1: 2011/02/21(月) 00:25:50.95 ID:mjYDDzS90
ある日のこと……


唯「うい~、帰ったよ~」

憂「お帰りなさい、お姉ちゃん」

紬「こんにちは、憂ちゃん」

3: 2011/02/21(月) 00:26:57.87
よかど!

4: 2011/02/21(月) 00:27:33.34 ID:mjYDDzS90
憂「あ、紬さんこんにちは……て、え?」

唯「へへへ~」ムギュー

憂「お姉ちゃん、何で紬さんに抱きついてるの?」

唯「だって、ムギちゃん暖かいんだもん。一家に一台欲しいくらい!」

紬「あのー、もう室内なんだし……離してくれないかな?」

唯「えー、もうちょっと~」

5: 2011/02/21(月) 00:28:50.12 ID:mjYDDzS90
憂「お姉ちゃん、紬さん困ってるよ。あまり迷惑かけちゃダメだよ?」

紬 (もはや、どっちがお姉さんかわからないわね……)

憂「ほら、お姉ちゃんっ」ギュー

唯「わわ、わかったから引っ張らないで憂」

憂「もーう。ごめんなさい紬さん、お姉ちゃんが迷惑かけて」

紬「ううん、気にしないで」

唯「ふぅ……それじゃ改めて。たっだいま~、憂」ダキッ

憂「きゃっ、も、もうお姉ちゃんったら~」

6: 2011/02/21(月) 00:32:55.33 ID:mjYDDzS90
紬「ふふ、それじゃ私はこれで」

憂「あれ、紬さん上がっていかないんですか?」

紬「ええ、それじゃあね唯ちゃん」

唯「うん、ムギちゃんまたね~」

憂「……」

憂(一家に一台かあ……)

憂(……抱きついてみたい、かも)

11: 2011/02/21(月) 00:38:03.05 ID:mjYDDzS90
憂「て、こんなことがあってね」

純「いや、真顔でそんな話されても困るんだけど」

梓「憂って意外と人にスキンシップ好きだよね」

憂「うん! それに、お姉ちゃんイチオシなんだよ? 興味わくよー、やっぱり」

純「そーお?」

梓「ああ、でもわかるかも。ムギ先輩って体温高くて暖かいらしいし」

憂「梓ちゃんはムギ先輩に抱きついたことととかないの?」

梓「あ、いや、ないかな。抱きつかれたことなら……いや、というか似たようなことなら」

純「へ、へえー……進んでるんだね、梓って」

13: 2011/02/21(月) 00:41:12.47 ID:mjYDDzS90
梓「そ、そんなんじゃないよ。ただ、寂しかったらしくていきなり構ってって……」

憂「で、どうだったの梓ちゃん?」キラキラ

純(憂の目がこれ以上ないくらい輝いている……!)

梓「あー、どうなんだろう……やわらかかかった、かな?」

純「や、やわらかかったって……」

憂「あー、確かに紬さんフワフワしてるもんね」

梓「うん、そうなんだよねー」

純(……あれ? なんかやらしい響きに聞こえてまったの私だけ?)

15: 2011/02/21(月) 00:44:12.28 ID:mjYDDzS90
憂「あー、いいなあ! 私もやっぱり紬さんをムギューってやってみたいなあ!」


「ナニアレー?」ヒソヒソ

「ヒラサワサンガアブナイハツゲンシテルー」  


純「ちょ、ちったあ声のトーン抑えなよ。周りから変な目で見られてるよ!?」

憂「ね、梓ちゃん。何かいい方法ないかな?」

純「聞いてないしっ」

梓「そうだなあ……あ、でもムギ先輩も結構スキンシップ好きだし
  真正面からお願いしたら普通に抱きしめてくれるかも知れないよ」

憂「ま、真正面からなんて……は、恥ずかしくて無理だよー///」

純「私は今まさに周りの視線が恥ずかしいんですが」

17: 2011/02/21(月) 00:46:46.55 ID:mjYDDzS90
梓「大丈夫だって、ムギ先輩そっちのケがあるみたいだし」

純「さりげにとんでも無いこと言ってるよこの娘! どんなケだよ!?」

憂「う、うー……それなら、大丈夫かも」

純「いや、逆にヤバイでしょ! 食われちゃうよ!?」

梓「もーう、純さっきからウルサイよー」

憂「ねえ純ちゃん? 食われちゃうってどういうこと?」(真顔)

純「……はい?」

梓「あー、私もちょっと気になるかも」(真顔)

憂「ね、純ちゃん?」(真剣)

純(な、何この娘たち~……これじゃ私が変人みたいじゃん!)

20: 2011/02/21(月) 00:51:45.89 ID:mjYDDzS90
憂「じ、じゃあ真正面からお願いしてみることにするね」

梓「うん、頑張ってね憂。大丈夫、多分ムギ先輩はあっさり落ちるよ!」

純(……もう私はツッコまないぞ)

憂「あー、でもいざお願いするとなると緊張するなあ」

紬「あら、みんな」

憂「つ、つむぎしゃんっ!」

梓(噛んだ! ドジっ娘!?)

紬「あらあら、どうしたの憂ちゃん。可愛い声を出して」

憂「あ、え、あの、その……」チラッ

梓(頑張れ、憂!)キリッ

純(テキトーにがんばれー)チラッ

22: 2011/02/21(月) 00:56:46.56 ID:mjYDDzS90
憂(う、うん! 私、頑張る……!)

憂「あ、あの。紬さんっ!」

紬「なあに?」

憂「あ、あー、その、だ、だ……」

紬「?」

梓(もう一息だ、憂!)

憂「だ、だ……」

憂「第2回三頭政治のメンバーは誰でしょうかっ!?」

紬「オクタヴィアヌスとアントニウスとレピドゥスね」

梓(な、何で世界史の問題出してんのよーー!?)

純(しかもムギ先輩、間髪入れずに答えた……この人、只者じゃない!)

23: 2011/02/21(月) 00:59:00.69 ID:mjYDDzS90
紬「ふふ、急に問題出すなんて。面白いことするのね憂ちゃん~」ナデナデ

憂「! え、あ、ははは……///」

紬「それじゃ、私教室に戻るわね。それじゃあ、梓ちゃんと鈴木さんも」

梓「あ、はい」

純「お元気で~」

紬「ふふ、じゃあね~」トタタタ…

梓「……憂?」

憂「///」プシュー

純「あ、湯気出てる」

梓「緊張しすぎだよー。絶対大丈夫だから、次はちゃんと言いなよ」

憂「う、うんがんばるー///」プシュー

純「……なんで私はこの子らに付き合ってるんだろう」

25: 2011/02/21(月) 01:02:20.84 ID:mjYDDzS90
梓「というわけで、本日二度目のチャンスだよ、憂」

憂「うん、同じ失敗はしないよ」

純「ねえ、なんで私まで付き合わないとダメなのー?」

梓「なんとなく」

純「あっそ」

憂「来た……!」

紬「♪~」

憂「あ、あのっ! 紬さん!」

紬「あら、憂ちゃん。今日はよく会うわね~」

憂「え、ええそうですね。あ、あの紬さん……」

紬「何かしら?」

28: 2011/02/21(月) 01:09:34.79 ID:mjYDDzS90
憂「えーっと、あの……今日はいい天気ですね?」

紬「盛大に雪が降っているけれど……?」

憂「あ、いえそうじゃなくて……あの、寒いですよね、最近」

紬「そうね~、もう冬真っ盛りだものね~」

憂「それで、あの……寒いですし、その、だ、だき……」

紬「?」

憂「だ、だき……ダキアを平定した古代ローマの皇帝はっ!?」

紬「トラヤヌスね」

純(て、また世界史かい! しかも、またローマ時代!)

梓(どんだけローマが好きなのよ。憂!)

29: 2011/02/21(月) 01:11:43.04 ID:mjYDDzS90
紬「もしかして、私の学力チェックか何か? ふふ、大丈夫よ。ちゃんと受験勉強してるから」

憂「あ、いえ、そうじゃなくて……」

紬「?」

憂「……あ、いえ。古代ローマって素敵ですよねー」アハハー

純(憂が壊れた……)

梓(そのローマにかける情熱は何……)

紬「ふふ、変な憂ちゃん」

純(……急な問題に間髪入れずに解答できるあなたも大概変です)

31: 2011/02/21(月) 01:14:28.26 ID:mjYDDzS90
憂「はあ……」ドーン

梓「さて、同じ失敗を二度しちゃったわけだけど」

純「もう諦めたら?」

憂「う……でも、私だってお姉ちゃんと同じことを共有したい。
  お姉ちゃんが紬さんを暖かいって言ったのなら、私だってその暖かさを味わいたいの」

梓「憂……」

純(やっぱり、さり気に危ない発言してるような気が……)

憂「私、最後にもう1回やってみる! 梓ちゃん純ちゃん、力を貸して!」

梓「憂……勿論だよ!」

33: 2011/02/21(月) 01:17:02.97 ID:mjYDDzS90
純「ちょ、ちょっと、待ってよ。なんで私まで付き合わないといけないの?」

憂「お願い、純ちゃん! 純ちゃんの力が頼りなの!」ウルウル

純「う、憂……もーう、わかったよ。こうなったら、どうとでもなれだよ。最後まで付き合うよ」

憂「ありがとう純ちゃん! 私、純ちゃんのこと好きだよ!」

純「(ドキ) す、好きって……もうっ、何冗談言ってるんのよ、うーい」

憂「冗談じゃないよっ」

梓「ねえ憂、純のことどれくらい好き?」

憂「ローマの次くらいに」

純「またローマかよ! しかも私負けてるし! せめて人と比べてよ!」

35: 2011/02/21(月) 01:19:23.95 ID:mjYDDzS90
放課後、部室前……

梓「いい、憂。まずはちゃんと頑張って言ってみてね」

純「それで無理そうだったら、私たちが助け舟だすからさ」

憂「うん、ありがとう二人とも! それじゃ……」

ガラッ

憂「あ、あのっ。失礼しますっ!」

唯「あれー、憂。どーしたのー?」

澪「梓と、あと鈴木さんも」

憂「えっと、あの。紬さんにお話がありまして」

紬「まあ、私に?」

律「一体何なんだー?」

36: 2011/02/21(月) 01:23:02.06 ID:mjYDDzS90
憂「あの、紬さんにお願いがありまして……」

紬「お願い、何かしら~?」

唯「憂がムギちゃんにお願いなんて珍しいねー」

澪(興味津々)

律(聞き耳)

梓「ほら、頑張って。憂」

純「しっかりしなよ」

憂「う、うん……あの、紬さん、私、その私を……」

紬「?」

憂「わ、私……私とプロレスごっこしませんかっ!?」

42: 2011/02/21(月) 01:26:04.62 ID:mjYDDzS90
純「ぷ、プロレスごっこって……」

梓「むう、憂。考えたわね……
  真っ向から抱きしめてというのはやはり恥ずかしい。
  でも、プレロスごっこという名目があれば無理矢理でも
  相手に組み付くことができる……
  まさに、パーフェクトプラン……恐れいったわ、憂……」

純「いやいや、明らかにおかしいでしょ! つーか、ムギ先輩がそんなこと了承するはずが」

紬「いいわよ~」

純「あっさり了承しちゃったよこの人!!」

紬「私、お友達とプロレスごっこするのが夢だったの~」

唯「良かったねムギちゃん、夢がかなって♪」

律「二人とも、がんばれよ」

澪「おめでとう、応援してるよ」

純「あ、あれ? なんでこの人たち普通に受け入れてるの?」

44: 2011/02/21(月) 01:29:13.89 ID:mjYDDzS90
紬「それじゃ、憂ちゃん。始めましょうか♪」

憂「は、はい!」

梓「頑張ってね、憂!」

律「ムギも負けるなよー!」

紬「どんとこいです!」フンス

純(帰りたい……)

憂「そ、それでは……お願いしますっ!」

46: 2011/02/21(月) 01:34:07.79 ID:mjYDDzS90
憂は思考する。
どうすれば、効率よく紬に抱きつくことが出来るか。
もしくは、紬に抱きついてもらうことが出来るか。

紬はパワーに優れており、力比べしても勝ち目はない。
それならば、自らが勝るスピードをもって一気に今の距離を詰めるのが吉。

そして、まずは相手の腰に絡みつきバックを取る。
そうなってしまえば、相手の足をとって速やかにサブミッションに移行できる
そして、後はやりたい放題……

――よし!

作戦を決めて、憂は一気にダッシュをかける。

梓「速い……!」

梓が思わず感嘆の声を上げる。

憂が見せた瞬発力は、女子高生のそれとは比べ物にならないものだった
まさに獣、標的を目前にした獅子のごとく、猛烈な勢いで前方に飛び出す――

49: 2011/02/21(月) 01:37:06.62 ID:mjYDDzS90
憂の瞳が妖しい光を放つ。
その光が向かう先は、服の上からでも艶めかしさを感じさせる紬の脇腹――

標的が徐々に目前に迫り――

唯「うい!」

不意に、唯が声を上げる。

その声が耳に入ると同時に、憂の額に衝撃が走る!

――な……!?

精神的な、あるいは病的なそれではない、まさに物理的な衝撃――

梓「な、あれは……!」

澪「……ムギの、トラースキックだ」

強烈な衝撃に憂はたまらず身を倒し、背面で受身を取る姿勢を作る。
仰向けの上空に見えたのは、まっすぐに、倒れ行く憂の体と平行に伸びた紬の脚。

53: 2011/02/21(月) 01:40:02.96 ID:mjYDDzS90
トラースキック――

前方から向かう相手に対して放つ蹴り。
相手の顔面目がけて脚を伸ばし、靴底を叩き込む強烈な一撃。
先程の憂のようにスピードに乗った相手には、特に強く突き刺さる。


バァン!

憂は受身を取るとすぐに体を転回させ、体を起き上がらせる。

――反応が少しでも遅れていれば、確実にKOされていた……!

いや、そんなことよりも今の蹴り……にわか仕込みで放てるような代物ではない。
憂は推測する、紬の今の手慣れた一撃、もしかすると……

梓「憂!」

憂「梓ちゃん……」

梓「間違いない。ムギ先輩は……ラフファイターだ」

梓の言葉に、予想が確信へと変わる。

56: 2011/02/21(月) 01:42:12.62 ID:mjYDDzS90
ラフファイター、それは……

律「ラフスタイル、つまりはラフな(荒っぽい)攻撃を主体とする戦い方だ。
  投げ技や絞め技ではなく、主にパンチやチョップ、蹴りなどで相手と戦うんだ。
  空手経験者やキックボクシングなんかからの参戦者に多いスタイルだよ」

純「へ、へぇ~(ついて行けん)」

澪「しかし、憂ちゃんの受身……なんという華麗な受身なんだ。
  あの強烈な蹴りの衝撃を瞬時に最小限に抑えこみ、尚且つすぐに反撃体勢を整える。
  並のファイターにできることじゃない……いや、並の人間なら、あの一撃で
  撃沈しているはず。おそるべし、憂ちゃん……」

唯「ふっふーん、憂は私の妹だからね。そう簡単には負けないよっ」フンス

梓「憂、頑張って……」

純(……マジ帰りたい)

59: 2011/02/21(月) 01:45:07.42 ID:mjYDDzS90
体勢を立て直し、憂はもう一度距離をとる。

相手がラフファイト主体で来るのなら、向こうから組み付いてくることは期待できない。
ならば初志貫徹、最初に決めた作戦でもう一度ぶつかるしかない。

先程は相手の手の内が読めていなかっただけに、不意の一撃を受けてしまった。
しかし、紬の戦闘スタイルが知れた今、勝機は確実にある。

そもそも、相手を力技で押してくると踏んだ自分が早計だったのだ
一撃受けたことで冷静になった頭で、今度こそ慎重に、確実に思考を張り巡らせる。


大きく一度息を吸い込む。

大丈夫だ、やれる。

全身に酸素を巡らせ、体を改めて覚醒させながら――

憂「っ、たぁ!!」

60: 2011/02/21(月) 01:47:23.52 ID:mjYDDzS90
紬(また真正面から……!?)

憂は先ほどと同様、一直線に紬へと駆け出す。
スピードは……さっきより遅い!?

梓「!? また正面から!?」

律「無茶だ、また蹴りの餌食になる!!」

澪「いや、違う。あれは……!」

そう、確かに先程と同様の手で行けば同じような形で潰されるのは明白だろう。
しかし、憂は今回意図的に速さを抑えた。

MAXスピードでは小回りがきかず、直線的な攻撃も食らいやすい。
しかし、ある程度の余裕を持った速さで接近することで、敵の攻撃への対処をしやすくする――

憂(これなら紬さんも、不用意に蹴りは出せない!)

61: 2011/02/21(月) 01:49:30.18 ID:mjYDDzS90
紬(確かに、蹴りは封じられた……でも)

憂と紬の距離が縮まる。

憂の視線の先は、先ほどと同じく紬の脇腹――

紬「せいっ!」

接近してくる憂に合わせ、紬が右足をわずかに引き、半身で迎撃姿勢を取る。

紬(そう易々と懐には入らせないわ!)

憂の頭が目前に迫った瞬間、紬は右ひじを突き出す!

律「エルボーだ!」

澪「憂ちゃんは視線をムギの腰に据えている。
  あの姿勢じゃ上方からのエルボーに対応するなんて出来るはずが……!」



憂「狙い通りです」

62: 2011/02/21(月) 01:53:09.07 ID:mjYDDzS90
紬「えっ……!?」

本来なら憂の視界に入っているはずのない肘、それによる死角からの瞬時の攻撃。
かわすことなど不可能のはずのその一撃が、空を切る。

憂「読んでましたよ……!」

憂は肘が飛んでくる瞬間に、姿勢を一気に低くしてそれを回避した。
と、同時に紬の腰に腕を回し、一気に背後を取る……!

憂「今度はこっちの番です!」

憂の当初の目的通り、第1段階は成功した。
そして、次の手はずは……

唯「ういー、今だよ!! いっちゃえーー!!」

思考を巡らそうとした刹那、響く最愛の姉の声。

憂はその声を全身の毛穴から感じ取る。
体内に染み入ったその声は、憂の筋肉を活性化させ
強大なパワーを発揮させる……!

65: 2011/02/21(月) 01:55:56.00 ID:mjYDDzS90
憂「うん、お姉ちゃん!!」

憂は背後から腰に手を回した状態のまま、一気に紬を抱え上げる。

そして、そのまま一気にブリッジの体勢へ……!

憂「てえぇぇい!!」


ジ ャ ー マ ン ス ー プ レ ッ ク ス ! !


紬の脳天は、部室の木造の床に深々と突き刺さった。

純「あ、あ、あ……」

澪「な、なんて美しいジャーマンなんだ……!」

律「ナイスジャーマン!」パチパチ

梓「ナイスジャーマン!」パチパチ

唯「ナイスジャーマン!」パチパチ

66: 2011/02/21(月) 01:56:54.72
やりやがったwwww

68: 2011/02/21(月) 01:57:54.32
KOしてどうするw

69: 2011/02/21(月) 01:58:11.02 ID:mjYDDzS90
憂「ふぅ……」

梓「憂、すごかったよ! 見事な勝利!」

憂「うん、ありがと! 梓ちゃんのアドバイスのお陰だよ!」

唯「さっすが憂! 私の自慢の妹だよ~!」スリスリ

憂「きゃっ! も、もうお姉ちゃん、くすぐったいよ~」

澪「凄い試合だったな、律……」

律「ああ、天国の力道山もビックリだ……」

純(もう知らん)

唯「あ、でもさ憂。なんで急にムギちゃんとプロレスごっこをしようと思ったの?」

憂「え、それはね……あ」

憂「ああああ……ち、違う! 私の目的はこんなのじゃないじゃん!!」

73: 2011/02/21(月) 02:01:18.22 ID:mjYDDzS90
数分後……

憂「あ、あの紬さん。大丈夫、ですか……?」

紬「大丈夫よー、憂ちゃんホントに強かったわ~」ドクドク

純(頭から思いっきり血でてるしっ)

梓(紅茶から血の味が……)

憂「うう、でもごめんなさい。やりすぎちゃって……」

紬「いいのよ、私だって蹴り入れちゃったんだし」ドクドク

律「でさ、憂ちゃんの本当の用事の何だったんだ?」

憂「え、あのその……あの、紬さん(ゆ、勇気を出して……)」

紬「なあに?」ドクドク

憂「あ、あの……私のこと……だ、抱きしめてくれませんか!?」

75: 2011/02/21(月) 02:04:36.65 ID:mjYDDzS90
澪「え?」

律「ん?」

唯「ほうほう」

梓「やっと言えたね、憂」

純「長かった……」

紬「え、あの、え?」ドクドク

憂「う、うう……だ、ダメでしょうか?」ウルウル

紬「え、あ、あぁ……むぎゅう」バタン

唯「ムギちゃんが倒れた!」

律「救急車だ、救急車呼べ!」

憂(え、も、もしかして私のせい……?)

78: 2011/02/21(月) 02:07:54.62 ID:mjYDDzS90
病院……


医者「出血多量による貧血ですね、しばらく安静にしてて下さい」

律「ほっ、大したことなくて良かったなムギ」

純(大したことあるじゃん!)

紬「ごめんね、みんな。迷惑かけて……あら、憂ちゃんは?」

唯「あ、憂は帰ったよ。なんか、ムギちゃんに申し訳ないって」

紬「そうなの……」

澪「ムギが倒れちゃったことに責任感じたんだろうな」

梓「そうですね、憂はマジメですから」

80: 2011/02/21(月) 02:11:06.18 ID:mjYDDzS90
紬「私、さっきからなんか変なの……憂ちゃんのことを考えると、心拍数が上がるような感じが」

澪「ムギ、それって……」

紬「……私もね、憂ちゃんみたいな妹が欲しいなあ、て思ったことあるの」

紬「だから、ああ言ってくれたこと、本当は多分嬉しかったんだと思う」

唯「ムギちゃん……」

紬「ああ……やっぱり憂ちゃんのことを考えると何か目眩が……この気持ちって……」ドクドク

純(傷口開いとる)

紬「ああ、これってもしかして……恋!?」ドクンドクン

医者「いや、だから貧血ですって」

82: 2011/02/21(月) 02:15:53.32 ID:mjYDDzS90
そんなこんなで数週間後の放課後……


憂「それじゃあね、梓ちゃん、純ちゃん」

梓「うん、またね」

純「ばいばーい」


憂「はあ、最近また一段と寒くなってきたなあ」

憂「早く帰って、温かいゴハンの準備でもしようっと」


ムギュッ


憂「!!」

紬「ふふ、憂ちゃん捕まえた♪」

85: 2011/02/21(月) 02:19:05.52 ID:mjYDDzS90
憂「え!? 紬さん!? え、え!?(あ、あったかい……)」

紬「憂ちゃん、お久しぶり♪」

憂「あ、はひ! おひさしぶりでしゅ!!」

紬「うーん、憂ちゃんあったか~い」

憂「え、あ、あの紬さん……///」

紬「ね、憂ちゃん」

憂「あ、はい……///」

紬「たまに、こうやって抱きしめたりしてもいい?」

憂「えっ!? あ、あの、その……///」

憂「ご、ごめんなさい!」バンッ

紬「!?」

86: 2011/02/21(月) 02:21:36.46 ID:mjYDDzS90
憂「あ、う、そのっ!」

紬「ご、ごめんなさい。ダメだったかしら……」

憂「ち、違うんです何か気を使わせちゃったかと思って……」

紬「気を使うなんて……そんなことないわよ」

憂「あ、いえ。それなら、その……」

紬「私もね、憂ちゃんみたいな妹欲しいと思ったことあるし。
  憂ちゃんさえ良ければ、ね? 唯ちゃんには許可も貰ったし」

憂「そ、そうなん、ですか……」

紬「そうよ」

憂「い、いいんですか?」

紬「どんとこいです」

87: 2011/02/21(月) 02:26:45.47 ID:mjYDDzS90
憂「じ、じゃあ……改めてお願いします……つ、紬さん!」

紬「なあに?」

憂「だ、抱きしめてもらっても……いや、抱きしめてもいいですか?」

紬「どうぞ♪」

憂「う、えーい」

ポスッ

紬「ふふ、ありがとう憂ちゃん。あったかい」

憂「紬さんも……すごくあったかいです」

寒さが増しつつある冬の日。
二人はお互いの体温を噛みしめあいながら
そして、お互いの温もりを味わい尽くすまで
いつまでも、抱き合い続けた……

90: 2011/02/21(月) 02:32:53.55 ID:mjYDDzS90
数日後、平沢家


唯「ただいまー、憂」

憂「おかえりなさい、お姉ちゃん」

紬「こんにちは、憂ちゃん」

憂「紬さん! こんにちは」ダキッ

紬「きゃ、もう憂ちゃんも遠慮がなくなったわね~」

憂「ふふ、紬さんあったかいです」

唯「おーい、憂。そんな抱きついてちゃムギちゃん帰れないよー」

憂「えー、もうちょっといいでしょーお姉ちゃん」

唯「もう、しょうがない子だね憂は~」

紬(前は逆だと思ったけど……やっぱり憂ちゃんの方が妹ね)

憂「ふふ、紬さ~ん♪」


おわり

92: 2011/02/21(月) 02:34:01.59

回り道したなぁw

98: 2011/02/21(月) 02:47:53.38 ID:mjYDDzS90
「ムギちゃんに抱きつこうと、憂ちゃんが色々と策を巡らすお話」
という感じのほのぼの百合SSを書こうと思っていたんだが、どうしてこうなった……

支援下さった皆様に感謝

紬憂増えろ

引用元: 憂「だっ、抱きしめてもよかですか?」