1:2020/04/16(Thu) 18:05:07
女「ガルルルル……!」

男「え?」

女「ガルルルルル……グルルルルルル……!」

男「これはまさか――」

女「ガァァァァァッ!!!」

男「牙を剥くってことか!?」

女「ガアアアアアッ!!!」バッ

ザシュッ!
6:2020/04/16(Thu) 18:08:23
男「ぐっ……!」ブシュッ…

女「ガァァァァ……!」

女「ガアァァッ! ガウアァァァッ!」ドドドドドッ

男「速いッ!」

女「ガアッ!」シュバッ

ズバッ!

男「ぐああっ……!」
10:2020/04/16(Thu) 18:12:10
男「こうなったら……この鞭で……」シュルル…

男「止まれ!!!」ビシッ!

女「!」ピタッ

男「止まった……」ホッ

女「はぁ、はぁ……まさか、ああなった私を抑えられる人がいるなんて……」

男「実は俺、調教師なんだ。だから猛獣には慣れてる」

女「そういうことだったのね」
11:2020/04/16(Thu) 18:14:29
ワロタ
13:2020/04/16(Thu) 18:15:21
男「それにしても、なんでいきなり牙を剥いたんだ? ビックリしたよ」

女「私は……生まれも育ちもサバンナなの」

女「赤ん坊の頃に親に捨てられて、ライオンに育てられて……」

女「だから未だに、ああやって“野性”が表に出てきてしまうの!」

男「そうだったのか……」

女「このままじゃ私、いつか本当に人を食い頃してしまう!」

女「ねえ、お願い! あなた調教師なら、私を調教して、“野性”を封印して欲しいの!」

男「……」

男「いいだろう、やってみよう!」

女「ありがとう!」
15:2020/04/16(Thu) 18:18:23
男「肉をここに置くよ」

ドサッ…

女「!」ピクッ

女「グルルルルル……」

男「抑えて!」

女「ぐっ!」

女「ググググ……」

男「抑えろ!」ビシッ!

女「ううっ……!」
16:2020/04/16(Thu) 18:21:52
男「よく抑えたね。次は肉を食べてみよう」

女「ガルルルッ!」

男「ちゃんとナイフとフォークを使う!」ビシッ!

女「ガッ! ぐ、ぐぐぐ……」

女「こ、こうね……」

男「そうそう。一口ずつ丁寧に食べるんだ。むさぼりついちゃいけない」

女「うん……」モグモグ
17:2020/04/16(Thu) 18:24:30
男「雄ライオンの写真だ」サッ

女「!」ピクッ

女「グルルルゥ……」

男「発情するな!」ビシッ!

女「うぐっ……私としたことが……」

男「もう一回!」サッ

女「ふん……こんなライオンなんかに……」プルプル
18:2020/04/16(Thu) 18:27:12
男「猫じゃらしを振るぞ」

女「うん」

男「……」フルフル

女「ガルッ!」

男「耐えろ! 耐えるんだ! 野性を抑え込め!」フルフルフル

女「うぐっ……これはキツイわ……! 遊びたくなっちゃう!」

こうして訓練は続き――
19:2020/04/16(Thu) 18:28:58
甘栗かと思った
20:2020/04/16(木) 18:30:31.084 ID:+zK4qneL0.net
スタスタ…

男「だいぶ野性を抑えられるようになったね」

女「これもあなたのおかげ……ありがとう」

男「今日はなに食べる?」

女「野菜炒め!」

男「野菜もだいぶ食べられるようになってきたね」

女「うん!」
21:2020/04/16(Thu) 18:33:27
DQN「へへへ……」

男「ん」

DQN「俺さ、ちょっと金がないんだ。金貸してくんねえ?」

男(面倒なことになった……)

女「ガル……」ギロッ

男「よせ!」

DQN「よせだと? やめるわけねえだろ!」
22:2020/04/16(Thu) 18:33:58
ワロタ
23:2020/04/16(Thu) 18:36:16
女「ガルルルル……!」

男「抑えろ! 抑えるんだ! ここはサバンナじゃない! 弱肉強食の世界じゃないんだ!」

女「ぐっ……!」

女「はぁ、はぁ、はぁ……」

男「よし、よくやった!」

DQN「……?」
25:2020/04/16(Thu) 18:38:24
ブラックジャックかよ
27:2020/04/16(Thu) 18:39:17
男「よく我慢したな! 偉いぞ!」

女「うん……なんとかね」

DQN「おい、よく分からねえが、俺を無視してんじゃねえぞ!」

男「ああ、君はもういい」ヒュッ

ビシッ! バシィッ!

DQN「いだぁいっ!」





?「ククク……」コソッ
28:2020/04/16(Thu) 18:40:36
男も結構強い
29:2020/04/16(Thu) 18:43:51
スタスタ…

女「ふんふ~ん」

男(このままいけば、野性を封印できる日も近いだろう……)

男「……ん?」

ハンター「ククク……」

男「なんだお前は!?」

ハンター「お前に用は無い。用があるのはそっちの娘だ」

女「私?」
31:2020/04/16(Thu) 18:46:44
ハンター「俺は珍獣コレクターでね……この世のあらゆる獣をコレクションしている」

ハンター「君のような野性を併せ持った人間を見るのは初めてだ」

ハンター「狩って、剥製にさせてもらう」ジャキッ

男「な……!?」

女「銃……!?」

ハンター「動くなよ……一発で仕留めてやる」

女(こ、殺される……!)
32:2020/04/16(Thu) 18:49:25
男「やめろぉぉぉぉぉ!!!」ダッ

ハンター「!? こ、こいつ……!」

男「この子は人間だぞ!」ガシッ

ハンター「はなせっ!」

ズドンッ!

男「うぐっ!」ドサッ

女「ああっ……!」
33:2020/04/16(Thu) 18:54:12
ハンター「ちっ、つい撃っちまった。まぁいい、いくらでも隠蔽できる」

ハンター「さて、今度こそ君を……」

女「よくも……よくも……!」

女「ガルルルルル……!」

ハンター「おおっ! まさに本物の猛獣のようだ! 狩りがいがあるッ!」

女「ガァァァァァァァッ!!!」

男「や、やめろ……」

女「!」ピクッ
34:2020/04/16(Thu) 18:58:02
男「君は……獣じゃない……。あれだけ苦労しただろ……?」

女「……」

女「……うん!」

ハンター「なにをゴチャゴチャいってる!? まぁいい、もらったァ!」ズドンッ!

フッ

ハンター「かわした!?」

女「私……あなたを倒すわ!」

ハンター「……ほざけぇ! 俺は今までに幾多の猛獣をハントしてきたんだ! 獣には慣れてる!」
35:2020/04/16(Thu) 19:01:10
ズドンッ! ズドンッ! ズドンッ!

ハンター「あ、当たらない!」

ハンター(動きが読めん! これは……獣じゃない!)



男(あの速さ……! あの動き……!)

男(彼女は……理性を保ちつつ、野性を発揮している!)

男(まさに……理性と野性のハイブリッド!)
36:2020/04/16(Thu) 19:03:05
銃で撃たれながらも完璧な解説ありがとう
37:2020/04/16(Thu) 19:04:53
ハンター「く、くそっ! ――どこだっ!?」

女「こっちよ!」

ハンター「わっ!?」

女「はぁっ!」

バキィッ!

ハンター「ぐはぁっ!」ドザァッ

ハンター「馬鹿な……これまでどんな猛獣もハントしてきた私が……」ガクッ
39:2020/04/16(Thu) 19:07:05
女「しっかりして!」

男「大丈夫……急所は外れ、てる……」

女「すぐ病院に連れていくからね!」

ドヒュンッ!

男(速い……)

男(彼女は……野性をコントロールできるように、なった、みたい、だ……)

――――

――
40:2020/04/16(Thu) 19:11:37
男「お医者さんによれば、来週には退院できるそうだよ」

女「よかった……」

男「しかし……あの土壇場でよく、野性をコントロールする術を身につけたね」

女「うん……」

女「あの時私、怒りに我を忘れそうになってた」

女「もし、あのまま牙を剥いてたら、きっともう戻れなかったと思う」

女「だけど、あなたの言葉で人としての自分を取り戻すことができたの……」

男「そうだったのか……」
41:2020/04/16(Thu) 19:14:33
男「ってことは……もう調教は必要ないってことか」

女「うん……」

男「……」

女「……」

男「あ、あの……もしよかったら、これからも俺と一緒にいてくれないだろうか……」

男「俺なら……君をきっと幸せにできる!」

女「……!」
42:2020/04/16(Thu) 19:17:25
女「こちらこそ、一緒にいたい……できればずっと」

男「嬉しいよ……ありがとう」

女「じゃあ……さっそく彼女らしいことしたいな」

男「ん?」

女「リンゴ剥いてあげよっか?」

男「うひょ~! お願いします!」







―おわり―
43:2020/04/16(木) 19:21:23.242 ID:fj0RGNZPr.net

おもしろかった
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1587027907