言葉を伝えるのは難しいわね」フゥ

春香「そういう問題でもないかなぁ。出来れば最初から説明してくれるかな?」

3: 2016/04/06(水) 22:08:22.24 ID:Hk1w5i/90

千早「分かったわ。それじゃあ最初から説明するわね」

春香「お願いします」

千早「およそ138億年前、何も無い空間に突如ビッグバンと呼ばれる現象が」

春香「遠い遠い最初過ぎるよ千早ちゃん」

千早「そう?」

春香「もうちょっと身近な、小さなスケールで語っていこう!」

千早「私、春香には大きな世界を見ていて欲しいのだけれど」

4: 2016/04/06(水) 22:11:00.51 ID:Hk1w5i/90

春香「えへへ、ありがとう。千早ちゃんにそう言ってもらえるなんて……でも、今
は身の回りの話をしようね」

千早「なるほど。たまには足元を見直すことも必要だということね」

春香「うんそうだね。えーと、それでどこまで話したんだっけ……て、結局まだ何も進んでない!」ガーン

千早「そうね、まだ宇宙が誕生してすらいないわ」

春香「うん、それは誕生した体でお願いします。それで、漫才をやることが、どうして歌に繋がるの?」

千早「様々なことを経験して、私の中の世界を広げたい、というのが大きな理由ね」

5: 2016/04/06(水) 22:14:20.47 ID:Hk1w5i/90

春香「あー、それで漫才選んじゃったかー」アチャー

千早「ええ」

春香「もうちょっと何かなかった? 例えば旅行するとかお芝居を観るとか、もっと簡単に、本を読むとか」

千早「そういうのもいいのだけれど、私、歌で誰かを笑顔にしたいと思って」

春香「ほうほう」

千早「私の歌に聞き入ってくれたり、感動してくれたり、時には涙すら流してくれたり、そういうファンの方は多いのだけれど、考えたら、私、歌で誰かを笑顔にできてるのかなって」

春香「うーん、結構みんな笑顔で観てくれてると思うけどなぁ」

千早「もっとみんなに笑顔になって欲しいのよ。苦しい時でも、辛い時でも、私の歌で笑顔になってもらえたら……」

6: 2016/04/06(水) 22:18:20.21 ID:Hk1w5i/90

春香「なるほど。そうやって千早ちゃんが辿り着いた答えっていうのが」

千早「漫才よ」

春香「千早ちゃんは面白いなぁ」

千早「そ、そんなことないわよ」テレテレ

春香「あ、そこ照れるとこなんだ」

千早「面白いだなんて、そんな、バラエティーの女王こと春香に比べたら……」


7: 2016/04/06(水) 22:21:56.76 ID:Hk1w5i/90

春香「ストップストップストップ! 何それ何その認めたくない通り名的なやつ!」

千早「え? 結構みんな言ってるわよ? さすがは女王、女王すげー、女王に全部持っていかれた、って」

春香「聞きたくなかった! 千早ちゃん、私、アイドル! アイドルだよ!」

千早「そう、アイドルという枠には収まらない、春香にはいつまでもそうあって欲しいものね」

春香「さっきの大きな世界ってそういうことだったの!? ちょっと感動した私の純情を返して!」

千早「三分の一の?」

春香「純情な感情!」

千早「壊れるほーど愛ーしてもー♪」

春香「さんぶんのいち-も伝ーわらなーい! て、違う! 伝わってないのは、今の私の気持ちだよ!」


8: 2016/04/06(水) 22:24:48.56 ID:Hk1w5i/90

千早「なるほど……これがノリツッコミ……」ゴクリ

春香「変なところで感心された!? いやいや、ちょっと待って。一度冷静になろう」

千早「言いにくいのだけれど、冷静じゃないのは多分春香だけよ」キッパリ

春香「全然言いにくくなさそう! ていうかそもそも誰のせい!?」

千早「ええと、プロデューサー?」

春香「へ? プロデューサーさん? なんで?」ハテナ


9: 2016/04/06(水) 22:28:06.72 ID:Hk1w5i/90

千早「漫才やりたいってプロデューサーに言ったら、春香にそのことを伝えて来ればいいって言われたから……」

春香「ちくしょうこっちに丸投げしやがったなあの敏腕プロデューサーめこんちくしょう!」ウガー

千早「春香、ダメよ、プロデューサーのことをそんな風に言っちゃ」

春香「そ、そうだね、ごめんなさい。うぅ……誰か助けて……」

オハヨウゴザイマース
アラオハヨウ イオリチャン キョウモハヤイワネ

春香「はっ! いおりん来た! これで勝つる!」

10: 2016/04/06(水) 22:31:45.01 ID:Hk1w5i/90

千早「水瀬さん?」

春香「そう、伊織。漫才に欠かせないものといえばツッコミ、そしてツッコミといえば伊織!」

千早「聞いたことがあるわ。どんな相手にも物怖じせずに斬り込んでいくその様、誰が呼んだか、ツッコミプリンセス!」

春香「あ、やっぱり伊織にもそういうのあるんだ……て、そうだ。漫才をやりたいなら、伊織に相談するのがいいんじゃないかな?」

千早「なるほど。一理あるわね」

春香「なんなら、そのまま伊織と組んじゃえばいいんだよ!」

千早「! ええ、流石は春香ね! じゃあ早速行ってくるわ。今年のM1で会いましょう!」

パタパタ

春香「多分今日もこの後会うだろうし、そもそもM1に出るつもりなんてさらさら無いんだけど……まあいいや。伊織、ごめん、がんばってね……」

11: 2016/04/06(水) 22:35:11.78 ID:Hk1w5i/90

千早「おはよう水瀬さん!」

伊織「あら、千早、もう来てたのね。おはよう……て、どうしたのよ、あんたにしては随分テンション高いじゃない」

千早「水瀬さんとM1を目指そうというのよ! 気持ちも昂ぶるというものだわ!」

伊織「はあ?」

千早「今日は二人の記念すべきスタートの日なのだから!」

伊織「何の話かさっぱりなんだけど……」

12: 2016/04/06(水) 22:39:16.79 ID:Hk1w5i/90

千早「私と水瀬さんがコンビを組んでM1優勝を目指すという話よ?」

伊織「はあっ!?」

千早「まずはコンビ名を決めないとね。分かりやすく、ちーちゃんいおりん、いや、ここはやはり先達である水瀬さんを立てる意味でも、いおりんちーちゃんの方がいいかしら?」

伊織「ストップストップ待ちなさい! 何で私たちが漫才やることになってんのよ! なに、またあのアホがアホな仕事取って来たわけ!?」

千早「仕事? いえ、完全にプライベートだけれど」

伊織「ますます意味が分からないわよ! 仕事じゃないなら何で漫才なんてやんなきゃなんないの!?」

千早「歌のためよ」

伊織「いよいよ意味が分からない!」


13: 2016/04/06(水) 22:47:05.24 ID:Hk1w5i/90

千早「最初から説明が必要かしら?」

伊織「説明されても分かるとは思わないけど、一応聞いておこうかしら」

千早「始まりは約138億年前だと言われているわ、無の世界に突如として」

伊織「ビッグバンとか言い出したらはたくわよ」

千早「! 流石水瀬さん、私の言いたいことは全てお見通しということなのね……」ガクブル

伊織「全くちっともこれっぽっちも分かりゃしないわ。あのね、あんた、宇宙の起源とかどうでもいいから、どうしてプライベートで漫才をやんなきゃなんないのか、それを説明しなさい」


14: 2016/04/06(水) 22:50:49.06 ID:Hk1w5i/90

千早「漫才を経験すれば、私の歌で笑ってくれる人がもっと増えるんじゃないかと思って……」

伊織「バカじゃないの?」

千早「ノータイム! 流石はツッコミプリンセスと讃えられるだけのことはあるわね……」ゴクリ

伊織「その呼び方やめなさい!」

千早「どうして? とても素敵な呼び名だと思うのだけれど……プリンセス、お姫様よ? 水瀬さんにぴったりだわ」ウンウン

伊織「前半部分が明らかにおかしいでしょ!?」

千早「? 水瀬さんの特長を端的に表しているのでは?」

伊織「バッカじゃないのっ!?」

15: 2016/04/06(水) 22:54:54.39 ID:Hk1w5i/90

千早「っ! これが水瀬さんの切れ味……っ」ブルブル

伊織「何すごいものを見た的な感じになってるのよ!」

千早「コンビを組むなら、これに負けてはダメなのよね。がんばれちーちゃん、ちーちゃんはできる子」ブツブツ

伊織「キャラ壊れてるわよあんた……」

千早「大丈夫よ、いおりん。私、きっといおりんに相応しいパートナーになってみせる!」

伊織「いおりん言うな! さっきからあんたおかしいわよ!」

16: 2016/04/06(水) 22:58:02.43 ID:Hk1w5i/90

千早「私がおかしい? そんな、ツッコミプリンセスいおりんから褒めてもらえるなんて……」テレテレ

伊織「褒めてなんかないわよっ! それにその如何にも三流くさい呼び名をやめなさい! ああもういやっ、ツッコミが追いつかないっ!」ウガー

千早「見えている全てにツッコまずにはいられないのね、なるほど」

伊織「! ま、まるで私がツッコミの人間みたいに言わないでよ!」

千早「違うの?」ハテナ

伊織「ち、違うわ!」

17: 2016/04/06(水) 23:01:30.21 ID:Hk1w5i/90

千早「でもさっき、ツッコミが追いつかないって……」

伊織「こ、言葉の綾よ……」

千早「……ふふ、大丈夫、分かっているわ」

伊織「……ホントに?」

千早「自称するのには相応の自信と覚悟が必要だと思うけれど、水瀬さんにはきちんとその実力が備わっているわ。大丈夫。安心して、水瀬さんはちゃんとツッコミの人よ」

伊織「やっぱりこいつ何も分かってなかった!」

18: 2016/04/06(水) 23:04:35.08 ID:Hk1w5i/90

千早「ふふ、春香の言った通り、私たちならきっとやれるわね!」

伊織「……春香?」

千早「ええ、さっき相談したのだけれど、水瀬さんと組むことを提案してくれたよ。さすがは春香ね」

伊織「なるほどーあいつ私に押し付けてくれやがったわねあのアホリボン!」

千早「水瀬さん、何があったのか分からないけれど、リボンのことをそんなに悪く言うものじゃないわ」

伊織「そうじゃない、そうじゃないでしょっ!?」

千早「大事なことなので」

伊織「二回言いまし……って、やかましいわっ!?」

千早「こ、これが水瀬さんのノリツッコミ……」ゴクリ

伊織「ああああああああ、もおおおおおおおおおおお! 誰か助けなさいよーーーーーっ!」


小鳥(くすくす。最初の千早ちゃんのお願いがもう十分叶ってるのは、内緒にしておこうかしら)

19: 2016/04/06(水) 23:05:47.96 ID:Hk1w5i/90
短いですがこれで終わりです。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
めんどくさい千早も可愛いよ千早。

20: 2016/04/06(水) 23:17:14.03
おつ

引用元: 春香「漫才をやりたい?」 千早「ええ」