1: 2013/08/13(火) 21:55:48.48 ID:9V52fTSE0
P「このコートがなければ凍え死んでしまうだろうな」

春香「ごめんなさい」

P「やっぱり、車にいた方が良かったんじゃないか」

春香「そうかもしれません」

P「今からでも遅くないぞ」

春香「でも、私、もう一度皆に会いたいですから」

P「……俺もだ」



https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376398548

2: 2013/08/13(火) 22:02:03.16 ID:9V52fTSE0
P「それにしても、すごい雪だな」

春香「雪だるまでも作ったら楽しそうですね」

P「そうだな」

春香「作っちゃいましょうか、二人だけで……共同作業ですよ、共同作業!」

P「……やめとけ、体力使うぞ」

春香「で、でも」

P「事務所に戻るんだろ」

春香「わかりました……」シュン

3: 2013/08/13(火) 22:07:12.42 ID:9V52fTSE0
P「腹、減ったな」

春香「そうですね……最後に食べ物食べたのっていつでしたっけ」

P「二日、いや、三日前かな」

春香「雪だけ食べるの、正直飽きてきちゃいました」

P「……確かに」

春香「……」ニギニギ

P「何作ってるんだ?」

春香「じゃじゃーん、春香さん特製のホワイトクッキーです!雪のような食感がウリなんですよ!」

P「わーおいしそうだなー」

春香「……」ムスッ

4: 2013/08/13(火) 22:16:52.88 ID:9V52fTSE0
P「……悪かったって」

春香「知りません、プロデューサーさんなんて、あそこにいるお馬さんに蹴られちゃえばいいんです!」

P「は、春香……」

春香「ふんだ!」プイッ

P「こ、このクッキーおいしいな!なんといっても食感が!」ムシャムシャ

春香「ふんだ!ふーんだ!」プイッ

P「春香ぁ……」


5: 2013/08/13(火) 22:22:11.59 ID:9V52fTSE0
P「しかし、ほんとに腹が減ったな」

春香「そうですね、私、ケーキが食べたいです」

P「無理言うなよ……」

春香「見てください、あそこの家、未だに電気がついてますよ!」

P「本当だ!少し休ませてもらおう!」

春香「ついでに食べ物ももらえるかもしれませんね!」

P「あぁ、いくぞ春香!」

春香「はいっ!」

7: 2013/08/13(火) 22:30:55.55 ID:9V52fTSE0
P「そこをなんとか!」

男「帰れ、てめぇらのために使う電気も、くれてやる食べ物もうちには残ってねえんだ」

P「せ、せめて、家に入れてくれるくらいしてくれても……」

男「仕方ねえな、なら取引だ」

P「金か?だったらいくらでも払」

男「バーカ、こんな雪と氷だらけの世界で金なんか役に立つかよ」

P「なんだと……」

男「俺が欲しいのは、後ろの姉ちゃんだよ」

P「!!」

8: 2013/08/13(火) 22:38:00.97 ID:9V52fTSE0
男「どうせこのまま家にこもってても死ぬだけだ、だったら最後に一発ヤッたほうがいいに決まってらぁ」グヘヘ

P「ば、馬鹿なこと言うな、春香はアイドルなんだぞ!」

男「そりゃいいや、もしヤらせてくれたら、この家のもの皆好きにしてもいいぜ」

P「そんなのいるもんか、いくぞ春」

春香「本当ですか?」

P「春香っ!?」

春香「私があなたの言うとおりにすれば、食べ物分けてくれるんですね」

男「食べ物どころか、全部くれてやるよ」ウヒヒ

春香「……」シュルシュル

P「春香!」

9: 2013/08/13(火) 22:47:51.34 ID:9V52fTSE0
春香「良かったですね、プロデューサーさん、食べ物ですよ、食べ物!」シュルシュル

P「や、やめろ春香、服を脱ぐんじゃない!」

春香「プロデューサーさん、恥ずかしいから、見ないでください」パサッ

P「そ、そんなこと言ったって……」

春香「えへへ、待っててくださいね、プロデューサーさん……」

男「おぅ、準備できたか、入れ」グィッ

春香「……」

P「……」



バキッ!



男「ぐえっ!?」ゴシャァ

春香「……えっ」

P「いくぞ、春香!」グィッ


10: 2013/08/13(火) 22:57:01.09 ID:9V52fTSE0
春香「……ドジ」

P「すまない、コートを忘れてくるなんて、うっかりしてたよ……」

春香「……寒く、ないですか」

P「大丈夫、冬用の背広だからそこそこ暖かいぞ」

春香「……鳥肌立ってますよ?」

P「嘘!?」

春香「……寒いんですね」

P「……はい」

春香「手、繋ぎましょうか」

P「はい……えっ!?」

春香「えへへ」ギュッ

11: 2013/08/13(火) 23:13:05.91 ID:9V52fTSE0
春香「……プロデューサーさん」

P「ん、どうした」

春香「さっきは、ごめんなさい」

P「あんなの、当然のことだ、春香を傷つけさせるわけにはいかない」

春香「……」

P「……」

春香「あの人、言ってましたね、『どうせ死ぬんだ』って」

P「あぁ」

春香「実を言うと、私も同じ気持ちでした」

P「だから、外に出ようなんていったんだろ、知ってたよ」

春香「その後に、もう一言、言ってました、えっと、その……」モジモジ

P「恥ずかしいなら、言わなくてもいいんだぞ」

春香「はい///」

14: 2013/08/13(火) 23:22:43.88 ID:9V52fTSE0
春香「私、思うんです、きっとこのままじゃ二人とも死んじゃいます」

P「悔しいが、そうだろうな」

春香「だったら、私、最後くらい自分に正直になりたい……ダメ、ですか」

P「……いいと思うぞ」

春香「事務所の皆に、怒られないかな?」

P「皆のことだ、きっと許してくれるよ」

春香「そうですよね……それじゃ、言いますよ」

P「あぁ」



春香「私を、食べてくださいっ、プロデューサーさん!」








17: 2013/08/13(火) 23:27:55.38 ID:9V52fTSE0
P「……えいっ」カプッ

春香「いたっ!」

P「……ほら、食べた」ニコッ

春香「もうっ!こんなときにふざけないでください!!」

P「ははは、顔真っ赤にして、かわいい奴め」ナデナデ

春香「えへへ///」

春香「……って、ごまかさないでください!」ガバッ

P「ごめんごめん、あはは」


19: 2013/08/13(火) 23:34:35.29 ID:9V52fTSE0
春香「いいですか、『食べてください』っていうのは、その、えっと」

P「こうだろ?」カプッ

春香「いたっ、ち、違いますよ!」

P「そうなの?」

春香「『食べてください』っていうのは……『食べてください』っていうのは……」



春香「え、エッチしてくださいって言う意味ですからっ!」



P「……」

春香「///」

P「ごめん、知ってた」

春香「……」ポカッ

22: 2013/08/13(火) 23:39:57.00 ID:9V52fTSE0
P「……痛い」スリスリ

春香「お返しです」プイッ

P「ごめんごめん、あはは」

春香「笑わないでくださいっ!」

P「いやぁ、春香にしてはぶっちゃけたなぁって、驚いてるんだよ」

春香「……」

P「お前の気持ちは伝わったよ、春香、ありがとう」

春香「プロデューサーさん……」

P「だがな、その頼みを聞いてやることは、俺にはできない」

春香「!!」

24: 2013/08/13(火) 23:48:35.49 ID:9V52fTSE0
春香「ど、どうしてですか、仮にもアイドルの女の子が頼んでるのに」

P「だからだよ春香、お前はアイドルだ、そして俺は」

春香「プロデューサー、ですか」

P「そうだ。アイドルとプロデューサーがそんなことするなんて許されない」

春香「……そう言うと、思ってました」シュン

P「そう暗くなるなよ」

春香「だって、すっごく恥ずかしかったのに……」

P「とーっても可愛かったぞ」ニコッ

春香「……」ポカッ


25: 2013/08/13(火) 23:55:36.93 ID:9V52fTSE0
P「……それに、お前は俺とエッチしたいから車から出てきたのか」スリスリ

春香「そ、それは、ち、ちがいますん!」

P「どっちだよ」

春香「うぅ……」

P「皆に、会いに行くんだろ」

春香「!!」

P「あれは、嘘だったのか、皆を口実に俺と」

春香「ち、違います!嘘じゃありません!!」

P「……だったら、こんなところであきらめてる場合じゃないだろう、違うか」

春香「プロデューサーさん……」

26: 2013/08/14(水) 00:09:38.07 ID:5YOcRs4v0
P「たとえ、どんな状況でも諦めたりしない、前だけを見て突っ走る」

P「そんなお前を見て、周りの人間も釣られて走り出す」

P「俺が愛した『天海春香』は、そんなアイドル、いや、女性だった……違うか」

春香「……」

P「なぁ春香、もう一度、頑張ってみないか」

春香「……」

P「たとえ世界が凍り付いていたとしても、太陽の光が届かなくても、そんなときは、お前が世界を照らせばいい!そうだろ!!」

春香「……」

P「……」

春香「……ぷっ」

P「は、春香?」

春香「何ですか、それ、臭すぎですよ、プロデューサーさん!あはははは」

P「わ、笑うなよ///」


27: 2013/08/14(水) 00:20:22.23 ID:5YOcRs4v0
春香「まぁ、これでお互い様ですね、プロデューサーさんっ」ニコッ

P「は、恥ずかしい///」

春香「でも、おかげで元気が出ました、ありがとうございます」

P「そ、そっか」

春香「私、諦めません!きっと事務所にたどり着きます、そして皆に会って、765プロ再出発を宣言するんですっ!」

P「その意気だ、春香!」

春香「でもその前に、これくらいはさせてもらいますよ、プロデューサーさん」

P「なんのことだ、春香……」

春香「目、閉じてもらえますか?」

P「こ、こうか……」



チュッ



春香「大好きですよ、プロデューサーさん///」



------------------------------------------------------------------------おわり----------------------------

28: 2013/08/14(水) 00:29:53.32 ID:5YOcRs4v0
おわりです
夏なので涼しい話を書こうと思ったんですが……
読んでくださった方々に最大限の感謝を!ありがとうございました!

29: 2013/08/14(水) 01:58:58.88
面白かったけど世界観がわからん

30: 2013/08/14(水) 02:05:07.78
こまかいこたぁいいんだよ
おつ

引用元: P「……寒いな」春香「はい」